JP2005305012A - 生体刺激療法による効果の鑑別方法 - Google Patents

生体刺激療法による効果の鑑別方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生体刺激療法による効果を、簡便、正確且つ非侵襲的に鑑別する方法を提供する。
【解決手段】生体刺激療法による刺激処置を行う前後において、数値化された自律神経機能(交感神経機能及び/又は副交感神経機能)を比較することにより、生体刺激療法による効果を鑑別する。前記自律神経機能の測定は、処置を施される者の心拍のR−R間隔又は心電図R−R間隔ゆらぎの時系列データをスペクトル解析することによって得られるパワースペクトルを用いて算出する。また前記生体刺激療法がエステティック施術、マッサージ、指圧、手技、爪もみ、鍼灸、レーサー光照射、電気パルス又は超音波である。
【選択図】 図4

Description

本発明は、生体刺激療法による効果の鑑別方法に関する。より具体的には、生体刺激療法による刺激処置を行う前後の自律神経機能を比較することを特徴とする、生体刺激療法による効果の鑑別方法に関する。
エステティック施術、マッサージ、指圧、手技、爪もみ、鍼灸、レーザー光照射、電気パルス又は超音波などの生体刺激療法はその多くが経験的に確立されてきたものであり、その効果については経験的或いは被験者の実感的には認められているものの、科学的な立証はあまり為されていなかった。近年になって、保険制度の支出の急増により、この様な経験的な代替医療について、再度注目が集まるようになり、その効果の科学的実証がより強く望まれるようになってきた。この様な背景のもと、心身の自覚的なリラックス感、一時的な自律神経機能及び免疫機能の変化に対する科学的検討についての報告が幾つかなされている。例えば、特開平08−15257号公報には、マッサージ方法の定量的な鑑別として、血液、唾液或いは尿等の体液中に分泌型免疫グロブリンAの濃度を用いる方法が開示されている。また、特開平11−23579号公報にはマッサージの前後に唾液中の副腎皮質ホルモンを測定し、その変化の割合を指標とするマッサージの鑑別方法が開示されている。
また、心身の自覚的なリラックス感、一時的な自律神経機能及び免疫機能の変化についての非侵襲的な鑑別としては、心拍数や血圧を指標としたものが見受けられる。例えば、特開2003−334222号公報には、マッサージなどにより心拍数や血圧が下がるという知見をもとにマッサージ装置に於いて、与える刺激の大きさを心拍数や血圧の変化を指標としてコントロールするマッサージ装置が開示されている。しかし、かかる指標は生体刺激療法によってのみ変化する数値ではなく、他の変化因子の影響もうけうるという欠点があった。
一方、特開平6−70898号公報には、心電のR−R間隔に基づいて生体の睡眠状態をモニターできるようにした睡眠状態モニター装置が開示されている。更に、特開2003−250767号公報には、生体の交感神経と副交感神経の活性度合いを検出する手段を有することに特徴のある循環動態測定装置が開示されている。
特開平08−15257号公報 特開平11−23579号公報 特開2003−334222号公報 特開2002−253517号公報 特開2002−224182号公報 特開2003−250767号公報 特開平06−70898号公報
生体刺激療法における、心身の自覚的なリラックス感、一時的な自律神経機能及び免疫機能の変化の鑑別において、血液、唾液或いは尿等の体液中の物質量の変化を指標とした場合は、これら物質量の測定には抗原抗体反応を用い、標識抗体の標識濃度から定量するものであり、測定に要するコスト及び時間が莫大で、また侵襲的なため被験者への負担も大きい。また、心拍数や血圧の変化を指標とした場合は、生体刺激療法によってのみ変化する数値ではなく、他の変化因子の影響も受けうるという欠点があった。
本発明は、この様な状況下為されたものであり、生体刺激療法による効果を、簡便、正確且つ非侵襲的に鑑別する方法を提供することを課題とする。
