JP2005307939A - スロットルバルブおよびそのスロットルバルブを備えた内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 スロットルバルブに霜が堆積することや、堆積した霜によりスロットルバルブが固着することを回避して、低温時におけるスロットルバルブの正常動作を実現する。
【解決手段】 スロットルバルブ118は、スロットルバルブ118のボアの内径と同じ直径を有する円板状の弁体118Aと、弁体118Aを全閉状態から全開状態まで作動させるためのモータと、弁体118Aの開度を検知するスロットルポジションセンサと、モータの回転軸に設けられたギヤによる回転力を減速して弁体118Aの回転軸に設けられたギヤに回転力を伝達する減速ギヤとを含む。弁体118Aの表面には、高さの低い四角錐の形状の凸部または凹部を有し、この凸部または凹部により、スロットルバルブ118を通過する空気の流れが不規則に乱される。
【選択図】 図5
【解決手段】 スロットルバルブ118は、スロットルバルブ118のボアの内径と同じ直径を有する円板状の弁体118Aと、弁体118Aを全閉状態から全開状態まで作動させるためのモータと、弁体118Aの開度を検知するスロットルポジションセンサと、モータの回転軸に設けられたギヤによる回転力を減速して弁体118Aの回転軸に設けられたギヤに回転力を伝達する減速ギヤとを含む。弁体118Aの表面には、高さの低い四角錐の形状の凸部または凹部を有し、この凸部または凹部により、スロットルバルブ118を通過する空気の流れが不規則に乱される。
【選択図】 図5
Description
本発明は、スロットルバルブおよびそのスロットルバルブを備えた内燃機関の制御装置に関し、特に、低温時であっても正常に動作できる、スロットルバルブおよびそのスロットルバルブを備えた内燃機関を制御する装置に関する。
極低温の環境下においては、エンジン運転中でも、吸気管内の吸入空気に含まれる水分が凍ってスロットルバルブやその周辺部に氷結が生じることがあり、最悪の場合には、定常走行中にスロットルバルブの軸回りが氷結してスロットルバルブが開いた状態で動かなくなってしまうおそれがある。
この対策として、エンジンで温められた冷却水(温水)を利用してスロットルバルブの周辺部を温めることで、スロットルバルブの氷結を防止するようにしたものがある。しかし、このような温水加熱装置を設けると、スロットルシステムや冷却水循環システムの構成が複雑化してコストアップしてしまう。しかも、高温環境下においては、もともと高い吸気温を温水加熱装置によってさらに昇温させてしまうため、筒内空気充填量が低下したり、あるいは、ノッキング限界が低下して点火時期を遅角する必要が生じたりして、エンジンの出力低下を招くという欠点もある。
以下に示す公報は、氷結を防止するスロットルバルブを開示する。
特開平11−229909号公報(特許文献1)は、合成樹脂をマトリックスとする複合材料を用いて形成したスロットルボディの機械加工が不要であるという利点を損なうことなく、寒冷時において、氷結を防止し、貼り付きを大幅に軽減することができる樹脂製空気量制御装置を開示する。この樹脂製空気量制御装置は、合成樹脂をマトリックスとする複合材料を用いて形成したスロットルボディ及びスロットルバルブを有する樹脂製空気量制御装置において、スロットルバルブの円周先端部に対面するスロットルボディの内壁に突起を設けて成り、室温時に対する寒冷時でのスロットルバルブの開時のトルク増加量が0.4N・m以下であることを特徴とする。
この樹脂製空気量制御装置によると、スロットルバルブ円周先端部に対面するスロットルボディの内壁に突起を設けたため、スロットルボディの内壁に付着した水はスロットルバルブ円周先端部とスロットルボディの内壁により形成される空隙に滞留しにくくなり、寒冷時においても、氷結の発生を抑制することができ、スロットルバルブの円滑な作動が阻害されることが防止される。
特開2002−4893号公報(特許文献2)は、樹脂製スロットルボディに適用が可能で、簡単な構成で、しかも、確実に氷結を防止することができるスロットルボディを開示する。このスロットルボディは、吸気通路と、該吸気通路内に設けられる円板状のスロットルバルブと、該スロットルバルブを吸気通路内で回転可能に支持するスロットルシャフトとを有し、スロットルシャフトがスロットルバルブの少なくとも片面上に固定されるスロットルボディにおいて、固定されたスロットルシャフトの両側のスロットルバルブ表面を連通する連通路をスロットルシャフトをくぐるように形成してスロットルバルブ上の水滴が連通路を通ってスロットルシャフトの一方側から他方側へと流れるようにし、スロットルバルブの他方側にスロットルバルブ上を流れて集まった水滴を溜める貯留壁を立設したことを特徴とする。
このスロットルボディによると、スロットルシャフトの両側のスロットルバルブ表面を連通する連通路をスロットルシャフトをくぐるように形成してスロットルバルブ上の水滴が連通路を通ってスロットルシャフトの一方側から他方側へと流れるようにし、スロットルバルブの他方側にスロットルバルブ上を流れて集まった水滴を溜める貯留壁を立設したので、エンジン停止後にスロットルバルブに付着する水滴を貯留壁の上に集めることができ、スロットルバルブと吸気通路との間や、スロットルシャフトの軸受に水が溜まって氷結するのを防止することができる。
