JP2005324397A - 熱転写受像シート - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、熱転写受像シートに関し、さらに詳しくは昇華性染料を含有する染料層を基材上に設ける熱転写シートと組み合わせて用いられる、熱転写時における染料の染着性が高く、高濃度の印画物が得られ、かつ熱転写時の熱転写シートとの離型性が向上した熱転写受像シートに関するものである。
に関する。
に関する。
従来から、熱転写方式を用いて被転写体に文字や画像を形成することが行われている。熱転写方式としては、感熱昇華型転写方式と感熱溶融型転写方式が広く用いられている。このうち、感熱昇華型転写方式は、昇華性染料を色材とし、それを画像情報に応じて発熱制御されたサーマルヘッドやレーザー光等の加熱デバイスを用いて、熱転写シート上の昇華性染料層中の染料を熱転写受像シート等の被転写体に移行させて画像を形成させる方式である。この感熱昇華型転写方式は、極めて短時間の加熱によってドット単位で染料の移行量を制御できる。このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れているため、得られる画像は中間調の再現性や階調性に優れ、極めて高精細な画像を得ることができる。このため、フルカラー銀塩写真に匹敵する高品質の画像を得ることができる。
マルチメディアに関連した様々なハードおよびソフトの発達により、この熱転写方式は、コンピューターグラフィックス、衛星通信による静止画像そしてCD−ROMその他に代表されるデジタル画像およびビデオ等のアナログ画像のフルカラーハードコピーシステムとして、その市場を拡大している。この熱転写方式による熱転写受像シートの具体的な用途は、多岐にわたっている。代表的なものとしては、印刷の校正刷り、画像の出力、プレゼンテーションなどのOHPシート、CAD/CAMなどの設計およびデザインなどの出力、CTスキャンや内視鏡カメラなどの各種医療用分析機器、測定機器の出力用途そしてインスタント写真の代替として、また身分証明書やIDカード、クレジットカード、その他カード類への顔写真などの出力、さらに遊園地、ゲームセンター、博物館、水族館などのアミューズメント施設における合成写真、記念写真、絵ハガキとしての用途などをあげることができる。
このような熱転写方式の普及するなかで、熱転写記録方式における印画速度の高速化が進んでおり、従来の熱転写シートを従来の熱エネルギーにて印画しても十分な印画濃度が得られないとの問題が生じてきた。さらに、熱転写による画像の印画物に対し、より高濃度で鮮明なものが要求されており、印画濃度を向上させる試みが必要となっている。そこで、基材シートを薄膜化して従来の熱エネルギーにて印画する、又は印画時の熱エネルギーを増加させて所望の印画濃度を得る等の改良がされている。しかし、これらの方法では熱転写シートにかかる熱ダメージが大きく、染料層と被転写材の染料受容層とが熱融着したり、染料層の染料だけでなく、染料層ごと被転写材に転写する、いわゆる異常転写が生じたりして、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの染料受容層との離型性に問題が生じてきた。
先行技術として、特許文献1では染料の移行により形成される画像の耐光性及びブロッキング性を改善するために、基材上に形成された受容層に、特定構造のヒンダードアミン系光安定剤を含有する被熱転写シートが提案されている。しかし、このヒンダードアミン系光安定剤は耐光性及びブロッキング性が改善されるが、染料の染着性を向上させるものでなく、また、熱転写シートとの離型性を向上させるものではない。
また、先行技術として、特許文献2ではスチレン系ホモポリマーと分子量250〜1000の無機酸エステル系化合物、有機酸エステル系化合物のうちから選ばれる少なくとも1種の化合物及び/または縮合物の可塑剤を含有させた受容層が提案され、高い発色濃度と耐光性の確保を両立でき、また脂肪族二塩基酸エステル系化合物を可塑剤と併用することで、離型助剤として効果を発揮させることが記載されている。しかし、可塑剤としての物質には限界があり、十分な染料染着性と熱転写シートとの離型性を有した熱転写受像シートとは言えないものである。
特開2000−238438号公報
特開2000−218947号公報
したがって、上記のような課題を解決するために、本発明は、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの染料受容層とが熱融着したり、異常転写が生じたりすることのない離型性に優れ、染料の染着性が高く、高濃度、高品質の印画物が得られる熱転写受像シートを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、基材シートの少なくとも一方の面に昇華性染料受容層を形成してなる熱転写受像シートにおいて、該受容層が少なくともバインダー樹脂と離型剤及び下記化学式で示されるヒンダードアミン系添加剤を含有することを特徴とする熱転写受像シートを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、前記のヒンダードアミン系添加剤が受容層のバインダー樹脂に対して、10〜30質量%で含有することを特徴とする請求項1に記載する熱転写受像シートを要旨とする。
