JP2005305691A - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 紫外線硬化型樹脂から、アスや脈理等の欠陥のないプラスチックレンズを短時間に高スループットにて製造する。
【解決手段】 成形型10の紫外線に対して透明な下型11および上型12で構成されたキャビティ14に充填された紫外線硬化型樹脂20に対して、照射源30から、中心軸(光軸)の周りに回転対称の照度分布を有する非平行な紫外線31を照射するとともに、照射中に照射源30を光軸方向に変位させることで、紫外線硬化型樹脂20の各部における紫外線31の照射方向を照射中に変化させ、キャビティ14に充填された紫外線硬化型樹脂20の同径部分の収縮挙動を等しくし、紫外線31の照度を低下させることなく樹脂を重合硬化させることで、アスや脈理等の欠陥のないプラスチックレンズを短時間に製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学素子の製造技術に関し、特に、紫外線硬化型樹脂を用いたプラスチックレンズ等の光学素子の製造技術等に適用して有効な技術に関する。
ガラスレンズに比較して軽量で耐衝撃性に優れ、型成形にて比較的安価に量産可能なことから、プラスチックレンズ等の光学素子が光学用途に広範に普及してきている。
従来のプラスチックレンズの製造方法には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリカーボネート(PC)等の熱可塑性樹脂を射出成形法により製造する方法と、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)の熱硬化性樹脂を注型法により加熱重合し製造する方法がある。
しかしながら、前者の射出成形法では、短時間での大量生産が可能である反面、内部均質性やレンズ面の転写性に問題があり、後者の注型法では、内部均質性や面の転写性は良いが重合時間に数時間から数十時間を要し量産性が悪いという問題がある。
この加熱重合による注型法の問題を解決する方法として、紫外線硬化型樹脂に、高圧水銀灯やメタルハライド灯などを紫外線源として紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂を重合硬化させることで、短時間にプラスチックレンズを製造する方法が提案されている。
紫外線硬化型樹脂を紫外線により硬化させる場合、紫外線硬化型樹脂や樹脂中に含有する重合開始材の種類、照射する紫外線の強度によって程度の差はあるが、得られたプラスチックレンズの内部に微小な方向性を持った脈理状の欠陥が発生し、透過光を入射すると光が拡散してしまい光学用のプラスチックレンズとしては使用できなかった。
この脈理状欠陥を解決する手段として、特許文献1では、紫外線源と成形型の間に透明石英ガラス製のスリガラスを配置し、紫外線を照射することで、拡散された方向性のない紫外線を樹脂に照射する製造方法が提案されている。
また、特許文献2では、細長い紫外線照射源を用い、紫外線を均一に照射するための第1の照射工程と、より効率よく照射するための第2の照射工程により、紫外線を照射する製造方法が提案されている。
上述の特許文献1に開示された製造方法では、スリガラス等の拡散板により紫外線が拡散され、実際に紫外線硬化型樹脂に照射される紫外線量(照度)が、直接紫外線を照射する場合と比較して低下する。従って、照射効率が悪くなり、重合完了までの硬化時間が長くなり、スループットが低下する。この対策として、紫外線照射源の数を増したり、高輝度の照射源を用いることはできるが、設備が高価になる。
また、特許文献2に開示された製造方法では、第1の照射工程と第2の照射工程を2種類の照射源を用いて行っており、照射設備が大きくなる。
また、紫外線硬化型樹脂は、照射される紫外線の照度によって、その硬化収縮挙動が異なるが、本特許文献2の技術では、紫外線硬化型樹脂の入った成形型に照射される紫外線照度が、成形型に対し回転対称性を有していないため、中心から等距離の部位の硬化収縮挙動が場所によって異なる。従って、重合完了時の樹脂(レンズ)の回転対称性が悪くなる「アス」等の光学特性劣化を生じる。
