JP2005317613A - 半導体装置用接着剤シートおよびそれを用いた半導体装置用部品ならびに半導体装置 - Google Patents

半導体装置用接着剤シートおよびそれを用いた半導体装置用部品ならびに半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
加工性、リフロー耐熱性および耐サーマルサイクル性に優れた半導体装置用接着剤シートおよびそれを用いた半導体装置用部品、半導体装置を工業的に提供する。
【解決手段】
軽剥離保護フィルム、接着剤層および重剥離保護フィルムがこの順に積層されてなる半導体装置用接着剤シートであって、該軽剥離保護フィルムと該重剥離保護フィルムの接着剤層に対する剥離力差がいずれも5N/m以上であり、該重剥離保護フィルムの60℃から130℃の温度領域における伸度が700%以上、2,000%以下であり、かつ、該重剥離保護フィルムの130℃の温度で5分加熱後の該接着剤層に対する剥離力が3N/m以上、70N/m以下であることを特徴とする半導体装置用接着剤シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体集積回路(IC)を実装し、パッケージ化する際に好適に用いられる半導体装置用接着剤シート、半導体装置用部品および半導体装置に関するものである。
従来、半導体集積回路(IC)パッケージとして、デュアルインラインパッケージ(DIP)、スモールアウトラインパッケージ(SOP)およびクアッドフラットパッケージ(QFP)等のパッケージ形態が用いられてきた。しかしながら、ICの多ピン化とパッケージの小型化に伴い、最もピン数を多くすることができるQFPパッケージにおいても限界に近づいている。そこで近年、多ピン化と小型化の手段として、BGA(ボール・グリッド・アレイ)方式、LGA(ランド・グリッド・アレイ)方式およびPGA(ピン・グリッド・アレイ)方式等が実用化されてきた。中でもBGA方式は、プラスチック材料の利用による低コスト化、軽量化および薄型化の可能性が高く注目されている。
図1に、半導体装置用接着剤シートを用いたBGA方式による半導体装置の一態様を示す。図1において、半導体集積回路1を接続するために絶縁体層3および半導体集積回路接続用の導体5、配線基板層を構成する接着剤層4からなる配線基板層、補強板(スティフナー)、放熱板(ヒートスプレッダー)、シールド板等の導体パターンが形成されていない層7、およびこれらを積層するための接着剤層6を、それぞれ少なくとも1層以上有しており、さらに金バンプ2、ソルダーレジスト8をもち、半導体集積回路1を接続した半導体集積回路接続用基板の外部接続部として半田ボール9を格子(グリッドアレイ)に有することを特徴としている。半導体装置は封止樹脂10で封止される。
BGA方式は、ICを接続した半導体接続用基板の外部接続部としてICのピン数にほぼ対応する半田ボールを格子(グリッドアレイ)上に有することを特徴としている。プリント基板(マザーボード)への接続は、この半田ボールを、すでに半田が印刷してあるプリント基板の導体パターン上に一致するように載せて、リフローにより半田を融解して行なわれる。最大の特徴は、インターポーザーの底面を使用できるため、QFP等の周辺部しか利用できないパッケージと比較して、多くの端子を小スペースに配置できることにある。このため、実装面では低実装面積化と高実装効率化を図ることができる。この小型化機能をさらに進めたものとして、チップスケールパッケージ(CSP)があり、マイクロBGA(μ−BGA)、ファインピッチBGA(FP−BGA)、メモリーBGA(m−BGA)およびボードオンチップ(BOC)等の構造が提案されている。
一方、BGA方式においては、補強、放熱および電磁的シールドを目的として、半導体接続用基板に金属板等を積層する方法が一般的に用いられる。特に、ICを接続するための絶縁体層および半導体集積回路接続用の導体からなる配線基板等に、TABテープやフレキシブルプリント基板、リジット基板を用いた場合は効果的である。このため、半導体接続用基板は、ICを接続するための絶縁体層および半導体集積回路接続用の導体からなる配線基板層、補強板(スティフナー)あるいは放熱板(ヒートスプレッダー)等の導体パターンが形成されていない層、およびこれらを積層するための接着剤層をそれぞれ少なくとも1層有する構成となっている。これらの半導体接続用基板にICチップを搭載し、半導体素子と金属配線をワイヤーボンディングやインナーリードで接続する。その後樹脂封止を行い、樹脂封止された半導体装置は半田ペーストを塗布され、半田ボールを搭載する。
最終的に、接着剤層はパッケージ内に残留する。従って、接着剤層に要求される特性として、(a)リフロー耐熱性、(b)配線基板層と補強板等の異種材料間で、サーマルサイクルやリフローの際に発生する応力の吸収性(応力緩和性)、(c)易加工性、および(d)配線上に積層する場合の絶縁性などが挙げられる。
易加工性は、歩留まりの向上のみでなく、耐リフロー性や各種信頼性を向上させるために要求される特性である。接着剤層と、金属板や配線基板等の被着体との層間に異物や水分の発生溜まりとなる気泡の混入を抑える必要があり、低欠点および短時間加工性が要求されている。特に、半導体装置用接着剤シートと被着体との貼り合わせ工程では、貼り合わせ気泡等の不具合を防ぐことが重要である。このような観点から、従来、接着剤層の片面または両面に保護フィルム層を有する構成によって、異物や貼り合わせ気泡、接着剤のしみ出し・だれ等を抑制し、平面性を改善した半導体装置用接着剤シートが提案されてきた(特許文献1〜4参照)。片面に保護フィルムを有する構成ではそのままの状態で、また両面に保護フィルムを有する構成では、一方の面の保護フィルムである軽剥離保護フィルムを剥がした状態で、ラミネート法やプレス法によって被着体と貼り合わされる。
