JP2005305276A - 燃料用フィルター材 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期使用後も繊維の脱落の懸念が無く、異なる密度を有する複数の層を結合する後工程が不要で、通常の織物と同様に袋加工を容易に行うことができる燃料フィルター材を提供する。
【解決手段】フィルター材11を構成する多層織物は、3層の織り組織12a〜12cが閉じ糸13a,13bで結合され、各織り組織12a〜12cはそれぞれ経糸14a〜14c及び緯糸15a〜15cの平織りで構成されている。織り組織12a〜12cは隣接する2層の織り組織12a,12b、12b,12cがそれぞれ閉じ糸13a,13bによって結合されている。各織り組織12a〜12cは、多層織物の厚さ方向の一方の側に配置された織り組織12aの織り密度が最も低く、以下織り組織12b、織り組織12cの順に織り密度が高くなるように製織されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料用フィルター材に係り、詳しくは自動車用エンジン等の内燃機関用の燃料タンクに装備されて、燃料中の異物を除去する燃料用フィルターに好適に使用される燃料用フィルター材に関する。
図7に示すように、自動車用燃料タンク41は、燃料42をエンジン(図示せず)に連通する供給ライン43に供給する燃料ポンプ44を備えている。燃料ポンプ44は、燃料フィルター45により燃料中の異物が除去された燃料42を供給ライン43に供給する。燃料フィルター45は、袋状に加工されたフィルター材46と、その内部に配置された間隔保持部材47とを有し、間隔保持部材47に固定された出口部48において燃料ポンプ44に接続されている。
前記構成の燃料フィルターのフィルター材として、合成樹脂からなる補強材と合成繊維の長繊維不織布とが一体接合されたフィルター材が提案されている(例えば特許文献1参照。)。特許文献1には、フィルター材46として、図6に示すように、粗構造の長繊維不織布からなる外層49と、密構造の長繊維不織布からなる内層50とが接合部51を介して接合された積層不織布が、その外層49において補強材52に接合部53を介して一体接合されたものが開示されている。接合部51はホットメルト樹脂接着で形成され、接合部53は部分熱圧着(部分熱融着)で形成されている。そして、フィルター材46は、補強材52が外側になるように重ね合わせて、端部周囲を熱シールして袋状に加工されて使用される。この構成では、粗構造の外層49で比較的大きい粒子を捕集し、密構造の内層50で小さい粒子の捕集を行うため、フィルター寿命が長くなる。
特開2003−236321号公報(明細書の段落[0002],[0003],[0019]、図1,3)
ところが、特許文献1に記載のフィルター材46は、不織布を使用しているため、長時間の使用により不織布から繊維の脱落が生じ、燃料とともに供給ライン43へ供給される虞がある。また、外層49と内層50との接合はホットメルト樹脂による接合で、外層49と補強材52との接合は部分熱融着により行われるため、各層の接合工程が複雑になる。また、長時間使用による接着性の低下の懸念もある。さらに、外層49及び内層50が不織布であるため、接着された部分はよいが、その周りは繊維を切断したものの集まりのため、接着部の周りから剥がれてくるという問題もある。また、不織布は縫製加工にやや難点がある。
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、長期使用後も繊維の脱落の懸念が無く、異なる補集性能を有する複数の層を結合する後工程が不要で、通常の織物と同様に袋加工を容易に行うことができる燃料用フィルター材を提供することにある。
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、経糸及び緯糸で製織された3層以上の織り組織が閉じ糸で結合された多層織物で構成され、前記織り組織として少なくとも3種類の織り密度の織り組織が存在し、かつ前記多層織物の厚さ方向の一方の側に配置された織り組織の織り密度が最も低く、他方の側に配置された織り組織の織り密度が最も高くなるように製織されている。