特公平7−20670号公報 特開平10−249953号公報
本発明の目的は、紫外線硬化型樹脂を用いた光学素子の製造方法において、高価で大がかりな設備を用いることなく、脈理やアス等の欠陥のないプラスチックレンズ等の光学素子を製造することにある。
本発明の他の目的は、紫外線硬化型樹脂を用いた光学素子の製造方法において、効率よく高スループットにて、脈理やアス等の欠陥のないプラスチックレンズ等の光学素子を製造することにある。
本発明の第1の観点は、紫外線を透過する型により目的の光学素子の形状のキャビティを形成し、前記キャビティ内に紫外線硬化型樹脂を注入したのち、前記型を透過する前記紫外線を前記紫外線硬化型樹脂に照射して重合硬化させる光学素子の製造方法であって、回転対称の照度分布を持ち、前記紫外線硬化型樹脂への入射方向が変化する紫外線を前記キャビティ内の前記紫外線硬化型樹脂に照射する光学素子の製造方法を提供する。
本発明の第2の観点は、紫外線を透過する型により目的の光学素子の形状のキャビティを形成し、前記キャビティ内に紫外線硬化型樹脂を注入したのち、前記型を透過する前記紫外線を前記紫外線硬化型樹脂に照射して重合硬化させる光学素子の製造方法であって、回転対称の照度分布を持つ紫外線を出射する紫外線照射源と、前記紫外線硬化型樹脂が充填された前記キャビティとの相対位置を変化させつつ、前記キャビティに対して収束もしくは発散する前記紫外線を照射する光学素子の製造方法を提供する。
本発明の第3の観点は、紫外線を透過する型により目的の光学素子の形状のキャビティを形成し、前記キャビティ内に紫外線硬化型樹脂を注入したのち、前記型を透過する前記紫外線を前記紫外線硬化型樹脂に照射して重合硬化させる光学素子の製造方法であって、回転対称の照度分布を持つ紫外線を出射する紫外線照射源と、前記紫外線硬化型樹脂が充填された前記キャビティとの間に、紫外線光学系を介在させ、前記紫外線光学系と前記キャビティとの相対位置を変化させつつ前記キャビティに対して収束もしくは発散する前記紫外線を照射する光学素子の製造方法を提供する。
本発明の第4の観点は、紫外線を透過する型により目的の光学素子の形状のキャビティを形成し、前記キャビティ内に紫外線硬化型樹脂を注入したのち、前記型を透過する前記紫外線を前記紫外線硬化型樹脂に照射して重合硬化させる光学素子の製造方法であって、前記紫外線を出射する紫外線照射源を、前記紫外線硬化型樹脂が充填された前記キャビティに対し常に等距離になる様に位置を変化させつつ前記紫外線を照射する光学素子の製造方法を提供する。
上記した本発明によれば、キャビティ内に充填された紫外線硬化型樹脂の硬化処理に際して、回転対称の照度分布を持ち、紫外線硬化型樹脂への入射方向が変化する紫外線を照射することにより、たとえば光軸に対して回転対称の形状を呈するプラスチックレンズ等の光学素子を構成する紫外線硬化型樹脂において、同径部分の収縮挙動を同じにし、紫外線の照度を低下させることなく樹脂を均一に重合硬化させることが可能になる。
従って、紫外線の照射ロスによる硬化時間の増大を生じることなく、また、複数の大がかりな紫外線源を用いる必要もなく、アスや脈理等の欠陥のないプラスチックレンズ等の光学素子を短時間に高いスループットにて製造することが可能になる。
本発明によれば、紫外線硬化型樹脂を用いた光学素子の製造方法において、高価で大がかりな設備を用いることなく、脈理やアス等の欠陥のないプラスチックレンズ等の光学素子を製造することができる。
また、紫外線硬化型樹脂を用いた光学素子の製造方法において、効率よく高スループットにて、脈理やアス等の欠陥のないプラスチックレンズ等の光学素子を製造することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施の形態である光学素子の製造方法を実施する製造装置の構成の一例を示す概念図であり、図2(a)〜(c)は、その作用の一例を示す概念図である。
本実施の形態の製造装置は、成形ステージ40上に載置された成形型10と、この成形型10に対向して配置され、照射源駆動機構35にて成形型10との上下方向の距離や水平方向の位置が可変に配置された照射源30を備えている。
