JP2005306546A - パワーアシスト装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 操作性および安全性を向上し得るパワーアシスト装置を提供する。
【解決手段】 パワーアシスト装置20では、フォースセンサ54により検出された操作者Mの操作力F およびカルマンフィルタ61a2により推定されたワークWを含めた可動部の質量m、粘性抵抗c、摩擦抵抗Fに基づいてモータ31a〜31cをインピーダンス制御するインピーダンス制御部61aと、当該操作力F に基づいてモータ31a〜31cを開ループで力制御する力制御部61bとを備え、所定の切替条件を充足した場合、切替部61cにより、インピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御と力制御部61bによる開ループの力制御とを切り替える。これにより、障害物に接触するまではインピーダンス制御部61aによりモータ31a〜31cをインピーダンス制御し、障害物に接触した後は力制御部61bによりモータ31a〜31cを開ループで力制御する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、移動または姿勢変更の対象となる物体を操作する操作者の操作力に基づいてアシスト力を発生させ、当該操作者を補助するパワーアシスト装置に関するものである。
移動または姿勢変更の対象となる物体(以下「ワーク」という。)を操作する操作者の操作力に基づいてアシスト力を発生させ、当該操作者を補助するパワーアシスト装置として、例えば、本願発明者らにより開発されたインピーダンス制御を用いたパワーアシスト装置がある(下記、特許文献1、非特許文献1等)。これらでは、操作性の向上を可能にする構成を提案している。
この種のパワーアシスト装置では、ロボットハンドに加わる荷重を計測可能なロードセルがロボットハンドに取り付けられており、このロードセルから出力されるセンサ情報に基づいて、搬送中のワークの質量を検出するほか、ワークを床等に置いた場合に加わる反力をも検出可能にしている。つまり、ロードセルを備えることで、搬送中のワークの重さを検出するだけでなく、当該ワークが床や壁等の障害物に接触しているか否かも検出できるように構成されている。
特開2003−252600号公報(第2頁〜第19頁、図1〜13) 林、加藤、池浦、中村、水谷、日本機械学会東海支部第52期総会講演会講演論文集、2003年、p.311−312
しかしながら、このような従来のパワーアシスト装置では、ロードセルを備えていることから、障害物に対するワークの接触等をも検出可能にしている反面、このような障害物への接触やロボットハンドの高速動作によって予定外の力が当該ロードセルに加わることがある。そのため、当該ロードセルを破損し易く、破損したロードセルを交換するのに要する時間やコストを考慮すると、ロードセルを備えることがメインテナンス性の低下を招き保守面の問題を発生させている。また、当該ロードセルを備えることによって装置コストの上昇をも招くというコスト面の問題も存在する。
一方、このようなロードセルによる保守面の問題やコスト面の問題を解決するため、当該ロードセルを備えない装置構成を採る考え方もある。ところが、当該ロードセルを排除すると、例えば、ワークの質量はカルマンフィルタにより推定できるものの(非特許文献1)、ワークやロボットハンドに加わる反力の推定は困難であることから、例えば、搬送中のワーク等が床等の障害物に接触しているか否かを検出し難くなる。そのため、搬送途中において障害物にワークが接触してもそれを検出できない場合には、当該障害物の存在を無視して操作者の操作力方向にアシストすることから、当該障害物やワークあるいはロボットハンドを破損し得るという安全面の問題が新たに発生する。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、操作性および安全性を向上し得るパワーアシスト装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載された請求項1のパワーアシスト装置では、移動または姿勢変更の対象となる物体を操作する操作者の操作状態を検出する操作状態検出手段と、前記操作者による前記物体の移動または姿勢変更を助けるアシスト力を発生させるアシスト力発生手段と、前記アシスト力を前記物体に与えるアシスト機構と、 前記アシスト機構に係る所定の制御パラメータを推定する推定手段と、前記検出された操作状態および前記推定された所定の制御パラメータに基づいて、前記アシスト力発生手段をインピーダンス制御するインピーダンス制御手段と、前記検出された操作状態に基づいて、前記アシスト力発生手段を力制御する力制御手段と、所定条件を充足した場合、前記インピーダンス制御手段によるインピーダンス制御と前記力制御手段による力制御とを切り替える切替手段と、を備えることを技術的特徴とする。
また、特許請求の範囲に記載された請求項2のパワーアシスト装置では、請求項1において、前記切替手段は、前記操作状態に基づく前記インピーダンス制御における前記物体の目標移動速度と前記物体の実移動速度との差が所定値以上になった場合に、前記所定条件を充足したとして、前記インピーダンス制御手段によるインピーダンス制御から前記力制御手段による力制御に切り替えることを技術的特徴とする。なお「物体の実移動速度」とは、当該物体が移動する実際の速度のことである。また「物体の目標移動速度」とは、当該物体が移動する際に目標とする速度のことである。
さらに、特許請求の範囲に記載された請求項3のパワーアシスト装置では、請求項1において、前記切替手段は、前記操作状態が前記操作者による操作力であって、前記力制御における前記操作者による操作力の方向が、当該力制御に切り替わる直前の前記インピーダンス制御における前記操作者による操作力の方向と逆向きになった場合に、前記所定条件を充足したとして、前記力制御手段による力制御から前記インピーダンス制御手段によるインピーダンス制御に切り替えることを技術的特徴とする。
さらにまた、特許請求の範囲に記載された請求項4のパワーアシスト装置では、請求項1〜3のいずれか一項において、前記推定手段は、カルマンフィルタによるものであることを技術的特徴とする。
さらにまた、特許請求の範囲に記載された請求項5のパワーアシスト装置では、請求項1〜3のいずれか一項において、前記推定手段は、最小二乗法によるものであることを技術的特徴とする。
さらにまた、特許請求の範囲に記載された請求項6のパワーアシスト装置では、請求項1〜3のいずれか一項において、前記推定手段は、オブザーバによるものであることを技術的特徴とする。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載された請求項7のパワーアシスト装置では、物体を操作する操作者の操作状態を含めた所定の制御パラメータに基づいた制御により、前記操作者による前記物体の操作をアシストするパワーアシスト装置であって、前記物体の操作状況により、前記所定の制御パラメータに基づくインピーダンス制御から前記操作状態に基づく力制御に切り替えたり、前記操作状態に基づく力制御から前記所定の制御パラメータに基づくインピーダンス制御に切り替えることを技術的特徴とする。
なお、「操作者の操作状態」として、例えば、操作者が握った操作レバーのフォースセンサにより検出される、操作者による操作力の大きさや操作力の方向等が相当し得る。また、「所定の制御パラメータ」として、例えば、物体の質量、移動位置、移動速度等や、アシスト機構の粘性抵抗、摩擦抵抗等が相当し得る。さらに、「物体の操作状況」として、例えば、操作者の操作状態に基づくインピーダンス制御における物体の目標移動速度と物体の実移動速度との差が所定値以上になったこと、あるいは力制御における操作者による操作力の方向が、当該力制御に切り替わる直前のインピーダンス制御における操作者による操作力の方向と逆向きになったこと等が相当し得る。
