JP2005313261A - 円弧状電極、これを用いたスリーブ部材の溝加工方法及びその装置 - Google Patents

円弧状電極、これを用いたスリーブ部材の溝加工方法及びその装置 Download PDF

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弘史 佐藤
Yuji Shishido
祐司 宍戸
Takeshi Kaneko
猛 金子
Kenichiro Yazawa
健一郎 矢澤
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Abstract

【課題】スリーブ部材と加工電極とがショートすること無く、スラッジを良好に排出でき、かつ1加工電極であっても、動圧流体溝数、その溝幅を変更できるスリーブ部材の溝加工装置を提供する。
【解決手段】スリーブ部材Pを保持するチャック10と、断面が扇形で、スリーブ部材Pの中空円の中心を共有する円周の部分円周面に形成された加工電極23が、少なくとも1個形成されている円弧状電極20Aと、その円弧状電極20Aをスリーブ部材Pの内部の軸方向の所定位置に移動させるZ軸駆動装置4と、その所定位置からスリーブ部材Pの内周面に近接した位置へ、そしてその逆方向に円弧状電極20Aを移動させるXYステージ3と、円弧状電極20Aを所定の角度回動させるC軸回動装置7と、チャック10と円弧状電極20Aとの間に所定の電圧を印加できる電源15とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータの軸受けなどに用いられるスリーブ部材の中空内周面に動圧流体溝などの溝を形成するための円弧状電極、これを用いたスリーブ部材の溝加工方法及びその装置に関するものである。
通常、マイクロコンピュータのハードディスク駆動装置用のDCブラシレスモータ、CD−ROM駆動装置用のDCモータなどでは、ハードディスク、CD−ROMなどの記録媒体を安定して高速回転させるために、軸受けとして動圧流体軸受が用いられている。動圧流体軸受は、一般的に、相対回転されるスリーブ状の軸受け部材(以下、スリーブ部材と記す)と軸部材とから構成され、スリープ部材の内周面及び/または軸部材の外周面に動圧流体溝が形成されている。
スリープ部材の内周面に動圧流体溝を形成する一加工方法として、例えば、下記の[特許文献1]に開示されたものが知られている。先ず、このスリーブ部材の溝加工方法を、図8及び図9を参照しながら説明する。
図8は従来技術の加工電極の拡大図であって、同図Aはその斜視図、同図Bは同図AのB−B線上の断面図、そして図9は図8に示した加工電極を用いたスリーブ部材の溝加工工程図である。
先ず、図8を参照しながら、この従来技術のスリーブ部材の溝加工方法に用いられる加工電極86を説明する。この加工電極86は略円筒状の電極本体92を備えており、電極本体92は前加工用電極部94、溝加工用電極部96及び仕上げ加工用電極部98を備えている。前加工用電極部94は電極本体92の上端部に設けられ、仕上げ加工用電極部98は電極本体92の下端部に設けられ、また溝加工用電極部96は電極本体92の軸線方向における中間部に設けられている。このように加工の際にスリーブ部材52に作用し始める上端部から下端部に向けて前加工用電極部94、溝加工用電極部96及び仕上げ加工用電極部98をこの順序で配置していて、加工電極86を上方へ移動することにより、後記するように、スリーブ部材52の中空内周面に前加工用電極部94によって前加工を施し、次いで前加工後の前記内周面に溝加工用電極部96によって溝加工を施し、その後、溝加工後の前記内周面の仕上げ加工が行えるように出来ている。
加工電極86の溝加工電極部96は、図8Bに示したように、電解加工を行うための複数個の電極片100を備え、これら電極片100が電極本体92の周表面に周方向に間隔を置いて配設され、電極本体92の周表面を規定している。各電極片100は小さい矩形状に形成されており、電圧を印加するためのリード線102が電気的に接続され、これらリード線102は電極本体86に連結された連結ロツド104(図8A)の内部空間を通して外部に導出されている。前加工用電極部94及び仕上げ加工用電極部98は、溝加工用電極部96と同一の構成であり、周方向に間隔を置いて設けられた複数個の電極片106、108をそれぞれ備えている。
前加工用電極部94はスリーブ部材52の内周面を所定の大きさとなるように前加工するためのものであり、この電極部94における電極片106の間隔は小さく設定されている。また、溝加工用電極部96はへリングボーン形状の動圧発生溝を形成するためのものであり、それ故に、この電極部96における電極片100の幅は形成される溝の幅に対応し、それらの間隔は、形成される溝の間隔に対応した間隔に設定されている。そして仕上げ加工用電極部98は溝が形成されたスリ−ブ部材52の内周面を所定の大きさに仕上げ加工するためのものであり、この電極部98における電極片108の間隔は小さく設定されている。
加工電極86の各電極片100、106、108と加工するスリーブ部材52(図9)には直流電源(不図示)が電気的に接続されている。
この従来技術の動圧流体溝の加工方法は、このような加工電極86を用いてスリーブ加工を行っている。以下、図9を参照しながら従来技術の動圧流体溝の加工方法を説明する。
スリーブ部材52の加工前は、図9Aに示したように、シリンダ機構が収縮状態にあることから調芯部材70は上昇位置に、保持スリーブ72は下降位置に、また加工電極86は非加工位置に保持される。このような状態においては、調芯部材70は保持部材66の上方に後退し、保持部材66と調芯部材70との間には、加工すべきスリーブ部材52を保持部材66に載置し、また保持部材66から取除くための充分なスペースを取っている。また、保持スリーブ72は保持部材66の下方に後退している。加工電極86は保持部材66の下方に位置し、前記下降位置にある保持スリーブ72内に収容された状態となっている。
加工に際しては、先ず、スリーブ部材52を保持部材66の保持凹部68に収容し、仮載置する(図9A)。これによってスリーブ部材52を所定の加工位置に仮保持する。
