JP6831530B2 - 外乱オブザーバ及びロボット制御装置 - Google Patents
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Description
特許文献1では、駆動側と制御対象側との共振を抑制する自己共振相殺制御を適用するための外乱オブザーバが提案されている。
また、前記各リンクを駆動するモータのモータ電流を推定する電流オブザーバを備え、前記推定されたモータ電流に基づいて前記関節駆動力を算出してもよい。
また、本発明の別の外乱オブザーバは、複数のリンクが直列に連結されて、各リンクの関節変位、関節駆動力、慣性行列、速度二乗項、及び外乱によりダイナミックスが定義されるロボットの、推定外乱を算出する外乱オブザーバであって、前記外乱は、各リンクに作用する外力及び関節の摩擦力を含み、前記推定外乱の微分値が、所定の設計パラメータ行列と、前記外乱と前記推定外乱との推定誤差とに基づいて定義されるとき、それぞれが補助変数である第1補助変数と第2補助変数であって、前記リンクの加速度が排除されている第1補助変数と第2補助変数とに基づいて、前記補助変数の微分値が定義されることに基づいて、入力した前記関節駆動力、前記関節変位及び速度、関節駆動力及び外乱の作用点に関するヤコビ行列に基づいて前記第1補助変数と前記第2補助変数を算出することにより、前記推定外乱を算出し、各リンクに作用する外力及び摩擦力を分離して算出するものである。
図1を参照して本発明を具体化した第1実施形態の外乱オブザーバ10を説明する。
本実施形態の外乱オブザーバ10は、複数のリンクから構成されるマニピュレータや、複数のリンクから構成されるロボットハンドを制御するロボット制御装置を構成しているコンピュータにより構成されている。
関節変位の加速度を検出する加速度センサからの加速度信号は一般にノイズが多く含まれている。このため、加速度を必要としない外乱オブザーバとするために、式(11)を満たす
次に、モータ電流を用いない外乱オブザーバの実施形態について説明する。
上記した外乱オブザーバでは、関節駆動力(すなわち関節トルク)を入力として必要とする。関節駆動力は、一般的には、駆動力を付与する電動モータのモータ電流を計測して入力するか、計算し、このモータ電流に基づいて算出される。
そこで、モータ動特性を含めた系を記述することで、モータ電流の推定も可能な電流オブザーバを備える外乱オブザーバについて説明する。
図2を参照してロボットのダイナミックスの慣性項と速度二乗項が無視できる場合について説明する。
第1実施形態の外乱オブザーバ10、10Aでは、下記の効果がある。
(1)ノイズが多い加速度信号を必要としない効果がある。
(2)非線形ロボットに適用する制御法に関係なく、複数のリンクに作用する外力が推定できる。
図3を参照して、第2実施形態の外乱オブザーバ11を説明する。
第1実施形態では、外力のみ外乱として、関節の摩擦トルクについては既知とした。これに対して本実施形態では、関節の摩擦トルクを既知とせず、外力と摩擦トルク(摩擦力ともいう)の総和を推定する外乱オブザーバを構成するものである。
次に、上記の外乱オブザーバを、回転関節のみのロボットに適用した態様について説明する。
以上の説明から、下記(A)のロボットでは、下記のことがいえる。
次に、第2実施形態の外乱オブザーバ11の数値解析を行った。
図4に示すように、具体的には2つの関節アーム1、2で一定の力で天井3を押し付けながら移動する力制御を、上記した外乱オブザーバ11で制御可能なことを数値解析で確認した。
図4において、関節アーム1はベース5に立設された支持部材4に対して軸支点4aにて回動自在に支持されている。また、関節アーム2は、関節アーム1の先端に対して軸支点1aにて回動自在に支持されている。両関節アームは、図示しない駆動モータ等にて回転駆動される。関節アーム1、2は、リンクに相当する。
天井3から軸支点4aまでの距離l=0.12m。
関節アーム1のリンク長l1(軸支点1a、4a間の距離)=関節アーム2のリンク長l2(軸支点1aから関節アーム2先端間の距離)=0.1m。
軸支点4aから関節アーム1の重心までの距離lg1=軸支点1aから関節アーム2の重心までの距離lg2=0.05m。
関節アーム1の重量m1=関節アーム2の重量m2=0.0848kg。
関節アーム1の慣性モーメントI1=関節アーム2の慣性モーメントI2=0.000285Kgm2。
関節に作用する関節トルクは次式で与えた。
シミュレーション(1−2)の解析結果を図8〜図10に示す。これらは、それぞれ外乱推定誤差ノルム、外力推定誤差ノルム、及び摩擦力推定誤差ノルムである。
シミュレーション(2)は、外力が一定でないときでも、外乱推定できることを確認することを目的としている。
式(85)において、ロボットの慣性項と速度二乗項が無視できるとき、すなわち、
本外乱オブザーバ11Aによれば、ロボットの慣性項と速度二乗項が無視できる場合、例えば、アームの動作が低速なときに、適用できる。
