JP2005322416A - 大気圧低温プラズマ装置と表面処理方法 - Google Patents

大気圧低温プラズマ装置と表面処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 大気圧下で低温のプラズマを安定に発生させ、しかも被処理物の形状、種類及び作業環境にとらわれることがないトーチ型の大気圧低温プラズマ装置とその利用方法を提供する。
【解決手段】 誘電体が空隙を介して対向する内部と外部の二重管状体を構成し、少くともその一方の端部が外方に向けて開放されているトーチ型構造を有し、内部誘電体(1A)の内側と外部誘電体(2A)の外側の各々には電極(1B)(2B)が配置され、その一方が接地電極で、他方が高周波電源に接続されており、内部と外部の誘電体(1A)(2A)との間の空隙(3)には不活性ガスもしくはこれと反応性ガスとの混合ガスが流通され、前記高周波電源による高周波電圧の印加によって、二重管状体の開放端部より、大気圧下で生成された低温プラズマが噴出されることを特徴とする大気圧低温プラズマ装置とする。
【選択図】 図5

Description

この出願の発明は、高温プラズマとしてアーク放電を生じさせることなく、安定な大気圧低温プラズマを均一に発生させることができ、対象物質の形状や大きさによる制約の少ない表面処理を可能とする、新しい大気圧低温プラズマ装置と、これを用いる表面処理方法に関するものである。
従来より、固体表面への成膜や、エッチング、あるいは親水化や疎水化等の改質を目的とする表面処理方法として、薬品処理とともに、低圧プラズマによる処理方法がよく知られている。薬品処理においては人体に有害な化学物質を大量に使用する場合も多く、これら化学物質の後処理も大変に面倒で、環境への負担も大きいのに対し、低圧プラズマによる処理は、薬品処理に比べて人体への影響や環境への負担も比較的少ない乾式でクリーンな方法である。また、この低圧プラズマ法は、良好な表面状態や表面性状を実現できるという利点をも有している。
しかしながら一方で、低圧プラズマ法は、一般には数Torr以下という極めて低圧力の真空条件下で行われるため、これを工業的に行うとなると大型の真空装置が必要となり、設備費や処理コストが高くなる。真空条件で行われる理由は圧力が100Torr付近の条件になると放電が一点に集中しはじめ、大気圧付近では火花やアーク放電に移行し、対象物質の均一処理ができないためである。
また、従来の低圧プラズマ法では、効率的に高い生産性で放電処理することが容易ではないという問題もあった。
このようなことからも、従来より、大気圧下で放電させる方法が検討され、これまでに数多くの提案がなされている。たとえばコロナ放電処理装置がよく知られている。さらには、無声放電や沿面放電によるオゾナイザー等が知られている。コロナ放電は、先鋭な放電電極を用いて直流高電圧の印加により気体をプラズマ化することによって発生するものであり、また、沿面放電はセラミック等の無機物表面と内部に電極を形成し、交流電界を印加するとセラミック表面に放電が発生するものであって、いずれも極めて部分的な放電である。これに対して、均一な放電であるグロー放電を大気圧下で発生させる方法も提案されている(特許文献1−2)。この方法は、大気圧下で均一なグロー放電を発生させるものとして注目されるが、この方法では放電空間が極めて小さく、放電の安定性にも問題があるとされていた。
そこで、大気圧グロー放電プラズマの特徴を生かし、しかも比較的低い印加電圧で均一な大気圧グロー放電を発生させる方法として平行平板型電極構造による方法の各種の改善が提案されている。しかしながら、この平行平板型電極では、処理できる物質の形状や大きさが限定されてしまい、大量処理や連続処理には適していないという問題がある。
一方、平行平板型電極の欠点を解消し、処理対象物質の形状や大きさによる制約が少なく、しかも比較的低い印加電圧で均一な低温プラズマを生成させる方法として、いわゆるトーチ型構造の装置によってプラズマを噴出させることも検討されてきている。
たとえば、電極として金属管を用い、その吹出し口の端縁を切欠いた状態で傾斜面を形成し、この金属管電極に電圧を印加して、その内部に供給したガスにより低温プラズマを生成させて吹出し口より噴出させる方法が提案されている(特許文献3)。また、二つの同心円状電極の間の環状領域でプラズマを発生させ、長寿命の準安定原子や反応活性種のプラズマ噴流を生成する方法も提案されている(特許文献4)。