成形ステージ40に載置された成形型10は、紫外線に対して透明な石英や紫外線(波長365nm)透過率が80%以上ある光学ガラス等の材料で構成され、その間に成形対象のプラスチックレンズ(図1の例ではメニスカスレンズ)等の光学素子の輪郭形状のキャビティ14を構成する下型11および上型12と、下型11および上型12の型合わせ面の外周部に配置され、キャビティ14の外周部の気密を保持するガスケット13を備えている。
そして、成形型10は、キャビティ14にて成形される成形対象のプラスチックレンズの光軸が、図1の上下方向(鉛直方向)になるように成形ステージ40に載置されている。
ガスケット13の一部には、図示しない注入口が設けられ、キャビティ14に対して、たとえばアクリル系の紫外線硬化型樹脂20の注入が可能になっている。
照射源30は、たとえば高圧水銀灯等の紫外線31の照射源を備え、当該紫外線31の出射部を成形型10に向けた姿勢で照射源駆動機構35に支持されており、照射源駆動機構35の変位にて、成形型10との上下方向の距離や水平方向の位置が可変にされている。
照射源30から出射される紫外線31は、照射源30の中心軸方向(図1の上下方向でキャビティ14の光軸方向の平行)に対して回転対称な照度分布を持ち、当該軸を中心として非平行に発散するように照射源の構造が設定されている。
図3に、本実施の形態における照射源30の中心軸(光軸)を中心とする同径部分の、照射開始時の紫外線31および照射終了時の紫外線31aの照度分布の測定結果を示す。この図3の例では、キャビティ14の口径(製品レンズ口径D1)が、たとえば10mmの場合を示しており、中心から、1mm単位に直径を変化させて測定した結果を示している。いずれの直径の場合も、照度のばらつきは、5%以下に収まっている。
以下、本実施の形態の光学素子の製造方法の作用の一例について説明する。まず、成形ステージ40に載置された成形型10のガスケット13の注入口からキャビティ14の内部に紫外線硬化型樹脂20を充填し、注入口を閉止する。
その後、照射源30の中心軸をキャビティ14(製品レンズ)の光軸に一致させるとともに、照射開始時距離H1(たとえば100mm)の高さから、成形型10のキャビティ14に充填された紫外線硬化型樹脂20に対する回転対称の紫外線31の照射を開始し、照射源駆動機構35にて照射源30は徐々に降下し、照射終了時距離H2(たとえば40mm)だけ移動して停止し、この照射源30の移動の間(照射時間は、たとえば60秒)にキャビティ14内の紫外線硬化型樹脂20は、上型12を透過して照射された紫外線31のエネルギーにて重合硬化し、目的の製品レンズが成形される。
ここで、照射源30の移動の間におけるキャビティ14内の紫外線31の紫外線硬化型樹脂20に対する照射状態に着目すると、照射開始時距離H1の照射開始時には、図2(a)に例示されるように光軸に対して傾斜角の小さい比較的平行な紫外線31が照射され、照射終了時距離H2の照射終了直前には、図2(b)のように、光軸に対する傾斜角度の比較的大きな紫外線31aが照射される。すなわち、照射源30が照射開始時距離H1の高さから照射終了時距離H2だけ降下しつつ紫外線硬化型樹脂20に照射される紫外線の照射方向は、キャビティ14内の任意の着目点Aについて見ると、図2(c)のように、照射源30が降下する間に、光軸の周りの回転対称な照度分布を維持しつつ、照射方向が徐々に変化するように照射される。
すなわち、本実施の形態の場合、キャビティ14内に充填された紫外線硬化型樹脂20に、回転対称の照度分布を持ち、且つ、紫外線硬化型樹脂20への入射方向が変化している紫外線31,31aを照射することにより、光軸を中心とする同径部分の紫外線硬化型樹脂20の収縮挙動が等しくなり、たとえば従来のように照度分布を均一化する等の目的でスリガラス等のフィルタを介在させることによる紫外線31の照度低下を生じることなく、紫外線31のエネルギーを有効に利用して紫外線硬化型樹脂20を短時間で重合硬化させることが可能になる。従って、紫外線硬化型樹脂20からアスや脈理等の欠陥のないプラスチックレンズを短時間に高いスループットにて製造することが可能になる。