本発明は、基材シートの少なくとも一方の面に昇華性染料受容層を形成してなる熱転写受像シートにおいて、該受容層に少なくともバインダー樹脂と離型剤及び上記の化学式で示されるヒンダードアミン系添加剤を含有することで、そのヒンダードアミン系添加剤が多官能性を有したもので、熱転写時における染料の染着性及び熱転写シートとの離型性を向上させることができた。
以下、熱転写受像シートを構成する各層毎に詳述する。
(基材シート)
本発明の基材シートとしては、紙類、プラスチックフィルム等が使用でき、紙類では、各種紙単体もしくは加工紙等いずれも使用可能で、例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等の他、樹脂エマルジョンや合成ゴムラテックス等の含浸紙、合成樹脂内添紙などが挙げられ、合成紙では、ポリスチレン系合成紙やポリオレフィン系合成紙等が良好に使用できる。
(基材シート)
本発明の基材シートとしては、紙類、プラスチックフィルム等が使用でき、紙類では、各種紙単体もしくは加工紙等いずれも使用可能で、例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等の他、樹脂エマルジョンや合成ゴムラテックス等の含浸紙、合成樹脂内添紙などが挙げられ、合成紙では、ポリスチレン系合成紙やポリオレフィン系合成紙等が良好に使用できる。
また、プラスチックフィルムでは、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル系樹脂フィルム、硬質ポリ塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリアリレートフィルムなどが使用できる。これらのプラスチックフィルムでは透明なフィルムだけでなく、白色顔料や、充填剤等を加えて成膜した白色不透明のフィルム、或いは発泡させたフィルムも使用できる。尚、これらの材料はそれぞれ単独でも使用できるが、他の材料と組み合わせた積層体として使用してもよい。
基材として透明性を有する基材を用いることができ、この場合は実用上、延伸したポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが良い。それによって、OHP投影機にかけて、使用できたり、また、シールタイプでは貼着される対象物の表面の外観が損なわれることなく、透過できるものが得られる。尚、この場合はもちろん、色材受容層、粘着剤層等、熱転写受像シートの貼着する部分は透明性を有していることが望ましい。
また、上記の基材シートの表面及び又は裏面に易接着処理した基材シートも使用できる。本発明では、特に限定されないが、帯電性の高いプラスチックベースの基材シートを用いることが好ましい。熱転写受像シートの基材シートの厚みは、通常3〜300μm程度であり、本発明においては、機械的適性等を考慮し、75〜175μmの基材シートを用いるのが好ましい。また、基材シートとその上に設ける層との密着性が乏しい場合には、その表面に易接着処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
(染料受容層)
本発明の熱転写受像シートにおける昇華性染料受容層は、少なくともバインダー樹脂と離型剤及び特定構造式で示されるヒンダードアミン系添加剤を含有するものである。
本発明の熱転写受像シートにおける昇華性染料受容層は、少なくともバインダー樹脂と離型剤及び特定構造式で示されるヒンダードアミン系添加剤を含有するものである。
染料受容層は熱転写シートから移行してくる昇華性染料を受容し、形成された画像を維持するためのものである。染料受容層を形成するためのバインダー樹脂としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリルエステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フェノキシ系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等を挙げることができ、また粘着性付与樹脂及び樹脂改質剤として知られている、例えば、水素添加石油系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、脂環族炭化水素系樹脂、芳香族炭化水素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等のガラス転移温度Tgが40℃以上である樹脂が挙げられる。
また、染料受容層を構成するバインダー樹脂のうち少なくとも一つの樹脂のガラス転移温度Tgが、40℃以上であることが好ましく、染料受容層への、サーマルヘッドからの熱ダメージによる、染料層と染料受容層との熱融着や、異常転写等の発生を、より防止することが可能となる。染料受容層のバインダー樹脂のTgが40℃未満であると、印画時の熱により染料受容層の構成樹脂が流動しやすくなり、異常転写が生じやすくなる。また、上記のバインダー樹脂は単体で使用したり、あるいは異なる樹脂を組み合わせた混合物として使用することができる。但し、混合物の場合、夫々の樹脂同士は混合物として染料受容層における相溶性が良いことが必要である。本発明では、染料受容層樹脂として、特に好ましい樹脂は、ビニル系樹脂、およびポリエステル系樹脂やビニル系樹脂である。