しかしながら、金属管を電極とする方法の場合には、アーク放電の発生を防ぐために処理対象物質を誘電体上に載置しなければならず、表面処理のプロセスとして制約があり、高電圧極と電源との間にコンデンサを直列に連結することが必要であり、かつ、金属管電極の先端が鋭いため、広い面積の処理対象には適しておらず、多重構造にしないといけないという問題があった。他方の同心円状電極の上記提案の場合には、プラズマ噴流の温度が300℃程度の高温度となり、融点やガラス転移点の低いポリマー等の表面処理ができないという問題があった。
特開平5−155605号公報 特開平6−119995号公報 特開平6−108257号公報(特許第3207469号) 特表2001−508951号公報
この出願の発明は、上記のような背景から、トーチ型装置によるプラズマ噴流の特徴を生かして、安定して均一な大気圧プラズマを生成させることができ、このプラズマによって、対象物の形状や大きさによる制約が少く、任意の場所と広範囲な対象に対してその表面処理を行うことを可能とする、新しい大気圧低温プラズマ装置と、これを用いる表面処理方法を提供することを課題としている。
この出願は、上記の課題を解決するものとして以下の発明を提供する。
〔1〕誘電体が空隙を介して対向する内部と外部の二重管状体を構成し、少くともその一方の端部が外方に向けて開放されているトーチ型構造を有し、内部誘電体の内側と外部誘電体の外側の各々には電極が配置され、その一方が接地電極で、他方が高周波電源に接続されており、内部と外部の誘電体との空隙には不活性ガスもしくはこれと反応性ガスとの混合ガスが流通され、前記高周波電源による高周波電圧の印加によって、二重管状体の開放端部より、大気圧下で生成された低温プラズマが噴出されることを特徴とする大気圧低温プラズマ装置。
〔2〕対向する内部と外部の誘電体が共に円筒状もしくは短冊状であることを特徴とする上記の大気圧低温プラズマ装置。
〔3〕上記の対向する内部と外部の誘電体間の空隙距離が、軸心に直交する断面において均一であることを特徴とする大気圧低温プラズマ装置。
〔4〕上記の対向する内部と外部の誘電体が、軸心に直交する断面において同心円状に配置されていることを特徴とする大気圧低温プラズマ装置。
〔5〕軸心に直交する断面として、内部誘電体の外径と外部誘電体の内径は、開放端部に向って漸縮小もしくは漸拡大されていることを特徴とする上記いずれかの大気圧低温プラズマ装置。
〔6〕軸心に直交する断面において、内部と外部の誘電体の各々の断面積が可変とされていることを特徴とする大気圧低温プラズマ装置。
〔7〕内部誘電体は、二重管状体の開放端部側の端部において、その内側の電極の先端を覆うように閉じていることを特徴とする大気圧低温プラズマ装置。
〔8〕二重管状体の開放端部において、軸心長さ方向で、外部誘電体外側の電極端位置に対して内部誘電体内側の電極端位置が可変とされていることを特徴とする大気圧低温プラズマ装置。
〔9〕外部誘電体外側の電極端位置に対して内部誘電体内側の電極位置が二重管状体の開放端部からより内側に配置されていることを特徴とする大気圧低温プラズマ装置。
〔10〕以上のいずれかのプラズマ装置において、トーチ型構造部が手持ち可動とされていることを特徴とする大気圧低温プラズマ装置。
〔11〕上記プラズマ装置によって生成させた低温プラズマで固体物質の表面処理を行うことを特徴とする表面処理方法。
〔12〕開放端部より噴出させた低温プラズマを固体物質表面に射出して表面処理を行うことを特徴とする表面処理方法。
上記のとおりのこの出願の発明によれば、従来の大気圧低温プラズマ装置の問題点を解消し、トーチ型装置でのプラズマ噴流の特徴を生かして、安定して均一な大気圧プラズマを生成させることができ、このプラズマによって、対象物の形状や大きさによる制約が少く、任意の場所と広範囲な対象に対してその表面処理を行うことが可能となる。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
