JP2005325529A - 制振構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】柱梁架構の単位構面全体での荷重と変形との関係(復元力特性)を調整可能とする制振構造を提案する。
【解決手段】ブレース付柱梁架構10に構成される制振構造であって、一方のブレースをエネルギー吸収機能を有する剛性の高い剛ブレース15とし、他方のブレースを剛性は低いが弾性範囲の大きい復元機能を有する柔ブレース14とした。剛ブレース15には、ダンパー(摩擦ダンパー18)を備え、鋼材とダンパー18とで剛ブレース15の弾性範囲と剛性とを調整可能とし、普通鋼で形成されたブレースよりも高い剛性を有するブレースとした。柔ブレース14には、弾性体(皿バネ)を備え、柔ブレース14の弾性範囲と剛性とを調整可能とし、普通鋼で形成されたブレースよりも高い弾性を有するブレースとした。
【選択図】図1
【解決手段】ブレース付柱梁架構10に構成される制振構造であって、一方のブレースをエネルギー吸収機能を有する剛性の高い剛ブレース15とし、他方のブレースを剛性は低いが弾性範囲の大きい復元機能を有する柔ブレース14とした。剛ブレース15には、ダンパー(摩擦ダンパー18)を備え、鋼材とダンパー18とで剛ブレース15の弾性範囲と剛性とを調整可能とし、普通鋼で形成されたブレースよりも高い剛性を有するブレースとした。柔ブレース14には、弾性体(皿バネ)を備え、柔ブレース14の弾性範囲と剛性とを調整可能とし、普通鋼で形成されたブレースよりも高い弾性を有するブレースとした。
【選択図】図1
Description
本発明は、建築物の柱梁架構がブレースによって補強されたブレース付柱梁架構に構成される制振構造であって、架構の荷重と変形との関係(復元力特性)を調整することを可能とする技術に関するものである。
従来、建築物のための制振構造として、柱と梁により区画された単位構面内に、ブレースをV字状やX字状に架設したブレース付柱梁架構を備えた耐力壁の構造が公知である。
例えば、図6に示すように、梁11・11と柱12・12とで構成された単位構面13内に二本の引張りブレース31・31をX字状に架設したブレース付柱梁架構を備えた耐力壁である。引張りブレースを備えた耐力壁は、ブレースが降伏するまでは比較的剛性が高く、安価であるため、主に住宅等の低層建築に多く採用されている。
また、図7に示すように、柱12・12と梁11・11とによるラーメン架構33に、座屈を拘束した鋼材のブレースや、オイルダンパー・粘性ダンパー等のダンパーを内蔵したブレース32・32を配置して振動エネルギーを吸収し、振動を減衰する制振構造が広く採用されている。
また、図7に示すように、柱12・12と梁11・11とによるラーメン架構33に、座屈を拘束した鋼材のブレースや、オイルダンパー・粘性ダンパー等のダンパーを内蔵したブレース32・32を配置して振動エネルギーを吸収し、振動を減衰する制振構造が広く採用されている。
さらに、強風や小規模の地震によって生じる小さな振幅の振動に対しても、十分な制振効果を得ることを目的として、柱梁架構により構成される単位構面内にV字状に二本のブレースを架設し、一方のブレースを、履歴減衰効果を有する非座屈型ブレースとし、他方を、粘性減衰効果を有するブレースとした制振構造が、特許文献1において公開されている。この制振構造の場合、振幅が大きな振動に対して、非座屈型のブレースが有効に減衰効果を発揮し、振幅が小さく且つ相対変位速度が大きな振動に対しては粘弾性効果を有するブレースが有効に減衰効果を発揮するように図られている。このように、柱梁架構に異なる特性を有する複数のブレースを備えた構造が公知となっている。
一方、特許文献2では、エネルギー吸収部材と、柱梁架構から振動をエネルギー吸収部材に伝達するブレースを設け、柱及びブレースの双方を高張力鋼等の高弾性素材を用いて弾性変形限度内で変形する弾性部材とし、エネルギー吸収部材を高張力鋼より比較的低弾性な普通鋼等の素材が用いられ最大規模の地震時には降伏して塑性変形する塑性化部材とする制振構造が、公開されている。