ここで、キャビティ14に充填された紫外線硬化型樹脂20の紫外線31,31aの照射による重合硬化の速度は、図4の硬化曲線C1に例示されるように、照射開始時刻t0から初期の時刻t1まで(たとえばt0〜t1=10秒間)は大きく、以降は硬化完了時刻t2(たとえばt0〜t2=60秒間)まで徐々に飽和する変化となる。
一方、照射源30から出射される紫外線31の紫外線硬化型樹脂20に対する照度は、照射源30の出力を一定とすると、照射源30と紫外線硬化型樹脂20の距離に反比例して増加する。
そこで、照射源30を成形型10に対して照射開始時距離H1から照射終了時距離H2まで移動させる制御において、照度制御線C2のように、照射開始時刻t0から硬化完了時刻t2まで、紫外線硬化型樹脂20に対する照度が漸増するように、ほぼ一定の速度で照射源30を成形型10(紫外線硬化型樹脂20)に接近(降下)させる方法の他に、照度制御線C3のように、紫外線硬化型樹脂20の硬化速度の大きなt0〜t1までは照度が急速に大きくなるように、照射源30を照射開始時距離H1から照射終了時距離H2まで一気に移動させ、照射終了時距離H2の位置(高さ)で、硬化完了時刻t2まで静止状態で照射を行うように制御してもよい。
t0〜t1の間の硬化速度の大きな硬化初期の間に脈理やアス等の欠陥の有無がほぼ支配されると考えられるので、このt0〜t1の間に、照射源30を変位させて照射方向の異なる回転対称の照度分布を有する紫外線31,31aを照射することで、より効果的に脈理やアス等の欠陥を防止することが期待できる。
なお、図1の例では、成形型10の上型12の側からのみ紫外線31,31aを照射する例を示したが、図5に例示されるように、上型12および下型11の両側に成形型10を挟むように照射源30をそれぞれ対向して配置し、各照射源30を移動してもよく、または二つの照射源30の間で成形型10を移動させることで、紫外線31,31aを紫外線硬化型樹脂20に照射するようにしてもよい。この場合には、紫外線硬化型樹脂20の両面に照射される紫外線31の均一性や照度を大きくでき、紫外線硬化型樹脂20からアスや脈理等の欠陥のないプラスチックレンズをより短時間に高いスループットにて製造することが可能になる。
図6は、本発明の第2実施の形態である光学素子の製造方法を実施する製造装置の例を示している。この図6の場合、照射源30は、ランプ30aと反射板30bで構成され、出射される紫外線31は、照射源30の中心軸に対して平行となっている。そして、この照射源30と成形型10との間には、紫外線光学系として凸レンズ51が介在するように配置されており、平行な紫外線31は凸レンズ51にて収束されて非平行で回転対称の照度分布を持つ紫外線31aとして成形型10のキャビティ14に充填された紫外線硬化型樹脂20に、たとえば30秒間照射される構成となっている。
この紫外線31aの照度分布の測定例を図7に示す。この場合、製品レンズ口径D2が20mmの場合を示しており、2mm刻みで直径を変化させて中心から外周まで測定している。照射開始時および照射終了時のいずれの場合も、同径領域での照度分布のばらつきは5%未満となっている。
そして、成形型10が載置される成形ステージ40を照射源30および凸レンズ51に対して、照射開始時距離H3から照射終了時距離H4まで移動させることにより、上述の図2と同様の原理で、上述のようなばらつきの小さな回転対称の照度分布を持つ、異なる照射方向の紫外線31aが照射され、紫外線硬化型樹脂20からアスや脈理等の欠陥のないプラスチックレンズをより短時間に高いスループットにて製造することが可能になる。
特に、紫外線31を凸レンズ51によって収束して紫外線31aとして用いるため、より高照度の紫外線31aをキャビティ14内の紫外線硬化型樹脂20に照射でき、硬化時間が短縮される。
図8は、本発明の第3実施の形態である光学素子の製造方法を実施する製造装置の例を示している。この図8の場合、成形型60は、金属製の胴型63と、この内部に収納され、上端面がキャビティ64の一部を構成する金属下型61と、紫外線31に対して透明な石英ガラス等で構成され、キャビティ64の一部を構成する透明上型62と、型全体を支持する成形ステージ65で構成されている。
