JP2005329787A - 動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法,駆動装置 - Google Patents

動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法,駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 モータで駆動軸の反力を受け持ちながらエンジンを始動できない状態に至るのを防止する。
【解決手段】 モータMG2からの動力をリングギヤ軸32aに伝達する変速機60の作動に用いる油圧を発生させるポンプとしてエンジン22により駆動される機械式ポンプと電動ポンプ92とを備える自動車において、電動ポンプ92の温度が許容限界温度に達したときにエンジン22の始動を禁止するものとし、許容限界温度よりも低いときにはその温度上昇に従って、エンジン22を停止してモータMG2で走行するモータ走行を禁止したり、エンジン22の運転中の変速機60の変速時における電動ポンプ92のアシスト駆動を禁止する。電動ポンプ92の駆動頻度を少なくするから、その温度が許容限界温度に達するのを抑制でき、駆動軸の反力を受け持つためのモータMG2からの動力が変速機で60で伝達できずにエンジン22を始動できなくなるのを防止できる。
【選択図】 図1


Description

本発明は、動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法,駆動装置に関し、詳しくは、駆動軸に動力を出力する動力出力装置およびこれを搭載し前記駆動軸が車軸に接続されて走行する自動車並びに動力出力装置の制御方法,内燃機関からの動力を入力すると共に駆動軸に動力を出力する駆動装置に関する。
従来、この種の動力出力装置としては、遊星歯車機構の3つの回転要素にエンジンのクランクシャフト,第1のモータジェネレータの回転軸,駆動軸がそれぞれ接続されると共に駆動軸に変速機を介して第2のモータジェネレータが接続されたハイブリッド自動車に搭載されたものが提案されている(特許文献1参照)。この装置では、車速に応じて変速機の変速段をハイの状態とローの状態とを選択的に切り替えることにより、第2のモータジェネレータからの動力を車速に応じたものに変換して駆動軸に出力している。
特開2002−225578号公報
こうした動力出力装置では、エンジンを始動させる際、第2モータジェネレータにより駆動軸側の反力を受け持ちながら第1モータジェネレータでエンジンをクランキングすれば、クランキングによる駆動軸のトルクショックを抑えることができる。
ところで、変速機を作動させる際のアクチュエータとして油圧式のものを用いた場合の油圧を発生させるためのポンプとしてエンジンにより駆動される機械式ポンプとバッテリ等から電力の供給を受けて駆動する電動ポンプとを備えるタイプの動力出力装置では、エンジンを停止させている最中であっても電動ポンプを駆動することにより変速機を作動させて第2モータジェネレータからの動力を駆動軸に伝達することができるから、第2モータジェネレータにより駆動軸の反力を受け持つことができ、上述した手法を用いてエンジンを始動することができる。しかしながら、高温状態など電動ポンプの状態によってはその駆動が制限されて十分な油圧を発生させることができない場合が生じる。この場合、変速機で動力の伝達が行えないために第2モータジェネレータで駆動軸側の反力を受け持つことができないから、エンジンを始動する際にトルクショックが生じてしまう。従って、こうした場合を生じないように電動ポンプの状態を適切に管理することが望ましい。
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法,駆動装置は、電動機で受け持つ反力を用いて内燃機関を始動できなくなるのを防止することを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法,駆動装置は、変速機などの変速伝達装置に油圧を発生させる電動の油圧発生装置の状態をより適切な状態に維持することを目的の一つとする。
本発明の動力出力装置および動力出力装置並びにこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法は,駆動装置、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の第1の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
発電可能な電動機と、
油圧により作動し、変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
前記内燃機関により駆動され、前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、
電力の供給を受けて駆動し、前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、
前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段と、
前記電気式油圧発生手段の状態を検出する状態検出手段と、
前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第2の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記変速伝達手段による変速比の変更を制限する第2の制限制御を実行する制限制御手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明の第1の動力出力装置では、変更可能な変速比をもって電動機の回転軸と駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段を作動させるための油圧を発生させる電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、電気式油圧発生手段の駆動を伴って電動機で受け持つ駆動軸側の反力を用いて内燃機関を始動する始動手段による内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の状態としての第2の状態に達したとき、電気式油圧発生手段の駆動を伴う変速伝達手段による変速比の変更を制限する第2の制限制御を実行する。したがって、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の第2の状態に達したときに変速比の制限によって電気式油圧発生手段の負担を小さくするから、その状態の悪化を抑制することができる。この結果、電気式油圧発生手段の状態を適切な状態に維持でき、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達して電動機で受け持つ反力を用いて内燃機関を始動できなくなるのを防止できる。ここで、「始動の制限」には、始動の禁止が含まれ、「変速比の変更の制限」には、変速比の変更の禁止が含まれる(以下、同じ)。
こうした本発明の第1の動力出力装置において、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第2の状態に達していない通常時に前記内燃機関が運転されている最中に前記変速伝達手段による変速比の変更が指示されたとき、前記機械式油圧発生手段により発生した油圧と前記電気式油圧発生手段により発生した油圧とを用いて該指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する通常時変速制御手段を備え、前記制限制御手段は、前記第2の制限制御として、前記内燃機関が運転されている最中に前記変速伝達手段の変速比の変更が指示されたときに前記電気式油圧発生手段を停止させた状態で前記機械式油圧発生手段により発生した油圧により前記指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、電気式油圧発生手段を停止させてその状態の悪化を抑制しながら内燃機関により駆動される機械式油圧発生手段で発生した油圧を用いて変速比を変更することができる。