この制振構造では、最大規模の地震時には、エネルギー吸収部材が塑性変形することによって振動エネルギーを塑性歪エネルギーとして吸収するとともに、柱やブレースは弾性変形するに止まることによって、構造物全体の最大変形量や残留変形量を許容限度内に抑制するように図られている。
この制振構造では、最大規模の地震時には、エネルギー吸収部材が塑性変形することによって振動エネルギーを塑性歪エネルギーとして吸収するとともに、柱やブレースは弾性変形するに止まることによって、構造物全体の最大変形量や残留変形量を許容限度内に抑制するように図られている。
しかし、図6に示すような、X型の引張ブレース付柱梁架構では、大きな振動が入力されてブレースが降伏し塑性変形すると、残留変形が生じ、ブレースが元の長さに復元せずに弛んだ状態となり、本来よりも伸びた状態となったブレースが、さらに引っ張られて伸ばされるまで復元力が生じないため、振動エネルギー吸収機能が低下する。このように振動エネルギー吸収機能が低下すれば、次に、大地震時等において大きな振動が入力された場合には、柱梁架構の変形が大きくなり、さらに大きな塑性残留変形も生じることになる。
そこで、変形量を抑制するために、ブレースの断面積を大きくして剛性を上げると、応答変形は小さくなるが、ブレースが降伏し難くなるために応答加速度が大きくなり、ブレースが降伏する前に柱脚及びブレース端部の接合部等が破壊されてしまう可能性が高くなってしまう。
また、図7に示すように、エネルギー吸収機能を有するダンパーを備えたブレース付柱梁架構は、ラーメン構造に適応すれば、柱梁架構自体が復元力をもたらすことができるため、ダンパーが振動エネルギーを吸収して振動を減衰させ、柱梁架構がその形状を復元して制振構造として有効に機能する。しかし、柱梁架構がその形状を復元させることができるために十分な弾性を有しないような構造の場合には、架構に発生する復元力が十分でないために、大きな変形が残留することになる。
また、特許文献2では、エネルギー吸収部材(鋼材)を降伏させて振動エネルギーを吸収しているが、柱梁架構の単位構面全体での荷重と変形との関係(復元力特性)を自由に調整することができない。また、鋼材が降伏したあとは、復元力がゼロとなってしまうので、大地震のあと、残留水平変形が大きく成ってしまう可能性がある。
そこで、本発明では、ブレース付柱梁架構において、各ブレースの剛性と弾性範囲とを決定することで、柱梁架構の単位構面全体での荷重と変形との関係(復元力特性)を調整することを可能とし、大地震のような大きな振動が入力されたあとも有効な振動エネルギー吸収機能を保持することのできる制振構造を提案する。そして、ブレース付柱梁架構の振動エネルギー吸収能力を簡易且つ容易に調整することができるようにして、構造物の耐震設計を容易にするとともに制振構造に係るコストの低減を図り、規模の小さい住宅等の中低層の構造物であっても、各構造物に応じた振動エネルギー吸収能力を持たせることを可能とする制振構造を提案する。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、柱と梁によって構成された単位構面内に、一方の対角線上にエネルギー吸収機能を有する剛性の高いブレースを配置し、他方の対角線上に剛性は低いが弾性範囲の大きい復元機能を有するブレースを配置して成る、ブレース付柱梁架構を備える制振構造である。
請求項2においては、前記ブレース付柱梁架構に具備される各ブレースの弾性範囲及び剛性を調整可能に構成するものである。
請求項3においては、前記エネルギー吸収機能を有するブレースを、普通鋼で形成され該普通鋼を降伏させることで振動エネルギーを吸収するブレースよりも、剛性の高いブレースとし、前記復元機能を有するブレースを、普通鋼で形成され該普通鋼を降伏させることで振動エネルギーを吸収するブレースよりも、剛性が低く且つ弾性範囲の大きいブレースとするものである。
請求項4においては、前記エネルギー吸収機能を有するブレースを、摩擦ダンパーを備えたブレースとするものである。