特開平11−324737号公報(特許文献3)は、絞り弁の周端面と吸気管の内壁との隙間で水分が氷結するのを防止した内燃機関の吸気絞り弁装置を開示する。内燃機関の吸気絞り弁装置は、吸気管と、この吸気管内に回転可能に設けられ回転角度により吸気管内を流通する空気量を調整する絞り弁とを備え、絞り弁の周辺部には空気中の水分が吸気管の内壁面に流れるのを阻止する水分阻止手段が設けられる。
この内燃機関の吸気絞り弁装置によると、吸気管と、この吸気管内に回転可能に設けられ回転角度により吸気管内を流通する空気量を調整する絞り弁とを備え、絞り弁の周辺部には空気中の水分が吸気管の内壁面に流れるのを阻止する水分阻止手段が設けられているので、吸気管の内壁面と絞り弁の端面との間で氷結して絞り弁が回転できないといった不都合を防止できる。
特開平11−229909号公報
特開2002−4893号公報
特開平11−324737号公報
ところで、PCV(Positive Crankcase Ventilation)装置(ブローバイガス還元装置)において、PCV管路を通って、ブローバイガスがスロットルバルブのさらに上流側に供給されると、以下のような問題が発生する。すなわち、ブローバイガスは高温高湿のガスである一方、低温雰囲気においては、スロットルバルブおよびスロットルボアは冷えた状態であるので、ブローバイガスがスロットルバルブおよびスロットルボアに直接当って結露が発生し、霜となって堆積する。
特に、スロットルバルブよりも下流側のPCV管路が何らかの原因で閉塞するという異常が発生した場合であって、エンジンが軽負荷であってスロットルバルブの開度が小さく、スロットルバルブのクリアランスが小さい状態になると、下流側へのPCV管路が閉塞しているので、還元された高温高湿のブローバイガスは、スロットルバルブよりも上流側のPCV管路を通って、低温雰囲気において冷えた状態のスロットルバルブに直接当たる。このとき、結露が発生し、霜となって堆積する場合があり、特に、スロットルバルブのクリアランスが小さいので、霜の堆積が少ない場合であっても、スロットルバルブが固着することや、クリアランスを霜で覆ってしまい吸気管路が閉塞すること、が発生する可能性が高くなる。
さらに詳しくは、高湿のガスが流入することによりスロットルバルブの表面に霜状の水分が付着したり、堆積した霜状の水分がスロットルバルブとスロットルボアとの間のクリアランスを塞いでしまい、回転数低下あるいはエンジンストールを招く可能性があるということである。
このような状況のもとで、特許文献1〜3のような技術を適用しても、以下のような問題がある。すなわち、特許文献1〜3に開示された技術は、いずれもが水滴や氷を対象としたものであって、氷の成長とは異なる霜の状態に着目したものではない。したがって、氷の成長や氷着を防止できても、霜が発生しているときに霜の成長を効果的に防止することができない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、低温時におけるスロットルバルブの正常動作を実現する、スロットルバルブおよびそのスロットルバルブを備えた内燃機関の制御装置を提供することである。
第1の発明に係るスロットルバルブは、内燃機関の吸気管路に設けられ、内燃機関への吸気量を制御する。このスロットルバルブは、回転軸に支持された弁体と、弁体の外形に合致する形状を有するボアと、回転軸を回転させるための回転手段と、弁体およびボアの少なくともいずれかに設けられた、スロットルバルブにおける吸気の流れが一様にならないようにするための不均一手段とを含む。
第1の発明によると、スロットルバルブの開度が略一定の状態で、スロットルバルブに結露が付き始めたり、スロットルバルブに霜が堆積し始めたりしても、不均一手段により、スロットルバルブにおける吸気の流れが一様にならないようする。スロットルバルブの開度が略一定の状態でかつ流れが均一であると、高湿のブローバイガスは同じように流れ、同じ部分に霜を堆積させる。さらにこの状態が継続されると、スロットルバルブが堆積した霜により固着したり、スロットルバルブの開度が小さくクリアランスが小さいときには吸気管路(空気通路)が閉塞したりしてしまう。ところが、スロットルバルブの開度が略一定の状態であっても不均一手段により流れが不均一にされる(たとえば、不規則な流れが発生したり、不規則な渦流が発生したりする)ので、高湿のブローバイガスは同じように流れない。そのため、同じ部分に霜を堆積させないで、スロットルバルブの異常を回避できる。その結果、低温時におけるスロットルバルブの正常動作を実現する、スロットルバルブを提供することができる。
第2の発明に係るスロットルバルブにおいては、第1の発明の構成に加えて、不均一手段は、弁体の表面および裏面の少なくともいずれかに設けられた1つ以上の凸部または凹部であるものである。