次に、シリンダ機構を伸張して調芯部材70を下降させて図9Bに示す保持位置に位置付ける。このようにすることにより、調芯部材70の調芯部82が保持部材66に仮保持されたスリーブ部材52の上端部の内周縁部に作用し、スリーブ部材52は保持部材66に載置された状態で所定の加工位置に位置付けられる。その後、また別のシリンダ機構を伸張して保持スリーブ72を上昇させて図9Bに示す位置決め保持位置に位置付ける。このように位置決め保持位置に位置付けると、保持スリーブ72の位置決め保持部90の先端部が保持部材66に載置されたスリ−ブ部材52の下端部の内周縁部に作用し、このようにしてスリーブ部材52を、所定の加工位置に正確に位置決めされて調芯部材70の調芯部82と保持スリーブ72の位置決め保持部90との間に保持する。
その後、回転機構(不図示)を下側から見て時計方向に回動しながら更に他のシリンダ機構(不図示)を伸張して図9Cに示すように加工電極86の電極本体92をスリーブ部材52の内部に挿入する。そして、この挿入時、電解液を加工領域に供給すると共に、直流電源からの電圧をスリーブ部材52と各電極片100、106、108との間に印加する。電解液の供給は、供給ポンプ(不図示)を作動させることによって行われており、供給ポンプからの電解液は調芯部材70の液注入孔84を通して加工領域、即ち、スリーブ部材52の内周面と加工電極86の電極本体92の外周面との間に供給され、電解加工を行う際に前記加工領域に電解液が介在するようになされている。加工領域への電解液の保持を確実に行うために、スリーブ部材52の内周面と電極本体92の外周面との間隔を、0.2mm以下に設定しており、このように設定することによって、電解液は毛細管現象によって電極本体92とスリーブ部材52の間隙に保持されるようになされている。
加工電極86によるスリーブ部材52の内周面の加工は、電極本体92の先端部がスリーブ部材52内に挿入されると、前加工用電極部94の各電極片106(図8)に直流電源からの電圧が印加され、直流電源からの電流が、各電極片106から電解液を通してスリ−ブ部材52の対向する部位に流れ、これによってスリーブ部材52の内周面に前加工が施される。電極本体92が前記したように回動しながら更に溝加工用電極部96が所定位置まで挿入されると、溝加工用電極部96の各電極片100(図8)にも直流電源からの電圧が印加され、直流電源からの電流が、各電極片100から電解液を通してスリーブ部材52の対向する部位に流れ、これによってスリーブ部材52の前加工された内周面に溝形成加工が施される。このようにして電極本体92が回動しながら更に仕上げ加工用電極部98がスリーブ部材52に挿入されると、仕上げ加工用電極部98の各電極片108(図8)にも直流電源からの電圧が印加され、直流電源からの電流が、各電極片108から電解液を通してスリーブ部材52の対向する部位に流れ、これによってスリーブ部材52の溝形成加工された内周面に仕上げ加工が施される。そして、溝加工用電極部96がスリーブ部材52の所定位置まで挿入されると、各電極片100、106、108に電圧を印加した状態において回転機構114の回動方向が図において下側から見て反時計方向に切り換えられ、加工電極86は前記した方向とは反対方向に回動しながら上昇される。このように加工電極86を移動させることにより、スリーブ部材52の内周面にへリングボーン状の複数個の溝を形成している。
以上記したように、この従来技術のスリーブ部材の溝加工方法は、加工電極86を回動しながら上方に移動させ、このように上方に移動させることによって、前加工用電極部94によりスリーブ部材52の内周面に前加工を行い、溝形成電極部96により前加工後の前記内周面に溝形成加工を行い、更に、仕上げ加工用電極部98により溝形成加工後の前記内周面に仕上げ加工を行い、このようにして一加工工程で前加工、溝形成加工及び仕上げ加工を行う方法を採っている。
特許第3455410号第2頁、図2
前記のような従来技術の動圧流体溝の加工方法によれば、スリーブ部材と電極の隙間が非常に狭いため、スリーブ部材52と加工電極86とが接触してショートしないよう調芯する必要がある。
また、溝仕様が変更されると、その都度、加工電極86を変更する必要がある。
更にまた、加工電極86とスリーブ部材52の間隔が狭いため、発生したスラッジが加工電極86またはスリーブ部材52付着し、良好な加工が出来ないこともある。
本発明は、これらの課題を解決しようとするものであって、スリーブ部材と加工電極とが接触することによるショートの心配が無く、スラッジを良好に流出させることができ、かつ1加工電極であっても、溝数、溝幅を変更できる円弧状電極、これを用いたスリーブ部材の溝加工方法及びその装置を得ることを目的とする。
それ故、前記課題を解決するため、本発明の円弧状電極は、断面が扇形の部分円周面で形成された電極本体のその部分円周面に、その部分円周面と同一の部分円周面の加工電極が少なくとも1個形成されていることを特徴とする。
前記円弧状電極は前記加工電極が複数個、前記電極本体の前記部分円周面の円周方向及び又は軸線方向に所定の間隔を開けて形成してもよく、また、前記電極本体の前記部分円周面及び前記加工電極の前記部分円周面はほぼ120度の角範囲にわたって形成されている。
更に、前記円弧状電極は、前記加工電極を除く前記電極本体の内周部から前記部分円周面に貫通する貫通孔或いは切り欠きが形成されていることが望ましい。
また、前記課題を解決するため、本発明のスリーブ部材の溝加工方法は、スリーブ部材の中空円内の軸線方向の所定の位置に、その中空円の直径より小で、前記中空円の内周面の曲率と同一の曲率の部分円周面で形成され、断面が扇形の電極本体のその部分円周面に、その部分円周面と同一の部分円周面の加工電極が少なくとも1個形成されている円弧状電極を、前記スリーブ部材の内周面から後退した位置に配置する第1ステップと、前記後退した位置から前記スリーブ部材の中空内周面に前記円弧状電極の前記加工電極を近接させた時に、前記中空内周面に溝を加工する第2ステップとを含む方法を採っている。
