JP2005310576A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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正範 三浦
Masatoshi Kitagawa
雅俊 北川
Yukihiro Morita
幸弘 森田
Shinichiro Hashimoto
伸一郎 橋本
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Abstract

【課題】二層目配線として一層目配線と重なりを持たない透明ではない配線を形成すると、それによる遮光で輝度が小さくなる。
【解決手段】前面板における誘電体層に形成された、対向する方向に複数の分割された対向電極からなる一層目配線と、二層目配線の重なりを大きくすることで遮光の影響を小さくすることができ、また開口率減少を小さくでき、全面点灯電圧を低電圧化することができる高品質表示のプラズマディスプレイパネルを得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、気体放電からの放射を利用したプラズマディスプレイ(気体放電表示)パネルに関し、その画質向上のための放電セル構造に関するものである。
従来の気体放電からの放射を利用した平面表示装置として、プラズマディスプレイ装置(以下、PDPと記す)の商品化が図られている。PDPには直流型(DC型)と交流型(AC型)があるが、大型表示装置として現時点ではAC型PDPがより高い技術的ポテンシャルを持つ。さらに、AC型の中でも特に寿命特性のすぐれた面放電型PDPが商品としての主流になっている。
図4は、従来の面放電型AC型PDPの構造を示す断面斜視概念図である。図4において、前面板2と背面板3の2枚のガラス基板を重ね合わせて周辺を気密封着した発光板容囲器からなり、前面板2の内表面には各放電セル1つ当たりに走査(スキャン)電極4および維持(サステイン)電極5とが設けられている。さらに、誘電体層10と保護膜層11が設けられ、他方の背面板3の内表面には、各放電セル1つ当たりに走査電極4および維持電極5に直交して配置されているデータ(アドレス)電極12と、さらにその上には誘電体層13、隔壁14および蛍光体層15が設けられている。発光板容囲器の内部には放電ガス16として希ガスのキセノン・ネオンあるいはキセノン・ヘリウムなどの混合ガスが封入されている。
ここで、表示するために直接発光させているのは、前面板2上の走査電極4と維持電極5によってであり、データ電極12は放電表示単位である放電セル1を選択するための電極であり、表示発光には直接寄与していない。放電単位である放電セル1を複数個マトリックス状に配列し、プラズマディスプレイ装置を形成している。プラズマディスプレイ装置には、図4では省略しているが、放電セルをマトリックス状に駆動する駆動回路やこれらを制御する制御回路などが備わっている。
上記従来のAC型PDPは、3つの動作期間(図示省略)、つまり(1)全表示セルを初期化状態にする初期化期間、(2)各放電セルをアドレスし、各セルへ入力データに対応した表示状態を選択・入力していくデータの書き込み期間、(3)表示状態にあるセルを表示発光させる維持放電期間とから構成されるアドレス・表示分離駆動方式により、駆動表示されている。
上記PDPの従来の技術では、プラズマディスプレイパネルの発光効率を向上させるために、誘電体層の実質的な厚さを放電セル内で変化させようと、維持電極が対向する箇所の誘電体層の膜厚を最も薄くする構造や、二層目配線をAgで形成してメインギャップを小さくする構造が提案されているが、良好なプラズマディスプレイパネルを得ることが困難であった。
特開2002−42664号公報 特開2002−134030号公報
特許文献1の従来の技術では、複数の層からなる一層目配線及び二層目配線をそれぞれ形成し、上層に位置する二層目配線の上に上部誘電体層を形成し、面放電電極対上の誘電体層の膜厚を薄くすることにより、低い放電維持電圧を保ち、且つ、高い発光効率を得ることができる。しかしながら、この構造のプラズマディスプレイパネルでは、金属あるいは金属微粒子を主成分とする導体からなる二層目配線の遮光による影響が大きく、輝度低下が問題となっている。
本発明のプラズマディスプレイパネルは、前記課題を解決するために、誘電体で覆われた複数の対向電極が配設された第1の基板と、複数のデータ電極と蛍光体層が配設された第2の基板が、隔壁を介して、前記対向電極と前記データ電極が相対して対向配設され、前記隔壁に沿って内部にガス媒体が封入された複数の放電空間が形成されてなるプラズマディスプレイパネルであって、第1の基板に形成された対向電極は、維持放電を生じさせる走査電極、維持電極がそれぞれ対向する方向に複数に分割された電極であり、誘電体層の厚さ方向で異なる位置に他の一対の電極が形成されていることを特徴とする。
