JP2005310943A - 窒化物半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】再成長工程を有し、かつ再成長界面がp型窒化物半導体から構成される窒化物半導体素子において、従来は再成長界面でp型ドーパント減少による電位障壁が形成され、窒化物半導体素子の電気的特性が劣化するという課題があった。
【解決手段】基板上に結晶成長で得られる第1のp型窒化物半導体層と、第1の窒化物半導体層上に別の結晶成長からなるp型窒化物半導体層2とを有しており、第1と第2の窒化物半導体層の界面近傍がp型の導電性を有するようにする。かかる構造とすることにより、再成長界面での電位障壁が低減され、窒化物半導体素子の電気的特性が向上する。
【選択図】図1
【解決手段】基板上に結晶成長で得られる第1のp型窒化物半導体層と、第1の窒化物半導体層上に別の結晶成長からなるp型窒化物半導体層2とを有しており、第1と第2の窒化物半導体層の界面近傍がp型の導電性を有するようにする。かかる構造とすることにより、再成長界面での電位障壁が低減され、窒化物半導体素子の電気的特性が向上する。
【選択図】図1
Description
本発明は、青紫色レーザや高速トランジスタに用いられる窒化物半導体装置に関する。
高密度光ディスク用の光源として、赤色域や赤外域の光に比べ、光ディスク上での集光スポット系を小さくすることが可能な短波長域で発光し、光ディスクの記録密度向上に有効な青紫色域のレーザ光源が要望されている。現在、青紫色域のレーザ光を実現するために、窒化ガリウム等のIII族窒化物半導体(以下、単に窒化物半導体という)を用いた半導体レーザの開発が行われている。
窒化物半導体を用いたレーザ構造として、例えば以下に示す特許文献1〜3に記載されたものが従来知られている。それらを図9(a)〜(d)に示す。
図9(a)はサファイア基板101上に低温成長バッファ層102、n−AlGaNクラッド層103、n−GaNガイド層104、InGaNからなる多重量子井戸(Multi Quantum Well、以下MQWという)活性層105、p−AlGaNガイド層106、p−AlGaNクラッド層107、p−GaNコンタクト層108が1回の成長により順次形成されている。導波路構造としてはエピタキシャル成長層上に凸部、いわゆるリッジ構造を形成し、例えばSiO2などの絶縁膜113とp−AlGaNクラッド層107の屈折率差にて光を閉じ込め、レーザ発振を実現している(特許文献1参照)。
図9(b)はサファイア基板101、低温成長バッファ層102、n−AlGaNクラッド層103、n−GaNガイド層104、InGaNからなるMQW活性層105、p−AlGaNガイド層110および111、n―AlGaNブロック層112、p−AlGaNクラッド層107、p−GaNコンタクト層108から構成されている。電流はn−AlGaNブロック層112部は流れず、p−AlGaNガイド層111部のみを流れる。また、n−AlGaNブロック層112とp−AlGaNガイド層111との屈折率差で光閉じ込めを行っている。この構造は、2回の成長で形成され、p−AlGaNガイド層110とp−AlGaNガイド層111の界面、およびn−AlGaNブロック層112とp−AlGaNガイド層111の界面が再成長界面となる(特許文献2参照)。
図9(c)はサファイア基板101、低温成長バッファ層102、n−AlGaNクラッド層103、n−GaNガイド層104、InGaNからなるMQW活性層105、p−AlGaNガイド層106、p−AlGaNクラッド層107、p−GaNコンタクト層108、n−AlGaNブロック層112から構成されている。電流はp−AlGaNクラッド層107を流れて、n−AlGaNブロック層112は流れない構造となっている。また、n−AlGaNブロック層112とp−AlGaNクラッド層107との屈折率差で光閉じ込めを行っている。この構造は、3回の成長で形成されており、p−GaNガイド層106とn−AlGaNブロック層112との界面が1回目と2回目の再成長界面、p−AlGaNクラッド層107とp−GaNコンタクト層108の界面、およびn−AlGaNブロック層112とp−GaNコンタクト層108の界面が2回目と3回目の再成長界面となる(特許文献3参照)。
図9(c)はサファイア基板101、低温成長バッファ層102、n−AlGaNクラッド層103、n−GaNガイド層104、InGaNからなるMQW活性層105、p−AlGaNガイド層106、p−AlGaNクラッド層107、p−GaNコンタクト層108、n−AlGaNブロック層112から構成されている。電流はp−AlGaNクラッド層107を流れて、n−AlGaNブロック層112は流れない構造となっている。また、n−AlGaNブロック層112とp−AlGaNクラッド層107との屈折率差で光閉じ込めを行っている。この構造は、3回の成長で形成されており、p−GaNガイド層106とn−AlGaNブロック層112との界面が1回目と2回目の再成長界面、p−AlGaNクラッド層107とp−GaNコンタクト層108の界面、およびn−AlGaNブロック層112とp−GaNコンタクト層108の界面が2回目と3回目の再成長界面となる(特許文献3参照)。