このような状況を鑑みて、本発明者らは、生体刺激療法による効果を、簡便、正確且つ非侵襲的に鑑別する方法を求めて鋭意研究努力を重ねた結果、生体刺激療法による刺激処置を行う前後の自律神経機能を数値化することで、生体刺激療法の効果を鑑別することができることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下のとおりである。
(1) 生体刺激療法による刺激処置を行う前に、処置を施される者の自律神経機能を測定する工程と、
前記生体刺激療法による刺激処置を行った後に、前記処置を施される者の自律神経機能を測定する工程と、
前記生体刺激療法による刺激処置を行う前に、処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値と前記生体刺激療法による刺激処置を行った後に、処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値とを比較する工程と、
を有することを特徴とする、生体刺激療法による効果の鑑別方法。
(2) 前記生体刺激療法による刺激処置を行う前に、処置を施される者の自律神経機能を測定する工程は、該生体刺激療法による刺激処置を実施する少なくとも1日前に実施する、(1)に記載の生体刺激療法による効果の鑑別方法。
(3) 前記処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値が、処置を施される者の心拍のR−R間隔又は心電図R−R間隔ゆらぎの時系列データをスペクトル解析することによって得られるパワースペクトルを用いて算出することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の生体刺激療法による効果の鑑別方法。
(4) 前記処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値は、0.04〜0.15Hzのパワースペクトル成分(LF)及び/又は0.15〜0.40Hzのパワースペクトル成分(HF)及び/又は該パワースペクトル比(LF/HF)を用いて算出することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の生体刺激療法による効果の鑑別方法。
(5) 前記生体刺激療法がエステティック施術、マッサージ、指圧、手技、爪もみ、鍼灸、レーザー光照射、電気パルス又は超音波である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の生体刺激療法による効果の鑑別方法。
本発明によれば、生体刺激療法の効果が簡便、且つ非侵襲的に鑑別され、施術の長期的な効果を把握できる。また、生体刺激療法の刺激処置によってのみ変化する因子以外の、他の変化因子を極力排除した中で正確、客観的且つ即時的に生体刺激療法の効果を見極める技術を提供することができる。
本発明は、(A) 生体刺激療法による刺激処置を行う前に、処置を施される者の自律神経機能を測定する工程と、
(B) 前記生体刺激療法による刺激処置を行った後に、前記処置を施される者の自律神経機能を測定する工程と、
(C) 前記生体刺激療法による刺激処置を行う前に、処置を施される者の自律神経機能
の測定により得られる測定値と前記生体刺激療法による刺激処置を行った後に、処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値とを比較する工程と、を有することを特徴とする、生体刺激療法による効果の鑑別方法である。以下、各工程を分節する。
(A) 生体刺激療法による刺激処置を行う前に、処置を施される者の自律神経機能を測定する工程
(A−1)生体刺激療法と刺激処置
本発明でいう生体刺激療法とは、生体に対する、マッサージ、エステティック施術などに於ける擦過等の刺激、圧迫刺激、鍼灸などによる熱や異物などの物理的侵襲による刺激、機械的刺激等の物理的刺激、グリコール酸などの酸によって角層を剥離させるケミカルピーリング、嗅覚を通じて生体を刺激するアロマテラピー、森林浴療法などの化学的刺激、電気パルス刺激でつぼを刺激する電気パルス療法、高磁力線束磁石を貼付する磁力療法、遠赤外線照射療法、超音波照射療法などの電磁気的刺激或いはこれらの複合的刺激を与えることで、疲労感やストレス感といった心身の不調感、肩こりや腰痛などの体調不良、或いは運動機能の低下等を改善する手法、行為を意味する。また、刺激処置とは生体刺激療法において上述の刺激を生体に与えることをいう。ここで、療法とは通常疾病を対象にするが、本発明においては、疾病に限らず、通常の病態の存しない生体を対象とするものであっても、前記刺激処置以前に比して、刺激処置後生体機能低下の改善を目的とする刺激処置であれば、すべてをこの生体刺激療法に含む。
