JP2005315138A - ターボファンエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】ファン1段動翼における吸込流量の増大化と整備性の向上化をともに図る。
【解決手段】軸心方向先端部にてタービン4により回転駆動できるように設けてあるディスク15の外周部に、軸心方向に沿う係合溝18を設け、後部動翼14のベース部に設けたダブテール部17を前方より嵌合させて、後部動翼14をディスク15に着脱可能に取り付ける。ディスク15の前側に、先端部軸心位置より螺旋状に延びる渦巻翼13を一体に設けてなるスピナー16を、前方より着脱可能に取り付け、渦巻翼13の後端部とディスク15側の後部動翼14の前端部とを近接配置する。渦巻翼13と後部動翼14により、ゼロハブチップ比ファン10aのファン1段動翼12を分割構造のものとして形成する。ファン1段動翼12の回転時には、渦巻翼13によりスピナー16の前面からも空気を吸込み、これを圧縮して後部動翼14に供給させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ファン1段動翼におけるハブ/チップ比をほぼ0とすることができるようにしてあるゼロハブチップ比ファンを備えた型式のターボファンエンジンに関するものである。
ジェットエンジンの一つである高バイパスターボファンエンジンは、図6にその一例の概略を示す如く、先端側より順にファン1、圧縮機2、燃焼器3、タービン4をタービン軸方向(軸心Oで示す)に配列し、タービン4により駆動されるファン1の回転で前面の入口(空気取入口)5から空気を取り入れて、その大部分をバイパスダクト6から噴出させて推進力とし、残りの一部をタービン4により駆動される圧縮機2で圧縮し、該圧縮空気により燃焼器3で燃料を燃焼させ、この燃焼の際発生する高速燃焼空気流によりタービン4を駆動するようにしてある。
この種の高バイパスターボファンエンジンにおいては、バイパス比を大きくすると、排気の平均速度を下げることができて、燃料消費率の低減化や排気騒音の低減化に寄与することが知られている。
ところで、従来の高バイパスターボファンエンジンにおけるファン1は、1段動翼(最前列のファン動翼)7のベース部(回転中心側端部)を、タービン4により回転駆動されるスピナー8の外周面に埋め込む構造としてあるため、ある程度のハブ/チップ比(入口5に臨むチップ径に対するハブ径の比)を必要とし、通常、該ハブ/チップ比は0.3程度に設定してある。
そのために、更なる低燃費化、低騒音化を図るべく、上記高バイパスターボファンエンジンにおけるバイパス比を大きくしようとする場合には、ファン1段動翼7の径と、これを囲むケーシング9の内径がともに大きくなり、エンジン重量の増加に繋がるという問題がある。
かかる点に鑑みて、本出願人は、図7に示す如く、ハブ/チップ比を0とすることができるようにしたファン(以下、ゼロハブチップ比ファンという)10を装備してなる型式のターボファンエンジンを提案している(たとえば、特許文献1参照)。
上記ゼロハブチップ比ファン10は、図6に示したファン1段動翼7と同様にタービン4により回転駆動されるスピナー8の外周に配置する後部動翼部11aのベース部の前端側を、先端部軸心位置へ向けて螺旋状に延びるように延長させて渦巻翼部11bとし、ハブが0となるようにしたファン1段動翼11を、スピナー8の先端部に設けた構成としてある。
これにより、上記ゼロハブチップ比ファン型式のターボファンエンジンでは、上記渦巻翼部11bにより、スピナー8の前面からも空気を吸込み、これを圧縮して後部動翼部11aに供給することができるようになるため、エンジン前方の全面積をそのままファン1段動翼11の空気流入面積とすることができる。したがって、ファン径及びケーシングの内径を大きくすることなくファン1段動翼11の吸込流量を増大させることができることから、バイパス比を大とする場合であってもファン径を小さく抑えることができて、エンジン重量の削減化を図ることが可能になる。
特開2004−27854号公報
