JP2005315769A - 反応検出システムおよび反応検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 反応検出操作を格段に短時間かつ低コストで行うことができる新規な検出システムを提供する。
【手段】 本発明の反応検出システムは、プローブ分子5が固定された担体6と、該担体に接触可能に検体分子8,9が分散している検体液7とを内部に保持可能な反応検出セル、および該反応検出セル内の検体液7中の検体分子8,9の濃度を測定する手段を有することを特徴とする。本発明の反応検出システムにおいて、さらに反応検出セルを振動させる手段および/または反応検出セル内の反応温度を変化させる手段を設けることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被検試料をプローブ分子と接触させた時に被検試料中の検体分子がプローブ分子と反応するか否かを検出可能な反応検出システムおよび方法に関し、より詳しくは、遺伝子診断及び生理機能診断等の指標として利用される多数の機能分子のような検体分子の認識・識別を可能にする反応検出システム等に関する。
本明細書では、本発明に関する装置及び関連技術を「チップ」あるいは「セル」と呼称する。
昨今のバイオテクノロジーの著しい進展に伴い、機能分子の認識を可能にする反応検出チップは、ますます重要な役割を担いつつある。反応検出チップの中でも最近注目度の高いDNAチップを例に説明する。
遺伝子の変異、特に一塩基多型(塩基配列における一塩基の変異)の検出は、突然変異等に起因する疾患、例えば、ガンの診断等に有効なだけでなく、多因子疾患の病因関連遺伝子の解析や予測医療にも貢献し、個々人の薬剤応答性や副作用の程度を調べる上にも必要である。また、遺伝子の発現状況、すなわち、遺伝子情報がmRNAに読み取られ対応するタンパク質がつくられる状況を調べることは、遺伝子レベルで生命現象や病気を理解し、新薬を開発する上に非常に重要である。この遺伝子変異、あるいは、遺伝子の発現状況を速やかに検出する手段として、DNAチップが有効であることが知られている。
DNAチップとは、検体である各種DNAとそれぞれ特異的に結合する性質を有する分子をプローブとし、それぞれのプローブごとに、担体の表面上に、それぞれの区画に対応させて配列し固定したものである。このプローブは、一本鎖にした検体DNA対し相補的な塩基配列を有する一本鎖のDNAあるいはオリゴヌクレオチドであることが一般的である。
DNAチップのプローブが固定された面に検体DNAを含む検体液を接触させ、検体DNAと対応するプローブ間で結合を起こさせる。この結合は、通常、プローブと検体DNAの対合する塩基間で水素結合する性質、すなわち、ハイブリダイゼーションを利用したものである。そして、このハイブリダイゼーションによる結合を何らかの手段で検出することにより、プローブと結合した検体DNAを同定し、かつ、定量することができる。
ここでプローブと検体液の接触は、プローブが固定された担体面の領域に検体液を滴下し、その上にカバーガラス等をかぶせて検体液を広げる方法が一般的である。そして、プローブの種類に依存する温度で12時間程度その状態を保持すること、すなわち、インキュベーションによりハイブリダイゼーション結合を完了させる。それから、非特異的な結合や不完全なハイブリダイゼーション結合をした検体分子を除去する目的で担体を塩溶液等で洗浄してから、検出を行うことが普通である(非特許文献1)。
また、上記検出手段として従来は、検体DNAに標識として予め蛍光分子を付加し、プローブと結合した検体DNAの蛍光分子からの蛍光の強度を測定している。標識に蛍光分子ではなく、放射性分子を用いていた時期もあった。最近では、電気化学的に活性な分子をハイブリダイゼーションの塩基対間に挿入させることにより、プローブでの電気の流れ易さの変化からハイブリダイゼーション結合を検出する方法も開発されている(特許文献1)。
DNAマイクロアレイ(Mark Schena編、加藤郁之進 監訳、TaKaRa) 特開2004-024114号公報
ここで、従来法の問題点を以下に列挙する。
(1)検体とプローブとのハイブリダイゼーション結合を検出するには、結合を認識するための分子等を新たに付加する必要がある。このための手間とコストが余分にかかる。
(2)ハイブリダイゼーション結合反応が静止系で行われるため、同反応を完了させるのに12時間程度も要し、検出に時間がかかる。
(3)ハイブリダイゼーション結合反応後の洗浄条件の最適化は、試行錯誤によるところが大きいため非効率的である。
本発明は、上記の各問題点等を解決することができ、反応検出の操作を格段に短時間かつ低コストで行うことができる新規な検出システムを確立することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の反応検出システムは、プローブ分子が固定された担体と、該担体に接触可能に検体分子が分散している検体液とを内部に保持可能な反応検出セル、および該反応検出セル内の検体液中の検体分子の濃度を測定する手段を有することを特徴とする。
前記システムは、前記反応検出セルを振動させる手段、および/または前記反応検出セル内の反応温度を変化させる手段を有することが好ましい。
前記担体は、前記検体液中を流動可能な粒子であることが好ましい。また、前記検体液中を流動可能な粒状の担体は、反応検出セルの静止状態下で検体液中を沈降または浮上するように検体液の比重とは有意に異なる比重を有することが好ましい。さらに、前記担体は、多孔質であることが好ましい。
例えば、前記検体分子は、核酸、蛋白質あるいは糖蛋白質からなる群より選ばれるいずれか1種類であるとすることできる。