(A−2)自律神経機能の測定法
自律神経機能は、交感神経機能及び/又は副交感神経機能を意味する。自律神経機能を測定する方法としては、通常技術的に知られ、実施されているものであれば特段の制限なく使用することが可能である。例えば、生理学的検査法、薬理学的検査法、生化学的検査法、或いは病理学的検査法などが例示でき、中でも、生理学的検査法である、心電を検出し、心拍のR−R間隔又は心電図R−R間隔ゆらぎの時系列データをスペクトル解析することによって得られるパワースペクトルを利用する方法が特に好ましく例示できる。これは、かかる方法による測定が、他の方法に比して、より非侵襲的で、且つ、簡便性、信頼性に優れているからである。かかる測定については、一般的に知られている方法に準じて行うことが可能である。
(A−3) 自律神経機能の測定値算出法
以下に、心電を検出し、心拍のR−R間隔又は心電図R−R間隔ゆらぎの時系列データをスペクトル解析することによって得られるパワースペクトルを用いて自律神経機能の測定値を算出する方法について、詳細に説明を加える。勿論、以下の説明に限定されるもので無い。
座位又は仰臥位において、心電を測定し、心拍のR−R間隔又は心電図R−R間隔ゆらぎの時系列データを、メモリー心拍計(「LRR−03」:アームエレクトロニクス株式会社製)又は、DAT(デジタルオーディオテープ)などの記録計に記録する。DATの場合は、MemCalc/Tarawa心拍ゆらぎリアルタイム解析プログラム(株式会社ジーエムエス製)などを用いて心拍R−R間隔を求めるか、直接周波数解析を行う。
信頼性のある解析を行うために、好ましくは、20分間以上の心拍のR−R間隔又は心電図R−R間隔ゆらぎの時系列データを記録し、安定した範囲、前記の20分程度の測定の場合であれば、例えば、後半の10分間についての心拍のR−R間隔又は心電図R−R間隔ゆらぎの時系列データをその後の解析に用いる。該心拍のR−R間隔又は心電図R−R間隔ゆらぎの時系列データはMemCalc(株式会社ジーエムエス:http://www.gms−jp.com/download/download.html)などを用い、そのスペクトルを解析することによってパワースペクトルを得る。
このパワースペクトルにおいて、0.04〜0.15Hzのパワースペクトル成分(LF)の積分値は血圧性変動を、0.15〜0.40Hzのパワースペクトル成分(HF)の積分値は呼吸性変動を示す。前者は自律神経系の交感神経と副交感神経の両方の機能を、後者は副交感神経機能を反映することが知られている。また、交感神経機能は上記0.04〜0.15Hzのパワースペクトル成分(LF)の積分値を0.15〜0.40Hzのパワースペクトル成分(HF)の積分値で除した、パワースペクトル比(LF/HF)を用いて表すことが可能である。よって、当該数値化された自律神経機能を用いて、客観的に生体刺激療法の効果の鑑別をすることが可能となる。
上記心電図R−R間隔ゆらぎとは、「心拍ゆらぎ」と呼ばれるもので、心臓の一拍一拍の拍動の間隔が微妙に長くなったり短くなったりと拍動リズムが変動する状態をいう。この心電図R−R間隔ゆらぎも自律神経により微妙にコントロールされていることが知られている。
ここで、自律神経機能(交感神経機能及び/又は副交感神経機能)に関する様々な知見、例えば、1.自律神経機能(交感神経機能及び/又は副交感神経機能)のレベル及びバランスは、昼間に交感神経機能が亢進し、夜間では副交感神経機能が亢進する日内変動が存在する、2.加齢により副交感神経機能の低下が生ずる、3.運動及び飲食や喫煙によって自律神経機能(交感神経機能及び/又は副交感神経機能)のレベル及びバランスは影響を受けやすい、等を考慮し、この様な変動の影響を受けないように測定環境を整えておくことが好ましい。当該測定環境の整備は安定かつ正確なデータ取得に効果がある。
