以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による放電点灯装置の構成を示す回路図である。図示した放電点灯装置1には放電作用により点灯するランプ2が接続される。放電点灯装置1は、電圧源7から供給される直流電圧をプッシュプルトランス(トランス)6へ入力し、交流電流を発生させるDC/ACコンバータによって構成される。この発明の放電点灯装置を成すDC/ACコンバータは、電圧源7から供給される電圧Eoにより駆動される、いわゆる電圧モードで動作するものである。
放電点灯装置1を成すDC/ACコンバータは、次のように構成される。当該DC/ACコンバータの動作制御を行う制御部(制御手段)3、制御部3から出力されるゲート信号gaに基づいてオン・オフするスイッチ(トランジスタスイッチ)4、及び制御部3から出力されるゲート信号gbに基づいてオン・オフするスイッチ(トランジスタスイッチ)5を備える。また、このDC/ACコンバータは前述のようにプッシュプルトランス6を備え、当該DC/ACコンバータはプッシュプルトランス6の一次側と二次側に分割して回路が構成され、プッシュプルトランス6の一次側巻き線に接続される一次側回路1aとプッシュプルトランス6の二次側巻き線に接続される二次側回路1bによって構成される。プッシュプルトランス6は、例えば一次側巻き線に中間タップを設け、一次側巻き線Waと一次側巻き線Wbとを備えたものである。また、当該プッシュプルトランス6は二次側巻き線Wcを備えている。図1に示したプッシュプルトランス6は、一次側巻き線の巻き始め端部から中間タップまでを一次側巻き線Waとし、当該中間タップからプッシュプルトランス6の一次側巻き線の終端部までを一次側巻き線Wbとして構成されている。一次側巻き線Waの巻き始め端部は当該プッシュプルトランス6の一次側巻き線の巻き始め端部で、一次側巻き線Wbの巻き始め端部は前述の中間タップである。また、図1等では一次側巻き線Wa,Wbの各巻き始め端部に“・”印を付記している。
以下、スイッチ4,5としてnチャネルMOSFETを用いた構成を例示して説明する。
一次側回路1aは次のように構成される。
プッシュプルトランス6の一次側巻き線Waの巻き始め端部には、スイッチ4のドレインが接続される。プッシュプルトランス6の一次側巻き線Waと一次側巻き線Wbの接続部分、即ち、一次側巻き線Waの終端部及び一次側巻き線Wbの巻き始め端部には、電圧源7の正電位部が接続される。プッシュプルトランス6の一次側巻き線Wbの終端部にはスイッチ5のドレインが接続される。スイッチ4のソースには抵抗値Rfaを有する抵抗16の一端が接続され、この抵抗16の他端は電圧源7の負電位部に接続される。また、スイッチ4のソースと抵抗16の接続部分は制御部3に接続され、当該スイッチ4と抵抗16との接続部分の電圧が信号Siaとして制御部3へ入力される。スイッチ5のソースには抵抗値Rfbを有する抵抗17の一端が接続され、この抵抗17の他端は電圧源7の負電位部に接続される。また、スイッチ5のソースと抵抗17の接続部分は制御部3に接続され、当該スイッチ5と抵抗17の接続部分の電圧が信号Sibとして制御部3へ入力される。なお、抵抗16はスイッチ4に流れる電流を制御部3が検知するため、また、抵抗17はスイッチ5に流れる電流を制御部3が検知するために設けられたもので、一次側回路1aの動作に影響しないように、抵抗16の抵抗値Rfa及び抵抗17の抵抗値Rfbは小さく設定される。
このように構成すると、プッシュプルトランス6の一次側には、スイッチ4と一次側巻き線Waと電圧源7とを直列に接続した閉回路と、スイッチ5と一次側巻き線Wbと電圧源7とを直列に接続した閉回路が形成される。また、一次側巻き線Waの両端には、コンデンサ8が当該一次側巻き線Waと並列になるように接続される。一次側巻き線Wbの両端には、コンデンサ9が当該一次側巻き線Wbと並列になるように接続される。
二次側回路1bは、次のように構成される。
プッシュプルトランス6の二次側巻き線Wcの一端にはインダクタ10の一端が接続され、このインダクタ10の他端にコンデンサ11の一端が接続される。インダクタ10とコンデンサ11との接続部分にはコンデンサ12の一端が接続され、このコンデンサ12の他端は二次側巻き線Wcの他端に接続される。二次側巻き線Wcとコンデンサ12との接続部分には、イグナイタ13の一端が接続される。イグナイタ13は、コンデンサ14とギャップスイッチ15とを備え、ギャップスイッチ15が閉じられるとコンデンサ14に蓄積された電流エネルギを誘導コイルに供給して高電圧を発生するように構成されたものである。イグナイタ13の他端は、ランプ2の一端の電極に接続され、ランプ2の他端の電極はコンデンサ11の他端に接続される。
ランプ2に対して直列に接続されているコンデンサ11は、イグナイタ13のインダクタンス成分を打ち消すために挿入されたもので、その容量値Coは、DC/ACコンバータから出力される交流電流の周波数帯域において、イグナイタ13とコンデンサ11とを結合させたとき、その合成インピーダンスがイグナイタ13のみのインピーダンスよりも小さくなるように設定される。
次に動作について説明する。
初めに電圧源を用いた放電点灯装置、即ち電圧モードで駆動されるDC/ACコンバータのプッシュプル動作について説明する。図2−1は、電圧源を用いた放電点灯装置の構成を示す回路図である。この図は、電圧源7から供給される電圧Eoによって駆動される、即ち電圧モードで動作する放電点灯装置20の回路構成を示したもので、図1に示したものと同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。図2−1に示した放電点灯装置20は、図1に示した制御部3の代わりに、後述するようにゲート信号ga,gbを生成する制御部3aを備え、プッシュプルトランス6の一次側巻き線に接続された一次側回路20aとプッシュプルトランス6の二次側巻き線に接続された二次側回路20bによって構成されている。なお、二次側回路20bは、図1に示した二次側回路1bと同様に構成され、その動作も同様なものである。
図2−2は、電圧源を用いた放電点灯装置の動作を示す説明図である。この図は、図2−1に示したDC/ACコンバータが動作するときの各部分の電圧、電流、信号等の波形を示したタイムチャートである。図2−2の最上段の波形は、ゲート信号gaを実線で、またゲート信号gbを一点破線で描いたものである。その下段は電圧源7からプッシュプルトランス6の一次側巻き線Wa,Wbに流れ込む電流io’を描いた波形である。電流io’の波形の下段は、一次側回路20aのうち、巻き線Waの巻き始め端部からスイッチ4のドレインへ流れる電流ia’を実線で描いた波形、及び巻き線Wbの終端部からスイッチ5のドレインへ流れる電流ib’を一点破線で描いた波形である。電流ia’,ib’の波形の下段は、スイッチ4のソース・ドレイン間、即ちスイッチ4の接点間の電圧va’を実線で描いた波形、及びスイッチ5のソース・ドレイン間即ちスイッチ5の接点間の電圧vb’を一点破線で描いた波形である。電圧va’,vb’の波形の下段は、プッシュプルトランス6の二次側巻き線Wcに流れる電流i2’を実線で描いた波形、及び当該DC/ACコンバータからランプ2へ供給される電流ilamp’を一点破線で描いた波形である。なお、図中に示した“レベル0”は、電圧源7の負側の電位、即ちDC/ACコンバータの接地(以下、GNDと記載する)レベルである。
図2−1に示した放電点灯装置20は、図1に示した実施の形態1による放電点灯装置1と異なり、プッシュプルトランス6の一次側回路20aにコンデンサ8,9を備えていないものである。このようにコンデンサ8,9を備えていない場合は、次のように動作する。