成形型60の透明上型62に対向する位置には、中心軸の周りに回転対称の照度分布を持つ平行な紫外線31を出射する照射源30が配置されている。そして、照射源30と成形型60の間には、紫外線光学系としての凹レンズ52が、図示しないレンズ駆動機構にて光軸方向に移動自在に配置されている。
照射源30から出射される回転対称の照度分布を持つ紫外線31は、凹レンズ52にて回転対称の照度分布を維持したまま発散される。したがって、照射源30から出射される平行な紫外線31の口径が製品レンズ口径D3に対して小さい場合でも、紫外線31の照射による成形を行うことができるという利点がある。
照射源−キャビティ間距離H5は、たとえば200mmに設定され、照射開始時光学系−キャビティ間距離H6は、たとえば60mmに設定され、光学系移動距離H7は、たとえば30mmに設定されている。
そして、成形型60において透明上型62を取り外してキャビティ64に紫外線硬化型樹脂20を充填して再び透明上型62にて閉止した後、照射開始時光学系−キャビティ間距離H6の位置に凹レンズ52がある状態から紫外線31の照射を開始し、光学系移動距離H7だけ凹レンズ52が移動する間(たとえば60秒)だけ照射を継続する。このとき、平行な紫外線31は、凹レンズ52によって光軸を中心として対称に発散して紫外線31aのように照射方向が変化し、照射中の凹レンズ52の移動によって、上述の図2と同様の原理でキャビティ64の紫外線硬化型樹脂20に対する紫外線31aの照射方向が硬化中に変化する。
また、図9に示されるように、凹レンズ52にて発散された紫外線31aの照射開始時と照射(硬化)終了時のキャビティ64(紫外線硬化型樹脂20)の面内の照度分布はほぼ平坦であり、ばらつきは小さくなっている。
これにより、上述のようなばらつきの小さな回転対称の照度分布を持つ、異なる照射方向の紫外線31aの照射にて、紫外線硬化型樹脂20から、アスや脈理等の欠陥のないプラスチックレンズをより短時間に高いスループットにて製造することが可能になる。
図10は、上述の図8の構成の変形例を示しており、凹レンズ52の代わりに、複数のレンズ等からなる紫外線光学系70を配置した点が異なっている。
すなわち、紫外線光学系70は、照射源30に近い側から順に、凸レンズ71、絞り72、凹レンズ73を、その光軸を照射源30の中心軸に一致させて配列した構成となっている。この紫外線光学系70において、凸レンズ71は、光軸方向に可動となっており、この凸レンズ71の光軸方向の位置を変化させながら紫外線31aの照射が行われる。
そして、図10(a)のように、凸レンズ71を照射源30に近接させた状態から照射開始し、照射中、凸レンズ71を成形型60の側に接近するように変位させる(図10(b))。
これにより、照射源30から出射される照度分布が回転対称の平行な紫外線31は、凸レンズ71にて一旦収束された後、絞り72および凹レンズ73を通過することによって発散状態の紫外線31aとなってキャビティ64内の紫外線硬化型樹脂20に照射され、しかも、凸レンズ71の照射中の変位によって、紫外線硬化型樹脂20の硬化中に紫外線硬化型樹脂20に対する紫外線31aの照射方向が、上述の図2と同様の原理にて変化する。
また、複数枚の凸レンズ71および凹レンズ73等からなる紫外線光学系70を成形型60のキャビティ64(紫外線硬化型樹脂20)と照射源30の間に介在させることにより、紫外線硬化型樹脂20への紫外線31aの入射方向をより自由に設定できる。また、凸レンズ71にて紫外線31を収束した後、凹レンズ73にて発散させるので、紫外線31を有効に利用することができる。
この結果、回転対称の照度分布を持つ、異なる照射方向の紫外線31aの照射にて、紫外線硬化型樹脂20から、アスや脈理等の欠陥のないプラスチックレンズをより短時間に高いスループットにて製造することが可能になる。
図11は、本発明の第4実施の形態である光学素子の製造方法を実施する製造装置の例を示している。この図11の構成では、成形型60に対向して配置された照射源30を、照射源駆動機構35にて三次元的に揺動させることで、キャビティ64の上部中心から等距離の球面上を移動させつつ中心軸の周りに回転対象の照度分布を持つ紫外線31をキャビティ64内の紫外線硬化型樹脂20に照射するものである。