第2の発明によると、スロットルバルブの弁体(通常、多くの場合、薄板円板)の表面または裏面や表裏面に、三角錐、四角錐、円錐等の立体形状を有する凸部または凹部が1つ以上設けられる。この凸部または凹部によりスロットルバルブを流れる高湿のブローバイガスの流れが不均一にされるので、同じ部分に霜を堆積させないで、スロットルバルブの異常を回避できる。
第3の発明に係るスロットルバルブにおいては、第1の発明の構成に加えて、不均一手段は、ボアの端面に設けられた1つ以上の凸部または凹部であるものである。
第3の発明によると、スロットルバルブのボア(通常、多くの場合、中空円柱の中空部分)の端面に、三角錐、四角錐、円錐等の立体形状を有する凸部または凹部が1つ以上設けられる。この凸部または凹部によりスロットルバルブを流れる高湿のブローバイガスの流れが不均一にされるので、同じ部分に霜を堆積させないで、スロットルバルブの異常を回避できる。
第4の発明に係る内燃機関の制御装置は、内燃機関の吸気管路に設けられたスロットルバルブの開度を制御する。内燃機関の制御装置が制御するスロットルバルブは、回転軸に支持された弁体と、弁体の外形に合致する形状を有するボアと、回転軸を回転させるための回転手段と、弁体およびボアの少なくともいずれかに設けられた、スロットルバルブにおける吸気の流れが一様にならないようするための不均一手段とを含む。この内燃機関の制御装置は、スロットルバルブに霜が付着することによる、スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性を検知するための検知手段と、検知手段により、スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性が検知されると、弁体を揺動させるように、回転手段を制御するための制御手段とを含む。
第4の発明によると、検知手段により、スロットルバルブに霜が付着することによる、スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性が検知されると、スロットルバルブを揺動させる。このようにすると、不均一手段による吸入空気の流れの乱れがさらに助長されて、ブローバイガスによりスロットルバルブの弁体の表面に付着した霜状の水分がさらに成長することが抑制される。その結果、低温時におけるスロットルバルブの正常動作を実現する、内燃機関の制御装置を提供することができる。
第5の発明に係る内燃機関の制御装置においては、第4の発明の構成に加えて、検知手段は、スロットルバルブの開閉状態に対応した、内燃機関の目標状態を表わす物理量の値を第1の値として検知するための手段と、物理量の実測値を第2の値として検知するための手段と、第1の値と第2の値とを比較するための比較手段と、比較の結果に基づいて、スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性を検知するための手段を含む。
第5の発明によると、スロットルバルブに霜も堆積しておらず、霜によるスロットルバルブの固着も発生していないと、スロットルバルブが正常であるときの開閉状態に対応した、内燃機関の目標状態を表わす物理量の実測値(これは、たとえば第2の値としての流入空気量や内燃機関回転数等)は正常な値になるが、スロットルバルブに霜が堆積していたり、霜により固着していると、第2の値は正常な値でなくなる。スロットルバルブの開閉状態に対応した、内燃機関のスロットルバルブが正常な状態における目標状態を表わす物理量の値を第1の値として検知しておいて、この第1の値よりも実測値である第2の値とを比較して、たとえば、第2の値のほうが第1の値よりも低いと、スロットルバルブに霜が付着することによる、スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性を検知することができる。
第6の発明に係る内燃機関の制御装置においては、第5の発明の構成に加えて、検知手段は、比較の結果、第2の値が第1の値よりも低いときに、スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性を検知するための手段を含む。
第6の発明によると、第2の値(流入空気量や内燃機関回転数)のほうが第1の値よりも低いと、スロットルバルブに霜が付着することによる、スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性を検知することができる。すなわち、スロットルバルブに霜が堆積していたり、霜によるスロットルバルブの固着が発生していると、スロットルバルブが開くような制御信号を受けてもその開度まで開かないので、スロットルバルブが正常な状態であるときよりも流入空気量や内燃機関回転数が低くなる。また、吸気管路が閉塞状態になった場合には、スロットルバルブが開くような制御信号を受けるとその開度まで開くが、正常な状態であるときよりも流入空気量や内燃機関回転数が低くなる。これに基づいて、スロットルバルブに霜が付着したり、スロットルバルブの開度が小さくクリアランスが小さいときには吸気管路(空気通路)が閉塞したりすることによる、スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性を検知することができる。なお、スロットルの作動不良とは、スロットルバルブやその支軸に霜が付着して所望の開度が得られないこと、スロットルバルブおよびその近傍に霜が付着して、特にスロットルバルブの開度が小さくクリアランスが小さいときには吸気管路(空気通路)が閉塞すること、のいずれの場合をも含む。