図9(d)はサファイア基板101、低温成長バッファ層102、n−AlGaNクラッド層103、n−GaNガイド層104、InGaNからなるMQW活性層105、p−AlGaNガイド層106、p−AlGaNクラッド層107、p−GaNコンタクト層108、SiO2膜109から構成されている。光の閉じ込めはp−AlGaNクラッド層107とSiO2膜109との屈折率差で行っている。この構造は2回の成長で形成され、p−GaNガイド層106とp−AlGaNクラッド層107の界面が再成長界面となる(特許文献4参照)。
特開2002−261033号公報
特開平8−97507号公報
特開平11−40893号公報
特開2000−58981号公報
上述したように図9(a)では、例えばSiO2などの絶縁膜113とp−AlGaNクラッド層107の屈折率差にて光を閉じ込めている。半導体レーザでは、活性層から光閉じ込めを行うために屈折率が変化するまでの距離Lが特性に非常に大きく影響する。この構造においては、p−GaNコンタクト層108まで成膜した後に、エッチングで凸形状を形成するため、距離Lはそのエッチング量に制御されることになるが、この制御が非常に困難で、エッチング量がばらつく、すなわち距離Lがばらつくという問題があり、デバイス特性が安定しないという課題があった。この課題は図9(c)でも同様のことが言える。
また、図9(b)、(c)、(d)のレーザ構造は2回以上の成長工程を有し、かつ電流が流れる部分の再成長界面はp型層から形成されている。しかし、従来は再成長界面で大きい電位障壁が生じ、青紫色レーザダイオードの立ち上がり電圧が非常に大きくなるという課題があった。そのため、特定の光出力を得るための投入電力が増加し、かつ発熱が増大するという課題があった。
本発明の窒化物半導体装置は、基板の上に結晶成長してなる第1のp型窒化物半導体層と、前記第1のp型窒化物半導体層の上に、第1の窒化物半導体層とは別の結晶成長を施してなる第2のp型窒化物半導体層とを有し、第1と第2の窒化物半導体層の界面近傍がp型の導電型を有するものである。
この構成により、第1の成膜工程と第2の成膜工程との成長界面で生じる電位障壁を低減することができるので、窒化物半導体装置の電気的特性が改善する。
本発明の窒化物半導体装置は、さらに第1のp型窒化物半導体層と第2のp型窒化物半導体層の少なくともどちらか一方が、2×1019cm-3以上のp型不純物を含んでいることが好ましい。この好ましい構成によれば、第1の成膜工程と第2の成膜工程の成長界面近傍がp型の導電型を有することになる。
本発明の窒化物半導体装置は、前記窒化物半導体層がInXAlYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)からなることが好ましい。
本発明の窒化物半導体装置は、クラッド層となるn型導電型の窒化物半導体層の上に活性層となる窒化物半導体層が形成され、この窒化物半導体層の上に光ガイド層となる第1のp型導電型の窒化物半導体層が形成され、このp型導電型の窒化物半導体層上にストライプ状の窓を有し、電流ブロック層となるn型導電型の窒化物半導体層が形成され、当該ストライプ状の窓にはn型導電型の窒化物半導体層よりも屈折率の大きい第2のp型導電型の窒化物半導体層が形成されており、第1のp型導電型の窒化物半導体層および第2のp型導電型の窒化物半導体層の界面近傍がp型の導電型を有するものである。この構成により、再成長界面の電位障壁が低減されるので窒化物半導体から構成される半導体レーザの立ち上がり電圧を低減することが可能となる。
本発明の窒化物半導体装置は、さらに窒化物半導体層3および前記窒化物半導体層5の少なくともどちらか一方の不純物濃度が2×1019cm-3以上であることが好ましい。
本発明の窒化物半導体装置は、さらに窒化物半導体がInXAlYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)からなることが好ましい。
本発明の窒化物半導体装置は、さらにp型の導電型を有する第1の窒化物半導体層の、p型の導電型を有する第2の窒化物半導体層との界面部がGaNからなることが好ましい。
本発明の窒化物半導体装置は、さらにp型の導電型を有する第1の窒化物半導体層の不純物濃度が2×1019cm-3以下で、p型の導電型を有する第2の不純物濃度が2×1019cm-3以上であることが好ましい。この好ましい構成によれば、活性層に近いp−GaNガイド層のMg濃度が低くなるので、活性層へのMgの拡散が抑制され、窒化物半導体装置の信頼性が向上する。
前記不純物が2×1019cm-3以上含まれている領域が、前記窒化物半導体層3 あるいは/かつ 前記窒化物半導体層5のうち、前記窒化物半導体層3と前記窒化物半導体層5の界面を含む特定の位置であることを特徴とする。この好ましい構成によれば、Mgが高濃度にドーピングされている領域が特定の位置に限られているので、Mgによる光吸収が低減され、半導体レーザの閾値電流を低減することができる。
