JP2005322682A - 積層体及びこれを用いたフレキシブル回路基板 - Google Patents

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Hideaki Tanaka
秀明 田中
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智 海老原
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Abstract

【課題】 ポリイミド樹脂(PI)が、カバーレイフィルム、ボンディングシート、ACF、補強材等に安定に接着され、接着耐久性に優れた銅箔/PI層系の積層体(CCL)を提供する。
【解決手段】 CCLの導体層で覆われていないPI表面がシランカップリング剤に由来するSiを0.6%以上有し、異なる分散力エネルギー及び極性成分エネルギーを持つ液A、液B、これらにに加えて水素結合エネルギーを持つ液Cを用いて測定したそれぞれの接触角θから拡張Fowkes式で求められる極性成分エネルギーγbと水素結合成分エネルギーγcと、フレキシブル回路基板作成時に用いられる接着剤のγbとγcが、(γPb−γPc)/(γsb−γsc)>0(γPb:PI表面の極性成分エネルギー、γPc:PI表面の水素結合成分エネルギー、γsb:接着剤表面の極性成分エネルギー、γsc:接着剤表面の水素結合成分エネルギー)を満足し、かつ、導体層の表面粗度Rzが3.0未満である積層体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フレキシブル回路基板に使用される積層板に関するものであり、特に耐熱、耐湿劣化等の耐久性に優れた積層板及びフレキシブル回路基板に関するものである。
金属箔よりなる導体層とポリイミド樹脂層を有する積層体(以下、CCLと略す)は、代表的には導体層として銅箔を使用している。CCLは、主としてフレキシブル回路基板(フレキシブルプリント配線板ともいう)用の基材として使用されるが、その他面発熱体、電磁波シールド用材料、フラットケーブル等に使用される。近年においては、プリント配線板が収容されるケース類がコンパクトになるなどのために、CCLのプリント配線板用の基材としての利用が拡大している。このようなCCLは従来、有機重合体からなる接着剤を用いて銅箔にポリイミドフィルムを張り合わせることにより製造されている。しかしながら、この接着剤を使用したCCLは、その接着剤の特性が不十分であるためポリイミドフィルムの優れた特性を十分に生かしきれず、特に耐熱性の点で問題があった。
そのために、ポリイミドフィルムと銅箔が接着剤を介することなく直接的に固着させられているCCLとする方法が従来から検討されている。しかしながら、接着剤不使用のCCLは、回路加工後に露出するポリイミド樹脂表面に対してカバーレイフィルム、ボンディングシート、異方導電膜(以下、ACFと記する)、補強材等の接着性フィルム材料との接着力が低い場合があるという欠点があった。
特開昭61−281580号公報 特開2003−55487号公報 特公昭52−36778号公報 特開2001−202831号公報
接着力の改善のため、サンドブラスト等でポリイミドフィルムを機械的に粗化したり、プラズマ処理等が試みられている(特許文献1〜2)。しかし、機械的粗化では接着力は十分ではなく、プラズマ処理では若干の効果はあるものの、高価な装置が必要であり、また処理効果も短時間で低下するという欠点がある。更に近年、ファインパターンの回路加工性が要求され、そのため銅箔の粗度を下げる傾向にある。このため物理的な接着性はますます低下することになる。一方、特許文献3に示されているように、ポリイミドフィルムをアルカリで処理する方法等も提案されているが、ポリイミドが分解していて信頼性が悪い等の欠点がある。また、特許文献4では異方導電膜として電極間の接続に用いられる接着剤を改良する方法を提案している。
接着剤の存在しないCCLは、耐熱性の点では接着剤層の存在するCCLに比べて優れているが、接着力は要求水準に達していない場合がある。このような状況を踏まえ、本発明はポリイミドフィルムの優れた特性が活用される状況を維持しながら、ポリイミドフィルムがカバーレイフィルム、ボンディングシート、ACF、補強材に安定に接着され、かつ接着力の耐久性に優れたCCLを提供しようとするものであり、このようなCCLは産業上、特に電子工業上きわめて有用なものである。