特開2003−183606号公報 特開2002−180017号公報 特開平11−220051号公報 特開平7−7048号公報
しかしながら、これら従来の種々の方法で改良された半導体装置用接着剤シートでは、通常保護フィルムの塗工後乾燥工程での熱安定性を重要視してきたため、融点の高い保護フィルムが使用されてきた。しかしながら、それらの保護フィルムは、貼り合わせ温度である60℃から130℃における引っ張り伸度が低く、そのため貼り合わせ工程時に配線パターンや部品の高低差に保護フィルムが変形追随せず、貼り合わせムラが生じ、結果として接着剤層と被着体間において貼り合わせ気泡が生じてしまうという問題が生じていた。このような接着剤層と被着体間における貼り合わせ気泡は、加熱硬化工程、リフロー工程およびサーマルサイクルにおいてクラックの原因となる。また、他方の面の保護フィルムである重剥離保護フィルムの加熱後の剥離力も加熱工程において重要である。加熱硬化後の剥離力が小さいと保護フィルムのずれやはがれが生じ、張り合わせ気泡が生じてしまい問題である。また、加熱硬化後の剥離力が大きすぎると、接着剤層の損傷や歩留まりの低下等が問題となる。
そこで本発明の目的は、かかる加工工程において生じる問題点を解消することで加工工程での歩留まりを向上させ、さらにはリフロー耐熱性および耐サーマルサイクル性等の信頼性に優れた半導体装置用接着剤シートを提供すること、および同半導体装置用接着剤シートを用いた半導体装置用部品ならびに半導体装置を提供することにある。
すなわち、本発明の半導体装置用接着剤シートは、軽剥離保護フィルム、接着剤層および重剥離保護フィルムがこの順に積層されてなる半導体装置用接着剤シートであって、該軽剥離保護フィルムと該重剥離保護フィルムの接着剤層に対する剥離力差が5N/m以上であり、該重剥離保護フィルムの60℃から130℃の温度領域における伸度が700%以上、2,000%以下であり、かつ、該重剥離保護フィルムの130℃の温度5分加熱後の該接着剤層に対する剥離力が3N/m以上、70N/m以下であることを特徴とする半導体装置用接着剤シートである。
また、本発明においては、上記重剥離保護フィルムの融点が130℃以上であること、および、60℃から130℃の温度領域における接着剤層の伸度が、300%以上、2000%以下であることが、好ましい態様として含まれている。
また本発明においては、上記の半導体装置用接着剤シートを、半導体装置用部品に、そして半導体装置に適用することができる。
本発明によれば、優れたリフロー耐熱性や耐サーマルサイクル性を保持しながら、加工性に優れた半導体装置用接着剤シートが得られ、この半導体装置用接着剤シートは半導体装置の製造に好適に用いられる。
本発明者らは、上記の目的を達成するために保護フィルムの物性を鋭意検討した結果、本発明に到達したものであって、60℃から130℃の温度領域における引っ張り試験での引っ張り伸度が700%以上、2000%以下であり、かつ、130℃の温度で5分加熱後の接着剤層(A)に対する剥離力が3N/m以上、70N/m以下であることを特徴とする重剥離保護フィルムを使用することによって、優れたリフロー耐熱性や耐サーマル性を保持しながら、加工性に優れた半導体装置用接着剤シートが得られることを見いだした。
以下、本発明の半導体装置用接着剤シートについて詳細に説明する。本発明の半導体装置用接着剤シートは、接着剤層の両面に保護フィルム(軽剥離保護フィルム;CF1,重剥離保護フィルム;CF2)を有する半導体装置用接着剤シート、すなわち、軽剥離保護フィルム(CF1)、接着剤層および重剥離保護フィルム(CF2)がこの順に積層されてなる半導体装置用接着剤シートであって、前記軽剥離保護フィルム(CF1)と重剥離保護フィルム(CF2)の両方の保護フィルムの接着剤層(A)に対する剥離力差が5N/m以上であり、かつ前記重剥離保護フィルム(CF2)の60℃から130℃の温度領域における引っ張り試験での引っ張り伸度が700%以上、2000%以下であり、かつ、前記重剥離保護フィルム130℃の温度で5分加熱後の接着剤層(A)に対する剥離力が3N/m以上、70N/m以下であることを特徴とする半導体装置用接着剤シートである。
本発明で用いられる保護フィルムは、接着剤層の形態および機能を損なうことなく剥離することができれば特に限定されるものではないが、半導体装置用接着剤シートの作製工程のため、さらにはその後の被着体への貼り付け工程のため、これを機能別に分類することができる。
すなわち、本発明で用いられる保護フィルムは、主に半導体装置用接着剤シートを作製する際に、塗料(接着剤)を塗布するための基材として使用される保護フィルム(本発明では、この保護フィルムを軽剥離保護フィルム(CF1)という。)と、主に塗料を塗工後乾燥された形成された接着材層(A)への異物等の付着を防止するために積層される保護フィルム(本発明では、この保護フィルムを重剥離保護フィルム(CF2)という。)とに分類することができる。
本発明で用いられる軽剥離保護フィルム(CF1)には、通常耐熱性が要求される。軽剥離保護フィルムは、接着剤としての塗料を塗工後、乾燥工程で通常120℃から180℃の温度で乾燥されるが、ここでいう耐熱性は、この乾燥工程における耐熱性のことである。したがって、軽剥離保護フィルムとしては、この温度領域での変形や熱収縮が小さいものが好ましく、それに適した好ましくは延伸された種々のフィルムが通常用いられる。さらには、軽剥離保護フィルムには、接着剤塗布前に乾燥温度以上の熱が加えられたフィルムの内部応力を低減させたフィルムが好ましく用いられる。
すなわち、軽剥離保護フィルムは、60から130℃の温度領域における引っ張り試験による引っ張り伸度が500%以下であることが好ましく、より好ましくは400%以下であり、さらに好ましくは300%以下である。また、軽剥離保護フィルムは、150℃の温度での熱収縮率が20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
