JP2005332351A - マーク用紙およびそのプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 印刷物をはじめとする紙は日常的な情報伝達のために広く利用されているにもかかわらず、情報処理装置の入出力手段としてはあまり利用されていない。特に入力には簡単なマークシートとOCR以外はほとんど使われていない。
【解決手段】 紙に薄く紙上の位置を示す図のようなマークを印刷した用紙上にペン先にカメラを装着した電子ペンで書くと、カメラがマークを読み取りペンの軌跡をとらえることができる。それにより手書き文字を入力したり、コマンドを入力したりすることで紙を媒介にした情報入力を実現する。
【選択図】 図1

Description

本発明は大きくは情報処理システムに属する。従来情報処理システムの一部として扱われることの少なかった印刷物などの紙媒体を情報処理システムの一部として組み込んで扱う手段に関するものである。
具体的には印刷物の内容の大切な部分、たとえば通信販売用のカタログの商品名に重ねて本発明の一部をなすコマンドマーク行列を薄く、赤外光を吸収する物体を含むインキで印刷しておき、特殊な電子ペンでそこに触れることによってそのコマンドマーク行列を読み取る。それをパーソナルコンピュータ(パソコン)などの情報処理装置に転送することによりコマンドマーク行列の意味を解読して、その動画像情報をディスプレイに表示するなど、紙と情報処理装置を統合して利用することを可能にする。さらにコマンドマーク行列とは別に位置指定マーク行列を上記のインキで印刷した用紙に電子ペンで手書きすることにより手書きの筆跡を取得することも可能になる。このように紙媒体と情報処理装置を結びつけるマーク用紙とその作成プログラムが本発明を成している。
従来印刷物と情報処理装置を関連付ける方法として大きく2種類の方法があった。
第一は印刷用紙に磁性体を塗布または印刷インクに磁性体を混合しておき、その磁性体の該当個所を符号化しておく方法である。用紙に磁性体を塗布する方法はテレホンカードに見るごとく、折れにくい用紙をしかも片面しか印刷物として使えないことが欠点であり、しかもコストも高い。通常の印刷物には使えない方法である。
第二には印刷物に通常の印刷物以外に特殊なコードまたはパターン、文字などを印刷しておき、それらを画像として読み取り、それを認識する方法がある。
第三には世界知的財産機構(WPO)から公開されている特許出願WO 01/26032、WO 01/16691、WO 01/26034などにあるANOTO社の方法である。これはすでにANOTO社から商品化され、一般に販売されている。
第一の方法は一般の印刷物や日常的に使用される用紙には適用できない。第二の方法は印刷物中認識できる個所に制限があるほか、手書き情報の入力には利用できない。
本発明は第三の方法を改良し、低コストで、ネットワーク設備などはない環境で、スタンドアロンで使用可能にしたものである。つぎにANOTOの技術の概要を説明する。
図17にはANOTO特許で使用する4進パターンの原理を示す。これは本発明の図1に示す4進マークに相当するものである。このパターンは値との対応など細部を除くと、特許出願WO 01/26032によってすでに公知になっている。図17に示すパターンは垂直と水平の軸(ラスターと呼んでいる)から水平方向、垂直方向にずれて配置されたドットで構成されている。垂直軸と水平軸の交点である仮想的な原点から上にずれたものを値1、右にずれたものを値2、下にずれたものを値3、左にずれたものを値4として説明する。この4進パターンを原点間隔0.3mmとし、ドット中心の原点からのずれを0.05mm、ドットの直径を0.1mmより少し小さな値にとり、ラスターを除いて紙に赤外光を吸収するカーボンブラックを含むインキで印刷したものがすでに市販されている。4進パターンの配列ルールは特許出願WO 01/16691に記載されている。この配列によれば、用紙上の位置を表すマトリクスを6x6にとれば、約400万平方キロメートルのスペースの位置が0.3mmの分解能で指定できる。この従来技術では図17のパターンに相当する4進数を図18に示すX値とY値に対応させる。このX値を用いて用紙の水平方向の位置(Xアドレス)を、Y値を用いて垂直方向の位置(Yアドレス)を指定する。具体的には0.3mm間隔のドットを6x6マトリクスで意味をもたせ、その4進数マトリクスを図18を用いてXマトリクスとYマトリクスに分け、6x6のXマトリクスでXアドレスを、6x6のYマトリクスでYアドレスを規定する。そのマトリクスを特殊なシーケンスを使って構成し、0.3mm間隔でアドレス指定する方法がこの特許の根幹の1つである。そのときに用いるシーケンスは51ビットであるが、わかりやすくするため図19に示す7ビットで説明する。このシーケンスは循環的に7つの連続する4ビットをとるとすべてが異なっている。それらに図19に示す値を与える。この7ビットシーケンスの位相をずらせたものを並べて、同じ位置の連続する4ビットの差をとるとどの位置でとっても同じ値になる性質がある。
図20にX側の配列とY側の配列、およびそれらを図18によって4進数にした配列を示す。X側の配列は列方向(垂直方向)に位相が異なる7ビットシーケンスが循環的に並べられており、Y側は行方向(水平方向)に7ビットシーケンスが位相を変えて並べられている。このそれぞれの並べ方によって任意の連続する4x4マトリクスが一意のアドレスを表すように構成するのがANOTO特許の骨子の1つである。