すなわち、本発明は、金属箔よりなる導体層とポリイミド樹脂層を有する積層体において、導体層で覆われていないポリイミド樹脂表面又は導体層を除去したあとに露出されるポリイミド樹脂表面が、フレキシブル回路基板作成時に用いられる接着剤との間に下記式(1)の条件を満足し、かつ、導体層の表面粗度Rzが3.0未満であることを特徴とする積層体である。
(γPb−γPc)/(γSb−γSc)>0 (1)
{ただし、γPb:ポリイミド樹脂表面の極性成分エネルギー、γPc:ポリイミド樹脂表面の水素結合成分エネルギー、γSb:接着剤(フレキシブル回路基板作成時に用いられる接着剤をいう。)表面の極性成分エネルギー、γSc:接着剤表面の水素結合成分エネルギーを表し、γPb及びγPcは、下記拡張Fowkes式(2-1〜2-3)より導出され、γSb及びγScは、下記拡張Fowkes式(3-1〜3-3)より導出される。
PA=γA(1+cosθPA
=2(γPa)1/2(γAa1/2+2(γPb1/2(γAb1/2 (2-1)
(ただし、WPA:ポリイミド樹脂表面と、ある分散力エネルギー及び極性成分エネルギーを持つ液Aの間の接着エネルギー、γA:液Aの結合エネルギー、θPA:ポリイミド樹脂表面と液Aの接触角、γPa:ポリイミド樹脂表面の分散力成分エネルギー、γAa:液Aの分散力成分エネルギー、γPb:ポリイミド樹脂表面の極性成分エネルギー、γAb:液Aの極性成分エネルギーを表す)
PB=γB(1+cosθPB
=2(γPa)1/2(γBa1/2+2(γPb1/2(γBb1/2 (2-2)
(ただし、WPB:ポリイミド樹脂表面と、液Aとは異なる分散力エネルギー及び極性成分エネルギーを持つ液Bの間の接着エネルギー、γB:液Bの結合エネルギー、θPB:ポリイミド樹脂表面と液Bの接触角、γBa:液Bの分散力成分エネルギー、γBb:液Bの極性成分エネルギーを表す)
PC=γC(1+cosθPC
=2(γPa)1/2(γCa1/2+2(γPb1/2(γCb1/2+2(γPc1/2(γCc1/2 (2-3)
(ただし、WPC:ポリイミド樹脂表面と、分散力エネルギー及び極性成分エネルギーに加えて水素結合エネルギーを持つ液Cの間の接着エネルギー、γC:液Cの結合エネルギー、θPC:ポリイミド樹脂表面と液Cの接触角、γCa:液Cの分散力成分エネルギー、γCb:液Cの極性成分エネルギー、γPc:ポリイミド樹脂表面の水素結合成分エネルギー、γCc:液Cの水素結合成分エネルギーを表す)
SA=γA(1+cosθSA
=2(γSa)1/2(γAa1/2+2(γSb1/2(γAb1/2 (3-1)
(ただし、WSA:接着材表面と液Aの間の接着エネルギー、θSA:接着材表面と液Aの接触角、γSa:接着材表面の分散力成分エネルギー、γSb:接着材表面の極性成分エネルギーを表す)
SB=γB(1+cosθSB
=2(γSa)1/2(γBa1/2+2(γSb1/2(γBb1/2 (3-2)
(ただし、WSB:接着材表面と液Bの間の接着エネルギー、θSB:接着材表面と液Bの接触角を表す)
SC=γC(1+cosθSC
=2(γSa)1/2(γCa1/2+2(γSb1/2(γCb1/2+2(γSc1/2(γCc1/2 (3-3)
(ただし、WSC:接着材表面と液Cの間の接着エネルギー、θSC:接着材表面と液Cの接触角、γSc:接着材表面の水素結合成分エネルギーを表す)}
また、本発明は、露出側又は露出させるポリイミド樹脂表面を、シランカップリング剤などで処理し、ポリイミド表面全面積中に存在する原子の量に対して、シランカップリング剤によるSi原子の量が、質量濃度で0.6%以上とした接着性に優れた積層体である。更に、本発明は、接着剤が積層体同士を接着する層間接着剤又は積層体表面を保護するカバー剤である前記の積層体である。更にまた、本発明は、前記の積層体を回路加工したのち、接着剤又は接着性を有するカバーレイフィルムを用い、多層に回路を積層又は保護膜を形成したフレキシブル回路基板である。
以下、本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体は、銅箔などの導電性金属箔からなる導体層とポリイミド樹脂層を必須の層として有する絶縁層から構成される。金属箔よりなる導体層は絶縁層の片面のみに設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。
フレキシブル回路基板として用いる際には導体層として銅箔を用いることが好ましい。このとき用いられる銅箔は、圧延箔でも電解箔でもよく、粗化処理や防錆処理を行ってもよい。