放電点灯装置20は、制御部3aが図2−2に示したようなゲート信号ga,gbを生成して、スイッチ4のゲートに当該ゲート信号gaを入力し、またスイッチ5のゲートにゲート信号gbを入力して、スイッチ4とスイッチ5とを交互にオン・オフさせる。このように各スイッチ4,5がオン・オフすることにより、プッシュプルトランス6の一次側巻き線Waと一次側巻き線Wbには、電圧源7の直流電圧Eoが交互に印加され、電圧源7から出力される電流io’は図2−2に示したように変化する。また、図2−2に示した電流ia’が一次側巻き線Waの巻き始め端部からスイッチ4へ流れ、また同様に図示した電流ib’が巻き線Wbの終端部からスイッチ5へ流れる。
ゲート信号gaの論理値がハイレベル(以下、レベルHと記載する)になるとスイッチ4がオン状態になり、スイッチ4に接続された一次側巻き線Waに流れる電流ia’が三角波形状に上昇する。ゲート信号gaが論理値ローレベル(以下、レベルLと記載する)に変化するとスイッチ4がオフ状態になり電流ia’も下降する。また、ゲート信号gbがレベルHになるとスイッチ5がオン状態になり、一次側巻き線Wbの電流ib’が三角波状に上昇する。ゲート信号gbがレベルLに変化するとスイッチ5がオフ状態になり電流ib’も下降する。スイッチ4,5が各々オン状態になるとき、これに同期してプッシュプルトランス6の二次側巻き線Wcに、当該プッシュプルトランス6の一次側巻き線と二次側巻き線との巻き数比倍の交流矩形波電圧が発生する。
DC/ACコンバータを動作させてランプ2を点灯させるときには、初めにランプ2とプッシュプルトランス6との間に直列に接続されているイグナイタ13を動作させる。この点灯動作は、ギャップスイッチ15を導通させてコンデンサ14に蓄えられている電圧エネルギを放電させ、イグナイタ13の誘導コイルの一次側巻き線に電流を流す。するとイグナイタ13の誘導コイルの二次側巻き線に、例えば20kV程度の高電圧が発生する。この高電圧をランプ2へ印加して放電ブレークさせる。ランプ2が放電ブレークに至ってアーク放電へ移る過渡状態になったときは、当該ランプ2の放電状態を安定させて持続させるため、ランプ2へ定格電力の約10倍程度の大きな電力を供給する。この大きな電力の供給は、プッシュプルトランス6の二次側巻き線Wcに接続されているインダクタ10とコンデンサ12とを共振させてコンデンサ12の両端電圧を跳ね上げ、十分高い電圧をランプ2へ印加することによって行われる。
また、放電点灯装置20からランプ2へ供給される電力は、制御部3aが予め設定されている内容に基づいて調整する。この電力調整は、制御部3aが、パルス幅、周期等を調整してゲート信号ga,gbを生成し、これらのゲート信号ga,gbによりスイッチ4,5のオン・オフ動作を制御して行われる。このとき、制御部3aは、スイッチ4,5のオンデューティが、放電点灯装置20から出力される電力に適した値となるように制御する。また、制御部3aは、ランプ2が例えばHigh Intensity Discharge Lamp (以下、HIDと記載する)等の場合には、ランプ2の内部で生じる音響共鳴現象によって放電動作が不安定にならないように、当該放電点灯装置20を成すDC/ACコンバータのスイッチング周期を一定時間毎に、例えば数mS毎にスイープさせる。
図3は、電圧源を用いた放電点灯装置のプッシュプルトランスの一次側に構成される回路の回路図である。図3に示したものは、図2−1に示した一次側回路20aの構成を示すもので、MOSFETから成るスイッチ4,5に寄生する寄生ダイオード、及びプッシュプルトランス6の漏れインダクタンスや回路配線上に生じるインダクタンスを合わせて示し、当該回路の動作に直接作用しない小さな抵抗値を有する抵抗16,17と信号Sia,Sibを制御部3aへ出力する信号線の図示を省略したものである。図3では、図2−1に示したものと同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。図3に示した寄生ダイオードDaは、MOSFETであるスイッチ4に存在する寄生ダイオードで、スイッチ4に対して逆並列に接続されたように作用するものである。同じく図3に示した寄生ダイオードDbは、MOSFETであるスイッチ5に存在する寄生ダイオードで、スイッチ5に対して逆並列に接続されたように作用するものである。図3に示したインダクタ18は、プッシュプルトランス6の漏れインダクタンスと一次側巻き線Waの巻き始め端部に接続された回路配線に生じるインダクタンスとを合わせて表したもので、インダクタンス値Laを有する仮想のインダクタである。また、インダクタ19は、プッシュプルトランス6の漏れインダクタンスと一次側巻き線Wbの終端部に接続された回路配線に生じるインダクタンスとを合わせて表したもので、インダクタンス値Lbを有する仮想のインダクタである。
例えば、図2−1及び図3に示したスイッチ4がオフ状態になると、二次側回路20bに流れていた電流i2’の電流エネルギは、スイッチ5に存在する寄生ダイオードDbと一次側巻き線Wbとを経由して電圧源7に回生する。また、図2−2の期間Txに示したように、インダクタ18に蓄積された電流エネルギは、行き場所を失ってスイッチ4の接点間の電圧va’を電圧Eoの二倍以上の値を有する電圧Eclまで上昇させる。このように電圧va’が上昇することにより、オフ状態になったスイッチ4の接点間に継続して電流が流れる。図2−2に期間Txとして示したターンオフの過渡状態が過ぎると、次の期間T_va’では、二次側回路20bのインダクタ10等に蓄積されていた電流エネルギが一次側回路20aへ回生し、この電流エネルギにより電圧va’は負の値を有する電圧−va’になり、寄生ダイオードDaに順方向電流が流れ、結果的にオフ状態のスイッチ4に電流が流れることになる。スイッチ5においても、インダクタ19に蓄積された電流エネルギにより、スイッチ5の接点間の電圧Vb’が上昇し、その後二次側回路20bから回生してきた電流エネルギにより図2−2に示した期間T_vb’で負の値を有する電圧−vb’となって寄生ダイオードDbに順方向の電流が流れ、オフ状態になったスイッチ5に電流が流れることになる。
放電点灯装置20に備えられたスイッチ4は、前述のターンオフの過渡状態においてインダクタ18に蓄積されている電流エネルギを消費し、当該インダクタ18に蓄積された電流エネルギによって生じる電流をゼロに導く。同様にスイッチ5がインダクタ19に蓄積された電流エネルギを過渡状態のときに消費する。プッシュプルトランス6の構造、DC/ACコンバータの回路構成、及び放電点灯装置の配線などの要因によってインダクタンス値La,Lbが大きくなると、当該インダクタ18,19に蓄積される電流エネルギも大きくなり、スイッチ4,5にて消費させなければならない電流エネルギが増大してDC/ACコンバータの動作障害になり当該回路の動作効率が低下する。
実施の形態1による放電点灯装置1は、回路配線上に存在する仮想のインダクタ18,19に蓄積された電流エネルギによる弊害を避けるため、図1に示したコンデンサ8,9を備えたものである。なお、図1に示した放電点灯装置1は、コンデンサ8,9を備えた他は図2−1に示した放電点灯装置20と同様に構成されたものである。また、放電点灯装置1は、放電点灯装置20の制御部3aの代わりに備えた制御部3の制御に基づいて動作するもので、以下の放電点灯装置1の動作説明では、放電点灯装置20と同様な動作について説明を省略する。