こうして構成した4進数マトリクスを図17に示す4進パターンで置き換えたものを、薄く、人間の目にほとんど見えないように印刷したものが、ANOTOペーパーなどと呼ばれ、その上に手書きする筆跡を取得するために使われる。インキは赤外光を吸収するもので、赤外光を発行する電子ペンで書き、その反射映像を時々刻々取り込み、4進パターンの組み合わせである4進数マトリクスからペンの位置を復元する。このマトリクスから位置を割り出すときに7ビットシーケンスの連続する4ビットの差分は不変であるという性質を用いる。この性質が図20の列方向に利用され、列間の差分でXアドレスを構成している。こうしてXアドレスがわかると、Yアドレスは4x4のYアドレスの各行の値を最左端の値に換算できるので、連続する4行の値の組み合わせからYアドレスを復元する。
実際はこれを連続する6ビットがすべて異なる51ビットのシーケンスで6x6マトリクスを構成することで商品化している。
電子ペンが読み取る4進パターンは、図17に示すラスタが書き込まれないまま6x6で用紙上に印刷されている。電子ペンで読み取るさい、4進パターンだけの情報からまずラスタを復元し、それぞれのラスタ原点からのずれの方向で、4進パターンの値を読み取る。このため電子ペンと用紙の相対的な傾きや回転を補正する画像処理をまず施し、ついでラスタ復元処理に入る。ラスタが復元できると4進パターンの値は簡単に読み取れる。次にパターンの値の組み合わせから6x6のマトリクスを構成し、そのXマトリクスとYマトリクスからそれが位置指定のためのXアドレス、Yアドレスになっているかどうかを判断する。もしなっていなければペンと用紙の回転角度を90度増して同じことを試みる。こうして4進パターンのマトリクスが指定するアドレスが始めて読み取ることができる。
6x6マトリクスは約400万平方Kmの面積を定義する。そこからたとえばA4相当分のパターンを切り出し、マーク用紙として印刷する。するとそのパターンのほんの一部を読み出すだけでその用紙が特定できる。その用紙の左上隅のXアドレスとYアドレスをペンの現在位置から引き算すれば用紙上のペン位置を求めることができる。これが公知のANOTO社の技術の原理である。ANOTO技術ではコマンドを表すにも位置情報を使用する。すなわちコマンドに相当する文字やアイコンが印刷されている位置情報をペンが拾ってくるとそれはコマンドであると解釈するのである。
ANOTO社の技術では用紙のIDはそれが含む4進パターンによって一意にきまるが、そのパターンをANOTO社の全パターンを管理するウェブサイトに提示しなければそれがわからない。しかも用紙上のペン位置もネットワークを通じて左上隅のアドレスが与えられないと計算できない。このようにネットワークがなければ使えない技術であり、大きなシステムを背景に必要とする。コマンドについても用紙設計によってどの位置がアドレスで、どの位置がコマンドかが決められるので電子ペン内ではその区別ができない。これらを含めて、持ち運んで気軽に使えるためにはつぎのような課題の解決が必要である。
a) ネットワークやホストコンピュータがなくても用紙内の位置が特定できる4進マークとその位置指定マトリクスの構成
b) 傾き補正や回転補正、さらには用紙の向きを特定する処理などを不要とする4進マーク
c) 4進マークの組み合わせである4進マトリクスだけで位置指定かコマンドかがわかるマトリクス構成
d) ネットワークやホストコンピュータがなくても自動的に判別できる用紙のID
e) 位置指定の中に混在してコマンド配置できるマトリクス配列
などが課題である。
本発明はこれらを解決できるマーク用紙とそれを作成するソフトウェアに関わるものである。
a)は位置指定のマトリクスの原点をすべての用紙の左上隅に定義することで解決する。b)は4進マークそのものに方向性を持たせることで解決する。c)はマトリクスの予め定める特定要素を0にしたものを位置指定とし、それを1にしたものをコマンドマトリクスとして定義することで解決する。d)は用紙上で手書き入力した後手書きデータをパソコンなどへ手書きの電子ペンから送信するための文字またはアイコンに組み込む送信コマンドを表すマトリクスにIDを包含させておき、送信の行為だけでID指定ができるようにして解決する。e)はコマンドを表すマトリクスと位置指定マトリクスとの境界に明らかに無効とわかるマトリクスを挿入することで境界をわかりやすくすることで解決する。
発明の一実施例の説明
{4進マーク}
図1は本発明に利用する4進マークを示す。0.4mmX0.4mmの正方形を図1に示すように、5x5の正方格子に分割し、図に示す格子のみを黒くしたものである。4進数との対応は、左端の列の最下部の格子を除く4つの格子を下から黒くし、その数をマークの値とする。この4つの格子を符号格子と呼ぶ。最下行の5つの格子(これを底辺格子という)をすべて黒くすることにより4進マークの方向性が判別しやすくする。このようなすべての底辺格子が黒いマークを黒底辺マークと呼ぶ。このようなマークをマトリクス(行列)状に配列することにより用紙上の位置やコマンドを表すことにするが、黒底辺マークが行方向に並ぶので、底辺格子が連続した黒い底辺になり、判別しやすくなる。さらに1つの行の底辺をたどれば5つの格子ごとに垂直方向に符号格子が存在するので4進マークの境界が見つけやすい。
なおここで符号格子を左端にとったが、これは右端にしてもかまわない。底辺格子を黒くしたが、これは上辺格子でもかまわない。この4通りの組み合わせはすべて本発明に含まれる。さらに4進マークの大きさも0.4mm正方格子とは限らない。たとえば0.3mmの正方格子や0.4mmx0.3mmのような長方格子も本発明にふくまれる。
