JP2005326190A - 圧力センサ、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タッチモード容量型圧力センサにおいて、圧力センサ側端子と外部回路とを接続するための導電性接着剤の一部がこの金属パターン間を短絡させることを防止する。
【解決手段】上部引出し電極膜14は、切欠き部16によって左右の上部引出し電極膜片14a、14bに分割され、一方の上部引出し電極膜片だけが可動電極13と導通し、下部引出し電極膜5は、切欠き部7によって左右の下部引出し電極膜片5a、5bに分割され、一方の下部引出し電極膜片だけが固定電極4と導通し、上部引出し電極膜と下部引出し電極膜に夫々設けた各切欠き部は互いに合致する位置関係にあることによって各切欠き部を介して空間は外部と連通した状態にあり、検出片12は、切欠き部の両側方位置に夫々前後方向へ突出する突起部12cを2つずつ備え、突起部間に充填された接着剤によって切欠き部が封止される。
【選択図】図1
【解決手段】上部引出し電極膜14は、切欠き部16によって左右の上部引出し電極膜片14a、14bに分割され、一方の上部引出し電極膜片だけが可動電極13と導通し、下部引出し電極膜5は、切欠き部7によって左右の下部引出し電極膜片5a、5bに分割され、一方の下部引出し電極膜片だけが固定電極4と導通し、上部引出し電極膜と下部引出し電極膜に夫々設けた各切欠き部は互いに合致する位置関係にあることによって各切欠き部を介して空間は外部と連通した状態にあり、検出片12は、切欠き部の両側方位置に夫々前後方向へ突出する突起部12cを2つずつ備え、突起部間に充填された接着剤によって切欠き部が封止される。
【選択図】図1
Description
本発明はタッチモード容量型圧力センサ、及びその製造方法の改良に関し、ゴムタイヤ内の空気圧センサ等、過酷な使用環境においても経時的に優れた性能を維持することができる圧力センサ、及びその製造方法に関する。
自動車等の車両に装備されるタイヤには、その空気圧を圧力センサにより検出して異常発生時に警告を発するタイヤ圧モニタリングシステムが装備されている。この種の圧力センサは、ゴムタイヤ内に装備されて空気圧、及び空気圧変化を測定する。
この種の圧力センサとして、特開平11−248582号公報には、基台としてのガラス基板上にダイヤフラムを備えたシリコン基板を接合した際に、ダイヤフラムとガラス基板との間に形成される微小空間を気密封止するために、シリコン基板の他の部位に形成した貫通孔内に絶縁性樹脂を充填することによって、微小空間と外部とを連通する凹溝を塞ぐようにした静電容量型圧力センサが開示されている。
しかし、封止用の樹脂を充填するための貫通孔を各素子ごとに一つずつ設ける必要があるので、シリコン基板面積の小型化に限界があり、素子全体の小型化に不利である。
また、封止用の樹脂は貫通孔を確実に塞ぐことはできるが、シリコン基板下面に設けられた内外方向へ延びる凹溝を完全に塞ぐことができず、気密漏れが発生し易い。
また、端子を導電性接着剤によって外部回路と接続した場合には、導電性接着剤塗布時に飛散する接着剤によってガラス基板上の固定電極と周辺金属パターン間が短絡する虞がある(後述)。このような不具合を無くするためには、導電性接着剤を必要最小限の微量ずつ特定個所に滴下する煩雑且つ時間のかかる作業を実施する必要があり、製造工程が複雑化する原因となる。
この他に、圧力によってダイヤフラムが変形し、誘電体薄膜を介して対向する電極と接触することによって生じる静電容量変化を、圧力検出に利用するタッチモード容量型圧力センサ(電気学会論文誌 2003年 Vol.123−E 「タイヤ圧モニタリングシステム用タッチモード容量型圧力センサ」)が知られている。
この種の圧力センサとして、特開平11−248582号公報には、基台としてのガラス基板上にダイヤフラムを備えたシリコン基板を接合した際に、ダイヤフラムとガラス基板との間に形成される微小空間を気密封止するために、シリコン基板の他の部位に形成した貫通孔内に絶縁性樹脂を充填することによって、微小空間と外部とを連通する凹溝を塞ぐようにした静電容量型圧力センサが開示されている。
しかし、封止用の樹脂を充填するための貫通孔を各素子ごとに一つずつ設ける必要があるので、シリコン基板面積の小型化に限界があり、素子全体の小型化に不利である。
また、封止用の樹脂は貫通孔を確実に塞ぐことはできるが、シリコン基板下面に設けられた内外方向へ延びる凹溝を完全に塞ぐことができず、気密漏れが発生し易い。
また、端子を導電性接着剤によって外部回路と接続した場合には、導電性接着剤塗布時に飛散する接着剤によってガラス基板上の固定電極と周辺金属パターン間が短絡する虞がある(後述)。このような不具合を無くするためには、導電性接着剤を必要最小限の微量ずつ特定個所に滴下する煩雑且つ時間のかかる作業を実施する必要があり、製造工程が複雑化する原因となる。
この他に、圧力によってダイヤフラムが変形し、誘電体薄膜を介して対向する電極と接触することによって生じる静電容量変化を、圧力検出に利用するタッチモード容量型圧力センサ(電気学会論文誌 2003年 Vol.123−E 「タイヤ圧モニタリングシステム用タッチモード容量型圧力センサ」)が知られている。
図14(a)及び(b)は夫々従来の圧力センサにおける基台上の金属膜パターンの平面図、及びダイヤフラム(薄肉部)を備えた検出片下面に形成される金属膜パターンの透視図である。
図14(a)において、符号100は基台上に形成した固定電極(下部電極膜)であり、固定電極100の外周には所定のギャップを隔てて下部電極パターン101が形成されている。矩形の固定電極100から延びた引出し電極100aは下部電極パターン101の切れ目から外部へ引き出されている。
一方、図14(b)において、符号105は、検出片のダイヤフラム下面に形成した可動電極(上部電極)であり、この可動電極105からは上部引出し電極105aが引き出されている。基台上に検出片を接合した場合には、下部電極パターン101の一部が上部引出し電極105aと接合された状態となる。
しかし、このような金属膜パターンにあっては、図14(a)に示すように電気的に分離されるべき2つの部分、即ち、下部電極パターン101と固定電極100、下部電極パターン101と引出し電極100aとが、夫々微小な間隔(0.1mm程度)を隔てて近接しているに過ぎないため、圧力センサを容器内に収容する際に、圧力センサ側の端子100b、101aと外部回路とを接続するために塗布する導電性接着剤の一部が電位の異なる2つのパターン間に跨って付着することによってパターン間に短絡を起こす事態が発生し易くなる。即ち、図示の例では、右側の端子100bは0.1mm程度の間隔を隔てて電位の異なるパターンと近接しているため、このパターン間に跨って導電性接着剤が僅かでも付着すると短絡が発生する。そのため、接着剤の塗布量、塗布位置を高精度に制御する必要があり、これが生産性を低下させる大きな原因となっている。
図14(a)において、符号100は基台上に形成した固定電極(下部電極膜)であり、固定電極100の外周には所定のギャップを隔てて下部電極パターン101が形成されている。矩形の固定電極100から延びた引出し電極100aは下部電極パターン101の切れ目から外部へ引き出されている。
一方、図14(b)において、符号105は、検出片のダイヤフラム下面に形成した可動電極(上部電極)であり、この可動電極105からは上部引出し電極105aが引き出されている。基台上に検出片を接合した場合には、下部電極パターン101の一部が上部引出し電極105aと接合された状態となる。
しかし、このような金属膜パターンにあっては、図14(a)に示すように電気的に分離されるべき2つの部分、即ち、下部電極パターン101と固定電極100、下部電極パターン101と引出し電極100aとが、夫々微小な間隔(0.1mm程度)を隔てて近接しているに過ぎないため、圧力センサを容器内に収容する際に、圧力センサ側の端子100b、101aと外部回路とを接続するために塗布する導電性接着剤の一部が電位の異なる2つのパターン間に跨って付着することによってパターン間に短絡を起こす事態が発生し易くなる。即ち、図示の例では、右側の端子100bは0.1mm程度の間隔を隔てて電位の異なるパターンと近接しているため、このパターン間に跨って導電性接着剤が僅かでも付着すると短絡が発生する。そのため、接着剤の塗布量、塗布位置を高精度に制御する必要があり、これが生産性を低下させる大きな原因となっている。