また、前記分割された走査電極、維持電極の少なくとも一部と前記他の一対の電極とが誘電体の膜厚方向に対して平面的に重なりを持つことを特徴とする。
すなわち、本発明のプラズマディスプレイパネルによれば、透明電極を持たない電極構成に対して他の一対の電極からなる二層目配線を導入し、走査電極、維持電極からなる一層目配線との重なりを大きくすることで、二層目配線による遮光の影響を少なくすることができ、開口率減少を小さくし、輝度低下がなく、画質及び効率を向上できるプラズマディスプレイパネルとすることができる。
また、本発明のプラズマディスプレイによれば、一層目配線と二層目配線との重なりを多く持たせ、走査電極、維持電極を構成する複数に分割された配線のうち、互いに最も近接する配線と平面的に重なりを持つ構造で導通させ、二層目配線の間隔をより狭くすることで、放電開始電圧を低く抑えることができ、高Xe化に対応できる。これにより、消費電力の低いプラズマディスプレイを得ることができる。また、耐圧の低いドライバICを使用することができ、コストを削減できる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルによれば、二層目配線を一層目配線の最も離れた位置に形成する。この構造であれば、放電が隣接セルへ近づくのを防ぐことができるため、クロストークを減らすことができる。また、放電ばらつきを小さくすることもできる。
さらに、二層目配線をフローティングにすることで、容量が下がり、無効電力を低減することができる。
本発明のプラズマディスプレイパネルによれば、一対の電極配線幅を、走査電極、維持電極を構成する配線の幅よりも狭くしている。これによって、二層目配線による遮光をより低減することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルによれば、二層目配線を走査電極、維持電極を形成している導電体と同じ材料の導電体で形成する。これによって、製造コストを低下でき、また誘電体の色付き制御が容易となる。
以上のように、本発明のプラズマディスプレイパネルは、前記課題を回避するため、透明電極を持たない電極構成に対して二層目配線を形成した。そして、一層目配線と二層目配線との重なりを多く持たせることで、開口率の影響が少なくなり、輝度低下がなく、画質向上、効率向上を簡易なプロセスにより低コストで製造できる。
最初に、PDPの放電における開口率減少を小さくし、輝度低下がなく、画質及び効率を向上し、PDPの表示を良好にするための技術を、図面を用いて説明する。
図2は、本発明に関連する一層目配線と二層目配線との重なりを多く持たせた構成を示す概念図である。放電セル1において、少なくとも前面板2に形成された一層目配線4a〜4c及び5a〜5cと同じく前面板2に形成された二層目配線17a、17bが、放電ガス16内に対して重なりを多く持つ構成とし、開口率減少を小さくしている。これによって、輝度低下を制御しつつ、二層目配線による放電制御を可能とし、輝度低下がなく、画質及び効率を向上することができる。
上述した課題を解決するために、以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1のPDPの構成を示す断面斜視概念図である。図1において、PDPパネル101は、前面板2と背面板3の2枚のガラス基板を重ね合わせて周辺を気密封着したものからなる。前面板2の内表面には各放電セル1つ当たりに走査(スキャン)電極4および維持(サステイン)電極5とが設けられている。さらに、誘電体層10と保護膜層11が設けられ、誘電体層10の少なくとも中間位置に二層目配線17a、17bが設けられている。走査電極4、維持電極5、及び二層目配線17a、17bには、Cr−Cu−Cr、金(Au)、Ag(銀)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)やこれらの組み合わせも必要に応じて使用できる。他方の背面板3の内表面には、各放電セル1つ当たりに走査電極4および維持電極5に直交して配置されているデータ(アドレス)電極12と、さらに誘電体層13、隔壁14および蛍光体層15が設けられている。PDPパネル101の内部には放電ガス16として希ガスのキセノン・ネオンあるいはキセノン・ヘリウムなどの混合ガスが封入されている。
次に、背面板3の形成方法についてさらに詳しく説明する。他方の背面板3の内表面には、各放電セル1つ当たり、上記前面板2に設けた走査電極4および維持電極5に直交して、Cr−Cu−Crなどから形成した第3の電極であるデータ(アドレス)電極12を配列する。上記電極には、他の電極材料として、金(Au)、Ag(銀)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)やこれらの組み合わせも必要に応じて使用できる。