この発明では、3層以上の織り組織が閉じ糸で結合されているため、不織布を使用したフィルター材と異なり、繊維脱落の懸念が無く、異なる補集性能を有する複数の層を結合する後工程が不要で、通常の織物と同様に袋加工を容易に行うことができる。また、少なくとも3種類の織り密度の織り組織が存在し、織り密度が最も低い織り組織側から燃料がフィルター材を通過するように使用することにより、織り密度の異なる織り組織の層毎にそれぞれ粒径の異なる異物を効率良く補集することができ、単層組織に比較して補集性能が向上するとともに寿命が延びる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記織り組織は隣接する2層がそれぞれ閉じ糸によって結合されている。各閉じ糸が全ての織り組織を貫通するようにして折り返し状に配列される構成では、使用中に折り返し部が摩耗などで切断されたとき、3層全ての織り組織に対する結合機能がなくなり、層間剥離が発生する。しかし、この発明では、各閉じ糸は、3層以上の織り組織を全て貫いて織り組織同士を結合するのではなく、隣接する2層の織り組織を結合するように配列されている。従って、一方の閉じ糸が切断されることにより、その閉じ糸によって結合されていた2層の織り組織に対する結合機能がなくなっても、2層の織り組織が他方の閉じ糸により結合されているため、フィルター材全体に層間剥離が発生するのが防止される。また、層間剥離が閉じ糸の切断箇所以外の部分に波及するのが抑制される。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記多層織物の他方の側に、さらに織り組織が配置され、多層織物を構成する織り組織は隣接する2層がそれぞれ閉じ糸によって結合されている。この発明では、フィルタ材を両側の層が擦れる使い方で使用した場合でも、織り密度の高い織り組織が直接擦れることが防止され、織り密度の高い織り組織の耐久性が向上する。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記織り組織のうち少なくとも前記織り密度の最も高い織り組織に使用されている経糸及び緯糸は、無撚りのマルチフィラメント繊維束で形成されている。この発明では、経糸及び緯糸にモノフィラメント糸や撚りの掛かったマルチフィラメント糸を使用した場合に比較して粒径の小さな異物を効率良く補集することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記閉じ糸にはマルチフィラメント糸の双糸が使用されている。この発明では、閉じ糸にモノフィラメントを使用した場合に比較して強度が強くなる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記織り組織を構成する経糸及び緯糸は太さが50〜900デニールのマルチフィラメント糸が使用されている。この発明の範囲の太さの糸を使用することにより、糸の入手が容易になるとともに目的とする捕集性能を確保するのが容易になる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記経糸、緯糸及び閉じ糸には、燃料油に対して安定した耐性を有する繊維のマルチフィラメントが使用されている。燃料油に対して安定した耐性を有する繊維としてはポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維等が挙げられる。この発明では、燃料フィルターとして使用した際に耐久性が確保される。
本発明によれば、長期使用後も繊維の脱落の懸念が無く、異なる密度を有する複数の層を結合する後工程が不要で、通常の織物と同様に袋加工を容易に行うことができる。
以下、本発明をガソリンエンジンを装備した自動車用の燃料タンクの燃料用フィルター材に具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。図1は燃料用フィルター材(以下、単にフィルター材と称す。)の構造を示す模式図、図2及び図3は多層織物の製織状態を示す模式図である。