図4−1は、実施の形態1による放電点灯装置の一次側回路の構成を示す回路図である。この図は、図1に示した放電点灯装置1の一次側回路1aの構成を示したもので、図3に示した回路と同様に、一次側回路1aを構成する回路素子の他に、スイッチ4の寄生ダイオードDa、スイッチ5の寄生ダイオードDb、仮想のインダクタ18,19を合わせて示したものである。また、この図4−1は、当該一次側回路1aの動作に直接作用しない抵抗16,17、及びこれらに接続される信号Sia,Sibの信号線等の図示を省略したものである。図4−1では、図1及び図3に示したものと同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。なお、図4−1では、図示を省略した二次側回路1bは、図1に示したものと同様に構成されるものである。
図4−1に示した回路は、図1を用いて説明したように一次側巻き線Waに対して並列にコンデンサ8を接続し、また、一次側巻き線Wbに対して並列にコンデンサ9を接続したものである。ここで、コンデンサ8の容量値をCa、コンデンサ9の容量値をCbとする。図4−1に示したようにコンデンサ8は、一次側巻き線Waの巻き始め端部とスイッチ4のドレインとの間に一端が接続され、他端が電圧源7の正電位部及び巻き線Waの終端部に接続される。このように接続すると、プッシュプルトランス6の漏れインダクタンスや回路配線上のインダクタンスを表したインダクタ18とコンデンサ8によって共振回路が構成される。また、コンデンサ9は、電圧源7の正電位部及び巻き線Wbの巻き始め端部に一端が接続され、他端が一次側巻き線Wbの終端部及びスイッチ5のドレインと接続され、インダクタ19とコンデンサ9によって共振回路が構成される。このように共振回路を構成させることにより、インダクタ18に流れる電流のエネルギをコンデンサ8に一旦蓄え、その後インダクタ18とコンデンサ8との共振作用を利用して当該エネルギを保持しておき、次のDC/ACコンバータの動作サイクルにおいて当該エネルギを二次側回路1bへ作用させ、ランプ2の点灯に使用する。また、同様にインダクタ19に流れる電流のエネルギをコンデンサ9に一旦蓄え、当該エネルギを次の動作サイクルにおいて二次側回路1bへ供給してランプ2の点灯に用いる。また、図4−1に示したインダクタ22は、スイッチ4,5のソースや電圧源7の負電位部に接続される回路配線上に存在するインダクタンス成分を表したもので、そのインダクタンス値をLxとした仮想のインダクタである。抵抗23は、スイッチ4,5のソースや電圧源7の負電位部に接続される回路配線等の抵抗成分を表したもので、その抵抗値をRxとした仮想の抵抗器である。
図4−2は、実施の形態1による放電点灯装置の一次側回路の動作を示す説明図である。この図は、図1または図4−1に示した一次側回路1aの各部分の電圧、電流、及び信号の波形や二次側回路1bの電流i2と電流ilampとの波形を示したタイムチャートである。図中最上段の波形は、ゲート信号gaを実線で描き、またゲート信号gbを一点破線で描いたものである。その下段は、電圧源7からプッシュプルトランス6の一次側巻き線Wa,Wbに流れ込む電流ioの波形である。電流ioの波形の下段は、一次側巻き線Waの巻き始め端部からスイッチ4のドレインへ流れる電流iaの波形を実線で描き、また一次側巻き線Wbの終端部からスイッチ5のドレイン側へ流れる電流ibの波形を一点破線で描いたものである。電流ia,ibを表す波形の下段は、スイッチ4のソース・ドレイン間、即ち接点間の電圧vaの波形を実線で描き、またスイッチ5のソース・ドレイン間、即ち接点間の電圧vbの波形を一点破線で描いたものである。電圧va,vbの波形の下段は、プッシュプルトランス6の二次側巻き線Wcに流れる電流i2の波形を実線で描き、また当該DC/ACコンバータからランプ2へ流れる電流ilampの波形を一点破線で描いたものである。なお、図中に示した“レベル0”は、電圧源7の負電位、即ちDC/ACコンバータの接地(以下、GNDと記載する)レベルである。
ここでは、一次側回路1aのうち、スイッチ4側に形成される回路の動作を例示して説明する。図4−2に示した時刻toaにおいてゲート信号gaがレベルLからレベルHへ変化してスイッチ4がオン状態になり、その後ゲート信号gaがレベルHからレベルLに変化してスイッチ4がオフ状態になると、インダクタ18に蓄積されていた電流エネルギがコンデンサ8へ移動し、当該コンデンサ8が充電を開始する。コンデンサ8の充電が進行すると、コンデンサ8の両端電圧がインダクタ18とコンデンサ8との共振作用によって上昇し、図4−2に示した時刻tmで最大値に達し、同時にスイッチ4の接点間の電圧vaも最大値vamaxに達する。この一連の動作において、インダクタ18に流れる電流のエネルギは、ほとんどスイッチ4にて消費されずにコンデンサ8とインダクタ18の共振作用によって保持される。このような動作は、スイッチ5側においても同様に行われ、例えば、図4−2に示した時刻tobでゲート信号gbが変化した以降において、インダクタ19に蓄積されていた電流エネルギがインダクタ19とコンデンサ9との共振作用により保持される。
また、前述のようにスイッチ4がオフ状態になると、二次側回路1bからは一次側回路1aとしてコンデンサ8とコンデンサ9のみが見え、二次側回路1bに流れる電流i2のエネルギはコンデンサ8とコンデンサ9との直列回路を経由して二次側回路1bに戻り、二次側回路1bに電流i2が継続して流れる。コンデンサ8及びコンデンサ9には、当該コンデンサ8,9とインダクタ18との共振によって発生する小さなうねりと、前述のように二次側回路1bに電流i2が継続して流れるときに生じる大きなうねりの二種類の交流電流が流れる。スイッチ4の接点間の電圧vaは、二種類のうねりの電流を積分した電圧成分を含むことになり、電圧vaの波形は図4−2に示したような二種類のうねりを有するものになる。この波形に含まれる大きなうねりは、図1に示した二次側回路1bを構成するインダクタ10とコンデンサ12との共振によって発生するもので、前述のように放電ブレーク直後のランプ2へ定格より大きな電力を供給するとき、LC発振により生じるうねりである。即ち、この大きなうねりはインダクタ10とコンデンサ12との共振周波数を有するもので、インダクタ10とコンデンサ12は、当該DC/ACコンバータから出力される交流電力の定常状態のスイッチング周波数に比べて、当該共振周波数が十分高くなるように値が設定される。
前述の時刻toaにおいてゲート信号gaが変化し、スイッチ4がオフ状態になったときの動作説明と同様に、図4−2に示した時刻tobにおいてゲート信号gbが変化し、スイッチ5がオフ状態になったときも、コンデンサ8及びコンデンサ9には、当該コンデンサ8,9とインダクタ19との共振による小さなうねりと二次側回路1bのインダクタ10とコンデンサ12との共振によって発生する大きなうねりとの二種類の交流電流が流れる。スイッチ5の接点間の電圧vbは、二種類のうねりの電流を積分した電圧成分を含むもので、図4−2に示したような波形になる。
インダクタ18とコンデンサ8との共振により保持されていたエネルギは、次にスイッチ5がオン状態になったとき電流iaの流れに作用し、また、インダクタ19とコンデンサ9との共振により保持されていたエネルギは、次にスイッチ4がオン状態になったとき電流ibの流れに作用する。この電流ia,ibの電流エネルギは、プッシュプルトランス6の二次側巻き線Wcに発生する誘導起電力に作用し、二次側巻き線Wcから二次側回路1bに流れる電流i2の電流エネルギとなり、さらに電流ilampの電流エネルギとなってランプ2を点灯させる。