第7の発明に係る内燃機関の制御装置においては、第5または6の発明の構成に加えて、物理量は、内燃機関への流入空気量であるものである。
第7の発明によると、スロットルバルブの開度に強い関連を有する流入空気量をエアフローメータで検知して、スロットルバルブに霜が付着することによる、スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性を検知することができる。
第8の発明に係る内燃機関の制御装置においては、第5または6の発明の構成に加えて、物理量は、内燃機関の回転数であるものである。
第8の発明によると、スロットルバルブの開度に強い関連を有する内燃機関回転数を回転数センサで検知して、スロットルバルブに霜が付着することによる、スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性を検知することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
図1および図2を参照して、本実施の形態に係るエンジン制御システムが制御する、PCV装置が実装されたエンジン100の断面について説明する。図1がエンジン100の軽負荷時の状態を、図2がエンジン100の高負荷時の状態を、それぞれ示している。
図1および図2を参照して、本実施の形態に係るエンジン制御システムが制御する、PCV装置が実装されたエンジン100の断面について説明する。図1がエンジン100の軽負荷時の状態を、図2がエンジン100の高負荷時の状態を、それぞれ示している。
図1および図2に示すように、このエンジン100は、主として、シリンダ104と、ピストン106と、クランクケース102と、シリンダヘッド116とから構成される。ブローバイガスは、ピストンリングとシリンダ104との隙間からクランクケース102へ漏れる混合ガスのことであって、このブローバイガスには多量の炭化水素が含まれており、かつ強酸性であるため、あまり多いとエンジンオイルの劣化やエンジン内部の錆の原因になる。また、炭化水素が含まれているため、このまま大気に解放することは環境によくない。そのため、ブローバイガスはPCV管路122A(軽負荷時)、PCV管路122AおよびPCV管路122B(高負荷時)を通して、吸気マニホールドの負圧を利用して強制的に吸気系統へ戻されることになる。このブローバイガスおよび新気の流れを矢印で示す。
吸気系にはスロットルバルブ118が設けられている。スロットルバルブ118にてエンジン100へ供給される吸気の量が調整され、吸気管112を、その量が調整された吸気が通って吸気バルブ108からエンジン100の内部の燃焼室に吸気が供給される。供給された吸気により燃料が燃焼され、排気バルブ110および排気管114を介して燃焼ガスがエンジン外部に排出される。
ピストンリングとシリンダ104との隙間で発生したブローバイガスは、シリンダヘッド内116内を通り、軽負荷時にはPCV管路122Aを通って、高負荷時にはPCV管路122AおよびPCV管路122Bを通って吸気管112へと導かれる。PCV管路122Aには、PCVバルブ123が設けられている。このPCVバルブ123は、吸気マニホールドの負圧の強さで流量を規制する流量調節弁である。すなわち、図1および図2に示すように、PCV管路122Aは、PCVバルブ123によりその流量が調節されてスロットルバルブ118の下流側にブローバイガスを還元する。PCV管路122Bは、エンジン100の高負荷時において、スロットルバルブ118の上流側にブローバイガスを還元する。
このような作動をする場合において、以下のような異常が発生した場合を想定する。下流側のPCV管路122Aが何らかの原因で閉塞するという異常が発生したとする。エンジン100が軽負荷であるとスロットルバルブ118の開度が小さく、スロットルバルブ118と吸気管112とのクリアランスが小さい状態になる。このような状態において、下流側のPCV管路122Aが閉塞すると、還元された高温高湿のブローバイガスは、PCV管路122Bを通って、低温雰囲気において冷えた状態のスロットルバルブ118に直接当って結露が発生し、霜となって堆積する場合がある。特に、このときに、スロットルバルブ118と吸気管112とのクリアランスが小さいので、霜の堆積が少ない場合であっても、スロットルバルブ118が固着することや、クリアランスを霜で覆ってしまい吸気管路が閉塞すること、が発生する可能性が高くなる。本発明は、このような問題を解決するスロットルバルブを提供する。