請求項5においては、前記復元機能を有するブレースを、普通鋼と比較して弾性範囲の大きい弾性体を、少なくともその一部分に備えたブレースとするものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、大地震等で大きな振動が入力されてエネルギー吸収機能を有するブレースが降伏したあとも、復元機能を有するブレースが柱梁架構に復元力を与えるので、柱梁架構には常に復元力が有効に作用するため、柱梁架構及びブレースの残留変形の発生と残留変形量とを抑制することができる。
請求項2においては、同様の構造の制振機構であっても、単位構面ごとに荷重と変形との関係(復元力特性)を調整することができる。
請求項3においては、ブレース付柱梁架構の単位構面全体での弾性と剛性と降伏荷重とを別々に独立して設定することができるので、地震時の変形や応答加速度を意図的に低減することのできる弾塑性変形特性を有し、且つ、エネルギー吸収能力の高い耐力壁を設定することが可能となる。
請求項4においては、ブレース付柱梁架構の各ブレースの弾性範囲と剛性とを別々に独立して設定することができるので、地震時の変形や応答加速度を意図的に低減することのできる弾塑性変形特性を有し、且つ、エネルギー吸収能力の高い耐力壁を設定することが可能となる。
請求項5においては、ブレース付柱梁架構の各ブレースの弾性範囲と剛性とを別々に独立して設定することができるので、地震時の変形や応答加速度を意図的に低減することのできる弾塑性変形特性を有し、且つ、エネルギー吸収能力の高い耐力壁を設定することが可能となる。また、荷重と変形との関係(復元力特性)を簡易且つ容易に調整することができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係る制振構造を備えたブレース付柱梁架構の全体的な構成を示す図、図2はブレース付柱梁架構の別形態の全体的な構成を示す図、図3は右向きの水平荷重が加わった場合の変形を示す図、図4は左向きの水平荷重が加わった場合の変形を示す図、図5は与えられた水平荷重と水平変形量の関係を示す図である。
図6は従来のX型ブレース付柱梁架構の構造を示す図、図7は従来のダンパーを備えたX型ブレース付柱梁架構の構造を示す図である。
図1は本発明に係る制振構造を備えたブレース付柱梁架構の全体的な構成を示す図、図2はブレース付柱梁架構の別形態の全体的な構成を示す図、図3は右向きの水平荷重が加わった場合の変形を示す図、図4は左向きの水平荷重が加わった場合の変形を示す図、図5は与えられた水平荷重と水平変形量の関係を示す図である。
図6は従来のX型ブレース付柱梁架構の構造を示す図、図7は従来のダンパーを備えたX型ブレース付柱梁架構の構造を示す図である。
本発明に係る制振構造では、耐力壁を構成する架構にダンパー等の制振部材を加えて、振動に対する応答を低減するに止まらず、さらに、制振部材としてのダンパーを備えたブレースに架構の耐力の一部分を負担させることのできる構造としていることを、特徴の一つとしている。
オイルダンパー等の粘性ダンパーは、流体の粘性抵抗を利用してエネルギーを消費する構造であり、減衰力が速度又は速度の指数乗に比例して発生する。粘性ダンパーは、外部から力が加わると流体が移動してしまうため剛性体としては機能しない。従って、粘性ダンパーを主架構に付加する制振部材として用いることができるが、制振部材として粘性ダンパーを備えたブレースに、主架構の耐力の一部分を負担させることができない。
また、粘弾性ダンパーは、高減衰性のゴムや合成樹脂の粘弾性を利用してエネルギーを消費する構造であり、変形に比例して耐力が生じる。粘弾性ダンパーは、振動数や温度に対する依存度が大きい。従って、粘弾性ダンパーは主架構に付加する制振部材としては用いることができるが、制振部材として粘弾性ダンパーを備えたブレースに架構の耐力の一部分を負担させるためには、変形や、振動数や温度の関係についての検証が必要であり採用するには困難である。