本発明の窒化物半導体装置は、さらに特定の位置の厚さが、当該特定の位置を含むp型の導電型を有する第1の窒化物半導体層またはp型の導電型を有する第2の窒化物半導体層の格子定数以上であることが好ましい。
本発明によれば、再成長界面を有し、かつその再成長界面がp型窒化物半導体から構成されるデバイスにおいて、再成長界面を形成するp型層のMg濃度を2×1019cm-3以上とすることにより、再成長界面での電位障壁を低減することが可能となり、デバイス特性を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、詳しく説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における窒化物半導体から構成される青紫色レーザダイオードについて、図1を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態1における窒化物半導体から構成される青紫色レーザダイオードについて、図1を参照しながら説明する。
2インチGaN基板1上に、n−GaN層2、n−Al0.06Ga0.94Nクラッド層3、n−GaNガイド層4、InGaN MQW活性層5、p−GaNガイド層6が順に形成されている。p−GaNガイド層6上にはストライプ状の窓を有するn−Al0.15Ga0.85Nブロック層7が形成されており、窓部およびn−Al0.15Ga0.85Nブロック層7上には第2のp−GaNガイド層8が形成されている。p−GaNガイド層8上にはp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9、p−GaNコンタクト層10が形成されている。なお、再成長時の下地層となるp−GaNガイド層6、再成長時に形成されるp−GaNガイド層8には3×1019cm-3のMgがドーピングされている。p−GaNコンタクト層10上にはNi系材料からなるp型電極11、GaN基板1上にはTi系材料からなるn型電極12が形成されている。なお、本実施例ではGaN基板を用いているが、サファイアやその他の基板でも良い。
また、図2に実施の形態1における窒化物半導体装置の製造方法を示す。GaN層の成長装置としてはMOVPE装置を用いる。Ga原料としてはトリメチルガリウム、Al原料としてはトリメチルアルミニウム、N原料としてはNH3を用いる。また、ドナー不純物であるSiの原料にはSiH4、キャリアガスにはH2を用いる。アクセプタ不純物であるMgの原料にはシクロペンタジエニルマグネシウムを用いる。
1回目の成長でGaN基板1上にn−GaN層2(膜厚2μm)、n−Al0.06Ga0.94Nクラッド層3(膜厚1μm)、n−GaNガイド層4(膜厚0.2μm)、InGaN MQW活性層5、p−GaNガイド層6(膜厚0.1μm)、n−Al0.15Ga0.85Nブロック層7(膜厚0.15μm)を順に形成する(図2(a))。なお、InGaN MQW活性層5からは波長405nmの光が出射される。
次にn−Al0.15Ga0.85Nブロック層7の一部をストライプ状にエッチングで除去する(図2(b))。なお、エッチングによって除去される水平方向の幅は約2.0μmである。エッチング方法としては、RIE、ECRなどのドライエッチングが適しており、エッチングガスとしては塩素系のガスを用いるのが望ましい。
ドライエッチング後、n−Al0.15Ga0.85Nブロック層7とエッチングによって露出されたp−GaNガイド層6上にp−GaNガイド層8(膜厚0.1μm)、p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9(膜厚0.5μm)、p−GaNコンタクト層10(膜厚0.1μm)の成長を順に行う(図2(c))。
成長後、窒素雰囲気中で780℃、20分間の活性化アニールを行い、p型層の低抵抗化を行う。
アニール後、p−GaNコンタクト層10上にp型電極11を形成する。p型電極材料としてはNi系材料を用い、窒素雰囲気中で650℃、30分間のシンタを行う。
その後、GaN基板1の研磨を行い、約150μm厚にする。研磨後、GaN基板1上にN型電極12を形成する。N型電極材料としてはTi系材料を用い、窒素雰囲気中で600℃、30秒間のシンタを行う(図2(d))。
N電極形成後、へき開を行うことにより、RISA(実屈折率導波)型青紫色レーザを作製することが出来る。
本実施例で作製した青紫色レーザでは、再成長界面はn−Al0.15Ga0.85Nブロック層7とp−GaNガイド層8の界面、およびp−GaNガイド層6とp−GaNガイド層8の界面である。そのうち、電流が導波する部分はp−GaNガイド層6とp−GaNガイド層8の界面であり、双方の層には3×1019cm-3のMgがドーピングされている。
Mg濃度を3×1019cm-3とした理由について以下に説明する。図3に再成長界面を構成するp−GaNガイド層のMg濃度と青紫色レーザの立ち上がり電圧の関係を示す。Mg濃度が2×1019cm-3以下の場合には、Mg濃度の減少とともに立ち上がり電圧が増加する。それに対してMg濃度が2×1019cm-3以上の場合には立ち上がり電圧が3.6〜3.8Vと低い値が得られている。