前記検体分子の濃度を測定する手段は、反応検出セル内の検体液を対象として吸光度あるいは旋光度を測定するものであることが好ましい。
本発明の反応検出方法は、反応検出セル内において、プローブ分子が固定された担体と、検体分子が分散している検体液とを接触させ、プローブ分子と検体分子とが結合反応し得る条件を付与する工程、前記反応検出セル内の検体液中の検体分子の濃度を測定する工程、および前記反応に起因する検体分子の濃度変化を検出する工程を含むことを特徴とする。
本発明の反応検出方法において、前記反応のための温度を、検出された濃度変化についての結果に基づいて前記反応の進行中に調節することが好ましい。
また他の側面において、本発明の反応検出方法は、反応検出セル内において、プローブ分子が固定された担体と、検体分子が分散している検体液とを接触させ、プローブ分子と検体分子とを結合反応させ、検体液中に残存している検体分子の濃度減少値を検出することにより、結合反応前の検体液中における検体分子の存在を検出することができる。
前記反応検出方法において、前記濃度変化の検出は、前記担体を沈降させた検体液の上澄み部又は前記担体を浮上させた検体液の下側部に対して行うことができる。
本発明の反応検出方法の一態様では、前記反応検出セル内において、プローブ分子が固定された担体と、該プローブ分子に相補的な検体分子およびプローブ分子に非相補的な検体分子が分散している検体液とを接触させ、プローブ分子に相補的な検体分子とプローブ分子とを結合反応させ、プローブ分子に非相補的な検体分子を含んだ検体液中の検体分子の濃度変化を検出することにより、結合反応前の検体液中におけるプローブ分子に相補的な検体分子を検出することができる。
また、前記濃度変化の検出は、反応検出セルからプローブ分子に非相補的な検体分子を除去することなく行うことができる。
本発明において、前記反応検出セル内に存在するプローブ分子の総量は、反応検出セルに供給される検体分子の総量より多いことが好ましい。
また他の側面においては、本発明は、検体分子が分散している検体液が内部に注入されこれを水密に保持することができるセルと、該セルの内部に保持され、プローブ分子が固定されている担体とを有し、前記セルの側壁の少なくとも一部が検体分子に比して光学的に無色であり且つ光を透過し得ることを特徴とする反応検出セルを提供する。
前記反応検出セルにおいて、前記プローブ分子が固定された担体は多孔質体であり、該多孔質体の孔の内部に前記プローブ分子が固定された構成にしてもよい。
本発明の反応検出システムは、プローブ分子が固定された担体と、前記担体に接触可能に検体分子が分散している検体液とを内部に保持可能な反応検出セル、および該反応検出セル内の検体液中の検体分子の濃度を測定する手段を有するので、反応検出セル内でのプローブ分子と検体分子との結合反応に際し、その反応に起因して変化する検体液中の検体分子濃度を検出することができ、該検体分子の濃度変化に基づいて、検体液中にプローブ分子と結合する検体分子が存在していることを確認することができる。
本発明によれば、一般的なハイブリダイゼーション結合を検出する場合のようにプローブ分子と検体分子の反応を検出するために結合を認識するためのラベル分子等を新たに付加する必要がない。よって、このような付加操作に伴う検体あるいはプローブの変質もなくなり、その変質に因る検出精度の劣化という問題がない。
また、反応検出セルに振動を印加しながらハイブリダイゼーション結合等の反応を行うため、試験すべき反応を速やかに行うことが可能になる。さらに、通常、ハイブリダイゼーション結合等の反応後に非特異的吸着を除去するための洗浄操作が行われるが、これは反応検出セルに対する温度調節と振動印加が可能である本発明においては不要になる。つまり、本発明による反応操作は前記洗浄と同様の効果、すなわち結合反応の特異性の増大も生み出すことができる。このように結合反応を短時間で完了させることが可能であり、かつ結合反応後の洗浄を必要としない。
よって、反応検出操作を従来に比し格段に短時間かつ低コストで行うことができる反応検出システムを提供することが可能になる。
以下、図面を参照し、本発明の一態様についてプローブ分子と検体分子の結合がハイブリダイゼーションによる場合を例にとり概説する。本態様では、検体分子は被検試料から単離され増幅された核酸断片であり、プローブ分子は前記核酸断片を標的とする核酸プローブである。プローブ分子は、標的となる核酸断片と相補的な塩基配列を有するように設計されて合成され、例えば、完全な相同性を有する核酸断片に対して特異的にハイブリダイズ(結合反応)することができる。
図1は本態様の反応検出システムを示す。反応検出セル100内は、液相の反応系となっており、ハイブリダイゼーション反応のためのバッファ中にプローブA分子5と相補的な検体A分子8と非相補的な検体B分子9が分散してなる検体液7を含む。さらにこの検体液7と共に、プローブA分子5が固定された担体6が封入されている。担体6は、検体液7よりも大きな比重を有する。
そして、反応検出セル100の検体液上澄み部領域10に対し、図示しない光学濃度測定手段が向けられており、その領域に存在する検体分子の濃度を測定することができるようになっている。図1a〜1cを参照し、本態様の具体的な構成および作用を説明する。
図1aは、ハイブリダイゼーション反応前における反応検出セル100内の状態を表す。定常状態(静止状態)の反応検出セル100内では、プローブA分子5が固定された担体6が底部に存在し、担体6を浸すように検体液7が満たされている。そして検体液7には、溶質として、プローブA分子5と相補的な検体A分子8と非相補的な検体B分子9の双方が溶解している。ハイブリダイゼーション反応前における検体液7中の検体分子の光学濃度は、検体A分子8と検体B分子9の光学濃度の和となり、検体液上澄み部領域10において測定可能である。
