JP2005303161A - 有機半導体材料、有機薄膜トランジスタ、電界効果トランジスタ及びスイッチング素子 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は有機半導体材料材料、それを用いた有機薄膜トランジスタ及び電界効果トランジスタ、該有機薄膜トランジスタまたは該電界効果トランジスタを用いるスイッチング素子に関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。また、更に情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、画像駆動素子としてアクティブ駆動素子(TFT(薄膜トランジスタ)素子)を用いる技術が主流になっている。例えば、通常のコンピュータディスプレイではガラス基板上にこれらTFT素子を形成し、液晶、有機EL素子等が封止されている。
ここでTFT素子には主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)などの半導体を用いることができ、これらのSi半導体(必要に応じて金属膜も)を多層化し、ソース、ドレイン、ゲート電極を基板上に順次形成していくことでTFT素子が製造される。こうしたTFT素子の製造には通常、スパッタリング、その他の真空系の製造プロセスが必要とされる。
しかしながら、このようなTFT素子の製造では真空チャンバーを含む真空系の製造プロセスを何度も繰り返して各層を形成せざるを得ず、装置コスト、ランニングコストが非常に膨大なものとなっていた。例えば、TFT素子では通常、それぞれの層の形成のために、真空蒸着、ドープ、フォトリソグラフ、現像等の工程を何度も繰り返す必要があり、何十もの工程を経て素子を基板上に形成している。スイッチング動作の要となる半導体部分に関してもp型、n型等、複数種類の半導体層を積層している。こうした従来のSi半導体による製造方法ではディスプレイ画面の大型化のニーズに対し、真空チャンバー等の製造装置の大幅な設計変更が必要とされるなど、設備の変更が容易ではない。
また、このような従来からのSi材料を用いたTFT素子の形成には高い温度の工程が含まれるため、基板材料には工程温度に耐える材料であるという制限が加わることになる。このため実際上はガラスを用いざるをえず、先に述べた電子ペーパーあるいはデジタルペーパーといった薄型ディスプレイを、こうした従来知られたTFT素子を利用して構成した場合、そのディスプレイは重く、柔軟性に欠け、落下の衝撃で割れる可能性のある製品となってしまう。ガラス基板上にTFT素子を形成することに起因するこれらの特徴は、情報化の進展に伴う手軽な携行用薄型ディスプレイへのニーズを満たすにあたり望ましくないものである。
一方、近年において高い電荷輸送性を有する有機化合物として、有機半導体材料の研究が精力的に進められている。これらの化合物は有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子用の電荷輸送性材料のほか、例えば、非特許文献1等において論じられているような有機レーザー発振素子や、例えば非特許文献2等、多数の論文にて報告されている有機薄膜トランジスタへの応用が期待されている。これら有機半導体デバイスを実現できれば、比較的低い温度での真空ないし低圧蒸着による製造プロセスの簡易化や、更にはその分子構造を適切に改良することによって、溶液化できる半導体を得る可能性があると考えられ、有機半導体溶液をインク化することによりインクジェット方式を含む印刷法による製造も考えられる。これらの低温プロセスによる製造は、従来のSi系半導体材料については不可能と考えられてきたが、有機半導体を用いたデバイスにはその可能性があり、従って前述の基板耐熱性に関する制限が緩和され、透明樹脂基板上にも、例えば、TFT素子を形成できる可能性がある。透明樹脂基板上にTFT素子を形成し、そのTFT素子により表示材料を駆動させることができれば、ディスプレイを従来のものよりも軽く、柔軟性に富み、落としても割れない(もしくは非常に割れにくい)ディスプレイとすることができるであろう。
しかしながら、こうしたTFT素子を実現するための有機半導体としてこれまでに検討されてきたのは、ペンタセンやテトラセンといったアセン類(例えば、特許文献1参照。)、銅フタロシアニンを含むフタロシアニン類、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物(例えば、特許文献2参照。)や、α−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー(例えば、特許文献3参照。)、更にはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子など限られた種類の化合物(例えば、非特許文献1〜3参照。)でしかなく、高いキャリア移動度を示す新規な電荷輸送性材料を用いた半導体性組成物の開発が待望されていた。