図1に示すように、フィルター材11は、3層の多層織物で構成され、多層織物は3層の織り組織12a,12b,12cが閉じ糸13a,13bで結合されて構成されている。各織り組織12a〜12cはそれぞれ経糸14a,14b,14c及び緯糸15a,15b,15cで製織されている。この実施形態では各織り組織12a〜12cはそれぞれ平織りで構成されている。
閉じ糸13aは、隣接する2層の織り組織12a,12bを一方側から貫くとともに他方側でそれぞれ折り返して、両織り組織12a,12bを他方側から貫くように配列されている。閉じ糸13bは、隣接する2層の織り組織12b,12cを一方側から貫くとともに他方側でそれぞれ折り返して、両織り組織12b,12cを他方側から貫くように配列されている。
各織り組織12a〜12cは、多層織物の厚さ方向の一方の側に配置された織り組織12aの織り密度が最も低く、以下織り組織12b、織り組織12cの順に織り密度が高くなるように製織されている。この実施形態の多層織物では、各織り組織12a〜12cは、それぞれ使用される緯糸15a,15b,15cの太さ及び配列ピッチがそれぞれ異なり、織り組織12aの配列ピッチが最も大きく、織り組織12cの配列ピッチが最も小さくなるように形成されている。詳述すれば、燃料フィルターとして袋状に加工して使用される際に外側(外層)となる織り組織12aの緯糸15aの配列ピッチに比べ、その内側(内層)となる織り組織12bの緯糸15bの配列ピッチは、織り組織12aの緯糸15aの配列ピッチの1/2の大きさに形成されている。また、最内層となる織り組織12cの配列ピッチは、織り組織12aの緯糸15aの配列ピッチの1/4の大きさに形成されている。
この実施形態では経糸14a〜14c、緯糸15a〜15c及び閉じ糸13a,13bには、ガソリンや軽油などの燃料油に対して安定した耐性を有する繊維のマルチフィラメントが使用される。この種の繊維としてはポリアミド系繊維(ナイロン6、ナイロン66、共重合ポリアミド)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン)、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステル)等がある。この実施形態ではポリエステル繊維又はナイロン6繊維のマルチフィラメントが使用されている。
各織り組織12a〜12cは糸(繊維束)の太さや織り密度が異なるように形成されている。50デニールより細い糸は実用的ではなく、また、900デニールより太い糸は必要な捕集機能を確保するのが難しい。従って、織り組織12aの経糸14a及び緯糸15aには50〜900デニールのマルチフィラメントからなる双子等の撚り糸を使用し、織り組織12b,12cの経糸14b,14c及び緯糸15b,15cには50〜900デニールのマルチフィラメントを使用するのが好ましい。
なお、ナイロン6(密度:1.14)及びポリエステル(密度:1.38)に相当する繊維のデニール数と繊維径の関係は、表1のようになる。
Figure 2005305276
燃料としてガソリンを使用する場合は、フィルター材11が20μm以上の粒径の異物を60%以上補集するように、経糸14a〜14c及び緯糸15a〜15cの太さと織り密度が調整される。
この実施形態では、織り組織12aの経糸14a及び緯糸15aには、50デニールのマルチフィラメント(フィラメントが数十本程度)に撚り数(1000〜700回/m)の撚りをかけ、その糸を3本又は4本にして更に逆撚り(700〜500回/m)を入れた撚り糸が使用されている。織り密度は、10〜25本/インチ(0.4〜1本/mm)である。織り組織12bの経糸14b及び緯糸15bには、100〜400デニールの無撚りのマルチフィラメントが使用されている。織り密度は、25〜50本/インチ(1〜2本/mm)である。織り組織12cの経糸14c及び緯糸15cには、50〜400デニールの無撚りのマルチフィラメントが使用されている。織り密度は、50〜100本/インチ(2〜4本/mm)である。
また、閉じ糸13a,13bには50デニールのマルチフィラメントに撚り数(1000〜700回/m)の撚りをかけた糸2本よりなる双子が使用されている。閉じ糸13a,13bは、例えば、経糸50本毎に1本の割合で入れられている。