また、本発明の第1の動力出力装置において、前記制限制御手段は、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第2の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき、前記内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関により駆動される機械式油圧発生手段からの油圧を用いることができるから、電気式油圧発生手段の負担を小さくすることができ、その状態の悪化を抑制することができる。ここで、「運転停止の制限」には、運転停止の禁止が含まれる(以下、同じ)。
本発明の第2の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置であって、
内燃機関と、
発電可能な電動機と、
油圧により作動し、変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
前記内燃機関により駆動され、前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、
電力の供給を受けて駆動し、前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、
前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段と、
前記電気式油圧発生手段の状態を検出する状態検出手段と、
前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき、前記内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する制限制御手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明の第2の動力出力装置では、変更可能な変速比をもって電動機の回転軸と駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段を作動させるための油圧を発生させる電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、電気式油圧発生手段の駆動に伴って電動機で受け持つ駆動軸側の反力を用いて内燃機関を始動する始動手段による内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき、内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する。したがって、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の第3の状態に達したときに内燃機関の運転停止の制限によって機械式油圧発生手段を駆動させて電気式油圧発生手段の負担を小さくするから、その状態の悪化を抑制することができる。この結果、電気式油圧発生手段の状態を適切な状態に維持でき、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達して電動機で受け持つ反力を用いて内燃機関を始動できなくなるのを防止できる。
本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記状態検出手段は、前記電気式油圧発生手段の温度を検出する温度検出手段であるものとすることもできる。ここで、前述した本発明の第1または第2の動力出力装置の各態様において、第2の状態としての第2の温度は、第1の状態としての第1の温度よりも低い温度であるものとすることもでき、第3の状態としての第3の温度は、第1の状態としての第1の温度よりも低い温度であるものとすることもできる。また、第3の温度は、第2の温度よりも低い温度であるものとすることもできる。
本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の回転軸の3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力が決定されると残余の1軸に入出力される動力が決定される3軸式の動力入出力手段と、前記第3の回転軸に動力を入出力可能な回転軸用電動機と、を備え、前記始動手段は、前記回転軸用電動機を有する手段であるものとすることもできるし、前記内燃機関の出力軸に接続された第1の回転子と前記駆動軸に接続された第2の回転子とを有し電磁的な作用により前記第1の回転子と前記第2の回転子とを相対的に回転させて駆動する対回転子電動機を備え、前記始動手段は、前記対回転子電動機を有する手段であるものとすることもできる。
本発明の自動車は、
本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、発電可能な電動機と、油圧により作動し変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、前記内燃機関により駆動され前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、電力の供給を受けて駆動し前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段と、前記電気式油圧発生手段の状態を検出する状態検出手段と、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第2の状態に達したとき前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記変速伝達手段による変速比の変更を制限する第2の制限制御を実行する制限制御手段とを備える動力出力装置、または、駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置であって、内燃機関と、発電可能な電動機と、油圧により作動し変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、前記内燃機関により駆動され前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、電力の供給を受けて駆動し前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段と、前記電気式油圧発生手段の状態を検出する状態検出手段と、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき前記内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する制限制御手段とを備える動力出力装置とを搭載し、駆動軸が車軸に接続されて走行する
ことを要旨とする。
この本発明の自動車では、上述した各態様のいずれかの本発明の第1または第2の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果と同様の効果、例えば、電気式油圧発生手段の状態をより適切な状態に維持できる効果や電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達して電動機で受け持つ反力を用いて内燃機関を始動できなくなるのを防止できる効果などを奏することができる。
本発明の第1の駆動装置は、
内燃機関からの動力を入力すると共に駆動軸に動力を出力する駆動装置であって、
発電可能な電動機と、
油圧により作動し、変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
前記内燃機関により駆動され、前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、
電力の供給を受けて駆動し、前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、