また、特開2003−292588号公報、特許文献4、特許文献5、特許文献6では「マイクロエレクトロニクス用の集積回路論理素子にポリマーTFTを用いると、その機械的耐久性が大きく向上し、その使用可能寿命が長くなる。しかし半導体ポリチオフェン類の多くは、周囲の酸素によって酸化的にドープされ、導電率が増大してしまうため空気に触れると安定ではないと考えられる。この結果、これらの材料から製造したデバイスのオフ電流は大きくなり、そのため電流オン/オフ比は小さくなる。従ってこれらの材料の多くは、材料加工とデバイス製造の間に環境酸素を排除して酸化的ドーピングを起こさない、あるいは最小とするよう厳重に注意しなければならない。この予防措置は製造コストを押し上げるため、特に大面積デバイスのための、アモルファスシリコン技術に代わる経済的な技術としてのある種のポリマーTFTの魅力が削がれてしまう。これら及びその他の欠点は、本発明の実施の形態において回避され、あるいは最小となる。従って、酸素に対して強い対抗性を有し、比較的高い電流オン/オフ比を示すエレクトロニックデバイスが望まれている」との記載があり、その解決手段が提案されているが、改善のレベルは満足できるものではなく、更なる改良が望まれている。
更に、硫黄とともに5員環を完成する構造の繰り返し単位を有する導電性有機化合物が上記目的に対して適用可能なことが記載されている(例えば、特許文献7参照。)が、硫黄とともに5員環を完成するものの具体例としては、チオフェン環以外に記載されておらず、その他の構造を示唆するような記載はない。従って、本発明におけるポリフェニルピリジン等の骨格を有する化合物を上記目的のために利用した場合の特性の予測は全く困難であった。
特開平5−55568号公報
特開平5−190877号公報
特開平8−264805号公報
米国特許出願公開第2003/136958号明細書
米国特許出願公開第2003/160230号明細書
米国特許出願公開第2003/164495号明細書
特開2003−119255号公報
『サイエンス』(Science)誌289巻、599ページ(2000)
『ネイチャー』(Nature)誌403巻、521ページ(2000)
『アドバンスド・マテリアル』(Advanced Material)誌、2002年、第2号、99ページ
本発明の目的は、キャリア移動度が高く、保存性の優れた有機半導体材料、これを用いた有機トランジスタ、電界効果トランジスタ及びスイッチング素子を提供することである。
本発明の上記目的は、下記により達成される。
(請求項1)
下記一般式(1)で表される構造を含むポリマーを含有することを特徴とする有機半導体材料。
下記一般式(1)で表される構造を含むポリマーを含有することを特徴とする有機半導体材料。
(一般式(1)において、Z11は、炭素原子及び窒素原子と共に5〜6員の芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、Z12は、炭素原子と共に5〜6員の芳香族環を形成するのに必要な原子群であり、nは3以上の整数である。)
(請求項2)
前記一般式(1)で表される構造を含むオリゴマーを含有することを特徴とする有機半導体材料。
(請求項2)
前記一般式(1)で表される構造を含むオリゴマーを含有することを特徴とする有機半導体材料。
(請求項3)
請求項1または2に記載の有機半導体材料を活性層に用いることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
請求項1または2に記載の有機半導体材料を活性層に用いることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
(請求項4)
請求項1または2に記載の有機半導体材料を活性層に用いることを特徴とする電界効果トランジスタ。
請求項1または2に記載の有機半導体材料を活性層に用いることを特徴とする電界効果トランジスタ。
(請求項5)
請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ、または、請求項4に記載の電界効果トランジスタを用いることを特徴とするスイッチング素子。
請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ、または、請求項4に記載の電界効果トランジスタを用いることを特徴とするスイッチング素子。
本発明によれば、有機薄膜トランジスタを簡単なプロセスで形成可能な半導体材料が得られ、該半導体材料薄膜を用いた有機薄膜トランジスタは、ゲート電圧を変化させた際の最大電流値と最小電流値の比、即ちON/OFF比が大きく、耐久性に優れる。
次に本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
前記一般式(1)で表される構造を繰り返し単位として含むポリマーまたはオリゴマーを半導体材料として活性層に用いることで本発明の有機薄膜トランジスタ、電界効果トランジスタが得られる。
先ず、本発明における一般式(1)で表される構造単位を含むオリゴマー、また、ポリマー中の、これらの構造単位について説明する。
一般式(1)において、Z11は、炭素原子及び窒素原子と共に5〜6員の芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、Z12は、炭素原子と共に5〜6員の芳香族環を形成するのに必要な原子群であり、nは3以上の整数である。
炭素原子及び窒素原子と共にZ11により形成される5〜6員の芳香族環としては、一般式(1)を満足しかつ芳香族性を有する5〜6員の芳香族環であれば、構わないが、5員の環としてはチアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環が、また6員の環としてはピリジン環、ピラジン環、トリアジン環が好ましい。