また、金属パターンのうちタイヤ内の高気圧に曝される部分には、金属パターンの一部が剥離してひげ状のウィスカーを形成するマイグレーションが発生し易い。固定電極100とそれを包囲する下部電極パターン101bとの間の空間は気密空間内にあるため、これらの金属部分にはウィスカーが形成されない。一方、右側に位置する下部電極パターン101bと、引出し電極100aとの近接部は高気圧内に位置するため、この金属部分にはウィスカーが発生しやすく、短絡が発生し易い。
なお、気密空間S内を大気圧に設定した場合には、温度変化によって空間内の空気が膨張収縮するため、ダイヤフラムが基台から離間する方向へ変形したり、或いは基台側へ接近する方向へ変形することとなる。このため、測定のための初期値にばらつきが発生し、安定した圧力測定が困難となる。
特開平11−248582号公報
電気学会論文誌 2003年 Vol.123−E 「タイヤ圧モニタリングシステム用タッチモード容量型圧力センサ」
なお、気密空間S内を大気圧に設定した場合には、温度変化によって空間内の空気が膨張収縮するため、ダイヤフラムが基台から離間する方向へ変形したり、或いは基台側へ接近する方向へ変形することとなる。このため、測定のための初期値にばらつきが発生し、安定した圧力測定が困難となる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、タッチモード容量型圧力センサにおいて、素子面積を大型化することなく、基台上の固定電極と、その周辺金属パターンとが微小距離を隔てて近接配置されている場合であっても、圧力センサ側端子と外部回路とを接続するための導電性接着剤の一部が金属パターン間を短絡させることを防止することができる圧力センサ、及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、絶縁材料から成る底板と、該底板の上面に順次積層された固定電極及び誘電体膜と、固定電極と離間し且つ固定電極外周をほぼ包囲するように底板上面に形成された下部引出し電極膜と、を備えた基台と、誘電体膜と対向する位置関係にある薄肉部、及び該薄肉部の外周縁に一体化された厚肉環状部を有した絶縁材料から成る検出片と、該薄肉部下面の少なくとも一部に形成され且つ固定電極と対向する位置関係にある可動電極と、検出片の厚肉環状部下面に形成され且つ可動電極と離間し且つ可動電極外周をほぼ包囲するように構成された上部引出し電極膜と、を有した検出部材と、を備え、基台上面に検出部材を接合する際に、基台上面の下部引出し電極膜は、検出部材下面の上部引出し電極膜と整合する位置関係で接合するように構成され、可動電極と、固定電極を覆う誘電体膜との間に微小ギャップの空間が形成された圧力センサであって、上部引出し電極膜は、前後端縁に夫々設けた切欠き部によって左右の上部引出し電極膜片に分割され、一方の上部引出し電極膜片だけが可動電極と導通し、下部引出し電極膜は、前後端縁に夫々設けた切欠き部によって左右の下部引出し電極膜片に分割され、一方の下部引出し電極膜片だけが固定電極と導通し、他方の上部引出し電極膜片は、一方の下部引出し電極膜片を介して固定電極と導通し、他方の下部引出し電極膜片は、一方の上部引出し電極膜片を介して可動電極と導通し、上部引出し電極膜と下部引出し電極膜に夫々設けた各切欠き部は互いに合致する位置関係にあることによって各切欠き部を介して前記空間は外部と連通した状態にあり、前記検出片は、前記切欠き部の両側方位置に夫々前後方向へ突出する突起部を2つずつ備え、前記2つの突起部間に充填された接着剤によって前記切欠き部が封止され、前記各下部引出し電極膜片は、2つの突起部の外側位置に延在しており、突起部の外側に位置する下部引出し電極膜片の端部を外部回路との接続用端子としていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、前記上部引出し電極膜は、前記突起部の下面にまで延在しており、該突起部下面の上部引出し電極膜は基台上の下部引出し電極膜の一部と固着されることを特徴とする。
請求項3の発明は、絶縁材料から成る底板と、該底板の上面に順次積層された固定電極及び誘電体膜と、固定電極と離間し且つ固定電極の外周をほぼ包囲するように底板上面に形成された下部引出し電極膜と、を備えた基台と、誘電体膜と対向する位置関係にある薄肉部、及び該薄肉部の外周縁に一体化された厚肉環状部を有した絶縁材料から成る検出片と、該薄肉部下面の少なくとも一部に形成され且つ固定電極と対向する位置関係にある可動電極と、検出片の厚肉環状部下面に形成され且つ可動電極と離間し且つ可動電極の外周をほぼ包囲するように構成された上部引出し電極膜と、を有した検出部材と、を備え、基台上面に検出部材を接合する際に、基台上面の下部引出し電極膜は、検出部材下面の上部引出し電極膜と整合する位置関係で接合するように構成され、可動電極と、固定電極を覆う誘電体膜との間に微小ギャップの空間が形成された圧力センサであって、上部引出し電極膜は、前後端縁に夫々設けた切欠き部によって左右の上部引出し電極膜片に分割され、一方の上部引出し電極膜片だけが可動電極と導通し、下部引出し電極膜は、前後端縁に夫々設けた切欠き部によって左右の下部引出し電極膜片に分割され、一方の下部引出し電極膜片だけが固定電極と導通し、他方の上部引出し電極膜片は、一方の下部引出し電極膜片を介して固定電極と導通し、他方の下部引出し電極膜片は、一方の上部引出し電極膜片を介して可動電極と導通し、上部引出し電極膜と下部引出し電極膜に夫々設けた各切欠き部は互いに合致する位置関係にあることによって各切欠き部を介して前記空間は外部と連通した状態にあり、検出片は、前後端縁に夫々庇状の張出し板部を備え、各張出し板部下面には切欠き部の左右両側に前後方向へ突出するように上部引出し電極膜からなる突起部が設けられ、底板は、検出部材側の張出し板部と対向する位置に開口を備え、該開口は切欠き部と連通した構成を備え、前記底板に設けた開口から充填された接着剤によって前記切欠き部が封止され、前記各下部引出し電極膜片は、2つの突起部の外側位置に延在しており、突起部の外側に位置する下部引出し電極膜片の端部を外部回路との接続用の端子としていることを特徴とする。
請求項3の発明は、絶縁材料から成る底板と、該底板の上面に順次積層された固定電極及び誘電体膜と、固定電極と離間し且つ固定電極の外周をほぼ包囲するように底板上面に形成された下部引出し電極膜と、を備えた基台と、誘電体膜と対向する位置関係にある薄肉部、及び該薄肉部の外周縁に一体化された厚肉環状部を有した絶縁材料から成る検出片と、該薄肉部下面の少なくとも一部に形成され且つ固定電極と対向する位置関係にある可動電極と、検出片の厚肉環状部下面に形成され且つ可動電極と離間し且つ可動電極の外周をほぼ包囲するように構成された上部引出し電極膜と、を有した検出部材と、を備え、基台上面に検出部材を接合する際に、基台上面の下部引出し電極膜は、検出部材下面の上部引出し電極膜と整合する位置関係で接合するように構成され、可動電極と、固定電極を覆う誘電体膜との間に微小ギャップの空間が形成された圧力センサであって、上部引出し電極膜は、前後端縁に夫々設けた切欠き部によって左右の上部引出し電極膜片に分割され、一方の上部引出し電極膜片だけが可動電極と導通し、下部引出し電極膜は、前後端縁に夫々設けた切欠き部によって左右の下部引出し電極膜片に分割され、一方の下部引出し電極膜片だけが固定電極と導通し、他方の上部引出し電極膜片は、一方の下部引出し電極膜片を介して固定電極と導通し、他方の下部引出し電極膜片は、一方の上部引出し電極膜片を介して可動電極と導通し、上部引出し電極膜と下部引出し電極膜に夫々設けた各切欠き部は互いに合致する位置関係にあることによって各切欠き部を介して前記空間は外部と連通した状態にあり、検出片は、前後端縁に夫々庇状の張出し板部を備え、各張出し板部下面には切欠き部の左右両側に前後方向へ突出するように上部引出し電極膜からなる突起部が設けられ、底板は、検出部材側の張出し板部と対向する位置に開口を備え、該開口は切欠き部と連通した構成を備え、前記底板に設けた開口から充填された接着剤によって前記切欠き部が封止され、前記各下部引出し電極膜片は、2つの突起部の外側位置に延在しており、突起部の外側に位置する下部引出し電極膜片の端部を外部回路との接続用の端子としていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1、2又は3において、少なくとも前記検出片は、水晶から構成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