前述の二つのうねりの中で小さなうねり、即ち高い周波数成分のうねりは、コンデンサ8とインダクタ18との定数、及びコンデンサ9とインダクタ19との定数によって定められる共振周波数で振動するものである。図4−1に示した回路を容量値Caのコンデンサ8から見ると、インダクタンス値Laのインダクタ18、インダクタンス値Lbのインダクタ19、及び容量値Cbのコンデンサ9が直列に接続されているように見えることから、このコンデンサ8,9、インダクタ18,19を有する回路の共振周波数は[(Ca+Cb)*(La+Lb)]-0.5で求められる値に比例する。また、大きなうねり、即ち低い周波数成分のうねりは、一次側回路1aに備えられたコンデンサ8,9と二次側巻き線Wcに接続される二次側回路1bとから成る直列回路によって定められる共振周波数で振動するものである。
電圧va及び電圧vbは、図4−2に示した波形からわかるように、スイッチ4,5のいずれもがオフ状態の期間Toffの間に負の値を示す期間が存在する。電圧vaは、図4−2に示した期間TDRa_1と期間TDRa_2において負の値を示し、電圧vbは、期間TDRb_1と期間TDRb_2において負の値を示す。これらの期間では、コンデンサ8,9及びインダクタ18,19に保持されている電流エネルギと二次側回路1bに流れている電流i2の電流エネルギの一部が電圧源7に回生し、電流ioは図4−2に示したように負の値になって一次側巻き線Wa,Wbから電圧源7へ向って流れる。このような状態は、コンデンサ8,9の両端電圧が電圧源7の電圧Eoを超えるように充電される際に起こり、このときのコンデンサ8とスイッチ4との接続部分の電圧、即ちスイッチ4の接点間の電圧vaは図4−2に示したように、その電圧値が2Eoを超える電圧、例えば前述のように時刻tmにおいて電圧vamaxに達する。
また、一部の電流エネルギが電圧源7へ回生するとき、スイッチ4及びスイッチ5にそれぞれ逆並列に接続されている寄生ダイオードDa,Dbに順方向電流が流れる。これらの寄生ダイオードDa,Dbのオン電圧は約1V程度であることから、DC/ACコンバータの動作において当該寄生ダイオードDa,Dbに電流が流れるときのエネルギ損失が無視できない大きさになる。制御部3は、このように寄生ダイオードDa,Dbに順方向の電流が流れるとき、スイッチ4もしくはスイッチ5がオン状態となるように、図4−2に破線にて示したゲート信号ga*を生成してスイッチ4をオン状態とし、また同じく図4−2に破線で示したゲート信号gb*を生成してスイッチ5をオン状態とする。詳しくは、寄生ダイオードDaに順方向の電流が流れるとき、即ち図4−2に示した電圧vaが負の値となる期間TDRa_1及び期間TDRa_2に同期させてゲート信号ga*をスイッチ4のゲートへ供給する。また、同様に寄生ダイオードDbに順方向の電流が流れるとき、即ち図4−2に示した電圧vbが負の値となる期間TDRb_1及び期間TDRb_2に同期させてゲート信号gb*を生成してスイッチ5のゲートへ供給する。
このように制御部3が、スイッチ4に逆電流が流れるとき即ち電圧vaが負の値になっている期間TDRa_1,TDRa_2に同期させて有意を示すレベルHのゲート信号ga*を出力し、またスイッチ5に逆電流が流れるとき即ち電圧vbが負の値になっている期間TDRb_1,TDRb_2に同期させて有意を示すレベルHのゲート信号gb*を出力する。レベルHのゲート信号ga*によりオン状態になったスイッチ4の接点間、即ちスイッチ4であるMOSFETのチャネルに電流を流し、またはレベルHのゲート信号gb*によりオン状態になったスイッチ5の接点間、即ちスイッチ5であるMOSFETのチャネルに電流を流して電圧源7へ電流エネルギを回生させる。このように動作させると、スイッチ4,5を成すMOSFETのオン電圧は1Vより十分低いことから、寄生ダイオードDa,Dbに電流が流れて電圧源7へ電流エネルギが回生する場合に比べて、当該回生する電流エネルギの損失を低減することができる。なお、制御部3は、寄生ダイオードDaに流れる電流即ち電圧vaの値を図1に示した抵抗16を用いて、また寄生ダイオードDbに流れる電流即ち電圧vbの値を抵抗17を用いて検知する。また、期間Toffの間に電圧va,vbが負の値になる期間は、ここで例示した期間TDRa_1,TDRa_2,TDRb_1,TDRb_2のように各二回ずつ発生することに限定されず、制御部3は、当該各電圧va,vbが負の値になったときに同期させてゲート信号ga*,gb*を出力する。
このように、一次側回路1aの回路素子や二次側回路1bの回路素子の各値の設定によって生じる電圧va,vbが負の値になる期間において電圧源7に回生する一部の電流エネルギの損失を抑制し、また、大部分の電流エネルギをスイッチ4及びスイッチ5において消費させずに次のDC/ACコンバータの動作周期まで保持し、再び二次側回路1bへ供給してランプ2を点灯させる電流ilampに作用させる。
図5−1は、実施の形態1による放電点灯装置の一次側回路の他の構成を示す回路図である。図1及び図4に示したものと同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。図5−1に示したものは、図4−1に示した回路のうち、コンデンサ8に替えてコンデンサ8aを、またコンデンサ9に替えてコンデンサ9aを備えたもので、図4−1と同様にスイッチ4の寄生ダイオードDa、スイッチ5の寄生ダイオードDb、一次側巻き線Waの巻き始め端部に接続される配線に存在するインダクタンスやプッシュプルトランス6の漏れインダクタンスを表した仮想のインダクタ18、一次側巻き線Wbの終端部に接続される配線に存在するインダクタンスやプッシュプルトランス6の漏れインダクタンスを表した仮想のインダクタ19を合わせて図示し、抵抗16,17及び信号線Sia,Sibの図示を省略したものである。
図5−1に示した他の一例は、スイッチ4の接点間を接続するようにコンデンサ8aを接続したもので、詳しくはスイッチ4を成すMOSFETのドレインにコンデンサ8aの一端を、またスイッチ4を成すMOSFETのソースにコンデンサ8aの他端を接続したものである。また、同様にスイッチ5の接点間を接続するようにコンデンサ9aを接続したもので、詳しくはスイッチ5を成すMOSFETのドレインにコンデンサ9aの一端を、またスイッチ5を成すMOSFETのソースにコンデンサ9aの他端を接続したものである。ここで、コンデンサ8aの容量値をCa’、コンデンサ9aの容量値をCb’とする。なお、図5−1では、図示を省略した二次側回路1bは、図1に示したものと同様に構成されたもので、ここではその説明を省略する。
図5−2は、実施の形態1による放電点灯装置の他の構成の一次側回路の動作を示す説明図である。この図は、図5−1に示した一次側回路1aの各部分の電圧、電流、及び信号等の波形及び図5−1では図示を省略した二次側回路1bに流れる電流i2,ilampの波形を示したタイムチャートである。図中最上段の波形は、図4−1と同様にゲート信号gaを実線で、またゲート信号gbを一点破線で描いたものである。その下段の波形は、スイッチ4のソースから電圧源7の負電位部へ流れる電流isaを実線で、またスイッチ5のソースから電圧源7の負電位部へ流れる電流isbを一点破線で描いたものである。電流isa,isbの波形の下段は、一次側巻き線Waの巻き始め端部からスイッチ4のドレインへ流れる電流iaの波形を実線で描き、また一次側巻き線Wbの終端部からスイッチ5のドレインへ流れる電流ibの波形を一点破線で描いたものである。電流ia,ibを表す波形の下段は、スイッチ4のソース・ドレイン間、即ち接点間の電圧vaの波形を実線で描き、またスイッチ5のソース・ドレイン間、即ち接点間の電圧vbの波形を一点破線で描いたものである。電圧va,vbの波形の下段は、プッシュプルトランス6の二次側巻き線Wcに流れる電流i2の波形を実線で描き、また当該DC/ACコンバータからランプ2へ流れる電流ilampの波形を一点破線で描いたものである。なお、図中に示した“レベル0”は、電圧源7の負電位、即ちDC/ACコンバータのGNDレベルである。