{4進数のX,Yへの分解}
図2に4進数のX,Yへの分解の実施例を示す。これは4進数1,2,3,4 を、X,Yの4つの組み合わせ 00,01,10,11にいかに対応させるかであり、図2に示す以外の対応を採用してもかまわない。それらも本発明に含まれる。
図2に示す対応関係を採用したとき、3x3の4進数のマトリクス(行列)は図3に示すXマトリクスとYマトリクスに分解される。4進数のマトリクスを4進マトリクスと呼び、これを4進マークにしたマトリクスを4進マークマトリクス(または4進マーク行列)と呼ぶ。逆にXマトリクスとYマトリクスが存在するときはその両者から4進マトリクスを作ることができる。
{位置マトリクスの配列}
図4に本発明を3x3マトリクスで構成する場合のマトリクスの種類とその識別法を示す。まずXマトリクスの第1行、第3列の要素、すなわち(1,3)要素を0にしたものを位置マトリクス、または位置指定行列と呼ぶ。さらにそのYマトリクスの(3,1)要素を0としたものを通常位置マトリクス、1としたものを送信付き位置マトリクスと呼ぶ。その他のコマンドマトリクスについては別に詳述する。
3x3の位置マトリクスの配列法を図5を用いて説明する。説明では位置マトリクスはそのXマトリクスで用紙の水平方向の位置、Yマトリクスで垂直方向の位置を定めるが、これは逆でも本発明に含まれる。
Xマトリクスは第1列の上からの3要素(a,b,c),第2列の上からの3要素(d,e,f)と第3列の下の2要素(g,h)とで、その水平方向の位置を定義する。するとこれらは
第1列(a,b,c)で値
c+bx2+ax2x2=i,
第2列(d,e,f)で値
f+ex2+dx2x2=j,
第3列の右の2要素(g,h)で値
h+gx2=k
を定めるものとすると、
Xマトリクスは
i+jx8+kx8x8=U
なる水平位置を指定することになる。
同様にYマトリクスが配列される。第1行(a,b,c)で値
c+bx2+ax2x2=m,
第2行(d,e,f)で値
f+ex2+dx2x2=n,
第3行の右の2要素(g,h)で値
h+gx2=p
を定めるものとすると、Yマトリクスは
m+nx8+px8x8=V
なる垂直位置を指定することになる。
図5のマトリクスの例ではXマトリクスの5つ目は U=7,7つ目は U=63 になる。Yマトリクスの6つ目は V=8 になる。このようなXマトリクスは用紙上では垂直方向に同一のものが並び、Yマトリクスは水平方向に同一のものが並ぶ。それぞれの位置でXマトリクスとYマトリクスから4進マトリクスを作り、それを4進マークマトリクス(位置指定マーク行列)として配列し、それを薄く印刷した用紙を作り、その上に手書きすることで手書き入力する。
4進マトリクスのそれぞれの要素を図1を用いて4進マークに置き換えたものを図6に示す。3x3の4進マトリクスは図6の下段に示すとおりである。4進マークで配列すると、すでに述べたようにすべてが黒底辺マークになっているので、底辺が黒で連続することになる。このように位置マトリクスをマ−クで置き換えてできるマトリクスを4進マーク位置マトリクスまたは位置指定マーク行列という。なおこのXマトリクス、Yマトリクスは図3に示したとおりである。
{位置マトリクスの紙のうえでの配列}
図6に示した4進マークによる3x3 4進マーク位置マトリクスは、XマトリクスとYマトリクスの配列にしたがって用紙上に印刷することになる。それを後に述べる電子ペンで読み取るさい、マトリクスの境界を判別しやすくする必要がある。そのため3x3の位置マトリクスをひとかたまりとしたとき、ちょうどマーク1つ分のスペースを空ける。そのためのマークを境界マークと呼び、図7に示す2種類の境界マークを使い分ける。図7の黒底辺境界マークは4進マークマトリクスの第3行に相当する位置の境界に使い、その他の境界には図7の白境界マークを使用する。黒底辺境界マークは図1の4進マークにおいて符号格子の部分をすべて白くしたものであり、白境界マークは図1のマークの全格子を白くしたものである。こうすると用紙上で、4進マークマトリクスの第3行はマーク間もその底辺が水平方向に黒で連続することになる。
図8にその様子を示す。4進マーク位置マトリクス(位置指定マーク行列)を正方形の灰色で示すが、それらの境界は第3行間が黒底辺境界マトリクスで接続されるので、底辺が連続した黒い帯状の縞になる。これを基底辺と呼ぶ。それ以外は白境界マトリクスで接続されるので、マトリクスの境界が明らかになる。
これを実際の4進マークマトリクスで示したのが図9である。図9では右上に図3で示した4進マトリクスが4進マークで配列されている。この4進マークマトリクスの第3行が左方向に黒底辺境界マトリクスで1つ左の4進マークマトリクスに接続されている。こうして基底辺が水平方向に伸びている。それ以外の境界には白境界マトリクスが配置されているので4進マークマトリクスは白いスペースで囲まれ、マトリクス境界が識別しやすくなっている。図9の左端には下段に示した4つのマトリクスの左上のマトリクスの第3列相当が、下端には左下と右下のマトリクスの第1行相当部が示されている。
{アドレスの解読}
紙に印刷したり、プリントアウトしたりする場合、4進マークは一例として0.4x0.4mmとする。すると3x3の4進マークマトリクスは1.2x1.2mmになり、境界分を含めて1.6x1.6mmの正方形部分の情報があればそのマトリクスが解読できる。その方法を図10に示す。