図3を参照して、本実施の形態に係るエンジン制御システムで制御されるエンジン100のスロットルバルブ118について説明する。
図3に示すように、このスロットルバルブ118は、スロットルバルブ118のボアの内径と同じ直径を有する円板状の弁体118Aと、弁体118Aを全閉状態(スロットル開度略0度であって弁体118Aがほぼ垂直になる状態)から全開状態(スロットル開度略90度であって弁体118Aがほぼ水平になる状態)まで作動させるためのモータ118Bと、弁体118Aの開度を検知するスロットルポジションセンサ118Cと、モータ118Bの回転軸に設けられたギヤによる回転力を減速して弁体118Aの回転軸に設けられたギヤに回転力を伝達する減速ギヤ118Dとを含む。
モータ118Bは、たとえばDCモータにより構成される。また、図3に示すように、本実施の形態に係るスロットルバルブ118は、スロットルバルブ118の弁体118Aを0度から略90度の間で回転させるために、弁体118Aの回転支軸に設けられたギヤは少なくとも略90度分の(約1/4周分の)ギヤが刻まれている。また、スロットルバルブ118は、モータ118Bによる弁体118Aを開こうとする力に反する力を発生させるリターンスプリングが設けられている。このリターンスプリングにより、スロットルバルブ118の弁体118Aは常に閉じる方向に力が作用している。モータ118Bは減速ギヤ118Dを介してこのリターンスプリングの力に抗して、スロットルバルブ118の弁体118Aを所定の開度だけ開くことになる。
図4を参照して、本実施の形態に係るエンジン制御システムの制御ブロック図について説明する。
図4に示すように、本実施の形態に係るエンジン制御システムは、エンジン100を制御する。特に、以下においては、霜の堆積を防止するスロットルバルブ118自体の構造、エンジン100への吸入空気量を制御するスロットルバルブ118の開度の制御およびスロットルバルブ118の霜による固着を防止する制御について説明する。
図4に示すように、このエンジン制御システムは、エンジン100およびスロットルバルブ118を制御するECU(Electronic Control Unit)1000と、エンジン100に吸入される吸入空気の吸気温を検知する吸気温センサ1010と、エンジン100の冷却水の水温を検知する水温センサ1020と、エンジン100の回転数を検知するエンジン回転数センサ1030と、エンジン100へ吸入される吸入空気量を検知する吸入空気量センサ1040とを含む。吸気温センサ1010、水温センサ1020、エンジン回転数センサ1030および吸入空気量センサ1040はECU1000に接続され、それぞれが検知した物理量(吸気温、水温、エンジン回転数、吸入空気量)を表わす信号をECU1000に送信する。
また、アクセルペダルの開度を検知するアクセル開度センサ1050が設けられ、ECU1000にアクセルペダルの開度を表わす信号が入力される。さらに、スロットルポジションセンサ118CからECU1000に、スロットルバルブ118の開度を表わす信号が入力される。
ECU1000から、スロットルバルブ118のモータ118Bにスロットルバルブ118の弁体118Aの開度を示す信号が出力され、モータ118Bが回転することにより減速ギヤ118Dを介して弁体118Aが所定の開度分だけ開くように制御される。
上述したように、図4に示すスロットルバルブ118の吸入空気量センサ1040側(上流側)において、ブローバイガスが供給される。このブローバイガスは高温高湿の空気であって、冷間時などにおいてスロットルバルブ118が低温であると、結露して水分を発生させる。この水分は、霜状のものである場合が多い。
ECU1000は、その内部に設けられたCPU(Central Processing Unit)および駆動回路を含む。ECU1000は、各種センサから入力されたエンジン100の状態を表わす物理量に基づいて、スロットルバルブ118が霜により固着しないようにモータ118Bに制御信号を送信してスロットルバルブ118の弁体118Aを強制的に開閉(揺動)動作させてスロットルバルブ118の異常を防止する。さらに、このような揺動動作とは別に、スロットルバルブ118自体が霜による固着を防止する構造を有する。
図5に本実施の形態に係るスロットルバルブであって、エンジン制御システムで制御されるエンジン100に設けられたスロットルバルブ118の正面図を示す。この図5は、スロットルバルブ118をその上流側から見た図である。
図5に示すように、スロットルバルブ118の弁体118Aの表面には、その上部に5個および下部に5個の合計10個の凸部(または凹部でもよい)を有する。たとえば、高さの低い四角錐である。ただし、本発明は、この四角錐の形状に限定されるものではなく、定常状態の流れを不規則に乱す機能を有する構造であれば、特にその形状および数(1つでもよい)は限定されない。さらに表面ではなく裏面に設けてもよいし、表裏面に設けてもよい。