物理現象としては以下のことが考えられる。再成長界面近傍では、図4に示すように、2次イオン質量分析評価により、Mg濃度が減少することが確認されている。これは詳細は明らかではないが、プロセスでのダメージや成長初期過程に起因していると考えられる。このMg濃度の減少のため、Mg濃度が低い場合には再成長界面部のp−GaN層が高抵抗になり、真性層ライクに、あるいはn型層に反転しているのではないかと想定される。そのため、再成長界面部で電位障壁が形成され、青紫色レーザの立ち上がり電圧が大きくなると考えられる。その電位障壁が実験的にほとんどなくなるMg濃度が2×1019cm-3で、それ以上のドーピングをすることにより、良好な電気的特性が得られる。
本実施例では青紫色レーザにおける効果を示したが、再成長工程を有し、その再成長界面がp型層から形成される構造を有する窒化物半導体装置であれば、同様の効果が得られる。また、本実施例ではp―GaNガイド層6、p−GaNガイド層8とも2×1019cm-3以上のMg濃度としたが、少なくともどちらか一方のMg濃度が2×1019cm-3以上であれば電気的特性という観点からは同様の効果が得られる。
ただし、青紫色レーザにおいてはMg濃度が大きいと、Mgが活性層に拡散して信頼性が低下するということが懸念される。だから活性層に距離的に近い層であるp―GaNガイド層6のMg濃度が2×1019cm-3以下で、活性層から遠いp−GaNガイド層8が2×1019cm-3以上である方が望ましい。
また、2×1019cm-3以上Mgをドーピングをする層がp―GaNガイド層6のみ、p−GaNガイド層8のみ、p―GaNガイド層6とp−GaNガイド層8の両方のいずれの場合においても、層内の全領域を2×1019cm-3以上とする必要はなく、再成長界面近傍部のみ2×1019cm-3以上としても同様の効果が得られる。さらに、2×1019cm-3以上ドーピングする層を再成長界面近傍部のみにすることは次の点でも有利である。p型層は高濃度にするほど活性層から発生した光の吸収が大きくなる。そのため、2×1019cm-3以上不純物が含まれている高濃度層の領域が小さければ小さいほど光吸収が小さくなり、結果としてレーザ発振閾値を低減することが出来る。2×1019cm-3以上のMgドーピングを行う再成長界面近傍部の厚さは、少なくともその層の格子定数以上必要であり、これ以上の厚さであれば、上記した立ち上がり電圧低減効果が得られる。例えば、2×1019cm-3以上のMgドーピングをした層がGaNから構成されているなら、5.185Å以上あれば良い。
さらに、電流が導波する再成長界面部に関してであるが、本実施例では、再成長時に下地層となるp型層をp−AlGaNではなく、p−GaNガイド層6としている。再成長前に大気にむき出しとなる層にAlが混入していると、酸化膜が生じ、再成長後の表面モフォロジーやレーザの電気的特性が劣化する可能性がある。そこで、本実施例では再成長前の下地層をp−GaN層とすることにより、表面モフォロジーおよび電気的特性の劣化を防止している。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における窒化物半導体から構成される青紫色レーザダイオードについて、図5を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態2における窒化物半導体から構成される青紫色レーザダイオードについて、図5を参照しながら説明する。
2インチGaN基板1上に、n−GaN層2、n−Al0.06Ga0.94Nクラッド層3、n−GaNガイド層4、InGaN MQW活性層5、p−GaNガイド層6が順に形成されている。p−GaNガイド層6上にはストライプ状の窓を有するn−Al0.15Ga0.85Nブロック層7が形成されており、窓部にはp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9が形成されている。n−Al0.15Ga0.85Nブロック層7およびp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9上にはp−GaN層13、p−GaNコンタクト層10が形成されている。p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9およびp−GaN層13には3×1019cm-3のMgがドーピングされている。p−GaNコンタクト層10上にはNi系材料からなるp型電極11、GaN基板1上にはTi系材料からなるn型電極12が形成されている。なお、本実施例ではGaN基板を用いているが、サファイアやその他の基板でも良い。
また、図6に実施の形態1における窒化物半導体装置の製造方法を示す。GaN層の成長装置としてはMOVPE装置を用いる。Ga原料としてはトリメチルガリウム、Al原料としてはトリメチルアルミニウム、N原料としてはNH3を用いる。また、ドナー不純物であるSiの原料にはSiH4、キャリアガスにはH2を用いる。アクセプタ不純物であるMgの原料にはシクロペンタジエニルマグネシウムを用いる。