具体的には、このスリーブ部材の溝加工方法は、スリーブ部材の中空円内の軸線方向の所定の位置に、その中空円の直径より小で、前記中空円の内周面の曲率と同一の曲率の部分円周面で形成され、断面が扇形の電極本体のその部分円周面に、その部分円周面と同一の部分円周面の加工電極が少なくとも1個形成されている円弧状電極を、前記スリーブ部材の内周面から後退した状態で挿入する第1ステップと、その後、その円弧状電極の前記加工電極を前記スリーブ部材の前記内周面に近接させる第2ステップと、前記スリーブ部材及び前記円弧状電極に所定の電圧を印加して前記スリーブ部材の内周面に前記円弧状電極の前記加工電極の形状に対応した所定の深さの最初の溝を形成する第3ステップと、その後、前記円弧状電極を前記スリーブ部材の前記中空円の前記内周面から前記第1ステップの挿入位置まで後退させる第4ステップと、更にその後、前記円弧状電極を所定の角度回動する第5ステップと、前記円弧状電極が前記第5ステップにより回動した回動位置で前記円弧状電極を前記スリーブ部材の内周面に近接させ、前記第3ステップにより形成された前記最初の溝と同様の後続の溝を形成する第6ステップと、その後、前記第4ステップ乃至第6ステップを所定回数繰り返し行い、前記最初及び後続の溝と同一の更に後続の溝を形成して前記スリーブ部材の前記中空円の内周面全周に均一な間隔で溝を形成し終える第7ステップと、その後、前記円弧状電極を前記スリーブ部材の前記中空円の前記内周面から前記第1ステップの挿入位置まで後退させる第8ステップと、その後、前記円弧状電極を溝加工済みの前記スリーブ部材から抜き出す第9ステップとを含む方法を採っている。
そして、本発明のスリーブ部材の溝加工方法は、前記円弧状電極が前記スリーブ部材の前記内周面に近接した時に、前記円弧状電極と前記スリーブ部材との間に電圧を印加することを特徴とする。
また、本発明のスリーブ部材の溝加工方法においては、前記円弧状電極が前記スリーブ部材の前記内周面に近接した状態の時に、前記円弧状電極を、その軸線方向に僅かに揺動させるか、その円周方向に僅かに揺動させるか、或いは前記スリーブ部材の直径方向に僅かに揺動させることが望ましい。
前記溝の形成は電解加工で行ってもよく、放電加工で行ってもよい。電解加工で前記溝の形成を行っている間は電解液を前記円弧状電極の上から下に、或いは前記円弧状電極の下方から上方に一方向に循環させ、或いは前記円弧状電極の上方及び下方から交互に供給させながら行う。
更に、本発明のスリーブ部材の溝加工装置は、スリーブ部材を垂直に保持し、一方の電極となるチャックと、前記スリーブ部材の上方開口部から挿入され、断面が扇形で、前記スリーブ部材の内周面の曲率と同一の曲率の部分円周面で形成された電極本体のその部分円周面に、その部分円周面と同一の部分円周面の加工電極が少なくとも1個形成されている円弧状電極と、その円弧状電極を前記チャックに保持されたスリーブ部材の内部の軸方向の所定位置に移動させるZ軸方向駆動手段と、前記スリーブ部材の内部の軸方向の前記所定位置において、その所定位置から前記スリーブ部材の内周面に近接した位置へ、そしてその逆方向に前記円弧状電極を移動させるX軸及び或いはY軸方向駆動手段と、前記円弧状電極を所定の角度回動させる回動手段と、前記円弧状電極が前記スリーブ部材の内周面に近接した時に、前記チャックと前記円弧状電極との間に所定の電圧を印加できる電源装置とを備えて構成されている。
前記Z軸駆動手段には、必要に応じて、前記円弧状電極が前記スリーブ部材の中空内周面に近接した時に、その円弧状電極を前記スリーブ部材の軸方向に微細に揺動させる第1揺動手段を具備せしめることが望ましい。
また、前記回動手段には、必要に応じて、前記円弧状電極が前記スリーブ部材の中空内周面に近接した時に、その円弧状電極を前記スリーブ部材の内周方向に微細に揺動させる第2揺動手段を具備せしめることが望ましい。
更に、前記X軸及び或いはY軸方向駆動手段には、前記円弧状電極が前記スリーブ部材の中空内周面に近接した時に、その円弧状電極を前記スリーブ部材の直径方向に微細に揺動させる第3揺動手段を具備せしめることが望ましい。
前記スリーブ部材の溝加工装置は、加工が電解加工で行われる場合、前記チャックとそのチャックに保持された前記スリーブ部材とを電解液中に浸すための電解液糟を備え、そして前記電解液を前記スリーブ部材の中空円内を循環させ、発生するスラッジを除去する電解液循環手段を備えていることが望ましい。
従って、本発明の円弧状電極、スリーブ部材の溝加工方法及びその装置によれば、スリーブ部材の内周面との間に大きな空間を設けることができ、また、スリーブ部材の内周面に1本づつの溝を、或いは一度に複数本の溝を、或いは一度に複数本の溝を並列に形成することができ、そして、円弧状電極を用いることから、たとえスリーブ部材の内径が微小なものでも、そのスリーブ部材の内周面に溝を容易に形成でき、更に、その溝の加工時に発生するスラッジを容易に流出でき、スラッジが加工電極またはスリーブ部材の内周面に付着することがない。
本発明の円弧状電極によれば、
1.スリーブ部材との空間を十分に開けることができるので、スラッジを容易に流出させ ることができる。
2.スリーブ部材の内周面に1本づつ全周にわたって溝を順次形成でき、或いはスリーブ 部材の内周面に一度に複数本づつ全周にわたって溝を順次形成でき、或いはまたスリー ブ部材の内周面に一度に複数本づつ並列に全周にわたって溝を形成することができる。
3.円弧状電極の電極本体に孔、或いは切り欠きを設けることにより、スリーブ部材の内 周面へクリーンな電解液を流入させることができ、そしてその部分に発生するスラッジ を流れ出させる効果を更に持たせることができる。
また、本発明のスリーブ部材の溝加工方法によれば、
1.スリーブ部材と円弧状電極の隙間はその円弧状電極が所定の位置に設定後、スリーブ 部材の内周面の方へ向かって前記隙間を詰めて行く方法を採っていることから、スリー ブ部材と円弧状電極とがショートする心配が無い。
2.スリーブ部材と円弧状電極の隙間は十分に取れることから、発生したスラッジを流出 させることができる。
3.1加工電極の円弧状電極で溝数、溝幅が変更できる。
4.また、1円弧状電極に複数の加工電極を形成しておけば、複数の溝を同時に形成する ことができる。
5.更に、スリーブ部材の内周面に対して円弧状電極を揺動させることにより、電解液を 攪拌することができ、電解液を加工面に供給できる。
6.この加工法は放電加工にも適用できる。
更にまた、本発明のスリーブ部材の溝加工装置によれば、
1.構成が簡単でありながら、内径が極めて微小なスリーブ部材であっても、その円形内 周面にモータ用の動圧流体溝などの溝を容易に形成することができる。