上記の引っ張り伸度や熱収縮率等は、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素の割合や脂肪族炭化水素の長さ、延伸程度による結晶化度によって、変えることができる。
このような軽剥離保護フィルムの具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルブチラート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリイミドおよびポリメチルメタクリレート等のプラスチックフィルム、それらプラスチックフィルムにシリコーン、アルキッド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂あるいは含フッ素化合物等の離型剤でコーティング処理を施したフィルム等が挙げられる。
これらの軽剥離保護フィルムの中でも、離型力の調整が容易なシリコーンあるいは含フッ素化合物の離型剤で離型処理が施されたポリエステルフィルムが、耐熱性や表面の平滑性の点で優れており、特に好ましく用いられる。また、軽剥離保護フィルムは、加工時に視認性が良いように顔料による着色が施されていても良い。軽剥離保護フィルムの厚みは、使用されるフィルムの高温での変形率や熱収縮率によって異なるが、通常10〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは25μm以上であり、さらに好ましくは35μm以上である。
他方、本発明で用いられる重剥離保護フィルム(CF2)は、60℃から130℃の温度領域における引っ張り試験による引っ張り伸度が700%以上、2000%以下であることが重要であり、無延伸のフィルムが好ましく用いられる。引っ張り伸度が700%未満では、重剥離保護フィルムの変形量が少ないため、接着剤層の配線パターンや部品への埋め込み性が損なわれる。また、破断伸度が2,000%より大きな場合には、工程上での取扱性が損なわれるため、好ましくない。
重剥離保護フィルムは、乾燥した接着剤層(A)を異物等の付着等から保護する目的で積層されるため、軽剥離保護フィルム(CF2)ほど耐熱性は要求されないが、軽剥離保護フィルムを剥離した後、60℃から130℃の温度下で、被着体へラミネート法あるいはプレス法で貼り付けられるため、重剥離保護フィルムには、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは170℃以上の融点を有するフィルムが望まれる。
重剥離保護フィルムの具体例としては、例えば、無延伸ポリエステル、高密度ポリエチレン(延伸・無延伸)、無延伸ポリアミド、無延伸ポリフェニレンスルフィド、無延伸ポリ塩化ビニル、無延伸ポリテトラフルオロエチレン、無延伸ポリフッ化ビニル、無延伸ポリビニルブチラート、無延伸ポリ酢酸ビニルおよび無延伸ポリビニルアルコール等からなる無延伸フィルムが挙げられる。それらの無延伸フィルムにシリコーン、アルキッド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、あるいは含フッ素化合物等の離型剤をコーティング処理したフィルムが好ましく用いられる。これらのフィルムの中でも、60℃から130℃の温度領域における引っ張り試験による引っ張り伸度の大きさの点で、離型処理を施された無延伸ポリプロピレンフィルムと、高密度ポリエチレンなどの無延伸オレフィンフィルムが、特に好ましく用いられる。
重剥離保護フィルムの厚みは、通常5〜75μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜50μmであり、さらに好ましくは10〜35μmである。
本発明において、軽剥離保護フィルム(CF1)と重剥離保護フィルム(CF2)の接着剤層(A)に対する剥離力を、それぞれF1およびF2とした場合、それらの剥離力差(F2−F1)は5N/m以上であることが重要である。
剥離力差が5N/mより小さい場合、接着剤層(A)の剥離面がいずれの保護フィルム側になるのか安定せず、使用上問題となる。また、剥離力(F1)は1N/m以上、100N/m以下、剥離力(F2)は5N/m以上、100N/m以下であることが好ましい。剥離力(F1)が1N/mより小さい場合は保護フィルムの脱落が生じ、100N/mより大きい場合は剥離が困難になり好ましくない。また、剥離力(F2)が5N/mより小さい場合は適正な剥離力差が得られないので剥離面が安定せず、100N/mより大きい場合は剥離が困難になり好ましくない。
さらに、重剥離保護フィルム(CF2)は60℃から130℃の温度下で、被着体に接着剤層(A)がラミネートあるいはプレスで貼り付けられた後に剥離されるため、加熱後の剥離力が重要であり、130℃の温度で5分加熱後の剥離力(F2’)は3N/m以上、70N/m以下が好ましい。3N/mより小さい場合は重剥離保護フィルムの脱落が生じ、70N/mより大きい場合は剥離が困難になることがある。
本発明の接着剤層を構成する接着剤組成物は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂をそれぞれ少なくとも一種類以上含むことが耐リフロー性の点でより好ましい態様である。熱可塑性樹脂は、接着性、可撓性、熱応力の緩和および低吸水性による絶縁性の向上等の機能を有し、一方、熱硬化性樹脂は、耐熱性、高温での絶縁性、耐薬品性および接着剤層の強度等のバランスを実現するために重要である。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂およびシアン酸エステル樹脂等公知の熱硬化性樹脂が例示され、特に、絶縁性の点でエポキシ樹脂およびフェノール樹脂が好適である。