ところが、図7に示した如き、従来のゼロハブチップ比ファン型式のターボファンエンジンでは、ゼロハブチップ比ファン10におけるファン1段動翼11を、渦巻翼部11bと後部動翼部11aとを滑らかに繋がるよう一体化させてなる構成としてあるため、かかる翼形状を有するファン1段動翼をスピナー8の先端部に設けるためには、該スピナー8の先端部とファン1段動翼11を一体化させた、いわゆるブリスク構造とする必要があり、この場合、たとえば、バードストライク等によりファン1段動翼11の一部が破損した場合には、ブリスク構造体の全体を交換する必要が生じるため、整備性の点で不利になるのが実状である。
又、上記スピナー8の先端部とファン動翼1段11をブリスク構造体として製造する場合は、削り出し等による一体成形を行なう必要があるが、上記ブリスク構造体はファン1段動翼11全体とスピナー8の先端部とを含んだ大型のものであるため、製造コストが嵩んでしまう。
そこで、本発明は、ファン動翼等の一部が破損した場合には、該破損個所に対応する部材を交換することで補修できるようにして整備性を向上させることができると共に、製造コストの引き下げを図ることが可能なゼロハブチップ比ファン型式のターボファンエンジンを提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に係る発明に対応して、タービンにより駆動されるファンを先端側に備えたターボファンエンジンにおいて、上記タービンにより回転駆動されるようにしてあるディスクの前側に、表面に渦巻翼を一体に有するスピナーを着脱可能に取り付け、上記ディスクの外周部に、後部動翼を着脱可能に取り付け、上記分割された渦巻翼と後部動翼によりファン1段動翼を形成してなる構成とする。
又、請求項2に係る発明に対応して、タービンにより駆動されるファンを先端側に備えたターボファンエンジンにおいて、上記タービンにより回転駆動されるようにしてあるディスクの外周部複数個所に、軸心方向に延びる係合溝を設け、後部動翼のベース部に前後方向に延びるよう設けたダブテール部を、上記ディスクの係合溝に前方より嵌合させて着脱可能に取り付け、且つ上記ディスクの前側に、表面に渦巻翼を一体に有するスピナーを着脱可能に取り付けて、上記分割された渦巻翼と後部動翼によりファン1段動翼を形成してなる構成とする。
更に、上記請求項2に係る発明におけるスピナーの後端部にリテーナを一体に設け、ディスクの係合溝に前方より挿入して係合させた後部動翼のダブテール部が前方へ変位するのを防止するようにした構成とする。
上記請求項1、2又は3に係る発明における渦巻翼の後端縁部と、後部動翼のベース寄り部分の前端縁部に、シール用緩衝材を設けるようにした構成とする。
上記請求項1、2又は3に係る発明における渦巻翼の後端部と、後部動翼のベース寄り部分の前端部における所要の単数又は複数個所に、上記渦巻翼と後部動翼に異なる翼振動が生じた場合に互いにぶつかり合わせるための振動干渉用突起をそれぞれ設けるようにした構成とする。
本発明のターボファンエンジンによれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)タービンにより駆動されるファンを先端側に備えたターボファンエンジンにおいて、上記タービンにより回転駆動されるようにしてあるディスクの前側に、表面に渦巻翼を一体に有するスピナーを着脱可能に取り付け、上記ディスクの外周部に、後部動翼を着脱可能に取り付け、上記分割された渦巻翼と後部動翼によりファン1段動翼を形成してなる構成としてあるので、ファン1段動翼の回転に伴い、スピナー表面の渦巻翼により該スピナーの前面からも空気を吸込み、これを圧縮して後部動翼に供給することができるようになるため、エンジン前方の全面積をそのままファン1段動翼の空気流入面積とすることができて、ファン径及びケーシングの内径を大きくすることなくファン1段動翼の吸込流量を増大させることができる上に、更に、一部の後部動翼に破損が生じた場合には、該破損している後部動翼のみをディスクから取り外して新たな後部動翼に交換することができ、又、渦巻翼に破損が生じた場合には、スピナーと一体に取り外した後、新たな渦巻翼付きのスピナーを取り付けることで補修を行なうことができることから、整備性に優れたものとすることができる。