図5−1に示した回路も、先に説明した図4−1の回路と同様に動作するもので、図5−2に示した電流ia,ib、電圧va,vb、電流i2,ilampの各波形と図4−2に示した各波形とからわかるように、図5−1に示したコンデンサ8aは図4−1に示したコンデンサ8と同様に、また図5−1に示したコンデンサ9aは図4−1に示したコンデンサ9と同様に作用する。スイッチ4とスイッチ5は、制御部3により交互にオン状態になるように制御され、コンデンサ8a,9aには、電圧源7の直流電圧成分が交互に重畳される。このようにコンデンサ8aに重畳された直流電圧とコンデンサ9aに重畳された直流電圧は互いに相殺するように電圧が生じることから、二次側回路1bから一次側回路1aを見たとき、図5−1に示した一次側回路1aは、回路図4−1に示した一次側回路1aと同様な回路になる。即ち、一次側巻き線Wa,Wbの両端にコンデンサ8a,9aが直列に接続された状態が見える。また、コンデンサ8a,9aに重畳される直流電圧は電圧源7の電圧Eoと互いに相殺するように電位が生じることから、コンデンサ8aと巻き線Wa、コンデンサ9aと巻き線Wbのループは、図4−1に示したコンデンサ8と巻き線Wa、コンデンサ9と巻き線Wbのループと同様に動作する。
図5−1に示した一次側回路1aでは、図5−2に示したゲート信号gaが有意を示すレベルHからレベルLへ変化した時点からインダクタ18に蓄積していた電流エネルギ、及び二次側回路1bから回生されてきた電流エネルギが、コンデンサ8aを充電すると共にインダクタ18と二次側回路1bに継続して電流が流れるように作用する。コンデンサ8aに充電がなされることによりスイッチ4の接点間の電圧vaが上昇し、直列接続されたコンデンサ8aとインダクタ18と一次側巻き線Waと電圧源7との間において共振が発生する。この共振により当該電流エネルギを保持し、次のDC/ACコンバータの動作サイクルにおいて保持しているエネルギを二次側回路1bに流れる電流i2に作用させてランプ2の点灯に用いる。また、同様にゲート信号gbが有意を示すレベルHからレベルLへ変化した時点からインダクタ19に蓄積していた電流エネルギ、及び二次側回路1bから回生されてきた電流エネルギが、コンデンサ9aを充電すると共にインダクタ19と二次側回路1bに継続して電流が流れるように作用する。コンデンサ9aに充電がなされることによりスイッチ5の接点間の電圧vbが上昇し、直列接続されたコンデンサ9aとインダクタ19と一次側巻き線Wbと電圧源7との間において共振が発生する。この共振により当該電流エネルギを保持し、次のDC/ACコンバータの動作サイクルにおいて保持しているエネルギを二次側回路1bに流れる電流i2に作用させてランプ2の点灯に用いる。
図5−1に示した一次側回路1aが動作するとき、図4−1に示したものと同様に、図5−2に示した期間Toffの間に一部の電流エネルギが電圧源7へ回生する。このとき、図4−1及び図4−2を用いて説明したように電圧va,vbが負の値になる期間TDRa_1,TDRa_2,TDRb_1,TDRb_2が存在する。図5−1に示した一次側回路1aが動作するときにも、制御部3は前述の説明と同様にこれらの期間TDRa_1,TDRa_2,TDRb_1,TDRb_2に同期させて図5−2に破線で示したゲート信号ga*,gb*を夫々スイッチ4,5へ出力し、MOSFETから成るスイッチ4,5の各チャネルに適宜、電流が流れるように制御する。
前述の図4−1に示した一次側回路1aは、コンデンサ8aが一次側巻き線Waの巻き始め端部に接続され、コンデンサ9aが一次側巻き線Wbの終端部に接続されているため、期間Toffにおいて生じる共振電流は、電圧源7とプッシュプルトランス6の一次側巻き線Wa,Wb以外の配線を通らない。従って図4−1に示した配線抵抗Rxによるエネルギ損失を抑制することができる。また、図5−1に示した一次側回路1aは、スイッチ4またはスイッチ5がオフ状態になったとき回路配線上のインダクタLxに蓄積された電流エネルギもコンデンサ8aまたはコンデンサ9aに蓄積させることができ、スイッチ4,5のソース側や電圧源7の負電位部側の配線上に存在するインダクタLx等に蓄積されている電流エネルギも有効に利用することができる。
次にコンデンサ8,9及びコンデンサ8a,9aの容量について説明する。
図4−1等に示した一次側回路1aを構成するコンデンサ8の容量値Ca及びの容量値Cbと、図5−1に示した一次側回路1aを構成するコンデンサ8aの容量値Ca’及びコンデンサ9aの容量値Cb’は、いずれも同様な値に設定される。以下、コンデンサ8の容量値Caの設定を例示し、当該コンデンサ8を備えた一次側回路1aのスイッチ4とその周辺回路等を用いて説明する。
仮想のインダクタ18を考慮しない場合は、スイッチ4の接点の両端電圧vaは最大で電圧源7の電圧Eoの二倍の電圧2Eoが印加される。スイッチ4がオフ状態のとき、仮想のインダクタ18には最大で概ね以下の式(1)によって表される電圧が印加される。
1/2・La・ioff2=1/2・Ca・ΔV2 …(1)
ここで、ΔVは電圧2Eoからの増加分、ioffはオフ状態のスイッチ4に流れる電流値である。なお、前述のように、Laはインダクタ18のインダクタンス値、Caはコンデンサ8の容量値である。容量値CaはCa=La・ioff2/ΔV2で求められる。
また、スイッチ4の耐圧をVratingとしたとき、Vrating>2Eo+ΔVが成り立つように各値を設定し、スイッチ4等の各素子が破壊されないように設定する。これは、ゲート信号gaがレベルHからレベルLに変化したときインダクタ18が保有している電流エネルギや、二次側回路1bから回生してくる電流エネルギによってスイッチ4の接点間に印加される電圧vaが上昇し、この電圧vaがスイッチ4の定格電圧を超えてしまうと当該スイッチ4を成す素子が破壊されるためである。また、スイッチ4を成す素子がアバランシェ電圧を有するものである場合は、電圧vaが当該アバランシェ電圧を超えてしまうと、素子の発熱が著しく大きくなり、回路全体の動作効率を低下させてしまう。従って、スイッチ4を成す素子の定格電圧やアバランシェ電圧以上に電圧vaが印加されないようにコンデンサ8の容量値Caを設定する。また、スイッチ5を成す素子についても同様に定格電圧やアバランシェ電圧以上の電圧vbが印加されないように、コンデンサ9の容量値Cbを設定し、同様にコンデンサ8aの容量値Ca’やコンデンサ9aの容量値Cb’を設定する。
次に実施の形態1による放電点灯装置のスイッチング周波数及びオンデューティの制御を説明する。ここでは図1及び図4−1に示した回路を例示して説明する。
スイッチ4及びスイッチ5のどちらもがオフ状態となる期間Toffでは、コンデンサ8の両端電圧とコンデンサ9の両端電圧はそれぞれ振動を繰り返している。ゲート信号gbまたはゲート信号gaがレベルLからレベルHに変化し、二次側回路1bに電力を供給するとき、振動しているコンデンサ8の両端電圧とコンデンサ9の両端電圧によって大きなエネルギ損失が発生する。例えばゲート信号gbがレベルLからレベルHに変化すると、コンデンサ9の両端電圧が電圧Eoより小さい場合には、コンデンサ9の両端電圧が電圧Eoになるまで大きな充電電流が流れ、充電によるエネルギ損失が発生する。これを避けるためには、ゲート信号gbが有意を示すレベルHへ変化するときコンデンサ9の両端電圧が電圧Eo近傍まで増加していればよい。即ちゲート信号gbがレベルHに変化するとき電圧vbがゼロ近傍であればよい。同様にゲート信号gaがレベルHに変化するとき電圧vaがゼロ近傍であればよい。これらの条件を満たしてDC/ACコンバータが動作するように、制御部3は、DC/ACコンバータから出力される交流電力の周波数とオンデューティを制御する。