の圧力センサの製造方法であって、前記下部引出し電極膜上に上部引出し電極膜を接合することにより基台上に検出部材を固定した後で、前記切欠き部を封止するように熱硬化型接着剤を塗布する熱硬化型接着剤塗布工程と、該熱硬化型接着剤を硬化温度未満に加熱することによって熱硬化型接着剤を溶融させ、且つ膨張した気密空間内の気体が溶融接着剤に一時的に貫通孔を形成して外部に噴出し、その後貫通孔が塞がれる抜気工程と、熱硬化型接着剤をその硬化温度まで加熱することにより熱硬化型接着剤を硬化させる硬化工程と、を備えたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5において、前記抜気工程を真空雰囲気中にて実施することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項4又は5において、前記抜気工程後、硬化工程前に、気密空間外の気圧を高めることによって、溶融接着剤の一部を切欠き部内に押し込んだ状態とすることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の圧力センサの製造方法であって、前記下部引出し電極膜上に上部引出し電極膜を接合することにより基台上に検出部材を固定した後で、前記切欠き部を封止するように熱硬化型接着剤を塗布する熱硬化型接着剤塗布工程と、該熱硬化型接着剤を硬化温度未満に加熱することによって熱硬化型接着剤を溶融させ、且つ膨張した気密空間内の気体が溶融接着剤に一時的に貫通孔を形成して外部に噴出し、その後貫通孔が塞がれる抜気工程と、熱硬化型接着剤をその硬化温度まで加熱することにより熱硬化型接着剤を硬化させる硬化工程と、を備えたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5において、前記抜気工程を真空雰囲気中にて実施することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項4又は5において、前記抜気工程後、硬化工程前に、気密空間外の気圧を高めることによって、溶融接着剤の一部を切欠き部内に押し込んだ状態とすることを特徴とする。
タッチモード容量型圧力センサにおいて、素子面積を大型化することなく、基台上の固定電極と、その周辺金属パターンとが微小距離を隔てて近接配置されている場合であっても、圧力センサ側端子と外部回路とを接続するための導電性接着剤の一部がこの微小ギャップを埋めて短絡を発生させることを防止することができる圧力センサ、及びその製造方法を提供することを課題とする。
請求項1の発明によれば、基台上の固定電極の外周を包囲するように配置した下部引出し電極膜を2つの切欠き部によって2つの下部引出し電極膜片に分断すると共に、一方の下部引出し電極膜片だけを固定電極と固定し、他の下部引出し電極膜片は検出部材側の可動電極と電気的に接続した。従って、各下部引出し電極膜片と固定電極との近接部において、ウィスカー等による短絡が発生したとしても、支障がない。また、基台側の下部引出し電極膜片間に位置する2つの切欠き部は、検出部材側の上部引出し電極膜片間に位置する2つの切欠き部と対応関係にあり、両切欠き部によって微小ギャップの空間を外部と連通させる切欠き部を構成しているが、この切欠き部は接着剤によって封止されることにより基準圧力室となる。また、前後位置にある各切欠き部の左右両側には前後方向へ突出する突起部が設けられているので、上記接着剤が突起部を越えて流出する虞もない。また、下部引出し電極膜片から延びる接続用端子は、各突起部の外側に位置するので、この端子部分に塗布した導電性接着剤が突起を乗り越えて他の部分に流出することもない。
請求項1の発明によれば、基台上の固定電極の外周を包囲するように配置した下部引出し電極膜を2つの切欠き部によって2つの下部引出し電極膜片に分断すると共に、一方の下部引出し電極膜片だけを固定電極と固定し、他の下部引出し電極膜片は検出部材側の可動電極と電気的に接続した。従って、各下部引出し電極膜片と固定電極との近接部において、ウィスカー等による短絡が発生したとしても、支障がない。また、基台側の下部引出し電極膜片間に位置する2つの切欠き部は、検出部材側の上部引出し電極膜片間に位置する2つの切欠き部と対応関係にあり、両切欠き部によって微小ギャップの空間を外部と連通させる切欠き部を構成しているが、この切欠き部は接着剤によって封止されることにより基準圧力室となる。また、前後位置にある各切欠き部の左右両側には前後方向へ突出する突起部が設けられているので、上記接着剤が突起部を越えて流出する虞もない。また、下部引出し電極膜片から延びる接続用端子は、各突起部の外側に位置するので、この端子部分に塗布した導電性接着剤が突起を乗り越えて他の部分に流出することもない。
請求項2の発明では、上部引出し電極膜は、突起部の下面にまで延在しており、該突起部下面の上部引出し電極膜は基台上の下部引出し電極膜の一部と固着されるので、バッチ処理において、圧電センサをシート状に連結した母材をダイシングにより切断する際においても、突起部が折れたり、切断不良が発生することがなくなる。
請求項3の発明では、検出部材の前後端縁側に突起を設ける代わりに張出し板部を延長形成し、更に基台側に切欠き部と連通する凹所を形成した。このため、基台側から接着剤を充填することが可能となり、接着剤が検出片の薄肉部(ダイヤフラム部)に付着する虞が皆無となる。
請求項4の発明は、少なくとも前記検出片を水晶から構成することにより、優れた感度、検出精度、耐久性を確保することができる。
請求項5、6の発明によれば、切欠き部を熱硬化型接着剤によって封止する過程で、空間内を抜気、真空化することが容易となり、生産性を高めることができる。
請求項7の発明によれば、熱硬化型接着剤の一部を切欠き部内に押し込むことによって、そのアンカー効果を高めて封止力、固定力をアップできる。
請求項3の発明では、検出部材の前後端縁側に突起を設ける代わりに張出し板部を延長形成し、更に基台側に切欠き部と連通する凹所を形成した。このため、基台側から接着剤を充填することが可能となり、接着剤が検出片の薄肉部(ダイヤフラム部)に付着する虞が皆無となる。
請求項4の発明は、少なくとも前記検出片を水晶から構成することにより、優れた感度、検出精度、耐久性を確保することができる。
請求項5、6の発明によれば、切欠き部を熱硬化型接着剤によって封止する過程で、空間内を抜気、真空化することが容易となり、生産性を高めることができる。
請求項7の発明によれば、熱硬化型接着剤の一部を切欠き部内に押し込むことによって、そのアンカー効果を高めて封止力、固定力をアップできる。
以下、本発明の圧力センサについて添付図面に示した実施の形態に基づいて説明する。
図1(a)は本発明の圧力センサを構成する基台の平面図、A−A断面図、及びB−B断面図であり、図1(b)は圧力センサを構成する検出部材の平面図(透視図)、C−C断面図、及びD−D断面図である。図2(a)乃至(d)は本発明の圧力センサの製造工程説明図である。
このタッチモード容量型圧力センサ(以下、圧力センサ、という)1は、例えば自動車等の車両のタイヤ内の適所に図示しないトランスポンダに組み付けられた状態で固定配置されて使用される。トランスポンダは、アンテナコイルを備え、車両側のアンテナから出力された電磁波によってアンテナコイルに誘起される電流によって圧力センサを作動させ、測定された圧力情報を電磁波として車両側へ出力する。タイヤ内の空気圧は、圧力センサ1の薄肉部(ダイヤフラム)に加わり、真空に設定された気密空間S内の圧力を越えた圧力が加わった場合に薄肉部12aを撓み変形させる。
この圧力センサ1は、セラミック、ガラス、水晶等の絶縁材料から成る底板(絶縁板)3の面上に、Cr−Au等の金属膜から成る固定電極4、下部引出し電極膜5等を形成した基台2と、水晶、シリコン等から成る検出片12の下面にCr−Au等の金属膜から成る可動電極13、上部引出し電極膜14等を形成した検出部材11と、を備え、基台2上面の下部引出し電極膜5に対して、Au−Su等のろう材15を用いて、検出部材11上の上部引出し電極膜14を接合一体化した構成を備えている。
本発明の一つの特徴は、下部引出し電極膜5と上部引出し電極膜14の各形状と、検出片12に設けた突起部の形状等に存する。
図1(a)は本発明の圧力センサを構成する基台の平面図、A−A断面図、及びB−B断面図であり、図1(b)は圧力センサを構成する検出部材の平面図(透視図)、C−C断面図、及びD−D断面図である。図2(a)乃至(d)は本発明の圧力センサの製造工程説明図である。