(2)タービンにより駆動されるファンを先端側に備えたターボファンエンジンにおいて、上記タービンにより回転駆動されるようにしてあるディスクの外周部複数個所に、軸心方向に延びる係合溝を設け、後部動翼のベース部に前後方向に延びるよう設けたダブテール部を、上記ディスクの係合溝に前方より嵌合させて着脱可能に取り付け、且つ上記ディスクの前側に、表面に渦巻翼を一体に有するスピナーを着脱可能に取り付けて、上記分割された渦巻翼と後部動翼によりファン1段動翼を形成してなる構成とすることにより、上記(1)と同様の効果に加えて、ディスクに対するスピナーの着脱、及び、後部動翼の着脱をいずれもエンジン前方から行えるようになるため、整備性を更に向上させることができる。
(3)更に、スピナーの後端部にリテーナを一体に設け、ディスクの係合溝に前方より挿入して係合させた後部動翼のダブテール部が前方へ変位するのを防止するようにした構成とすることにより、上記後部動翼の移動防止用のリテーナ部材を別途用意して取り付ける必要はなく、したがって、部材点数の削減化を図ることができると共に、整備作業に要する手間を削減できる。
(4)渦巻翼の後端縁部と、後部動翼のベース寄り部分の前端縁部に、シール用緩衝材を設けるようにした構成とすることにより、ファン1段動翼を構成する渦巻翼と後部動翼を分割構造にすることに伴う空気流の乱れを抑えることができる。
(5)渦巻翼の後端部と、後部動翼のベース寄り部分の前端部における所要の単数又は複数個所に、上記渦巻翼と後部動翼に異なる翼振動が生じた場合に互いにぶつかり合わせるための振動干渉用突起をそれぞれ設けるようにした構成とすることにより、エンジン運転時に渦巻翼と後部動翼に翼振動が生じても、該各渦巻翼と後部動翼の振動を、振動干渉用突起同士を互いに干渉させることで振動エネルギーを吸収することができる。このため、ファン1段動翼を構成する渦巻翼と後部動翼を分割構造にしたことに伴う翼振動の増加を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1(イ)(ロ)(ハ)は本発明のターボファンエンジンの実施の一形態を示すもので、図7に示したゼロハブチップ比ファン型式のターボファンエンジンと同様の構成において、本発明におけるゼロハブチップ比ファン10aは、図7に示したファン1段動翼11と同様の翼形状として軸心方向の所要位置にて前後方向に2分割して前側の渦巻翼13と後側の後部動翼14とからなる分割構造のファン1段動翼12とし、且つ上記後部動翼14は、エンジン先端部に配置してあってタービン4(図6参照)により回転駆動されるようにしてあるディスク15の外周部に着脱可能に取り付けるようにする。一方、上記渦巻翼13は、上記ディスク15の前側に着脱可能に取り付けるスピナー16の表面に一体に取り付けるようにした構成としてある。
詳述すると、上記後部動翼14をディスク15の外周部に着脱可能に取り付けるようにするために、図1(イ)(ロ)に示す如く、たとえば、後部動翼14のベース部に、前後方向に延びるダブテール部17を設ける。一方、上記ディスク15の外周縁部における周方向所要間隔の多数個所には、上記ダブテール部17を係合できるように、軸心方向に延びて前端が前面に開口するようにした係合溝(あり溝)18を設ける。上記ディスク15の各係合溝18に、上記後部動翼14のダブテール部17を、それぞれ前方より挿入して係合させることにより、上記ディスク15の外周部に各後部動翼14を各々着脱可能に取り付けるようにしてある。この構成により、上記各後部動翼14は、ディスク15に対し前方から容易に着脱できるようになる。
上記渦巻翼13は、スピナー16の表面に一体に取り付けることができるよう、該スピナー16と上記渦巻翼13とをブリスク構造により一体成形するようにしてある。この際、上記スピナー16は、本発明のターボファンエンジンの運転時に上記渦巻翼16に作用する遠心力を受けることができるよう厚肉構造としてある。
上記スピナー16には、渦巻翼13のピッチ間位置と対応する周方向所要間隔の複数個所に、ボルト挿入孔20が軸心方向に延びるように設けてあり、軸心方向の前方よりボルト19を挿入できるようにしてある。一方、上記ディスク15の前面側には、上記スピナー16の各ボルト挿入孔20とそれぞれ対応する周方向所要間隔の複数個所に、シャンクナットの如きナット部材21を備えたフランジ22が設けてあり、上記スピナー16の各ボルト挿入孔20に前方より挿入したボルト19を各ナット部材21に螺合させて締め込むことにより、上記スピナー16を、ディスク15の前面側に固定することができるようにしてある。又、同時に、上記スピナー16の表面に設けてある各渦巻翼13の後端部と、ディスク15の外周部に取り付けてある各後部動翼14の前端部との位置合せを行なうことができるようにしてある。これにより、エンジン前方から上記各ボルト挿入孔20内のボルト19をナット部材21に螺合させたり、離脱させることにより、上記スピナー16のディスク15に対する着脱をエンジン前方より容易に行なうことができるようにしてある。