上記染料受容層中には、染料層を有する熱転写シートとの融着若しくは印画時の感度低下を防ぐため、離型剤を含有させる。その離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面滑性剤、フッ素系界面滑性剤等が挙げられるが、エポキシ変性、メチルスチレン変性、ポリエーテル変性、アミノ変性、アルキル変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、オレフィン変性、カルビノール変性等の変性シリコーンオイルからなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが、昇華性染料層との離型性等の点から好ましい。上記離型剤の添加量は、受容層形成樹脂全体100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、熱転写シートの染料層と染料受容層との融着、もしくは印字感度の低下等の問題が生じる場合がある。このような離型剤を添加することによって、受容層の表面に離型成分がブリードアウトして、受容層表面上に、離型性が付与される。
本発明の熱転写受像シートにおける染料受容層には、下記化学式で示されるヒンダードアミン系添加剤を含有するものである。このヒンダードアミン系添加剤は染料受容層のバインダー樹脂全体100質量部に対して、10〜30質量部、すなわち10〜30質量%で含有することが好ましく、添加量が少ないと、染料の染着性、熱転写シートとの離型性の向上が少なく、一方でその添加量が多すぎると、受容層中でヒンダードアミン系添加剤が不均一な結晶構造を形成し、熱転写シートの染料層からの染料受容性が不均一となってしまう。
上記化学式で示されるヒンダードアミン系添加剤は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体であり、分子量は686である。この物質は、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社の商品名Tinuvin 144(登録商標)で、光安定剤として市販されているもので、容易に入手することが可能である。但し、本発明では、この物質を光安定剤として利用するものではなく、染料受容層における染料の染着性、熱転写シートの染料層との熱転写時の離型性を向上させる添加剤として利用するものである。この染着性、離型性の向上する理由は定かではないが、ヒドロペルオキシド(ROOH)の非ラジカル分解と、生成した安定N−オキシルの触媒的ラジカル捕捉が関与していることが考えられる。
染料受容層にはその他にも、必要に応じてその他の添加剤を加えることができる。染料受容層の白色度を向上させ転写画像の鮮明度を更に高める目的で、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を添加することができる。また、染料受容層には可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤など公知の添加剤を必要に応じて加えることができる。
上記にあげたバインダー樹脂と、上記であげた離型剤と特定構造を有したヒンダードアミン系添加剤と、必要に応じてその他添加剤等を加え、溶剤、希釈剤等で、十分に混練して、染料受容層塗工液を製造し、これを、上記にあげた基材シートの上に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により、塗布し、乾燥して、染料受容層を構成する。後述する必要に応じて設ける中間層、裏面層、易接着層等の塗工も、上記の染料受容層の形成手段と同様の方法で行われる。このように形成される染料受容層は、通常、乾燥状態で0.5〜50g/m2程度、好ましくは2〜10g/m2である。
(中間層)
染料受容層と基材シートの間に、必要に応じて中間層を設けることができる。中間層としては、その目的により如何なる材料を用いてもよい。例えば、樹脂に各種の白色顔料を加えたものを用いることにより、高い白色度を得ることができる。更に、蛍光増白剤や帯電防止剤等を必要に応じて添加することができる。また、基材シートと染料受容層との間の接着性を向上させる目的で、必要に応じて中間層を設けても良い。また、該接着性を向上させるために、基材シートの染料受容層と形成する側の面に予めコロナ放電処理、オゾン処理などの中間層を設けるための前処理を施しても良い。
染料受容層と基材シートの間に、必要に応じて中間層を設けることができる。中間層としては、その目的により如何なる材料を用いてもよい。例えば、樹脂に各種の白色顔料を加えたものを用いることにより、高い白色度を得ることができる。更に、蛍光増白剤や帯電防止剤等を必要に応じて添加することができる。また、基材シートと染料受容層との間の接着性を向上させる目的で、必要に応じて中間層を設けても良い。また、該接着性を向上させるために、基材シートの染料受容層と形成する側の面に予めコロナ放電処理、オゾン処理などの中間層を設けるための前処理を施しても良い。
中間層としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、或いは官能基を有する熱可塑性樹脂を、各種の硬化剤その他の手法を用いて硬化させた層を用いることができる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、塩素化ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アイオノマー、単官能及び/又は多官能水酸基含有のプレポリマーをイソシアネート等で硬化させた樹脂等を使用することができる。これらの樹脂には、必要に応じて白色性や隠蔽性等の機能を付与するために、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムその他公知の無機顔料や有機フィラー、蛍光増白剤等の添加剤を加えることができる。その塗布厚みは乾燥状態で0.5〜30g/m2程度が好ましい。