前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段と、
前記電気式油圧発生手段の状態を検出する状態検出手段と、
前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第2の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記変速伝達手段による変速比の変更を制限する第2の制限制御を実行する制限制御手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明の第1の駆動装置では、変更可能な変速比をもって電動機の回転軸と駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段を作動させるための油圧を発生させる電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、電気式油圧発生手段の駆動を伴って電動機で受け持つ駆動軸側の反力を用いて内燃機関を始動する始動手段による内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の状態としての第2の状態に達したとき、電気式油圧発生手段の駆動を伴う変速伝達手段による変速比の変更を制限する第2の制限制御を実行する。したがって、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の第2の状態に達したときに変速比の制限によって電気式油圧発生手段の負担を小さくするから、その状態の悪化を抑制することができる。この結果、電気式油圧発生手段の状態を適切な状態に維持でき、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達して電動機で受け持つ反力を用いて内燃機関を始動できなくなるのを防止できる。
本発明の第2の駆動装置は、
内燃機関からの動力を入力すると共に駆動軸に動力を出力する駆動装置であって、
発電可能な電動機と、
油圧により作動し、変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
前記内燃機関により駆動され、前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、
電力の供給を受けて駆動し、前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、
前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段と、
前記電気式油圧発生手段の状態を検出する状態検出手段と、
前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき、前記内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する制限制御手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明の第2の駆動装置では、変更可能な変速比をもって電動機の回転軸と駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段を作動させるための油圧を発生させる電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、電気式油圧発生手段の駆動に伴って電動機で受け持つ駆動軸側の反力を用いて内燃機関を始動する始動手段による内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき、内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する。したがって、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の第3の状態に達したときに内燃機関の運転停止の制限によって機械式油圧発生手段を駆動させて電気式油圧発生手段の負担を小さくするから、その状態の悪化を抑制することができる。この結果、電気式油圧発生手段の状態を適切な状態に維持でき、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達して電動機で受け持つ反力を用いて内燃機関を始動できなくなるのを防止できる。
本発明の第1の動力出力装置の制御方法は、
内燃機関と、発電可能な電動機と、油圧により作動し変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、前記内燃機関により駆動され前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、電力の供給を受けて駆動し前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段とを備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記電気式油圧発生手段の状態を検出し、
(b)前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第2の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記変速伝達手段による変速比の変更を制限する第2の制限制御を実行する
ことを要旨とする。
この本発明の第1の動力出力装置の制御方法によれば、変更可能な変速比をもって電動機の回転軸と駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段を作動させるための油圧を発生させる電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、電気式油圧発生手段の駆動を伴って電動機で受け持つ駆動軸側の反力を用いて内燃機関を始動する始動手段による内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の状態としての第2の状態に達したとき、電気式油圧発生手段の駆動を伴う変速伝達手段による変速比の変更を制限する第2の制限制御を実行する。したがって、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の第2の状態に達したときに変速比の制限によって電気式油圧発生手段の負担を小さくするから、その状態の悪化を抑制することができる。この結果、電気式油圧発生手段の状態を適切な状態に維持でき、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達して電動機で受け持つ反力を用いて内燃機関を始動できなくなるのを防止できる。
本発明の第2の動力出力装置の制御方法は、
内燃機関と、発電可能な電動機と、油圧により作動し変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、前記内燃機関により駆動され前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、電力の供給を受けて駆動し前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段とを備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記電気式油圧発生手段の状態を検出し、
(b)前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき、前記内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する
ことを要旨とする。