次に前記のように構成されたフィルター材11の製造方法を説明する。フィルター材11を構成する多層織物は、例えば、2層織りのリボン織機を3層織りに改造するとともに、織り幅を拡げた織機で製織される。
3層の織り組織12a〜12cを同時に製織するため、図2及び図3に示すように、3組の経糸14a〜14cが上下に3段に配置され、各経糸14a〜14cの開口毎に緯糸15a〜15cの挿入が行われるようになっている。また、閉じ糸13a,13bは、織り組織12a〜12cを構成する各経糸14a〜14cを開口するヘルド16と独立して駆動されるヘルド17a,17bにより隣接する2層の織り組織を結合するように折り返し状に配列されるようになっている。筬18は経糸用のヘルド16と織り前19との間に配置されている。
閉じ糸13a,13bを移動させるヘルド17a,17bは、経糸用のヘルド16に対して織り前19と反対側に配置されている。ヘルド17aは閉じ糸13aを経糸14aの開口及び経糸14bの開口への緯糸15a,15bの挿入に支障とならないように、閉じ糸13aとの係合部(ヘルドの目)が経糸14cの開口より上方で往復移動されるように構成されている。ヘルド17bは閉じ糸13bを経糸14bの開口及び経糸14cの開口への緯糸15b,15cの挿入に支障とならないように、閉じ糸13bとの係合部が経糸14aの開口より下方で往復移動されるように構成されている。閉じ糸13a,13bの本数は各織り組織12a〜12cの経糸14a〜14cの本数の1/50の本数となるように等間隔で配置される。
図2に示すように、閉じ糸13a用のヘルド17aの閉じ糸13aとの係合部が、織り組織12aの経糸14aの開口の上側に配置され、閉じ糸13b用のヘルド17bの閉じ糸13bとの係合部が、織り組織12cの経糸14cの開口の下側に配置された状態で、各経糸14a〜14cの開口に緯糸15a〜15cが挿入される。次に筬18の筬打ち動作が行われた後、織り組織12cの経糸14cのヘルド16と、閉じ糸13bのヘルド17bとが駆動されて開口状態が変更される。このとき、ヘルド17bの閉じ糸13bとの係合部は、織り組織12bの経糸14bの開口の上側に配置される。その状態で経糸14cの開口に緯糸15cが挿入された後、筬18の筬打ち動作が行われる。次に織り組織12b,12cの経糸14b,14cのヘルド16と、閉じ糸13aのヘルド17aとが駆動されて開口状態が変更される。この状態では、図3に示すように、閉じ糸13a用のヘルド17aの閉じ糸13aとの係合部が、織り組織12bの経糸14bの開口の下側に配置され、閉じ糸13b用のヘルド17bの閉じ糸13bとの係合部が、織り組織12bの経糸14bの開口の上側に配置された状態となる。
その状態で経糸14b,14cの開口に緯糸15b,15cがそれぞれ挿入された後、筬18の筬打ち動作が行われる。次に織り組織12cの経糸14cのヘルド16のみが駆動されて開口状態が変更され、その状態で経糸14cの開口に緯糸15cが挿入された後、筬18の筬打ち動作が行われる。次に全てのヘルド16,17a,17bが駆動されて経糸14a〜14cの開口状態が変更される。また、閉じ糸13a用のヘルド17aの閉じ糸13aとの係合部が、織り組織12aの経糸14aの開口の上側に配置され、閉じ糸13b用のヘルド17bの閉じ糸13bとの係合部が、織り組織12cの経糸14cの開口の下側に配置された図2に示す状態となる。
以下、前記と同様に、織り組織12a〜12cの緯糸15a〜15cの挿入と、織り組織12cのみの緯糸15cの挿入と、織り組織12b,12cの緯糸15b,15cの挿入と、織り組織12cのみの緯糸15cの挿入と、それらに対応する筬打ち動作、開口状態の変更とが順次行われる。そして、図1に示す構成のフィルター材11用の多層織物が製造される。
前記のように構成されたフィルター材11は、織り密度の最も高い織り組織12cが内側になり、織り密度の最も低い織り組織12aが外側になるように重ね合わせた状態で、端部周囲が縫製されて袋状に加工され、自動車の燃料フィルターとして使用される。燃料フィルターとして使用される際、図1に矢印で示すように、燃料は、外層となる織り組織12a側から最内層となる織り組織12c側へ向かってフィルター材11を通過する。そして、織り密度の低い外層で比較的大きい粒子を捕集し、織り密度の最も高い最内層の織り組織12cで小さい粒子の捕集を行う。即ち、フィルター材11が複数層(この実施形態では3層)で構成され、燃料の通過方向上流側から下流側に向かって順に高くなる織り密度の各層でそれぞれ粒径の大きな異物から順に補集される。従って、単層組織のフィルター材に比較して補集性能が向上し、フィルター寿命が長くなる。