図1bは、ハイブリダイゼーション反応(以下単に「インキュベーション」とも呼ぶ)中における反応検出セル100内の状態を表す。インキュベーション中は、反応検出セル100に振動を印加して、担体6が検体液7中を流動するようにする。一定の温度を保ちながらインキュベーションを継続していくと、プローブA分子5と検体A分子8との間でハイブリダイゼーション結合が進行する。
図1cは、ハイブリダイゼーション結合反応が完了した後、振動の印加を止めて定常状態になった反応検出セル100内の状態を表す。担体6は、プローブ分子と特異的にハイブリダイズする検体A分子8をすべて捕捉して、検体液7中に沈降している。よって、検体液7に溶質として存在するのは実質的に検体B分子9のみとなり、この状態における検体液7中の検体分子の光学濃度も、検体液上澄み部領域10においてハイブリダイゼーション反応前と同様に測定することができる。
上記の濃度測定によると、ハイブリダイゼーション反応後に観察される検体液7中の検体分子濃度は、ハイブリダイゼーション反応前から減少し、その減少分は、ハイブリダイゼーション反応前の検体A分子8の濃度に対応する。したがって、プローブA分子5を用いた上記反応システムにおいて、反応の前後における検体分子の濃度変化を観察するだけで、検体液7中に存在するプローブA分子5と相補的な検体A分子8を検出・定量することになる。
このように本発明の反応検出システムにおいては、ハイブリダイゼーション結合の部位、例えば、ハイブリダイゼーションにより形成された複合体の存在自体を直接観察するのではなく、ハイブリダイゼーション結合せずに残存している検体分子の検体液中における正味の濃度変化に着目している。セル中に検体液の溶質として存在する遊離の検体分子の数は、セルの内部の担体に固定されたプローブ分子とハイブリダイゼーション結合することにより減少し、その減少値はプローブA分子5と特異的に結合する検体分子の存在量と一定の相関関係にあるので、検定すべきハイブリダイゼーション結合の度合い、すなわち当該反応系中において検出されるべき標的分子の存在を確認し、これを定量することができる。
上記のような反応検出システムでは、ハイブリダイゼーション結合を検出するための標識分子等を新たに付加する必要がなく、つまり、検体を予め蛍光色素等で標識しておくような操作は一切不要になるという利点がある。
さらに本発明の反応検出システムでは、ハイブリダイゼーション反応に際し、反応検出セルに対する温度調節と振動印加を行うことによって、以下説明するような利点をも生じる。
上記の反応検出システムでは、ハイブリダイゼーション結合反応を促進するために、反応検出セルに振動を印加し、検体液をプローブ担体に対し絶えず流動させ、検体分子とプローブ分子の接触の機会を増大させ、反応を促進することができる。こうすることにより、通常の静止系に対し反応時間を約1/4に短縮できる。また、通常のDNAチップではハイブリダイゼーション反応後のSSC塩溶液等によるイオン強度の作用を利用した洗浄操作が必要とされるが、本発明の反応検出システムでは、洗浄の役割に代わり、反応検出セルに対する温度調節と振動印加、すなわち温度の作用と流体分子の衝突の作用により“ハイブリダイゼーション反応における結合の特異性の増大”を確保することが可能である。
また本発明の好ましい態様では、検体分子の濃度変化の測定は、ハイブリダイゼーション反応完了後のみならず、ハイブリダイゼーション反応進行中において、反応検出セルに印加している振動を一時的に止めて随時行うことが可能である。担体の比重を検体液と有意に異なるものにすることによって、反応検出セルを静止させてから担体が反応検出セルの底に完全に沈降または浮上するのに十分な時間が経過した後、検体液の上澄み部または浮上後その下側部で、担体の存在に干渉を受けることなく吸光度測定を行うことができる。
温度調節は、ハイブリダイゼーション反応中における光学測定の結果を反映させて細かく行うことが好ましい。ハイブリダイゼーション結合力は、温度に非常に敏感であり、検出精度や効率に大きく影響するからである。例えば、インキュベーションの合間での吸光度測定は、インキュベーション開始直後のイニシャル測定も含めて、インキュベーション開始から適当な間隔、例えば30分経過ごとに行うとよい。
ここで、上記のようにハイブリダイゼーション反応の途中で測定された濃度変化の結果を、インキュベーション温度等の制御に反映させ、最良の測定結果を短時間で得られるように逐次調整することが可能となる。その結果、一塩基多型解析のように高い精度が要求される場合にも効率の良いハイブリダイゼーションアッセイを行うことができる。
検体分子の濃度変化は、核酸分子の溶液である検体液に対し、吸光度あるいは旋光度測定のような光学測定を行うことにより検出可能である。特に波長260nmでの吸光度測定は、確立された感度の高い方法である。この種の吸光度測定システム自体は、市販の吸光度測定装置において既に十分コンパクトな形態で確立されている。したがって、当業者であれば、本発明に従い、市販の吸光度測定システムをベースに反応検出セルに対する温度調節機能および/または振動印加機能を付加し、本発明に適した自動吸光度測定機能付き恒温機を構築することができる。その操作の上で、振動期間の合間に静止期間を設け、吸光度測定を行い、適宜温度条件等を調整することにより、本発明を好ましい態様で実施することができる。
本発明を好ましい態様で実施するためには、下記の事項を追加検討する必要がある。
(1)プローブ分子の総量が十分多いこと