図5のA−A断面に示すように、スロットルバルブ118の弁体118Aの表面に凸部ができる。このときの状態を、弁体118Aに平行な面から見た図を図6(A)に、弁体118Aに垂直な面から見た図を図6(B)に、それぞれ示す。図6(A)に示すように、この四角錐のまん中あたりにおいては真っ直ぐな流れがあるが、四角錐の近傍では、渦流が発生していることがわかる。この渦流は、常に同じ大きさで発生するものではなく、時間の経過とともに大きさも位置も変更してゆく。図6(B)に示すように、側面から見ても、別の平面で渦流が発生している。すなわち、この四角錐の存在により、3次元の渦が発生させることができて、スロットルバルブ118を流れる空気は、定常的な流れではなくなる。
図7に、本実施の実施の形態の変形例として、四角錐をボア側に設けらたスロットルバルブの正面図を示す。図7のB−B断面に示すように、スロットルバルブ118のボアの端面に凸部ができる。四角錐自体の形状は、本実施の形態と同じである。
本発明の変形例のように、ボア側に四角錐を設けても、この四角錐の存在により、3次元の渦が発生させることができて、スロットルバルブ118を流れる空気は、定常的な流れではなくなる。これは、前述の図6の説明と同じであるため、ここでは繰返さない。
図8に、ECU1000のメモリに記憶される、スロットル開度と流量との関係を表わすマップについて説明する。図8に示すマップは、流量特性曲線とも呼ばれ、スロットルバルブ118が正常である場合に、スロットル開度に対してどの程度の空気量が吸入空気量センサ1040により検知されるかを示すものである。
すなわち、この図8に示すマップは、スロットルバルブ118が正常に動作している場合において、スロットル開度に対して、吸入空気がどの程度が流れるかを示すマップである。
スロットルバルブ118は、スロットルバルブ118の弁体118Aやボアの摩耗、オイルなどの付着物により流量特性曲線が経時的な変化を受ける。図8に示す流量特性曲線を、このようなスロットルバルブの弁体およびボアの摩耗やオイル等の付着物の影響を考慮してスロットル開度に対する流量を算出するように学習補正するようにしてもよい。
図9を参照して、ECU1000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ECU1000は、吸気温センサ1010および水温センサ1020からエンジン100へ吸気される吸気の温度およびエンジン100の冷却水の水温を検知する。S110にて、ECU1000は、スロットルバルブ118がアイシングに至るような低温条件であるか否かを判断する。スロットルバルブ118のアイシングに至るような低温条件であると(S110にてYES)、処理はS120へ移される。もしそうでないと(S110にてNO)、処理はS150へ移される。
S120にて、ECU1000は、空気流量が、流量マップ(図8)と比較してマイナス側に規定値以下であるか否かを判断する。すなわち、吸入空気量センサ1040にて検知された吸入空気量が、現在のスロットル開度指令信号に基づいて流れるであろう流量に対してマイナス側に規定値以下まで低下しているか否かが判断される。これは、スロットルバルブ118に霜が付着することや霜が成長することによる、スロットルバルブ118の作動不良の発生または発生の可能性の有無を判断している。吸入空気量センサ1040にて検知された空気流量が図8に示すマップから算出された流量と比較してマイナス側に規定値以下まで低下していると(S120にてYES)、処理はS130へ移される。もしそうでないと(S120にてNO)、処理はS150へ移される。
S130にて、ECU1000は、アイドリング(Nポジション)開始後またはスロットルバルブ118の弁体118Aの開閉(揺動)動作の実行後、所定時間が経過したか否かを判断する。アイドリング開始後またはスロットルバルブ118の弁体118Aの開閉(揺動)動作の実行後予め定められた時間が経過していると(S130にてYES)、処理は140へ移される。もしそうでないと(S130にてNO)、処理はS100へ戻される。
S140にて、ECU1000は、スロットルバルブ118を規定開度の間で所定時間だけ開閉(揺動)動作させる。このとき、ECU1000からモータ118Bに制御信号が出力され、スロットルバルブ118の弁体118Aが開閉(揺動)動作を行なう。その後、処理はS100へ戻される。
S150にて、ECU1000は、通常制御を実行する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るエンジン制御システムの動作について説明する。
エンジン100の作動中において、吸気温センサ1010や水温センサ1020にて検知された吸気温やエンジン冷却水温が検知される(S100)。これらの温度に基づいて、スロットルバルブ118にアイシングが至るような低温条件であると判断されると(S110にてYES)、吸入空気量センサ1040にて検知された空気流量が、図8に示す流量マップと比較してマイナス側に規定値以上であるか否かが判断される(S120)。実際に吸入空気量センサ1040にて検知された空気流量が図8に示すスロットル開度から求められた流量よりもマイナス側に規定値以下であると(S120にてYES)、実際にアイシングが発生していると判断され、S130の条件を満たすとスロットルバルブ118が開閉(揺動)動作が行なわれる。