請求項1の発明では、「操作状態検出手段により検出された操作者の操作状態」および「推定手段により推定されたアシスト機構に係る所定の制御パラメータ」に基づいてアシスト力発生手段をインピーダンス制御するインピーダンス制御手段と、「操作状態検出手段により検出された操作者の操作状態」に基づいてアシスト力発生手段を力制御する力制御手段とを備え、所定条件を充足した場合、切替手段により、当該インピーダンス制御手段によるインピーダンス制御と当該力制御手段による力制御とを切り替える。
これにより、例えば、障害物に接触するまではインピーダンス制御手段によりアシスト力発生手段をインピーダンス制御し、障害物に接触した後は力制御手段によりアシスト力発生手段を力制御することができる。また障害物から離れるまでは力制御手段によりアシスト力発生手段を力制御し、障害物から離れた後はインピーダンス制御手段によりアシスト力発生手段をインピーダンス制御することができる。即ち、当該物体が「障害物に接触するまで」の移動中においてはアシスト力発生手段をインピーダンス制御し当該物体が「障害物に接触した後」の停止中においてはアシスト力発生手段を力制御したり、また当該物体が「障害物から離れるまで」の停止中においてはアシスト力発生手段を力制御し当該物体が「障害物から離れた後」の移動中においてはアシスト力発生手段をインピーダンス制御するといった制御アルゴリズムを採ることができる。したがって、インピーダンス制御により操作性を向上させ、力制御により安全性を向上させることができる。
請求項2の発明では、切替手段は、操作状態に基づくインピーダンス制御における物体の目標移動速度と物体の実移動速度との差が所定値以上になった場合に、所定条件を充足したとして、インピーダンス制御手段によるインピーダンス制御から力制御手段による力制御に切り替える。即ち、物体が障害物に接触している場合には、当該物体の実移動速度がほぼ0(ゼロ)になることから、時間の経過とともに当該物体の実移動速度とインピーダンス制御による目標移動速度との差が拡がる。そのため、このような速度の差が所定値以上になった場合、当該物体が障害物に接触して停止していると判断することができるので、ロードセルを用いることなく、当該物体が障害物に接触していることを検出できる。これにより、障害物への接触を条件に、当該物体が「障害物に接触するまで」の移動中においてはアシスト力発生手段をインピーダンス制御し、当該物体が「障害物に接触した後」の停止中においてはアシスト力発生手段を力制御することができる。したがって、ロードセルを備えることなく、操作性および安全性を向上することができる。またロードセルを要しないため、装置コストを低減することができる。
請求項3の発明では、切替手段は、力制御における操作者による操作力の方向が、当該力制御に切り替わる直前のインピーダンス制御における操作者による操作力の方向と逆向きになった場合に、所定条件を充足したとして、力制御手段による力制御からインピーダンス制御手段によるインピーダンス制御に切り替える。即ち、障害物に接触していた物体が当該障害物から離れる場合には、接触前に行われていたインピーダンス制御時の操作力の方向(障害物に近づく方向)と逆向き(障害物から離れる方向)に操作力が接触後に行われていた力制御時に働くことから、このように操作力の方向が変わったとき、当該物体が障害物から離れる直前であると判断することができる。つまり、ロードセルを用いることなく、当該物体が障害物から離れる直前を検出できる。これにより、障害物から離れる直前の検出を条件に、当該物体が「障害物から離れるまで」の停止中においてはアシスト力発生手段を力制御し当該物体が「障害物から離れた後」の移動中においてはアシスト力発生手段をインピーダンス制御することができる。したがって、ロードセルを備えることなく、操作性および安全性を向上することができる。またロードセルを要しないため、装置コストを低減することができる。
請求項4の発明では、推定手段は、カルマンフィルタによるものであることから、所定の制御パラメータとして、物体の質量・移動位置・移動速度や、アシスト機構の粘性抵抗・摩擦抵抗を推定することができる。これにより、これら物体の質量・移動位置・移動速度あるいはアシスト機構の粘性抵抗・摩擦抵抗の変化に応じた適切なアシスト力を発生させることができる。したがって、インピーダンス制御による操作性を一層向上させ、さらに力制御による安全性を向上させることができる。
請求項5の発明では、推定手段は、逐次最小二乗法によるものであることから、所定の制御パラメータとして、物体の質量や、アシスト機構の粘性抵抗・摩擦抵抗を推定することができる。これにより、物体の質量あるいはアシスト機構の粘性抵抗・摩擦抵抗の変化に応じた適切なアシスト力を発生させることができる。したがって、インピーダンス制御による操作性を一層向上させ、さらに力制御による安全性を向上させることができる。
請求項6の発明では、推定手段は、オブザーバによるものであることから、所定の制御パラメータとして、物体の移動位置・移動速度を推定することができる。これにより、物体の移動位置・移動速度の変化に応じた適切なアシスト力を発生させることができる。したがって、インピーダンス制御による操作性を一層向上させ、さらに力制御による安全性を向上させることができる。
請求項7の発明では、物体の操作状況により、所定の制御パラメータに基づくインピーダンス制御から操作状態に基づく力制御に切り替えたり、操作状態に基づく力制御から所定の制御パラメータに基づくインピーダンス制御に切り替える。これにより、例えば、障害物に接触するまではインピーダンス制御手段によりアシスト力発生手段をインピーダンス制御し、障害物に接触した後は力制御手段によりアシスト力発生手段を力制御することができる。また障害物から離れるまでは力制御手段によりアシスト力発生手段を力制御し、障害物から離れた後はインピーダンス制御手段によりアシスト力発生手段をインピーダンス制御することができる。即ち、「障害物に接触するまで」の物体の移動中においてはアシスト力発生手段をインピーダンス制御し、「障害物に接触した後」の物体の停止中においてはアシスト力発生手段を力制御したり、また「障害物から離れるまで」の物体の停止中においてはアシスト力発生手段を力制御し、「障害物から離れた後」の物体の移動中においてはアシスト力発生手段をインピーダンス制御するといった制御アルゴリズムを採ることができる。したがって、インピーダンス制御により操作性を向上させ、力制御により安全性を向上させることができる。
以下、本発明のパワーアシスト装置の実施形態を各図に基づいて説明する。本実施形態に係るパワーアシスト装置20は、移動または姿勢変更の対象となるワークWを操作する操作者Mの操作力に基づいてアシスト力を発生させ、当該操作者Mを補助する機能を有するもので、例えば、組立作業を伴う生産ライン等で利用可能である。
まず、図1〜図4を参照して本実施形態に係るパワーアシスト装置20の機械的な構成を説明する。図1には、操作者Mが、操作部50に設けられたハンド57によってワークWを把持し、本パワーアシスト装置20によりワークWを作業台Ta上から作業台Tb上に移動させようとしている様子が示されている。
図1に示すように、本パワーアシスト装置20は、主に、フレーム部、駆動部、移動部40、操作部50および制御装置60から構成されている。フレーム部は、パワーアシスト装置20の枠組みを構成するもので、グランド面Gに対し略鉛直方向に立設された4本の支柱21a、21b、21c、21dと、グランド面Gに対し水平方向に支柱21a、21b、21c、21dに架けられた4本のガイドレール22a、22b、22c、22dと、により門型のフレームを構成し、それぞれ相互に連結させている。
本実施形態においては、支柱21a、21b間に架けられるガイドレール22aあるいは支柱21c、21d間に架けられるガイドレール22cの長手方向をx方向に、また支柱21b、21c間に架けられるガイドレール22bあるいは支柱21a、21d間に架けられるガイドレール22dの長手方向をy方向とする。さらにグランド面Gに対し鉛直方向をz方向とする。なお、ワークWは特許請求の範囲に記載の「物体」に相当するものであり、さらに、フレーム部、駆動部、移動部40および操作部50は、特許請求の範囲に記載の「アシスト機構」に相当するものである。