本発明の反応検出システムを実施する前提として、検体液中において検出対象となる検体分子の濃度が光学測定で有意に検出できる程度に高いことが挙げられる。この前提は、検出対象に対しPCR増幅を行うことにより一般に満足させることが可能である(このPCR増幅は、一塩基多型(SNPs)解析では常套手段である)。
他方、検出対象の検体分子の濃度が十分高くても、この検体分子をハイブリダイゼーションにより捕捉するプローブ分子が十分に存在しなければ、検体分子濃度の低下分を有意に検出することはできない。つまり、プローブ分子との結合による検体液中の検体分子濃度の低下分が吸光度等の光学測定で有意に検出できる程度に、プローブ分子の総量が十分であることが必要である。例えば、吸光度測定の場合、測定可能濃度分解能はおよそ0.1pmol/μlなので、反応検出セル1個当りの検体液総量は50μl程度であることから、プローブ分子の総量は少なくとも5pmol必要ということになる。
さらに、対象の検体分子を正確に定量する場合(但し、SNPsを単に識別するだけなら、この必要は特にない)は、プローブ分子と結合すべき検体分子がプローブ分子よりも多いと(プローブ分子が検体分子との結合により飽和して空きがないと)、結合すべき検体分子が余剰分として検体液中に残ってしまうので、正確な定量化とならない。この点においてもプローブ分子の総量は、検出されるべき検体分子の総量を有意に越える量で存在することが必要である。例えば、検体液中の検体分子の濃度は、PCR増幅しバッファー液での調合後およそ10pmol/μlなので、反応検出セル1個当りの検体液総量は50μl程度であることから、プローブ分子の総量は少なくとも500pmol必要ということになる。
このようにプローブ分子数は、検体液中の検体分子数に比し過剰であることが好ましい。
(2)光学測定用の入射光が反応検出セル内の担体に妨害されないこと
光学測定は、反応検出セルの透明な容器壁を介して、検体液に入射光を透過させて行われる。ここでプローブの担体が検体液内を流動可能である場合、これが光路中に存在して入射光を散乱したり吸収したりして測定を阻害しないように対処する必要がある。すなわち、反応検出セルの光学測定が行われる領域では担体の干渉を受けない構成が好ましい。
上記の(1)の観点からプローブ分子の総量を多くするために、担体として単位質量当りの表面積が大きい多孔質粒子あるいは微粒子を利用するとよい。
上記の(2)の観点から担体の干渉を受けない光学測定を可能とするためには、担体に使用される粒子としては検体液中への分散性が低く、反応検出セルが静止状態の時に検体液中を速やかに沈降あるいは浮上するものを選択するとよい。このようにすれば、反応検出セルを静止させるだけで反応検出セルの一部に担体が存在しない光学測定可能な領域を容易に作り出すことができ、検体液と担体とを分離することなくインキュベーションの合間に検体分子の濃度を逐次測定することができる。
反応検出セルの静止時に速やかに沈降する多孔質粒子あるいは微粒子は、検体液の比重がおよそ1であるから、比重が1より大きい、好ましくは1.5以上の材質のものから選択するとよい。比重の大きい担体としては、金微粒子が挙げられる。単位質量当りの表面積を大きくするという観点からは、粒径は小さいほどよいということになるが、粒径が数百nm以下になると分散性が高すぎて光学測定の観点からは支障となる。例えば、金微粒子の単位質量当りのプローブ数を増やす観点から、金微粒子の粒径を小さくする方が良いが、100nm程度以下になると検体液中を沈降せず分散したままになる場合があるので、検体液中における沈降速度が1mm/分程度以上である範囲内で、なるべく粒径の小さい金微粒子を選択することが好ましい。なお、プローブの微粒子担体は金微粒子に限られない。比重が大きく、プローブ分子を結合させることが可能な材質の微粒子ならば、あらゆる材料を利用可能である。
また逆に反応検出セルが静止状態の時は担体が浮上するように、検体液より比重の小さい多孔質粒子あるいは微粒子を用いてもよい。比重が1より小さく検体液中を浮上する担体としては、例えば、ポリプロピレン等のプラスチックからなる微粒子を利用することができる。この場合は、吸光度測定の際、浮上した微粒子の下側に存在する検体液を入射光が貫通するように反応検出セルと入射光の位置関係を定めることになる。
反応検出セルに印加する振動は、担体の検体液中への分散状態が好ましく保持される程度であればよい。担体が重力の作用で沈降等する場合、水平方向のみならず鉛直方向にも振動するようにすることが好ましい。
他方、本発明に使用し得る担体は上記のような遊離物に限られない。プローブ分子の総量を多くするため、同様に表面に凹凸、あるいはひだが多く存在し、表面積が大きい担体構造物を多孔質材料から作製して、光学測定の観点から前記担体構造物を反応検出セル内のある部分に固定して振動中にも動かないようにし、光学測定時はこの担体構造物の無い部分に入射光を透過させるとしてもよい。この場合、担体構造物の加工、担体構造物の反応検出セル内部への固定のためのコストはかかるが、光学測定のために担体の沈降あるいは浮上を待つことは不要となるので、検出時間が短縮されるという利点がある。
以上の説明では、核酸同士のハイブリダイゼーション反応の検出について示したが、本発明の検出対象はこれに限定されない。本発明は、液系中に分散している検体分子について観察される濃度、好ましくは光学濃度の変化を伴う反応であれば、様々な化学的結合、会合、接合、および複合体化など、あらゆるタイプの反応を検出することができる。例えば、蛋白質を検体分子とし、抗原抗体反応や蛋白質−DNA特異的結合などを検出対象とすることができ、この場合、検体分子の濃度測定は蛋白質を構成するアミノ酸の旋光能に起因する旋光度測定により行うことができる。このように当業者であれば、特定の反応に起因して特定の波長での吸光度等が変化するような化学結合を含む蛋白質分子や糖蛋白質など、あらゆる分析対象物および反応系を挙げ、本発明を適用することができる。