まず明瞭にしておくべきことは、この出願の発明のプラズマは、周知のアーク放電による高温プラズマとは本質的に異なるものであって、大気圧下においてグロー放電、もしくはグロー放電状、あるいは無声放電状として生成させるプラズマであって、アーク放電高温プラズマに対して「低温プラズマ」と呼ばれているものとして規定されることである。
この特徴のある大気圧低温プラズマを生成させるこの出願の発明では、前記のとおりのトーチ型構造の構成を有している。すなわち、この出願の発明の大気圧低温プラズマ装置においては、たとえば円筒二重構造の例として図1に沿って説明すると、誘電体(1A)(2A)が空隙(3)を介して対向する内部と外部の二重管状体を構成し、少くともその一方の端部が外方に向けて開放されているトーチ型構造を有し、内部誘電体(1A)の内側と外部誘電体(2A)の外側の各々には電極(1B)(2B)が配置され、その一方が接地電極で、他方が高周波電源に接続されており、内部と外部の誘電体(1A)(2A)との間の空隙(3)には不活性ガスもしくはこれと反応性ガスとの混合ガスが流通され、前記高周波電源による高周波電圧の印加によって、二重管状体の開放端部より、大気圧下で生成された低温プラズマが噴出される。
ここで二重管状体の形状については、図1の場合のように、対向する外部と内部の誘電体(1A)(2A)が共に円筒状であるものに限られることはない。たとえば図2のように角筒管状体として、短冊状の内部誘電体(1A)と外部誘電体(2A)、さらに電極(1B)(2B)を有するような形状、構造としてもよい。
いずれの場合であっても、この出願の発明で発生させるプラズマは、誘電体バリア放電あるいは大気圧グロー放電によって得られるプラズマである。すなわち、大気圧下では粒子間の衝突頻度が極めて高いため、プラズマに注入した電気エネルギーは種々の衝突過程を経て熱エネルギーへと変換されやすい。その究極の状態が熱プラズマであり、発生したスパークがアークへと進展すればプラズマ温度は数万℃に達する。しかし、電極間に誘電体を挿入した時、誘電体が放電電流を抑制すると同時にストリーマを空間に広く分散させるため、スパークがアークまで進展することはなく、かわってストリーマが1−10nsのオーダーで時・空間的にランダムに発生と消滅を繰り返す。すなわち、大気圧下での低温プラズマは、プラズマの熱化が著しく進行する前に電気エネルギーの注入を立つことで低温状態を形成している。これは、誘電体の挿入により過渡的な連続パルス放電を形成し、発生するプラズマがパルスプラズマになっていることによって達成される。
内外部の誘電体(1A)(2A)についてはその素材はガラスをはじめ各種のセラミックス等であってよく、また内外部の電極(1B)(2B)についても同様に、銅、アルミニウム、ニッケル、その他の各種のものであってよい。また、これら電極の配設については各種の手段が採用されてよい。なお、誘電体(1A)(2A)は、その誘電率と厚さによって静電容量が変わり、これにともなって適切な周波数が変化することになるが、絶縁破壊電圧が十分に高いと、たとえば10kV/mm以上、より好ましくは20kV/mm以上であることが考慮される。
安定して均一な大気圧低温プラズマの生成のためには、好適には、対向する内部と外部の誘電体(1A)(2A)間の空隙距離、すなわち図1および図2でのLが、軸心に直交する断面において均一であることが望ましい。この空隙の大きさについては、操作条件によっても相違するが、一般的には0.1mm〜5mm程度、さらには0.1〜2mm程度とすることが好適には考慮される。また、図1のように、対向する内部と外部の誘電体が、軸心に直交する断面において同心円状に配置されていることが実際的にはより好適である。
そして、この出願の発明においては、たとえば図3および図4に例示したように、軸心に直交する断面として、内部誘電体(1A)の外径と外部誘電体(2A)の内径は、開放端部に向って漸縮小もしくは漸拡大されているものとすることや、軸心に直交する断面において、内部と外部の誘電体(1A)(2A)の各々の断面積が可変とされているものとすることができる。
そして、より実際的で好適な形態を説明すると、この出願の発明の低温プラズマ装置では、図5の断面図に示したように、内部誘電体(1A)は、二重管状体の開放端部側の端部において、その内側の電極(1B)の先端を覆うように閉じていることが望ましい。