このタッチモード容量型圧力センサ(以下、圧力センサ、という)1は、例えば自動車等の車両のタイヤ内の適所に図示しないトランスポンダに組み付けられた状態で固定配置されて使用される。トランスポンダは、アンテナコイルを備え、車両側のアンテナから出力された電磁波によってアンテナコイルに誘起される電流によって圧力センサを作動させ、測定された圧力情報を電磁波として車両側へ出力する。タイヤ内の空気圧は、圧力センサ1の薄肉部(ダイヤフラム)に加わり、真空に設定された気密空間S内の圧力を越えた圧力が加わった場合に薄肉部12aを撓み変形させる。
この圧力センサ1は、セラミック、ガラス、水晶等の絶縁材料から成る底板(絶縁板)3の面上に、Cr−Au等の金属膜から成る固定電極4、下部引出し電極膜5等を形成した基台2と、水晶、シリコン等から成る検出片12の下面にCr−Au等の金属膜から成る可動電極13、上部引出し電極膜14等を形成した検出部材11と、を備え、基台2上面の下部引出し電極膜5に対して、Au−Su等のろう材15を用いて、検出部材11上の上部引出し電極膜14を接合一体化した構成を備えている。
本発明の一つの特徴は、下部引出し電極膜5と上部引出し電極膜14の各形状と、検出片12に設けた突起部の形状等に存する。
まず、基台2は、矩形平板状の底板3の上面中央に所定形状(この例では矩形)の金属膜である固定電極4を備え、固定電極4の外周との間に所定の狭いスペース(例えば、0.1mm)を介して配置された下部引出し電極膜5と、固定電極4の表面を絶縁被覆する薄膜としての誘電体膜(SiO2)6と、を備えている。
下部引出し電極膜5は、前後方向端部中央に夫々設けた切欠き部7によって、左右の下部引出し電極膜片5a、5bに分割されている。この例では、左方の下部引出し電極膜片5aだけがリード部5a’を介して固定電極4と導通している。右方の下部引出し電極膜片5bは、固定電極4とは導通していない。左右の下部引出し電極膜片5a、5bは、略左右対称な形状を備えており、下部引出し電極膜片5a、5bは、夫々2つの切欠き部7を介して対向配置されたコ字状部5a−1、5b−1と、各コ字状部5a−1、5b−1の前後端縁中央部から夫々前後方向へ引き出されたL字状部5a−2、5b−2と、を備えている。後述するように、各コ字状部5a−1、5b−1と、各L字状部5a−2、5b−2の一部は、検出部材11側の上部引出し電極膜14と整合する形状、及び位置関係を有するように構成されている。なお、各L字状部5a−2、5b−2のうち、上部引出し電極膜14と重ならない部分、即ち各L字状部5a−2、5b−2の先端部分は外部回路(トランスポンダー側の端子)との接続用端子部5cを構成している。
なお、固定電極4、下部引出し電極膜5からなる金属膜パターンの構成は、種々変形可能であり、図示した例は一例に過ぎない。
下部引出し電極膜5は、前後方向端部中央に夫々設けた切欠き部7によって、左右の下部引出し電極膜片5a、5bに分割されている。この例では、左方の下部引出し電極膜片5aだけがリード部5a’を介して固定電極4と導通している。右方の下部引出し電極膜片5bは、固定電極4とは導通していない。左右の下部引出し電極膜片5a、5bは、略左右対称な形状を備えており、下部引出し電極膜片5a、5bは、夫々2つの切欠き部7を介して対向配置されたコ字状部5a−1、5b−1と、各コ字状部5a−1、5b−1の前後端縁中央部から夫々前後方向へ引き出されたL字状部5a−2、5b−2と、を備えている。後述するように、各コ字状部5a−1、5b−1と、各L字状部5a−2、5b−2の一部は、検出部材11側の上部引出し電極膜14と整合する形状、及び位置関係を有するように構成されている。なお、各L字状部5a−2、5b−2のうち、上部引出し電極膜14と重ならない部分、即ち各L字状部5a−2、5b−2の先端部分は外部回路(トランスポンダー側の端子)との接続用端子部5cを構成している。
なお、固定電極4、下部引出し電極膜5からなる金属膜パターンの構成は、種々変形可能であり、図示した例は一例に過ぎない。
次に、検出部材11は、誘電体膜6と対向する位置関係にあり、且つ誘電体膜6との間に微小ギャップを隔てて対向配置される薄肉部12a、及び薄肉部12aの外周縁に一体化された厚肉環状部12bを有する検出片12と、薄肉部12a下面の少なくとも一部に形成され且つ固定電極4と対向する位置関係にある可動電極13と、検出片12の厚肉環状部12b下面に形成され且つ可動電極13と接続される上部引出し電極膜14と、を備えている。なお、この例では、接合用のろう材15が上部引出し電極膜14の下面に沿って積層されているが、ろう材15は下部引出し電極膜5上に予め形成しておいてもよい。
検出片12は、その前後方向端縁に夫々2つの突起部12cを備え、各対をなす突起部間には所定の間隔が設けられている。つまり、検出片12の前端縁と、後端縁には、夫々所定の間隔をおいて配置された2つずつの突起部12cが突設されている。
上部引出し電極膜14は、前後端縁の中央部に夫々設けた各切欠き部16によって左右の上部引出し電極膜片14a、14bに分割され、(平面から見て)右側の上部引出し電極膜片14bだけがリード部14b’を介して可動電極13と導通し、左側の上部引出し電極片14aは可動電極13と導通していない。
このような構成を有した基台2上に、検出部材11をろう材15を介して重ね合わせ、ろう材を加熱溶融させることによって、両者の接合を完了する。この際、誘電体膜6と可動電極13との間には所定の微小ギャップ(例えば、3μm)から成る空間Sが保持される。この空間Sは後述する接着剤により封止されることによって、基準圧力室となる。
基台2と検出部材11とを接合した状態において、可動電極13と非導通である左側の上部引出し電極膜片14aは、基台上の左側の下部引出し電極膜片5aを介して固定電極4と導通する。一方、右側の下部引出し電極膜片5bは、検出片下面の右側の上部引出し電極膜片12bを介して可動電極13と導通する。
検出片12は、その前後方向端縁に夫々2つの突起部12cを備え、各対をなす突起部間には所定の間隔が設けられている。つまり、検出片12の前端縁と、後端縁には、夫々所定の間隔をおいて配置された2つずつの突起部12cが突設されている。
上部引出し電極膜14は、前後端縁の中央部に夫々設けた各切欠き部16によって左右の上部引出し電極膜片14a、14bに分割され、(平面から見て)右側の上部引出し電極膜片14bだけがリード部14b’を介して可動電極13と導通し、左側の上部引出し電極片14aは可動電極13と導通していない。
このような構成を有した基台2上に、検出部材11をろう材15を介して重ね合わせ、ろう材を加熱溶融させることによって、両者の接合を完了する。この際、誘電体膜6と可動電極13との間には所定の微小ギャップ(例えば、3μm)から成る空間Sが保持される。この空間Sは後述する接着剤により封止されることによって、基準圧力室となる。
基台2と検出部材11とを接合した状態において、可動電極13と非導通である左側の上部引出し電極膜片14aは、基台上の左側の下部引出し電極膜片5aを介して固定電極4と導通する。一方、右側の下部引出し電極膜片5bは、検出片下面の右側の上部引出し電極膜片12bを介して可動電極13と導通する。
下部引出し電極膜5の前後方向各端縁に夫々設けた切欠き部7と、上部引出し電極膜14の前後方向各端縁に夫々設けた切欠き部16は、互いに整合する位置関係で、整合する開口寸法となるように設定されており、いずれも一対の突起部12cの中間位置に配置される。従って、基台2と検出部材11とを接合した状態において、上部引出し電極膜と下部引出し電極膜に夫々設けた各切欠き部7、16は互いに合致する位置関係にあることによって各切欠き部7、16を介して空間Sは外部と連通した状態となる(図2(a)(b))。換言すれば、各引出し電極5、14、及びろう材15の肉厚は、接合完了後に必要十分な高さの切欠き部を形成するのに十分な程度の肉厚とする必要がある。
厚肉環状部12bは、切欠き部16の左右両側方位置に夫々前後方向へ突出する突起部12cを備えているが、上部引出し電極膜14及びろう材15は、各突起部12cの下面にまで連続して延在している。従って、ろう材15による接合時には、各突起部12cの下面は、基台2の上面(L字状部5a−2、5b−2の基部)に対して固着されることとなる。