以下、核酸に関する反応検出セルを例にとり、さらに詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、下記実施例の記載に基づいて限定解釈されるべきではない。
[実施例1]
粒径100μm、細孔径100nmの多孔質ガラス粒子にオリゴヌクレオチドプローブを固定するために、特願2002-254558号に開示された以下の手法を用いた。
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランをトルエンに溶解した溶液に、多孔質ガラス粒子を浸漬する。溶液温度110℃で数時間保つことにより、多孔質ガラス粒子表面にアミノ基を導入した。このアミノ化多孔質ガラス粒子を、オリゴヌクレオチドの最初のヌクレオチドに対応するβ-シアノエチルホスホアミダイトのアセトニトリル溶液に浸漬し、同粒子に最初のヌクレオチドを結合させた。続いて、通常のホスホアミダイト法により、所望のプローブに対応するオリゴヌクレオチド鎖を合成した。そして、合成オリゴヌクレオチド鎖付き多孔質ガラス粒子をアンモニア水に数十時間浸漬して鎖に残存する保護基を除去し、オリゴヌクレオチドプローブ付き多孔質ガラス粒子を完成させた。
検出対象の検体として、ガン抑制遺伝子p53のコドン248を含む核酸断片を選び、正常型とコドン248に一箇所点変異を起こした変異型を用意した。この検体は、生体由来の全RNAを逆転写したcDNAに対し対象塩基配列をPCR増幅させたもので、増幅DNA、すなわち検体分子は以下の構造を持つ。
Figure 2005315769
Figure 2005315769
これらの検体分子に対応させて以下の相補鎖プローブを、前述の方法により多孔質ガラス粒子に直接合成し担持させた。
Figure 2005315769
Figure 2005315769
A、C、G、Tは糖残基に結合する4種類の塩基:アデニン、シトシン、グアニン、チミンを、PGは多孔質ガラス粒子を表す。また、四角で囲った塩基は正常型と変異型の異なる部位を表す。検体分子は両端に20塩基ずつプライマー対応部分を含む60塩基からなり、プローブ分子は検体分子のプライマー対応部分を除いた20塩基の相補鎖である。
上記の検体分子は、PCR増幅により濃度を100pmol/μlまで増幅させた。そして、バッファー液で10倍に希釈して濃度10pmol/μlの検体液をそれぞれ用意した。
続いて、本実施例に用いる反応検出セルおよび同セルによる検出法を説明する。
本実施例に用いる反応検出セル200は、図2aに示すように、基本的には吸光度測定用の液体試料封入セルと同等であり、吸光度測定が可能なように側壁11が透明な材質から構成されており、蓋12が備わっている。
この反応検出セル200に、オリゴヌクレオチドプローブ付き多孔質ガラス粒子13と検体液14を封入した。図2aは、反応検出セル200が静止した時の定常状態であり、オリゴヌクレオチドプローブ付き多孔質ガラス粒子13が検体液14中に沈降している。
ハイブリダイゼーション反応を起こさせるインキュベーション操作は、以下のように行われた。
検体とプローブの種類に依存する最適温度に設定された自動吸光度測定機能付き恒温機(図示せず)に、中身を封入済みの反応検出セル200をセットした。そして図2bに示すように、反応検出セル200に振動を印加しながら最適温度が保持された状態でインキュベーションを行った。ここで振動を印加する理由は、沈降しているオリゴヌクレオチドプローブ付き多孔質ガラス粒子13を検体液14中に分散させて同粒子を検体分子に均等に接触させ、そして、オリゴヌクレオチドプローブ付き多孔質ガラス粒子13に対し検体液14を相対的に流動させて同粒子に対する検体分子の接触頻度を増加させることを通して、ハイブリダイゼーション反応を促進させることにある。
印加する振動は、オリゴヌクレオチドプローブ付き多孔質ガラス粒子13の分散状態が保持される程度になっていれば良い。検体液14中においてオリゴヌクレオチドプローブ付き多孔質ガラス粒子13は重力の作用で沈降するので、水平方向のみならず鉛直方向にも振動するようにすることも重要である。
インキュベーションの合間での吸光度測定は、以下のように行われた。
まず、印加している振動を止めて反応検出セル200を静止させた。そして、オリゴヌクレオチドプローブ付き多孔質ガラス粒子13が反応検出セル200の底に完全に沈降するのを待った。この待ち時間は、本実施例に関しては5分程度とした。それから、図2aに示すように、検体液14の上澄み部分に対し吸光度測定を行った。
具体的には、反応検出セル200の透明な側壁11を介して波長260nm、強度I0の入射光15を側壁11に垂直に入射し、反対側の側壁11から出てくる透過光16の強度Iを観測し、
Figure 2005315769
から吸光度を求めた。これは核酸内の塩基が波長260nmの紫外線を強く吸収する性質を利用している。
吸光度は、核酸である検体分子の濃度と
Figure 2005315769
のように比例関係にあるので、測定される吸光度から濃度を求めた。ここで吸光係数は、検体分子の塩基組成で決まる定数であり、セル長は反応検出セルの構造で決まる、図2aに示される光路長Lである。
インキュベーションの合間での吸光度測定は、インキュベーション開始直後のイニシャル測定も含めて、インキュベーション開始から適当な間隔、例えば30分経過ごとに行うようにした。
次に、点変異の検出法について具体的に説明する。
正常型プローブ付き多孔質ガラス粒子を反応検出セル1と反応検出セル2に1mgずつ封入し、変異型プローブ付き多孔質ガラス粒子を反応検出セル3と反応検出セル4に1mgずつ封入した。