この様な測定環境の整備としては、生体刺激療法を実施する1〜数日前、好ましくは1〜3日前のほぼ同じ時間、且つ運動及び飲食や喫煙などから1時間以上離れた条件において、座位又は仰臥位にて、自律神経機能の交感神経機能(LF/HF)及び/又は副交感神経機能(HF)を測定する。運動及び飲食や喫煙などから1時間以上離れた条件についての時間的上限は特に定めないが、運動及び飲食や喫煙などから少なくとも1時間の時間が経過することでこれらの影響を軽減し、安定した状態で自律神経機能を測定することが可能である。
(B) 生体刺激療法による刺激処置を行った後に、前記処置を施される者の自律神経機能を測定する工程
座位又は仰臥位等で生体刺激療法における刺激処置を実施する。該刺激処置後、基本的に30分以上経過後、一日に複数回刺激処置を実施する場合は、最後の刺激処置後基本的に30分以上経過後に、(A)記載の工程と同様の方法にて、自律神経機能の交感神経機能(LF/HF)及び/又は副交感神経機能(HF)を数値化する。生体刺激療法の刺激処置の頻度は、3回/日〜1回/週と生体刺激療法の種類と被験者の症状によって変化する。
(C) 生体刺激療法による刺激処置を行う前に、処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値と前記生体刺激療法による刺激処置を行った後に、処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値とを比較する工程
(C−1)生体刺激療法による刺激処置を行う前後の、処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値からその効果を鑑別する方法
(A)工程で測定され、数値として表された生体刺激療法による刺激処置を行う前の交感神経機能(LF/HF)と、(B)工程で測定され、数値として表された生体刺激療法による刺激処置を行った後の交感神経機能(LF/HF)を比較する。この比較において、数値として表された交感神経機能(LF/HF)が増加している場合、つまり、生体
刺激療法における刺激処置後の交感神経機能が亢進している場合には、生体活動が促進されていると鑑別し、その生体刺激療法における刺激処置が生体の活動を活性化したものであると鑑別する。その効果の程度は刺激処置前後の交感神経機能の数値の差を以て定量的に鑑別される。また、該数値の差が大きすぎる場合には過度の活性化が為されたと鑑別されるし、小さすぎる場合には、更なる活性化の為に刺激処置があってもよいと鑑別される。
(A)工程で測定され、数値として表された生体刺激療法による刺激処置を行う前の交感神経機能(LF/HF)と、(B)工程で測定され、数値として表された生体刺激療法による刺激処置を行った後の交感神経機能(LF/HF)を比較する。この比較において、数値として表された交感神経機能(LF/HF)が減少している、つまり、生体刺激療法における刺激処置後の交感神経機能が抑制されている場合には、生体活動が鎮静化されていると鑑別し、その生体刺激療法における刺激処置が生体の活動を鎮静化し、興奮を抑えたものであると鑑別する。その効果の程度は数値の差を以て定量的に鑑別される。該数値の差が大きすぎる場合には過度の鎮静化が為されたと鑑別されるし、小さすぎる場合には、興奮が収まりきっておらず、更なる鎮静化の為に刺激処置があってもよいと鑑別される。特に生体刺激療法による刺激処置を肩こり、腰痛などの体調不良をもつ被験者を対象として実施した場合、刺激処置後において、数値として表された交感神経機能(LF/HF)は、刺激処置前において、数値として表された交感神経機能(LF/HF)に対して減少する、つまり、刺激処置後の交感神経機能が抑制されていると考え、その刺激処置が生体の活動を鎮静化し、興奮を抑えたものであると鑑別する。