2.XYステージ、Z軸駆動装置、C軸回動装置など既存の装置を用いていることから比 較的安価である。
3.円弧状電極の上または下に電解液を噴射するポンプなど、または吸い込むポンプなど を装備することにより、電解液をシャッフル状態にでき、円弧状電極またはスリーブ部 材へのスラッジの付着を防止することができ、良好な溝加工を行うことができる。
以上のように、本発明は数々の優れた効果が得られる。
先ず、本発明のスリーブ部材の溝加工装置であるが、このスリーブ部材の溝加工装置は、スリーブ部材を垂直に保持し、一方の電極となるチャックと、前記スリーブ部材の上方開口部から挿入され、断面が扇形で、前記スリーブ部材の中空内周面の曲率と同一の曲率の部分円周面で形成された電極本体のその部分円周面に、その部分円周面と同一の部分円周面の加工電極が少なくとも1個形成されている円弧状電極と、その円弧状電極を前記チャックに保持されたスリーブ部材の内部の軸方向の所定位置に移動させるZ軸方向駆動手段と、前記スリーブ部材の内部の軸方向の前記所定位置において、その所定位置から前記スリーブ部材の内周面に近接した位置へ、そしてその逆方向に前記円弧状電極を移動させるX軸及び或いはY軸方向駆動手段と、前記円弧状電極を所定の角度回動させる回動手段と、前記円弧状電極が前記スリーブ部材の内周面に近接した時に、前記チャックと前記円弧状電極との間に所定の電圧を印加できる電源装置とを備えて構成されている。
前記の円弧状電極は、断面が扇形の部分円周面で形成された電極本体のその部分円周面に、その部分円周面と同一曲率の部分円周面の加工電極が少なくとも1個形成されているが、この円弧状電極における前記加工電極が複数個、前記電極本体の前記部分円周面の軸線方向に所定の間隔を開けて形成されているものであってもよい。
また、この円弧状電極は、その電極本体の前記部分円周面及び前記加工電極の前記部分円周面がほぼ120度の角範囲にわたって形成されていることが望ましい。
更に、前記円弧状電極は、前記加工電極を除く前記電極本体の内周部から前記部分円周面に貫通する貫通孔或いは切り欠きが形成されているものであってもよい。
次に、この円弧状電極及び前記スリーブ部材の溝加工装置を用いてスリーブ部材を加工する本発明のスリーブ部材の溝加工方法は、先ず、前記Z軸方向駆動手段により前記円弧状電極を、前記チャックに垂直に保持された前記スリーブ部材の中空円内の軸線方向の所定の位置に、前記スリーブ部材の円形内周面から後退した状態で挿入する。その後、前記X軸及び或いはY軸方向駆動手段によりその円弧状電極の前記加工電極を前記スリーブ部材の前記内周面に近接させる。続いて前記電源装置から前記スリーブ部材及び前記円弧状電極に所定の電圧を印加して前記スリーブ部材の内周面に前記円弧状電極の前記加工電極の形状に対応した所定の深さの最初の溝を形成する。この最初の溝を形成し終えると、前記X軸及び或いはY軸方向駆動手段により前記円弧状電極をスリーブ部材の内周面から後退させ、そして前記回動手段により所定の角度だけ前記加工電極を回動させ、更に前記X軸及び或いはY軸方向駆動手段により前記スリーブ部材の円形内周面に近接させ、前記電源装置から前記スリーブ部材及び前記円弧状電極に所定の電圧を印加して前記スリーブ部材の内周面に前記円弧状電極の前記加工電極の形状に対応した所定の深さの第2番目の溝を形成する。以下、これらスリーブ部材の内周面に対する円弧状電極の一連の動作を所定回数繰り返し行い、前記スリーブ部材の所定の高さ位置における内周面全周に所定の溝を形成する。その後、前記X軸及び或いはY軸方向駆動手段により前記円弧状電極を前記スリーブ部材の前記円形内周面から前記挿入位置まで後退させ、そしてその後退位置において、前記Z軸方向駆動手段により前記円弧状電極を溝加工済みの前記スリーブ部材から抜き出す。
このような一連の動作を行うことにより所定の高さ位置における内周面全周に所定の溝が形成されたスリーブ部材が得られる。二重の溝を施す場合には、前記Z軸方向駆動手段により前記円弧状電極を、前記スリーブ部材の中空円内の前記第1番目の溝の位置とは異なる高さ位置に移動させて前記と同様の一連の動作を行うことにより第2、第3・・・の一連の溝を形成することができる。
また、前記円弧状電極が前記スリーブ部材の円形内周面に近接した時に、前記第1揺動手段によりその円弧状電極を前記スリーブ部材の軸方向に揺動させて溝幅を広げることもでき、或いは前記第2揺動手段によりその円弧状電極を前記スリーブ部材の内周方向に揺動させて溝幅を広げることもでき、同時に電解液を用いた電解加工を行っている場合には、その電解液を攪拌して電解加工面に電解液を供給することができる。
このスリーブ部材の溝加工方法は、前記のように電解液による電解加工で溝の形成を行ってもよく、また、放電加工によって溝の形成を行ってもよい。
前者の場合、前記電解液循環手段を用いて前記電解液を前記スリーブ部材の中空円内を循環させ、発生するスラッジを除去する方法を採ることが望ましい。この電解液循環手段はポンプ、電解液タンク、スラッジ除去装置からなり、前記円弧状電極と前記チャックとにパイプを介して接続されている。
以下、図を用いて、本発明の円弧状電極、これを用いたスリーブ部材の溝加工方法及びその装置を説明する。なお、以下の実施例においては、スリーブ部材はモータの動圧流体軸受けに加工されるものであり、そのスリーブ部材の内周面にヘリングボーン状の動圧流体溝を形成する例を採り上げて説明する。
図1は本発明の一実施例のスリーブ部材の溝加工装置の構成図、図2は図1に用いて好適な第1実施例の円弧状電極を示していて、同図Aはその正面図、同図Bは同図Aの上面図、同図Cは同図Bの矢示Aから見た展開図、同図Dは同図CのB−B線上における断面図、図3は図1に示したスリーブ部材の溝加工装置を用いてスリーブ部材を加工する本発明のスリーブ部材の溝加工方法を説明するための工程図であって、各工程図の図aはスリーブ部材、電極、チャックの関係位置を示した側面図、図bは図aの上面図、図4は図3に続く工程図、図5は本発明のスリーブ部材の溝加工方法によって形成することができる各種の溝の展開パターン図、図6は本発明の第2実施例の円弧状電極を示していて、同図Aはその正面図、同図Bは同図Aの上面図、同図Cは同図Bの矢示Aから見た展開図、同図Dは同図CのB−B線上における断面図、そして図7は本発明の第3実施例の円弧状電極を示していて、同図Aはその正面図、同図Bは同図Aの上面図、同図Cは同図Bの矢示Aから見た展開図、同図Dは同図CのB−B線上における断面図である。
