JP2005305386A - 粉体篩分方法 - Google Patents

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浩二 松村
Masaki Sugihara
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【課題】 粗粉とともに排出される微粉を低減することができ、かつ時間当たりの微粉の回収量を多くすることができる粉体篩分方法を提供する。
【解決手段】 振動によって円形のスクリーン26上の粉体を中心に向かって移動させる篩分振動モードと、振動によって円形のスクリーン26上の粉体を外周に向かって移動させて排出する排出振動モードとを有する篩分装置10を用い、篩分時間Xと排出時間Yとが0.13X0.33≦Y≦0.2857Xの条件を満たすように、篩分と排出とを交互に繰り返し、篩分の間、スクリーン面積当たりの平均供給速度が10〜80kg/(min・m2 )となるように粉体をスクリーン26上に供給し、篩分および排出の間、スクリーン26上の粉体に超音波による振動を与える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、粉体、特にアクリルゾル用樹脂微粉末の篩分方法に関する。
粉体の篩分に用いられる篩分装置としては、加振手段による振動によって円形のスクリーン上の粉体を中心に向かって移動させる篩分振動モードと、加振手段による振動によって円形のスクリーン上の粉体を外周に向かって移動させて排出する排出振動モードとを有するものが知られている(特許文献1)。
この篩分装置においては、篩分振動モードによる運転を所定時間行うことによって、スクリーン上に供給された粉体はスクリーンの中心に移動しながら篩分されて、スクリーンを通過した微粉は製品として回収される。微粉の回収後、スクリーン上に残った粗粉は、排出振動モードによる運転によってスクリーンの周縁に設けられた排出口から排出される。
ところで、アクリルゾル用樹脂微粉末は、液状の可塑剤に分散して使用され、塗付や成形などの加工方法により建築内壁材(壁紙)、軟質シート類、各種成形材料など使用されている。このため、アクリルゾル用樹脂微粉末に要求される性能としては、可塑剤に効率よく分散させるため粉末の粒子径が小さいこと、1次粒子同士の融着が進行していない嵩比重の値が低い微粉(体積平均粒子径80μm以下、嵩比重0.4g/cc以下)が好まれる。
このようなアクリルゾル用樹脂微粉末は、粒子径が小さいく、嵩比重が低い(平均粒子径80μm以下、嵩比重0.4g/cc以下)ため、粉末を取り扱い時に微粉同士がゆるく凝集した状態になりやすい。そのため、アクリルゾル用樹脂微粉末の製造工程では篩分工程が必要となり、この際の生産性と篩分精度の向上が課題となっている。
上記篩分装置を用いてアクリルゾル用樹脂微粉末の篩分を行った場合でも、ゆるく凝集した粉末がスクリーンを通過することなく、スクリーン上に残ってしまい、粗粉とともに排出されてしまうという問題があった。凝集粉は、本来は製品と回収されるべき微粉が凝集したものであり、これをほぐせば正常な製品として回収できる微粉となるものであるので、凝集粉がほぐれずに粗粉とともに排出されることは、製品の歩留まりに大きく影響する。
また、粉体から製品となる微粉を収率よく回収するためには、スクリーン上への粉体の供給速度を遅くし、篩分振動モードによる運転を長時間行うことによって、少ない粉体を長時間かけてじっくり篩分する必要があるが、これでは時間当たりの正常な製品となる微粉の回収量(生産量)が極端に落ちてしまう。一方、時間当たりの微粉の回収量を多くするために、スクリーン上への粉体の供給速度を速くすると、スクリーン上に滞留する粗粉の量が多くなり、スクリーンの目詰まりが起きやすくなって、篩分の効率が落ちてしまう。そこで、スクリーン上に滞留する粗粉の量を減らすために、排出振動モードによる運転時間を長くすると、粗粉とともに排出される微粉の量が多くなり、微粉の収率が悪くなる。
特開平11−33488号公報
よって、本発明の目的は、粗粉とともに排出される微粉を低減することができ、かつ時間当たりの微粉の回収量を多くすることができる粉体篩分方法を提供することにある。