CCLを構成する絶縁層には、ポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布した後、乾燥、硬化することにより形成されたもの、熱可塑性樹脂層及び絶縁フィルムにより形成されたもの、熱硬化性樹脂及び絶縁フィルムにより形成されたもののいずれを用いてもよい。これらのCCLを構成する絶縁層のうち、ポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布した後、乾燥、硬化することにより形成されたものが最も適するが、本発明はこれに限定されるものではない。ポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布した後、乾燥、硬化することにより形成されたものは、公知のジアミンと酸無水物とを溶媒の存在下で重合して製造することができる。
用いられるジアミンとしては、例えば4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、2'−メトキシ4,4'−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノベンズアニイリド等が挙げられる。
また、酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3'4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3'4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸無水物が挙げられる。ジアミン、酸無水物は、それぞれその一種類のみを使用してもよく、二種類以上を併用して使用することもできる。
ポリイミド前駆体樹脂溶液を製造する際に用いる溶媒は、ジメチルアセトアミド、n-メチルピロリジノン、2-ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、1種又は2種類以上を併用して使用することもできる。
本発明のCCLは、好ましくは銅箔層とポリイミド樹脂層とからなるものであり、ポリイミド樹脂層の片面又は両面に銅箔層を有するものである。かかる、CCLは市販されており、入手容易であるが、本発明のCCLは、ポリイミド樹脂層が前記式(1)の関係を満足し、銅箔層がその表面粗度Rz<3.0を満足する必要がある。前記式(1)の関係は、前記拡張Fowkesの式(2-1)〜(2-3)及び式(3-1)〜(3-3)から求められる。なお、拡張Fowkesの式は、例えば大阪府立産業技術総合研究所テクニカルシートNo.01022「表面自由エネルギーの測定」等で広く知られている。上記関係を満足させることにより、ポリイミド樹脂層表面に接着を行う場合又は銅箔層表面に接着を行う場合の接着性と回路加工性が向上する。
銅箔層表面の粗度を上記範囲にする方法は、すでに公知の方法を採用できる。ポリイミド樹脂層が前記式(1)の関係を満足させる方法は、シランカップリング剤処理が有効であることが見出された。しかし、シランカップリング剤処理に限らない。シランカップリング剤処理は、ポリイミド樹脂層表面に直接してもよいが、銅箔層を除去することにより露出されるポリイミド樹脂層の表面については、ポリイミド樹脂層と接する側の銅箔面をシランカップリング剤処理することがよい。
銅箔表面には、シランカップリング剤などによる表面処理を行い、ポリイミド樹脂などの絶縁層表面とフレキシブル回路基板作成の際に用いられる接着剤との表面エネルギーを特定の関係にする場合、この前処理としてのクロメート処理も有効である。
本発明で表面処理する手段の例として挙げられるシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-ベンジル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、p-アミノフェニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、1-トリメトキシシリル-2-アミノメチル)フェニルエタン等のアミノシラン等が挙げられる。本発明の効果を発現させるため、好ましくはポリアミック酸及びポリイミドと結合しうる官能基を持つことが望ましい。
シランカップリング剤で処理することにより前記式(1)の関係を満足させる場合は、シランカップリング剤に由来するSi原子の存在量を、ポリイミド樹脂層表面において、質量濃度で0.6%以上とすることがよい。ここで、ポリイミド樹脂層表面とは、接着に関与する表面層であり、表面から1nm程度の深さまでをいう。具体的には、EDX(エネルギー分散型X線分析装置)によって、測定される数値をいう。