図5に示す配列にしたがって3x3の4進マークマトリクスが図7に示す境界マークをはさんで印刷された用紙の上に、図11に示すような電子ペンで手書きする筆跡を追跡する場合で説明する。用紙上に1101のボールペンで書き始めると、ボールペンの軸の上に付いている1102の圧力センサがペンの圧力を感じて書き始めたことを知る。するとその情報は1103の全体制御に入り、1104の光発生に光を発生させる。発生された光は1105のレンズを通して用紙上に印刷またはプリントアウトされたマークを照射する。光に反応したマークは1105のレンズを介して1106の光センサの上に結像し、センサで電気信号に変換される。1107の走査制御は1106の光センサを走査してその情報を内蔵する1108のビットマップメモリに記憶する。これらの技術はすべて公知の技術の容易な組み合わせでできる。
1106の光センサは64x64の画素数とし、ペンと用紙が垂直の関係にあるとき、用紙上の2.4x2.4mmの正方面を撮像するよう調整しておく。すると1mmあたりの解像度は64/2.4であり、約26.7画素/mmになる。これは電子ペンと用紙の相対的傾きを40度弱まで許容することになる。すなわち40度弱に傾斜すると1mmの長さが1.4mm程度に広がって見えるので、1.4mmを26.7画素で走査することになる。すると約7.6画素でマークの1辺を撮像することに相当する。符号格子や底辺格子の1辺を1.5画素強で撮像することになる。
こうして4進マークの1辺を1.5画素強の解像度で撮像すると図12に示すような像が光センサ上に得られる。図12(a)(最上部)と図12(b)(中段部)は用紙と電子ペンの相対的回転が45度の場合を示す。画素と格子の相対的な関係で直線部は(a)のように細くなったり、(b)のように太くなったりする。底辺格子に垂直な符号格子は,最上段の(a−1)が2を、中段の(a−2)と下段の(a−3)が1を示している。このように符号格子も(a−2)のように太くなったり、(a−3)のように細くなったりする。図12(b)では底辺が太いので1の符号は、(b−1)のように底辺部に埋め込まれたようになる。図12(c)は回転角が小さい場合であり、図9のマトリクスの第2行を示している。これらの読み取りについては後述する。
こうして読み取った4進マークの例を図10(a)の破線の内部に示す。マトリクスは境界マークをはさんで読み取られる。この破線内をXとYマトリクスに分解したものを図10(b)に示す。Xマトリクスの(1,3)要素が0であるので、これは位置指定行列であることがわかる。Xマトリクスは垂直方向に同じものが、Yマトリクスは水平方向に同じものが配列されているので復元は容易である。こうして図10(c)のようにX,Yマトリクスが復元できる。すると破線内の右上の要素のアドレスは図10(d)のように算出できる。このとき用紙上のアドレスは左上隅の4進マトリクスの左上の要素のアドレスを(0,0)とし、そのマトリクスの右下隣の対角線上の境界のアドレスを(3,3)と見なしている。このアドレス算出で括弧に4を掛けるのは境界を含めたマトリクスが4x4であるからである。
コマンドマトリクスの場合は、一定の領域に同じマトリクスが配列されているので、図10(c)のXマトリクス、Yマトリクスの復元はもっと容易である。
{電子ペンの構造と用紙上の4進マークの読み取り}
図11に4進マークが印刷ないしプリントアウトされた用紙上に手書きする電子ペンの構成を示す。用紙に1101のボールペンで手書きするが、その開始はボールペンの芯に直結した1102の圧力センサで把握される。ペンダウンを検出すると、1102は1103の全体制御にその旨を通知し、制御開始を依頼する。1103は1104の光発生に赤外光をだすことを指令する。1104が発出した光は1105のレンズで絞って用紙上に照射する。それを受けたマークは黒い部分のインキが赤外光を吸収し、他の白い部分が赤外光の大半を反射する。これを1105のレンズで1106の光センサの上に結像させる。光センサは赤外光に感度が高いもので構成する。本実施例では光センサを64x64のマトリクスとして説明しているが、本発明はこのサイズに限定されてはいない。マークの黒い部分を紫外光に反応するインキで印刷し、光に紫外光を含ませ、光センサを紫外光に感度が高いものにするのも本発明に含まれる。
1107の走査制御は64x64の光センサが撮像した情報を走査し、それを対応する1108のビットマップメモリに一時蓄積する。1109の4進マーク読み取りはビットマップメモリ上の撮像データから4進マークを読み取る。読み取り方法は後述する。
1110のX,Y分割は4進マークからX,Yマトリクスを作り、図10で説明した方法で読み取った4進マークマトリクスの左上隅の要素のアドレスを求める。コマンドマトリクスではアドレスは不要であるが、その代わりX、Yマトリクスをコマンドとして解釈する。ID付き送信コマンドマトリクスの場合はIDを求める。1111はこうして読み取った4進マトリクスが送信付きかどうかを判断し、送信するときはIDをまず送信し、ついでそれまでに1112の入力バッファに記憶されているマトリクスを古い順に送信し、最後に最新のマトリクスを送信する。1113は送信回路で、ワイヤレス送信の場合はそのためのドライバ、USB(Universal Serial Bus)送信の場合はUSB制御回路になる。
{3x3の4進マークマトリクスの読み取り}
図12は1106の光センサで撮像したとき、4進マークマトリクスがどのように撮像されているかを示す。図12の正方格子が1106の光センサの1つのセルに、またはビットマップメモリのメモリセルの1個に対応する。光センサはそのセンサセルの面積の半分以上が黒いマークで占められているとき黒として撮像されるよう調整されている。