また、粘弾性ダンパーは、高減衰性のゴムや合成樹脂の粘弾性を利用してエネルギーを消費する構造であり、変形に比例して耐力が生じる。粘弾性ダンパーは、振動数や温度に対する依存度が大きい。従って、粘弾性ダンパーは主架構に付加する制振部材としては用いることができるが、制振部材として粘弾性ダンパーを備えたブレースに架構の耐力の一部分を負担させるためには、変形や、振動数や温度の関係についての検証が必要であり採用するには困難である。
そこで、本発明に係る制振構造では、耐力壁を構成する架構に備える制振部材として摩擦ダンパーを採用している。摩擦ダンパーは、摩擦抵抗を利用してエネルギーを消費する構造のものである。
摩擦ダンパーを備えたブレースは、摩擦ダンパーを構成する摩擦部材が摩擦抵抗に抗して滑り始めるまで、通常のブレースとして機能することができるので、架構の耐力の一部分を負担させることができる。また、摩擦ダンパーを構成する摩擦部材が摩擦抵抗に抗して滑り始めてダンパーとして機能し始めれば、振動エネルギーを吸収することが可能となる。
摩擦ダンパーを備えたブレースは、摩擦ダンパーを構成する摩擦部材が摩擦抵抗に抗して滑り始めるまで、通常のブレースとして機能することができるので、架構の耐力の一部分を負担させることができる。また、摩擦ダンパーを構成する摩擦部材が摩擦抵抗に抗して滑り始めてダンパーとして機能し始めれば、振動エネルギーを吸収することが可能となる。
しかし、上述の摩擦ダンパーを備えたブレースは弾塑性体であるので、このブレースを備えた架構は、塑性域においては、復元力が殆ど発生しない。
そこで、塑性域においても架構に復元力を働かせるために、上記ブレースに加えて、剛性は低いが弾性範囲の大きいブレースを備えている。
前記ブレースが降伏した後でも、この剛性は低いが弾性範囲の大きいブレースにて架構全体として大変形域まで復元力を発生させることができ、残留変形を小さくすることができる。
そこで、塑性域においても架構に復元力を働かせるために、上記ブレースに加えて、剛性は低いが弾性範囲の大きいブレースを備えている。
前記ブレースが降伏した後でも、この剛性は低いが弾性範囲の大きいブレースにて架構全体として大変形域まで復元力を発生させることができ、残留変形を小さくすることができる。
上述の如く、本発明に係る制振構造では、小変形域において振動エネルギーを吸収し始める剛性の高いブレースと、塑性域まで復元力をもたらす剛性の低いブレースとを組み合わせて架構に備えることにより、振動に対する応答を低減している。
本発明に係る制振構造は、図1に示す如く、左右の柱12・12と、上下の梁11・11とによって構成される単位構面13内を、左右の柱12・12の上下方向略中央位置同士を連結する接続筋22で二分割し、前記接続筋22より上方では、柔ブレース14と剛ブレース15とがV字を形成し、該接続筋22より下方では、柔ブレース14と剛ブレース15とが上下逆V字を形成するように配置された、ブレース付柱梁架構10に構成される。
二本の柔ブレース14・14を略同一直線上(一方の対角線上)に位置するように配置され、また、二本の剛ブレース15・15は略同一直線上(他方の対角線上)に位置するように配置されている。
このように配置することにより、柔ブレース14と剛ブレース15の物性の違いにより生じる応力を打ち消し合うようにしている。
このように配置することにより、柔ブレース14と剛ブレース15の物性の違いにより生じる応力を打ち消し合うようにしている。
本実施例において、一方(上方)の柔ブレース14は、上端が紙面右側の柱12と上の梁11との接合部に連結され、下端が接続筋22の略中央に連結されている。また、他方(下方)の柔ブレース14は、上端が接続筋22の略中央に連結され、下端が左側の柱12と下の梁11との接合部に連結されている。
一方(上方)の剛ブレース15は、上端が紙面左側の柱12と上の梁11との接合部に連結され、下端が接続筋22の略中央に連結されている。また、他方(下方)の剛ブレース15は、上端が接続筋22の略中央に連結され、下端が右側の柱12と下の梁11との接合部に連結されている。