後述するように、本発明は、2つの突起部12c間に充填される絶縁接着剤20によって切欠き部7、16を封止した構成を有するが、切欠き部を封止することにより、空間Sを気密化された基準圧力室とすることができる。また、塗布された絶縁接着剤20は、両サイドに位置する突起部12cによって外部への流出が防止される。空間S内の気圧についても、後述する製造工程によって任意の気圧(真空)に設定することができる。
圧力センサ1とトランスポンダ側との電気的接続の確保は、各端子5cとトランスポンダ側の端子との間を図示しない導電性接着剤により接続することにより行うが、各端子5cに導電性接着剤を塗布する際に、余剰接着剤が端子5c周辺に展開したとしても、各端子5cの近傍には同電位の電極膜しか存在しないため、短絡の虞がなくなる。また、突起部12cの存在により、導電性接着剤が他の部位に流出、展開することも防止される。
厚肉環状部12bは、切欠き部16の左右両側方位置に夫々前後方向へ突出する突起部12cを備えているが、上部引出し電極膜14及びろう材15は、各突起部12cの下面にまで連続して延在している。従って、ろう材15による接合時には、各突起部12cの下面は、基台2の上面(L字状部5a−2、5b−2の基部)に対して固着されることとなる。
後述するように、本発明は、2つの突起部12c間に充填される絶縁接着剤20によって切欠き部7、16を封止した構成を有するが、切欠き部を封止することにより、空間Sを気密化された基準圧力室とすることができる。また、塗布された絶縁接着剤20は、両サイドに位置する突起部12cによって外部への流出が防止される。空間S内の気圧についても、後述する製造工程によって任意の気圧(真空)に設定することができる。
圧力センサ1とトランスポンダ側との電気的接続の確保は、各端子5cとトランスポンダ側の端子との間を図示しない導電性接着剤により接続することにより行うが、各端子5cに導電性接着剤を塗布する際に、余剰接着剤が端子5c周辺に展開したとしても、各端子5cの近傍には同電位の電極膜しか存在しないため、短絡の虞がなくなる。また、突起部12cの存在により、導電性接着剤が他の部位に流出、展開することも防止される。
また、本発明における基台2上の下部引出し電極膜5のパターンは、圧力センサをタイヤ内部に配置した場合に、高気圧雰囲気と外部応力に起因して金属部分に発生することが想定されるウィスカーに対しても十分な配慮がなされている。即ち、気密空間S内の真空雰囲気中にある金属部分は別として、タイヤ内の高気圧雰囲気と接する金属部分にはマイグレーションによってひげ状の金属(ウィスカー)が形成され、従来はこれを介して近接した金属パターン間を短絡させる不具合が多発する。特に、小型化のためにパターンピッチを小型化すると、ショートが多発していた。しかし、本発明ではマイグレーション対策がなされている。即ち、これを図1(a)の下部引出し電極膜5について説明すれば、固定電極4とこれを包囲する金属パターン5a、5bとの間のスペースは真空中にあり、外気に曝されることがないため、ウィスカーが形成されることによる短絡発生の余地がない。一方、金属パターン5a、5bの外側部分はタイヤ内の高気圧に曝されるが、金属パターン5a、5bの外周縁にウィスカーが形成されたとしても短絡を起こす対象となる金属膜が近くに存在しないため、ウィスカーによる不具合が発生する余地がない。
なお、薄肉部12a上の可動電極13の面上には、誘電体膜が成膜されていないため、封止用のろう材15の一部が金属パターン(上部引出し電極膜14)を伝わって可動電極13に流出する虞がある。このような不具合をなくするためには、引出し電極膜14、5を屈曲させた配線(例えば、クランク形状)として、直線的なろう材の流出を防止すればよい。
本発明では、検出部材11の突出部12cをもろう材にて基台側に固着しているので、ダイシングに際して突起部が振動することを防止できる。従って、突起部が振動することに起因してろう材の接合強度が低下したり、折れる等の虞がない。また、突起部をろう材にて固定することによって、熱硬化型接着剤20が毛細管現象によって接合面の隙間から流出する、という不具合が無くなる。
なお、薄肉部12a上の可動電極13の面上には、誘電体膜が成膜されていないため、封止用のろう材15の一部が金属パターン(上部引出し電極膜14)を伝わって可動電極13に流出する虞がある。このような不具合をなくするためには、引出し電極膜14、5を屈曲させた配線(例えば、クランク形状)として、直線的なろう材の流出を防止すればよい。
本発明では、検出部材11の突出部12cをもろう材にて基台側に固着しているので、ダイシングに際して突起部が振動することを防止できる。従って、突起部が振動することに起因してろう材の接合強度が低下したり、折れる等の虞がない。また、突起部をろう材にて固定することによって、熱硬化型接着剤20が毛細管現象によって接合面の隙間から流出する、という不具合が無くなる。
次に、本発明の圧力センサの測定原理を簡単に説明すると次の通りである。即ち、この実施形態では、基台2上面に設けた何れかの端子5cによって、固定電極4及び可動電極13と、外部回路との間の導通を確保することにより、各端子5cから通電し、固定電極・可動電極間の容量値の変化にもとづいて外部の圧力(薄肉部12aに加わった外部圧力)を算出することが可能となる。
即ち、コンデンサの容量値Cは、
C=ε・(S/d)(ε:誘電体の誘電率、S:電極の面積、d:電極の間隔)
で表される。
つまり、固定電極・可動電極間の間隔dを狭く(広く)設定すると、容量値Cが大きく(小さく)なる。一方、対向する2つの電極間の対向面積を大きくすると、容量値Cが大きく(小さく)なるという性質を有する。
上記のごとき構成を備えた圧力センサ1を大気中に配置し、気密空間S内を大気圧と同様の気圧に設定したと仮定する。外部の気圧が気密空間S内の気圧と同じ場合には、気密空間内の気圧は外気と釣合っているためダイヤフラムとしての薄肉部12aは変形しない。一方、外部の気圧が気密空間内気圧よりも高くなった場合には、薄肉部12aは変形して誘電体膜6に近接する。この圧力センサにおいては、外部圧力の多寡に応じて、薄肉部12aと誘電体膜6との接触面積Sが変化する。接触面積Sが狭い場合、即ち接触面積がS1の時と、広い接触面積S2の時(S1<S2)の容量値C1、C2とを比較すると、
接触面積がS1の場合には、C1=ε・(S1/d)となり、
接触面積がS2の場合には、C2=ε・(S2/d)となる。
このように外部圧力が、気密空間Sの圧力(大気圧)よりも大きくなると、薄肉部12a(ダイヤフラム)が変形し、可動電極13が誘電体膜6と接触するので、このときの可動電極13と誘電体膜6との接触面積の変化を容量値として検出して圧力をセンシングすることが可能となる。
但し、気密空間S内を大気圧に保持した場合には、空間内部の気体が周囲温度の変化によって膨張収縮を起こすため、薄肉部12aの初期位置がばらつきを起こす。このため、正確な測定が困難となる。そこで、本発明では、空間S内を真空とする。この場合には、外気圧によって薄肉部12aは常に基台側に変形した状態となり、誘電体膜6と接触した状態を初期状態として維持することとなる。このように空間内を真空とすることにより、基準気圧値が絶対ゼロ気圧であるため、外気温度の変化によってずれが生じる余地が無くなり、感度、精度が安定する。また、薄肉部12aが基台側にタッチした状態で圧力測定がスタートするため、直線性に優れた感度の良い測定が可能となる。つまり、初期状態において薄肉部が基台から離間している場合には、外部圧力の変化によって薄肉部が基台側にタッチするまでの検出精度が悪くなる一方で、タッチした状態からスタートするようにすれば、そのような不具合が解消される。
なお、図1等に示した圧力センサ1の基台2としては、セラミック、ガラス、水晶、その他のあらゆる絶縁材料を用いることができる。基台2、及び検出片12として同じ水晶材料を用いた場合には、検出片12を構成する水晶材料と熱膨張係数が一致するため、熱歪みによる悪影響を無くする利点がある。
即ち、コンデンサの容量値Cは、
C=ε・(S/d)(ε:誘電体の誘電率、S:電極の面積、d:電極の間隔)
で表される。
つまり、固定電極・可動電極間の間隔dを狭く(広く)設定すると、容量値Cが大きく(小さく)なる。一方、対向する2つの電極間の対向面積を大きくすると、容量値Cが大きく(小さく)なるという性質を有する。
上記のごとき構成を備えた圧力センサ1を大気中に配置し、気密空間S内を大気圧と同様の気圧に設定したと仮定する。外部の気圧が気密空間S内の気圧と同じ場合には、気密空間内の気圧は外気と釣合っているためダイヤフラムとしての薄肉部12aは変形しない。一方、外部の気圧が気密空間内気圧よりも高くなった場合には、薄肉部12aは変形して誘電体膜6に近接する。この圧力センサにおいては、外部圧力の多寡に応じて、薄肉部12aと誘電体膜6との接触面積Sが変化する。接触面積Sが狭い場合、即ち接触面積がS1の時と、広い接触面積S2の時(S1<S2)の容量値C1、C2とを比較すると、