さらに、背面板3の内表面には低融点ガラスの誘電体層13、鉛ガラスの隔壁14を形成する。隔壁14は、ここでは材料として鉛ガラスを使用して塗布焼成し、放電セルの複数個の配列を列方向にストライプ状に仕切る所定のパターンで、サンドブラスト法やフォトリソ法によりリブ形状に形成する。隔壁14の頂部は焼成した鉛ガラスの平面を保ち、ほぼ平坦状となっている。そして、赤、緑、青発光の各蛍光体層15として、(Y、Gd)BO:Eu、ZnSiO:MnおよびBaMgAl1424:Euなどの3色の蛍光体を使用する。このように隔壁14をパターン状に形成した背面板3に対して、上記蛍光体色毎に印刷塗布、焼成工程を通して、隔壁14側面と誘電体層13の表面に蛍光体層15を形成する。
次に、放電セル単位の構成図によって実施の形態1をさらに詳しく説明する。図2は、本発明の実施の形態1である放電セル構成を示す断面図である。図1と同じ構成のものは同じ参照番号を付与している。図2の放電セル1において、誘電体層10の少なくとも中間に位置し、一層目配線4a〜4c及び5a〜5cの少なくともひとつと重なりを大きく持つように、簡便な製造方法により、二層目配線17a、17bを設ける。これによって、二層目配線を設けることによって生じる遮光を小さくすることができ、輝度低下を抑制しつつ、二層目配線による放電制御が可能となる。
また、図2に示す構造のように、一層目配線4a〜4c及び5a〜5cと二層目配線17a、17bとの重なりを多く持たせるため、二層目配線17a、17bが、走査電極、維持電極を構成する複数に分割された一層目配線4a〜4c及び5a〜5cの中で互いに最も近接する一層目配線と平面的に重なりを持つ構造において、二層目配線17aと一層目配線5a〜5c、及び二層目配線17bと一層目配線4a〜4cを導通させ、二層目配線の17a及び17bの間隔をより狭くすることで、放電開始電圧を低く抑えることができる。実験データでは、二層目配線17a及び17bの間隔が60μm〜80μmで、維持電圧が約20V低下する効果を得た。
このように、二層目配線17a、17bを導入することで駆動電圧を低下させることができ、消費電力の低いプラズマディスプレイを得ることができる。また、駆動電圧を低下させることで、耐圧の低いドライバICを使用することができ、コストを削減できる。
(実施の形態2)
図1は、本発明の実施の形態2のPDPの構成を示す断面斜視概念図である。なお、図1におけるPDPパネル101の構成方法は実施の形態1と同じなので省略し、実施の形態1と異なる部分についてのみ、以下に述べる。
放電セル単位の構成図によって本実施の形態2をさらに詳しく説明する。図3は、本発明の実施の形態2である放電セル構成を示す断面図である。図1と同じ構成のものは同じ参照番号を付与している。図3の放電セル1において、誘電体層10の少なくとも中間に位置し、一層目配線4a〜4c及び5a〜5cの少なくともひとつと重なりを大きく持つように、簡便な製造方法により、二層目配線17a、17bを設ける。これによって、二層目配線を設けることによって生じる遮光を小さくすることができ、輝度低下を抑制しつつ、二層目配線による放電制御が可能となる。
また、本実施の形態2におけるプラズマディスプレイパネルによれば、図3に示すように二層目配線17a及び17bが、一層目配線4a〜4c及び5a〜5cの中で互いに最も離れた位置にある走査電極(5a)、維持電極(4c)とそれぞれ平面的に重なりを持つように形成される構造では、放電が隣接セルへ近づくのを防ぐことができるため、クロストークを減らすことができ、画質を向上させることができる。また、文献(SID2000、P102)にあるように、効率向上させることができる。
しかし、この上記文献では二層目配線がITO透明電極を用いて形成されているため、真空装置を使用した形成方法となり、製造コストが高くなる。
そこで、本発明では、透明でない一層目の配線に対して平面的に重なりを持つように、透明でない二層目配線を形成する。具体的には、金(Au)、Ag(銀)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)やこれらの組み合わせも必要に応じて使用できる。一層目配線と二層目配線の平面的な重なりを大きくすることで、二層目配線として不透明な電極を用いることによって生じる輝度低下を抑制することができる。これによって、二層目配線として不透明な材料を使用することが可能となる。従って、印刷プロセスや描画といった簡易プロセスで配線を形成することができるため、製造プロセス及び製造装置の低コスト化が実現できる。また、一層目配線と同じ材料及びプロセスを用いて二層目配線を形成することで製造プロセスの簡略化ができ、製造コストを下げることができる。さらに、一層目配線と二層目配線を同じ材料で形成することで、配線材料と誘電体材料との反応による色味付きを制御しやすくなり、画面の均一性及び色再現性を向上させることができる。
また、二層目の電極形状を変えたセル構造に対して、放電ばらつきを測定した結果、二層目配線を形成していない従来構造のパネルに比べ、放電ばらつきを100ns〜300ns小さくすることができた。これにより、高速アドレスが可能となる。