この本発明の第2の動力出力装置の制御方法によれば、変更可能な変速比をもって電動機の回転軸と駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段を作動させるための油圧を発生させる電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、電気式油圧発生手段の駆動に伴って電動機で受け持つ駆動軸側の反力を用いて内燃機関を始動する始動手段による内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき、内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する。したがって、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達する前の第3の状態に達したときに内燃機関の運転停止の制限によって機械式油圧発生手段を駆動させて電気式油圧発生手段の負担を小さくするから、その状態の悪化を抑制することができる。この結果、電気式油圧発生手段の状態を適切な状態に維持でき、電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達して電動機で受け持つ反力を用いて内燃機関を始動できなくなるのを防止できる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、変速機60を介して動力分配統合機構30に接続されたモータMG2と、車両の駆動系全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して変速機60がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構37,デファレンシャルギヤ38を介して駆動輪39a,39bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、共に発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の一方で発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2から生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1とモータMG2とにより電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、共にモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44から入力した信号に基づいて図示しない回転数算出ルーチンによりモータMG1,MG2の回転子の回転数Nm1,Nm2やリングギヤ軸32aの回転数Nrを計算している。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
変速機60は、モータMG2の回転軸48とリングギヤ軸32aとの接続および接続の解除を行なうと共に両軸の接続をモータMG2の回転軸48の回転数を2段に減速してリングギヤ軸32aに伝達できるよう構成されている。変速機60の構成の一例を図2に示す。この図2に示す変速機60は、ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bと二つのブレーキB1,B2とにより構成されている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aは、外歯歯車のサンギヤ61と、このサンギヤ61と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ62と、サンギヤ61に噛合する複数の第1ピニオンギヤ63aと、この第1ピニオンギヤ63aに噛合すると共にリングギヤ62に噛合する複数の第2ピニオンギヤ63bと、複数の第1ピニオンギヤ63aおよび複数の第2ピニオンギヤ63bを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア64とを備えており、サンギヤ61はブレーキB1のオンオフによりその回転を自由にまたは停止できるようになっている。シングルピニオンの遊星歯車機構60bは、外歯歯車のサンギヤ65と、このサンギヤ65と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ66と、サンギヤ65に噛合すると共にリングギヤ66に噛合する複数のピニオンギヤ67と、複数のピニオンギヤ67を自転かつ公転自在に保持するキャリア68とを備えており、サンギヤ65はモータMG2の回転軸48に、キャリア68はリングギヤ軸32aにそれぞれ連結されていると共にリングギヤ66はブレーキB2のオンオフによりその回転が自由にまたは停止できるようになっている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bとは、リングギヤ62とリングギヤ66、キャリア64とキャリア68とによりそれぞれ連結されている。変速機60は、ブレーキB1,B2を共にオフとすることによりモータMG2の回転軸48をリングギヤ軸32aから切り離すことができ、ブレーキB1をオフとすると共にブレーキB2をオンとしてモータMG2の回転軸48の回転を比較的大きな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達し(以下、この状態をLoギヤの状態という)、ブレーキB1をオンとすると共にブレーキB2をオフとしてモータMG2の回転軸48の回転を比較的小さな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達する(以下、この状態をHiギヤの状態という)。ブレーキB1,B2を共にオンとする状態は回転軸48やリングギヤ軸32aの回転を禁止するものとなる。
ブレーキB1,B2は、図3に例示する油圧回路90からの油圧により作動する。油圧回路90は、図示するように、エンジン22の回転力により駆動される機械式ポンプ91と、図示しない電気モータを内蔵する電動ポンプ92と、3ウェイソレノイド93と、プレッシャーコントロールバルブ94と、リニアソレノイド95a,95bと、コントロールバルブ96a,96bと、アキュムレータ97a,97bとから構成されており、3ウェイソレノイド93を駆動制御することによりプレッシャーコントロールバルブ94の開閉を制御して機械式ポンプ91や電動ポンプ92からのライン油圧を調節できるようになっており、リニアソレノイド95a,95bを各々駆動制御することによりコントロールバルブ96a,96bの開閉を制御し油圧ラインから各ブレーキB1,B2に作用させる油圧を調節してそのオンオフを切り替えることができるようになっている。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度などが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量に対応したアクセル開度Accを検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,電動ポンプ92(電気モータ)の温度を検出する温度センサ89からのポンプ温度Tpなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、油圧を発生させる電動ポンプ92を駆動する電気モータへの駆動信号や3ウェイソレノイド93への駆動信号,リニアソレノイド95a,95bへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御して走行するトルク変換走行モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御して走行する充放電走行モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御して走行するモータ走行モードなどがある。ここで、トルク変換走行モードと充放電走行モードは、バッテリ50が充放電されるか否かが異なるだけで実質的な差異はないから、以下、両者を併せてエンジンモータ走行モードと呼ぶ。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、機械式ポンプ91と共に変速機60のブレーキB1,B2に作用させる油圧を発生させる電動ポンプ92の温度を管理する処理とこの処理結果に基づいて行なわれるハイブリッド自動車20の動作とについて説明する。図4は、実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される電動ポンプ温度管理処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰り返し実行される。