また、制御部3は、前述の制御部3aと同様にランプ2の種類により音響共鳴などによる放電の不安定性を回避するため、DC/ACコンバータのスイッチング周期を一定時間毎に、例えば数mS毎にスイープさせる。図6−1及び図6−2は、実施の形態1による放電点灯装置の動作を示す説明図である。図6−1は、制御部3がスイッチ4,5のオンデューティを調整し、出力される周波数が低くなるように制御したときの各信号、電流、電圧等を示したもので、図6−2は、図6−1に示した場合に比べて出力される周波数が高くなるように制御したときの各信号、電流、電圧等を示したものである。
制御部3は、図6−1に示したようにスイッチング周期が遅い、即ち低いスイッチング周波数で出力動作を行う場合は、オンデューティを大きく設定して有意を示すゲート信号gaのパルス幅と有意を示すゲート信号gbのパルス幅とを拡げて各ゲート信号を生成し、当該ゲート信号gaをスイッチ4へ、またゲート信号gbをスイッチ5へ出力する。また、図6−2に示したようにスイッチング周期が速い、即ち高いスイッチング周波数で出力動作を行う場合は、オンデューティを小さく設定して有意を示すゲート信号gaのパルス幅と有意を示すゲート信号gbのパルス幅とを狭めて各ゲート信号を生成し、当該ゲート信号gaをスイッチ4へ、またゲート信号gbをスイッチ5へ出力する。
制御部3は、次のようにゲート信号ga,gbを生成する。ゲート信号ga,gbのいずれもがオフ状態である期間Toffは、スイッチング周波数によらず概ね一定に設定され、ゲート信号gbが有意を示すレベルHからレベルLに変化したときから電圧vaがゼロ近傍の値になるまで、またゲート信号gaが有意を示すレベルHからレベルLへ変化したときから電圧vbがゼロ近傍の値になるまでの時間が設定される。電圧va,vbは、前述のように大きなうねりと小さなうねりとを有しており、例えば、ゲート信号gbが有意を示すレベルHからレベルLへ変化してから、電圧vaの大きなうねりの谷となる部分においてコンデンサ8とインダクタ18との共振による小さなうねりの谷となる部分が現れるまでの期間を期間Toffとして設定する。このようにして設定した期間Toffを一定の値として定めておき、有意を示すレベルHのパルス幅を変化させることによりスイッチング周波数を調整する。期間Toff、即ち有意を示すパルスがレベルHからレベルLに変化し、次にレベルLからレベルHへ変化するまでの間隔が一定であるため、オンデューティは、スイッチング周波数毎に対応した値になる。
そこで、大きな電力の交流出力が要求されているときはスイッチング周波数を低く設定して当該DC/ACコンバータを動作させる。スイッチング周波数を低く設定することにより、オンデューティを大きくすることが可能になり、大電力の出力動作に適応させることができる。また、小さな電力の交流出力が要求されているときにはスイッチング周波数を高く設定して動作させる。スイッチング周波数を高く設定することにより、オンデューティを例えば50パーセントより小さくすることが可能になり、小電力の出力動作を安定して行うことができる。
制御部3は、このように一定の期間Toffを有するように、また後述するようにスイッチング周波数を外部からの設定に基づいて調整してゲート信号ga,gbを生成し、電圧va,vbがゼロ近傍になっているとき、スイッチ4,5がそれぞれオン状態となるように制御している。ランプ2の放電特性に適合させるため外部からの設定に基づいてスイッチング周波数をスイープさせる場合は、スイープさせた周波数に対応させて有意を示すレベルHのパルス幅を調整したゲート信号ga,gbを生成し、前述のようなコンデンサ8,9の充電によるエネルギ損失を抑制する。
図7−1は、実施の形態1による放電点灯装置の制御部の構成を示すブロック図である。図1等に示した制御部3は、図7−1に示したようにパルス信号を発生させるPulse Width Modulation(以下、PWMと記載する)部31と、PWM部31から出力されたパルス信号を二つのパルス信号に分配する分周回路から成る分配器32と、分配器32から出力された出力信号aに基づいてゲート信号gaを生成する加算器33と、分配器32から出力された出力信号bに基づいてゲート信号gbを生成する加算器34と、図1等に示した抵抗16を用いて取得した信号Siaを入力するコンパレータ35と、抵抗17を用いて取得した信号Sibを入力するコンパレータ36とを備える。
図7−2は、実施の形態1による放電点灯装置の制御部の動作を示す説明図である。この図は、図7−1に示した制御部3の各部分へ入力される、あるいは出力される信号を示したタイムチャートである。PWM部31は、外部から参照電圧Vrefを入力し、この参照電圧Vrefに基づいてパルス幅即ちスイッチング周波数を設定し、また予め設定されているデータや回路素子の値等に基づいて期間Toffを有するように、例えば図7−2に示したようなパルス信号を生成し、分配器32へ出力する。前述のように分周器等から成る分配器32は、PWM部31から入力したパルス信号を、例えば図7−2に示したように、有意を示すレベルHのパルスを出力aと出力bに交互に振り分けて出力信号aのパルス信号と出力信号bのパルス信号とを生成し、出力信号aを加算器33へ出力し、出力信号bを加算器34へ出力する。
コンパレータ35は正入力部がGNDに接続され、負入力部に前述のように信号Siaが入力され、信号Siaが示す電圧がGNDレベルより低い、即ち負の値になったとき有意を示すレベルHの信号を加算器33へ出力する。また、コンパレータ36は正入力部がGNDに接続され、負入力部に前述のように信号Sibが入力され、信号Sibが示す電圧が負の値になったとき有意を示すレベルHの信号を加算器34へ出力する。加算器33は、分配器32の出力信号aとコンパレータ35から出力された信号とを加算してゲート信号gaを生成する。なお、加算器33が、コンパレータ35から出力されたレベルHの信号に基づいて出力したゲート信号gaが、図4−2、及び図5−2に破線で示したゲート信号ga*に該当する。加算器34は、分配器32の出力信号bとコンパレータ36から出力された信号とを加算してゲート信号gbを生成する。なお、加算器34が、コンパレータ36から出力されたレベルHの信号に基づいて出力したゲート信号gbが、図4−2、及び図5−2に破線で示したゲート信号gb*に該当する。
以上のように実施の形態1によれば、一次側巻き線Waの巻き始め端部とスイッチ4との間にコンデンサ8を接続し、また一次側巻き線Wbの終端部とスイッチ5との間にコンデンサ9を接続して、プッシュプルトランス6の一次側巻き線Wa,Wbの漏れインダクタンスや配線上に存在するインダクタンスに蓄積されていた電流エネルギを共振作用によって保持するように構成し、制御部3が、スイッチ4及びスイッチ5のいずれもがオフ状態の期間においてスイッチ4の接点間電圧Vaまたはスイッチ5の接点間電圧Vbが負の値になったとき当該スイッチ4またはスイッチ5をオン状態とする制御を行うようにしたので、各インダクタに蓄積された電流エネルギを用いて効率よく動作することができるという効果がある。
また、電流源ならびに電流源から電流を入力する入力インダクタを用いることなく構成したので、コストを抑制することができるという効果がある。
また、電流源ならびに電流源から電流を入力する入力インダクタを用いることなく構成し、制御部3が、外部から入力される参照電圧Vrefに基づいてスイッチング周波数を設定してスイッチ4及びスイッチ5の動作を制御するようにしたので、スイッチ4及びスイッチ5のオンデューティが50パーセントより小さくなるようにスイッチング周波数を設定した場合でも、安定して動作することができるという効果がある。
実施の形態2.