エポキシ樹脂は、1分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に限定されないが、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエンジフェノール等のジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、エポキシ化クレゾールノボラック(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、エポキシ化トリスフェニロールメタン、エポキシ化テトラフェニロールエタン、エポキシ化メタキシレンジアミンおよびシクロヘキサンジエポキサイド等の脂環式エポキシ等が挙げられる。 さらに難燃性付与のために、ハロゲン化エポキシ樹脂、特に臭素化エポキシ樹脂を用いてもよい。
臭素化エポキシ樹脂の例としては、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAの共重合型エポキシ樹脂、あるいは”BREN”−S(日本化薬(株)製)等の臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらの臭素化エポキシ樹脂は、臭素含有量およびエポキシ当量を考慮して2種類以上混合して用いても良い。
フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂やレゾール型フェノール樹脂等の公知のフェノール樹脂がいずれも使用することができる。例えば、フェノール、クレゾール、p−t−ブチルフェノール、ノニルフェノールおよびp−フェニルフェノール等のアルキル置換フェノール、テルペンおよびジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノール、ニトロ基、ハロゲン基、シアノ基およびアミノ基等のヘテロ原子を含む官能基を有するもの、ナフタレンやアントラセン等の骨格を有するもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノールおよびピロガロール等の多官能性フェノールからなる樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜400重量部が好ましく、より好ましくは100〜200重量部である。熱硬化性樹脂の添加量が5重量部未満では、加熱硬化後の接着性や接着層の破断強度の低下が著しく、リフロー耐熱性が低下するため好ましくない。また、熱硬化性樹脂の添加量が400重量部を超えると、塗工性の低下や、硬化体の高弾性率化によって熱応力の緩和効果が低下するため好ましくない。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリルーブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリルーブタジエンゴムースチレン樹脂(ABS)、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレンーブタジエンーエチレン樹脂(SEBS)、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを必須共重合成分とする共重合体(アクリル樹脂)、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリウレタン等を例示することができる。また、これらの熱可塑性樹脂は、前述の熱硬化性樹脂の官能基と反応が可能な官能基を有していてもよい。具体的には、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基、ビニル基およびシラノール基等の官能基が挙げられる。これらの官能基により熱硬化性樹脂との結合が強固になり、膜強度やリフロー耐熱性が向上する。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、接着剤層と放熱板等の導体パターンが形成されていない層を形成する素材との接着性、可とう性および熱応力の緩和効果の点からブタジエンを必須共重合体とする共重合体が特に好ましく、種々のものを使用することができる。特に、金属との接着性と耐薬品性等の観点から、アクリロニトリルーブタジエン共重合体(NBR)、スチレンーブタジエンーエチレン樹脂(SEBS)およびスチレンーブタジエン樹脂(SBS)等の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。さらに、接着性や耐熱性の点から、ブタジエンを必須共重合成分とし、かつカルボキシル基を有する共重合体が好ましく、例えば、カルボキシル基含有NBR(NBR−C)、カルボキシル基含有SEBS(SEBS−C)およびカルボキシル基含有SBS(SBS−C)等が挙げられる。
NBR−Cとしては、例えば、アクリロニトリルとブタジエンを約10/90〜50/50のモル比で共重合させた共重合ゴムの末端基をカルボキシル化したもの、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンとアクリル酸およびマレイン酸などのカルボキシル基含有共重合性単量体の三元共重合ゴムなどが挙げられる。NBR−Cとしては、具体的に、PNR−1H(JSR(株)製)、”ニポール”(登録商標)1072J、”ニポール”(登録商標)DN612、”ニポール”(登録商標)DN631(以上日本ゼオン(株)製)、”ハイカー”(登録商標)CTBN(BFグッドリッチ(株)製)等が挙げられる。また、SEBS−CとしてはMX−073(旭化成(株)製)が、SBS−CとしてはD1300(シェルジャパン(株)製)を例示することができる。