これにより、キャビティ64(紫外線硬化型樹脂20)の上面における照度分布は、図12に例示されるように中心と周辺部とでほぼ均一になり、照度分布に変化がない。また、照射中に紫外線31の紫外線硬化型樹脂20に対する照射方向も変化する。このため、硬化収縮挙動が紫外線硬化型樹脂20の各部で一定となり、得られるプラスチックレンズの形状バラツキが小さくなる。このため、紫外線硬化型樹脂20から、アスや脈理等の欠陥のないプラスチックレンズをより短時間に高いスループットにて製造することが可能になる。
なお、上述の説明では、光学素子の一例としてプラスチックレンズを製造する場合を例示したが、回転対称の形状を有する一般の光学素子等に広く適用することができる。
次に、上述の本発明の各実施の形態を、比較例と対照して両者の効果の相違を示す。
[比較例1]
図1の第1実施の形態において、照射源30と成形型10の中心をずらし、紫外線31の照度分布を回転非対称としたものである。この場合の照射開始時および照射終了の照度分布を図13に示す。
[比較例2]
図6の第2実施の形態において、成形型10を照射中に静止させた。紫外線31の照度分布は、第2実施の形態の照射開始時と同じである。
[比較例3]
図8の第3実施の形態において、紫外線31の照射中に凹レンズ52を静止させた場合である。
[比較例4]
図11の第4実施の形態において、図14のように、照射源30を成形型60のキャビティ64に対してX,Y,Zの各位置を通るように平行に移動させた場合である。この時のX,Y,Zの各位置での紫外線硬化型樹脂20の平面における照度分布を図15に示す。
図16に、本発明の上述の第1〜第4実施の形態と、比較例1〜4の評価を対照して示す。評価方法は、脈理については、紫外線硬化型樹脂20から得られたプラスチックレンズの透過光による目視観測を行い、脈理が観測された場合に(×:有り)、観測されなかった場合に(○:なし)と判定した。アスについては、紫外線硬化型樹脂20から得られたプラスチックレンズに対して球面干渉計による干渉縞評価を実施し、アスが観測された場合に(×:有り)と判定し、観測されなかった場合に(○:なし)と判定した。
この結果、本発明の第1〜第4実施の形態では、いずれにおいても脈理およびアスは見られなかった。これに対して、比較例1および比較例4では、脈理は見られないもののアスが観測され、比較例2および比較例3では、アスは見られないものの脈理が観測された。
従って、図16から明らかなように、本発明の第1〜第4実施の形態にて紫外線硬化型樹脂20から得られるプラスチックレンズは、比較例1〜4から得られるものに比較して脈理およびアス等の欠陥の観点から、光学的な特性が優れていることが実証された。
本発明の第1実施の形態である光学素子の製造方法を実施する製造装置の構成の一例を示す概念図である。 (a)〜(c)は、その作用の一例を示す概念図である。 本発明の第1実施の形態である光学素子の製造方法における照射開始時および照射終了時の照度分布の測定結果を示す図である。 本発明の第1実施の形態である光学素子の製造方法における照射源の変位制御例を示す線図である。 本発明の第1実施の形態である光学素子の製造方法を実施する製造装置の変形例を示す概念図である。 本発明の第2実施の形態である光学素子の製造方法を実施する製造装置の一例を示す概念図である。 本発明の第2実施の形態である光学素子の製造方法における照射開始時および照射終了時の照度分布の測定結果を示す図である。 本発明の第3実施の形態である光学素子の製造方法を実施する製造装置の一例を示す概念図である。 本発明の第3実施の形態である光学素子の製造方法における照射開始時および照射終了時の照度分布の測定結果を示す線図である。 本発明の第3実施の形態である光学素子の製造方法を実施する製造装置の変形例を示す概念図である。 本発明の第4実施の形態である光学素子の製造方法を実施する製造装置の例を示す概念図である。 本発明の第4実施の形態である光学素子の製造方法における照度分布の測定結果を示す線図である。 比較例1における照射開始時および照射終了時の照度分布の測定結果を示す図である。 比較例4の製造装置の構成を示す概念図である。 比較例4における照度分布の測定結果を示す線図である。 本発明の第1〜第4実施の形態と、比較例1〜4の評価を対照して示す図である。
