JP2005315308A - 鉄道車両軸受密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性が高く、コストが低く、かつ密封性能の高い鉄道車両軸受密封装置を提供。
【解決手段】車軸1に軸受内輪3、油切り即ちシールウェアリング5が嵌合されており、軸受内輪3の外方には軸箱2に組み付けられた軸受外輪4が装着されている。またシールウェアリング5の外周には同じく軸箱2に組み付けられた弾性体シール7が装着され、シールウェアリング5の外周のシールリップ7aとの摺動部の表層にはSiO2や Al2O3より硬いコーティング膜9a、例えばTiNやTiCNのコーティング膜が、膜厚が3μ(2〜4μであってもよい)施されている。またコーティング膜9aの直下には硬質クロムメッキ9bの下地が施されている。
【選択図】図2
【解決手段】車軸1に軸受内輪3、油切り即ちシールウェアリング5が嵌合されており、軸受内輪3の外方には軸箱2に組み付けられた軸受外輪4が装着されている。またシールウェアリング5の外周には同じく軸箱2に組み付けられた弾性体シール7が装着され、シールウェアリング5の外周のシールリップ7aとの摺動部の表層にはSiO2や Al2O3より硬いコーティング膜9a、例えばTiNやTiCNのコーティング膜が、膜厚が3μ(2〜4μであってもよい)施されている。またコーティング膜9aの直下には硬質クロムメッキ9bの下地が施されている。
【選択図】図2
Description
本発明は車軸に嵌合された軸受の側面に弾性体シールを配置し、同じく車軸に嵌合された油切り、即ちシールウェアリングの外周に上記弾性体シールのシールリップを摺動させて軸受内を密封する鉄道車両軸受の密封装置の構造に関する。
従来の鉄道車両軸受装置において、シールウェアリングには、例えば特許文献1に示すように、弾性体シールのシールリップ摺動面にセラミックス溶射の表層とセラミックスより靭性の大きな材料からなる Ni-Al系材料の下地層の2層の皮膜を施し、耐摩耗性を高め、表面にクラックの発生するのを防止していた。又、他の鉄道車両軸受密封装置では、例えば特許文献2に示すように、シールウェアリングのシールリップ摺動面に窪みを設け、その窪みにセラックス溶射層を埋め込んで、セラミックス層のはく離を防止し、かつシールウェアリング面取り部の幾何学的形状を良くして弾性体シールの装着を円滑にした。
実用新案第2592825号公報
特開平8−74866号公報
実開昭59−59572号公報
しかし、特許文献1に記載のものではシールウェアリングの外周にセラミックスを溶射するので、面取り部の幾何学的形状が悪くなって、弾性体シール装着時にシールリップが損傷するという課題があり、かつセラミックス溶射したセラミックス溶射層はポーラスな状態なので、下地層も溶射等ポーラスな状態となる方法で形成させた場合は母材の錆が表面に浮き出て最悪の場合は軸箱内から潤滑油が漏れ出すという課題が発生するが、かかる課題の発生を防止する方法については何ら示唆されていない。又、特許文献2に記載のものでは溶射後セラミックス溶射層を研削仕上げするが、セラミックス層は硬いため、特殊な砥石により長時間かけて加工しなければならず、加工コストが高いという問題があり、かつセラミックス溶射層1層のみのため、母材の錆が浮き出てくる度合いがより顕著となる課題もあった。更に、特許文献3には、鉄道車両軸受装置用ではないが、工作機スピンドル軸での切削油をシールするシーリング部材などのシールリップに摺接する相手方部品の表面部にセラミックコーティングを施したものが開示されているが、セラミックコーティングの材質、下地層の処理などについては何も開示されていない。
本発明の課題は、前述した課題に鑑みて、耐摩耗性が高く、コストが低く、かつ密封性能の高い鉄道車両軸受密封装置を提供することにある。
このため本発明によると、車軸に嵌合された軸受の側面に弾性体シールを配置し、同じく車軸に嵌合された油切り、即ちシールウェアリング、の外周に上記弾性体シールのシールリップを摺動させて軸受内を密封する鉄道車両軸受装置において、上記シールウェアリングのシールリップ摺動面にコーティング膜による表層と硬質クロムメッキによる下地層とからなる2層の皮膜を施したことを特徴とする鉄道車両軸受密封装置によって上述の本発明の課題を解決した。