図1および図2に示すように、駆動部は、モータ31a、31b、31c、シャフト32a、32b、32c、32d、ギヤ33、ベルト34、移動輪35、x方向ロッド36a、y方向ロッド36b、z軸用ボールねじ38等から構成されている。なお、モータ31a、31b、31cは、特許請求の範囲に記載の「アシスト力発生手段」に相当するものである。また、支柱21a、21b、21c、21dおよびガイドレール22a、22b、22c、22dを除いたその他、シャフト32a、32b、32c、32d、ギヤ33、ベルト34、移動輪35、x方向ロッド36a、y方向ロッド36b、z軸用ボールねじ38等は、いわゆる「可動部」の概念に含まれる。
モータ31a、31b、31cは、後述する制御装置60により求められたアシスト力を発生するサーボモータで、制御装置60によって制御されているものである。本実施形態では、例えばACサーボモータを用い、モータ31aはx方向ロッド36a、モータ31bはy方向ロッド36b、モータ31cは雌ねじ管43、をそれぞれ駆動可能に構成されている。
なお、本実施形態では、ACサーボモータを用いているが、これに限られることはなく、サーボモータであれば、任意の形態のモータを用いても良い。また、このモータ31a、31b、31cには、モータ回転角を検出する回転角センサ(エンコーダ)Eがそれぞれに内蔵されており、この検出データは後述する制御装置60に対して出力されている。これにより制御装置60では当該検出データによりハンド57の位置情報xを得ている。
シャフト32a、32b、32c、32dは、ガイドレール22a、22b、22c、22dに並んで併設されている軸部材で、それぞれの両端部にはギヤ33が取り付けられているほか、同端部が軸受部材によって回動自在に支持されている。またこれらのうちシャフト32cには、その一端部にモータ31aが連結され、同様にシャフト32dの一端部にはモータ31bが連結されている。これにより、モータ31aの駆動力によりシャフト32cを、またモータ31bの駆動力によりシャフト32dを、それぞれ回転させることができる。
ベルト34は、ギヤ33、ギヤ33間に架け渡し可能に構成されている帯状の環状部材で、並列に位置するシャフト32a、32cのギヤ33同士あるいはシャフト32b、32dのギヤ33同士の間に架けられている。これにより、モータ31aの駆動力によりシャフト32cが回転すると、ベルト34を介してシャフト32aを回転させることができる。また同様にモータ31bの駆動力によってもシャフト32bおよびシャフト32dを回転させることができる。
x方向ロッド36aは、後述する中央ベース41をx軸方向に案内可能な軸部材で、その両端には、ガイドレール22b、22d上を転動可能な移動輪35が取り付けられている。そして、当該両端部は、軸受部材によって回動自在に支持されている。この軸受部材には、前述のベルト34が連結されているため、x方向ロッド移動用のモータ31aから出力される駆動トルクは、ギヤ33、シャフト32cおよびベルト34を介してx方向ロッド36aに伝達される。これにより、ベルト34により伝達された当該駆動トルクによって、x方向ロッド36aをy軸方向に移動させることができる。
y方向ロッド36bも、x方向ロッド36aと同様な構成を採っている。即ち、y方向ロッド36bは、中央ベース41をy軸方向に案内可能な軸部材で、その両端には、ガイドレール22a、22c上を転動可能な移動輪35が取り付けられ、さらに当該両端部は、軸受部材により回動自在に支持されている。この軸受部材にもベルト34が連結されているので、y方向ロッド移動用のモータ31bから出力される駆動トルクは、ギヤ33、シャフト32dおよびベルト34を介してy方向ロッド36bに伝達される。これにより、ベルト34により伝達された駆動トルクによって、y方向ロッド36bをx軸方向に移動させることができる。
図2および図3に示すように、z軸用ボールねじ38はねじ棒であり、中央ベース41の略中央に鉛直方向に貫通するように設けられた雌ねじ管43とともにねじ送り機構を構成している。本実施形態では、中央ベース41はz軸方向には移動しないので、モータ31cの駆動力によって雌ねじ管43が時計回りあるいは反時計回りに回転することで、その軸(z軸)方向上下にz軸用ボールねじ38を移動させることができる。
移動部40は、中央ベース41を主に構成されている。この中央ベース41の下面には、前述したx方向ロッド36aを軸受可能な軸受42aと、y方向ロッド36bを軸受可能な軸受42bと、が取り付けられており、さらに略中央には鉛直(z軸)方向に貫通した雌ねじ管43が回動自在に支持されている。なお、移動部40も、いわゆる「可動部」の概念に含まれるものである。
これにより、x方向ロッド36aおよびy方向ロッド36bの移動に伴って、中央ベース41をxy平面上に自在に移動させることができるので、x方向ロッド36aの移動量およびy方向ロッド36bの移動量をモータ31aの回転角およびモータ31bの回転角により制御することによって、xy座標系の制御点を決定することができる。また、前述したようにz軸用ボールねじ38とともにねじ送り機構を構成する雌ねじ管43の回転に伴って、z軸用ボールねじ38をz軸方向に上下動させることができるので、当該z軸用ボールねじ38のz軸方向の移動量をモータ31cの回転角により制御することによってz座標系の制御点を決定することができる。
図2および図3に示すように、操作部50は、主に、操作ハンドル52、フォースセンサ54、ハンド57等から構成されており、z軸用ボールねじ38の下端部に設けられている。なお、操作部50も、いわゆる「可動部」の概念に含まれるものである。
操作ハンドル52は、操作者Mが両手で握ることのできるように形成された棒状部材で、z軸用ボールねじ38の径方向両側に突設されている。この操作ハンドル52の付近には、図略の緊急停止ボタン等の操作スイッチが配列されている。なお、操作ハンドル52は、図2および図3に示すように操作者Mが両手で握ることのできるように形成された棒状部材状のもののほか、後述する図8および図10に示すように、操作者Mが片手で操作可能なジョイスティック型のものであっても良い。「ジョイスティック」とは、パーソナルコンピュータやビデオゲーム機等に用いられるポインティングデバイス(入力装置)の一種で、飛行機の操縦桿のような形状をした操作レバーのことである。
フォースセンサ54は、操作者Mの操作状態を検出するもので、例えば、操作ハンドル52に加えられた操作力f の大きさやその方向を検出することが可能な6軸(x軸、y軸、z軸、およびx軸、y軸、z軸のそれぞれの回転軸a軸、b軸、c軸)による力覚センサが用いられる。本実施形態では、操作力f の大きさを検出できれば足りるため、直接ワークWを操作できてワークWに加わる力(反力、慣性力、質量等)を検出できるタイプのものよりも、障害物への接触時の衝撃でフォースセンサ54が壊れる危険性の少ない、操作力のみが検出できるタイプのものを採用している。ただし、このようなタイプのフォースセンサは、ロードセルと異なりワークW自体に加わる力を検出できなため、ワークWの質量やワークWが床や壁等から受ける反力を検出することはできない。このフォースセンサ54により検出または測定された検出・測定データは、無線回線または有線回線を介して制御装置60に対して出力される。なお、フォースセンサ54は、特許請求の範囲に記載の「操作状態検出手段」に相当するものである。
ハンド57は、ワークWを把持する機能を有する、いわゆるロボットハンドで、対向する2本の爪をエアシリンダ等により開閉することによって、ワークWを掴んだり、放したりすることができるように構成されている。なお、このハンド57に把持されたワークWの移動位置、つまりハンド57の位置情報xは、前述したそれぞれのモータ31a、31b、31cに内蔵される回転角センサ(エンコーダ)Eからの検出データに基づいて制御装置60により求められる。
図4に示すように、制御装置60は、前述したフォースセンサ54、回転角センサE等から送られてくる各種データに基づいて、後述するインピーダンス制御部61aや力制御部61bによりモータ31a、31b、31cに対するトルク指令値等を演算処理するもので、主に、CPU61、インターフェイス(I/F)63、モータ駆動回路(DRV)65等から構成されている。なお、この制御装置60は、特許請求の範囲に記載の「推定手段」、「インピーダンス制御手段」および「力制御手段」に相当するものである。また、図4において、インターフェイス63、モータ駆動回路65、モータ31a、31b、31cは、それぞれ、I/F63、DRV65、M31a〜31cと表記されていることに留意されたい。