本発明のCCLは、エッチング等により回路を形成し、これに接着剤又は接着性フィルムを接着剤又は接着剤兼膜材として使用してフレキシブル回路基板とする。ここで、使用する接着剤は公知のものを使用することができるが、ボンディングシート等が適する。接着剤は、回路加工された積層体同士を接着するための層間接着剤又は回路加工された積層体表面を保護するカバー材であることがよい。
本発明のCCLは、エッチング等により回路を形成し、これに接着剤又は接着性フィルムを介して多層回路を形成したり、保護膜を被覆したりしたフレキシブル回路基板とすることができる。
本発明によれば、片面あるいは両面に存在する金属箔をエッチングなどにより除去した後に露出されるポリイミド表面が、平滑で、かつエポキシをはじめとする各種接着剤との接着性が良好であるためフレキシブル回路基板を、接着剤を介して積層したり、回路表面をカバーフィルムを用いて保護した場合に接着信頼性の良好なフレキシブル回路基板を得ることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
積層体の作成にあたり、下記2種類の銅箔を使用した。いずれも、表面のシラン処理なしの銅箔である。
銅箔1:日鉱マテリアルズ社製 圧延銅箔 BHY-22B-T Rz=0.8〜1.1
銅箔2:三井金属鉱業社製 電解銅箔 NA-VLP Rz=0.5〜0.8
合成例1
熱電対、攪拌機、窒素導入可能な反応容器に、n−メチルピロリジノンを入れる。この反応容器を氷水に付けた後、反応容器に3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BTDA)を投入し、その後、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)を投入した。モノマーの投入総量が15wt%で、酸無水物とジアミンのモル比が0.98:1.0となるよう投入した。その後、更に攪拌を続け、反応容器内の温度が、室温±5℃の範囲となった時に反応容器を氷水から外した。室温のまま3時間攪拌を続け、ポリアミック酸溶液Aが得られた。
合成例2
n−メチルピロリジノンを入れた反応容器を氷水に付けた後、反応容器に無水ピロメリット酸(PMDA)及びビフェニルテトラカルボン酸無水物(BPDA)を投入し、その後、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を投入した。モノマーの投入総量が15wt%で、各酸無水物の比率が、PMDA:BPDA=95:5、酸無水物とジアミンのモル比が1.03:1.0となるよう投入した。その後、更に攪拌を続け、反応容器内の温度が、室温±5℃の範囲になった時に、反応容器を氷水から外した。室温のまま3時間攪拌を続け、ポリアミック酸溶液Bが得られた。
銅箔として銅箔1を使用し、シランカップリング処理した。シランカップリング剤処理層を形成するために、銅箔のクロメート処理層上に液温25℃の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.1wt%水溶液をスプレーにより塗布し、直ちに100℃に保持した乾燥器中で5分間乾燥させた。
この銅箔上に合成例1のポリアミック酸溶液Aを塗布、乾燥し、銅箔上にポリイミド前駆体樹脂が形成された積層体を得た。この積層体を熱処理し、ポリイミド片面銅箔の金属張積層体を得た。
この積層体を塩化第二鉄溶液にてエッチングし、絶縁層フィルムを得た。このフィルム表面の元素分析をEDX(エネルギー分散型X線分析装置)にて実施したところ、Siの質量濃度は0.63%であった。また、このフィルムの接触角を、協和界面科学株式会社製CA-Z型を使用して測定、解析を実施した。拡張Fowkes式によって表面エネルギーの各成分を算出したところ、極性成分γPbは5.9 dyne/cm、水素結合成分γPcは1.8 dyne/cmであった。
また、同様に市販ボンディングシート(新日鐵化学社製、商品名:SPB)の接触角を測定し、拡張Fowkes式によって表面エネルギーを算出したところ、極性成分γSbは1.5 dyne/cm、水素結合成分γScは0.0 dyne/cmであった。
これら二つのフィルムを、180℃、4Mpa、60分の条件で熱圧着したところ、実用に耐える接着力を得た。
比較例1
銅箔として、銅箔2を使用した。この銅箔上に合成例1のポリアミック酸溶液を塗布、乾燥し、銅箔上にポリイミド前駆体樹脂が形成された積層体を得た。この積層体を熱処理し、ポリイミド片面銅箔の金属張積層体を得た。この積層体を塩化第二鉄溶液にてエッチングし、絶縁層フィルムを得た。
このフィルムの接触角を、協和界面科学株式会社製CA-Z型を使用して測定、解析を実施した。拡張Fowkes式によって表面エネルギーの各成分を算出したところ、極性成分γPbは0.2 dyne/cm、水素結合成分γPcは1.8 dyne/cmであった。