なお、上記のようにスピナー16をディスク15へ取り付ける際、スピナー16の表面に設けてある各渦巻翼13の後端部は、ディスク15の外周部に取り付けてあるそれぞれ対応する後部動翼14の前端部に対して密着させるようにするか、又は、図1(ハ)に示す如く、所要の隙間Gを隔てて近接配置させるようにしてある。上記各渦巻翼13の後端部と後部動翼14の前端部との間に所要の隙間Gを形成する場合は、本発明のターボファンエンジンの運転に伴って上記渦巻翼13と後部動翼14とからなる分割構造のファン1段動翼12が回転するときに、上記隙間Gが存在してもファン1段動翼12の表裏(回転方向の前面側と背面側)にあまり圧力差が生じない範囲内において適正に選定すればよく、たとえば、1mm程度に設定するようにすればよい。
更に、上記スピナー16には、後端部の内側に、上記ディスク15の外周部に取り付けた各後部動翼14のダブテール部17の前端面に当接させるためのリング状のリテーナ23が一体に設けてあり、スピナー16をディスク15に固定することにより、リテーナ23で後部動翼14のダブテール部17の前端面を押えるようにしてある。すなわち、上記各後部動翼14は、ダブテール部17をディスク15の係合溝18に前方より係合させることにより該ディスク15への取り付けを行なうようにしてあるため、本発明のターボファンエンジンの運転で上記各後部動翼14が回転するときには、該各後部動翼14に対し推力の反力が軸心方向前向きに移動させようとする力として作用するようになるが、このような推力の反力が作用する場合であっても各後部動翼14の軸心方向前方への移動を上記スピナー16のリテーナ23により防止できるようにしてある。
本発明のゼロハブチップ比ファン型式のターボファンエンジンを運転すると、タービンの出力によりスピナー16表面の渦巻翼13、すなわちスピナー一体型動翼と後部動翼14とからなるファン1段動翼12が回転する。これによりスピナー16の前面に流入する空気は、該スピナー一体型動翼である上記渦巻翼13に吸い込まれて、圧縮された状態にて、該各渦巻翼13に沿ってそれぞれ対応する後側の後部動翼14へ供給されるようになる。
したがって、本発明のターボファンエンジンにおいても、図7に示したゼロハブチップ比ファン型式のターボファンエンジンと同様に、エンジン前方の全面積をそのままファン1段動翼12の空気流入面積とすることができて、ファン径及びケーシングの内径を大きくすることなくファン1段動翼12の吸込流量を増大させることができる。又、バイパス比を大とする場合であってもファン径を小さく抑えることができて、エンジン重量の削減化を図ることが可能になる。更には、後段に設ける圧縮機における低圧圧縮機の段数の削減が可能となることによってもエンジン重量の削減化を図ることが期待できる。
更に、たとえば、バードストライク等により一部の後部動翼14に破損が生じた場合には、前方よりボルト19を弛めてスピナー16をディスク15から取り外した後、上記破損している後部動翼14のみをディスク15から取り外して新たな後部動翼14に交換することができる。又、渦巻翼13に破損が生じた場合には、スピナー16と一体に取り外した後、新たな渦巻翼13付きのスピナー16を取り付けることで補修を行なうことができる。したがって、本発明のターボファンエンジンは、整備性に優れたものとすることができる。
又、ディスク15に対する後部動翼14の軸心方向の移動を防止するためのリテーナ23がスピナー16に一体に設けてあるため、上記後部動翼14の移動防止用のリテーナ部材を別途用意して取り付ける必要はなく、したがって、部材点数の削減化を図ることができると共に、整備作業に要する手間を削減できる。