また、熱可塑性樹脂として、接着性および耐サーマルサイクル性の点から、炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを必須共重合成分とする共重合体も好ましく用いられる。さらに、接着性やリフロー耐熱性の点から、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを共重合体成分とし、かつエポキシ基やカルボキシル基を有する共重合体がより好ましく用いられる。このような熱可塑性樹脂として、例えば、エポキシ基含有アクリルゴムHTR−860(帝国化学産業(株)製)や、カルボキシル基含有アクリルゴムSG−280DR(帝国化学産業(株)製)が例示される。
本発明で用いられる接着剤層に、無機フィラーを添加することは何ら制限されない。無機フィラーとしては、例えば、結晶シリカ粉末、溶融シリカ粉末、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化珪素、水酸化マグネシウム、カルシウム・アルミネート水和物、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、タルク、アルミニウム、金、銀、ニッケル、鉄、クレーおよびマイカなどが挙げられる。中でも分散性点から、水酸化アルミニウム、アルミナおよびシリカが好ましく、その平均粒子径(有機溶剤中に分散された一次粒子の粒度分布測定において最大値を示す粒径)は、0.2〜15μmのものが好ましい。また、リフロー耐熱性の観点から、TGA(加熱重量減少測定)による5%重量減少温度(熱分解温度)が350℃以上であるシリカ、好ましくは球状シリカ粉末、さらに好ましくは溶融球状シリカが好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの配合量は、接着剤組成物100重量部に対して、好ましくは10〜50重量部である。無機フィラーの配合量は、さらに好ましくは20〜40重量部である。配合量が10重量部未満であると、リフロー耐熱性や膜強度の向上が得られ難い。また、配合量が50重量部を超えると、塗工性の悪化や硬化後の接着性の低下などが見られる。
また、本発明で用いられる接着剤層に、エポキシ樹脂等熱硬化性樹脂の硬化剤および硬化促進剤を添加してもよい。これらの添加剤としては、例えば、3,3´5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジメチル−5,5´−ジエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジクロロ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、2,2´3,3´−テトラクロロ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,4´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,4,4´−トリアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の有機酸、ジシアンジアミド、およびトリフェニルフォスフィン等を挙げることができる。これらを単独または2種以上混合して用いても良い。これらの添加剤の添加量は、接着剤層を構成する接着剤組成物100重量部に対して好ましくは1〜30重量部である。添加量が1重量部より低いと硬化反応が効率的に進まず、加熱硬化後の接着性の低下、Tgの低下およびリフロー耐熱性の低下が見られる。また、添加量が30重量部を超えると、硬化物の熱応力緩和効果の低下や接着剤層の寿命の低下が見られる。
接着剤組成物には、上記の成分以外に、接着剤の特性を損なわない範囲で、酸化防止剤、イオン捕捉剤などの有機成分・無機成分を添加することができる。有機成分としては、スチレン、NBRゴム、アクリルゴムおよびポリアミド等の架橋ポリマーが例示される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系やアミン系の一次酸化防止剤、イオウ系やリン系の二次酸化防止剤が挙げられる。イオン捕捉剤としては、三酸化アンチモンや五酸化アンチモンが挙げられる。これらを単独または2種類以上混合しても良い。微粒子状の成分の平均粒子径は、0.02〜15μmが好ましく、さらに好ましくは0.2〜5μmである。また、配合量は、接着剤組成物全体の2〜30重量部が適当である。
接着剤層の厚みは、好ましくは10μm〜250μmであり、より好ましくは10μm〜150μmであり、さらに好ましくは20μm〜100μmである。
図2は、本発明の半導体装置用接着剤シートの一態様を示す断面模式図である。図2の半導体装置用接着剤シートは、少なくとも1層の、すなわち1層以上の保護フィルム17と接着剤層18からなる構造を有する積層体である。本発明の半導体装置用接着剤シートは、例えば、保護フィルム17/接着剤層18の2層構造、あるいは保護フィルム17/接着剤層18/保護フィルム17の3層構造が挙げられ、図2の半導体装置用接着剤シートは後者に該当する。
本発明の半導体装置用接着剤シートは、通常、半硬化状態で供されるが、ここでいうところの半硬化状態とは、接着剤中の反応性官能基を測定できるDSC(ディファレンシャル・スキャニング・カロリメータ)による硬化度が0から40%であることを示す。本発明の半導体装置用接着剤シートの60℃から130℃の温度領域における引っ張り伸度は300%以上、2000%以下であることが特に好ましい。引っ張り伸度が300%未満では埋まり込性が悪く、張り合わせ気泡の発生につながることがある。また、引っ張り伸びが2000%を超えると、接着剤のシミだし過多、だれ等の問題が生じることがある。上記の伸度は、使用する原料の一次構造や分子量、熱硬化性樹脂の反応の程度で調整することができる。
また、積層体の厚みは特に限定されないが、その耐熱性や取り扱い性の点から、好ましくは60μm〜350μmであり、より好ましくは90μm〜300μmであり、さらに好ましくは90〜220μmである。