アイドリング開始後から予め定められた時間が経過しているかまたは前回のスロットルバルブ118の開閉(揺動)動作の実行後予め定められた時間が経過していると(S130にてYES)、スロットルバルブ118を規定開度の間で所定時間だけ開閉(揺動)動作させる。一方、アイドリング開始後から予め定められた時間が経過するまでや、前回のスロットルバルブ118の開閉動作の実行後から予め定められた時間が経過するまでは(S130にてNO)、スロットルバルブ118の開閉(揺動)動作は行なわれない。これは、アイドリング領域においてスロットルバルブ118を開閉(揺動)動作させると、車両の挙動に与える影響が少ないため好ましいが、これを無制限に行なうことを避けたいため、S130における処理を行なっている。
以上のようにして、本実施の形態に係るエンジン制御システムによると、スロットルバルブの表面または/およびボアの表面に、凸部または凹部を設けている。この凸部または凹部は、たとえば、四角錐であって、この存在により、3次元の渦が発生させることができて、スロットルバルブを流れる空気は、定常的な流れではなくなる。このため、流れが不均一にされる(たとえば、不規則な流れが発生したり、不規則な渦流が発生したりする)ので、高湿のブローバイガスは同じように流れない。そのため、同じ部分に霜を堆積させないので、スロットルバルブの表面における霜の堆積を回避できる。さらに、このような構造を有するスロットルバルブであってもスロットルバルブが霜により固着することを想定して以下のような制御が行なわれる。スロットルバルブが霜により固着するなどのアイシングに至るような低温条件であってかつ、スロットルバルブが霜により固着していない場合にスロットル開度に対して流れるべき流量よりも実測された流量がマイナス側に規定値以下しか流れていない場合アイシングが発生していると判断される。このような場合において、アイドリングの開始後予め定められた時間が経過していたり、前回の開閉(揺動)動作の実行後予め定められた時間が経過していると、スロットルバルブを開閉(揺動)動作させる。これにより、温度条件のみならずスロットルバルブが正常な状態における場合の流量と実際の流量とを比較してアイシングが起こっていることを検知した場合にのみスロットルバルブを開閉(揺動)動作させるようにすることができ、無駄なエネルギを使用することがなくなる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係るエンジン制御システムについて説明する。なお、本実施の形態に係るエンジン制御システムは、ECU1000で実行されるプログラムの制御構造が異なるのみであって、スロットルバルブやボアに流れを不均一にする1つ以上の凸部または凹部を有すること、その他の制御構造およびフローチャートは前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
以下、本発明の第2の実施の形態に係るエンジン制御システムについて説明する。なお、本実施の形態に係るエンジン制御システムは、ECU1000で実行されるプログラムの制御構造が異なるのみであって、スロットルバルブやボアに流れを不均一にする1つ以上の凸部または凹部を有すること、その他の制御構造およびフローチャートは前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
図10を参照して、本実施の形態に係るエンジン制御システムのECU1000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、図10に示すフローチャートの中で、前述の図9に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
S220にて、ECU1000は、エンジン回転数センサ1030にて検知された実際のエンジン回転数と、アイドリング時の目標回転数との乖離が、マイナス側に規定回転数以上あるか否かを判断する。これは、スロットルバルブ118に霜が付着することや霜が成長することによる、スロットルバルブ118の作動不良の発生または発生の可能性の有無を判断している。すなわち、スロットルバルブ118が正常に動作していれば(霜により固着していなければ)、予め設定されたアイドリング時の目標回転数になるようにスロットルバルブ118を開くような制御信号がECU1000からモータ118Bに出力され、そのような開度を目標値としてスロットルポジションセンサ118にて検知された実測値と目標値との偏差がなくなるようにフィードバック制御される。
したがって、スロットルバルブ118が正常であれば、エンジン回転数とアイドリング時の目標回転数との乖離は大きくないはずである。ところが、スロットルバルブ118が霜により固着していると、ECU1000からモータ118Bに制御信号を出力しても、その制御信号に対応する分の開度を得ることができない。したがって、エンジン100の目標回転数に対して実測されるエンジン回転数が規定回転数以上低下したものとなる。これを検知してスロットルバルブ118に霜が堆積しているものと判断して、スロットルバルブ118の開閉(揺動)動作を実行する。