先ず、図1を用いて、本発明のスリーブ部材の溝加工装置の構成を説明する。図1において、符号1は全体として本発明のスリーブ部材の溝加工装置を指す。このスリーブ部材の溝加工装置1は、フレーム2、XYステージ3、Z軸駆動装置4、Z軸5、Z軸スライダ6、C軸回動装置7、回動軸8、電解液糟9、チャック10、ポンプ11、電解液タンク12、スラッジ除去装置13、パイプ14、電源15、コントローラ16、中継ボックス17、本発明の第1実施例の円弧状電極20Aなどから構成されている。
フレーム2の下端部にはXYステージ3が水平に固定されており、そのXYステージ3には側面から上面中央部にJ字状に貫通している貫通孔3aが形成されている。そしてXYステージ3の上面には電解液糟9が固定されている。この電解液糟9の底面中央部には前記貫通孔3aに合致した貫通孔9aが形成されている。電解液糟9の内部底面にチャック10が水平に固定されている。チャック10は導電性の部材で形成されており、被加工物であり、軸受けとなるスリーブ部材(以下、単に「スリーブ部材」と記す)Pが嵌合できる円形凹部10aが形成されている容器状のもので、その円形凹部10aの底面10bの中央部には前記貫通孔9aに合致する貫通孔10cが形成されている。貫通孔3a、貫通孔9a、及び貫通孔10cは1本の貫通孔に接続される。
XYステージ3をX軸方向及び又はY軸方向に調整することにより電解液糟9共々チャック10に保持されたスリーブ部材PをX軸方向及び又はY軸方向に移動させ、その中心軸を後記する円弧状電極20の中心軸に合わせることができる。
フレーム2の上端部にはZ軸駆動装置4が取り付けられていて、その下方にはZ軸5がスライドできるように支持するZ軸スライダ6がフレーム2に固定されている。Z軸5の下端にはC軸回動装置7が固定されており、その回動軸8には、後記する円弧状電極20が取り付けられている。円弧状電極20はその長軸がXYステージ3の水平面に対して垂直になるように取り付けられている。
かくしてコントローラ16の制御の下に中継ボックス17を制御することにより、Z軸駆動装置4を作動させることができ、C軸回動装置7を上下方向にスライドさせることができる。また、コントローラ16の制御の下に中継ボックス17を制御することにより、C軸回動装置7を作動させることができ、円弧状電極20を所定の角度回動させることができる。
ポンプ11の出力側のパイプ14aは円弧状電極20の要部分21a(図2B)の上端に連結されており、ポンプ11には電解液タンク12がパイプ14bを介して連結されており、電解液タンク12にはスラッジ除去装置13がパイプ14cを介して連結されており、そしてスラッジ除去装置13の入力側はパイプ14d、貫通孔3a、貫通孔9aを介してチャック10の貫通孔10cに連結されている。
かくしてポンプ11を作動させることにより、電解液糟9中の電解液Lはスラッジ除去装置13に環流し、ここで電解液L中のスラッジが除去される。スラッジが除去されたクリーンな電解液Lは電解液タンク12に貯蔵され、ポンプ11で円弧状電極20の上端からスリーブ部材Pの中空円の空間S内に供給される。スラッジは後記するスリーブ部材Pの溝加工により生じる。このようにしてクリーンな電解液Lが円弧状電極20とスリーブ部材Pの内周加工面との間に循環し、供給される。
電源15は、その(+)電極をチャック10に接続し、その(−)電極を円弧状電極20に接続する。円弧状電極20Aがスリーブ部材Pの内周面に近接している時に、スイッチ15aをオンし、チャック10と円弧状電極20Aとの間に所定の電圧を印加し、電解加工を行う。円弧状電極20Aがスリーブ部材Pの中空内周面から離間する時には、スイッチ15aをオフし、チャック10と円弧状電極20Aとの間には電圧を印加しない。この電源15のオン・オフは円弧状電極20A及びXYステージ3の動きに同期してコントローラ16の制御下で中継ボックス17を制御することにより行われる。
かくして円弧状電極20Aの加工電極23が相対しているスリーブ部材Pの中空内周面の所定位置に電解加工により後記するような所定の溝を形成することができ、スリーブ部材Pの内周面の前記所定位置以外の部分には無用な電解加工が行われないようにすることができる。
次に、図2を用いて、前記の円弧状電極20の構造を説明する。この円弧状電極20Aは本発明の第1実施例の円弧状電極である。この円弧状電極20Aは、例えば、銅、タングステンカッパーなどで出来ており、同図Bに示したように、円柱の端面を約120度の扇形の角範囲でその長軸方向に分割した棒状の電極本体21からなり、その部分円周面22には、同図Cに展開図で示したように、横たわった状態のV字状加工電極23が形成されている。電極本体21の部分円周面22は加工しようとするスリーブ部材Pの中空内周面の曲率と同一の曲率なるように形成されている。この円弧状電極20Aの扇の要部分21aは円弧状に切り掛かれており、この要部分21aはパイプ14aが連結される部分である。
なお、同図Dに示したように、加工電極23のスリーブ部材Pに相対する円周面24を除いた他の部分の表面は絶縁コーティング層25で被覆されている。
スリーブ部材Pの中空円の直径が1.5mmである場合、この円弧状電極20Aの各部の寸法の一例を挙げると、電極本体21の高さ(長さ)Hは2mm、電極本体21の中心から部分円周面22までの半径Raは0.55mm、加工電極23の中心からの円周面24までの半径Rbは0.75mm、加工電極23のV字角度θは40°、加工電極23の幅Wは0.135mm、加工電極23の円周面24の部分円周面22からの幅方向の半径Rcは0.258mmである。
スリーブ部材の溝加工装置1と円弧状電極20Aとは以上説明したような構成、構造のものであるが、次に、図3及び図4を参照しながら、このスリーブ部材の溝加工装置1と円弧状電極20を用いて被加工物であるスリーブ部材Pの中空円の内周面に所定の動圧流体溝を加工、形成するスリーブ部材の溝加工方法を説明する。