次に、図2(イ)(ロ)(ハ)はいずれも図1(イ)(ロ)(ハ)に示した実施の形態の応用例を示すもので、図2(イ)に示したものは、図1(イ)(ロ)(ハ)に示したゼロハブチップ比ファン10aの各ファン1段動翼12における渦巻翼13の後端縁部と、該渦巻翼13の後端縁部に臨む部分である後部動翼14のベース寄り部分の前端縁部に、ゴム又は柔材等によるシール用緩衝材24をそれぞれ取り付け、スピナー16をディスク15に取り付けて上記渦巻翼13の後端部が上記ディスク15の外周部の後部動翼14の前端部に近接配置されるときに、上記各シール用緩衝材24同士が密着するようにして、両者の間の隙間を閉塞させることができるようにしたものである。これにより、エンジン運転時にファン1段動翼12の回転方向前面側に沿って流れる空気流が、上記渦巻翼13と後部動翼14の隙間を通して回転方向背面側に抜ける虞を防止できる。
又、図2(ロ)に示したものは、図1(イ)(ロ)(ハ)に示したゼロハブチップ比ファン10aの各ファン1段動翼12における渦巻翼13の後端面に翼長(翼高さ)方向に沿う凹溝25を形成し、一方、該渦巻翼13の後端面に臨む後部動翼14のベース寄り部分の前端面に、上記溝25に嵌合し得る突状部26を設けて、スピナー16をディスク15に取り付けて上記渦巻翼13の後端部が上記ディスク15外周部の後部動翼14の前端部に近接配置されるときに、上記渦巻翼13後端面の凹溝25に、後部動翼14の突状部26が多少入り込むようにして、上記渦巻翼13と後部動翼14との間に形成される隙間が回転方向の前面側と背面側に直線的に連通しないようにしたものである。
更に、図2(ハ)に示したものは、図1(イ)(ロ)(ハ)に示したゼロハブチップ比ファン10aの各ファン1段動翼12における渦巻翼13の後端部を、回転方向の前面側が背面側よりも所要寸法突出するよう傾斜した端面形状とし、一方、該渦巻翼13の後端部に臨む後部動翼14のベース寄り部分の前端部を、回転方向の背面側が前面側よりも所要寸法突出するよう傾斜した端面形状となるようにして、スピナー16をディスク15に取り付けて上記渦巻翼13の後端部がディスク15外周部の後部動翼14の前端部に近接配置されるときに、上記渦巻翼13の後端部と後部動翼14のベース寄り部分の前端部が回転方向の前後方向に多少重なるようにして、両者13と14の間に形成される隙間の回転方向前面側の開口位置を、回転方向背面側の開口位置よりも径方向の外側に配置できるようにしたものである。
上記図2(ロ)及び図2(ハ)に示した実施の形態によれば、いずれもエンジン運転時にファン1段動翼12の回転方向前面側に沿って流れる空気流27が、上記渦巻翼13と後部動翼14の間の隙間を通して回転方向の背面側に抜ける虞を抑制できる。
したがって、上記図2(イ)(ロ)(ハ)に示したものは、いずれもゼロハブチップ比ファン10aにおけるファン1段動翼12を渦巻翼13と後部動翼14とからなる分割構造にすることに伴う空気流の乱れを抑えることができる。
次いで、図3は本発明の実施の更に他の形態を示すもので、図1(イ)(ロ)(ハ)に示したと同様の構成において、ゼロハブチップ比ファン10aの各ファン1段動翼12における渦巻翼13の後端部と、後部動翼14のベース寄り部分の前端部のそれぞれ対応する長手方向の単数又は複数個所(図では2個所)に、エンジン運転時に上記渦巻翼13と後部動翼14に異なる翼振動が生じた場合に互いにぶつかり合うようにするための振動干渉用突起28をそれぞれ設けたものである。なお、上記振動干渉用突起28は、略半円形状としたり、矩形とする等、形状は自在に設定すればよい(図では略半円形状とした場合について示してある)。
その他の構成は図1(イ)(ロ)(ハ)に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
本実施の形態によれば、エンジン運転時に上記渦巻翼13と後部動翼14に異なる翼振動が生じても、該各渦巻翼13と後部動翼14の振動を、各々設けてある振動干渉用突起28同士を互いに干渉させることで振動エネルギーを吸収することができる。このため、ゼロハブチップ比ファン10aのファン1段動翼12を渦巻翼13と後部動翼14とからなる分割構造にしたことに伴う翼振動の増加を抑制することができる。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、図1(イ)(ロ)(ハ)の実施の形態では、ゼロハブチップ比ファン10aのファン1段動翼12を渦巻翼13と後部動翼14に分割する位置を、軸心方向に対しほぼ直角となる方向に沿うようにした場合を示したが、図4に示す如く、軸心方向に対して斜めに分割する等、分割位置は、エンジン運転時に渦巻翼13及び後部動翼14にそれぞれ作用する応力や、加工の容易さ等を勘案して自在に設定してよい。