以上のようにして、本実施の形態に係るエンジン制御システムにおいても、前述の第1の実施の形態と同様の作用効果を発現させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 エンジン、102 クランクケース、104 シリンダ、106 ピストン、108 吸気バルブ、110 排気バルブ、112 吸気管、114 排気管、116 シリンダヘッド、118 スロットルバルブ、118A 弁体、118B モータ、118C スロットルポジションセンサ、118D 減速ギヤ、122A,122B PCV管路、123 PCVバルブ。
Claims (8)
- 内燃機関の吸気管路に設けられ、内燃機関への吸気量を制御するスロットルバルブであって、
前記スロットルバルブは、
回転軸に支持された弁体と、
前記弁体の外形に合致する形状を有するボアと、
前記回転軸を回転させるための回転手段と、
前記弁体およびボアの少なくともいずれかに設けられた、前記スロットルバルブにおける吸気の流れが一様にならないようにするための不均一手段とを含む、スロットルバルブ。 - 前記不均一手段は、前記弁体の表面および裏面の少なくともいずれかに設けられた1つ以上の凸部または凹部である、請求項1に記載のスロットルバルブ。
- 前記不均一手段は、前記ボアの端面に設けられた1つ以上の凸部または凹部である、請求項1に記載のスロットルバルブ。
- 内燃機関の吸気管路に設けられたスロットルバルブの開度を制御する内燃機関の制御装置であって、
前記スロットルバルブは、回転軸に支持された弁体と、前記弁体の外形に合致する形状を有するボアと、前記回転軸を回転させるための回転手段と、前記弁体およびボアの少なくともいずれかに設けられた、前記スロットルバルブにおける吸気の流れが一様にならないようするための不均一手段とを含み、
前記制御装置は、
前記スロットルバルブに霜が付着することによる、前記スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性を検知するための検知手段と、
前記検知手段により、前記スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性が検知されると、前記弁体を揺動させるように、前記回転手段を制御するための制御手段とを含む、内燃機関の制御装置。 - 前記検知手段は、
前記スロットルバルブの開閉状態に対応した、内燃機関の目標状態を表わす物理量の値を第1の値として検知するための手段と、
前記物理量の実測値を第2の値として検知するための手段と、
前記第1の値と前記第2の値とを比較するための比較手段と、
前記比較の結果に基づいて、前記スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性を検知するための手段を含む、請求項4に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記検知手段は、前記比較の結果、前記第2の値が前記第1の値よりも低いときに、前記スロットルバルブの作動不良の発生または発生の可能性を検知するための手段を含む、請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記物理量は、前記内燃機関への流入空気量である、請求項5または6に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記物理量は、前記内燃機関の回転数である、請求項5または6に記載の内燃機関の制御装置。
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JP2004129725A JP2005307939A (ja) | 2004-04-26 | 2004-04-26 | スロットルバルブおよびそのスロットルバルブを備えた内燃機関の制御装置 |
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WO2008004421A1 (fr) * | 2006-06-14 | 2008-01-10 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Dispositif pour commander le chauffage du papillon des gaz d'un moteur à combustion interne |
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2004
- 2004-04-26 JP JP2004129725A patent/JP2005307939A/ja not_active Withdrawn
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