さらにまた、生成される低温プラズマの状態を制御するために、二重管状体の開放端部において、図5において矢印で示したように、軸心長さ方向で、外部誘電体(2A)外側の外部電極(2B)の先端位置に対して内部誘電体(1A)内側の内部電極(1B)の先端位置が±lのように可変とすることができる。
たとえば好適な形態として、図6のように、外部誘電体(2A)外側の電極(2B)先端位置に対して内部誘電体(1A)内側の電極(1B)先位置が二重管状体の開放端部からより内側に、距離−lをもって配置されていることが考慮される。
外部電極(2B)と内部電極(1B)の位置関係については、内部電極(1B)の先端が上記のように−lの距離だけ内側に、つまり後方に配置されていることが好ましいとしても、内部電極(1B)の先端は、外部電極(2B)の後端位置からはみ出してまで後方に位置させることは好ましくない。つまり、軸方向位置においては、内部電極(1B)の先端は、外部電極(2B)と少くとも重なり合う位置に配設されていることが好ましい。このことは、放電電圧が大きくなりすぎないためにも望ましく、また、内部電極(1B)先端からトーチ開放端に向って等電圧線が密な凸形状になること、すなわち急峻な電位勾配が軸方向に形成され、エレクトロハイドロダイナミック(EHD)現象が生じることの観点からも望ましい。
内部電極(1B)、外部電極(2B)の軸方向長さや径あるいは厚みについては適宜に設定してよいが、外部電極(2B)の軸方向長さについてはたとえば50mm以下とすることも好適に考慮される。
たとえば以上のようなこの出願の発明の大気圧低温プラズマ装置においては、前記の空隙(3)には、プラズマ生成のためのHe(ヘリウム)、Ar(アルゴン)、N2(窒素)等の不活性ガスやその補助ガスとしての含酸素化合物、さらには固体物質の表面処理のためにプラズマ励起される反応性ガスの各種のものが流通され、前記の開放端部より大気圧低温プラズマが噴出されるようにする。プラズマ生成のためには、高周波励起電圧が、たとえば前記の電極(1B)(2B)のいずれかに印加され、他方の電極は接地されたものとする。
たとえば、内部誘電体(1A)の内側の電極(1B)を接地電極とし、外部誘電体(2A)の外側の電極(2B)に高周波励起電圧を印加することが好適に考慮される。
高周波電源としては、1〜10kHz以上の高周波励起電圧を印加することができる電源であることが好適に考慮される。高周波の波形に特に制限はないが立ち上がり立ち下がりの急峻なパルス電圧を印可すれば、効率よくプラズマを発生させることができるので好ましい。
電圧はプラズマガスの種類と流速、そして上記の誘電体(1A)(2A)間の空隙(3)の距離Lによって変化される。通常は、約3kV/mmから十数kV/mmの範囲になると考えることができる。周波数についてもプラズマガスの種類等により適正値が定められるが、たとえば、一般のコロナ放電の周波数よりは高めの50〜200kHzの範囲が考慮される。
この出願の発明における大気圧低温プラズマジェットの生成に際しては、He(ヘリウム)等の不活性ガスが用いられるが、He以外にもAr(アルゴン)やN2(窒素)等も使用でき、これらは酸素や反応性ガス等と混合されていてもよい。
不活性ガスの線速度についても、各種の操作条件との関係から適切なものとされるが、たとえば、He(ヘリウム)ガスの場合には、毎秒190cmから5300cmの線速度範囲でプラズマジェットの発生が確認されており、その好適な範囲は、後述の実施例においては、たとえば、毎秒380cmから760cmの範囲である。
この出願の発明の大気圧低温プラズマ装置においては、上記の説明からも明らかなように、トーチ型構造の二重管状体とともに、上記の不活性ガスや反応性ガスを空隙(3)に供給して流通させるためのガス供給部とその流速、供給量等をコントロールするための制御部を有し、さらにはプラズマ生成のための高周波電源とその制御部を適宜に備えている。トーチ型構造の二重管状体は、その部分を部品、部材として扱うこともできる。
この出願の発明の装置においては、さらに、トーチ型構造部が手持ち可動とすることも考慮することができる。
手持ち可動型の大気圧低温プラズマトーチとすることによって大気圧下で、様々な種類と形状の対象に対して、屋内や屋外を問わずに低温プラズマの噴出でそれらの表面処理を行うことができる。その際には、高周波電源を導線によって、プラズマトーチに接続し、プラズマトーチにはガス供給源(例えばガスボンベ)がガス供給用ホースで接続されていることで、作業者が供給圧力や流量を調整でき、供給されたガスでプラズマ噴流を発生させ、このプラズマ噴流によって被処理対象を処理することができる。