1回目の成長でGaN基板1上にn−GaN層2、n−Al0.06Ga0.94Nクラッド層3、n−GaNガイド層4、InGaN MQW活性層5、p−GaNガイド層6、p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9を順に形成する(図6(a))。なお、InGaN MQW活性層5からは波長405nmの光が出射される。また、p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9には3×1019cm-3のMgがドーピングされている。
次にp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9上にストライプ状の絶縁膜14を形成する(図6(b))。この絶縁膜14はエッチング時のマスクとして機能し、SiO2やSiNから構成される。続いて、ドライエッチングにより絶縁膜14で覆われていない部分のp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9を除去する(図6(c))。エッチング方法としては、RIE、ECRなどのドライエッチングが適しており、エッチングガスとしては塩素系のガスを用いるのが望ましい。なお、ストライプ状に残されたp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9の水平方向の幅は約1.5〜2.0μmである。
ドライエッチング後、ドライエッチングにより剥き出しになったp−GaNガイド層6上にn−Al0.15Ga0.85Nブロック層7の成膜を行う(図6(d))。ストライプ状のp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9上には絶縁膜14が形成されたままなので、成膜が行われない。
n−Al0.15Ga0.85Nブロック層7成膜後、絶縁膜14の除去を行い、p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9およびn−Al0.15Ga0.85Nブロック層7上にp−GaN層13、p−GaNコンタクト層10の成膜を行う(図6(e))。なお、p−GaNガイド層13には3×1019cm-3のMgがドーピングされている。
成長後、窒素雰囲気中で780℃、20分間の活性化アニールを行い、p型層の低抵抗化を行う。
アニール後、p−GaNコンタクト層10上にp型電極11を形成する。p型電極材料としてはNi系材料を用い、窒素雰囲気中で650℃、30分間のシンタを行う。
その後、GaN基板1の研磨を行い、約150μm厚にする。研磨後、GaN基板1上にN型電極12を形成する。N型電極材料としてはTi系材料を用い、窒素雰囲気中で600℃、30秒間のシンタを行う(図6(f))。
N電極形成後、チップ分離を行うことにより、青紫色レーザを作製することが出来る。
以上のように、本実施例の青紫色レーザは計3回の成長で形成される、電流導波部だけを見れば、p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9とp−GaN層13との界面が再成長界面に相当する。本実施例では、この界面を形成するp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9とp−GaN層13にP型ドーパントであるMgが3×1019cm-3ドーピングされているので、実施の形態1と同様の理由で立ち上がり電圧の低い電気的特性を得ることができる。
本実施例では、Mg濃度を3×1019cm-3としたが、実施の形態1の場合と同様にMg濃度が2×1019cm-3以上であればほぼ同様の効果が得られる。また、本実施例ではp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9とp−GaN層13の双方に3×1019cm-3以上のドーピングをしたが、どちらか一方でも同様の効果が得られる。
ただし、レーザの信頼性という観点から考慮すると、実施の形態1に記載と同じ理由により、p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9は2×1019cm-3以下のMg濃度とし、p−GaN層13を2×1019cm-3以上のMg濃度とするのが望ましい。
また、実施の形態1と同様に再成長界面近傍部にのみ高濃度のMgをドーピングしても良い。
また、本実施例では1回目の成長後の最表面層をp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9としたが、そのうえにp−GaN層の成膜を行い、p−GaN層を1回目の成長後の最表面層としても良い。そのようにすることにより、実施の形態1に記載と同様に酸化膜の形成を防止することが出来、表面モフォロジーやレーザの電気的特性を改善することが可能となる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における窒化物半導体から構成される青紫色レーザダイオードについて、図7を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態3における窒化物半導体から構成される青紫色レーザダイオードについて、図7を参照しながら説明する。