本実施例はペンと用紙が垂直で、回転がないとき、64x64のセルをもつ光センサが約26.7画素/mmの解像度で撮像する。これはすでに述べたように40度弱傾いたとき格子の1辺が1.5画素強で撮像されることになる。図12にはそのときの状況を示している。傾きがないときは1辺がもっと多くの画素で撮像されるので4進マークの撮像精度が増し、識別は図12の場合より楽になる。図12の説明はもっともむずかしい場合を説明することになる。
こうして4進マークの1辺を1.5画素強の解像度で撮像すると図12に示すような像が光センサ上に得られる。図12(a)(最上部)と図12(b)(中段部)は用紙と電子ペンの相対的回転が45度の場合を示す。画素と格子の相対的な関係で直線部は(a)のように細くなったり、(b)のように太くなったりする。底辺格子に垂直な符号格子は,最上段の(a−1)が2を、中段の(a−2)と下段の(a−3)が1を示している。このように符号格子も(a−2)のように太くなったり、(a−3)のように細くなったりする。図12(b)では底辺が太いので1の符号は、(b−1)のように底辺部に埋め込まれたようになる。図12(c)は回転角が小さい場合であり、図9のマトリクスの第2行を示している。すなわち(c−1)、(c−2)、(c−2)の順に値4,2,1の4進マークの符号格子の状況を示している。
このようなマークの読み取り手順を図13,14,15,16に示す。まず64x64のビットマップメモリの左下端のセルを座標(0,0)とし、水平に1つ右のセルを座標(1,0)、垂直に1つ上のセルを座標(0,1)とする。すると右上端は座標(63,63)になる。この最左端の座標軸をX=0軸、最下端の座標軸をY=0軸、同様にX=63軸、Y=63軸という呼び方をする。これらの軸上の連続する黒の画素を黒連と呼ぶ。1つでも黒連である。異なる軸上の黒連のあらゆるペアを作り、1つずつ直線で結ぶ。そのとき黒連のアドレスは0.5の精度でとり、中心点が整数のアドレスを表すものとする。これらの中で直線が通過するすべての画素が黒い直線(それを黒直線という)を見出す。その方法を図13の1301から1305までに示す。そうして見つけた黒直線が基底辺に相当する。その黒直線を1306で下に動かし、すべての画素が白の直線(白直線という)に4画素以内でたどり着けば方向は正しく、たどり着かなければ上下が逆転していることになる。逆転しているときは1307で、座標(63,63)を座標(0,0)にするように座標系を回転させる。その変換は(i,j)を(63−i,63−j)にすればよい。1308では白直線を左右端を0.5の単位であげていき、黒直線にたどり着く。最初にたどり着いた黒直線が基底辺の最下端の黒直線になり、それを基底直線と呼ぶ。さらに見つかった基底直線の角度が45度以上回転しているかどうかを調べる。これは直線の勾配から判断できる。45度以上のときはX軸とY軸を入れ替えて45度以下にして図14以降の処理に入る。この入れ替えは、右肩上がりの45度以上のときは(i,j)を(j,63−i)に、左肩上がりのときは(i,j)を(63−j,i)とすればよい。
図14からは基底直線を上に平行移動させていき符号格子の状況を探る処理である。図14は境界をはさまず上方向に処理できるとき、図15は境界をはさんで上に処理するとき、図16は基底直線が座標面の上の方にあり、処理を下方に行う場合である。
基底直線が図13で見つかると、図14にしたがって基底直線を0.5の精度で上に平行移動していき、黒画素が上に盛り上がっていく箇所を探す。最低で3箇所で黒画素の盛り上がりがある。値4の4進マークがないときは白直線に遭遇する。そこで符号格子は判明するが、平行移動を再び黒画素が1/2以上の直線に遭遇するまで続ける。
値4のマークがあれば1つ上の底辺に直接遭遇する。後者のときは平行移動した結果が、直線上の画素の1/2以上が黒画素になる直線になることで判明する。こうして見つけた1/2以上黒画素の直線が1つ上の底辺の一部である。そこで左端黒画素を見出すとともに直線の左右端を0.5ずつ動かして底辺直線を見つける。この底辺直線と下の基底または底辺直線との距離(これが4進マークの垂直辺の長さに相当する)を基準に、4進マークの値を読み取る。この方法は4進マークの高さを基準に、その比率で値を読み取るのでペンの傾きや回転で4進マークの大きさが変化することに影響されない。
こうした処理で底辺直線が3本見つかったとき、3本目の上は境界になるのでスペースがあり、底辺直線間の距離が変わったり(実は上は基底直線である)、直接座標面の端部に遭遇したりしてしまう。このときの処理を図15で説明する。1501は上の基底直線に遭遇したときである。1502は直接座標面の端部に遭遇したときである。後者では、1503で底辺直線間の距離をそれまで見つかった2つの行の底辺直線間距離から外挿して推定し、それを超えているなら、それを基準にして4進マークの値を決める。それまでに底辺直線間距離が見つかっていないときは図16の処理を先行させて、2ないし3の底辺直線間距離が見つかってからもう一度この処理のもどることにする。前者のときはその底辺直線と基底直線の距離を基準に、1/10、2/10,3/10,4/10に相当するかどうかで値を決めても、1503に説明するように下の2つから外挿する距離を基準に、1/5,2/5,3/5,4/5のいずれに相当するかで値を決めてもよい。