交感神経機能の代わりに、副交感神経機能を用いる場合には、交感神経機能と副交感神経機能とは相反した機能であるため、前記と逆に扱って鑑別の指標とすることが可能である。すなわち、(A)工程で測定され、数値として表された生体刺激療法による刺激処置を行う前の副交感神経機能(HF)と、(B)工程で測定され、数値として表された生体刺激療法による刺激処置を行った後の副交感神経機能(HF)を比較する。この比較において、数値として表された副交感神経機能(HF)が増加している、つまり、生体刺激療法における刺激処置後の副交感神経機能が亢進している場合には、生体活動が鎮静化されていると鑑別し、その刺激処置が生体の活動を鎮静化し、興奮を抑えたものであると鑑別する。その効果の程度は数値の差を以て定量的に鑑別される。数値の差が大きすぎる場合には過度の鎮静化が為されたと鑑別されるし、小さすぎる場合には、興奮が収まりきっておらず、更なる鎮静化の為に刺激処置があってもよいと鑑別される。特に生体刺激療法による刺激処置を肩こり、腰痛などの体調不良をもつ被験者を対象として実施した場合、刺激処置後において、数値として表された副交感神経機能(HF)は、刺激処置前において、数値として表された副交感神経機能(HF)に対して増加する、つまり、刺激処置後の副交感神経機能が亢進していると考えられ、その刺激処置が生体の活動を鎮静化し、興奮を抑えたものであると鑑別する。
更に、交感神経機能と副交感神経機能の両者を用いて鑑別の指標とすることも可能である。つまり、自律神経機能バランスを鑑別の指標にするものである。ここで、自律神経機能バランスとは、交感神経機能と副交感神経機能の両方の数値から判断されるものをいう。具体的には、交感神経機能と副交感神経機能をそれぞれ縦軸と横軸とする座標空間を作成し、下記表1に示す安静座位、安静仰臥位の交感神経機能、副交感神経機能の正常値範囲で囲まれる領域に交感神経機能と副交感神経機能の数値の両方が含まれている場合は自律神経機能バランスがよく、この領域から一方、又は両方の数値が外れている場合は自律神経機能バランスが悪いと判断することが可能である。例えば、交感神経機能(又は副交感神経機能)が上記正常値範囲内にあっても副交感神経機能(又は交感神経機能)が亢進(又は抑制)されて上記正常値範囲から外れている場合は、生体活動が沈静化されすぎであり、バランスが悪いと判断される。
従って、自律神経機能バランスの改善とは、例えば、交感神経機能と副交感神経機能の一方又は両方の数値が上記正常値範囲から外れた状態から、刺激処置により、上記正常値範囲に含まれる状態になること、若しくは上記正常値範囲により近づいた状態になることをいう。
以下に交感神経機能(LF/HF)と副交感神経機能(HF)の正常値範囲を示す。

交感神経機能と副交感神経機能の両者を用いて鑑別の指標とするのは、交感神経機能と副交感神経機能とは相反した機能であるものの、その亢進と抑制にはゆらぎを生ずる場合が存し、そのゆらぎ自身が生理機能の因子となることがあるためである、この様なゆらぎを指標として鑑別することも、その生理機能の意味にとらわれず、本発明の鑑別法の技術的範囲に属する。
以下に実施例を挙げて、本発明の、生体刺激療法による効果について、自律神経機能(交感神経機能及び/又は副交感神経機能)を用いた鑑別方法について、更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例に限定されないことは言うまでもない。
爪もみの効果について、本発明の鑑別方法を用いて鑑別した。肩こりの自覚症状を持つ40〜55歳の3名の女性被験者(A,B,C)に対して、生体刺激療法を実施する3日前より2日間、生体刺激療法を実施するほぼ同じ時間帯において、座位にて、20分間、心電をメモリー心拍計(「LRR-03」:アームエレクトロニクス株式会社製、参照:http://www.gms-jp.com/products/lrr/lrr.html)を用いて測定し、心拍のR−R間隔の時系列データを記録する。20分間の心拍のR−R間隔の時系列データのうち、後半の10分間について、MemCalc(GMS社:http://www.gms−jp.com/download/download.html)を用い、そのスペクトルを解析することによってパワースペクトルを得た。
また、DAT(デジタルオーディオテープ)などの記録計に記録した場合は、MemCalc/Tarawa心拍ゆらぎリアルタイム解析プログラム(GMS社)などを用いて、心拍R−R間隔を求めるか、又は直接周波数解析を行う。 メモリ心拍計に記録又は上記ソフトウェアによって解析にされたデータを図1に示す。さらに、心拍のR−R間隔の時系列データはMemCalcなどの周波数解析ソフトウェアを用いて、パワースペクトルを得る。図2にその結果を示す。