また、これらの、炭素原子及び窒素原子と共にZ11により形成される5〜6員の前記芳香族環が直接結合(共役して)する、同様に2つの炭素原子と共にZ12により形成される5〜6員の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素環(アリーレン基)、また、チオフェン環、ピロール環等の複素芳香族環、およびこれらに更に芳香環が縮合した多環式芳香環等があり、これらの中、特にベンゼン環、チオフェン環は好ましい。
これらのπ共役化合物を構造単位として有するポリマーにおいては、これらの構造単位が、同一の構造単位を繰り返し単位として有するポリマーまたはオリゴマーであっても、また、同一の構造単位を繰り返し単位とするオリゴマー或いはポリマーと、別の構造単位を繰り返し単位とするオリゴマー或いはポリマーの両方を含むものであってもよい。更に、複数の構造単位が、規則的に或いはランダムに連結したオリゴマー、また、ポリマーであってもよい。
本発明において、前記一般式(1)で表される構造を繰り返し単位として含むオリゴマーとは、低重合体即ち、反復単位の数が少なく、分子量として、大凡5000以下であるような重合体であり(化学大事典)、前記一般式(1)で表される繰り返し単位またはこれらの2種以上を、モノマー単位の数(n)として、nが大凡3〜30程度のものである。
また、ポリマーとは、前記分子量で、5000以上のものをいい、好ましくは5000以上、200万の範囲である(数平均分子量)。例えば、前記繰り返し単位またはその2種以上を、モノマー単位の数(n)として、大凡30以上となるものである。モノマーユニットの分子量は置換基等により代わるので、これら重合度については、大凡の数である。
尚、本発明において、これら分子量は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法により測定することが出来る。以下の方法により数平均分子量を算出する。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: テトラヒドロフラン
カラム: TOSOH TSKgel Super HM−M
カラム温度:40℃
試料濃度: 0.1質量%
装置: 東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC
流量: 0.6ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる
校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔にすることが好ましい。
カラム: TOSOH TSKgel Super HM−M
カラム温度:40℃
試料濃度: 0.1質量%
装置: 東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC
流量: 0.6ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる
校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔にすることが好ましい。
これら前記一般式(1)で表される構造単位中において、それぞれの環は、任意の置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられ、これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていても、複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
好ましい置換基としてはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシアルキル基、アルキル基で置換されたアミノ基、アルキルカルバモイル基、アルコキシカルボニル基が挙げられ、特に好ましくは炭素数5以上、20以下のアルキル基、もしくは同じ範囲の原子数を有する直鎖状アルコキシ基であり、更に好ましくは炭素数5以上、10以下の直鎖アルキル基である。
以下に、一般式(1)で表される構造単位を有する本発明に係わる有機半導体材料の具体的化合物例を示すが、本発明における化合物がこれらに限定されるものではない。また、本発明の有機半導体材料(ポリマー或いはオリゴマー)については、その平均分子量を構造式に併記した。
本発明の上記化合物は、Organic Letters 16(2001) 2579 を参考にして、容易に合成することができる。
以下に代表的な合成経路を示す。
(合成スキーム)
末端にハロゲン原子を残したくない場合は、スキームのように最後にパラジウム触媒を用いた水素接触還元でハロゲン原子を取り除くこともできる。
また、アリールボロン酸を作用させ、鈴木−宮浦カップリングにより、末端に所望のアリール基を導入することも可能である。
本発明の有機半導体材料は有機薄膜トランジスタ素子の活性層に設置することにより、良好に駆動するトランジスタ装置を提供することができる。
有機薄膜トランジスタは、支持体上に有機半導体チャネル(活性層)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。