接触面積がS1の場合には、C1=ε・(S1/d)となり、
接触面積がS2の場合には、C2=ε・(S2/d)となる。
このように外部圧力が、気密空間Sの圧力(大気圧)よりも大きくなると、薄肉部12a(ダイヤフラム)が変形し、可動電極13が誘電体膜6と接触するので、このときの可動電極13と誘電体膜6との接触面積の変化を容量値として検出して圧力をセンシングすることが可能となる。
但し、気密空間S内を大気圧に保持した場合には、空間内部の気体が周囲温度の変化によって膨張収縮を起こすため、薄肉部12aの初期位置がばらつきを起こす。このため、正確な測定が困難となる。そこで、本発明では、空間S内を真空とする。この場合には、外気圧によって薄肉部12aは常に基台側に変形した状態となり、誘電体膜6と接触した状態を初期状態として維持することとなる。このように空間内を真空とすることにより、基準気圧値が絶対ゼロ気圧であるため、外気温度の変化によってずれが生じる余地が無くなり、感度、精度が安定する。また、薄肉部12aが基台側にタッチした状態で圧力測定がスタートするため、直線性に優れた感度の良い測定が可能となる。つまり、初期状態において薄肉部が基台から離間している場合には、外部圧力の変化によって薄肉部が基台側にタッチするまでの検出精度が悪くなる一方で、タッチした状態からスタートするようにすれば、そのような不具合が解消される。
なお、図1等に示した圧力センサ1の基台2としては、セラミック、ガラス、水晶、その他のあらゆる絶縁材料を用いることができる。基台2、及び検出片12として同じ水晶材料を用いた場合には、検出片12を構成する水晶材料と熱膨張係数が一致するため、熱歪みによる悪影響を無くする利点がある。
次いで、図2、図3、図4、及び図5に基づいて、本発明の製造方法について説明する。図2は組付け手順を個片単位で説明する斜視図、図3乃至図5はウェハ単位でのバッチ処理による組付け手順を説明する説明図である。
バッチ処理による組立工程においては、まず、図3、図4(a)に示す如く複数の基台2を縦横に連結した基台ウェハ25上に、複数の検出部材11を縦横に連結した検出部材ウェハ30を載置する位置合わせ、接合工程が実施される。基台ウェハ25を構成する各基台個片の位置、個数と、検出部材ウェハ30を構成する各検出部材の位置、個数は、互いに合致するように予め製造されている。この位置合わせ固定では、図2(a)(b)にも示すように各基台個片上の下部引出し電極膜5上に、各検出部材個片の上部引出し電極膜14(ろう材15)が整合するように位置決めがなされる。この際、基台2上の各端子5cは検出部材11によって隠蔽されず、露出された状態となる。この状態で、ろう材15をその融点まで加熱してから、冷却することにより、各電極膜5、14同志を固着する。なお、対をなす突起部12c間に位置する間隙7、16は、開口した状態にある。
次に、図4(b)に示した熱硬化型接着剤塗布工程(空間Sの抜気工程)では、下部引出し電極5上に上部引出し電極膜14を接合することにより基台2上に検出部材11を固定した際に露出した状態となる切欠き部7、16を封止するために、熱硬化型接着剤20を塗布する。そして、図2(c)に示すように、熱硬化型接着剤20をその硬化温度未満に加熱することによって熱硬化型接着剤を溶融させ、且つ膨張した空間S内の気体が溶融接着剤20に貫通孔20aを形成しつつ外部に噴出し、抜気が行われる。続いて、(d)に示すように、溶融接着剤20の収縮力によって貫通孔が自然に塞がれる。つまり、溶融接着剤に一時的に貫通孔20aを形成して空間S内を抜気し、その後貫通孔が溶融接着剤20の原形復帰力によって塞がれる。次いで、熱硬化型接着剤20をその硬化温度まで加熱することにより熱硬化型接着剤を硬化させて、空間Sを気密空間とすることができる(硬化工程)。
この抜気作業を真空雰囲気中にて実施することにより、気密空間S内を真空、或いは減圧状態とすることができる。
バッチ処理による組立工程においては、まず、図3、図4(a)に示す如く複数の基台2を縦横に連結した基台ウェハ25上に、複数の検出部材11を縦横に連結した検出部材ウェハ30を載置する位置合わせ、接合工程が実施される。基台ウェハ25を構成する各基台個片の位置、個数と、検出部材ウェハ30を構成する各検出部材の位置、個数は、互いに合致するように予め製造されている。この位置合わせ固定では、図2(a)(b)にも示すように各基台個片上の下部引出し電極膜5上に、各検出部材個片の上部引出し電極膜14(ろう材15)が整合するように位置決めがなされる。この際、基台2上の各端子5cは検出部材11によって隠蔽されず、露出された状態となる。この状態で、ろう材15をその融点まで加熱してから、冷却することにより、各電極膜5、14同志を固着する。なお、対をなす突起部12c間に位置する間隙7、16は、開口した状態にある。
次に、図4(b)に示した熱硬化型接着剤塗布工程(空間Sの抜気工程)では、下部引出し電極5上に上部引出し電極膜14を接合することにより基台2上に検出部材11を固定した際に露出した状態となる切欠き部7、16を封止するために、熱硬化型接着剤20を塗布する。そして、図2(c)に示すように、熱硬化型接着剤20をその硬化温度未満に加熱することによって熱硬化型接着剤を溶融させ、且つ膨張した空間S内の気体が溶融接着剤20に貫通孔20aを形成しつつ外部に噴出し、抜気が行われる。続いて、(d)に示すように、溶融接着剤20の収縮力によって貫通孔が自然に塞がれる。つまり、溶融接着剤に一時的に貫通孔20aを形成して空間S内を抜気し、その後貫通孔が溶融接着剤20の原形復帰力によって塞がれる。次いで、熱硬化型接着剤20をその硬化温度まで加熱することにより熱硬化型接着剤を硬化させて、空間Sを気密空間とすることができる(硬化工程)。
この抜気作業を真空雰囲気中にて実施することにより、気密空間S内を真空、或いは減圧状態とすることができる。
或いは、接着剤を塗布した後で真空雰囲気中に配置すれば、空間S内の気体が接着剤に貫通孔を形成し、外部に噴出する。この際、必要に応じて接着剤を硬化温度以下に加熱しても良い。
一つの個片につき、切欠き部が2個所設けられているため、抜気に際して空間S内の気体が外部に噴出する際に、噴出の勢いを分散することができ、封止用の接着剤20の飛散を防止できる。
なお、抜気工程(熱硬化型接着剤塗布工程)の後、硬化工程前、即ち接着剤20が溶融した状態にあり、且つ貫通孔20aが既に塞がれた状態にあるときに、気密空間S外の気圧を所定値高めることによって、溶融接着剤20の一部を切欠き部7、16内に押し込んだ状態とすることができる。つまり、気密空間S内の気圧よりも外部気圧を高めることにより、図2(d)右図(断面図)のように、接着剤20の一部が切欠き部内に十分な量入り込んだ状態となり、この状態で硬化させることにより、接着剤のアンカー効果による封止力、固定力の向上を図ることが出来る。
なお、図2の例では、切欠き部7、16を塞ぐに足る程度の量の接着剤20を滴下した例を示しているのに対して、図4(b)では検出部材ウェハ30の突起部12a間に形成される開口31内を満たすようにスクリーン印刷等によって接着剤20を充填しているが、どちらでも良い。バッチ処理に際して効率的な接着剤の塗布方法としては、図4(b)の方法が好ましい。この場合も、抜気工程の実施時に十分な抜気が可能である。
図5は基台ウェハ上に対する検出部材ウェハの位置決め、接合、接着剤の塗布(充填)、抜気、硬化の各工程を完了した後で、個片に分割する工程を示している。分割は例えば、個片間の境界に沿ったダイシングによって行う。
一つの個片につき、切欠き部が2個所設けられているため、抜気に際して空間S内の気体が外部に噴出する際に、噴出の勢いを分散することができ、封止用の接着剤20の飛散を防止できる。
なお、抜気工程(熱硬化型接着剤塗布工程)の後、硬化工程前、即ち接着剤20が溶融した状態にあり、且つ貫通孔20aが既に塞がれた状態にあるときに、気密空間S外の気圧を所定値高めることによって、溶融接着剤20の一部を切欠き部7、16内に押し込んだ状態とすることができる。つまり、気密空間S内の気圧よりも外部気圧を高めることにより、図2(d)右図(断面図)のように、接着剤20の一部が切欠き部内に十分な量入り込んだ状態となり、この状態で硬化させることにより、接着剤のアンカー効果による封止力、固定力の向上を図ることが出来る。