2インチGaN基板1上に、n−GaN層2、n−Al0.06Ga0.94Nクラッド層3、n−GaNガイド層4、InGaN MQW活性層5、p−GaNガイド層6が順に形成されている。p−GaNガイド層6上にはストライプ状のp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9およびp−GaNコンタクト層10が形成されている。また、p−GaNガイド層6上でp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9が形成されていない部分には絶縁膜14が形成されている。なお、p−GaNガイド層6およびp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9には3×1019cm-3のMgがドーピングされている。p−GaNコンタクト層10および絶縁膜14上にはNi系材料からなるp型電極11、GaN基板1上にはTi系材料からなるn型電極12が形成されている。なお、本実施例ではGaN基板を用いているが、サファイアやその他の基板でも良い。
また、図8に実施の形態3における窒化物半導体装置の製造方法を示す。GaN層の成長装置としてはMOVPE装置を用いる。Ga原料としてはトリメチルガリウム、Al原料としてはトリメチルアルミニウム、N原料としてはNH3を用いる。また、ドナー不純物であるSiの原料にはSiH4、キャリアガスにはH2を用いる。アクセプタ不純物であるMgの原料にはシクロペンタジエニルマグネシウムを用いる。
1回目の成長でGaN基板1上にn−GaN層2、n−Al0.06Ga0.94Nクラッド層3、n−GaNガイド層4、InGaN MQW活性層5、p−GaNガイド層6まで成膜を行う。(図8(a))。なお、InGaN MQW活性層5からは波長405nmの光が出射される。また、p−GaNガイド層6には3×1019cm-3のMgがドーピングされている。
次にp−GaNガイド層6上にストライプ状の窓部を有する絶縁膜14を形成する(図8(b))。
絶縁膜14を形成後、2回目の成長でp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9およびp−GaNコンタクト層10の成膜を行う(図8(c))。p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9は絶縁膜14で覆われていない部分でのみ成膜が生じるため、p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9はストライプ状となる。
成長後、窒素雰囲気中で780℃、20分間の活性化アニールを行い、p型層の低抵抗化を行う。
アニール後、p−GaNコンタクト層10上にp型電極11を形成する。p型電極材料としてはNi系材料を用い、窒素雰囲気中で650℃、30分間のシンタを行う。
その後、GaN基板1の研磨を行い、約150μm厚にする。研磨後、GaN基板1上にN型電極12を形成する。N型電極材料としてはTi系材料を用い、窒素雰囲気中で600℃、30秒間のシンタを行う(図8(d))。
N電極形成後、チップ分離を行うことにより、青紫色レーザを作製することが出来る。
以上のように、本実施例の青紫色レーザは計2回の成長で形成され、p−GaNガイド層6とp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9の界面が再成長界面となる。本実施例では、この界面を形成するp−GaNガイド層6とp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9にP型ドーパントであるMgが3×1019cm-3ドーピングされているので、立ち上がり電圧の低い電気的特性を得ることができる。なお、本実施例ではMg濃度を3×1019cm-3としたが、実施の形態1の場合と同様にMg濃度が2×1019cm-3以上であればほぼ同様の効果が得られる。 また、本実施例ではp−GaNガイド層6とp−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9に3×1019cm-3のドーピングを注入したが、どちらか一方でも同様の効果が得られる。ただし、レーザの信頼性という観点から考慮すると、実施の形態1に記載と同じ理由により、p−GaNガイド層6は低濃度のMg濃度とし、p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層9を2×1019cm-3以上のMg濃度とするのが望ましい。また、実施の形態1と同様に再成長界面近傍部にのみ高濃度のMgをドーピングしても良い。
1 GaN基板
2 n−GaN層
3 n−Al0.06Ga0.94Nクラッド層
4 n−GaNガイド層
5 InGaN MQW活性層
6 p―GaNガイド層
7 n−Al0.15Ga0.85Nブロック層