本発明の化合物を有機薄膜トランジスタ素子の活性層に設置するには、真空蒸着により基板上に設置することもできるが、適切な溶剤に溶解し必要に応じ添加剤を加えて調製した溶液をキャストコート、スピンコート、印刷、インクジェット法、アブレーション法等によって基板上に設置するのが好ましい。この場合、本発明の有機半導体を溶解する溶剤は、該有機半導体を溶解して適切な濃度の溶液が調製できるものであれば格別の制限はないが、具体的にはジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、テトラヒドロフランやジオキサンなどの環状エーテル系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を挙げることができる。
これら有機半導体からなる薄膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体からなる活性層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
本発明おいて、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。更に導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法とゾルゲル法である。
大気圧下でのプラズマ製膜処理による絶縁膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406号、同11−133205号、特開2000−121804号、同2000−147209号、同2000−185362号の各公報等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは100nm〜1μmである。
また支持体はガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えば、プラスチックフィルムをシートとして用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
以下に、本発明に係る有機半導体材料からなる有機薄膜を用いた電界効果トランジスタについて説明する。
図1は、本発明の有機半導体材料を用いた電界効果トランジスタの概略構成例を示す。同図(a)は、支持体6上に金属箔等によりソース電極2、ドレイン電極3を形成し、両電極間に本発明の半導体材料からなる有機半導体層1を形成し、その上に絶縁層5を形成し、更にその上にゲート電極4を形成して電界効果トランジスタを形成したものである。同図(b)は、有機半導体層1を、(a)では電極間に形成したものを、コート法等を用いて電極及び支持体表面全体を覆うように形成したものを表す。(c)は、支持体6上に先ずコート法等を用いて、有機半導体層1を形成し、その後ソース電極2、ドレイン電極3、絶縁層5、ゲート電極4を形成したものを表す。
同図(d)は、支持体6上にゲート電極4を金属箔等で形成した後、絶縁層5を形成し、その上に金属箔等で、ソース電極2及びドレイン電極3を形成し、該電極間に本発明の半導体材料により形成された有機半導体層1を形成する。その他同図(e)、(f)に示すような構成を取ることもできる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
実施例1
ゲート電極としての抵抗率0.01Ω・cmのSiウェハーに、厚さ2000Åの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした後、オクタデシルトリクロロシランによる表面処理を行った。比較化合物(1)(ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(regioregular、アルドリッチ社製、平均分子量89000、PHT))のクロロホルム溶液をアプリケーターを用いて塗布し、自然乾燥することによりキャスト膜(厚さ50nm)を形成して、窒素雰囲気下で50℃、30分間の熱処理を施した。更に、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着してソースおよびドレイン電極を形成した。ソースおよびドレイン電極は幅100μm、厚さ200nmで、チャネル幅W=3mm、チャネル長L=20μmの有機薄膜トランジスタ素子1を作製した。
ゲート電極としての抵抗率0.01Ω・cmのSiウェハーに、厚さ2000Åの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした後、オクタデシルトリクロロシランによる表面処理を行った。比較化合物(1)(ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(regioregular、アルドリッチ社製、平均分子量89000、PHT))のクロロホルム溶液をアプリケーターを用いて塗布し、自然乾燥することによりキャスト膜(厚さ50nm)を形成して、窒素雰囲気下で50℃、30分間の熱処理を施した。更に、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着してソースおよびドレイン電極を形成した。ソースおよびドレイン電極は幅100μm、厚さ200nmで、チャネル幅W=3mm、チャネル長L=20μmの有機薄膜トランジスタ素子1を作製した。
比較化合物(1)を比較化合物(2)(米国特許出願公開2003/164495号明細書 例示化合物(3))に代えたほかは、有機薄膜トランジスタ素子1と同様の方法で、有機薄膜トランジスタ素子2を作製した。