加工しようとするスリーブ部材Pの材質は、例えば、ステンレススチールであって、図3Aに示したように、その中空円の直径Dが、例えば、1.5mm程度のものである。このスリーブ部材Pを、同図Bに示したように、チャック10の円形凹部10a内に嵌め込み、スリーブ部材Pの嵌め込まれた部分の外周面と円形凹部10aの内周面とを接触させる。チャック10に固定したスリーブ部材Pは完全に電解液面下に配置されるように電解液糟9内に電解液Lを満たす。
一方、円弧状電極20AをC軸回動装置7の回動軸8に垂直に取り付ける。この円弧状電極20Aの部分円周面22は前記のように加工しようとするスリーブ部材Pの中空内周面の曲率と同一の曲率の円周の一部分となっている。次に、図1、図3Abに示したように、パイプ14aの先端部を円弧状電極20Aの要部分21a(図2B)に取り付ける。
次に、図3Aに示したように、円弧状電極20Aの部分円周面22の中心がスリーブ部材Pの中空内周面の中心より偏芯量εだけ後退した位置関係になるように、XYステージ3を操作してチャック10に固定されているスリーブ部材Pの位置を微調整する。
そして、Z軸駆動装置4を作動し、円弧状電極20Aを降下させて、同図Cに示したように、円弧状電極20Aをスリーブ部材Pの中空円内に挿入する。この時の円弧状電極20Aの位置は、その中心がスリーブ部材Pの中空内周面の中心より偏芯量ε(図Ab)後退した位置である。即ち、円弧状電極20Aの加工電極23は加工しようとするスリーブ部材Pの中空内周面から離れた後退位置にある。このスリーブ部材Pと円弧状電極20Aとの位置関係は図3A及び図3Bの場合も同様である。
次に、ポンプ11を作動してクリーンな電解液Lをスリーブ部材Pの中空円の空間S内に噴出、供給し、スリーブ部材Pと円弧状電極20Aとの間に供給しながら、図3Dに示したように、円弧状電極20Aの電極本体21を偏芯量εが零になる位置までスリーブ部材Pの加工しようとする中空内周面の方に移動させ、円弧状電極20Aの加工電極23をスリーブ部材Pの前記中空内周面に近接させる。そしてチャック10及び円弧状電極20Aに電源15から所定の直流電圧を印加して、所定の時間、その位置に円弧状電極20Aを留める。そうすると電源15からの直流が加工電極23から電解液Lを通じてスリーブ部材Pの中空内周面の相対する部位に流れて電解加工が行われ、加工電極23の形状に対応した、そして所定の深さの最初のV字状溝30a(図5A)を形成する。なお、図3Dでは円弧状電極20Aの加工電極23がスリーブ部材Pの中空内周面に接触しているように描かれているが、実際には極僅かな間隙、たとえば加工条件によるが、0.1mm程度の間隙が開いている。
次に、電源15のスイッチ15aを切り、そしてコントローラ16の制御の下に、XYステージ3をX軸方向或いはY軸方向に微細に作動させて、スリーブ部材Pの加工内周面から直径方向に円弧状電極20Aを最大偏芯量ε後退させ、続いてC軸回動装置7を作動させて、図3Dの状態から円弧状電極20Aを、図4Aに示したように、所定の回動角度αだけ回動させ、その後、再度、XYステージ3を作動させて円弧状電極20Aを中空内周面に近接させ、その位置でスリーブ部材Pの中空内周面に最初のV字状溝30aと同様の第2番目のV字状溝30bを電解加工で形成する。
以下、このような動作を繰り返し、図5Aに示したように、スリーブ部材Pの中空内周面の一周にわたってV字状溝30が所定の間隔で形成されるまで電解加工を行う。図4Bにおける円弧状電極20Aの回動角位置は最終のV字状溝30を形成し、その形成位置から円弧状電極20Aを偏芯量εだけ後退させた状態を示している。
次に、図4Bに示した状態の位置で、図4Cに示したように、Z軸駆動装置4を作動させて円弧状電極20Aを上昇させ、スリーブ部材Pの内周面から引き上げる。そして図4Dに示したように、加工されて動圧流体軸受けとなったスリーブ部材Pをチャック10から取り出す。
スリーブ部材Pの加工中は、スリーブ部材Pと円弧状電極20Aとの間にポンプ11でクリーンな電解液Lが噴出、供給され、電解エッチングで発生したスラッジはスリーブ部材Pの中空円内の円弧状電極20Aが存在しない空間S内を自在に移動して、チャック10の底面の貫通孔10c、電解液糟9の貫通孔9a、XYステージ3の貫通孔3a及びパイプ14dを経てスラッジ除去装置13に環流し、そのスラッジ除去装置13でスラッジが除去され、そのスラッジが除去されたクリーンな電解液Lは電解液タンク12に貯蔵されて、ポンプ11によりパイプ14aを経て円弧状電極20Aの上端部から加工されているスリーブ部材Pの中空内に噴出、供給されるように構成されている。なお、電解液Lの一例としてはNaNO3(硝酸ナトリウム)を30重量%含有するものを挙げることができる。
前記の実施例では、一連の動圧流体溝30は図5Aに示したようにスリーブ部材Pの内周面に1列に形成されたものであるが、必要に応じて図5Bに示したように2列にも、図示していないが、3列にも形成できる。
一連の動圧流体溝30をスリーブ部材Pの内周面に2列に形成する場合には、図4Bにおいて第1列目の動圧流体溝30が形成され終わった後で、Z軸駆動装置4を作動して円弧状電極20Aを降下させ、そしてC軸回動装置7を作動して円弧状電極20Aを図3Dの角位置まで回動させ、以下、図4の各工程で説明したような加工を行えば、第2列目の一連の動圧流体溝30を形成することができる。
第3列目の動圧流体溝30を形成する場合も同様の一連の動作と加工を行えば、形成することができる。
前記の実施例では電極本体21に1個の加工電極23が設けられている円弧状電極20Aを用いて、動圧流体溝を1本づつ形成する方法を説明したが、電極本体21の部分円周面22の円周方向に複数の加工電極23を設けて、複数の動圧流体溝30を同時に形成する方法を採ってもよく、また、電極本体21の部分円周面22の軸方向に複数の加工電極23を設けて、図5Bに示したように、上下方向に複数の動圧流体溝30を同時に形成する方法を採っても良い。更に、電極本体21の部分円周面22の周方向及び軸方向に複数の加工電極23を設けて、図5Bに示したように、周方向及び上下方向に複数の動圧流体溝30を同時に形成する方法を採っても良い。
図3Dの電解加工工程で、コントローラ16によりC軸回動装置7を作動させて円弧状電極20Aを±δαの微細な角度の範囲で揺動させると、図5Cに示したような動圧流体溝31をスリーブ部材Pの内周面に形成することができる。このような動圧流体溝31の幅は動圧流体溝30の幅より若干広くなる。そればかりか、このように円弧状電極20Aを揺動させることにより、電解液Lを攪拌することができ、円弧状電極20Aとスリーブ部材Pとの間の電解液Lの流動性が高まり、両者間に発生したスラッジがより良く流れ易くなる。