(裏面層)
基材シートの染料受容層を設けた面と反対の面に、熱転写受像シートの搬送性の向上や、カール防止などのために、裏面層を設けることができる。このような機能をもつ裏面層として、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ハロゲン化ポリマー等の樹脂中に、添加剤として、アクリル系フィラー、ポリアミド系フィラー、フッ素系フィラー、ポリエチレンワックスなどの有機系フィラー、及び二酸化珪素や金属酸化物などの無機フィラーを加えたものが使用できる。この裏面層として、上述の樹脂を硬化剤により硬化したものを使用することがさらに好ましい。硬化剤としては、一般的に公知のものが使用できるが、中でもイソシアネート化合物が好ましい。裏面層樹脂はイソシアネート化合物などと反応しウレタン結合を形成して硬化・立体化することにより、耐熱保存性、耐溶剤性が向上し、さらには、基材シートとの密着も良くなる。硬化剤の添加量は、樹脂1反応基当量に対して、1乃至2が好ましい。1未満であると、硬化終了するまでの時間が長くかかり、また、耐熱性、耐溶剤性が悪くなる。また、2より大きいと、成膜後に経時変化が起こったり、裏面層用塗工液の寿命が短いという不具合が生じる。
基材シートの染料受容層を設けた面と反対の面に、熱転写受像シートの搬送性の向上や、カール防止などのために、裏面層を設けることができる。このような機能をもつ裏面層として、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ハロゲン化ポリマー等の樹脂中に、添加剤として、アクリル系フィラー、ポリアミド系フィラー、フッ素系フィラー、ポリエチレンワックスなどの有機系フィラー、及び二酸化珪素や金属酸化物などの無機フィラーを加えたものが使用できる。この裏面層として、上述の樹脂を硬化剤により硬化したものを使用することがさらに好ましい。硬化剤としては、一般的に公知のものが使用できるが、中でもイソシアネート化合物が好ましい。裏面層樹脂はイソシアネート化合物などと反応しウレタン結合を形成して硬化・立体化することにより、耐熱保存性、耐溶剤性が向上し、さらには、基材シートとの密着も良くなる。硬化剤の添加量は、樹脂1反応基当量に対して、1乃至2が好ましい。1未満であると、硬化終了するまでの時間が長くかかり、また、耐熱性、耐溶剤性が悪くなる。また、2より大きいと、成膜後に経時変化が起こったり、裏面層用塗工液の寿命が短いという不具合が生じる。
さらに、上記裏面層中には、添加剤として、有機フィラーまたは無機フィラーを添加しても良い。これらのフィラーの働きで、プリンター内での熱転写受像シートの搬送性が向上し、また、ブロッキングを防ぐなど熱転写受像シートの保存性も向上する。有機フィラーとして、アクリル系フィラー、ポリアミド系フィラー、フッ素系フィラー、ポリエチレンワックスなどがあげられる。この中では、特にポリアミド系フィラーが好ましい。また、無機フィラーとして、二酸化珪素や金属酸化物などがあげられる。ポリアミド系フィラーとしては、分子量が10万乃至90万で、球状であり、平均粒子径が0.01乃至30μmが好ましく、特に分子量が10万乃至50万で、平均粒子径が0.01乃至10μmがより好ましい。また、ポリアミド系フィラーの種類では、ナイロン6やナイロン66と比較して、ナイロン12フィラーが耐水性に優れ、吸水による特性変化がないためより好ましい。
ポリアミド系フィラーは、高融点で熱的にも安定であり、耐油性、耐薬品性なども良く、染料によって染着されにくい。また、分子量が10万乃至90万であると磨耗することもほとんどなく、自己潤滑性があり、摩擦係数も低く、擦れる相手を傷つけにくい。また、好ましい平均粒子径は、反射画像用熱転写受像シートの場合、0.1乃至30μmである。粒子径が小さすぎると、フィラーが裏面層中に隠れてしまい、十分な滑り性の機能が発現され難くなる傾向がみられ、また、粒子径が大きすぎると、裏面層からの突出が大きくなり、結果的に摩擦係数を高めたり、フィラーの欠落を生じる傾向があるので、好ましくない。裏面層の樹脂に対するフィラーの配合比率は、0.01質量%乃至200質量%の範囲が好ましい。反射画像用熱転写受像シートの場合は、1質量%乃至100質量%がより好ましく、透過画像用熱転写受像シートの場合は、0.05質量%乃至2質量%がより好ましい。フィラーの配合比率が0.01質量%未満の場合には、滑り性が不十分であり、プリンターの給紙時などで紙詰まりなどの支障をきたす傾向が生じる。また、200質量%を越える場合には、滑りすぎて印字画像に色ずれなどが生じやすくなるため、好ましくない。
熱転写受像シートの染料受容層面もしくは裏面、または両面の最表面に帯電防止層を設けてもよい。帯電防止層は、帯電防止剤である、脂肪酸エステル、硫酸エステル、リン酸エステル、アミド類、4級アンモニウム塩、ベタイン類、アミノ酸類、アクリル系樹脂、エチレンオキサイド付加物等を溶剤に溶解又は分散させたものを塗工して、形成することができる。帯電防止層の塗工量は、乾燥時0.001〜0.1g/m2が好ましい。
(易接着層)