CPU61は、中央演算処理装置であり、図略のROM、RAM等のメモリとともに所定プログラムに基づいて各種演算処理を実行可能に構成されているものである。本実施形態では、インターフェイス63を介して入力される操作力およびその方向、運搬中のワークWの質量、モータ31a等の回転角に基づいて、モータ駆動回路65へ送出すべき電流指令値を決定しモータ駆動回路65に出力するアシスト制御処理を行う。なお、図略のROM、RAM等のメモリには、パワーアシスト装置20を制御するための制御プログラムや後述するカルマンフィルタ演算部61a、インピーダンス制御部61bや切替部61cを実現するアシスト制御プログラム等が格納されている。
インターフェイス63は、CPU61とフォースセンサ54等のセンサ群との間に介在するもので、A/D変換や信号レベルの調整等を行い得るものである。
モータ駆動回路65は、図略のバッテリ、PWM変換器、スイッチング回路等から構成されており、チョッパ制御により駆動電流を正弦波にしてモータ31a、31b、31cに駆動電力を供給し得るものである。
次に、このような構成からなる制御装置60によりアシスト制御されるモータ31a、31b、31cの制御ブロックの構成を図5および図6に基づいて説明する。なお、図5には、制御装置60による制御機能の構成を示す機能ブロックが示されており、同図中の実線黒矢印(例えば、フォースセンサ54からインピーダンス制御部61aや力制御部61bに至るもの)は、電気信号等による情報の伝達を示し、同図中の破線白矢印(例えば、操作者Mからフォースセンサ54に至るもの)は、物理的な力の伝達を示している。
制御装置60は、操作者Mの操作状態を検出するフォースセンサ54からの入力データや回転角センサEから送られてくるデータに基づいて、モータ31a、31b、31cに出力するトルク指令値等をCPU61により演算処理するもので、その主要機能として、主に、インピーダンス制御部61a、力制御部61bおよび切替部61cを備えている。
即ち、インピーダンス制御部61aは、フォースセンサ54により検出された操作力f および後述するカルマンフィルタ61a2により推定された所定の制御パラメータに基づいて、モータ31a、31b、31cをインピーダンス制御するもので、特許請求の範囲に記載の「インピーダンス制御手段」に相当し得るものである。一方、力制御部61bは、フォースセンサ54により検出された操作力f に基づいて、モータ31a、31b、31cを力制御するもので、特許請求の範囲に記載の「力制御手段」に相当し得るものである。また、切替部61cは、所定条件を充足した場合、インピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御と力制御部61bによる力制御とを切り替えるもので、特許請求の範囲に記載の「切替手段」に相当し得るものである。
ここで、インピーダンス制御部61aおよび力制御部61bの構成を図6を参照して詳述する。なお、図6(A) にはインピーダンス制御部61aの具体例、図6(B) には力制御部61bの具体例がそれぞれ示されている。なお、以下、時間微分されたハンド57の位置情報x(移動速度)を数式および図面中ではxに「・」を付して表現し、また文中ではx-dotと表記する。同様に時間微分を2度施されたハンド57の位置情報x(加速度)を数式および図面中ではxに「・・」を付して表現し、また文中ではx-dotdot と表記する。また、カルマンフィルタ61a2により推定された式および図面中のパラメータm、c、Fは「^」を付して表現し、また文中では当該推定された、質量、粘性抵抗、摩擦抵抗をそれぞれm-hat、c-hat、F-hatと表記する。
図6(A) に示すように、インピーダンス制御部61aは、微分演算部61a1、カルマンフィルタ61a2およびトルク指令値演算部61a3を含んで構成されており、フォースセンサ54から入力される操作力f と回転角センサEから入力されるハンド57の位置情報xとに基づいてCPU61により以下のインピーダンス制御による演算処理を行うことで、モータ31a、31b、31cに対するトルク指令値f を求めて出力する。
即ち、微分演算部61a1では、回転角センサEにより入力されたハンド57の位置情報xを時間微分することによってハンド57の移動速度x-dotを求め、それをトルク指令値演算部61a3に出力する。一方、カルマンフィルタ61a2では、後述するように、入力される位置情報xと操作力f に基づいて、ワークWを含めた可動部の質量m、可動部の粘性抵抗c、可動部の摩擦抵抗Fを推定しそれらをトルク指令値演算部61a3に出力する。これにより、トルク指令値演算部61a3には、操作力f 、ハンド57の加速度x-dotdot 、推定質量m-hat、推定粘性抵抗c-hatおよび推定摩擦抵抗F-hatが入力される。なお本実施形態では、ハンド57の位置情報xとして、回転角センサEから入力される検出データに基づくものを用いたが、これに限られることはなく、例えば、後述するように、カルマンフィルタ61a2により推定される推定位置や推定移動速度を用いても良い。
なお、「可動部」とは、前述したように、支柱21a、21b、21c、21dおよびガイドレール22a、22b、22c、22dを除いたその他、シャフト32a、32b、32c、32d、ギヤ33、ベルト34、移動輪35、x方向ロッド36a、y方向ロッド36b、z軸用ボールねじ38、移動部40、操作部50等を含めたものである。
ここで、本実施形態に係るパワーアシスト装置20では、前述したように、x軸、y軸、z軸の各軸間に機械的な干渉がないため、各軸は独立した制御系となる。そのため、ここでは、ハンド57に把持されたワークW等が床に接触する場合を想定し、z軸の制御について考えると、当該パワーアシスト装置20の運動方程式は、次式(1) により表される。但し、次式(1) において、f はトルク指令値、f は操作力、mはワークWを含めた可動部の質量、cは可動部の粘性抵抗、Fは可動部の摩擦抵抗、x-dotはハンド57の移動速度、x-dotdot はハンド57の加速度、gは重力加速度を示す。
そこで、トルク指令値演算部61a3では、操作力fh に応じたハンド57の目標位置x 、目標移動速度(x-dot) 、目標加速度(x-dotdot)を、次式(2) のインピーダンス特性式に従って算出する。但し、次式(2) において、m 、c は、それぞれ仮想質量、仮想粘性抵抗で、予め決定された所定値が与えられる。本実施形態では、仮想質量m は10kg、仮想粘性抵抗c は100Ns/mにそれぞれ設定されている。
この式(2) による演算によって、目標移動速度(x-dot) 、目標加速度(x-dotdot)が得られるので、トルク指令値演算部61a3では、さらに前述したハンド57の加速度x-dotdot 、推定質量m-hat、推定粘性抵抗c-hatおよび推定摩擦抵抗F-hatに基づいてモータ31a、31b、31cに対するトルク指令値f をトルク指令値演算部61a3により算出する。一般には、摩擦抵抗Fの補償は、ハンド57の移動速度x-dotの方向により力の方向を決定できることから、次式(3) によりトルク指令値f を求めることができる。
しかし、例えばワークWの位置決め完了の直前のように、ハンド57の移動速度x-dotがほぼ0(ゼロ)に等しい程度に小さい場合には、回転角センサEからの検出データに含まれるノイズ成分、あるいはカルマンフィルタ61a2による速度推定の誤差成分によって頻繁に摩擦補償力の方向が切り替わるため振動が発生し得る。このため、いわゆる不感帯を介在させることによって、このような微妙な速度変化の検出を排除することで摩擦補償力の方向が切り替わることを防止できる。
ところが、このような「不感帯」を設けることによって、操作力f が入力されてから、摩擦補償が始まるまでに遅れが生じるため、操作性を悪化させるという新たな問題が発生する。即ち、不感帯の領域内で速度変化する程度に小さい操作力f が入力されても、そのような速度変化の検出は当該不感帯によって排除されてしまうことから、摩擦補償力の方向に影響を与えない。その結果、適切な摩擦補償が始まるまでに遅れが生じる。