電動ポンプ温度管理処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、温度センサ89からの電動ポンプ92のポンプ温度Tpを入力し(ステップS100)、入力したポンプ温度Tpと各所定温度T1,T2,T3とをそれぞれ比較する(ステップS110,S120,S130)。ここで、所定温度T1,T2,T3は、電動ポンプ92(電動ポンプ92に内蔵する電気モータ)の熱的な状態を判定するための閾値であり、所定温度T1は、電動ポンプ92の許容限界温度またはそれよりも若干低い温度として設定され、所定温度T2は、所定温度T1よりも低い温度として設定され、所定温度T3は、所定温度T2よりも低い温度として設定されている。従って、ポンプ温度Tpを各所定温度T1,T2,T3と比較することにより電動ポンプ92の熱的な状態が3段階のうちいずれの段階にあるかを把握することができる。
ポンプ温度Tpが所定温度T1,T2未満であるが所定温度T3以上であるときには、モータ走行モードへの切替を禁止し(ステップS140)、ポンプ温度Tpが所定温度T1未満であるが所定温度T2以上であるときには、さらに、電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動を禁止し(ステップS150)、ポンプ温度Tpが所定温度T1以上であるときには、さらに、エンジン22の始動を禁止して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。即ち、ポンプ温度Tpが上昇して所定温度T3以上となるとまずモータ走行モードへの切替の禁止を実行し、ポンプ温度Tpがさらに上昇して所定温度T2以上となるとモータ走行モードへの切替の禁止と電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動の禁止とを実行し、さらに所定温度T3以上となるとモータ走行モードへの切替の禁止と電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動の禁止とエンジン22の始動の禁止とを実行するのである。この理由については後述する。以下、こうした図4の電動ポンプ温度管理処理ルーチンの実行結果に基づいて行なわれる実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。
図5は、実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰り返し実行される。駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72では、まず、アクセルペダル83からのアクセル開度Accや車速センサ88から車速V,現在の走行モードなどのデータを入力し(ステップS200)、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*と要求パワーPr*とを設定する(ステップS210)。ここで、要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられるとマップから対応する要求トルクTr*を導出することにより設定するものとした。また、要求パワーPr*は、車速Vをリングギヤ軸32aの回転数Nrに換算する換算係数kを車速Vに乗じたものを設定した要求トルクTr*に乗じて設定するものとした。
要求パワーPr*を設定すると、この要求パワーPr*と残容量SOCなどに基づいて設定されるバッテリ50の充放電要求量Pb*とロス(Loss)との和により車両に要求される車両要求パワーP*を設定し(ステップS220)、この車両要求パワーP*と各閾値P1,P2とを比較する(ステップS230)。ここで、閾値P1,P2は、走行モードをモータ走行モードとするかエンジンモータ走行モードとするかを判定するための閾値であり、走行モードの頻繁な切替を防止するためにヒステリシスを持たせている。
車両要求パワーP*が閾値P2よりも大きいときには、エンジン22を効率よく運転できる或いはモータ走行モードでは要求トルクTr*に対応できないと判断して、ステップS200で入力した現在の走行モードがモータ走行モードであるときに(ステップS240)、走行モードをモータ走行モードからエンジンモータ走行モードに切り替え(ステップS250)、切替後の走行モードにより要求トルクTr*がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22やモータMG1,MG2を駆動制御して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。モータ走行モードからエンジンモータ走行モードへの切替は、具体的には、モータMG2でリングギヤ軸32aの反力を受け持ちながらモータMG1でエンジン22をクランキングすると共にエンジン22の点火や燃料噴射を開始することにより行なう。また、エンジンモータ走行モードによるエンジン22やモータMG1,MG2の駆動制御としては、車両要求パワーP*をエンジン22から出力すべき要求パワーに設定してこの要求パワーを出力するためのエンジン22の運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)を設定し、設定した運転ポイントでエンジン22が運転されるようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にエンジン22から動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aに直接伝達されるトルクと共に要求トルクTr*がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定して運転ポイントをエンジンECU24に、トルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40にそれぞれ送信することにより行なわれる。なお、運転ポイントを受信したエンジンECU24は、この運転ポイントでエンジン22が運転されるよう燃料噴射制御や点火制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*,Tm2*に見合うトルクがモータMG1,MG2から出力されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