また、図3Dの電解加工工程で、コントローラ16によりZ軸駆動装置4を作動させて円弧状電極20Aを±δzの微細な範囲で上下方向に揺動させると、図5Dに示したような動圧流体溝32をスリーブ部材Pの内周面に形成することができる。このような動圧流体溝32の幅も動圧流体溝30の幅より若干広くすることができる。そしてこの場合も、このように円弧状電極20Aを揺動させることにより、円弧状電極20Aとスリーブ部材Pとの間に発生したスラッジをより良く流すことができる。
更に図3Dの電解加工工程で、コントローラ16によりXYステージ3をX軸方向或いはY軸方向に作動させて円弧状電極20Aをスリーブ部材Pの直径方向に僅かに揺動させても、電解液Lを攪拌することができる。
なお、スラッジを含む電解液Lの環流は、前記のように円弧状電極20Aの上方からクリーンな電解液Lを噴出、供給し、チャック10の下方からスラッジを含む電解液を排出させる方法に代え、その逆に円弧状電極20Aの下方から電解液Lを噴出、供給し、その上方から排出、環流させる方法を採ってもよく、或いはそれら双方からの環流方法を採ってもよく、更に、ポンプなどで電解液Lを吸い込む方法を採ってもよい。
円弧状電極を改良することでも、電解液Lを攪拌し、前記スラッジを流し易くすることができる。その円弧状電極20Bを本発明の第2実施例として図6に示した。この円弧状電極20Bは、同図A及び同図Cに示したように、加工電極23を避けて電極本体21に複数の貫通孔26を形成したものである。
このような複数の貫通孔26を設けることにより、円弧状電極20Aとスリーブ部材Pとの間に発生したスラッジをより良く流すことができる。
なお、円弧状電極20Aと同一の部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
図7に本発明の第3実施例の円弧状電極を示した。この円弧状電極20Cは第2実施例の円弧状電極20Bの改良であって、同図A及び同図Cに示したように、貫通孔26の代わり、加工電極23を外して電極本体21に複数の切り込み27を入れたものである。
このような複数の切り込み27を設けることにより、円弧状電極20Aとスリーブ部材Pとの間に発生したスラッジをより一層良好に流すことができる。
なお、円弧状電極20Aと同一の部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
以上、本発明者によってなされた発明の実施例を具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのは記すまでもない。
例えば、前記の実施例では、電解液を用いて動圧流体溝を形成するスリーブ部材の溝加工方法を説明したが、本発明はこの方法に限定されるものではなく、放電加工方法によっても動圧流体溝を形成できることを付言しておく。
また、本発明においては、V字状の動圧流体溝のみならず、あらゆる種類の形状加工に対しても同様に適用することができる。
更に、前記の実施例において、スリーブ部材と円弧状電極との位置合わせはXYステージでスリーブ部材の方を微調整することによって行っているが、このスリーブ部材の方を固定し、円弧状電極の方を微調整することによっても位置合わせができる。
本発明の一実施例のスリーブ部材の溝加工装置の構成図である。 図1に用いて好適な第1実施例の円弧状電極を示していて、同図Aはその正面図、同図Bは同図Aの上面図、同図Cは同図Bの矢示Aから見た展開図、同図Dは同図CのB−B線上における断面図である。 図1に示したスリーブ部材の溝加工装置を用いてスリーブ部材を加工する本発明のスリーブ部材の溝加工方法を説明するための工程図であって、各工程図の図aはスリーブ部材、電極、チャックの関係位置を示した側面図、図bは図aの上面図である。 図3に続く工程図である。 本発明のスリーブ部材の溝加工方法によって形成することができる各種の溝の展開パターン図である。 本発明の第2実施例の円弧状電極を示していて、同図Aはその正面図、同図Bは同図Aの上面図、同図Cは同図Bの矢示Aから見た展開図、同図Dは同図CのB−B線上における断面図である。 本発明の第3実施例の円弧状電極を示していて、同図Aはその正面図、同図Bは同図Aの上面図、同図Cは同図Bの矢示Aから見た展開図、同図Dは同図CのB−B線上における断面図である。 従来技術の加工電極の拡大図であって、同図Aはその斜視図、同図Bは同図AのB−B線上の断面図である。 図8に示した加工電極を用いたスリーブ部材の溝加工工程図である。
符号の説明
1…本発明の一実施例のスリーブ部材の溝加工装置、2…フレーム、3…XYステージ、4…Z軸駆動装置、6…Z軸スライダ、7…C軸回動装置、8…回動軸、9…電解液糟、10…チャック、10a…円形凹部、11…ポンプ、12…電解液タンク、13…スラッジ除去装置、14…パイプ、15…電源、20A…本発明の第1実施例の円弧状電極、20B…本発明の第2実施例の円弧状電極、20C…本発明の第3実施例の円弧状電極、21…電極本体、22…電極本体21の部分円周面、23…加工電極、24…加工電極23の円周面、25…絶縁コーティング層、26…貫通孔、27…切り込み、30,31,32…動圧流体溝、P…スリーブ部材、S…スリーブ部材Pの中空空間

Claims (19)

  1. 断面が扇形の部分円周面で形成された電極本体の該部分円周面に、該部分円周面と同一の部分円周面の加工電極が少なくとも1個形成されていることを特徴とする円弧状電極。
  2. 前記加工電極が複数個、前記電極本体の前記部分円周面の円周方向及び又は軸線方向に所定の間隔を開けて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の円弧状電極。
  3. 前記電極本体の前記部分円周面及び前記加工電極の前記部分円周面はほぼ120度の角範囲にわたって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の円弧状電極。
  4. 前記加工電極を除く前記電極本体の内周部から前記部分円周面に貫通する貫通孔或いは切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の円弧状電極。