そこで、本実施形態に係るトルク指令値演算部61a3では、前式(3) に速度のフィードバック項((x-dot) −(x-dot))を加えた次式(4) によりトルク指令値f を算出するように構成することによって、操作力f の入力に対する応答性の向上を可能にしている。なお、次式(4) において、Dは速度フィードバックゲインを示し、例えば、D=550に設定される。また、このような速度のフィードバック項を加えたインピーダンス制御を、以下、単に「インピーダンス制御」と称する。
ところで、本実施形態に係るパワーアシスト装置20では、前述したように、障害物に対するワークWの接触等を検出可能にするロードセルを備えていない。そのため、床等の剛性の高い障害物にハンド57が接触した場合の反力を検出できないことから、このような障害物に接触している状態において、操作力f の入力があった場合には、前掲の式(2) による演算によって目標移動速度(x-dot) 、目標加速度(x-dotdot)が算出される。このため、障害物との接触により停止している実移動速度0(ゼロ)と目標移動速度(x-dot) との速度差に応じたトルク指令値f が前式(4) により算出されて、モータ31a、31b、31cを駆動してしまうことになる。
つまり、このようなインピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御では、障害物との接触による反力に関する情報を取得していないため、把持されたワークWやハンド57が障害物に接触していても当該障害物との接触を無視して、操作力fh に応じたハンド57の目標位置x に向かって当該ハンド57を移動させ、ワークWやハンド57の破損等を招いてしまうおそれある。そこで、本実施形態に係るパワーアシスト装置20では、インピーダンス制御部61aのほかに、力制御部61bを備えることによって、このような障害物との接触状態における安全な制御を可能にしている。なお、インピーダンス制御部61aと力制御部61bとの切り替えは、後述する切替部61cにより行う。
図6(B) に示すように、力制御部61bは、推定値記憶部61b1およびトルク指令値演算部61b2を含んで構成されており、フォースセンサ54から入力される操作力f に基づいてCPU61により以下の開ループの力制御による演算処理を行うことで、モータ31a、31b、31cに対するトルク指令値f を求めて出力する。
即ち、力制御部61bでは、障害物との接触時(接触直後)にカルマンフィルタ61a2により推定された、可動部の質量m-hatおよび可動部の摩擦抵抗F-hat(以下「推定値」という。)を推定値記憶部61b1に記憶することにより、この推定値と操作力f とに基づいて次式(5) によりトルク指令値f を求める。つまり、把持されたワークWやハンド57が障害物に接触している間には、質量m-hatや摩擦抵抗F-hatの推定を行うことなく、接触直後の推定された質量m-hatおよび摩擦抵抗F-hatを用いてトルク指令値f を算出する。なお、次式(5) において、αは力を増幅するゲインを示し、例えば、α=1に設定される。また、gは重力加速度を示す。
これにより、力制御部61bでは、前掲の式(3) 、(4) のように、目標移動速度(x-dot) 、目標加速度(x-dotdot)を含むことなく、またハンド57の位置情報xをフィードバック入力することなく、式(5) によりトルク指令値f を求めているので、モータ31a、31b、31cに対し開ループの力制御を行っていることとなる。即ち、前述したインピーダンス制御部61aでは「速度ベースのインピーダンス制御」を行っていたの対し、この力制御部61bでは、速度と加速度の項を削除することで「トルクベースのインピーダンス制御」(=力制御)を実現している。
ここで、カルマンフィルタ61a2による所定の制御パラメータ(質量m-hat、粘性抵抗c-hat、摩擦抵抗F-hat等)の推定について説明する。前述したように、パワーアシスト装置20のz軸の運動方程式は、式(1) により表されるので、カルマンフィルタ61a2を構成する出力をハンド57の位置とし、状態変数ベクトルZおよび出力ベクトルYを用いると、観測ノイズWまたはシステムノイズV を含めた離散時間のシステム方程式は次式(6) により、また同様に観測方程式は次式(7) により、それぞれ表すことができる。なお、tは離散時間系におけるサンプリングステップを意味する。
ただし、
Δtはサンプリングタイムを表す。
これらのシステムを次式(9) 〜式(13)に示す拡張カルマンフィルタのアルゴリズムに適用することにより、ハンド57の位置、移動速度、可動部の質量(ワークWの質量を含む)、可動部の粘性抵抗、可動部の摩擦抵抗を推定することができる。但し、次式において、Kはカルマンゲイン、Pは推定誤差共分散行列、QはシステムノイズVの共分散行列、Rは観測ノイズWの共分散行列を示す。なお、本実施形態に係るカルマンフィルタ61a2では、Q 、R を次式(14)に示すように設定した。
このように拡張カルマンフィルタのアルゴリズムが適用されることによって、カルマンフィルタ61a2では、ハンド57の位置・移動速度、可動部の質量(ワークWの質量を含む)および当該可動部の粘性抵抗・摩擦抵抗を推定することが可能となる。
次に、前述のインピーダンス制御部61aと力制御部61bとを切り替える制御(切替制御)を行う切替部61cについて説明する。図5に示すように、切替部61cは、所定条件を充足した場合、インピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御と力制御部61bによる開ループの力制御とを切り替えるもので、「所定条件」として、例えば次に説明するような切替条件IやIIを充足することよって、インピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御から力制御部61bによる開ループの力制御に切り替えたり、また力制御部61bによる開ループの力制御からインピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御に切り替える。
[切替部61cによる切替条件I](請求項2に相当)
前述したように、目標移動速度(x-dot) や目標加速度(x-dotdot)を算出する前掲の式(2) には、床等の障害物との接触による反力に関する項がない。そのため、把持されたワークWやハンド57が障害物に接触している間にも目標移動速度(x-dot) や目標加速度(x-dotdot)を算出し続ける。
ところが、ワークWやハンド57が障害物に接触している場合には、当該障害物が移動したり破損等により外形が変化しない限り、ワークWやハンド57の位置は変化することがないことから、ハンド57の実移動速度はほぼ0(ゼロ)m/sとなる。そのため、前掲の式(4) においては、障害物に接触状態にあるハンド57の目標移動速度(x-dot) と実移動速度x-dotとの差が徐々に大きくなり、やがてその差は非常に大きなものとなる。つまり、このような速度差((x-dot) −(x-dot))を監視することによって、ワークWやハンド57が障害物に接触しているか否かを判断することが可能となる。
そこで、切替部61cでは、ハンド57の目標移動速度(x-dot) と実移動速度x-dotとの差が所定値(例えば0.4m/s)以上になった場合に、切替条件I(所定条件)を充足したとして、インピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御(式(4) )から力制御部61bによる開ループの力制御(式(5) )に切り替えるように制御している。
[切替部61cによる切替条件II](請求項3に相当)
一方、力制御部61bによる開ループの力制御からインピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御に切り替える場合にも、前述した速度差((x-dot) −(x-dot))を用いるべきではあるが、ワークWやハンド57が障害物に接触している状態における制御では、前述したように、式(5) による「トルクベースのインピーダンス制御」(=開ループの力制御)を行っている。そのため、目標移動速度(x-dot) や目標加速度(x-dotdot)を算出していないことから、このような速度差を切替条件の判定に利用することはできない。