燃料フィルターは燃料タンクの底面近くに配置され、設置状態によっては、フィルター材11の外層が燃料タンクの底壁との間との相対移動により摩擦作用を受ける。外層となる織り組織12aの経糸14a及び緯糸15aに、長繊維マルチフィラメントの撚り糸が使用されているため、モノフィラメントを使用した場合に比較して、燃料タンク底面との擦れに強く、耐久性が向上する。
閉じ糸が全ての織り組織12a〜12cを貫通するようにして折り返し状に配列される構成では、フィルター材11として使用中に折り返し部が摩耗などで切断されたとき、3層全ての織り組織12a〜12cに対する結合機能がなくなり、層間剥離が発生する。しかし、閉じ糸13a,13bは、隣接する2層の織り組織12a,12b、12b,12cをそれぞれ結合するように配列されている。従って、一方の閉じ糸13aが切断されることにより、その閉じ糸13aによって結合されていた2層の織り組織12a,12bに対する結合機能がなくなっても、2層の織り組織12b,12cが他方の閉じ糸13bにより結合されているため、フィルター材11全体に層間剥離が発生するのが防止される。また、層間剥離が閉じ糸13aの切断箇所以外の部分に波及するのが抑制される。
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) フィルター材11は、経糸14a〜14c及び緯糸15a〜15cで製織された3層以上の織り組織12a〜12cが閉じ糸13a,13bで結合された多層織物で構成されている。従って、不織布を使用したフィルター材と異なり、繊維脱落の懸念が無く、異なる補集性能を有する複数の層を結合する後工程が不要で、通常の織物と同様にミシンでの縫製や熱シール等により袋加工を容易に行うことができる。
(2) 織り組織12a〜12cは多層織物の厚さ方向の一方の側に配置された織り組織の織り密度が最も低く、他方の側に配置された織り組織の織り密度が最も高くなるように製織されている。従って、織り密度が低い織り組織12a側から燃料がフィルター材を通過する状態で使用することにより、各織り組織12a〜12cの層毎にそれぞれ粒径の異なる異物を補集することができ、単層組織に比較して補集性能が向上するとともに寿命が延びる。
(3) 織り組織12a〜12cは隣接する2層がそれぞれ閉じ糸13a,13bによって結合されている。従って、一方の閉じ糸13bが切断されることにより、その閉じ糸13bによって結合されていた2層の織り組織12b,12cに対する結合機能がなくなっても、2層の織り組織12a,12bが他方の閉じ糸13aにより結合されているため、フィルター材11全体に層間剥離が発生するのが防止される。また、層間剥離が閉じ糸の切断箇所以外の部分に波及するのが抑制される。
(4) 織り組織12a〜12cが3層存在しても、各閉じ糸13a,13bは隣接する2層の織り組織12a,12b、12b,12cを結合するように折り返される。従って、閉じ糸13a,13bが3層以上の織り組織12a〜12cを貫通するように配列される構成に比較して、各層間の結合力が均一になるように結合するのが容易になり、異物の補集機能が向上する。
(5) 織り組織12a〜12cのうち少なくとも織り密度の最も高い織り組織12cに使用されている経糸14c及び緯糸15cは、無撚りのマルチフィラメント繊維束で形成されている。従って、経糸14c間、緯糸15c間あるいは経糸14cと緯糸15c間だけでなく、経糸14c及び緯糸15cを構成する各繊維間でも異物を補集できる。その結果、経糸14c及び緯糸15cにモノフィラメント糸や撚りの掛かったマルチフィラメント糸を使用した場合に比較して粒径の小さな異物を効率良く補集することができる。
(6) 閉じ糸13a,13bにはマルチフィラメントの双子が使用されている。従って、閉じ糸13a,13bにモノフィラメントを使用した場合に比較して強度が強くなる。