図14,15で3行分のマークが読み取れないときは図16に示す操作に入る。これは基底直線を下に平行移動させる操作である。この場合、最初は境界をはさんで第1行相当の4進マークの底辺直線に遭遇する。そのときはこの両者の距離を基準にして、1/10、2/10,3/10,4/10に相当するかどうかで値を決める。それ以外は図14の処理と大きな差異はない。図15の処理の途中で、図16の処理に入ったときは図16のあともう一度図15にもどる。
こうして図13,14,15,16、を用いて見つけた4進マークが境界を含んで4x4を超えている場合は座標面の中心に近い4x4のマークを選び、他は棄却する。
{位置マトリクスとコマンドマトリクス}
図4に3x3の4進マトリクスの種類を示した。これらは主としてXマトリクスで区分している。まず図5に配列を示した位置マトリクスはそのXマトリクスの第1行第3列の要素((1,3)要素)を0にすることで指定する。図5においてXマトリクスの(1,3)要素を0にしたのはこのためである。したがって第3列が定義する2進数は0から3までの値しかとらない。位置マトリクスのYマトリクスの第3行第1列((3,1)要素)を0にしたものを通常位置マトリクスと呼び、1にしたものを送信つき位置マトリクスと呼ぶ。
通常位置マトリクスの場合、図11の電子ペンでそれを読み取っても1112の入力バッファに記憶して送信はしない。つぎに送信するときにバッファに記憶されているすべてを記憶順に一挙に送信することにする。それに対して送信つき位置マトリクスを電子ペンが検出すると直ちにそれを送信する。もちろんその時点でバッファにある情報を先行させて、その後にこの送信つき位置マトリクスを送る。したがって手書きする筆跡を実時間で表示することが可能になる。
図4のID付き送信コマンドマトリクスは、そのXマトリクスの第3列の上の2要素をそれぞれ1にしたものである。このときはXマトリクスの残りの7ビットを用いて128通りの上位IDとし、Yマトリクスの9ビットを512通りの個別IDとして使用する。たとえば会社などでは上位IDを部や課に振り向け、個別IDは部内や課内の文書IDとして利用する。ノートやメモ帳では上位IDをそのノートやメモ帳のIDとし、個別IDをページに割り当てる。
通常の使い方はつぎのとおりである。通常位置マトリクスが印刷された用紙に電子ペンで手書きし、一通りの手書きが終了すると、用紙上に印刷された「送信ボタン」上にペンで触る。その背景領域には多くのID付き送信コマンドマトリクスが印刷されており、電子ペンがそれを拾い上げる。電子ペン内でID付き送信コマンドマトリクスであることを認識して、まずそのIDを送信する。続いて1112の入力バッファに記憶されているデータを記憶順に送信する。こうすると送信先で先に同じIDの用紙から送られたデータと関連をとって処理することができる。たとえば電子カルテではどの患者さんのカルテかをこのIDで照合し、その電子データに付け加えることで、用紙(カルテ)と電子データを一致させることができることになる。このようなことはID入力欄をつぎに述べるコマンドマトリクスを使って設けることもできるが、そのときは利用者がID入力を意識して行う必要がある。ID付き送信コマンドマトリクスの場合、どうせ必要な「送信」という行為と「ID入力」という行為を一緒にしているので忘れる心配がない。より優れたヒューマンインタフェースであるといえよう。IDが足りないときはマトリクスを4x4にすること以外に、電子ペンにIDを付加し、電子ペンを特定することで電子ペンIDを上位IDとし、ID付き送信コマンドマトリクスのID16ビット分をすべて個別IDとして利用することも考えられる。すると個別ID容量が5万以上に増加する。
送信付きコマンドマトリクスと非送信コマンドマトリクスは図4に示すような識別ビットを割り当てる。いずれもXマトリクスに6ビット、Yマトリクスに9ビットのデータが表現できるのでこれらをコマンド定義やIDに使用することができる。たとえばYマトリクスの9ビットで512通りのコマンドを定義し、Xマトリクスの6ビットで64通りのコマンドIDにする。もちろんXとYの役割を入れ替えることもできる。ID送信付きコマンドマトリクスはそれを電子ペンが拾いあげると直ちに送信し、非送信コマンドマトリクスは通常位置コマンドマトリクスと同様、入力バッファに記憶しておき、つぎの送信機会に一緒に送信する。非送信コマンドマトリクスはいくつかのID用数字の組み合わせでIDを定義したり、いくつかのコマンドボタンの組み合わせに意味をもたせるようなときに便利に利用できる。非送信コマンドマトリクスをいくつか入力し、最後に送信付きコマンドマトリクスを入力することで1つのコマンドとするようなときのため用意するのである。
コマンドマトリクスの配置は、ある領域に同じコマンドマトリクスを並べ、その領域にコマンドを示す挿絵、文字、アイコンなどを印刷しておく。すると図10(a)の破線の中には同じコマンドマトリクスを形成する4進マークが入ってくるので、順序入れ替えだけで、コマンドマトリクスが復元できる。
{コマンドマトリクスの埋め込み}
1つの用紙に位置マトリクスとコマンドマトリクスを混在させるとき、電子ペンがその境界にタッチしたときマトリクスの解読ができなくなる恐れがある。これを防ぐため混在する境界に無効であることが明らかなマトリクスを境界指定マトリクスとして配置する。
境界指定マトリクスは図7に示す黒底辺境界マークのみからなる3x3のマトリクスである。こうすることで基底辺は通常のマトリクスと同様形成される。さらにそれ以外の行の底部も黒くなるので図12で述べた3x3の4進マークの読み取り方法がそのまま使える。しかも垂直方向の符号格子は黒くないので明らかに4進マークでない無効マークであることがわかる。このような境界指定マトリクスでコマンドマトリクスの長方形領域を囲めば、境界では無効マークが検出され、境界であることが明らかになる。