すなわち、柱12・12と梁11・11とによって略矩形状に形成された構面13において、構面13の一方の対角線上に柔ブレース14・14が配置され、他方の対角線上に剛ブレース15・15が配置されている。
なお、柔ブレース14と、剛ブレース15との配置は、互いに逆であっても良い。
一方(上方)の剛ブレース15は、上端が紙面左側の柱12と上の梁11との接合部に連結され、下端が接続筋22の略中央に連結されている。また、他方(下方)の剛ブレース15は、上端が接続筋22の略中央に連結され、下端が右側の柱12と下の梁11との接合部に連結されている。
すなわち、柱12・12と梁11・11とによって略矩形状に形成された構面13において、構面13の一方の対角線上に柔ブレース14・14が配置され、他方の対角線上に剛ブレース15・15が配置されている。
なお、柔ブレース14と、剛ブレース15との配置は、互いに逆であっても良い。
前記柔ブレース14は、ブレース付柱梁架構10に備えられた柔要素として機能するブレースであって、地震等において荷重を受けることにより変形したブレース付柱梁架構10を復元する復元機能が備えられている。
柔ブレース14は、弾性範囲の大きい弾性体(PC鋼棒等)で構成して、剛ブレース15が降伏したあともブレース付柱梁架構10に復元力をもたらすことのできる復元機能を備えている。柔ブレース14の弾性範囲及び剛性は、該柔ブレース14を構成する弾性体を選定することで調節することができる。
但し、図2に示す如く、柔ブレース14を、ブレースに皿バネ19等の普通鋼と比較して高い弾性を有する弾性部材を少なくともその一部分に備えて構成し、復元機能を備えることもできる。この場合、柔ブレース14の荷重と変形との関係(復元力特性)は、皿バネ19を構成する皿の重ね枚数や皿の重ね方向、並列と直列の別、皿バネ19の段数等、皿バネの様々な組み合わせによって、調整することができる。
前記剛ブレース15は、ブレース付柱梁架構10に備えられた剛要素として機能するブレースであって、振動エネルギーを吸収する機能が備えられ、地震による変形や応答加速度の低減を目的として設けられている。
剛ブレース15には、エネルギー吸収機能を有する制振部材として、摩擦ダンパー18を備えて、摩擦ダンパーが滑る(ダンパーとしてエネルギー吸収機能を発揮する)までは水平方向の力を負担し、摩擦ダンパーが滑ったあとは、振動エネルギーを吸収する機能を備えている。
剛ブレース15には、エネルギー吸収機能を有する制振部材として、摩擦ダンパー18を備えて、摩擦ダンパーが滑る(ダンパーとしてエネルギー吸収機能を発揮する)までは水平方向の力を負担し、摩擦ダンパーが滑ったあとは、振動エネルギーを吸収する機能を備えている。
なお、剛ブレース15の弾性範囲及び剛性は調整可能に構成されている。剛ブレース15の、弾性や剛性を大きくすることで、中地震時の水平変形を小さくすることができ、降伏応力を調整することで、水平変形の小さい時点からの振動エネルギーの吸収が可能となる。
摩擦ダンパー18は、その摩擦係数と締め付け力とを調整することで、剛ブレース15の降伏応力(降伏荷重)を調整することが可能である。また、摩擦ダンパー18が連結された鋼材20の断面積とヤング率とを変化させることにより、剛ブレース15の剛性と弾性とを調整することができる。なお、摩擦ダンパー18は剛塑性体として捉えることができ、ダンパーとしてエネルギー吸収機能を発揮するまでは、その剛性は無限大である。
摩擦ダンパー18は、その摩擦係数と締め付け力とを調整することで、剛ブレース15の降伏応力(降伏荷重)を調整することが可能である。また、摩擦ダンパー18が連結された鋼材20の断面積とヤング率とを変化させることにより、剛ブレース15の剛性と弾性とを調整することができる。なお、摩擦ダンパー18は剛塑性体として捉えることができ、ダンパーとしてエネルギー吸収機能を発揮するまでは、その剛性は無限大である。
そして、図3に示すように、紙面右側に向かう水平荷重がブレース付柱梁架構10に加えられると、柔ブレース14・14が伸張するとともに剛ブレース15・15が圧縮されてブレース付柱梁架構10が紙面右方向に変形する。