第2実施形態の外乱オブザーバ11、11Aにおいても、第1実施形態の外乱オブザーバと同様の効果がある。
さらに、第2実施形態では、ヤコビ行列の変化に係りなく外力と摩擦が分離して推定できる。
なお、特許文献1〜特許文献4では、摩擦力とリンクで作用する外力の分離はされていない。
図13〜図16を参照して、次に前記外乱オブザーバを採用したロボット制御装置20について説明する。ロボット制御装置20は、ロボットハンド13を制御する。
図13に示すようにロボットハンド13は人間と同様に掌14と、拇指15と4本の指16を備えている。拇指15は、第1指であり、4本の指は、拇指15から順に第2指〜第5指である。
図14に示すように、拇指15は4関節4自由度を備えている。すなわち、拇指15は第1リンク〜第3リンク15a〜15cを備え、第1リンク15aは、関節軸Wを中心にして第1関節P1により、内外転可能(往復回転可能)にされている。
すなわち、他の指16は第1リンク〜第3リンク16a〜16cを備え、第1リンク16aは、第1関節P1により、内外転可能(往復回転可能)にされている(図14参照)。なお、内外転とは、掌14を含む仮想平面S1に沿った回転であって、前記関節軸Wは、仮想平面S1に対して直交する。第2関節P2による屈曲方向の回転と、第1関節P1による内外転する方向の回転は、互いに直交する方向の回転とされている。
拇指15以外の他の指16では、指先側の2つの関節(第3関節P3と第4関節P4)は、モータ等からなる1つのアクチュエータで駆動され、残りの他の関節(第1関節P1と第2関節P2)はそれぞれ1つのモータ等からなるアクチュエータにて駆動されるように構成されている。すなわち、拇指15以外の他の4本の指では、第3関節P3と第4関節P4とは連動するように構成されている。
ロボット制御装置20には、拇指15の接触点位置センサ18、エンコーダf1〜f4が接続されている。また、拇指15を除く他の指の接触点位置センサ18、エンコーダf1〜f3が接続されている。また、掌14の接触点位置センサ18が接続されている。
なお、図16においては、説明の便宜上、指16用については、出力側は1つの指16用のみを図示し、他の指16用については、簡略してブロックのみ図示している。また、同図では、入力側の指16用については、拇指15用とは、f4のみが省略された構成の相違だけであるため、簡略してブロックのみ図示している。
次に、本実施形態のロボット制御装置20の作用を説明する。
ここでは、ロボット制御装置20は、ロボットハンド13が未知形状の対象物Bの把持を、乳児が行う握り反射を模擬した把持方法で実現する。この把持方法は、接触点数を最大化し、対象物Bを拇指と他の指で包み込みして、対象物Bを把持する可能性をより高くするものである。また、包み込み把握により対象物Bの頑丈な把握が期待できるものとなる。
なお、説明の便宜上、ロボットハンド13により、対象物Bに対する把持が開始されている状態から説明する。
把持制御が行われる場合について説明する。
図17には、ロボットハンド13を用いて、外乱オブザーバを使用する把持制御系の構成が示されている。
同図に示すように、対象物Bを第1指〜第3指の3本指で、指腹部も利用して把持している。なお、第4指と第5指は、位置制御により、指先が、所定の位置となるように制御しているが、その説明は省略する。
この把持制御において実行する屈曲及び伸展について説明する。
この場合、各関節の目標速度は指の根元に行くほど相対的に大きな値とし、指先側へ行くほど相対的に小さな値としている。これにより、一般的に指の根元側のリンクから対象物Bに接触する。また、対象物Bを一様な接触力で把持するためには、全ての接触点での目標接触力を同値としている。
本実施形態では、指腹部の表面の接触点位置情報と、第1実施形態の外乱オブザーバ10を利用して指関節を個別に制御する。
なお、指先側の関節の目標速度を大きく設定すれば、包み込みの把握のみならず、指先把握も実現することが可能となる。
第1関節P1に対しては、上記制御に加えてさらに内転・外転の制御がEPC21により行われる。
詳しくは、第1関節P1については、対象物Bの大きさに合わせて駆動するように位置制御する。
本実施形態のロボット制御装置20では、外乱オブザーバ10の代わりに、図2に示す外乱オブザーバ10Aを採用しているところが異なっている。
ロボットのダイナミックスにおいて、加速度と速度が無視できる低速のときは、そのダイナミックスモデルは簡単化できる。このため、関節での摩擦トルクが既知で、ロボットのダイナミックスの慣性項と速度二乗項が無視できるとき、外乱オブザーバ10Aは、式(46)の関係を積分することで、推定外力を算出する(図2参照)。すなわち、加速度、及び速度が予めそれぞれ設定された判定閾値よりも小さいときは、外乱オブザーバ10Aで推定外力を算出する。
このようにロボットハンド13で対象物Bを把持するとき、慣性項や速度二乗項が無視できるときが多くあり、この場合、簡易に推定外力を推定することができる。