本発明では、シールウェアリングの弾性体シールリップ摺動面とそれに隣接する面取り部に、薄いコーティング膜を施したので、コーティング処理前に行った機械加工仕上げの幾何学的形状は保たれ、従来技術より円滑に弾性体シールを挿入でき、セラミックス溶射後の面取り部の幾何学的形状不良による弾性体シール装着時のシールリップ損傷はなくなるという効果を奏し、またコーティング処理後の機械加工仕上げは不要なので、従来技術よりシールウェアリング加工コストを低減でき、更に直下の硬質クロムメッキや封孔処理により、従来技術より防錆性能が高まり、装置の密封性能が向上するという効果も奏する鉄道車両軸受密封装置を提供するものとなった。
本発明を実施するための最良の形態につき、図面を参照して説明する。図1は本発明を実施するための最良の形態の油潤滑式鉄道車両軸受の軸箱断面概略図、図2は図1のシールウェアリング5周辺の要部拡大断面図を示す。図1において、車軸1に軸受内輪3、油切り即ちシールウェアリング5が嵌合されており、車軸1の端面側の軸ナット6により車軸1に固定され、軸受内輪3の外方にはころ3aを介して軸箱2に組み付けられた軸受外輪4が装着されている。またシールウェアリング5の外周には同じく軸箱2に組み付けられた弾性体シール7が装着され、軸受を潤滑するために封入された一定量の油8が軸箱内に密封されている。図2において弾性体シール7のシールリップ7aの内側に配置されたコイルバネ7bにより、常時一定の力でシールリップ7aとシールウェアリング5を押さえており、摺動接触時間の経過と共にシールウェアリング5の外周を摩耗させようとする。弾性体シール7のシールリップ7a自身がシールウェアリング5を削って摩耗させるのではなく、シールリップ7aとシールウェアリング5との摺接部に介在する異物、たとえばSiO2や Al2O3がシールウェアリング5を削り、弾性体シール7のシールリップ7aは異物を保持する役割を果たしている。
作動状態では、この状態で車軸1が回転すると、シールウェアリング5も車軸1といっしょに回転するので、軸箱2に組み付けられた弾性体シール7のシールリップ7aとシールウェアリング5の外周とは摺動接触することになる。本発明ではシールウェアリング5の外周のシールリップ7aとの摺動部の表層には上記SiO2や Al2O3より硬いコーティング膜9a、例えばTiNやTiCNのコーティング膜が、膜厚が3μ(2〜4μであってもよい)施されている。またコーティング膜9aの直下には硬質クロムメッキ9bによる下地層が施されている。コーティング膜9aはセラミックス溶射層と同様なポーラス状態なので、母材の錆が浮き出てくるため、直下に硬質クロムメッキ9bを施すことにより、錆が浮き出るのを防ぐことができる。硬質クロムメッキの層は、膜厚が数10μmである。尚、約 100μmといった厚めに硬質クロムメッキ処理被覆した後、シールリップ7a摺動面及び隣接する面取り部を、機械加工により数10μm程度の厚さに簡単な機械加工仕上げを施してもよい。硬質クロムメッキの層は数10μm程度の厚さがあれば、十分錆が浮き出るのを防ぐことができる。その後コーティング処理を行うが、コーティング膜9aの厚さは数μなので、処理前の幾何学的形状は保たれ、特許文献2に記載のような特殊な砥石による長時間のコーティング処理後の仕上げをする機械加工仕上げも不要とななる。また隣接する面取り部にもコーティング膜は形成されるが、同様に処理前の幾何学的形状は保たれるので、弾性体シール7を円滑に装着できる。
かかる構成によれば、従来技術のように、セラミックス溶射後の面取り部の幾何学的形状不良による弾性体シール装着時のシールリップ損傷はなくなる。また幾何学的形状不良を修正するための、特許文献2に記載のような特殊な砥石による長時間のコーティング処理後の仕上げをする機械加工仕上げも不要となり、シールウェアリングのコストを低減できる。更には母材の錆が浮き出てくることもなくなる。
なお本発明がグリース潤滑方式の鉄道車両軸受にも適用できることはいうまでもない。〔本発明の最良の実施形態の効果〕
なお本発明がグリース潤滑方式の鉄道車両軸受にも適用できることはいうまでもない。〔本発明の最良の実施形態の効果〕
本発明の最良の実施形態では、シールウェアリングの弾性体シールリップ摺動面とそれに隣接する面取り部に、薄いコーティング膜を施したので、コーティング処理前に行った機械加工仕上げの幾何学的形状は保たれ、従来技術より円滑に弾性体シールを挿入でき、セラミックス溶射後の面取り部の幾何学的形状不良による弾性体シール装着時のシールリップ損傷はなくなるという効果を奏し、またコーティング処理後の機械加工仕上げは不要なので、従来技術よりシールウェアリング加工コストを低減でき、更に直下の硬質クロムメッキにより、従来技術より防錆性能が高まり、装置の密封性能が向上するという効果も奏する鉄道車両軸受密封装置を提供するものとなった。