このパワースペクトルにおいて、0.04〜0.15Hzのパワースペクトル成分(LF)の積分値は血圧性変動を、0.15〜0.40Hzのパワースペクトル成分(HF)の積分値は呼吸性変動を示す。前者は自律神経系の交感神経と副交感神経の両方の機能を、後者は副交感神経機能を反映することが知られている。また、交感神経機能は上記0.04〜0.15Hzのパワースペクトル成分(LF)の積分値を0.15〜0.40Hzのパワースペクトル成分(HF)の積分値で除した、パワースペクトル比(LF/HF)を用いて表すことが可能である。ここで、各人2日間の交感神経機能(LF/HF)の平均値を、生体刺激療法による刺激処置を行う前の交感神経機能の値とした。
生体刺激療法としての爪もみ療法は、図3に示す手背部井穴(指の爪の生えぎわの角)に対して、両手の親指、人さし指、中指および小指を各々10〜20回程度もむことを、1日に2〜3回のペースにて7日間実施した。7日後において、被験者3名(A,B
,C)は肩こりの自覚症状で軽減や改善を認めた。一方、爪もみ療法を開始後2日目及び7日目において、上記と同様に求めた交感神経機能の値は刺激処置前の数値に比し減少した(表2)。つまり、刺激処置後の交感神経機能が抑制されていると考えられ、その刺激処置が生体の活動を鎮静化し、興奮を抑えたものであると鑑別する。従って、交感神経機能の値の変化が生体刺激療法による被験者の実感的効果と相関していることから、生体刺激療法による刺激処置を行う前後の交感神経機能の値を比較することにより生体刺激療法による効果の鑑別が行えることが分かる。
爪もみの効果について、本発明の鑑別法を用いて鑑別した。腰痛の自覚症状を持つ30〜60歳の3名の女性被験者(D,E,F)に対して、生体刺激療法による刺激処置を実施する2日前より2日間、生体刺激療法を実施するほぼ同じ時間帯においてにおいて、実施例1と同様の方法でパワースペクトルを得た。副交感神経機能は0.15〜0.40Hzのパワースペクトル成分(HF)の積分値を用いて表すことが可能である。
ここで、各人2日間の副交感神経機能(HF)の平均値を、生体刺激療法による刺激処置を行う前の副交感神経機能の値とした。
生体刺激療法として爪もみ療法は、図3に示す手背部井穴(指の爪の生えぎわの角)に対して、両手の親指、人さし指、中指および小指を各々10〜20回程度もむことを、1日に2〜3回のペースにて7日間実施した。7日後において、被験者3名(D,E,F)は腰痛の自覚症状で軽減や改善を認めた。また、爪もみ療法を開始後2日目及び7日目において、上記と同様に求めた副交感神経機能の値は刺激処置前の数値に比し増加した(表3)。つまり、刺激処置後の副交感神経機能が亢進していると考えられ、その刺激処置が生体の活動を鎮静化し、興奮を抑えたものであると鑑別する。従って、副交感神経機能の値の変化が生体刺激療法による被験者の実感的効果と相関していることから、生体刺激療法による刺激処置を行う前後の副交感神経機能の値を比較することにより生体刺激療法による効果の鑑別が行えることが分かる。
エステティック施術の効果について、本発明の鑑別法を用いて鑑別した。肩こりや
腰痛、或いは疲労感や倦怠感の自覚症状を持つ30〜55歳の5名の女性被験者(G,H,I,J,K)に対して、生体刺激療法を実施する2日前より2日間、生体刺激療法を実施するほぼ同じ時間帯において、実施例1、実施例2と同様の方法で交感神経機能(LF/HF)及び副交感神経機能(HF)の値を得た。
本被験者(G,H,I,J,K)のいずれもが、2日間の交感神経機能(LF/HF)の値及び副交感神経機能(HF)の値は日内変動の範囲内であり安定していることが確認された。被験者群(G,H,I)は、刺激処置前の交感神経機能(LF/HF)は高く、副交感神経機能(HF)が低く、上記表1に示す交感神経機能、副交感神経機能の正常値範囲で囲まれる領域から外れており、自律神経バランスが悪い状態であることが確認された(表4)。また、被験者群(J,K)は刺激処置前の交感神経機能(LF/HF)は低く、副交感神経機能(HF)が高く、上記正常値範囲で囲まれる領域内であるが副交感神経機能(HF)が亢進した状態であることが確認された(表4)。