8 p−GaNガイド層
9 p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層
10 p−GaNコンタクト層
11 p型電極
12 n型電極
13 p−GaN層
14 絶縁膜
2 n−GaN層
3 n−Al0.06Ga0.94Nクラッド層
4 n−GaNガイド層
5 InGaN MQW活性層
6 p―GaNガイド層
7 n−Al0.15Ga0.85Nブロック層
8 p−GaNガイド層
9 p−Al0.06Ga0.94Nクラッド層
10 p−GaNコンタクト層
11 p型電極
12 n型電極
13 p−GaN層
14 絶縁膜
Claims (10)
- 基板の上に結晶成長してなる第1のp型窒化物半導体層と、前記第1のp型窒化物半導体層の上に、第1の窒化物半導体層とは別の結晶成長を施してなる第2のp型窒化物半導体層とを有し、第1と第2の窒化物半導体層の界面近傍がp型の導電型を有することを特徴とする窒化物半導体装置。
- 前記第1のp型窒化物半導体層と前記第2のp型窒化物半導体層の少なくともどちらか一方が、2×1019cm-3以上のp型不純物を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体装置。
- 前記窒化物半導体層がInXAlYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)からなることを特徴とする請求項1、2に記載の窒化物半導体装置。
- クラッド層となるn型導電型の窒化物半導体層1の上に活性層となる窒化物半導体層2が形成され、前記窒化物半導体層2の上に光ガイド層となるp型導電型の窒化物半導体層3が形成され、前記窒化物半導体層3上にストライプ状の窓を有し、電流ブロック層となるn型導電型の窒化物半導体層4が形成され、前記ストライプ状の窓には前記窒化物半導体層4よりも屈折率の大きいp型導電型の窒化物半導体層5が形成されており、前記窒化物半導体層3および前記窒化物半導体層5の界面近傍がp型の導電型を有することを特徴とする窒化物半導体装置。
- 前記窒化物半導体層3および前記窒化物半導体層5の少なくともどちらか一方の不純物濃度が2×1019cm-3以上であることを特徴とする請求項4に記載の窒化物半導体装置。
- 前記窒化物半導体1、2、3、4、5がInXAlYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)からなることを特徴とする請求項4、5に記載の窒化物半導体装置。
- 前記窒化物半導体層3の前記窒化物半導体層5との界面部がGaNからなることを特徴とする請求項4、5、6に記載の窒化物半導体装置。
- 前記窒化物半導体層3の不純物濃度が2×1019cm-3以下で、前記窒化物半導体層5の不純物濃度が2×1019cm-3以上であることを特徴とする請求項4、5、6、7に記載の窒化物半導体装置。
- 前記不純物が2×1019cm-3以上含まれている領域が、前記窒化物半導体層3 あるいは/かつ 前記窒化物半導体層5のうち、前記窒化物半導体層3と前記窒化物半導体層5の界面を含む特定の位置であることを特徴とする請求項4、5、6、7、8に記載の窒化物半導体装置。
- 前記特定の位置の厚さが、前記特定の位置を含む前記窒化物半導体層3 あるいは/かつ 前記窒化物半導体層5の格子定数以上であることを特徴とする請求項9に記載の窒化物半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004123964A JP2005310943A (ja) | 2004-04-20 | 2004-04-20 | 窒化物半導体装置 |
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JP2004123964A JP2005310943A (ja) | 2004-04-20 | 2004-04-20 | 窒化物半導体装置 |
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JP2004123964A Withdrawn JP2005310943A (ja) | 2004-04-20 | 2004-04-20 | 窒化物半導体装置 |
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JP (1) | JP2005310943A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013030505A (ja) * | 2011-07-26 | 2013-02-07 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Iii族窒化物半導体レーザ素子 |
-
2004
- 2004-04-20 JP JP2004123964A patent/JP2005310943A/ja not_active Withdrawn
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