そして、反応検出セル1と反応検出セル3に正常型検体液を50μlずつ添加し、反応検出セル2と反応検出セル4に変異型検体液を50μlずつ添加した。添加する検体液に対しては、2本鎖を1本鎖に解離する目的で、90℃で5分間加熱後2分間冷凍庫で急冷という熱処理を予め施してある。
本試験では、本発明の効果を確認するために4種類の反応系を用意した。各反応検出セルにおける検体とプローブの組合せを表1にまとめて記す。
Figure 2005315769
反応検出セル1は正常型プローブに正常型検体、反応検出セル4は変異型プローブに変異型検体で、いずれもパーフェクトマッチングの組み合わせである。一方、反応検出セル2は正常型プローブに変異型検体、反応検出セル3は変異型プローブに正常型検体で、いずれもミスマッチングの組み合わせである。
プローブ分子の総量は、担体の多孔質ガラス粒子1mg当り約5000pmolのプローブ分子を結合させられるので、反応検出セル1つ当り約5000pmolとした。一方、検出対象の検体分子の総量は、濃度10pmol/μlの検体液を50μl添加するので、反応検出セル1つ当り500pmolとした。このように、プローブ分子の総量は検体分子の総量の10倍であり、“プローブの総量が十分多い”という条件を満たしている。
また、この多孔質ガラス粒子は、検体液中を約5mm/分の速さで沈降するので、同粒子の沈降を待ってから検体液の上澄み部に対し光学測定を行ったので、“光学測定用の入射光が反応検出セル内の担体に妨害されない”という条件も満たしている。
正常型検体の添加された反応検出セル1と反応検出セル3に対しては温度61℃で、変異型検体の添加された反応検出セル2と反応検出セル4に対しては温度59℃でインキュベーションをそれぞれ行った。正常型検体の方の温度が2℃高いのは、検体−プローブ間のパーフェクトマッチングの対合塩基配列におけるGC含有率が5 %高いことに起因する。
反応検出セル1〜4における吸光度のインキュベーション時間変化の結果を図3a、図3bに示す。正常型検体の添加された、温度61℃でインキュベーションを行った反応検出セル1(正常型プローブ)と反応検出セル3(変異型プローブ)の結果をまとめて図3aに、変異型検体の添加された、温度59℃でインキュベーションを行った反応検出セル2(正常型プローブ)と反応検出セル4(変異型プローブ)の結果をまとめて図3bに示す。いずれもインキュベーション開始時の吸光度の値が1になるように規格化してグラフ化してある。
図3のデータから明らかなように、吸光度の値が一定し定常状態になるまで、すなわち、ハイブリダイゼーション結合反応が完了するまでに要する時間は約3時間であることがわかる。他方、検体液がプローブに対し流動性を持たない従来の静的なインキュベーションを行った場合、この時間は約12時間である。よって、本発明に従って反応検出セルに振動を印加して動的なインキュベーションを行うことにより、結合反応時間は静的な場合の1/4に短縮できることがわかる。
また、パーフェクトマッチングの組み合わせである反応検出セル1と反応検出セル4においては、いずれも時間の経過とともに吸光度はイニシャルの半分近くまで減少する。一方、ミスマッチングの組み合わせである反応検出セル2と反応検出セル3においては、いずれもパーフェクトマッチングに比し減少の度合いは小さい。
この結果を単純化して説明すると以下のようになる。
パーフェクトマッチングにおいては、検出対象の検体分子は、ハイブリダイゼーションが完了した段階で、すべてプローブと結合する。よって検体分子は、すべてオリゴヌクレオチドプローブ付き多孔質ガラス粒子に捕捉され、検体液の上澄み中には存在しない。したがって上澄み中には、i)PCR増幅により検体分子と共に同時に増幅される、検体分子の相補鎖;ii)両端の片側のみプライマーである、PCR増幅により一次関数的に増加する塩基鎖;iii)元のcDNA;および/またはiv)余剰のプライマーが存在する。これらのうちPCR増幅により指数関数的に増加するのはi)のみで、ii)〜iv)は相対的に無視できるほど小さくなるので、上澄み中に存在するDNAの大部分はi)であり、これは検体分子と数が等しい。それゆえに上澄み部のDNAの数は、最初は、検出対象の検体分子のほぼ2倍であるが、ハイブリダイゼーション反応が進行するとほぼ半減することになるので、DNA濃度に比例する吸光度もほぼ半減することになる。
その一方、ミスマッチングにおいては、検体分子は不完全なハイブリダイゼーションをするので、検体分子とプローブの結合力はパーフェクトマッチングに比し弱く、プローブと結合状態を保つのは検体分子のすべてではなく一部である。よって、ハイブリダイゼーションに伴う吸光度の減少の度合いは、パーフェクトマッチングに比し小さくなる。
反応検出セル1、反応検出セル2、反応検出セル3、反応検出セル4における、ハイブリダイゼーションが完了した段階、すなわち定常状態での吸光度のイニシャル値からの減少分(図3a、図3bにおける矢印)をそれぞれd1、d2、d3、d4で表す。
正常型検体に対するパーフェクトマッチングでの減少分d1とミスマッチングでの減少分d3の比d1/d3、すなわち、正常型検体が変異型検体ではなく正常型検体であるということを、この正常型および変異型のプローブセットにより識別する識別比は2.4である。また、変異型検体に対するパーフェクトマッチングでの減少分d4とミスマッチングでの減少分d2の比d4/d2、すなわち、変異型検体が正常型検体ではなく変異型検体であるということを、この正常型および変異型のプローブセットにより識別する識別比は2.3である。
このようにいずれの識別比も2を超えており、本発明により点変異の検出が十分可能であることがわかる。