なお、図2の例では、切欠き部7、16を塞ぐに足る程度の量の接着剤20を滴下した例を示しているのに対して、図4(b)では検出部材ウェハ30の突起部12a間に形成される開口31内を満たすようにスクリーン印刷等によって接着剤20を充填しているが、どちらでも良い。バッチ処理に際して効率的な接着剤の塗布方法としては、図4(b)の方法が好ましい。この場合も、抜気工程の実施時に十分な抜気が可能である。
図5は基台ウェハ上に対する検出部材ウェハの位置決め、接合、接着剤の塗布(充填)、抜気、硬化の各工程を完了した後で、個片に分割する工程を示している。分割は例えば、個片間の境界に沿ったダイシングによって行う。
次に、図6は、本発明の変形実施形態に係る圧力センサの分解斜視図であり、図1、図2に示した実施形態と同一部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。本実施形態の圧力センサでは、検出部材11を構成する検出片12の前後端縁に突起部12cに代えて庇状の張出し板部12dを形成する。換言すれば、2つの突起部12c間の間隙を埋めて連結することによって庇状の張出し板部12dを形成した構成を有している。この張出し板部12dの下面には、上部張出し電極膜14を前後方向へ突出させた突起部14cが形成されている。突起部14cの下面にもろう材から成る突起部15cが形成されている。
一方、各張出し板部12bが対向する基台2側の前後端縁部には切欠き部7と連通する程度のサイズを有した凹所(開口)35を形成する。この凹所35は、図1(a)の平面図からも明らかなように、図1の実施形態における基台2の前後端縁のうち、下部引出し電極膜5が形成されていない底板3部分を所定形状(本例では矩形)に切り欠いたものである。
上記以外の他の構成の点では、図1の実施形態とほぼ同様である。また、基台と検出部材との位置合わせ、接合、抜気、硬化工程についても、図2にて説明した手順がそのまま当てはまる。
但し、熱硬化型接着剤20の塗布に際しては、接着剤の塗布、或いは充填方向が図1、図2の実施形態と逆になる。即ち、基台2上に検出部材11を接合した際に、検出部材11の張出し板12dが検出部材側(能動側)からの接着剤塗布、充填を妨げる構造となっている一方で、反対側、即ち非能動側である基台側には切欠き部7、16と連通した凹所35が存在するため、凹所35側から接着剤20を塗布、充填することが可能となる。凹所35側、即ち基台側から接着剤を塗布するメリットは、接着剤が誤って検出部材の薄肉部12aに付着する虞が激減する点である。仮に塗布ミスが起きて、接着剤が基台の凹所周辺、その他凹所以外の部分に付着したとしても、圧力センサの機能には悪影響がない。
この点を図7、図8(a)(b)、図9に基づいて更に説明すれば、本実施形態における基台ウェハ25と検出部材ウェハ30は、図7に示すような構成となる。検出部材ウェハ30の張出し板12dに相当する部分が平坦なスペースとなる一方、このスペースの前後方向には切欠き部16が位置している。他方、対向配置される基台ウェハ25側の対応する位置には、2つの凹所35が連結した開口35Aが貫通形成されているため、図8(a)のように両者を接合した状態において、開口35Aから熱硬化性接着剤20を適量充填することにより、切欠き部7、16を塞ぐことが出来る。個片を切り出した状態は、図9に示す通りである。
一方、各張出し板部12bが対向する基台2側の前後端縁部には切欠き部7と連通する程度のサイズを有した凹所(開口)35を形成する。この凹所35は、図1(a)の平面図からも明らかなように、図1の実施形態における基台2の前後端縁のうち、下部引出し電極膜5が形成されていない底板3部分を所定形状(本例では矩形)に切り欠いたものである。
上記以外の他の構成の点では、図1の実施形態とほぼ同様である。また、基台と検出部材との位置合わせ、接合、抜気、硬化工程についても、図2にて説明した手順がそのまま当てはまる。
但し、熱硬化型接着剤20の塗布に際しては、接着剤の塗布、或いは充填方向が図1、図2の実施形態と逆になる。即ち、基台2上に検出部材11を接合した際に、検出部材11の張出し板12dが検出部材側(能動側)からの接着剤塗布、充填を妨げる構造となっている一方で、反対側、即ち非能動側である基台側には切欠き部7、16と連通した凹所35が存在するため、凹所35側から接着剤20を塗布、充填することが可能となる。凹所35側、即ち基台側から接着剤を塗布するメリットは、接着剤が誤って検出部材の薄肉部12aに付着する虞が激減する点である。仮に塗布ミスが起きて、接着剤が基台の凹所周辺、その他凹所以外の部分に付着したとしても、圧力センサの機能には悪影響がない。
この点を図7、図8(a)(b)、図9に基づいて更に説明すれば、本実施形態における基台ウェハ25と検出部材ウェハ30は、図7に示すような構成となる。検出部材ウェハ30の張出し板12dに相当する部分が平坦なスペースとなる一方、このスペースの前後方向には切欠き部16が位置している。他方、対向配置される基台ウェハ25側の対応する位置には、2つの凹所35が連結した開口35Aが貫通形成されているため、図8(a)のように両者を接合した状態において、開口35Aから熱硬化性接着剤20を適量充填することにより、切欠き部7、16を塞ぐことが出来る。個片を切り出した状態は、図9に示す通りである。
次に、図10は他の実施形態に係る圧力センサにおける基台側の金属パターン図、及び検出部材側の金属パターン図である。まず、基台側の金属パターンは、基台中央の固定電極4と左側の下部引出し電極膜片5aとが導通している一方で、固定電極4と右側の下部引出し電極片5bとは電気的に分離している。両電極膜片5a、5bのコ字状部5a−1、5b−1の端部間には切欠き部7が存在する。コ字状部5a−1、5b−1の外側には外部回路との接続用端子5cが連設されている。この下部引出し電極膜5において、マイグレーションによるウィスカー発生が予想される個所は、タイヤ内の高圧雰囲気に曝される個所、即ちコ字状部5a−1、5b−1と端子5cを備えた部分との間であるが、これらの部分は同電位であるため、短絡が発生しても全く問題がない。従って、この実施形態の金属パターンによれば、マイグレーションに対する対策が万全となる。
検出部材11側の金属パターンは基台側に対応している。
図11は他の実施形態に係る圧力センサにおける基台側の金属パターン図、及び検出部材側の金属パターン図である。基台側の金属パターンが図10と異なる点は、図10のようにコ字状部5a−1、5b−1と端子5cを備えたパターンとが分離していない点のみであり、他の構成、作用、効果は図10と同様である。
検出部材11側の金属パターンは基台側に対応している。
図11は他の実施形態に係る圧力センサにおける基台側の金属パターン図、及び検出部材側の金属パターン図である。基台側の金属パターンが図10と異なる点は、図10のようにコ字状部5a−1、5b−1と端子5cを備えたパターンとが分離していない点のみであり、他の構成、作用、効果は図10と同様である。
次に、図12は本発明の変形例に係る引出し電極膜の構成図である。即ち、タイヤの高圧雰囲気に曝される金属パターン、即ち、引出し電極膜5、14の角部が図示しない例のように尖っている場合には、角部に応力が集中して損耗し易いので、応力緩和のために、図12に示すように角部を曲線状、或いは多角形状としてもよい。
次に、図13(a)(b)及び(c)は、図1、図2に示した実施形態に係る圧力センサの各金属パターンの変形例を示す図であり、図1、図2と同一部分には同一符号を付して説明する。
図13(a)(b)(c)の各実施形態が図1、図2の実施形態における金属パターンと異なる点は、各引出し電極膜5、11における切欠き部7、16の形状(コ字状部同志の対向する端縁の形状)である。即ち、(a)では切欠き部7、16の内壁の形状が、内側から外側へ向かって幅がテーパー状に漸減するように構成されている。(b)では切欠き部7、16の内壁形状が凹凸状に構成されている。(c)では切欠き部7、16の内壁形状が山形のギザギザ状に形成されている。
上記各切欠き部7、16の内壁形状による特徴的な効果は、切欠き部内に充填されてこれを封止する熱硬化型接着剤のアンカー効果を大幅に高めることにある。
以上説明した本発明の圧力センサは車両のタイヤ内に装備されて空気圧変化を測定する空気圧センサとして説明したが、本発明はタイヤに限らず種々の空気圧(ガス圧)を測定する手段として利用することができる。