(7) 織り組織12a〜12cを構成する経糸14a〜14c及び緯糸15a〜15cとして、太さが50〜900デニールのマルチフィラメント糸が使用されている。従って、この範囲を外れた糸を使用する場合に比較して、糸の入手が容易になるとともに目的とする捕集性能を確保するのが容易になる。
(8) 経糸14a〜14c、緯糸15a〜15c及び閉じ糸13a,13bには、ガソリン、軽油等の燃料油に対して安定した耐性を有する繊維のマルチフィラメントが使用されている。従って、燃料フィルターとして使用した際に耐久性が確保される。
(9) 最も織り密度の高い織り組織12cは、織り密度が50〜100本/インチ(2〜4本/mm)となるように形成されている。従って、フィルター材11が20μm以上の粒径の異物を60%以上確実に補集することができる。
(10) 経糸14a〜14c及び緯糸15a〜15cにポリエステル繊維、ナイロン繊維等の汎用繊維が使用されているため、フィルター材11の材料の入手が容易になる。
なお、実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 図4に示すように、フィルター材11を構成する両閉じ糸13a,13bが同方向に向かうように折り返される構成としてもよい。
○ フィルター材11を構成する織り組織の層数は3層に限らず、4層以上であってもよい。織り組織の層数が4層以上の場合も、閉じ糸13a等は隣接する2層の織り組織12a,12b等を結合するように配列されるのが好ましい。
○ 織り組織の層数を4層以上とし、各層を補集する異物の粒径が異なるように織り組織の織り密度を変えてもよい。しかし、織り組織の層数を3層として各織り組織12a〜12cの織り密度及び経糸14a〜14c及び緯糸15a〜15cの太さを変えることで、所望の補集粒径の異物を効果的に補集することができるため、3層で十分である。
○ 織り組織の層数を4層以上とする構成において、織り密度が3種類あれば、異なる層で織り密度が同じものがあってもよい。例えば、中密度の織り組織を複数層(例えば2層)設けたり、高密度の織り組織を複数層(例えば2層)設けたりしてもよい。
〇 フィルター材11を構成する各織り組織12a〜12cの緯糸15a〜15cの配列ピッチの比は、織り組織12aの配列ピッチを基準にして、織り組織12bの配列ピッチが1/2、織り組織12cの配列ピッチが1/4となるものに限らない。捕集すべき異物の最小粒径により、配列ピッチや使用する緯糸15a〜15cの太さが変更される。また、使用する緯糸15a〜15cの太さを変えることにより、配列ピッチを変更しても同じ捕集性能のフィルター材11を形成することも可能である。
○ 図5に示すように、織り密度の最も高い織り組織12cの外側に、織り密度の低い織り組織12dが配置された構成としてもよい。織り組織12dは、織り組織12cと閉じ糸13cによって結合されている。即ち、フィルター材11として、厚さ方向の一方の側に配置された織り組織12aの織り密度が最も低く、他方の側に配置された織り組織12cの織り密度が最も高くなるように製織されている多層織物の他方の側に、さらに織り組織12dが配置された構成でもよい。多層織物を構成する織り組織12a〜12dは隣接する2層がそれぞれ閉じ糸13a〜13cによって結合されている。この構成では、多層織物の外側に配置された織り組織は、内側に配置され、粒径の異なる大きさの異物を段階的に捕集する織り組織を摩擦から保護する役割を果たす。従って、外側に配置される織り組織である織り組織12aと、織り組織12dとは同じ織り密度でなくてもよい。また、織り組織12dの織り密度が織り組織12bの織り密度以下でもよい。多層織物の内側に配置され粒径の異なる大きさの異物を段階的に捕集する織り組織の層数は3層以上であってもよい。
○ フィルター材11を構成する閉じ糸13a〜13c、経糸14a〜14d及び緯糸15a〜15dを全て同じ材質の繊維束で形成する必要はない。例えば、閉じ糸13a〜13c及び経糸14a〜14dに同じ材質の糸を使用し、緯糸15a〜15dを別の材質の糸を使用してもよい。
〇 閉じ糸13a〜13c、経糸14a〜14d及び緯糸15a〜15dに、異なる材質の繊維を混合した繊維束(糸)を使用してもよい。