エステティック施術としては、仰臥位および伏臥位にて、フットマッサージ、背部マッサージおよびフェイシャルマッサージを各10〜20分間実施した。週に2回のペースにて1ヶ月間実施した。刺激処置継続1ヶ月後において、被験者5名は肩こりや腰痛、或いは疲労感や倦怠感の自覚症状で軽減や改善を認めた。また、刺激処置継続後1ヶ月後において実施例1、実施例2と同様の方法で交感神経機能(LF/HF)及び副交感神経機能(HF)の値を得た(表4)。
刺激処置前に自律神経バランスが悪い状態であることが確認された被験者群(G,H,I)は、それぞれが交感神経機能の抑制と副交感神経機能の亢進が見られ、明らかに自律神経バランスが改善した。また、刺激処置前に副交感神経機能(HF)が亢進した状態であった被験者群(J,K)は交感神経機能の亢進と、副交感神経機能の抑制が見られ自律神経バランスが改善した(表4)。つまり、本被験者(G,H,I,J,K)のいずれもが刺激処置前後において、交感神経機能と副交感神経機能による自律神経バランスが、図2に示すようにサークル内に移動し、その自律神経バランスが改善される傾向を認めた(図2)。従って、自律神経バランスの変化は生体刺激療法による被験者の実感的効果と相関しており、これを指標とすることにより生体刺激療法の鑑別が行えることが分かる。
本発明によれば、エステティック施術、マッサージ、指圧、手技、爪もみ、鍼灸、レーザー、電気パルス又は超音波などの生体刺激療法の効果が簡便、且つ非侵襲的に鑑別され、施術の長期的な効果を把握できる。また、生体刺激療法の刺激処置によってのみ変化する因子以外の、他の変化因子を極力排除した中で正確、客観的且つ即時的に生体刺激療法の効果を見極める鑑別法を提供することができる。
心拍のR−R間隔の時系列変化を示す図である。 心拍のR−R間隔の時系列変化をスペクトル解析したパワースペクトルを示す図である。 爪もみ療法に使用する手背の指部の井穴を示す図である。 エステティック施術前後における自律神経機能バランスの変化を示す図である。

Claims (5)

  1. 生体刺激療法による刺激処置を行う前に、処置を施される者の自律神経機能を測定する工程と、
    前記生体刺激療法による刺激処置を行った後に、前記処置を施される者の自律神経機能を測定する工程と、
    前記生体刺激療法による刺激処置を行う前に、処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値と前記生体刺激療法による刺激処置を行った後に、処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値とを比較する工程と、
    を有することを特徴とする、生体刺激療法による効果の鑑別方法。
  2. 前記生体刺激療法による刺激処置を行う前に、処置を施される者の自律神経機能を測定する工程は、該生体刺激療法による刺激処置を実施する少なくとも1日前に実施する、請求項1に記載の生体刺激療法による効果の鑑別方法。
  3. 前記処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値が、処置を施される者の心拍のR−R間隔又は心電図R−R間隔ゆらぎの時系列データをスペクトル解析することによって得られるパワースペクトルを用いて算出することを特徴とする、請求項1又は2に記載の生体刺激療法による効果の鑑別方法。
  4. 前記処置を施される者の自律神経機能の測定により得られる測定値は、0.04〜0.15Hzのパワースペクトル成分(LF)及び/又は0.15〜0.40Hzのパワースペクトル成分(HF)及び/又は該パワースペクトル比(LF/HF)を用いて算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体刺激療法による効果の鑑別方法。
  5. 前記生体刺激療法がエステティック施術、マッサージ、指圧、手技、爪もみ、鍼灸、レーザー光照射、電気パルス又は超音波である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体刺激療法による効果の鑑別方法。
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