このような境界指定マトリクスの構成要素である黒底辺境界マークを、図1に示した4進マークの類推でその値を0と書くことにする。図10(a)において、左側の2つのマトリクスが境界指定マトリクスであるとすれば破線の中の左端の列は上から 00(スペース)0 となる。電子ペンの読み取りで値0が検出されるので、これは無効であると判定する。
図7に述べたマトリクス間の境界にもこの値0の黒底辺境界マークが登場するが、これはマトリクスを形成せず、上の行の黒底辺がなく、下にもマトリクスがないことからこれは単なる黒底辺境界マークであることが判別できる。
こうして1つの用紙に位置マトリクスとコマンドマトリクスを混在させることができることになる。するとたとえばその用紙の上で文字を原稿用紙にあるような手書き用ます目とその直後に送信付きの「文字認識」コマンドのアイコンを印刷しておくようなことができる。ます目に文字を手書きし、その直後の「文字認識」アイコンをチェックすると手書き文字列が送信され、送信先で認識される。他の例では、種々の申し込みフォームなどで、名前や住所は手書きし、性別、所帯主などの欄はチェックで選択させるようなことが、電子的に可能になる。このようなときはチェックマークのコマンドマトリクスなどすべて非送信にしておけば、最後にID付き送信コマンドで一挙に送信することによりIDがついたファイルが一挙に入力されることになる。
本発明の他の実施例
本発明の実施例として位置マトリクス(位置指定マーク行列)とID付き送信コマンドマトリクス(ID付き送信コマンドマーク行列)が混在する場合、さらにはそれ以外のコマンドマトリクス(コマンドマーク行列)が混在する場合を説明したが、コマンドマーク行列だけで構成したマーク用紙も本発明に含まれる。たとえば現在マークシート方式を呼ばれている学校などの試験問題において、問題用紙に問題毎にマークシートの回答欄と同様のマーク欄を設け、そこにそれぞれに対応するID付き非送信コマンドマーク行列を印刷ないしプリントしておく。このIDは問題に対応させておく。このマーク欄にチェックマークを電子ペンで書かせることで解答する。問題用紙の上部には学生番号を入力させる番号入力欄を設ける。これは0から9までの数字を並べた行を学生番号の桁数だけ設け、各数字欄の下には数字コマンドとYマトリクスで何桁目かを表すIDからなる非送信コマンドマーク行列を印刷ないしプリントしておく。問題用紙の右下隅にはID付き送信マトリクスを領域いっぱいに印刷ないしプリントしておく。このIDは問題を識別するIDである。もちろんその上には通常のインクで送信アイコン(たとえば「解答終了」と書いておく)を印刷ないしプリントしておく。学生は学生番号を入力し、ついで解答を書き、最後に「解答終了」の上にチェックマークを書く。解答は学生番号と問題識別IDとともにパソコンに送信されるようにしておくと、直ちに試験の採点ができる。このようなコマンドマトリクスのみの使い方では用紙にぎっしりマークを印刷ないしプリントする必要はなく、学生番号欄、解答欄、「解答終了」欄の下(背景)だけにコマンドマトリクスを印刷ないしプリントしておけばよい。番号入力のように0から9まで並んでいるときはそれぞれの境界を境界指定マトリクスで区切っておけばコマンドマトリクスの識別が容易になる。たとえば電子ペンで境界指定マトリクスが検出されたときはペンを振動させて無効入力であることを知らせることも有用である。
本発明の実施例は3x3のマトリクスで説明したが、4x4マトリクスやそれより大きいマトリクスも本発明に含まれる。大きいマトリクスは大きい用紙の位置マトリクスとして利用できるほか、コマンドやIDの種類も多くとれる。
位置マトリクスの位置指定の方法もXマトリクスとYマトリクスの役割を入れ替えたもの、行の役割と列の役割を入れ替えたもの、2進数表現で最上位と最下位を入れ変えたもの、さらにはそれらの組み合わせ方をかえたものも本発明に含まれる。
本発明のマーク印刷ないしプリントに利用するインキは赤外光を吸収するカーボンを含んだもので、そに上に印刷ないしプリント、手書きするインキは逆に赤外光をほとんど吸収しないものを使う。こうして赤外光の反射の程度でマークを他の印刷から識別する。この技術はすでにANOTO社などから商用化されており、すでに公知である。本発明はそのような公知のインキを用いることで実施できる。
ソフトウェアによる実施
本発明の実施例ではマーク用紙を印刷する例を中心に説明した。しかし赤外光を吸収するインキで本発明のマークが要求する精度で、本発明になる位置指定マーク行列やコマンドマーク行列をプリントできる能力を有するプリンタがヒューレットパッカード社から商品化されている。それを使えばまず位置指定マーク行列やコマンドマ−ク行列をプリントし、その上に重ねて通常の情報をプリントすることができる。このようなプリンタを使うときは本発明はソフトウェアで実施される。すなわち問題用紙を例にとると学生番号欄、問題解答欄、「解答終了」欄などの下に該当するコマンドマ−ク行列を赤外光を吸収するインキでプリントし、その上に重ねて通常のプリントをすることで本発明のマーク用紙が出来上がる。このように本発明のマークを印刷するソフトウェアも本発明の重要部分をなす。
本発明の応用