一方、車両要求パワーP*が閾値P1よりも小さいときには、エンジン22を効率よく運転できないと判断して、ステップS200で入力した現在の走行モードがエンジンモータ走行モードであるときに(ステップS270)、図4のルーチンのステップS140でポンプ温度Tpが所定温度T3以上でありモータ走行が禁止されているか否かを判定する(ステップS280)。モータ走行が禁止されているときには、現在の走行モード、即ち、エンジンモータ走行モードを維持して、このエンジンモータ走行モードで要求トルクTr*がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22やモータMG1,MG2を駆動制御して(ステップS260)、本ルーチンを終了し、モータ走行が禁止されていないときには、エンジンモータ走行モードからモータ走行モードへ切り替え(ステップS290)、切替後のモータ走行モードで要求トルクTr*がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2を駆動制御して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。エンジンモータ走行モードからモータ走行モードへの切替は、エンジン22の燃料噴射や点火を停止してモータMG1でエンジン22の回転を停止させると共に要求トルクTr*がモータMG2だけから出力されるようモータMG2を駆動制御することにより行なう。電動ポンプ92のポンプ温度Tpが所定温度T3以上となったときにモータ走行を禁止するのは、エンジン22の停止によって機械式ポンプ91が停止するのを防止、即ち、機械式ポンプ91の停止によって電動ポンプ92の負担が大きくなるのを防止するためである。これにより、電動ポンプ92のこれ以上の温度上昇を抑制しているのである。なお、ステップS230で車両要求パワーP*が閾値P1以上で閾値P2以下であると判定されたり、ステップS240で現在の走行モードがモータ走行モードでないと判定されたり、ステップS270で現在の走行モードがエンジンモータ走行モードでないと判定されたときには、現在の走行モードを維持して、要求トルクTr*がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22やモータMG1,MG2を駆動制御して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。
次に、図4の電動ポンプ温度管理処理ルーチンの実行結果を用いて行なわれる変速機60の変速処理について説明する。図6は、実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される変速処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン22が運転されている最中に所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰り返し実行される。変速処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、変速要求がなされたか否かを判定する(ステップS300)。ここで、変速要求は、Loギアの状態からHiギヤの状態への切替またはHiギヤの状態からLoギヤの状態への切替の要求としてなされ、そのタイミングは前述した要求トルクTr*や車速Vに基づいて行なわれる。変速要求がなされていないと判定されると、何もせずに本ルーチンを終了する。
変速要求がなされていると判定されると、図4のルーチンのステップS150でポンプ温度Tpが所定温度T2以上であり電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動が禁止されているか否かを判定し(ステップS310)、アシスト駆動が禁止されていないと判定されると、電動ポンプ92をONとし(ステップS320)、このONの状態で変速を実行して(ステップS340)、本ルーチンを終了する。エンジン22が運転されている状態では、エンジン22により機械式ポンプ91が駆動されているから、機械式ポンプ91からの油圧に電動ポンプ92からの油圧がアシストされて変速が実行されることになる。なお、変速機60の変速は、変速要求がLoギヤの状態からHiギヤの状態への切替であるときにはブレーキB1がオフでブレーキB2がオンの状態からブレーキB1がオンでブレーキB2がオフの状態への切替として行なわれ、変速機60の変速要求がHiギヤの状態からLoギヤの状態への切替であるときにはブレーキB1がオンでブレーキB2がオフの状態からブレーキB1がオフでブレーキB2がオンの状態への切替として行なわれる。
一方、電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動が禁止されていると判定されると、電動ポンプ92をOFFすると共に(ステップS330)、このOFFの状態で変速を実行して(ステップS340)、本ルーチンを終了する。このように、ポンプ温度Tpが所定温度T2以上となったときに電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動を停止することによって電動ポンプ92の負担を小さくし、その温度上昇を抑制しているのである。ここで、ポンプ温度Tpが所定温度T2以上であり電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動が禁止されているときは、ポンプ温度Tpが所定温度T3以上でもありモータ走行も禁止されているから、エンジン22は運転されている状態であり、機械式ポンプ91が駆動されている。従って、この場合、機械式ポンプ91だけから発生した油圧を用いて変速が実行されることになる。但し、電動ポンプ92をアシスト駆動しないから、機械式ポンプ91と電動ポンプ92の両方を駆動する場合に比して変速に要する時間は長くなる。
次に、図4の電動ポンプ温度管理処理ルーチンの実行結果を用いて行なわれるエンジン22の始動処理について説明する。図7は、実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される始動処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰り返し実行される。始動処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、エンジン22の始動要求がなされているか否かを判定し(ステップS400)、始動要求がなされていないと判定されると、何もせずに本ルーチンを終了する。始動要求がなされていると判定されると、シフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを入力し(ステップS410)、入力したシフトポジションSPがPレンジであるか否かを判定する(ステップS420)。シフトポジションSPがPレンジであると判定されると、そのままモータMG1でエンジン22をクランキングし(ステップS430)、エンジン22の燃料噴射や点火を開始して(ステップS440)、エンジン22が完爆したときに(ステップS450)、本ルーチンを終了する。実施例のハイブリッド自動車20では、シフトレバー81がPレンジに操作されると、図示しないパーキングロック機構が作動して、リングギヤ軸32aがロックされるようになっている。従って、このパーキングロック機構によってリングギヤ軸32aの反力を受け持ちながらモータMG1でエンジン22がクランキングされて始動されることになる。
シフトポジションSPがPレンジでないと判定されると、次に、図4の電動ポンプ温度管理処理ルーチンのステップS140でポンプ温度Tpが所定温度T1以上でありエンジン22の始動が禁止されているか否かを判定し(ステップS460),エンジン22の始動が禁止されていないときには、モータMG2でリングギヤ軸32a側の反力を受け持ちながらモータMG1でエンジン22をクランキングするようモータMG1,MG2を駆動制御すると共に(ステップS470)、エンジン22の燃料噴射や点火を開始して(ステップS440)、エンジン22が完爆したときに(ステップS450)、本ルーチンを終了する。一方、エンジン22の始動が禁止されているときには、始動要求に拘わらずエンジン22を始動することなくそのまま本ルーチンを終了する。ポンプ温度Tpが所定温度T1以上のときにエンジン22の始動を禁止するのは、エンジン22を始動する際には通常モータMG1でエンジン22をクランキングするときにモータMG2でリングギヤ軸32a側の反力を受け持つ必要があるが、ポンプ温度Tpが所定温度T1以上で許容限界温度あるいはその近傍に達しているときには、電動ポンプ92を駆動できない状態にありしかもエンジン22が停止した状態で機械式ポンプ91も駆動できないから、モータMG2で反力を受け持つためのトルクを変速機60で伝達できないことに基づく。