更に、比較化合物(1)を表1に示した本発明の具体的化合物に代えた他は、有機薄膜トランジスタ素子1と同様の方法で有機薄膜トランジスタ素子3〜6を作製した。
以上のように作製した有機薄膜トランジスタ素子3〜6は、pチャネルのエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。更に、有機薄膜トランジスタ素子1〜6について、I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求めた。半導体材料のキャリア移動度の算出は、「半導体デバイス物理特性及び技術」(Sze、S.M.,pp.30−35,200−207(1985))に記載されている。また、電界効果トランジスタの特性である電流ON/OFF比を求めた。これは、ゲート電圧がドレイン電圧と等しいかそれ以上であるときの飽和ソースドレイン電流と、ゲート電圧がゼロのときのソースドレイン電流との比である。ここでは、ドレイン電圧を−50Vとし、ゲート電圧を−50V及び0Vとした。さらに、各試料(有機薄膜トランジスタ素子1〜6)を大気中で1ヶ月放置し、再度、キャリア移動度とON/OFF比を求めた。電流−電圧特性は、Agilent 4145B 半導体パラメータ・アナライザ(Agilent Technologies社製)を用いて得た。結果を表1に示す。
表1より、本発明の有機薄膜トランジスタ素子(TFT素子)は、トランジスタとしての特性が良好であり、更に経時劣化が抑えられていることが分かった。
実施例2
実施例1の比較化合物(1)を比較化合物(3)(ペンタセン、アルドリッチ社製市販試薬を昇華精製して用いた)に代えたほかは、有機薄膜トランジスタ素子1と同様の方法で、有機薄膜トランジスタ素子11を作製した。
実施例1の比較化合物(1)を比較化合物(3)(ペンタセン、アルドリッチ社製市販試薬を昇華精製して用いた)に代えたほかは、有機薄膜トランジスタ素子1と同様の方法で、有機薄膜トランジスタ素子11を作製した。
更に、比較化合物(1)を表2に示した本発明の例示化合物に代えたほかは、有機薄膜トランジスタ素子1と同様の方法で、有機薄膜トランジスタ素子12〜15を作製した。
以上のように作製した有機薄膜トランジスタ素子12〜15は、pチャネルのエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。更に、有機薄膜トランジスタ素子1及び11〜15について、実施例1と同様にI−V特性の飽和領域から、キャリア移動度とON/OFF比(ドレインバイアス−50Vとし、ゲートバイアス−50Vおよび0Vにしたときのドレイン電流値の比率)を求めた。また得られた素子を大気中で1ヶ月放置し、再度キャリア移動度とON/OFF比を求めた。結果を表2に示す。
表1、表2の結果より本発明の有機薄膜トランジスタ素子は、トランジスタとしての特性が良好であり、更に経時劣化が抑えられていることが判った。
また、比較化合物(3)(ペンタセン)を用いた有機薄膜トランジスタ素子11の結果は、塗布による薄膜形成によっては活性層として機能するペンタセン膜膜を得難いことが明確に示されているが、本発明の有機薄膜トランジスタ素子は、塗布による薄膜形成で良好なトランジスタとしての特性を示すことが判かった。
1 有機半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 絶縁層
6 支持体
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 絶縁層
6 支持体
Claims (5)
- 前記一般式(1)で表される構造を含むオリゴマーを含有することを特徴とする有機半導体材料。
- 請求項1または2に記載の有機半導体材料を活性層に用いることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
- 請求項1または2に記載の有機半導体材料を活性層に用いることを特徴とする電界効果トランジスタ。
- 請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ、または、請求項4に記載の電界効果トランジスタを用いることを特徴とするスイッチング素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004119923A JP2005303161A (ja) | 2004-04-15 | 2004-04-15 | 有機半導体材料、有機薄膜トランジスタ、電界効果トランジスタ及びスイッチング素子 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007135911A1 (ja) * | 2006-05-18 | 2007-11-29 | Konica Minolta Holdings, Inc. | 有機薄膜トランジスタの形成方法、及び有機薄膜トランジスタ |
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2004
- 2004-04-15 JP JP2004119923A patent/JP2005303161A/ja active Pending
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