ところで、操作者Mにより加えられる操作力f に着目すると、障害物に接触しているワークWやハンド57が当該障害物から離れる直前においては、通常、操作者Mは、接触方向とは逆向きの方向に操作力を加えることがわかっている。そのため、操作力f の方向とその大きさを監視することによって、ワークWやハンド57が障害物から離れるか否かを離れる事前に判断することが可能となる。
そこで、切替部61cでは、開ループの力制御における操作力f の方向が、当該力制御に切り替わる直前のインピーダンス制御における操作者Mによる操作力f の方向と逆向きになりかつ所定値(例えば10N)以上の操作力f が加わった場合に、切替条件II(所定条件)を充足したとして、力制御部61bによる開ループの力制御(式(5) )からインピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御(式(4) )に切り替えるように制御している。なお、「所定値以上の操作力f が加わる」という条件がない場合には、切替制御が不安定になり得る場合がある。
なお、前述したように、「ハンド57の目標移動速度(x-dot) と実移動速度x-dotとの差が所定値以上になった場合」を切替条件Iとするだけでなく、例えば、カルマンフィルタ61a2による所定の制御パラメータ(質量m-hat、粘性抵抗c-hat、摩擦抵抗F-hat等)の推定値の変化量に基づいて切替条件Iを設定しても良い。
具体的には、ワークWやハンド57が障害物に接触すると、例えば推定質量m-hatはその値が徐々に小さくなることから、その変化量Δm-hatが所定値以上となった場合を切替条件Iとしても良い。このような推定値の変化に基づく切替条件は、ワークWやハンド57が障害物に接触した後に緩慢に発現するものを捉えたものであるため、前述した速度差((x-dot) −(x-dot))の変化に基づく切替条件に比べると応答性が低くなるものの、例えば、両者を併用することにより検出精度を向上させることが可能となる。
また、前述したように、「操作者Mによる操作力f の方向と逆向きになりかつ所定値以上の操作力f が加わった場合」を切替条件IIとするだけでなく、例えば、回転角センサEから入力されるハンド57の位置情報xまたは移動速度x-dotあるいはカルマンフィルタ61a2により推定されるハンド57の推定位置や推定移動速度、の変化量に基づいて切替条件IIを設定しても良い。
具体的には、ワークWやハンド57が障害物から離れると、例えばハンド57の位置や移動速度が変化することから、その変化量Δx、Δx-dotが所定値以上となった場合を切替条件IIとしても良い。このようなハンド57の位置や移動速度の変化に基づく切替条件は、ワークWやハンド57が障害物から離れた後に検出または推定される事後的なものであるため、前述した操作力f の方向に基づく切替条件に比べると応答性が低くなるものの、例えば、両者を併用することにより検出精度を向上させることが可能となる。
ここで、上述したようなインピーダンス制御部61a、力制御部61bおよび切替部61cを構成するパワーアシスト装置20によってそのハンド57等を障害物に接触させた場合の実験結果を図7〜図11に基づいて説明する。本実験では、インピーダンス制御部61a、力制御部61bおよび切替部61cによる制御アルゴリズムの有効性を明確するため、以下の2種類(実験結果(i)、(ii))についてその具体的な効果の確認を行った。
なお、本制御アルゴリズムの有効性をより明確にするため、切替部61cによる切替制御を行うことなく、インピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御のままで障害物にハンド57を接触させた場合の実験結果を図7および図8に示し、切替部61cによる切替制御を行って障害物にハンド57を接触させた場合の実験結果を図9および図10に示す。また、図8に示す各挙動例(図8(A) 、図8(B) 、図8(C) )は、それぞれ図7に示す時刻α、β、γに対応し、図10に示す各挙動例(図10(A) 、図10(B) 、図10(C) )は、それぞれ図9に示す時刻α、β、γに対応する。さらに、図7、図9および図11には、上から順番に、ハンド57の位置(m)、ハンド57の移動速度(実線;実移動速度、破線;目標移動速度)(m/s)、ハンド57の移動速度差(目標移動速度−実移動速度)(m/s)、操作者Mによる操作力f (N)、モータ31a、31b、31cに対するトルク指令値f (N)、の変化状態が示されている。これらの図において、実験開始時点は時刻0秒である。
[実験結果(i)](図7〜図10)
実験結果(i)は、パワーアシスト装置20の先端、つまりハンド57が障害物に接触する場合のもので、障害物に接触しない状態(非接触状態)で操作を開始し、障害物である紙コップにハンド57の先端を接触させ、さらに障害物に接触した状態(接触状態)から再び非接触状態に至った後における操作に関するものである(図9および図10)。これにより、インピーダンス制御から開ループの力制御、そして再びインピーダンス制御という一連のアルゴリズムの切り替えがスムーズに行われることを確認する。まず、このような切替制御を行うことなく、インピーダンス制御だけでアシスト制御を行った場合の実験結果を図7および図8を参照して説明する。
図7に示すように、実験開始直後の約0.9秒(時刻α)では未だ操作力f が加わっていないため(f =0)、ハンド57が紙コップ(障害物)に接触していない。そのため、当該時刻αでは、図8(A) に示すように紙コップを原型を留めていることがわかる。これに対し、実験開始後、約1.2秒以降では、操作力f が障害物から離れる方向(プラス方向)や障害物に近づく方向(マイナス方向)に変化していることから、操作者Mにより操作されていることがわかる。
図7に示すように、実験開始後、2秒前後では、操作力f が加わっているにもかかわらず、ハンド57の移動速度に変化がみられないため、ハンド57が紙コップに接触したことがわかる。そして、紙コップに接触した後の、実験開始後、約3秒では、操作力f の大きさは2N〜20Nと小さい値であるにもかかわらず、インピーダンス制御部61aのトルク指令値演算部61a3により目標移動速度が計算されるため、移動速度差の発生に伴いトルク指令値f が出力されていることがわかる。このため、図8(B) 〜図8(C) に示すように、紙コップは、ハンド57によるアシスト力に耐えることが困難になった結果、ハンド57に押しつぶされていることがわかる。
このように、インピーダンス制御部61aによる「速度ベースのインピーダンス制御」では、前掲の式(3) 、(4) に示すように、速度と加速度の項を含んでいるため、目標移動速度と実移動速度との間に速度差が発生すると、その差を補うトルク指令値f が出力されアシスト力が発生してしまう。このため、障害物を破壊したり、ハンド57が破損するといった事態を招き得る。
これに対し、インピーダンス制御部61aと力制御部61bとを切替部61cによって切り替えてアシスト制御を行った場合には、図9および図10に示すような実験結果となる。図9に示すように、実験開始直後の約0.5秒(時刻α)では未だ操作力f が加わっていないため(f =0)、図10(A) に示すように紙コップは原型を留めている。これは図7、図8に示す場合と同様である。
図9に示すように、実験開始後、約3秒でハンド57が紙コップに接触すると、それと同時に移動速度差が発生し、やがて移動速度差が大きくなる。ところが、移動速度差が所定値(0.4m/s)以上になれば、前述した切替部61cによる切替条件Iを充足するため、インピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御から力制御部61bによる開ループの力制御に切り替わることから、約3秒を過ぎた後から7秒前後までにおいては、破線による目標移動速度および実線による実移動速度は0m/sとなり、また移動速度差も0m/sになっていることがわかる(図9に示す移動速度、移動速度差)。