図8に、ポンプ温度Tpとモータ走行禁止,電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動禁止,エンジン始動禁止のオンオフの時間変化の様子を示す説明図である。図示するように、電動ポンプ92の温度としてのポンプ温度Tpが時刻t1に所定温度T3以上となると、まず、モータ走行が禁止され、ポンプ温度Tpがさらに上昇して時刻t2に所定温度T2以上となると、電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動が禁止される。こうした禁止は、電動ポンプ92の負担を小さくするものであるから、その温度上昇が抑制される。このように段階的に電動ポンプ92の作動すべき要件を少なくすることにより、ポンプ温度Tpが所定温度T1(許容限界温度或いはその近傍の温度)となるまで上昇するのを抑制でき、最終的にモータMG2で反力を受け持つことができずにエンジン22を始動できない状態となるのを防止することができる(図8のポンプ温度Tp参照)。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、変速機60の作動に用いる電動ポンプ92の温度(ポンプ温度Tp)が所定温度T1、即ち許容限界温度またはその近傍に達したときにエンジン22の始動を禁止するものとし、ポンプ温度Tpが所定温度T1よりも低い温度として設定された所定温度T2に達したときに電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動を禁止し、ポンプ温度Tpが所定温度T2よりも低い温度として設定された所定温度T3に達したときにモータ走行モードへの切替を禁止、即ちエンジン22(機械式ポンプ91)の停止を禁止する。従って、ポンプ温度Tpが上昇するにしたがって電動ポンプ92を駆動頻度を少なくしてその温度上昇を抑制するから、ポンプ温度Tpが許容限界温度またはその近傍としての所定温度T1以上となってエンジン22の停止時に変速機60で動力の伝達が不能となるのを防止し、エンジン22を始動させる際にモータMG2でリングギヤ軸32aの反力を受け持つことができずにエンジン22を始動できなくなるのを防止することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、電動ポンプ92の温度(ポンプ温度Tp)が各所定温度T1,T2,T3に達するたびにモータ走行の禁止,電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動の禁止,エンジン22の始動の禁止を実行するものとしたが、モータ走行の禁止,エンジン22の始動の禁止のみを実行するものとしてもよいし、電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動の禁止,エンジン22の始動の禁止のみを実行するものとしてもよいし、これらの制限に加えて他の制限を実行するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、ポンプ温度Tpが所定温度T2以上となったときに電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動を禁止して機械式ポンプ91からの油圧だけで変速を実行するものとしたが、変速の実行を禁止するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を変速機60により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図9の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力を変速機60により変速してリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図9における車輪39c,39dに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図10の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車産業に利用可能である。
本発明の一実施形態としての動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 変速機60の構成の概略を示す構成図である。 油圧回路90の構成の概略を示す構成図である。 実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される電動ポンプ温度管理処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 変速処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 始動処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 ポンプ温度Tpとモータ走行禁止,電動ポンプ92の変速時のアシスト駆動禁止,エンジン始動禁止のオンオフの時間変化の様子を説明する説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b,39c,39d 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、48 回転軸、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 変速機、60a ダブルピニオンの遊星歯車機構、60b シングルピニオンの遊星歯車機構、61 サンギヤ、62 リングギヤ、63a 第1ピニオンギヤ、63b 第2ピニオンギヤ、64キャリア、65 サンギヤ、66 リングギヤ、67 ピニオンギヤ、68 キャリア、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 温度センサ、90 油圧回路、91 機械式ポンプ、92 電動ポンプ、93 3ウェイソレノイド、94 プレッシャコントロールバルブ、95a,95b リニアソレノイド、96a,96b コントロールバルブ、97a,97b アキュムレータ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、B1,B2 ブレーキ。

Claims (12)

  1. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    内燃機関と、
    発電可能な電動機と、
    油圧により作動し、変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
    前記内燃機関により駆動され、前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、
    電力の供給を受けて駆動し、前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、
    前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段と、
    前記電気式油圧発生手段の状態を検出する状態検出手段と、
    前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第2の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記変速伝達手段による変速比の変更を制限する第2の制限制御を実行する制限制御手段と
    を備える動力出力装置。
  2. 請求項1記載の動力出力装置であって、
    前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第2の状態に達していない通常時に前記内燃機関が運転されている最中に前記変速伝達手段による変速比の変更が指示されたとき、前記機械式油圧発生手段により発生した油圧と前記電気式油圧発生手段により発生した油圧とを用いて該指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する通常時変速制御手段を備え、