上記の半導体装置用接着剤シートを用いて、半導体装置用部品を製造することができる。本発明の半導体装置用部品とは、半導体集積回路用基板等の半導体装置を作製されるために用いられる中間加工段階の材料である。該半導体装置用部品としては、例えば、絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層としてフレキシブルプリント基板あるいはTABテープを用い、その片面あるいは両面にシリコーン処理を施した保護フィルムを有する半硬化状態の接着剤層を積層した接着剤付き配線基板や、導体パターンが形成されていない層として銅、ステンレスあるいは42アロイ等の金属板(接着剤付きスティフナー)などが挙げられる。絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層および導体パターンが形成されていない層をそれぞれ1層有する場合でも、その最外層に保護フィルムを有する半硬化状態の接着剤層を積層した、いわゆる接着剤付き半導体集積回路用基板も本発明の半導体装置用部品に包含される。
本発明の半導体装置とは、本発明の半導体装置用接着剤シートを用いて作製されるものをいい、例えば、BGAタイプやLGAタイプのパッケージであれば特に形状や構造は限定されない。半導体集積回路用基板とICの接続方法は、TAB方式のギャングボンディングおよびシングルポイントボンディング、リードフレームに用いられるワイヤーボンディング、フリップチップ実装での樹脂封止、および異方導電性フィルム接続等のいずれでもよい。また、CSPと称されるパッケージも本発明の半導体装置に包含される。
次に、本発明の半導体装置用接着剤シート、半導体接続用基板および半導体装置の製造方法の例について説明するが、本発明はこれらの製造方法に限定されない。
(1)半導体装置用接着剤シートの製造
(a)本発明のために用意された接着剤組成物を溶剤に溶解した塗料を、離型性を有する軽剥離保護フィルム(CF1)上に塗布し、乾燥する。接着剤層の膜厚は、10〜100μmとなるように塗布することが好ましい。乾燥条件は、100〜200℃の温度で1〜5分である。溶剤は特に限定されないが、トルエン、キシレンおよびクロルベンゼン等の芳香族系、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトン等のケトン系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびNメチルピロリドン等の非プロトン系極性溶剤単独あるいは混合物が好適である。塗料中で溶剤の占める好ましい量は、塗料全体を100重量部とすると、50重量部から80重量部、さらに好ましくは70重量部から80重量部である。溶剤の占める量が50重量部未満では塗料の撹拌効率が落ち、また塗料寿命が短くなるため望ましくない。また、溶剤の占める量が80重量部を超えると、塗工性が悪化するため好ましくない。
(b)上記(a)のフィルムに、上記より剥離強度の高い、離型性を有する無延伸ポリオレフィン系の重剥離保護フィルム層をラミネートして、本発明の半導体装置用接着剤シートを得る。さらに接着剤厚みを増す場合は、接着剤層を複数回積層すればよい。
(2)半導体接続用基板の製造
(a)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板の作成
TAB用接着剤付きテープに12〜35μmの電解銅箔を、130〜170℃の温度で0.1〜0.5MPaの条件でラミネートし、続いてエアオーブン中で80〜170℃の温度で順次加熱キュア処理を行ない、銅箔付きTAB用テープを作成する。得られた銅箔付きTAB用テープの銅箔面に常法によりフォトレジスト膜形成、エッチング、レジスト剥離、電解ニッケルメッキ、電解金メッキ、およびソルダーレジスト膜作成をそれぞれ行い、配線基板を作成する。
(b)導体パターンが形成されていない層の作成
厚さ0.05〜0.5mmの純銅板、ニッケルメッキ銅板、黒化処理銅板あるいはステンレス板などの金属板をアセトンにより脱脂する。
(c)半導体接続用基板の部品(接着剤付き配線基板)の作成
上記(a)の絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層に、上記(1)で作成した半導体装置用接着剤シートの軽剥離保護フィルム(CF1)を剥がした後にラミネートする。ラミネート面は導体パターンがある面、またはない面のいずれでも構わない。ラミネート温度は60℃〜200℃で、圧力は0.1〜5MPaである。最後に半導体装置の形状によって、適宜打ち抜き、切断加工を施す。
(d)半導体接続用基板の部品(接着剤付きスティフナー)の作成
上記(b)の導体パターンが形成されていない層に、上記(1)で作成した半導体装置用接着剤シートの軽剥離保護フィルム(CF1)を剥がした後にラミネートする。ラミネート温度は60℃〜200℃で、圧力は0.1〜5MPaである。最後に半導体装置の形状によって、適宜打ち抜き、切断加工を施す。
(e)半導体接続用基板の作成
(e−1)接着剤付き配線基板を用いる場合
上記(c)の部品(接着剤付き配線基板)から接着剤層の軽剥離保護フィルム(CF1)を剥がし、適当な形状に打ち抜いた金属板に貼り合わせる。金属板は、例えば、外形が角型で中央に配線基板のデバイス孔にあわせて、角型形状の孔を打ち抜いたものを例示することができる。貼り合わせ条件は、温度は60℃〜200℃で、圧力は0.1〜5MPaである。最後に、熱風オーブン内で接着剤の加熱硬化のため80℃〜200℃の温度で15〜180分間程度のポストキュアを行う。
(e−2)接着剤付きスティフナーを用いる場合
上記(d)の部品(接着剤付きスティフナー)を、金型で打ち抜き、例えば、外形が角型で中央にやはり角型の孔がある形状の接着剤付きスティフナーとする。該接着剤付きスティフナーから重剥離保護フィルム(CF2)を剥がし、上記(a)の配線基板層の導体パターン面または裏面のポリイミドフィルム面に、接着剤付きスティフナーの中央の孔を、配線基板のデバイス孔に一致させ、貼りあわせる。貼り合わせ条件は、温度は60℃〜200℃で、圧力は0.1〜5MPaである。最後に、熱風オーブン内で接着剤の加熱硬化のため80℃〜200℃の温度で15〜180分間程度のポストキュアを行う。