このようにハンド57が紙コップに接触した後では、切替部61cによってインピーダンス制御から開ループの力制御に切り替えられるので、アシスト力が増加し続けることなく、安全に操作できることがわかる。また、図9に示す時刻βにおける操作のように、紙コップに接触する方向(マイナス方向)の操作力f を加えても、モータ31a、31b、31cへのトルク指令値f に変化は見られない。このため、切り替えなしのインピーダンス制御による場合(図7、8)と異なり、ハンド57によるアシスト力が紙コップに加えられないことから、図10(B) 〜図10(C) に示すように、紙コップは押しつぶされることなく、原型を留めていることがわかる。
一方、図9に示すように、実験開始後、約7秒後には、操作者Mによって、ハンド57が紙コップから離れる方向(プラス方向)の操作力f が加えられているため、前述した切替部61cによる切替条件IIを充足し、力制御部61bによる開ループの力制御からインピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御に再び切り替わっていることがわかる。これは、約7秒以降においては、破線による目標移動速度および実線による実移動速度が約0.5m/sをピークとする値を示し、また移動速度差も同様に変化していることがわかる(図9に示す移動速度、移動速度差)。つまり、図9から、切替部61cによる切り替わりと同時に移動速度差が計算され、開ループの力制御からインピーダンス制御へスムーズに移行できていることが確認できる。
[実験結果(ii)](図11)
実験結果(ii)は、パワーアシスト装置20の一部、つまりハンド57を含めた操作部50の一部が、例えば、壁等の障害物に側方から接触する場合のもので、この実験結果からも、インピーダンス制御から開ループの力制御、そして再びインピーダンス制御という一連のアルゴリズムの切り替えがスムーズに行われることを確認した。
即ち、本実施形態に係るパワーアシスト装置20では、いわゆるロードセルを設けていないため、前述したように、移動速度差に基づいてハンド57等が障害物に接触したことを検出している。そのため、障害物がハンド57に接触した場合に限られず、障害物がハンド57を含めた操作部50の一部に接触した場合もその接触を検出することができる。これにより、操作部50の一部に障害物が接触した場合等の、ロードセルをハンド57に取り付けただけでは検出できない接触モードも検出を可能にしている。具体的には、ハンド57の先端ではなく、ハンド57の付け根やアームに相当する可動部の部位が、床面から立ち上がるように設けられている壁面等に接触した場合にもその接触を検出することが可能となる。
図11に示すように、実験開始後、3秒前後に急に移動速度差が増大しているので、この増大する直前に操作部50の一部が障害物に接触したことがわかる。接触後、移動速度差が所定値(0.4m/s)以上になり、切替条件Iを充足したので、切替部61cによりインピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御から力制御部61bによる開ループの力制御に切り替えられている。これは、約3秒を過ぎた後から7秒前後までにおいては、破線による目標移動速度および実線による実移動速度は0m/sとなり、また移動速度差も0m/sになっていることからわかる(図11に示す移動速度、移動速度差)。
また、図11に示すように、接触中においても、操作力f に応じたトルク指令値f が出力されており、さらに実験開始後、9秒前後では、接触時の移動速度差とは逆向きの操作力f として約10Nの力が加えられていることから、切替条件IIを充足し、力制御部61bによる開ループの力制御からインピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御に再び切り替わっていることもわかる。つまり、図11からも、切替部61cによる切り替わりと同時に移動速度差が計算され、開ループの力制御からインピーダンス制御へスムーズに移行できていることが確認できる。
以上説明したように、本実施形態に係るパワーアシスト装置20によると、「フォースセンサ54により検出された操作者Mの操作力F 」および「カルマンフィルタ61a2により推定されたワークWを含めた可動部の質量m、可動部の粘性抵抗c、可動部の摩擦抵抗F」に基づいてモータ31a、31b、31cをインピーダンス制御するインピーダンス制御部61aと、「フォースセンサ54により検出された操作者Mの操作力F 」に基づいてモータ31a、31b、31cを力制御する力制御部61bとを備え、切替条件Iや切替条件IIを充足した場合、切替部61cにより、インピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御と力制御部61bによる開ループの力制御とを切り替える。これにより、例えば、障害物に接触するまではインピーダンス制御部61aによりモータ31a、31b、31cをインピーダンス制御し、障害物に接触した後は力制御部61bによりモータ31a、31b、31cを開ループで力制御することができる。また障害物から離れるまでは力制御部61bによりモータ31a、31b、31cを開ループで力制御し、障害物から離れた後はインピーダンス制御部61aによりモータ31a、31b、31cをインピーダンス制御することができる。
即ち、ハンド57に把持されたワークWが「障害物に接触するまで」の移動中においてはモータ31a、31b、31cをインピーダンス制御し当該ワークWが「障害物に接触した後」の停止中においてはモータ31a、31b、31cを開ループで力制御したり、また当該ワークWが「障害物から離れるまで」の停止中においてはモータ31a、31b、31cを開ループで力制御し当該ワークWが「障害物から離れた後」の移動中においてはモータ31a、31b、31cをインピーダンス制御するといった制御アルゴリズムをアシスト制御に採ることができる。したがって、インピーダンス制御により操作性を向上させ、力制御により安全性を向上させることができる。
また、本実施形態に係るパワーアシスト装置20では、切替部61cは、インピーダンス制御による、ハンド57に把持されたワークWの目標移動速度と当該ワークWの実移動速度との差が所定値以上になった場合に、切替部61cによる切替条件Iを充足したとして、インピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御から力制御部61bによる開ループの力制御に切り替える。即ち、ハンド57に把持されたワークWが障害物に接触している場合には、当該ワークWの実移動速度がほぼ0(ゼロ)になることから、時間の経過とともに当該ワークWの実移動速度とインピーダンス制御による目標移動速度との差が拡がる。そのため、このような速度の差が所定値以上になった場合、当該ワークWが障害物に接触して停止していると判断することができるので、ロードセルを用いることなく、当該ワークWが障害物に接触していることを検出できる。これにより、障害物への接触を条件に、当該ワークWが「障害物に接触するまで」の移動中においてはモータ31a、31b、31cをインピーダンス制御し、当該ワークWが「障害物に接触した後」の停止中においてはモータ31a、31b、31cを開ループで力制御することができる。したがって、ロードセルを備えることなく、操作性および安全性を向上することができる。またロードセルを要しないため、装置コストを低減することができる。
さらに、本実施形態に係るパワーアシスト装置20では、切替部61cは、開ループの力制御における操作者Mによる操作力F の方向が、当該力制御に切り替わる直前のインピーダンス制御における操作者Mによる操作力F の方向と逆向きになった場合に、切替部61cによる切替条件IIを充足したとして、力制御部61bによる開ループの力制御からインピーダンス制御部61aによるインピーダンス制御に切り替える。即ち、障害物に接触していたワークWが当該障害物から離れる場合には、接触前に行われていたインピーダンス制御時の操作力F の方向(障害物に近づく方向)と逆向き(障害物から離れる方向)に操作力F が接触後に行われていた力制御時に働くことから、このように操作力F の方向が変わったとき、当該ワークWが障害物から離れる直前であると判断することができる。つまり、ロードセルを用いることなく、ハンド57に把持されたワークWが障害物から離れる直前を検出できる。これにより、障害物から離れる直前の検出を条件に、当該ワークWが「障害物から離れるまで」の停止中においてはモータ31a、31b、31cを開ループで力制御し当該ワークWが「障害物から離れた後」の移動中においてはモータ31a、31b、31cをインピーダンス制御することができる。したがって、ロードセルを備えることなく、操作性および安全性を向上することができる。またロードセルを要しないため、装置コストを低減することができる。