○ 経糸14a〜14d及び緯糸15a〜15dの太さを変える場合、繊維束を構成するフィラメントの本数を変える代わりに、本数は変えずにフィラメント自身の太さを変えてもよい。
○ 織り組織12aの経糸14a及び緯糸15aに無撚りのマルチフィラメントを使用してもよい。しかし、フィルター材11は燃料フィルターとして使用される際、織り組織12aが燃料タンクの底壁と相対移動する状態で使用される場合も多く、耐久性の点で撚り糸を使用する方が好ましい。
○ 閉じ糸13a〜13cとしてマルチフィラメント糸の双糸に代えて、マルチフィラメント糸を3本以上撚り合わせた撚り糸を使用してもよい。
○ 燃料フィルターとして使用する際のフィルター材11の形状は、袋状に加工された形状に限らない。例えば、燃料タンクの形状やフィルター材11の取付け状態によっては、円筒状に加工されたり、一重のまま使用される場合もある。
○ ガソリンエンジンの燃料のフィルター材11に限らず、ディーゼルエンジンの燃料のフィルター材11に適用してもよい。ディーゼルエンジンの燃料フィルター材として使用する場合は、粒径が5μm以上の異物を補集するように織り密度及び経糸14a〜14c及び緯糸15a〜15cの太さを調整するのが好ましい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施の形態から把握できる。
(1) 請求項7に記載の発明において、前記繊維としてポリエステル繊維又はナイロン繊維が使用されている。
(2) 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、最も織り密度の高い織り組織は、織り密度が50〜100本/インチ(2〜4本/mm)となるように形成されている。
一実施形態の燃料フィルター材の構造を示す模式図。 多層織物の製織作用を示す模式図。 多層織物の製織作用を示す模式図。 別の実施形態の燃料フィルター材の構造を示す模式図。 別の実施形態の燃料フィルター材の構造を示す模式図。 従来技術の燃料フィルター材の構造を示す模式図。 自動車用燃料タンクの模式断面図。
符号の説明
11…フィルター材、12a,12b,12c,12d…織り組織、13a,13b,13c…閉じ糸、14a,14b,14c,14d…経糸、15a,15b,15c,15d…緯糸。

Claims (7)

  1. 経糸及び緯糸で製織された3層以上の織り組織が閉じ糸で結合された多層織物で構成され、前記織り組織として少なくとも3種類の織り密度の織り組織が存在し、かつ前記多層織物の厚さ方向の一方の側に配置された織り組織の織り密度が最も低く、他方の側に配置された織り組織の織り密度が最も高くなるように製織されている燃料用フィルター材。
  2. 前記織り組織は隣接する2層がそれぞれ閉じ糸によって結合されている請求項1に記載の燃料用フィルター材。
  3. 前記多層織物の他方の側に、さらに織り組織が配置され、多層織物を構成する織り組織は隣接する2層がそれぞれ閉じ糸によって結合されている請求項1に記載の燃料用フィルター材。
  4. 前記織り組織のうち少なくとも前記織り密度の最も高い織り組織に使用されている経糸及び緯糸は、無撚りのマルチフィラメント繊維束で形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の燃料用フィルター材。
  5. 前記閉じ糸にはマルチフィラメント糸の双糸が使用されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の燃料用フィルター材。
  6. 前記織り組織を構成する経糸及び緯糸は太さが50〜900デニールのマルチフィラメント糸が使用されている請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の燃料用フィルター材。
  7. 前記経糸、緯糸及び閉じ糸には、燃料油に対して安定した耐性を有する繊維のマルチフィラメントが使用されている請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の燃料用フィルター材。
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