基材シートの表面および/または裏面に、アクリル酸エステル樹脂やポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂などの接着性樹脂からなる易接着層を塗布して設けてもよい。また、上記に記載した塗布層を設けずに、基材シートの表面および/または裏面に、コロナ放電等の処理をして、基材シートとその上に設ける層との接着性を高めることもできる。
基材シートの表面および/または裏面に、アクリル酸エステル樹脂やポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂などの接着性樹脂からなる易接着層を塗布して設けてもよい。また、上記に記載した塗布層を設けずに、基材シートの表面および/または裏面に、コロナ放電等の処理をして、基材シートとその上に設ける層との接着性を高めることもできる。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳述する。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
基材シートとして、多孔質PETフィルム50μm厚(東レ株式会社製、E−60)を用いて、その基材シートの上に下記組成の染料受容層塗工液をグラビアリバースにて、乾燥時4.0g/m2の塗工量で、塗布、乾燥して、染料受容層を形成し、本発明の実施例1の熱転写受像シートを作製した。
基材シートとして、多孔質PETフィルム50μm厚(東レ株式会社製、E−60)を用いて、その基材シートの上に下記組成の染料受容層塗工液をグラビアリバースにて、乾燥時4.0g/m2の塗工量で、塗布、乾燥して、染料受容層を形成し、本発明の実施例1の熱転写受像シートを作製した。
基材シートとしては合成紙(YUPO FPG−150、厚さ150μm、王子油化合成紙製)を用い、この一方の面に下記組成の中間層塗工液と染料受容層塗工液とを順次、それぞれ塗布量が乾燥時で、2.0g/m2と5.0g/m2となるようにロールコート方式で塗布及び乾燥させ、基材シート上に中間層、染料受容層を順次設けた実施例2の熱転写受像シートを作製した。
(中間層塗工液)
ポリウレタン樹脂(ニッポラン5199,日本ポリウレタン工業(株)製) 25部
酸化チタン(TCA−888,トーケムプロダクツ製) 75部
トルエン 200部
メチルエチルケトン 200部
ポリウレタン樹脂(ニッポラン5199,日本ポリウレタン工業(株)製) 25部
酸化チタン(TCA−888,トーケムプロダクツ製) 75部
トルエン 200部
メチルエチルケトン 200部
(染料受容層用塗工液2)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(#1000A,電気化学工業製) 10部
エポキシ変性シリコーン(X−22−3000T,信越化学工業製) 0.4部
上記化学式で示されるヒンダードアミン系添加剤 2.0部
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社の商品名Tinuvin 144(登録商標))
トルエン 20部
メチルエチルケトン 20部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(#1000A,電気化学工業製) 10部
エポキシ変性シリコーン(X−22−3000T,信越化学工業製) 0.4部
上記化学式で示されるヒンダードアミン系添加剤 2.0部
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社の商品名Tinuvin 144(登録商標))
トルエン 20部
メチルエチルケトン 20部
(比較例1)
上記の実施例1で使用した染料受容層塗工液1を下記組成の塗工液3に変更した以外は、実施例1と同様にて、比較例1の熱転写受像シートを作製した。
(染料受容層塗工液3)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10.0部
(デンカビニル#1000A、電気化学工業(株)製)
エポキシ変性シリコーン 0.47部
(X−22−3000T、信越化学工業(株)製)
アミノ変性シリコーン 0.14部
(X−22−1660B−3、信越化学工業(株)製)
トルエン/メチルエチルケトン=質量比1/1 60.0部
上記の実施例1で使用した染料受容層塗工液1を下記組成の塗工液3に変更した以外は、実施例1と同様にて、比較例1の熱転写受像シートを作製した。
(染料受容層塗工液3)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10.0部
(デンカビニル#1000A、電気化学工業(株)製)
エポキシ変性シリコーン 0.47部
(X−22−3000T、信越化学工業(株)製)
アミノ変性シリコーン 0.14部
(X−22−1660B−3、信越化学工業(株)製)
トルエン/メチルエチルケトン=質量比1/1 60.0部
上記の各実施例及び比較例で得られた熱転写受像シートについて、OLIMPAS社製P−400プリンター用の熱転写シートを用い、下記条件にて、印画を行い、マクベス反射濃度計RD−918にて、反射濃度を測定した。
(印画条件)
サーマルヘッド;KGT−217−12MPL20(京セラ(株)製)
発熱体平均抵抗値;3139(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電力;0.10(w/dot)
1ライン周期;5(msec.)