図1(イ)(ロ)(ハ)の実施の形態に示したように、部材点数の削減化を図る点では、後部動翼14の軸心方向の移動を防止するためのリテーナ23を、スピナー16に一体に設けることが望ましいが、図5に示す如く、後部動翼14のダブテール部17の前端面に当接させるためのリング状のリテーナ部材29を別体として設けて、たとえば、ディスク15のフランジ22に対しスピナー16を取り付けるためのボルト19を利用して取り付けるようにしてもよい。
ディスク15への後部動翼14の取り付けは、ディスク15外周部に後部動翼14を1枚ごとに着脱可能に取り付けることができれば、ピンジョイント等、後部動翼14のダブテール部17をディスク15の係合溝18に係合させる形式以外の取付手段を採用してもよい。
ゼロハブチップ比ファン10aのファン1段動翼12の後部動翼14は、チップ側が前方に突出する前進翼形状のものを採用してもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明のターボファンエンジンの実施の一形態を示すもので、(イ)は概略切断側面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視拡大図、(ハ)は(イ)のB部の拡大図である。 (イ)(ロ)(ハ)はいずれも本発明の実施の他の形態におけるファン1段動翼を示すもので(イ)は図1(ハ)に対応する図、(ロ)及び(ハ)は渦巻翼の後端部と後部動翼の前端部の断面を拡大して示す図である。 本発明の実施の更に他の形態を示す図1(ハ)に対応する図である。 本発明の実施の更に他の形態を示す概略切断側面図である。 本発明の実施の更に他の形態を示す概略切断側面図である。 高バイパスターボファンエンジンの一例の概略を示す一部切断側面図である。 本出願人が提案しているゼロハブチップ比ファン型式のターボファンエンジンの要部を示す概略切断側面図である。
符号の説明
4 タービン
10a ゼロハブチップ比ファン(ファン)
12 ファン1段動翼
13 渦巻翼
14 後部動翼
15 ディスク
16 スピナー
17 ダブテール部
18 係合溝
23 リテーナ
24 シール用緩衝材
28 振動干渉用突起

Claims (5)

  1. タービンにより駆動されるファンを先端側に備えたターボファンエンジンにおいて、上記タービンにより回転駆動されるようにしてあるディスクの前側に、表面に渦巻翼を一体に有するスピナーを着脱可能に取り付け、上記ディスクの外周部に、後部動翼を着脱可能に取り付け、上記分割された渦巻翼と後部動翼によりファン1段動翼を形成してなる構成を有することを特徴とするターボファンエンジン。
  2. タービンにより駆動されるファンを先端側に備えたターボファンエンジンにおいて、上記タービンにより回転駆動されるようにしてあるディスクの外周部複数個所に、軸心方向に延びる係合溝を設け、後部動翼のベース部に前後方向に延びるよう設けたダブテール部を、上記ディスクの係合溝に前方より嵌合させて着脱可能に取り付け、且つ上記ディスクの前側に、表面に渦巻翼を一体に有するスピナーを着脱可能に取り付けて、上記分割された渦巻翼と後部動翼によりファン1段動翼を形成してなる構成を有することを特徴とするターボファンエンジン。
  3. スピナーの後端部にリテーナを一体に設け、ディスクの係合溝に前方より挿入して係合させた後部動翼のダブテール部が前方へ変位するのを防止するようにした請求項2記載のターボファンエンジン。
  4. 渦巻翼の後端縁部と、後部動翼のベース寄り部分の前端縁部に、シール用緩衝材を設けるようにした請求項1、2又は3記載のターボファンエンジン。
  5. 渦巻翼の後端部と、後部動翼のベース寄り部分の前端部における所要の単数又は複数個所に、上記渦巻翼と後部動翼に異なる翼振動が生じた場合に互いにぶつかり合わせるための振動干渉用突起をそれぞれ設けるようにした請求項1、2又は3記載のターボファンエンジン。
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