  5. スリーブ部材の中空円内の軸線方向の所定の位置に、該中空円の直径より小で、前記中空円の内周面の曲率と同一の曲率の部分円周面で形成され、断面が扇形の電極本体の該部分円周面に、該部分円周面と同一の部分円周面の加工電極が少なくとも1個形成されている円弧状電極を、前記スリーブ部材の内周面から後退した位置に配置する第1ステップと、
    前記後退した位置から前記スリーブ部材の中空内周面に前記円弧状電極の前記加工電極を近接させた時に、前記中空内周面に溝を加工する第2ステップと
    を含むスリーブ部材の溝加工方法。
  6. スリーブ部材の中空円内の軸線方向の所定の位置に、該中空円の直径より小で、前記中空円の内周面の曲率と同一の曲率の部分円周面で形成され、断面が扇形の電極本体の該部分円周面に、該部分円周面と同一の部分円周面の加工電極が少なくとも1個形成されている円弧状電極を、前記スリーブ部材の内周面から後退した状態で挿入する第1ステップと、
    その後、該円弧状電極の前記加工電極を前記スリーブ部材の前記内周面に近接させる第2ステップと、
    前記スリーブ部材及び前記円弧状電極に所定の電圧を印加して前記スリーブ部材の内周面に前記円弧状電極の前記加工電極の形状に対応した所定の深さの最初の溝を形成する第3ステップと、
    その後、前記円弧状電極を前記スリーブ部材の前記中空円の前記内周面から前記第1ステップの挿入位置まで後退させる第4ステップと、
    更にその後、前記円弧状電極を所定の角度回動する第5ステップと、
    前記円弧状電極が前記第5ステップにより回動した回動位置で前記円弧状電極を前記スリーブ部材の内周面に近接させ、前記第3ステップにより形成された前記最初の溝と同様の後続の溝を形成する第6ステップと、
    その後、前記第4ステップ乃至第6ステップを所定回数繰り返し行い、前記最初及び後続の溝と同一の更に後続の溝を形成して前記スリーブ部材の前記中空円の内周面全周に均一な間隔で溝を形成し終える第7ステップと、
    その後、前記円弧状電極を前記スリーブ部材の前記中空円の前記内周面から前記第1ステップの挿入位置まで後退させる第8ステップと、
    その後、前記円弧状電極を溝加工済みの前記スリーブ部材から抜き出す第9ステップと
    を含むスリーブ部材の溝加工方法。
  7. 前記円弧状電極が前記スリーブ部材の前記内周面に近接した時に、前記円弧状電極と前記スリーブ部材との間に電圧を印加することを特徴とする請求項6に記載のスリーブ部材の溝加工方法。
  8. 前記円弧状電極が前記スリーブ部材の前記内周面に近接した状態の時に、前記円弧状電極を、その軸線方向に僅かに揺動させることを特徴とする請求項6に記載のスリーブ部材の溝加工方法。
  9. 前記円弧状電極が前記スリーブ部材の前記内周面に近接した状態の時に、前記円弧状電極を、その円周方向に僅かに揺動させることを特徴とする請求項6に記載のスリーブ部材の溝加工方法。
  10. 前記円弧状電極が前記スリーブ部材の前記内周面に近接した状態の時に、前記円弧状電極を、前記スリーブ部材の直径方向に僅かに揺動させることを特徴とする請求項6に記載のスリーブ部材の溝加工方法。
  11. 前記溝の形成は電解液中で行われることを特徴とする請求項6、請求項7、請求項8、請求項9または請求項10に記載のスリーブ部材の溝加工方法。
  12. 少なくとも前記溝の形成中は前記電解液を前記円弧状電極の上から下に、或いは前記円弧状電極の下方から上方に一方向に循環させ、或いは前記円弧状電極の上方及び下方から交互に供給させながら行われることを特徴とする請求項11に記載のスリーブ部材の溝加工方法。
  13. 前記溝の形成は放電加工で行われることを特徴とする請求項6、請求項7、請求項8、請求項9または請求項10に記載のスリーブ部材の溝加工方法。
  14. スリーブ部材を垂直に保持し、一方の電極となるチャックと、
    前記スリーブ部材の上方開口部から挿入され、断面が扇形で、前記スリーブ部材の内周面の曲率と同一の曲率の部分円周面で形成された電極本体の該部分円周面に、該部分円周面と同一の部分円周面の加工電極が少なくとも1個形成されている円弧状電極と、
    該円弧状電極を前記チャックに保持されたスリーブ部材の内部の軸方向の所定位置に移動させるZ軸方向駆動手段と、
    前記スリーブ部材の内部の軸方向の前記所定位置において、該所定位置から前記スリーブ部材の内周面に近接した位置へ、そしてその逆方向に前記円弧状電極を移動させるX軸及び或いはY軸方向駆動手段と、
    前記円弧状電極を所定の角度回動させる回動手段と、
    前記円弧状電極が前記スリーブ部材の内周面に近接した時に、前記チャックと前記円弧状電極との間に所定の電圧を印加できる電源装置と
    を備えて構成されていることを特徴とするスリーブ部材の溝加工装置。
  15. 前記Z軸駆動手段は前記円弧状電極が前記スリーブ部材の中空内周面に近接した時に、その円弧状電極を前記スリーブ部材の軸方向に微細に揺動させる第1揺動手段を備えていることを特徴とする請求項14に記載のスリーブ部材の溝加工装置。
  16. 前記回動手段は前記円弧状電極が前記スリーブ部材の中空内周面に近接した時に、その円弧状電極を前記スリーブ部材の内周方向に微細に揺動させる第2揺動手段を備えていることを特徴とする請求項14に記載のスリーブ部材の溝加工装置。
  17. 前記X軸及び或いはY軸方向駆動手段は前記円弧状電極が前記スリーブ部材の中空内周面に近接した時に、その円弧状電極を前記スリーブ部材の直径方向に微細に揺動させる第3揺動手段を備えていることを特徴とする請求項14に記載のスリーブ部材の溝加工装置。
  18. 前記チャックと該チャックに保持された前記スリーブ部材とを電解液中に浸すための電解液糟を備えていることを特徴とする請求項14、請求項15、請求項16、または請求項17に記載のスリーブ部材の溝加工装置。
  19. 前記電解液を前記スリーブ部材の中空円内を循環させ、発生するスラッジを除去する電解液循環手段を備えていることを特徴とする請求項18に記載のスリーブ部材の溝加工装置。
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