次に、図13(a)(b)及び(c)は、図1、図2に示した実施形態に係る圧力センサの各金属パターンの変形例を示す図であり、図1、図2と同一部分には同一符号を付して説明する。
図13(a)(b)(c)の各実施形態が図1、図2の実施形態における金属パターンと異なる点は、各引出し電極膜5、11における切欠き部7、16の形状(コ字状部同志の対向する端縁の形状)である。即ち、(a)では切欠き部7、16の内壁の形状が、内側から外側へ向かって幅がテーパー状に漸減するように構成されている。(b)では切欠き部7、16の内壁形状が凹凸状に構成されている。(c)では切欠き部7、16の内壁形状が山形のギザギザ状に形成されている。
上記各切欠き部7、16の内壁形状による特徴的な効果は、切欠き部内に充填されてこれを封止する熱硬化型接着剤のアンカー効果を大幅に高めることにある。
以上説明した本発明の圧力センサは車両のタイヤ内に装備されて空気圧変化を測定する空気圧センサとして説明したが、本発明はタイヤに限らず種々の空気圧(ガス圧)を測定する手段として利用することができる。
1 タッチモード容量型圧力センサ、2 基台、3 底板(絶縁板)、4 固定電極、5 下部引出し電極膜、5a、5b 下部引出し電極膜片、5a−1、5b−1 コ字状部、5a−2、5b−2 L字状部、5c 接続用端子、6 誘電体膜、7 切欠き部、11 検出部材、12 検出片、12a 薄肉部、12b 環状厚肉部、12c 突起部、12d 張出し板部、13 可動電極、14 上部引出し電極膜、14a、14b 上部引出し電極膜片、15 ろう材、16 切欠き部、20 熱硬化型接着剤(絶縁接着剤)、25 基台ウェハ、30 検出部材ウェハ、35 凹所、35A 開口
Claims (7)
- 絶縁材料から成る底板と、該底板の上面に順次積層された固定電極及び誘電体膜と、固定電極と離間し且つ固定電極外周をほぼ包囲するように底板上面に形成された下部引出し電極膜と、を備えた基台と、
誘電体膜と対向する位置関係にある薄肉部、及び該薄肉部の外周縁に一体化された厚肉環状部を有した絶縁材料から成る検出片と、該薄肉部下面の少なくとも一部に形成され且つ固定電極と対向する位置関係にある可動電極と、検出片の厚肉環状部下面に形成され且つ可動電極と離間し且つ可動電極外周をほぼ包囲するように構成された上部引出し電極膜と、を有した検出部材と、を備え、
基台上面に検出部材を接合する際に、基台上面の下部引出し電極膜は、検出部材下面の上部引出し電極膜と整合する位置関係で接合するように構成され、
可動電極と、固定電極を覆う誘電体膜との間に微小ギャップの空間が形成された圧力センサであって、
上部引出し電極膜は、前後端縁に夫々設けた切欠き部によって左右の上部引出し電極膜片に分割され、一方の上部引出し電極膜片だけが可動電極と導通し、
下部引出し電極膜は、前後端縁に夫々設けた切欠き部によって左右の下部引出し電極膜片に分割され、一方の下部引出し電極膜片だけが固定電極と導通し、
他方の上部引出し電極膜片は、一方の下部引出し電極膜片を介して固定電極と導通し、
他方の下部引出し電極膜片は、一方の上部引出し電極膜片を介して可動電極と導通し、
上部引出し電極膜と下部引出し電極膜に夫々設けた各切欠き部は互いに合致する位置関係にあることによって各切欠き部を介して前記空間は外部と連通した状態にあり、
前記検出片は、前記切欠き部の両側方位置に夫々前後方向へ突出する突起部を2つずつ備え、
前記2つの突起部間に充填された接着剤によって前記切欠き部が封止され、
前記各下部引出し電極膜片は、2つの突起部の外側位置に延在しており、突起部の外側に位置する下部引出し電極膜片の端部を外部回路との接続用端子としていることを特徴とする圧力センサ。 - 前記上部引出し電極膜は、前記突起部の下面にまで延在しており、該突起部下面の上部引出し電極膜は基台上の下部引出し電極膜の一部と固着されることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
- 絶縁材料から成る底板と、該底板の上面に順次積層された固定電極及び誘電体膜と、固定電極と離間し且つ固定電極の外周をほぼ包囲するように底板上面に形成された下部引出し電極膜と、を備えた基台と、
誘電体膜と対向する位置関係にある薄肉部、及び該薄肉部の外周縁に一体化された厚肉環状部を有した絶縁材料から成る検出片と、該薄肉部下面の少なくとも一部に形成され且つ固定電極と対向する位置関係にある可動電極と、検出片の厚肉環状部下面に形成され且つ可動電極と離間し且つ可動電極の外周をほぼ包囲するように構成された上部引出し電極膜と、を有した検出部材と、を備え、
基台上面に検出部材を接合する際に、基台上面の下部引出し電極膜は、検出部材下面の上部引出し電極膜と整合する位置関係で接合するように構成され、
可動電極と、固定電極を覆う誘電体膜との間に微小ギャップの空間が形成された圧力センサであって、
上部引出し電極膜は、前後端縁に夫々設けた切欠き部によって左右の上部引出し電極膜片に分割され、一方の上部引出し電極膜片だけが可動電極と導通し、
下部引出し電極膜は、前後端縁に夫々設けた切欠き部によって左右の下部引出し電極膜片に分割され、一方の下部引出し電極膜片だけが固定電極と導通し、
他方の上部引出し電極膜片は、一方の下部引出し電極膜片を介して固定電極と導通し、
他方の下部引出し電極膜片は、一方の上部引出し電極膜片を介して可動電極と導通し、
上部引出し電極膜と下部引出し電極膜に夫々設けた各切欠き部は互いに合致する位置関係にあることによって各切欠き部を介して前記空間は外部と連通した状態にあり、
検出片は、前後端縁に夫々庇状の張出し板部を備え、各張出し板部下面には切欠き部の左右両側に前後方向へ突出するように上部引出し電極膜からなる突起部が設けられ、
底板は、検出部材側の張出し板部と対向する位置に開口を備え、該開口は切欠き部と連通した構成を備え、
前記底板に設けた開口から充填された接着剤によって前記切欠き部が封止され、
前記各下部引出し電極膜片は、2つの突起部の外側位置に延在しており、突起部の外側に位置する下部引出し電極膜片の端部を外部回路との接続用の端子としていることを特徴とする圧力センサ。 - 少なくとも前記検出片は、水晶から構成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の圧力センサ。
- 請求項1乃至4の何れか一項に記載の圧力センサの製造方法であって、
前記下部引出し電極膜上に上部引出し電極膜を接合することにより基台上に検出部材を固定した後で、前記切欠き部を封止するように熱硬化型接着剤を塗布する熱硬化型接着剤塗布工程と、
該熱硬化型接着剤を硬化温度未満に加熱することによって熱硬化型接着剤を溶融させ、且つ膨張した気密空間内の気体が溶融接着剤に一時的に貫通孔を形成して外部に噴出し、その後貫通孔が塞がれる抜気工程と、
熱硬化型接着剤をその硬化温度まで加熱することにより熱硬化型接着剤を硬化させる硬化工程と、を備えたことを特徴とする圧力センサの製造方法。 - 前記抜気工程を真空雰囲気中にて実施することを特徴とする請求項5に記載の圧力センサの製造方法。
- 前記抜気工程後、硬化工程前に、気密空間外の気圧を高めることによって、溶融接着剤の一部を切欠き部内に押し込んだ状態とすることを特徴とする請求項4又は5に記載の圧力センサの製造方法。
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JP2004142959A JP2005326190A (ja) | 2004-05-12 | 2004-05-12 | 圧力センサ、及びその製造方法 |
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JP2017096855A (ja) * | 2015-11-26 | 2017-06-01 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 物理量検出装置 |
CN110471556A (zh) * | 2018-05-11 | 2019-11-19 | 触零有限公司 | 传感器装置及方法 |
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2004
- 2004-05-12 JP JP2004142959A patent/JP2005326190A/ja active Pending
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