マーク付き問題用紙の例を上に説明したが、本発明はカタログ、書籍、マニュアルなどにも有効に応用できる。マニュアルを例にとる。マニュアルにはCD−ROMが添付されており、まずそれをパソコンにセットするとイニシャルのソフトウェアがインストールされる。電子ペンでカタログのID欄をチェックするとマニュアルが識別される。マニュアルを読んで写真や挿絵をチェックするとその下に印刷されたID付き送信付きコマンドが読み取られ、パソコンに送られる。パソコンはそれを識別するとその写真や挿絵に関係した動画像を音声付でパソコンにディスプレイする。こうしてマニュアルの説明を動画像でわかりやすく説明される。ついでにマニュアルのユーザ登録欄をチェックするとパソコンは自動的にユーザ登録のプロセスに入る。名前や住所などはマニュアルの所定欄に手書きするとパソコンでそれを認識し、認識結果を照合するとユーザ登録がされる。
同様のやり方でカタログから注文を出すこともできる。さらにプリンタを利用するとディジタルカメラで撮った写真の電子アルバムなども作ることができる。このときは縮小した写真とその下の写真のIDマークをプリントしたものを物理的なアルバムとして閉じて保存しておく。写真が見たいときはそのアルバムのIDを電子ペンでチェックし、関連ソフトをインストールし、見たい写真を電子ペンで触るとその写真が電子アルバムから呼び出され、大きく表示される。
このように日常的に扱いなれている紙の上の印刷物やプリントされた紙と電子媒体をペンで触れるだけで関連付けることができ、電子媒体が使いやすくなる。
本発明の効果
本発明はANOTO社の製品に比べてつぎの点が優れている。
ア)本発明は手書き入力をするマーク用紙において、手書きペンの用紙内の位置がその場で識別できるのでインターネットなどネットワークを必要としない。すなわちスタンドアロンで使用できる。
イ)本発明は手書き情報を電子ペンから送信するための送信マークにIDが付加されるので、ネットワークを利用することなく用紙のIDが識別できる。
ウ)マーク用紙内の位置を表す位置指定マーク行列とは独立にコマンドマーク行列が用意されているのでそのコマンドのもつ意味がその場で識別することができる。
エ)4進マークの向きが明らかであり、マークが定義する4進の値もマーク全体の大きさから相対的に判明するので、電子ペン内で用紙とペンの傾き補正や回転補正などの複雑な処理が不要であり、しかも用紙の向き(たて、横、上、下などの向き)も直ちに判定できる。すなわち低コスト化に向いている。
オ)位置指定マーク行列やコマンドマ−ク行列の大きさが小さいので読み取りにようする処理は小さい。これも低コスト化に寄与する。
このように本発明はANOTO社に比べて低コストで、しかも小規模なシステムに向いている。特に一般家庭などにおける手軽な使い方に向いており、パソコンを使わず、本発明のマーク用紙専用のアプライアンスでシステムが構成できる。ANOTO社のシステムが世界を結んで利用されるのに対して、本発明は一般家庭などで簡易に電子媒体と紙媒体を結びつける手段として効果がある。キーボードが苦手な利用者も本発明のマーク用紙を介してアプライアンスやパソコンに入力でき、紙ではできないマルチメディアが紙を通して利用できるなど簡易な、使いやすいヒューマンインタフェースを実現できることが本発明の大きな効果である。
本発明の1実施例である4進マークと4進数を対応させる図 4進数をXとYへ分解させる1方法 4進数のマトリクスを図2を用いてXマトリクスとYマトリクスに対応させる1方法 位置マトリクスとコマンドマトリクスを定義する1方法 3x3の位置マトリクスの要素の配列の1方法 4進マークを配列した3x3の位置マトリクスの例 4進マークマトリクス間の境界マーク 位置マトリクスやコマンドマトリクスの紙の上での配列 4進マークマトリクスと境界マークの関係 XアドレスとYアドレスの読み取り法の説明 電子ペンの構成例 電子ペンで読み取るパターン例 図9に示す4進マーク配列を読み取るさいの基底直線の検出法 従来技術の4進パターン 図17の4進パターンのX,Yとの対応 従来技術の説明のための7ビットシーケンスと4ビットの値 従来技術のX,Y配列と4進配列

Claims (6)

  1. 底辺または上辺全体に黒い部分を配し、特定の値を表わすため左辺または右辺に異なる高さの黒い部分を底辺または上辺の黒い部分から連続して配した長方形のマ−ク群と、該マーク群に属する複数のマークを組み合わせて作るマーク行列と、マーク行列のそれぞれの境界を明示する境界マークとで構成することを特徴とするマーク用紙
  2. 第1項記載のマークを用紙上にプリントするソフトウェア
  3. 第1項記載の構成要素の1つであるマーク行列を、1または複数の特定要素を予め定める値に固定することで、用紙上の位置を指定する位置指定マーク行列と用紙上の位置とは無関係に特定の意味を与えるコマンドマーク行列の2種類に分けて構成し、手書き筆跡にしたがって取得した位置指定マーク行列の連なりを送信するコマンドに、用紙を特定するデータを付随させたID付き送信コマンドマーク行列を利用して使用中の用紙が自動的に特定されるようにすることを特徴とするマーク用紙
  4. 第3項記載のマークをプリントするソフトウェア
  5. 第3項記載の構成要素である位置指定マーク行列とコマンドマーク行列を用紙上に混在させることを可能にするためコマンドマーク行列が配置された領域を取り囲む境界を明確に判別でき、しかもマーク行列の読み取りを混乱させない境界用マーク行列を構成要素に付け加えることを特徴とするマーク用紙
  6. 第5項記載のマークをプリントするソフトウェア
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