この出願の発明のプラズマ装置によって生成させた低温プラズマで固体物質の表面処理を行うことができる。
最も代表的な方法としては、開放端部より噴出させた低温プラズマを固体物質表面に射出して表面処理を行うことである。この出願の発明の低温プラズマトーチの複数のものを集合もしくは組合わせることで、より大面積の表面処理も効率的に可能になる。このような集合もしくは組合わせは、上記の外部電極(2B)を絶縁保護することで様々な形態として可能とされる。
また、この出願の発明の装置においては、前記のガスの供給と流通にともなって、反応性ガスだけではなく、固体粒子を供給し、プラズマ中で表面処理することや、固体粒子あるいは液滴を供給して反応性原料として使用することも考慮される。
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
<実施例1>
図1に示すプラズマトーチにおいて、外部誘電体(2A)としてガラス管(外径:10mm、内径:8mm)を、内部誘電体(1A)としてガラス管(外径:6mm、内径4mm)を用いた。また、外部誘電体(2A)と内部誘電体(1A)との間の空隙(3)の距離Lは1mmとした。さらに、外部電極(2B)及び内部電極(1B)にはアルミニウムを使用し、フローガスとしてヘリウムを用いた。
内部電極(1B)を接地電極とし、外部電極(2B)に高周波電圧を印加した。
被処理物としてポリプロピレンフィルム(以下PPフィルムとする)及びポリスチレンフィルム(以下PSフィルムとする)を使用した。プラズマトーチの先端の開放端部(7)と被処理物の間隔は10及び50mmとし、電圧4.0kV、パルス巾5μ秒、周波数60kHzで高周波励起電圧を印加して大気圧低温パルスプラズマを発生させた。プラズマ噴流によるPPフィルムの処理時間は10、30、60、180秒とし、PSフィルムの処理時間は10秒とした。なお、プラズマトーチの周囲は大気中に開放してある。
PPフィルム及びPSフィルムの表面はプラズマ噴流によってプラズマ反応を起こす。しかしながら、プラズマ噴流中のガス温度はあくまで低温のままであるので、融解したり、燃えたりすることはない。以上の方法で処理されたPPフィルム表面をX線光電子分光法(以下XPSとする)で分析した結果を表1に、PSフィルム表面をXPSで分析した結果を表2にそれぞれ示した。また、図7にプラズマトーチの先端と被処理物の間隔が50mm、電圧4.0kV、パルス周波数60kHz、処理時間10秒のPPフィルム表面のXPSスペクトルを示した。
プラズマトーチの先端とPPフィルムの間隔が10及び50mmの両者とも10秒程度といった極めて短時間の処理時間であっても、表面の酸素含有率が大幅に増えている。また、PSフィルムも同様の結果が得られている。本来、ポリプロピレン及びポリスチレンはその構造に酸素を含まない。しかし、処理後のPPフィルム表面及びPSフィルム表面には多量の酸素が検出された。すなわち、PPフィルム及びPSフィルム表面は活性な表面に改質されたことになる。
以上のことからも、大気圧低温プラズマ中で生成した準安定原子が電子状態のみが高励起状態なのであって、気体温度は常温付近とたいして変わらないために、高温のプラズマジェット処理の時に生じやすい被処理物の融解や燃焼などといった現象を引き起こすこと無しに化学変化のみを起こすことが可能であるため、表面処理技術として極めて有効な方法であることがわかる。
<実施例2>
図5において、プラズマトーチの外部誘電体(2A)と外部電極(2B)の開放端部(7)からの内部電極(1B)先端部との距離(±l)の相違によるプラズマ生成について検討した。内部電極(1B)先端部が外方に突出している場合を+lとし、内方に引込まれている場合を−lとした。
次の表3にはプラズマトーチの寸法等を示した。
プラズマ生成が確認された印加電圧(Votage at plasma generation) とプラズマ噴流の生成が確認された電圧(Generation of plasma jet)を測定した。
以上のように内部電極(1B)を接地電極とした場合の結果を表4に示した。