印字開始温度;40(℃)
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を60%に固定し、ライン周期当たりのパルス数を0から255個を15分割した。これにより、15段階に異なるエネルギーを与えることができる。
(印画条件)
サーマルヘッド;KGT−217−12MPL20(京セラ(株)製)
発熱体平均抵抗値;3139(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電力;0.10(w/dot)
1ライン周期;5(msec.)
印字開始温度;40(℃)
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を60%に固定し、ライン周期当たりのパルス数を0から255個を15分割した。これにより、15段階に異なるエネルギーを与えることができる。
(印画濃度)
各実施例および比較例の熱転写受像シートを、前記の熱転写シートで、前記の階調印画の印画条件にて、熱転写記録を行い、得られた印字物の光学反射濃度を測定し、下記の基準にて印画濃度の評価の判定をした。
○;最高濃度がO.D.=2.00以上。
×;最高濃度がO.D.=1.90未満。
各実施例および比較例の熱転写受像シートを、前記の熱転写シートで、前記の階調印画の印画条件にて、熱転写記録を行い、得られた印字物の光学反射濃度を測定し、下記の基準にて印画濃度の評価の判定をした。
○;最高濃度がO.D.=2.00以上。
×;最高濃度がO.D.=1.90未満。
(離型性)
各実施例および比較例の熱転写受像シートを、前記の熱転写シートで、前記の印画条件で、印画パルス条件を下記の条件に変更した以外は同様にして印画した。1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長を持つ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を60%で固定とし、パルス数を200個としてイエロー、マゼンタ、シアンの3色ベタ印画を行った。
各実施例および比較例の熱転写受像シートを、前記の熱転写シートで、前記の印画条件で、印画パルス条件を下記の条件に変更した以外は同様にして印画した。1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長を持つ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を60%で固定とし、パルス数を200個としてイエロー、マゼンタ、シアンの3色ベタ印画を行った。
離型性の評価基準は以下の通りである。
○:熱転写受像シートと熱転写シートとが全く熱融着せず、剥離も軽く、離型性が良好である。
△:熱転写受像シートと熱転写シートとが殆ど熱融着しないが、剥離が重いもの、または一部で熱融着し、離型性が少し劣る。
×:熱転写受像シートと熱転写シートとが熱融着してしまい、離型性が不良である。
○:熱転写受像シートと熱転写シートとが全く熱融着せず、剥離も軽く、離型性が良好である。
△:熱転写受像シートと熱転写シートとが殆ど熱融着しないが、剥離が重いもの、または一部で熱融着し、離型性が少し劣る。
×:熱転写受像シートと熱転写シートとが熱融着してしまい、離型性が不良である。
Claims (2)
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004143532A JP2005324397A (ja) | 2004-05-13 | 2004-05-13 | 熱転写受像シート |
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JP2004143532A JP2005324397A (ja) | 2004-05-13 | 2004-05-13 | 熱転写受像シート |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007253533A (ja) * | 2006-03-24 | 2007-10-04 | Fujifilm Corp | 感熱転写方式を用いた画像形成方法および印画物 |
-
2004
- 2004-05-13 JP JP2004143532A patent/JP2005324397A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007253533A (ja) * | 2006-03-24 | 2007-10-04 | Fujifilm Corp | 感熱転写方式を用いた画像形成方法および印画物 |
JP4587982B2 (ja) * | 2006-03-24 | 2010-11-24 | 富士フイルム株式会社 | 感熱転写方式を用いた画像形成方法および印画物 |
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