    前記制限制御手段は、前記第2の制限制御として、前記内燃機関が運転されている最中に前記変速伝達手段の変速比の変更が指示されたときに前記電気式油圧発生手段を停止させた状態で前記機械式油圧発生手段により発生した油圧により前記指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する手段である
    動力出力装置。
  3. 前記制限制御手段は、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第2の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき、前記内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する手段である請求項1または2記載の動力出力装置。
  4. 駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置であって、
    内燃機関と、
    発電可能な電動機と、
    油圧により作動し、変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
    前記内燃機関により駆動され、前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、
    電力の供給を受けて駆動し、前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、
    前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段と、
    前記電気式油圧発生手段の状態を検出する状態検出手段と、
    前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき、前記内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する制限制御手段と
    を備える動力出力装置。
  5. 前記状態検出手段は、前記電気式油圧発生手段の温度を検出する温度検出手段である請求項1ないし4いずれか記載の動力出力装置。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の動力出力装置であって、
    前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の回転軸の3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力が決定されると残余の1軸に入出力される動力が決定される3軸式の動力入出力手段と、
    前記第3の回転軸に動力を入出力可能な回転軸用電動機と
    を備え、
    前記始動手段は、前記回転軸用電動機を有する手段である
    動力出力装置。
  7. 請求項1ないし5いずれか記載の動力出力装置であって、
    前記内燃機関の出力軸に接続された第1の回転子と前記駆動軸に接続された第2の回転子とを有し、電磁的な作用により前記第1の回転子と前記第2の回転子とを相対的に回転させて駆動する対回転子電動機を備え、
    前記始動手段は、前記対回転子電動機を有する手段である
    動力出力装置。
  8. 請求項1ないし7いずれか記載の動力出力装置を搭載し、前記駆動軸が車軸に接続されて走行する自動車。
  9. 内燃機関からの動力を入力すると共に駆動軸に動力を出力する駆動装置であって、
    発電可能な電動機と、
    油圧により作動し、変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
    前記内燃機関により駆動され、前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、
    電力の供給を受けて駆動し、前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、
    前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段と、
    前記電気式油圧発生手段の状態を検出する状態検出手段と、
    前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第2の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記変速伝達手段による変速比の変更を制限する第2の制限制御を実行する制限制御手段と
    を備える駆動装置。
  10. 内燃機関からの動力を入力すると共に駆動軸に動力を出力する駆動装置であって、
    発電可能な電動機と、
    油圧により作動し、変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
    前記内燃機関により駆動され、前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、
    電力の供給を受けて駆動し、前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、
    前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段と、
    前記電気式油圧発生手段の状態を検出する状態検出手段と、
    前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき、前記内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する制限制御手段と
    を備える駆動装置。
  11. 内燃機関と、発電可能な電動機と、油圧により作動し変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、前記内燃機関により駆動され前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、電力の供給を受けて駆動し前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段とを備える動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記電気式油圧発生手段の状態を検出し、
    (b)前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第2の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記変速伝達手段による変速比の変更を制限する第2の制限制御を実行する
    動力出力装置の制御方法。
  12. 内燃機関と、発電可能な電動機と、油圧により作動し変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、前記内燃機関により駆動され前記油圧を発生させる機械式油圧発生手段と、電力の供給を受けて駆動し前記油圧を発生させる電気式油圧発生手段と、前記電動機で受け持つ前記駆動軸側の反力を用いて前記内燃機関を始動する始動手段とを備える動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記電気式油圧発生手段の状態を検出し、
    (b)前記検出された電気式油圧発生手段の状態が第1の状態に達したとき、前記電気式油圧発生手段の駆動を伴う前記始動手段による前記内燃機関の始動を制限する第1の制限制御を実行し、前記検出された電気式油圧発生手段の状態が前記第1の状態に達する前の状態としての第3の状態に達したとき、前記内燃機関の運転停止を制限する第3の制限制御を実行する
    動力出力装置の制御方法。
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