また、図4に示すように、紙面左側に向かう水平荷重がブレース付柱梁架構10に加えられると、剛ブレース15・15が伸張するとともに柔ブレース14・14が圧縮されてブレース付柱梁架構10が紙面右方向に変形する。
この、紙面右方向への変形と紙面左方向への変形とが柔ブレース14・14及び剛ブレース15・15との弾性に基づく復元力により繰り返される。
また、図4に示すように、紙面左側に向かう水平荷重がブレース付柱梁架構10に加えられると、剛ブレース15・15が伸張するとともに柔ブレース14・14が圧縮されてブレース付柱梁架構10が紙面右方向に変形する。
この、紙面右方向への変形と紙面左方向への変形とが柔ブレース14・14及び剛ブレース15・15との弾性に基づく復元力により繰り返される。
図5は、水平方向にブレース付柱梁架構に加えられた荷重と、これに対する水平方向の変形量の関係を示す図表である。
この図表に示すHでは、図6に示すような、一般的な普通鋼を用いて構成された引張りブレースを配置したX型ブレース付柱梁架構30での、水平荷重と水平変形量との関係を示している。Hでは、荷重Qhが加わった点Hxにおいて降伏し、荷重Qhより大きい荷重が加わるとブレースは塑性変形するため、ブレース付柱梁架構30は復元せず、残留変形が発生する。従って、大規模な地震等により、大きな振動が発生し、荷重Qhより大きな水平荷重がブレース付柱梁架構30に加わると、ブレース付柱梁架構30が復元しないために振動エネルギー吸収機能が低下し、有効な制振構造として機能しないことになる。
この図表に示すHでは、図6に示すような、一般的な普通鋼を用いて構成された引張りブレースを配置したX型ブレース付柱梁架構30での、水平荷重と水平変形量との関係を示している。Hでは、荷重Qhが加わった点Hxにおいて降伏し、荷重Qhより大きい荷重が加わるとブレースは塑性変形するため、ブレース付柱梁架構30は復元せず、残留変形が発生する。従って、大規模な地震等により、大きな振動が発生し、荷重Qhより大きな水平荷重がブレース付柱梁架構30に加わると、ブレース付柱梁架構30が復元しないために振動エネルギー吸収機能が低下し、有効な制振構造として機能しないことになる。
図5に示す図表のAは、ブレース付柱梁架構10から柔ブレース14を除いて剛ブレース15のみとしたものに、水平荷重を与えたときの水平変形量を示している。
Aでは、荷重Qaが加わった点Axにおいて降伏し、荷重Qaより大きい荷重が加わると剛ブレース15は塑性変形するため、剛ブレース15は復元せず、残留変形が発生する。剛ブレース15は点Axまではブレースとして水平荷重を負担する。なお、荷重Qaは荷重Qhより小さい値である。
また、図5に示す図表のBは、ブレース付柱梁架構10から剛ブレース15を除いて柔ブレース14のみとしたものに、水平荷重を与えたときの水平変形量を示している。
Aでは、荷重Qaが加わった点Axにおいて降伏し、荷重Qaより大きい荷重が加わると剛ブレース15は塑性変形するため、剛ブレース15は復元せず、残留変形が発生する。剛ブレース15は点Axまではブレースとして水平荷重を負担する。なお、荷重Qaは荷重Qhより小さい値である。
また、図5に示す図表のBは、ブレース付柱梁架構10から剛ブレース15を除いて柔ブレース14のみとしたものに、水平荷重を与えたときの水平変形量を示している。
図5に示す図表のHとBとに示されるように、柔ブレース14は、Hで示される耐力壁に用いられたブレースと比較して、大きな弾性範囲を有する。すなわち、柔ブレース14は、高弾性素材や弾性体等の弾性要素を備えて、小さな荷重で大きく変形し、また、変形しても復元力が大きく、剛ブレース15が降伏したあとも、ブレース付柱梁架構に復元力を与えることのできるように構成する。
また、図5に示す図表のHとAとに示されるように、剛ブレース15は、Hで示されるブレース付柱梁架構30に用いられたブレースと比較して、大きな剛性を有するように構成する。