図3は、上記のようにして得られた本発明の半導体装置用部品の一つである半導体接続基板の一態様を示す断面模式図である。図3において、半導体集積回路1を接続するための絶縁体層11および半導体集積回路接続用の導体13、および接着剤層12からなる配線基板層、補強板(スティフナー)、放熱板(ヒートスプレッダー)、シールド板等の導体パターンが形成されていない層15、およびこれらを積層するための接着剤層14、ソルダーレジスト16をそれぞれ少なくとも1層以上有する構成となっている。
(3)半導体装置の製造
上記(2)の半導体接続用基板のインナーリード部をICの金バンプに熱圧着(インナーリードボンディング)し、ICを搭載する。次いで、樹脂封止を経て半導体装置を作製する。得られた半導体装置を、他の部品を搭載したプリント回路基板等と半田ボールを介して接続し、電子部品への実装を行う。
以下に実施例を挙げて、本発明の半導体装置用接着剤シート等について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。まず、評価方法について述べる。
[評価方法]
(1)貼り合わせ面ボイド観察:
ポリイミドフィルム上に接着剤層および保護フィルム層を積層した3層構造のTABテープを、次の(a)〜(d)の工程により加工する。(a)スプロケットおよびデバイス孔の穿孔工程、(b)銅箔との熱ラミネート工程、および(c)スズまたは金メッキ処理工程。(d)以上のようにして得られた導体幅100μm、導体間距離100μmの模擬パターンを形成した30mm角の配線基板層の導体パターン面に、厚み100μmの接着剤層を130℃の温度で、圧力0.5MPa5minの条件でプレス方法で貼付けを行った。このようにして作製したサンプルを超音波探傷装置(MISCOPE、日立建機ファインテック(株)製)を用いて、貼り合わせ面でのボイドの有無を確認(超音波探傷装置の撮影画像から目視確認)した。なお、配線基板層と貼り合わせる前の接着剤層内のボイドは発生していなかったことを確認した後、本評価を行っている。
(2)保護フィルム剥離力:
軽剥離保護フィルムの場合は、幅30mmの接着剤シートを両面テープによりステンレス板に張り合わせ、90°方向に300mm/minの速度で剥離し、その際の接着剤層と軽剥離保護フィルム(CF1)の剥離力を測定した。一方、重剥離保護フィルム(CF2)の場合は、幅30mmの接着剤シートから軽剥離保護フィルムを剥がし、接着剤層を両面テープによりステンレス板に張り合わせ、90°方向に300mm/minの速度で剥離し、その際の重剥離保護フィルム(CF2)と接着剤層の剥離力を測定した。
(3)重剥離保護フィルム剥離力(プレス後):
ポリイミドフィルム上に接着剤層および保護フィルム層を積層した3層構造のTABテープを、次の(a)〜(d)の工程の工程により加工する。(a)スプロケットおよびデバイス孔の穿孔工程、(b)銅箔との熱ラミネート工程、および(c)スズまたは金メッキ処理工程。(d)以上のようにして得られた配線基板層の導体パターン面に、厚み100μmの接着剤層を130℃の温度で、圧力0.5MPa、5minの条件で積層した。配線基板層側を両面テープによりステンレス板に張り合わせ、重剥離保護フィルムを90°方向に300mm/minの速度で剥離し、その際重剥離保護フィルム(CF2)と接着剤層の剥離力を測定した。
(4)耐リフロー性:
導体幅100μm、導体間距離100μmの模擬パターンを形成した30mm角の半導体接続用基板の導体パターンが形成されている面に、100μm厚の接着剤層を130℃の温度で、圧力0.5MPa、5minの条件でプレス貼付を行った後、接着剤シート状に30mm角の0.25mm厚SUS304を130℃の温度で、圧力0.5MPa、5minの条件で積層した。その後、150℃の温度で2Hrの条件で硬化し、耐リフロー性評価用サンプルを作製した。30mm角サンプルを30℃の温度で70%RHの条件下、168Hr吸湿させた後、すみやかに最高温度220〜280℃、10秒のIRリフローにかけ、その剥離状態を超音波探傷装置(MISCOPE、日立建機ファインテック(株)製)を用いて観察した。このテストおいて、剥離が観察されなかった最高温度をリフロー耐熱温度とした。リフロー耐熱温度が260℃より低いものは、鉛フリー対応とならないため好ましくない。
(5)耐サーマルサイクル性:
上記(4)の方法で作成した30mm角の評価用サンプルを各水準20個用意し、熱サイクル試験器(タバイエスペック(株)製、PL−3型)中で、−65℃〜150℃の温度で、最低および最高温度で各30分保持の条件で処理し、剥がれの発生を評価した。100サイクル、300サイクル、500サイクルおよび800サイクルの各終了時点でサンプルを取り出し、剥がれの発生を評価した。20個中、一つでも剥がれを確認したら不良とした。
(6)保護フィルムおよび接着剤シートの引っ張り伸び測定:
厚み25μm(保護フィルム)および厚み50μm(接着剤シート)サンプル長40mmのサンプルを、引張試験器(UCT100型、(株)オリエンテック製)にて50mm/minの速度で引張り試験を行ない、破断に至るまでの応力ひずみ曲線を記録し、引っ張り伸度を求めた。
実施例1〜8、比較例1〜10
(接着剤シートの作成)
下記の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂およびその他添加剤を、それぞれ表1に示した組成比となるように配合し、これを固形分濃度が28重量部となるようにジメチルホルムアルデヒド(DMF)/モノクロルベンゼン(CB)/メチルイソブチルケトン(MIBK)混合溶媒に配合して40℃の温度で攪拌、溶解して、接着剤溶液を作製した。