なお、上述した実施形態では、アシスト機構に係る所定の制御パラメータを推定する推定手段として、制御装置60のCPU61により情報処理されるカルマンフィルタ61a2を例示して説明したが、推定手段はこれに限られることはなく、例えば、逐次最小二乗法やオブザーバによるものであっても良い。
例えば逐次最小二乗法による推定手段として、次に説明するものが挙げられる。パワーアシスト装置20のz軸(z軸用ボールねじ38)の運動方程式を次式(15)のようにおく。そして、次式(16)の線形回帰モデルに変換する。
ここで、xはxをサンプリングしたものであり、tはサンプリングステップを表す。
このとき、θは次の式(19)により求めることができる。
θの推定値が求まれば前式(18)により、所定の制御パラメータとして、可動部の質量m(ワークWの質量を含む)、可動部の粘性抵抗cおよび可動部の摩擦抵抗Fを推定することができる。したがって、これらの制御パラメータの変化に応じた適切なアシスト力をモータ31a等に発生させることができる。
また、例えばオブザーバによる推定手段として、次に説明するものが挙げられる。パワーアシスト装置20のz軸(z軸用ボールねじ38)の運動方程式を前掲の式(15)のようにおくと、離散時間の状態方程式は次式(20)となり、また出力方程式は次式(21)となる。
ここで、
である。
この式(23)により求めることができる。ここで、Kは定数行列である。
これにより、所定の制御パラメータとして、ハンド57の位置x、移動速度x-dotを推定することができるので、これらの制御パラメータの変化に応じた適切なアシスト力をモータ31a等に発生させることができる。
本発明の一実施形態に係るパワーアシスト装置の機械的構成を示す斜視図で、パワーアシスト装置の上方から見たものである。 本実施形態に係るパワーアシスト装置の機械的構成を示す斜視図で、パワーアシスト装置のほぼ側方から見たものである。 本実施形態に係るパワーアシスト装置の機械的構成を示す斜視図で、パワーアシスト装置のほぼ下方から見たものである。 本実施形態に係るパワーアシスト装置の制御装置の構成を示すブロック図である。 本実施形態に係るパワーアシスト装置の制御装置による制御機能の構成を示す機能ブロック図である。 図6(A) は、図5に示すインピーダンス制御部の具体例を示す構成図で、図6(B) は、図5に示す力制御部の具体例を示す構成図である。 インピーダンス制御と力制御との間で切替制御を行うことなく、インピーダンス制御のままでハンドを障害物(紙コップ)に接触させた場合の時間軌道の例を示す特性図である。 インピーダンス制御と力制御との間で切替制御を行うことなく、インピーダンス制御のままでハンドを障害物(紙コップ)に接触させた場合の挙動例を示す説明図で、図8(A) は図7に示す時刻α、図8(B) は図7に示す時刻β、図8(C) は図7に示す時刻γ、におけるそれぞれの様子および図8(D) は図8(B) (時刻β)における障害物の状態を示すものである。 インピーダンス制御と力制御との間で切替制御を行いハンドを障害物(紙コップ)に接触させた場合の時間軌道の例を示す特性図である。 インピーダンス制御と力制御との間で切替制御を行いハンドを障害物(紙コップ)に接触させた場合の挙動例を示す説明図で、図10(A) は図9に示す時刻α、図10(B) は図9に示す時刻β、図10(C) は図9に示す時刻γ、におけるそれぞれの様子および図10(D) は図10(B) (時刻β)における障害物の状態を示すものである。 インピーダンス制御と力制御との間で切替制御を行いハンドを含めた操作部の一部を障害物(壁面等)に接触させた場合の時間軌道の例を示す特性図である。
符号の説明
20…パワーアシスト装置
21a、21b、21c、21d…支柱(アシスト機構)
22a、22b、22c、22d…ガイドレール(アシスト機構)
31a、31b、31c…モータ(アシスト力発生手段)
32a、32b、32c、32d…シャフト(アシスト機構)
33…ギヤ(アシスト機構)
34…ベルト(アシスト機構)
35…移動輪(アシスト機構)
36a…x方向ロッド(アシスト機構)
36b…y方向ロッド(アシスト機構)
38…z軸用ボールねじ(アシスト機構)
40…移動部(アシスト機構)
42a、42b…軸受(アシスト機構)
43…雌ねじ管(アシスト機構)
50…操作部(アシスト機構)
54…フォースセンサ(操作状態検出手段)
60…制御装置(推定手段、インピーダンス制御手段、力制御手段)
61…CPU(推定手段、インピーダンス制御手段、力制御手段)
61a…インピーダンス制御部(インピーダンス制御手段)
61b…力制御部(力制御手段)
61c…切替部(切替手段)
W…ワーク(物体)
M…操作者
…操作力(操作状態)
…トルク指令値

Claims (7)

  1. 移動または姿勢変更の対象となる物体を操作する操作者の操作状態を検出する操作状態検出手段と、
    前記操作者による前記物体の移動または姿勢変更を助けるアシスト力を発生させるアシスト力発生手段と、
    前記アシスト力を前記物体に与えるアシスト機構と、
    前記アシスト機構に係る所定の制御パラメータを推定する推定手段と、
    前記検出された操作状態および前記推定された所定の制御パラメータに基づいて、前記アシスト力発生手段をインピーダンス制御するインピーダンス制御手段と、
    前記検出された操作状態に基づいて、前記アシスト力発生手段を力制御する力制御手段と、
    所定条件を充足した場合、前記インピーダンス制御手段によるインピーダンス制御と前記力制御手段による力制御とを切り替える切替手段と、
    を備えることを特徴とするパワーアシスト装置。
  2. 前記切替手段は、前記操作状態に基づく前記インピーダンス制御における前記物体の目標移動速度と前記物体の実移動速度との差が所定値以上になった場合に、前記所定条件を充足したとして、前記インピーダンス制御手段によるインピーダンス制御から前記力制御手段による力制御に切り替えることを特徴とする請求項1記載のパワーアシスト装置。
  3. 前記切替手段は、前記操作状態が前記操作者による操作力であって、前記力制御における前記操作者による操作力の方向が、当該力制御に切り替わる直前の前記インピーダンス制御における前記操作者による操作力の方向と逆向きになった場合に、前記所定条件を充足したとして、前記力制御手段による力制御から前記インピーダンス制御手段によるインピーダンス制御に切り替えることを特徴とする請求項1記載のパワーアシスト装置。
  4. 前記推定手段は、カルマンフィルタによるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパワーアシスト装置。
  5. 前記推定手段は、最小二乗法によるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパワーアシスト装置。
  6. 前記推定手段は、オブザーバによるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパワーアシスト装置。
  7. 物体を操作する操作者の操作状態を含めた所定の制御パラメータに基づいた制御により、前記操作者による前記物体の操作をアシストするパワーアシスト装置であって、
    前記物体の操作状況により、前記所定の制御パラメータに基づくインピーダンス制御から前記操作状態に基づく力制御に切り替えたり、前記操作状態に基づく力制御から前記所定の制御パラメータに基づくインピーダンス制御に切り替えることを特徴とするパワーアシスト装置。
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