図8−1は、この発明の実施の形態2による放電点灯装置の構成を示す回路図である。図1等に示したものと同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。この図8−1は、実施の形態2による放電点灯装置を成すDC/ACコンバータに備えられるプッシュプルトランス6の一次側巻き線に接続される一次側回路1aを示し、プッシュプルトランス6の二次側巻き線に接続される二次側回路1bの図示を省略したものである。図8−1に示した一次側回路1aは、図1等に示した一次側回路1aのコンデンサ8,9に替えてダイオード41,45、抵抗42,44、及びコンデンサ43を備えたもので、その他の回路素子は図1等に示した一次側回路1aと同様に構成されたものである。ダイオード41のアノードは、スイッチ4のドレイン及び一次側巻き線Waの巻き始め端部に接続され、カソードは、抵抗42の一端及びコンデンサ43の一端に接続される。抵抗42の他端は、電圧源7の正電位部、一次側巻き線Waの終端部、一次側巻き線Wbの巻き始め端部、及び抵抗44の一端に接続される。コンデンサ43の他端は、電圧源7の負電位部、抵抗16の一端、コンデンサ46の一端、及び抵抗17の一端に接続される。
ダイオード45のアノードは、スイッチ5のドレイン及び一次側巻き線Wbの終端部に接続され、カソードは、抵抗44の他端及びコンデンサ46の他端に接続される。コンデンサ46の一端は、前述のようにコンデンサ43の他端、電圧源7の負電位部、抵抗16の一端、及び抵抗17の一端に接続される。
図8−2は、実施の形態2による放電点灯装置の一次側回路の構成を示す回路図である。図8−2は、図8−1に示した一次側回路1aのスイッチ4の寄生ダイオードDaとスイッチ5の寄生ダイオードDb、一次側巻き線Waに接続される配線上のインダクタンスやプッシュプルトランス6の漏れインダクタンスを表した仮想のインダクタ18、及び一次側巻き線Wbの終端部に接続される配線上のインダクタンスやプッシュプルトランス6の漏れインダクタンスを表した仮想のインダクタ19とを図示し、抵抗16,17及び信号Sia,Sibの信号線の図示を省略したものである。図8−2に示したように、抵抗42は抵抗値Rcaを有するもので、コンデンサ43は容量値Caを有する。また、抵抗44は抵抗値Rcbを有するもので、コンデンサ46は容量値Cbを有する。
次に動作について説明する。
実施の形態2による放電点灯装置は、図8−1及び図10−1に示した制御部3が図1等に示したものと同様に制御して動作するものである。ここでは、前述の実施の形態1による放電点灯装置と同様な制御部3による動作、及び制御の説明を省略し、実施の形態2による放電点灯装置の特徴となる動作及び制御を説明する。
図9は、実施の形態2による放電点灯装置の一次側回路の動作を示す説明図である。この図は、図8−1及び図8−2に示した一次側回路1aが動作するときの各部分の電圧、電流、信号等の波形を示したタイムチャートである。図9の最上段は、図8−1及び図8−2に示したスイッチ4へ入力されるゲート信号gaの波形を描いたものである。ゲート信号gaの波形の下段は、図8−2に示した一次側巻き線Waの巻き始め端部から、ダイオード41のアノード及びスイッチ4のドレインへ流れる電流iaの波形を描いたものである。電流iaの波形の下段は、図8−2に示したコンデンサ43に流れ込む電流ica及びコンデンサ43の両端の電圧vcaを描いたものである。電圧vca及び電流icaの波形の下段は、図8−1及び図8−2に示したスイッチ5へ入力されるゲート信号gbの波形を描いたものである。ゲート信号gbの波形の下段は、図8−2に示した一次側巻き線Wbの終端部から、ダイオード45のアノード及びスイッチ5のドレインへ流れる電流ibの波形を描いたものである。電流ibの波形の下段は、図8−2に示したコンデンサ46に流れ込む電流icb及びコンデンサ46の両端の電圧vcbの波形を描いたものである。なお、図中に示した“レベル0”は、電圧源7の負電位、即ちDC/ACコンバータのGNDレベルである。
図8−1及び図8−2に示した一次側回路1aは、ゲート信号gaが有意を示すレベルHからレベルLに変化すると、インダクタ18に蓄積されていた電流エネルギは、ダイオード41を介してコンデンサ43へ移動し、コンデンサ43に蓄積される。コンデンサ43の両端の電圧vcaは、当該電流エネルギを蓄積することによって上昇し、電圧源7の電圧Eoよりも高くなる。電圧vcaが電圧Eoを超えると、コンデンサ43に蓄積されている電圧エネルギは抵抗42を介して電圧源7へ回生する。また、同様にゲート信号gbが有意を示すレベルHからレベルLに変化すると、インダクタ19に蓄積されていた電流エネルギは、ダイオード45を介してコンデンサ46へ移動して蓄積され、コンデンサ46の両端の電圧vcbを上昇させる。電圧vcbが電圧Eoを超えると、コンデンサ46に蓄積されている電圧エネルギは抵抗44を介して電圧源7へ回生する。図8−1及び図8−2に示した一次側回路1aは、このようにインダクタ18,19に蓄積されていた電流エネルギの一部を電圧源7へ回生させる。
図8−1及び図8−2に示した一次側回路1aの抵抗42の抵抗値Rcaとコンデンサ43の容量値Caから、τa=Rca×Caによって求められる時定数τaを、当該時定数τaを有する過渡変化がDC/ACコンバータのスイッチング周期よりも大きくなるように、抵抗値Rcaと容量値Caとを設定すると、ゲート信号gaが有意を示すレベルHからレベルLへ変化したとき、コンデンサ43に蓄積されていた全ての電圧エネルギをスイッチング周期の間において消費または電圧源7に回生させることができなくなり、コンデンサ43の両端には図9に例示したように、常に電圧源7の電圧Eoよりも大きな電圧vcaが生じていることになる。常に電圧vcaが電圧Eoよりも大きくなると、コンデンサ43へ流れ込む電流icaは図9に示したように通常は負の値になり、図8−2に示した方向と逆にコンデンサ43から流れ出る電流になる。また、電圧vcaの値が電圧Eoよりも大きくなると、インダクタ18から速やかに電流エネルギを吸収することができ、電圧源7へ回生される電圧エネルギが大きくなる。なお、インダクタ18から吸収される電流エネルギ量は小さくなる。このことから、インダクタ18から吸収する電流エネルギ量と、電圧源7へ回生させる電圧エネルギ量を考慮して電圧vcaの値を設定して回路を構成する。
また、抵抗44の抵抗値Rcbとコンデンサ46の容量値Cbから、τb=Rcb×Cbによって求められる時定数τbを、前述の時定数τaと同様に当該時定数τbを有する過渡変化がDC/ACコンバータのスイッチング周期よりも大きくなるように抵抗値Rcbと容量値Cbとを設定すると、前述のコンデンサ43とその周辺回路と同様に動作する。このことから、インダクタ19から吸収する電流エネルギ量と、電圧源7へ回生させる電圧エネルギ量を考慮して電圧vcbの値を設定して回路を構成する。