図4、図18、図19を参照して、次に、第4実施形態のロボット制御装置20を説明する。図4に示すように、前記ロボット制御装置20が制御するロボットは、それぞれ2つのアーム1、2をそれぞれリンクとするロボットであって、該関節アーム1、2で押し付け作業を行うためのものである。なお、図4で示すロボットの構成は、既に説明したので、各構成の詳細説明は省略する。
ロボット制御装置20は、各エンコーダf5、f6からの関節角度qijに基づいて各種制御を行うための制御値を演算し、その制御値を各駆動装置25、26に出力する。駆動装置25、26はその制御値に基づいて、アクチュエータ(すなわち、モータM1、M2)を駆動する。
ロボット制御装置20は、これらの目標値に基づいて、式(78)にて関節駆動力τを演算し、駆動装置25、26を介して、モータM1、M2を駆動する。ここで、式(78)で関節駆動力τを算出する際、ロボット制御装置20は第2実施形態の外乱オブザーバ11にて、推定の外力(図3では、推定外力)と、推定の摩擦力(図3では推定摩擦力)を算出し、ここで算出された推定の外力を推定接触力fとして、式(83)の算出に利用する。
このようにして、本実施形態では、高価な多軸力覚センサを必要としないロボットアーム制御を実現している。
本実施形態のロボット制御装置20では、外乱オブザーバ11の代わりに、図12に示す外乱オブザーバ11Aを採用しているところが異なっている。
関節での摩擦トルクが未知で、慣性項や速度二乗項が無視できるとき、関節での摩擦力と関節アーム(リンク)に作用する外力は、式(107)で表わす簡易版の外乱オブザーバ11Aにより推定できる。
・前記実施形態のロボット制御装置では、位置制御、軌道制御、力制御にそれぞれ外乱オブザーバが推定した外乱を使用するようにしたが、位置制御、軌道制御、或いは力制御のうち、いずれかの1つまたは2つの制御において使用してもよい。
10、10A、11、11A…外乱オブザーバ、13…ロボットハンド、
14…掌(第0リンク)、15…拇指、15a…第1リンク、
15b…第2リンク、15c…第3リンク、
16…指、16a…第1リンク、16b…第2リンク、16c…第3リンク、
18…接触点位置センサ、20…ロボット制御装置、21…ECU、
25、26…駆動装置、
B…対象物、f1〜f6…エンコーダ、M1、M2…モータ、
O…指の中心線、Q…最小二乗近似直線、
P1…第1関節、P2…第2関節、P3…第3関節、P4…第4関節。
Claims (5)
- 複数のリンクが直列に連結されて、各リンクの関節変位、関節駆動力、慣性行列、速度二乗項、及び外乱によりダイナミックスが定義されるn自由度のロボットの、推定外乱を算出する外乱オブザーバであって、
前記外乱は、m次元の先端リンクに作用する外力であって、m≦nであり、
前記推定外乱の微分値が、定数行列である設計パラメータ行列と、前記外乱と前記推定外乱との推定誤差とに基づいて定義されるとき、
それぞれが補助変数である第1補助変数と第2補助変数であって、前記リンクの加速度が排除されている第1補助変数と第2補助変数とに基づいて、前記補助変数の微分値が定義されることに基づいて、
入力した前記関節駆動力、前記関節変位及び速度、関節駆動力及び外力の作用点に関するヤコビ行列の疑似逆行列を用いて算出するm次元のダイナミックスに基づいて前記第1補助変数と前記第2補助変数を算出することにより、前記推定外乱を算出する外乱オブザーバ。 - 前記各リンクを駆動するモータのモータ電流を推定する電流オブザーバを備え、前記推定されたモータ電流に基づいて前記関節駆動力を算出する請求項1に記載の外乱オブザーバ。
- 複数のリンクが直列に連結されて、各リンクの関節変位、関節駆動力、慣性行列、速度二乗項、及び外乱によりダイナミックスが定義されるロボットの、推定外乱を算出する外乱オブザーバであって、
前記外乱は、各リンクに作用する外力及び関節の摩擦力を含み、
前記推定外乱の微分値が、所定の設計パラメータ行列と、前記外乱と前記推定外乱との推定誤差とに基づいて定義されるとき、
それぞれが補助変数である第1補助変数と第2補助変数であって、前記リンクの加速度が排除されている第1補助変数と第2補助変数とに基づいて、前記補助変数の微分値が定義されることに基づいて、
入力した前記関節駆動力、前記関節変位及び速度、関節駆動力及び外乱の作用点に関するヤコビ行列に基づいて前記第1補助変数と前記第2補助変数を算出することにより、前記推定外乱を算出し、各リンクに作用する外力及び摩擦力を分離して算出する外乱オブザーバ。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の外乱オブザーバを有するロボット制御装置であって、
ロボットの位置制御、軌道制御、力制御のうち、少なくともいずれか1つの制御に前記推定外乱を使用するロボット制御装置。 - ロボットハンドを有するロボット制御であって、
前記ロボットハンドの位置制御、軌道制御、力制御のうち、少なくともいずれか1つの制御に前記推定外乱を使用する請求項4に記載のロボット制御装置。
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