A.エポキシ樹脂
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:186)(ジャパン・エポキシ・レジン(株)製、”エピコート”(登録商標)828)
B.熱可塑性樹脂
カルボキシル変性アクリルゴム(帝国化学産業(株)製、SG−280DR)
C.無機質充填剤
球状シリカ粉末((株)アドマテックス製、SO−C2)
D.硬化剤
4,4’−DDS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン((株)住友化学、”スミキュア”(登録商標)S)
E.保護フィルム
下記シリコーン樹脂と下記分量の架橋剤をトルエンにシリコーン樹脂濃度が0.1wt%となるように溶解し、この溶液を下記フィルムに所定分量塗布し、100℃の温度のオーブン中で5分乾燥し、溶剤の乾燥と同時にシリコーン樹脂を架橋させ3次元架橋シリコーン樹脂塗膜を形成した。
シリコーン樹脂(東レダウコーニングシリコーン(株)製SPX520)
架橋剤(東レダウコーニングシリコーン(株)製SPX212CAT)
シリコーン樹脂塗布量:0.03g/m(軽剥離保護フィルム)、0.015g/m
(重剥離保護フィルム)
1.ポリイミドフィルム(PI)(株)宇部興産製、”ユーピレックス”(登録商標)25S)
2.ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(東洋紡(株)製、東洋紡エステルE5100)
3.無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋メタライジング(株)製”セラピール”(登録商標)WZ(APT))
4.ナイロン(NY)(東洋紡(株)製、ハーデン(登録商標)N1100)
5.無延伸ナイロン(東レ合成フィルム(株)製、レイファン(登録商標)NO1401)
6.ポリエチレン(低密度)(PE)(東洋紡(株)製、LIX−2)
7.ポリエチレン(高密度)(トーセロ(株)製、O−PE)
8.無延伸ポリエチレン(低密度)(トーセロ(株)製、T.U.X.HZ)
9.ポリプロピレン(PP)(東洋紡(株)製、パイレン(登録商標)P2161)
10.無延伸ポリプロピレン(東洋紡(株)製、パイレン(登録商標)P1010)
11.ポリフェニレンサルファイド(PPS)(東レ株(製)トレリナ(登録商標))
得られた接着剤溶液をバーコーターで、シリコート処理された厚さ38μmの軽剥離保護フィルム(CF1)に約50μmの乾燥厚さとなるように塗布し、100℃の温度で1分、次いで150℃の温度で5分乾燥し接着剤シートを作製した。一方、軽剥離保護フィルム(CF1)より剥離力の高い厚さ25μmの重剥離保護フィルム(CF2)を接着剤面側に80℃の温度で張り合わせ、厚さ50μmの両面に保護フィルムを有する半導体装置用接着剤シートを作製した。この半導体装置用接着剤シートについて張り合わせ面でのボイドの有無、引っ張り伸度やリフロー耐熱性および耐サーマルサイクル性を測定した。結果を表1と表2にまとめて示す。
Figure 2005317613
Figure 2005317613
上記の実施例から本発明の半導体装置用接着剤シートは、重剥離保護フィルムの60℃から130℃の温度領域における引っ張り伸度を規定することによって、易加工性を実現し、リフロー耐熱性と耐サーマルサイクル性のいずれも優れていた。一方、上記の比較例は、易加工性およびリフロー耐熱性において劣っていた。
本発明の半導体装置用接着剤シートは、ボールグリッドアレイ(BGA)、BGA構造を有するチップスケールパッケージ(CSP)、ランドグリッドアレイ(LGA)、ピングリッドアレイ(PGA)方式に用いられる半導体接続用基板を構成する絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層と、例えば、金属製板(スティフナー、ヒートスプレッダー)等の導体パターンが形成されていない層の間を接着に用いることができる。また、得られた半導体装置用接着剤シートは、半導体装置用部品ならびに半導体装置に好適に用いることができる。
図1は、半導体装置用接着剤シートを用いたBGA型半導体装置の一態様を示す断面図である。 図2は、本発明の半導体装置用接着剤シートの一態様を示す断面模式図である。 図3は、本発明の半導体接続基板の一態様を示す断面模式図である。
符号の説明
1 半導体集積回路
2 金バンプ
3、11 絶縁体層
4、12 配線基板層を構成する接着剤層
5、13 半導体集積回路接続用の導体
6、14、18 接着剤層
7、15 導体パターンが形成されていない層
8、16 ソルダーレジスト
9 半田ボール
10 封止樹脂
17 保護フィルム

Claims (5)

  1. 軽剥離保護フィルム、接着剤層および重剥離保護フィルムがこの順に積層されてなる半導体装置用接着剤シートであって、該軽剥離保護フィルムと該重剥離保護フィルムの接着剤層に対する剥離力差が5N/m以上であり、該重剥離保護フィルムの60℃から130℃の温度領域における伸度が700%以上、2,000%以下であり、かつ、該重剥離保護フィルムの130℃の温度で5分加熱後の該接着剤層に対する剥離力が3N/m以上、70N/m以下であることを特徴とする半導体装置用接着剤シート。
  2. 重剥離保護フィルムの融点が130℃以上である請求項1記載の半導体装置用接着剤シート。
  3. 60℃から130℃の温度領域における接着剤層の伸度が、300%以上、2000%以下である請求項1記載の半導体装置用接着剤シート。
  4. 請求項1記載の半導体装置用接着剤シートを用いてなる半導体装置用部品。
  5. 請求項1記載の半導体装置用接着剤シートを用いてなる半導体装置。
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