すなわち、本発明の粉体篩分方法は、加振手段による振動によって円形のスクリーン上の粉体を中心に向かって移動させる篩分振動モードと、加振手段による振動によって円形のスクリーン上の粉体を外周に向かって移動させて排出する排出振動モードとを有する篩分装置を用いた粉体篩分方法において、篩分振動モードによる運転時間Xと排出振動モードによる運転時間Yとが下記式(1)の条件を満たすように、篩分振動モードによる運転と排出振動モードによる運転とを交互に繰り返し、篩分振動モードによる運転の間、スクリーン面積当たりの平均供給速度が10〜80kg/(min・m2 )となるように、スクリーン上に粉体を供給し、篩分振動モードによる運転および排出振動モードによる運転の間、前記加振手段による振動とは別に、スクリーン上の粉体に超音波による振動を与えることを特徴とする。
0.13X0.33≦Y≦0.2857X (1)
このような粉体篩分方法は、体積平均粒子径が80μm以下、嵩比重が0.4g/cc以下のアクリルゾル用樹脂微粉末の篩分に好適である。
本発明の粉体篩分方法によれば、粗粉とともに排出される微粉を低減することができ、かつ時間当たりの微粉の回収量を多くすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(篩分装置)
図1は、本発明の粉体篩分方法に用いられる篩分装置の一例を示す概略側面図(一部断面図)である。この篩分装置10は、加振手段(図示略)が内蔵された円筒状の架台12と、架台12上に複数のスプリング14を介して振動自在に支持された振動体ベース16と、振動体ベース16上に固定された篩本体18と、超音波発振器20とを具備して概略構成されるものである。
篩本体18は、振動体ベース16上に、下円筒枠22、中円筒枠24、スクリーン26、上円筒枠28、および蓋体30が積み上げられて構成されるものである。
下円筒枠22の底部には、スクリーン26を通過した微粉を受ける円錐状の微粉受け32が設けられ、側面には、微粉受け32で受けた微粉を回収するための微粉回収口34が設けられている。
上円筒枠28の側面には、スクリーン26上の粗粉を排出するための粗粉排出口36が、図2に示すように、スクリーン26の半径方向に対して時計回り方向に傾斜して設けられ、この粗粉排出口36の入口には、スクリーン26上を反時計回り方向に移動する粉体の粗粉排出口36への侵入を阻止するガイド板38が設けられている。
スクリーン26の下面には、図2に示すように、スクリーン26よりも小径の共振リング40が設けられ、この共振リング40には、超音波発振器20からの超音波を超音波振動に変換する変換器42が取り付けられている。超音波発振器20からの超音波は、変換器42によって超音波振動に変換され、この超音波振動が、共振リング40で共振することにより、超音波振動がスクリーン26上の粉体に与えられる。スクリーン26としては、金属板に無数の孔を形成したもの、ステンレス等のワイヤを製織したものなどを用いることができる。
蓋体30の中央には、粉体をスクリーン26上に供給するための粉体供給口44が設けられている。
加振手段は、例えば、振動体ベース16の中央から下方に伸びるように振動体ベース16に固定された軸受けと、軸受けに支持され、かつ上部が振動体ベース16よりも上方に突き出した回転軸と、回転軸の上部および下部に、軸受けを挟むように、かつ回転軸に対して重心を偏心させて回動可能に取り付けられた上部ウエイトおよび下部ウエイトと、回転軸を回転させるモータとを具備するものである。
この加振手段において、上部ウエイトの重心と回転軸とを結ぶ線と、下部ウエイトの重心と回転軸とを結ぶ線とがなす角度を変更することにより、図3の矢印に示すような、スクリーン26上の粉体を、反時計回りに旋回させながら中心に向かって移動させる篩分振動モードと、図4の矢印に示すような、加振手段による振動によってスクリーン26上の粉体を、時計回りに旋回させながら外周に向かって移動させて排出する排出振動モードとを切り替えることができる。
加振手段による振動によって円形のスクリーン上の粉体を中心に向かって移動させる篩分振動モードと、加振手段による振動によって円形のスクリーン上の粉体を外周に向かって移動させて排出する排出振動モードとを有する篩分装置としては、例えば、(株)興和工業所製の円型振動ふるい機KFSR型などが挙げられる。
(粉体篩分方法)
次に、この篩分装置を用いた粉体篩分方法について説明する。