また、同フィルムに市販ボンディングシートSPBを180℃、4Mpa、60分の条件で熱圧着を試みたが、接着しなかった。
表1に結果をまとめて示す。
Figure 2005322682

Claims (5)

  1. 金属箔よりなる導体層とポリイミド樹脂層を有する積層体において、導体層で覆われていないポリイミド樹脂表面又は導体層を除去したあとに露出されるポリイミド樹脂表面が、フレキシブル回路基板作成時に用いられる接着剤との間に下記式(1)を満足し、かつ、導体層の表面粗度Rzが3.0未満であることを特徴とする積層体。
    (γPb−γPc)/(γSb−γSc)>0 (1)
    ここで、γPb:ポリイミド樹脂表面の極性成分エネルギー、γPc:ポリイミド樹脂表面の水素結合成分エネルギー、γSb:接着剤表面の極性成分エネルギー、γSc:接着剤表面の水素結合成分エネルギーを表す。γPb及びγPcは、下記拡張Fowkes式(2-1〜2-3)より導出され、γSb及びγScは、下記拡張Fowkes式(3-1〜3-3)より導出される。
    PA=γA(1+cosθPA
    =2(γPa)1/2(γAa1/2+2(γPb1/2(γAb1/2 (2-1)
    (ただし、WPA:ポリイミド樹脂表面と、ある分散力エネルギー及び極性成分エネルギーを持つ液Aの間の接着エネルギー、γA:液Aの結合エネルギー、θPA:ポリイミド樹脂表面と液Aの接触角、γPa:ポリイミド樹脂表面の分散力成分エネルギー、γAa:液Aの分散力成分エネルギー、γPb:ポリイミド樹脂表面の極性成分エネルギー、γAb:液Aの極性成分エネルギーを表す)
    PB=γB(1+cosθPB
    =2(γPa)1/2(γBa1/2+2(γPb1/2(γBb1/2 (2-2)
    (ただし、WPB:ポリイミド樹脂表面と、液Aとは異なる分散力エネルギー及び極性成分エネルギーを持つ液Bの間の接着エネルギー、γB:液Bの結合エネルギー、θPB:ポリイミド樹脂表面と液Bの接触角、γBa:液Bの分散力成分エネルギー、γBb:液Bの極性成分エネルギーを表す)
    PC=γC(1+cosθPC
    =2(γPa)1/2(γCa1/2+2(γPb1/2(γCb1/2+2(γPc1/2(γCc1/2 (2-3)
    (ただし、WPC:ポリイミド樹脂表面と、分散力エネルギー及び極性成分エネルギーに加えて水素結合エネルギーを持つ液Cの間の接着エネルギー、γC:液Cの結合エネルギー、θPC:ポリイミド樹脂表面と液Cの接触角、γCa:液Cの分散力成分エネルギー、γCb:液Cの極性成分エネルギー、γPc:ポリイミド樹脂表面の水素結合成分エネルギー、γCc:液Cの水素結合成分エネルギーを表す)
    SA=γA(1+cosθSA
    =2(γSa)1/2(γAa1/2+2(γSb1/2(γAb1/2 (3-1)
    (ただし、WSA:接着材表面と液Aの間の接着エネルギー、θSA:接着材表面と液Aの接触角、γSa:接着材表面の分散力成分エネルギー、γSb:接着材表面の極性成分エネルギーを表す)
    SB=γB(1+cosθSB
    =2(γSa)1/2(γBa1/2+2(γSb1/2(γBb1/2 (3-2)
    (ただし、WSB:接着材表面と液Bの間の接着エネルギー、θSB:接着材表面と液Bの接触角を表す)
    SC=γC(1+cosθSC
    =2(γSa)1/2(γCa1/2+2(γSb1/2(γCb1/2+2(γSc1/2(γCc1/2 (3-3)
    (ただし、WSC:接着材表面と液Cの間の接着エネルギー、θSC:接着材表面と液Cの接触角、γSc:接着材表面の水素結合成分エネルギーを表す)
  2. ポリイミド樹脂表面に存在する原子の量に対して、シランカップリング剤に由来するSi原子の量が質量濃度で0.6%以上である請求項1記載の積層体。
  3. シランカップリング剤をポリイミド樹脂表面又はそれと接する金属箔の表面を処理したのち、積層して得られることを特徴とする請求項1又は2記載の積層体。
  4. 接着剤が積層体同士を接着する層間接着剤又は積層体表面を保護するカバー剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を回路加工したのち、接着剤又は接着性を有するカバーレイフィルムを用い、多層に回路を積層又は保護膜を形成したフレキシブル回路基板。
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