図10−1は、実施の形態2による放電点灯装置の他の構成を示す回路図である。図1、図8−1等に示したものと同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。この図10−1は、実施の形態2による放電点灯装置を成すDC/ACコンバータに備えられるプッシュプルトランス6の一次側巻き線に接続される一次側回路の他の構成を示し、プッシュプルトランス6の二次側巻き線に接続される二次側回路の図示を省略したものである。図10−1に示した一次側回路1aは、図8−1に示した一次側回路1aのダイオード41,45、抵抗42,44、及びコンデンサ43に替えて、コンデンサ50、ダイオード51,52、及び抵抗53を備えたもので、その他の回路素子は図8−1に示した一次側回路1aと同様に構成されるものである。ダイオード51のアノードは、スイッチ4のドレイン及び一次側巻き線Waの巻き始め端部に接続され、カソードは、ダイオード52のカソード、コンデンサ50の一端、及び抵抗53の一端に接続される。抵抗53の他端は、電圧源7の正電位部、一次側巻き線Waの終端部、及び一次側巻き線Wbの巻き始め端部に接続される。コンデンサ50の他端は、電圧源7の負電位部、抵抗16の一端、コンデンサ46の一端、及び抵抗17の一端に接続される。ダイオード52のアノードは、一次側巻き線Wbの終端部及びスイッチ5のドレインに接続される。このように構成すると、図8−1に示した一次側回路1aに比べて部品点数を抑制することができ、コスト面で有利である。
図10−2は、実施の形態2による放電点灯装置の他の一次側回路の構成を示す回路図である。図10−2は、図10−1に示した一次側回路1aのスイッチ4の寄生ダイオードDaとスイッチ5の寄生ダイオードDb、一次側巻き線Waに接続される配線上のインダクタンスやプッシュプルトランス6の漏れインダクタンスを表した仮想のインダクタ18、及び一次側巻き線Wbの終端部に接続される配線上のインダクタンスやプッシュプルトランス6の漏れインダクタンスを表した仮想のインダクタ19とを図示し、抵抗16,17及び信号Sia,Sibの信号線等の図示を省略したものである。図10−2に示したように、コンデンサ50は容量値Cabを有する。また、抵抗53は抵抗値Rabを有する。
図11は、実施の形態2による放電点灯装置の他の一次側回路の動作を示す説明図である。この図は、図10−1及び図10−2に示した一次側回路1aが動作するときの各部分の電圧、電流、信号等の波形を示したタイムチャートである。図11の最上段は、図10−1及び図10−2に示したスイッチ4へ入力されるゲート信号gaの波形を描いたものである。ゲート信号gaの波形の下段は、図10−1及び図10−2に示したスイッチ5へ入力されるゲート信号gbの波形を描いたものである。ゲート信号gbの波形の下段は、図10−2に示した一次側巻き線Waの巻き始め端部から、ダイオード51のアノード及びスイッチ4のドレインへ流れる電流iaの波形を描いたものである。電流iaの波形の下段は、図10−2に示した一次側巻き線Wbの終端部から、ダイオード52のアノード及びスイッチ5のドレインへ流れる電流ibの波形を描いたものである。電流ibの波形の下段は、コンデンサ50に流れ込む電流icabの波形と当該コンデンサ50の両端の電圧vcabの波形とを描いたものである。ここで図示した電圧Ecaoは、ゲート信号gaがレベルHからレベルLへ変化する直前、即ちスイッチ4がオフする直前の電圧で、電圧源7の電圧Eoの2倍以上の電圧値を有するものである。また、電圧Ecboは、スイッチ5がオフする直前の電圧で、電圧Ecaoと同様に電圧2Eo以上の電圧値を有するものである。なお、図中に示した“レベル0”は、電圧源7の負電位、即ちDC/ACコンバータのGNDレベルである。
ゲート信号gaが有意を示すレベルHからレベルLへ変化すると、インダクタ18に蓄積されていた電流エネルギは、ダイオード51を介してコンデンサ50へ移動し当該コンデンサ50に充電され、コンデンサ50の両端電圧vcabを上昇させる。電圧vcabは、スイッチ4に印加される電圧と同様に電圧2Eoまで上昇するので、このときコンデンサ50が有する電圧エネルギは、抵抗53を介して電圧源7へ回生される。このようにしてインダクタ18に蓄積されていた電流エネルギの一部が電圧源7へ回生される。また、ゲート信号gbが有意を示すレベルHからレベルLへ変化すると、インダクタ19に蓄積されていた電流エネルギがダイオード52を介してコンデンサ50へ移動し当該コンデンサ50に充電され、このときコンデンサ50に蓄積されている電圧エネルギも前述のように電圧源7へ回生され、インダクタ19に蓄積されていた電流エネルギの一部が電圧源7へ回生される。
抵抗53の抵抗値Rab及びコンデンサ50の容量値Cabから求められる時定数τabを、当該時定数τabを有する過渡変化がスイッチング周期の半分の時間より大きくなるように設定すると、ゲート信号ga,gbがレベルHからレベルLに変化したとき、コンデンサ50に蓄積されている全ての電圧エネルギをスイッチング周期の半分の時間に消費または電圧源7へ回生することができなくなり、コンデンサ50の両端には、図11に示したように、常に電圧源7の電圧Eoの2倍の電圧よりも大きな電圧Ecaoまたは電圧Ecboに達する電圧vcabが生じていることになる。常に電圧vcabが電圧2Eoよりも大きいことから、コンデンサ50へ流れ込む電流icabは図11に示したように通常は負の値になり、即ち図10−2に示した方向とは逆にコンデンサ50から流れ出る電流になる。また、電圧vcabの値が電圧2Eoよりも大きくなると、インダクタ18,19から速やかに電流エネルギを吸収することができ、また電圧源7へ回生される電圧エネルギが大きくなる。なお、インダクタ18,19から吸収される電流エネルギ量は小さくなる。このことから、インダクタ18,19から吸収する電流エネルギ量と、電圧源7へ回生させる電圧エネルギ量を考慮して電圧vcabの値を設定して回路を構成する。
以上のように実施の形態2によれば、ダイオードを用いて配線上に存在するインダクタンスやプッシュプルトランス6の漏れインダクタンスに蓄積されている電流エネルギをコンデンサに移動し、当該コンデンサから電圧源へ回生させるようにしたので、効率よく動作することができるという効果がある。
また、電流源ならびに電流源から電流を入力する入力インダクタを用いることなく構成したので、コストを抑制することができるという効果がある。
1,20 放電点灯装置、1a 一次側回路、1b 二次側回路、2 ランプ、3,3a 制御部(制御手段)、4,5 スイッチ(トランジスタスイッチ)、6 プッシュプルトランス(トランス)、7 電圧源、8,8a,9,9a コンデンサ、10 インダクタ、11,12 コンデンサ、13 イグナイタ、14 コンデンサ、15 ギャップスイッチ、16,17 抵抗、18,19 インダクタ、22 インダクタ、23 抵抗、31 PWM部、32 分配器、33,34 加算器、35,36 コンパレータ、41,45 ダイオード、42,44 抵抗、43,46,50 コンデンサ、51,52 ダイオード、53 抵抗。