これらの識別比は、インキュベーション時の温度に依存する。よって、識別比が最大になるようにインキュベーション温度を設定することが大切である。
インキュベーション温度は、パーフェクトマッチングの検体に対応する融解温度Tmを基準にそれよりΔTだけ低い温度、すなわち、Tm−ΔTに設定する。融解温度Tmとは、検体分子とプローブ分子のハイブリダイゼーション結合が切れる温度であり、本実施例では対合する20塩基の組成から決まる温度である。ΔTはミスマッチングの度合いで決まる温度であり、ミスマッチングの度合いが小さいほど小さくなる。通常ΔTは5℃以下である。識別比を最大にする最適なΔTの値が予めわかっている場合は、本実施例のようにインキュベーションの間、最初に設定した温度で終始一定に保てば良く、そうすれば定常状態において最大の識別比を得ることができる。一方、最適なΔTの値が定かでない場合は、まずは仮決めの設定温度でインキュベーションを行う。そして、定常状態になっても識別比が1.2未満で識別が明確にならなければ、その時点からインキュベーション温度を変化させてインキュベーションを継続し吸光度測定を続行していく。インキュベーション温度を徐々に変動させていくうちに最大の識別比が得られることになる。
このように、本発明の反応検出セルでは、吸光度測定を通してハイブリダイゼーションの様子をモニターしながらインキュベーションを行えるため、1回の検出操作において最適なインキュベーション温度を決めていけることになり、作業効率が極めて高くなる。
そして、このハイブリダイゼーション反応時のインキュベーション温度調節機能に加えて、反応検出セルへの振動印加を通しての流体分子の衝突作用が、ハイブリダイゼーション反応における結合の特異性を増大させるため、ハイブリダイゼーション反応後の洗浄を省くことが可能になる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ハイブリダイゼーション結合を認識するための蛍光標識等の分子を新たに付加する必要がなく、ハイブリダイゼーション結合を短時間で完了させることが可能であり、かつ、ハイブリダイゼーション結合後のSSC塩溶液等による洗浄を必要としない新規な検出システムを確立することが可能になる。
[実施例2]
プローブの担体として金微粒子を使用した例を説明する。
プローブに対応するオリゴヌクレオチドを、3’末端がチオール基で化学修飾された形態にて入手する。このオリゴヌクレオチドを濃度10pmol/μlの水溶液にする。一方、粒径1μmの金微粒子を濃硫酸に攪拌しながら1時間浸漬し、水洗し、乾燥させる。そしてこの金微粒子を、先のオリゴヌクレオチド10pmol/μl水溶液に、100μl当り1mgになる量だけ添加し、攪拌しながら12時間浸漬し、金微粒子にオリゴヌクレオチドをプローブとして共有結合させる。この後、余剰のオリゴヌクレオチド水溶液を排除し、金微粒子に対し水洗・乾燥操作を行い、オリゴヌクレオチドプローブ付き金微粒子を完成させる。
このオリゴヌクレオチドプローブ付き金微粒子を、実施例1におけるオリゴヌクレオチドプローブ付き多孔質ガラス粒子の代わりに用いれば、実施例1と同様の検出操作により同様の結果を得ることが可能である。
プローブの総量は、この金微粒子1mg当り約1500pmolのプローブを結合させられるので、反応検出セル1つ当り約1500pmolである。一方、検出対象の検体分子の総量は、実施例1で先述したように、反応検出セル1つ当り500pmolである。このように、プローブの総量は検体分子の総量の3倍であり、“プローブの総量が十分多い”という条件を満たしている。
また、この金微粒子は、検体液中を約10mm/分の速さで沈降するので、沈降を待ってから検体液の上澄み部に対し光学測定を行えば、“光学測定用の入射光が反応検出セル内の担体に妨害されない”という条件も満たしている。
[実施例3]
プローブの担体を反応検出セルの内壁に固定した例を例示する。
図4は本実施例における反応検出セル400を表す。反応検出セル400のプローブの担体は、同セルの底に固定された担体構造物17である。この担体構造物17は、細孔径100nmの多孔質ガラス塊に対し、従来法によるガラス微細加工を施して作製したものである。このように入り組んだ形状にして表面積をなるべく大きくし、検体分子との接触の確率を増大させることがポイントである。この大きさ数mm程度の担体構造物17へのプローブの結合は、担体構造物17の表面を活性エステル化処理した後、末端をアミノ基で修飾したオリゴヌクレオチドプローブの水溶液へ浸漬することによりなされる。
こうして作製したプローブ付きの担体構造物17を反応検出セル400の内壁に固定する。固定は耐水性の高い接着剤を用いて行うことが可能である。図4に示すように、プローブ付きの担体構造物17を内壁の底部等に固定して、入射光18が担体構造物17に妨害されることなく検体液19を貫通できるようにすることがポイントである。インキュベーションおよび検出操作は、実施例1および実施例2と同様に行うことが可能である。
プローブの総量は、この多孔質ガラスの1mg当り約5000pmolのプローブを結合させられるので、担体構造物17の質量が5mgであることから、反応検出セル1つ当り約25000pmolである。一方、検出対象の検体分子の総量は、実施例1で先述したように、反応検出セル1つ当り500pmolである。このように、プローブの総量は検体分子の総量の50倍であり、“プローブの総量が十分多い”という条件を満たしている。
また、担体構造物17は反応検出セル400の底部に固定されているので、その領域を避けて吸光度測定を行えば、“光学測定用の入射光が反応検出セル内の担体に妨害されない”という条件も満たしている。