次に、l=−26mmの場合について、Heガスフロー:40L/min、パルス周波数:60kHzの場合の印加電圧とプラズマジェットの発生長さとの関係を評価した。図8はその結果を示したものである。さらにHeガスの流速との関係についても評価した。その結果を図9に示した。
<実施例3>
実施例2のプラズマトーチによるプラズマ噴流を用いて、実施例1と同様にポリマーフィルムの処理を行った。
印加電圧6.0kV、パルス周波数60kHz、Heガスフローレイト:40L/minとした場合の、プラズマトーチからの距離と、XPSにより検出されたO原子の存在との関係を図9に示した。
この出願の発明のプラズマ装置(プラズマトーチ)を二重円筒型について例示した断面図である。 短冊状角筒型について例示した断面図である。 断面漸縮小の形態を例示した断面図である。 断面漸拡大の形態を例示した断面図である。 電極端の被覆と位置可変性を例示した断面図である。 内部電極が内方に引込まれている状態を例示した断面図である。 実施例1におけるPPフィルム表面のXPSスペクトルを例示した図である。 実施例2について、印加電圧とプラズマジェットの長さとの関係を例示した図である。 Heガス流速とプラジェットの長さとの関係を例示した図である。 実施例3において、プラズマトーチからの距離とXPS:O原子の存在との関係を例示した図である。
符号の説明
1A 内部誘電体
1B 内部電極
2A 外部誘電体
2B 外部電極
3 空隙
7 開放端面

Claims (12)

  1. 誘電体が空隙を介して対向する内部と外部の二重管状体を構成し、少くともその一方の端部が外方に向けて開放されているトーチ型構造を有し、内部誘電体の内側と外部誘電体の外側の各々には電極が配置され、その一方が接地電極で、他方が高周波電源に接続されており、内部と外部の誘電体との空隙には不活性ガスもしくはこれと反応性ガスとの混合ガスが流通され、前記高周波電源による高周波電圧の印加によって、二重管状体の開放端部より、大気圧下で生成された低温プラズマが噴出されることを特徴とする大気圧低温プラズマ装置。
  2. 対向する内部と外部の誘電体が共に円筒状もしくは短冊状であることを特徴とする請求項1の大気圧低温プラズマ装置。
  3. 対向する内部と外部の誘電体間の空隙距離が、軸心に直交する断面において均一であることを特徴とする請求項1または2の大気圧低温プラズマ装置。
  4. 対向する内部と外部の誘電体が、軸心に直交する断面において同心円状に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの大気圧低温プラズマ装置。
  5. 軸心に直交する断面として、内部誘電体の外径と外部誘電体の内径は、開放端部に向って漸縮小もしくは漸拡大されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかの大気圧低温プラズマ装置。
  6. 軸心に直交する断面において、内部と外部の誘電体の各々の断面積が可変とされていることを特徴とする請求項1から5のいずれかの大気圧低温プラズマ装置。
  7. 内部誘電体は、二重管状体の開放端部側の端部において、その内側の電極の先端を覆うように閉じていることを特徴とする請求項1から6のいずれかの大気圧低温プラズマ装置。
  8. 二重管状体の開放端部において、軸心長さ方向で、外部誘電体外側の電極端位置に対して内部誘電体内側の電極端位置が可変とされていることを特徴とする請求項1から7のいずれかの大気圧低温プラズマ装置。
  9. 外部誘電体外側の電極端位置に対して内部誘電体内側の電極位置が二重管状体の開放端部からより内側に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかの大気圧低温プラズマ装置。
  10. 請求項1から9のいずれかのプラズマ装置において、トーチ型構造部が手持ち可動とされていることを特徴とする大気圧低温プラズマ装置。
  11. 請求項1から10のいずれかのプラズマ装置によって生成させた低温プラズマで固体物質の表面処理を行うことを特徴とする表面処理方法。
  12. 開放端部より噴出させた低温プラズマを固体物質表面に射出して表面処理を行うことを特徴とする請求項11の表面処理方法。

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