このように、放電ばらつきの大きさは電極形状によって変化するのだが、本発明を用いて所望の電極形状にすることにより、放電ばらつきを制御することが可能となる。さらに、二層目配線をフローティングにすることで、容量が下がり、無効電力も低減することができる。これにより、消費電力の低いプラズマディスプレイを得ることができる。
本発明によるプラズマディスプレイパネルは、放電制御するために二層目配線を設けることによる輝度低下という問題を回避するために、一層目配線と二層目配線との重なりを多く持たせることで、開口率の影響が少なくなり、輝度低下がなく、画質向上、効率向上を簡易なプロセスによって低コストで製造でき、大型のテレビジョンやハイビジョンテレビジョンあるいは大型表示装置など、映像機器産業、宣伝機器産業、産業機器やその他の産業分野に利用することができ、その産業上の利用可能性は非常に広く且つ大きい。
本発明の実施の形態1および2のPDPの構成を示す断面斜視概念図 本発明の実施の形態1である放電セル構成を示す断面図 本発明の実施の形態2である放電セル構成を示す断面図 従来の面放電型AC型PDPの構造を示す断面斜視概念図
符号の説明
1 放電セル
2 前面板
3 背面板
4 走査電極
5 維持電極
4a,4b,4c,5a,5b,5c 一層目配線
10,13 誘電体層
11 保護膜層
12 データ電極
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電ガス
17a,17b 二層目配線
101 PDPパネル

Claims (11)

  1. 誘電体で覆われた複数の対向電極が配設された第1の基板と,複数のデータ電極と蛍光体層が配設された第2の基板が,隔壁を介して,前記対向電極と前記データ電極が相対して対向配設され,前記隔壁に沿って内部にガス媒体が封入された複数の放電空間が形成されてなるプラズマディスプレイパネルであって、
    第1の基板に形成された対向電極は,維持放電を生じさせる走査電極、維持電極がそれぞれ対向する方向に複数に分割された電極であり、誘電体層の厚さ方向で異なる位置に他の一対の電極が形成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記分割された走査電極、維持電極の少なくとも一部と前記他の一対の電極とが誘電体の膜厚方向に対して平面的に重なりを持つことを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記他の一対の電極は、前記走査電極、維持電極とそれぞれが導通していることを特徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記他の一対の電極は、前記走査電極、維持電極を構成する複数に分割された配線のうち、互いに最も近接する配線と平面的に重なりを持つことを特徴とする、
    請求項2記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記他の一対の電極は、フローティングとなるように形成されていることを特徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 前記他の一対の電極は、誘電体と保護膜の間に形成されていることを特徴とする請求項5記載のプラズマディスプレイパネル。
  7. 前記他の一対の電極は、前記走査電極、維持電極を構成する複数に分割された配線のうち、互いに最も離れた配線と平面的に重なりを持つことを特徴とする請求項5記載のプラズマディスプレイパネル。
  8. 前記他の一対の電極配線幅は、前記走査電極、維持電極を構成する配線の幅よりも、幅が狭いことを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  9. 前記走査電極、維持電極を構成する配線が含まれるように前記他の一対の電極が走査電極、維持電極と平面的に重なりを持つことを特徴とする請求項8記載のプラズマディスプレイパネル。
  10. 前記他の一対の電極は、可視光に対して透明でない導電体で形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  11. 前記他の一対の電極は、前記走査電極、維持電極を形成している導電体と同じ材料の導電体で形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007063604A1 (ja) * 2005-12-02 2007-06-07 Fujitsu Hitachi Plasma Display Limited プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイ装置

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