また、図5に示す図表のHとAとに示されるように、剛ブレース15は、Hで示されるブレース付柱梁架構30に用いられたブレースと比較して、大きな剛性を有するように構成する。
そして、図5に示す図表のCでは、柔ブレース14と剛ブレース15とをX型ブレース付柱梁架構に配置したブレース付柱梁架構10での、水平荷重と水平変形量との関係を示している。
柔ブレース14と剛ブレース15とを組み合わせて構成されるブレース付柱梁架構10では、図5に示す図表のCに示されるように、柔ブレース14と剛ブレース15とのそれぞれの弾塑性変形特性を合わせた特性を有することになる。すなわち、荷重Qcが加わる点Cx(擬降伏点Cx)において、弾塑性変形特性が変化し、荷重Qcより小さな荷重が加わっている間は、主に剛ブレース15の弾塑性変形特性が表れた変形(「一次変形」とする)が発生し、荷重Qcより大きな荷重が加わってからは、主に柔ブレース14の弾塑性変形特性が表れた変形(「二次変形」とする」が表れる。
柔ブレース14と剛ブレース15とを組み合わせて構成されるブレース付柱梁架構10では、図5に示す図表のCに示されるように、柔ブレース14と剛ブレース15とのそれぞれの弾塑性変形特性を合わせた特性を有することになる。すなわち、荷重Qcが加わる点Cx(擬降伏点Cx)において、弾塑性変形特性が変化し、荷重Qcより小さな荷重が加わっている間は、主に剛ブレース15の弾塑性変形特性が表れた変形(「一次変形」とする)が発生し、荷重Qcより大きな荷重が加わってからは、主に柔ブレース14の弾塑性変形特性が表れた変形(「二次変形」とする」が表れる。
擬降伏点Cxでの荷重Qcは、剛ブレース15が降伏する荷重Qaにほぼ相応している。すなわち、ブレース付柱梁架構10は、剛ブレース15が降伏するまでは、主に、剛ブレース15の圧縮ブレースとしての剛性によって、水平変形が抑制されるとともに、剛ブレース15と柔ブレース14との弾性によりブレース付柱梁架構が復元する。
そして、ブレース付柱梁架構10は、擬降伏点Cxを超えて剛ブレース15が降伏したあとは、剛ブレース15に設けられた摩擦ダンパー18により振動エネルギーが吸収され、柔ブレース14の弾性によって常に水平変形をゼロに戻そうとする復元力が発生する。
そして、ブレース付柱梁架構10は、擬降伏点Cxを超えて剛ブレース15が降伏したあとは、剛ブレース15に設けられた摩擦ダンパー18により振動エネルギーが吸収され、柔ブレース14の弾性によって常に水平変形をゼロに戻そうとする復元力が発生する。
この結果、図5に示す図表のHとCとの関係に示されるように、ブレース付柱梁架構10は従来のブレース付柱梁架構30に比較して、大きな荷重に対しても有効な復元力を有することになり、残留変形の発生及び残留変形量が抑制されている。従って、大規模な地震等によりブレース付柱梁架構10に大きな荷重が加わっても、多少の残留変形は発生するものの、ブレース付柱梁架構10はほぼ復元される。
上述のブレース付柱梁架構10では、柔ブレース14と剛ブレース15との、各弾塑性変形特性(弾性範囲及び剛性)を設定することによって、一次変形と二次変形とに現れるブレース付柱梁架構10の弾塑性変形特性を自在に設定することができる。
すなわち、一次変形での、ブレース付柱梁架構10の弾塑性変形特性は、剛ブレース15の剛性及び弾性範囲を調整することによって設定することができる。また、二次変形での、ブレース付柱梁架構10の弾塑性変形特性は、柔ブレース14の剛性及び弾性範囲を調整することによって設定することできる。
すなわち、一次変形での、ブレース付柱梁架構10の弾塑性変形特性は、剛ブレース15の剛性及び弾性範囲を調整することによって設定することができる。また、二次変形での、ブレース付柱梁架構10の弾塑性変形特性は、柔ブレース14の剛性及び弾性範囲を調整することによって設定することできる。
このように、柱梁架構の単位構面全体での弾塑性変形特性(復元力特性)を別々に独立して設定することができるので、地震時の変形や応答加速度を意図的に低減することのできるかたちに調整できるので、エネルギー吸収能力の高い耐力壁を設定することが可能となる。