まず、篩分装置10の運転を篩分振動モードにて開始し、同時に超音波発振器20を稼働させて、スクリーン26に超音波振動を与える。
ついで、粉体供給口44から粉体をスクリーン26上に所定の平均供給速度にて連続的または断続的に供給し、スクリーン26上の粉体をスクリーン26の中心に向かって移動させながら、微粉と粗粉との篩分を所定時間行う。スクリーン26を通過した微粉は、微粉回収口34より回収する。
篩分振動モードによる運転を所定時間行ったら、スクリーン26上への粉体の供給を止め、篩分装置の運転を排出振動モードに切り替え、スクリーン26上の粗粉をスクリーン26の外周に向かって移動させ、粗粉排出口36より排出する。
以上の篩分振動モードによる運転と、排出振動モードによる運転とを交互に繰り返す。篩分装置の運転中は、絶えず超音波発振器20を稼働させて、スクリーン26上の粉体に超音波振動を与える。
篩分振動モードによる運転時間X(以下、篩分時間Xと略す)および排出振動モードによる運転時間Y(以下、排出時間Yと略す)は、下記式(1)の条件を満たすように設定される。
0.13X0.33≦Y≦0.2857X (1)
排出時間Yが、0.13Y0.33よりも短い、すなわち、篩分時間Xおよび排出時間Yが、図5のグラフに示す直線Bよりも下の領域にある場合、スクリーン26上に残留する粗粉は排出振動モードで運転する時間内に全て排出されない。このような状況になると、長期の連続運転をした場合、スクリーン26上に残留する粗粉が徐々に増加し、スクリーン26の目詰まりが起きやすくなって、篩分の効率が落ちてしまう。ここで、直線Bは、スクリーン26上に残留する粗粉を、スクリーン26の目詰まりが起きない程度に減らすために必要最低限の排出時間Yを示す直線であり、篩分時間Xが長くなるにつれて、スクリーン26上に残留する粗粉の量も増え、これに伴い排出時間Yも長くなる。
排出時間Yが、0.2857Xよりも長い、すなわち、篩分時間Xおよび排出時間Yが、図5のグラフに示す直線Aよりも上の領域にある場合、スクリーン26上に残留する粗粉は排出振動モードで運転する時間内に全て排出されるが、篩分振動モードで運転する時の処理量が増加する。このような状況になると、篩分振動モードで運転している時の篩分け能力が低下し、連続運転をした場合の平均処理速度が低下する。
篩分振動モードによる運転の間、スクリーン26上に供給される粉体の、スクリーン面積当たりの平均供給速度は、10〜80kg/(min・m2 )とされる。スクリーン面積当たりの平均供給速度が10kg/(min・m2 )未満では、篩分される粉体の量が少なく、時間当たりの微粉の回収量を高くすることができない。スクリーン面積当たりの平均供給速度が80kg/(min・m2 )を超えると、スクリーン26上に滞留する粉体の量が多くなり、粗粉とともに排出される微粉の量が多くなる。
(作用)
以上説明した粉体篩分方法にあっては、篩分時間Xと排出時間Yとが上記式(1)の条件を満たすように、篩分振動モードによる運転と排出振動モードによる運転とを交互に繰り返しているので、スクリーン26上に残留する粗粉の量が多くなることがなく、スクリーン26の目詰まりが起きにくい。よって、篩分の効率を落とすことなく、長時間安定して粉体の篩分を行うことができる。しかも、粗粉とともに排出される微粉の量が少なく、微粉の収率も高い。
また、篩分振動モードによる運転の間、スクリーン面積当たりの平均供給速度が10〜80kg/(min・m2 )となるように、スクリーン26上に粉体を供給しているので、粗粉とともに排出される微粉の量が少なく、微粉の収率も高い。しかも、微粉の収率を落とすことなく、時間当たりの微粉の回収量を高くすることができる。
また、篩分振動モードによる運転および排出振動モードによる運転の間、加振手段による振動とは別に、スクリーン26上の粉体に超音波による振動を与えているので、粉体の篩分を行いつつ、微粉が凝集状態となっている凝集粉をほぐして微粉に戻すことができる。よって、凝集状態で粗粉とともに排出される微粉を低減することができ、微粉の収率をさらに高くすることができる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
乳化重合法にてメチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体ラテックスを得た。このラテックスを、加圧2流体ノズルを備えたスプレードライヤ(大川原化工機(株)製)を用い、入口温度180℃、出口温度70℃のスプレードライヤ条件にて粉体とした。