実施例3は、上記の実施例1および実施例2と比較して、プローブ担体も含めた反応検出セルの製造が複雑になるが、吸光度測定の際、プローブ担体の沈降を待つ必要がないため、検出時間をその分だけ短縮できるという利点がある。
図1aは、ハイブリダイゼーション反応前における反応検出セル、図1bはハイブリダイゼーション反応中における反応検出セル、図1cはハイブリダイゼーション反応後における反応検出セルを示す模式図である。 図2aは、吸光度測定時における実施例1の反応検出セル、図2bはインキュベーション時における振動が印加された実施例1の反応検出セルを示す模式図である。 図3aは、正常型検体に対する各プローブの吸光度測定の結果、図3bは変異型検体に対する各プローブの吸光度測定の結果を示す線図である。 図4は、実施例3の反応検出セルを示す模式図である。
符号の説明
1,2,3,4,100,200,400 反応検出セル
5 プローブA分子
6,13,17 担体
7,14,19 検体液
8 検体A分子
9 検体B分子
10 検体液上澄み部領域
11 側壁
12 蓋
15,18 入射光
16 透過光

Claims (16)

  1. プローブ分子が固定された担体と、該担体に接触可能に検体分子が分散している検体液とを内部に保持可能な反応検出セル、および該反応検出セル内の検体液中の検体分子の濃度を測定する手段を有することを特徴とする反応検出システム。
  2. 前記反応検出セルを振動させる手段、および/または前記反応検出セル内の反応温度を変化させる手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の反応検出システム。
  3. 前記担体は、前記検体液中を流動可能な粒子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の反応検出システム。
  4. 前記検体液中を流動可能な粒状の担体は、反応検出セルの静止状態下で検体液中を沈降または浮上するように検体液の比重とは有意に異なる比重を有することを特徴とする、請求項3に記載の反応検出システム。
  5. 前記担体は、多孔質であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の反応検出システム。
  6. 前記検体分子は、核酸、蛋白質あるいは糖蛋白質からなる群より選ばれるいずれか1種類であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応検出システム。
  7. 前記検体分子の濃度を測定する手段は、反応検出セル内の検体液を対象として吸光度あるいは旋光度を測定するものであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の反応検出システム。
  8. 反応検出セル内において、プローブ分子が固定された担体と、検体分子が分散している検体液とを接触させ、プローブ分子と検体分子とが結合反応し得る条件を付与する工程、前記反応検出セル内の検体液中の検体分子の濃度を測定する工程、および前記反応に起因する検体分子の濃度変化を検出する工程を含むことを特徴とする反応検出方法。
  9. 前記反応のための温度を、検出された濃度変化についての結果に基づいて前記反応の進行中に調節することを特徴とする、請求項8に記載の反応検出方法。
  10. 反応検出セル内において、プローブ分子が固定された担体と、検体分子が分散している検体液とを接触させ、プローブ分子と検体分子とを結合反応させ、検体液中に残存している検体分子の濃度減少値を検出することにより、結合反応前の検体液中における検体分子の存在を検出することを特徴とする反応検出方法。
  11. 前記濃度変化の検出は、前記担体を沈降させた検体液の上澄み部又は前記担体を浮上させた検体液の下側部に対して行うことを特徴とする、請求項10に記載の反応検出方法。
  12. 前記反応検出セル内において、プローブ分子が固定された担体と、該プローブ分子に相補的な検体分子およびプローブ分子に非相補的な検体分子が分散している検体液とを接触させ、プローブ分子に相補的な検体分子とプローブ分子とを結合反応させ、プローブ分子に非相補的な検体分子を含んだ検体液中の検体分子の濃度変化を検出することにより、結合反応前の検体液中におけるプローブ分子に相補的な検体分子を検出することを特徴とする、請求項10又は11に記載の反応検出方法。
  13. 前記濃度変化の検出は、反応検出セルからプローブ分子に非相補的な検体分子を除去することなく行われることを特徴とする、請求項12に記載の反応検出方法。
  14. 前記反応検出セル内に存在するプローブ分子の総量は、反応検出セルに供給される検体分子の総量より多いことを特徴とする、請求項8〜13のいずれか1項に記載の反応検出方法。
  15. 検体分子が分散している検体液が内部に注入されこれを水密に保持することができるセルと、該セルの内部に保持され、プローブ分子が固定されている担体とを有し、前記セルの側壁の少なくとも一部が検体分子に比して光学的に無色であり且つ光を透過し得ることを特徴とする反応検出セル。
  16. 前記プローブ分子が固定された担体は多孔質体であり、該多孔質体の孔の内部に前記プローブ分子が固定されたものであることを特徴とする、請求項15に記載の反応検出セル。
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JP2009103575A (ja) * 2007-10-23 2009-05-14 Sharp Corp マイクロ流体デバイス及びマイクロ流体デバイス装置

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