符号の説明
10 成形型
11 下型
12 上型
13 ガスケット
14 キャビティ
20 紫外線硬化型樹脂
30 照射源
30a ランプ
30b 反射板
31,31a 紫外線
35 照射源駆動機構
40 成形ステージ
51 凸レンズ
52 凹レンズ
60 成形型
61 金属下型
62 透明上型
63 胴型
64 キャビティ
65 成形ステージ
70 紫外線光学系
71 凸レンズ
72 絞り
73 凹レンズ
C1 硬化曲線
C2 照度制御線
C3 照度制御線
D1 製品レンズ口径
D2 製品レンズ口径
H1 照射開始時距離
H2 照射終了時距離
H3 照射開始時距離
H4 照射終了時距離
H5 照射源−キャビティ間距離
H6 照射開始時光学系−キャビティ間距離
H7 光学系移動距離

Claims (7)

  1. 紫外線を透過する型により目的の光学素子の形状のキャビティを形成し、前記キャビティ内に紫外線硬化型樹脂を注入したのち、前記型を透過する前記紫外線を前記紫外線硬化型樹脂に照射して重合硬化させる光学素子の製造方法であって、
    回転対称の照度分布を持ち、前記紫外線硬化型樹脂への入射方向が変化する紫外線を前記キャビティ内の前記紫外線硬化型樹脂に照射することを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 紫外線を透過する型により目的の光学素子の形状のキャビティを形成し、前記キャビティ内に紫外線硬化型樹脂を注入したのち、前記型を透過する前記紫外線を前記紫外線硬化型樹脂に照射して重合硬化させる光学素子の製造方法であって、
    回転対称の照度分布を持つ紫外線を出射する紫外線照射源と、前記紫外線硬化型樹脂が充填された前記キャビティとの相対位置を変化させつつ、前記キャビティに対して収束もしくは発散する前記紫外線を照射することを特徴とする光学素子の製造方法。
  3. 紫外線を透過する型により目的の光学素子の形状のキャビティを形成し、前記キャビティ内に紫外線硬化型樹脂を注入したのち、前記型を透過する前記紫外線を前記紫外線硬化型樹脂に照射して重合硬化させる光学素子の製造方法であって、
    回転対称の照度分布を持つ紫外線を出射する紫外線照射源と、前記紫外線硬化型樹脂が充填された前記キャビティとの間に、紫外線光学系を介在させ、前記紫外線光学系と前記キャビティとの相対位置を変化させつつ前記キャビティに対して収束もしくは発散する前記紫外線を照射することを特徴とする光学素子の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法において、前記紫外線硬化型樹脂に入射する前記紫外線の照度分布が、前記キャビティの中心から等距離にある位置の照度が平均照度±5%以内であることを特徴とする光学素子の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法において、前記光学素子はプラスチックレンズであり、前記紫外線は、前記プラスチックレンズの光軸に対して回転対称の照度分布を持つことを特徴とする光学素子の製造方法。
  6. 紫外線を透過する型により目的の光学素子の形状のキャビティを形成し、前記キャビティ内に紫外線硬化型樹脂を注入したのち、前記型を透過する前記紫外線を前記紫外線硬化型樹脂に照射して重合硬化させる光学素子の製造方法であって、
    前記紫外線を出射する紫外線照射源を、前記紫外線硬化型樹脂が充填された前記キャビティに対し常に等距離になる様に位置を変化させつつ前記紫外線を照射することを特徴とする光学素子の製造方法。
  7. 前記紫外線硬化型樹脂の硬化の初期に前記紫外線の照度を漸増させ、その後、硬化完了まで前記照度をほぼ一定に保つことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。

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