得られた粉体は、嵩比重0.3g/cc、体積平均粒子径45μm、粒子径20μm以下の微粉16%であった。ここで、体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度測定装置MT−3000(マイクロトラック製)で測定した。
この粉体の篩分を図1に示すような構成を有する篩分装置((株)興和工業所製、円型振動ふるい機KFSR−1200、スクリーンサイズφ1200mm、スクリーン目開き250μm)を用い、以下のようにして行った。
[実施例1]
まず、篩分装置の運転を篩分振動モードにて開始し、同時に超音波発振器20(テルソニック社製)を、インバータ周波数50Hzにて稼働させた。篩分装置の運転中は、絶えず超音波発振器20を稼働させて、スクリーン26上の粉体に超音波振動を与えた。
篩分振動モードによる運転開始から30秒後、スクリーン26上への粉体の供給を開始した。粉体供給口44から粉体をスクリーン26上に3000kg/hr[44kg/(min・m2 )]の平均供給速度にて連続的に供給し、スクリーン26上の粉体をスクリーン26の中心に向かって移動させながら、微粉と粗粉との篩分を36分行った。スクリーン26を通過した微粉は、微粉回収口34より回収した。
篩分振動モードによる運転の終了30秒前に、スクリーン26上への粉体の供給を止めた。篩分装置の運転を排出振動モードに切り替え、スクリーン26上の粗粉をスクリーン26の外周に向かって移動させ、粗粉排出口36より1.5分間排出した。排出時間Y(1.5分)は、0.13X0.33(0.42分)と0.2857X(10.2分)の間であった。
以上の篩分振動モードによる運転と、排出振動モードによる運転とを交互に繰り返し、3日間連続して運転を行った。平均回収量2800kg/hrで安定して連続運転できた。
[比較例1]
篩分時間Xを20分、排出時間Yを10秒に変更した以外は、実施例1と同様にして粉体の篩分を行った。排出時間Y(0.167分)が、0.13X0.33(0.35分)より短かったため、粗粉がスクリーン26上にしだいに増えていき、運転開始から2時間で、正常な篩分ができなくなって、微粉が多量に粗粉排出口36から排出されるようになった。
[比較例2]
粉体の平均供給速度を5700kg/hr[84kg/(min・m2 )]に変更した以外は、実施例1と同様にして粉体の篩分を行った。スクリーン26上に滞留する粉体の量が多くなり、粗粉とともに排出される微粉の量が多くなった。
本発明の粉体篩分方法は、粗粉とともに排出される微粉を低減することができ、かつ時間当たりの微粉の回収量を多くすることができるので、粉体の生産量を増やすことができ、しかも歩留まりもよい。
本発明の粉体篩分方法に用いられる篩分装置の一例を示す概略側面図(一部断面図)である。篩分装置の一例を示す概略上面図である。 図1の篩分装置のスクリーンを上方から見た図である。 篩分振動モードにおける粉体の動きを示す図である。 排出振動モードにおける粉体の動きを示す図である。 本発明において設定される篩分時間Xおよび排出時間Yの範囲を示すグラフである。
符号の説明
10 篩分装置
26 スクリーン

Claims (1)

  1. 加振手段による振動によって円形のスクリーン上の粉体を中心に向かって移動させる篩分振動モードと、加振手段による振動によって円形のスクリーン上の粉体を外周に向かって移動させて排出する排出振動モードとを有する篩分装置を用いた粉体篩分方法において、
    篩分振動モードによる運転時間Xと排出振動モードによる運転時間Yとが下記式(1)の条件を満たすように、篩分振動モードによる運転と排出振動モードによる運転とを交互に繰り返し、
    0.13X0.33≦Y≦0.2857X (1)
    篩分振動モードによる運転の間、スクリーン面積当たりの平均供給速度が10〜80kg/(min・m2 )となるように、スクリーン上に粉体を供給し、
    篩分振動モードによる運転および排出振動モードによる運転の間、前記加振手段による振動とは別に、スクリーン上の粉体に超音波による振動を与えることを特徴とする粉体篩分方法。
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