また、ブレース付柱梁架構10の剛性と弾性範囲とを独立して設定できることにより、ブレース付柱梁架構10の剛性を決定したあとで、降伏荷重を調整することができるので、ブレース付柱梁架構10のバリエーションの設計が容易且つ簡易となる。構造が簡易であるので、大規模な商業施設やプラント等の構造物に限らず、規模の小さい住宅等の中低層の構造物であっても、各構造物に応じた制振能力を持たせることができる。
10 ブレース付柱梁架構
11 梁
12 柱
13 構面
14 柔ブレース
15 剛ブレース
18 摩擦ダンパー
19 皿バネ
11 梁
12 柱
13 構面
14 柔ブレース
15 剛ブレース
18 摩擦ダンパー
19 皿バネ
Claims (5)
- 柱と梁によって構成された単位構面内に、一方の対角線上にエネルギー吸収機能を有する剛性の高いブレースを配置し、他方の対角線上に剛性は低いが弾性範囲の大きい復元機能を有するブレースを配置して成る、ブレース付柱梁架構を備えることを特徴とする制振構造。
- 前記ブレース付柱梁架構に具備される各ブレースの弾性範囲及び剛性を調整可能に構成する、
請求項1に記載の制振構造。 - 前記エネルギー吸収機能を有するブレースを、普通鋼で形成され該普通鋼を降伏させることで振動エネルギーを吸収するブレースよりも、剛性の高いブレースとし、
前記復元機能を有するブレースを、普通鋼で形成され該普通鋼を降伏させることで振動エネルギーを吸収するブレースよりも、剛性が低く且つ弾性範囲の大きいブレースとする、
請求項1又は請求項2に記載の制振構造。 - 前記エネルギー吸収機能を有するブレースを、摩擦ダンパーを備えたブレースとする、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の制振構造。 - 前記復元機能を有するブレースを、普通鋼と比較して弾性範囲の大きい弾性体を、少なくともその一部分に備えたブレースとする、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の制振構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004142321A JP2005325529A (ja) | 2004-05-12 | 2004-05-12 | 制振構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=35472070
Family Applications (1)
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JP2004142321A Pending JP2005325529A (ja) | 2004-05-12 | 2004-05-12 | 制振構造 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009074655A (ja) * | 2007-09-21 | 2009-04-09 | Tokai Rubber Ind Ltd | 自動車用制振装置 |
IT201800005053A1 (it) * | 2018-05-03 | 2019-11-03 | Organo di controventatura per edifici e struttura di edificio provvista di tale organo di controventatura | |
JP7449143B2 (ja) | 2020-04-03 | 2024-03-13 | 株式会社竹中工務店 | 建物の架構構造 |
-
2004
- 2004-05-12 JP JP2004142321A patent/JP2005325529A/ja active Pending
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