好ましくは、前記コーティング膜は、TiN又はTiCNコーティング膜からなり、膜厚が2〜4μであってもよい。又、前記硬質クロムメッキの層は、約 100μmといった厚めに硬質クロムメッキ処理被覆した後、シールリップ7a摺動面及び隣接する面取り部を、機械加工により数10μm程度の厚さに簡単な機械加工仕上げを施してもよい。尚、本発明がグリース潤滑方式の鉄道車両軸受にも適用できることはいうまでもない。
1 車軸
2 軸箱体
3 車軸軸受内輪
4 車軸軸受外輪
5 シールウェアリング
7 弾性体シール
7a シールリップ
9a 表層コーティング膜
9b 下地硬質クロムメッキ層
2 軸箱体
3 車軸軸受内輪
4 車軸軸受外輪
5 シールウェアリング
7 弾性体シール
7a シールリップ
9a 表層コーティング膜
9b 下地硬質クロムメッキ層
Claims (3)
- 車軸に嵌合された軸受の側面に弾性体シールを配置し、同じく車軸に嵌合された油切り、即ちシールウェアリング、の外周に上記弾性体シールのシールリップを摺動させて軸受内を密封する鉄道車両軸受装置において、上記シールウェアリングのシールリップ摺動面にコーティング膜による表層と硬質クロムメッキによる下地層とからなる2層の皮膜を施したことを特徴とする鉄道車両軸受密封装置。
- 前記コーティング膜は、TiN又はTiCNコーティング膜からなり、膜厚が2〜4μであることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両軸受密封装置。
- 前記硬質クロムメッキの層は、約 100μmといった厚めに被覆した後、機械加工により数10μm程度の厚さに機械加工仕上げされたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の鉄道車両軸受密封装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004132365A JP2005315308A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | 鉄道車両軸受密封装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004132365A JP2005315308A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | 鉄道車両軸受密封装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005315308A true JP2005315308A (ja) | 2005-11-10 |
Family
ID=35442951
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004132365A Withdrawn JP2005315308A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | 鉄道車両軸受密封装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005315308A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102384169A (zh) * | 2011-07-11 | 2012-03-21 | 江苏秋林重工股份有限公司 | 一种稳定轴承 |
CN102401014A (zh) * | 2011-07-11 | 2012-04-04 | 江苏秋林重工股份有限公司 | 一种轴承箱 |
-
2004
- 2004-04-28 JP JP2004132365A patent/JP2005315308A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070226 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20090313 |