JP2005302436A - 有機機能性素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、その製造方法及びそれを用いた表示体 - Google Patents
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Abstract
【課題】低表面抵抗化、高光透過性化に加えてフレキシビリティを高めた有機機能性素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。各種形状に対応した有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示体を提供する。一貫生産を可能とし、製造プロセスを簡略化した有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供する。
【解決手段】機能性有機層4と、機能性有機層4の一方の面にπ共役系高分子を含む材料から形成された陽極層3と、機能性有機層4の他方の面にπ共役系高分子を含む材料から形成された陰極層5と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】機能性有機層4と、機能性有機層4の一方の面にπ共役系高分子を含む材料から形成された陽極層3と、機能性有機層4の他方の面にπ共役系高分子を含む材料から形成された陰極層5と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機機能性素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、その製造方法及びそれを用いた表示体に関する。
近年、家電品の中でも、従来のブラウン管や液晶ディスプレイに変わり、高輝度及び広視野角をメリットとしたプラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」とする。)ディスプレイ及びフィールドエミッションディスプレイなどの各種表示体が開発されている。各種表示体の中でも、特に、有機ELディスプレイに適用される有機EL素子は、自発光型であり、極薄、フレキシブル(フラット状態から容易にある曲率まで曲げられる特性)かつ低消費電力であるため、有機EL素子及び有機ELディスプレイの研究開発が精力的に行われている。例えば、有機層の構成材料を改良し、高輝度、高効率及び長寿命化した有機EL素子及びこの有機EL素子を平面状に二次元配置した有機ELディスプレイが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、小型機器レベルであるが、低分子系発光材料を使用した有機EL素子及び有機ELディスプレイが、携帯電話の表示部を中心として一部実用化されている。さらに、将来、有機ELは、フレキシブル有機ELディスプレイ化や 50〜60インチという大型フラットディスプレイの開発も活発化している。
有機ELは、一般に、光透過性の基材上に、順次、陽極、有機発光層、陰極を積層して構成する。陽極は、通常、光透過性、導電性に加え、その仕事関数(イオン化ポテンシャル)と有機発光層自身の価電子帯の上端レベル(最高空準位)とのエネルギ差を考慮した透明導電性層を使用している。また、陰極も陽極と同様に、光透過性及び導電性に加え、その仕事関数(イオン化ポテンシャル)と有機発光層自身の伝導帯の下端レベル(最低空準位)とのエネルギ差を考慮した透明導電性層を使用している。例えば、陽極として、仕事関数が大きい材料であるITO、CuI、SnO2及びZnO2などの金属酸化物や金及びニッケルなどの金属薄膜を使用している。なお、「仕事関数」とは、真空レベルまで電子1個を放出するのに必要なエネルギであり、主に、金属材料に対して使用する用語であるため、半導体や有機材料では「イオン化ポテンシャル」の用語を使用する。また、陰極も陽極と同様に、光透過性及び導電性に加え、仕事関数と有機発光層自身のイオン化ポテンシャルとの差を考慮した導電層を使用している。例えば、陽極として、仕事関数が小さい材料であるMg−Ag、Na−K、Al−Al2O3等の合金、Na、K、Li、Ca等のアルカリ金属及びIn、Ya等を使用している。
このように有機EL素子及び有機ELディスプレイの陽極及び陰極として無機材料を使用することにより、導電性、光透過性、電子及び正孔の注入効率(仕事関数またはイオン化ポテンシャル)などの各性能、成膜性、加工性(微細パターンのエッチング性)及び長期安定性を向上させている。
さらに、有機EL素子の改良が進められており、有機EL素子の特性を劣化することなく、形状自由度を高めた有機ELディスプレイとその製造方法も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−14325号公報
特開2004−14531号公報
しかしながら、特許文献2に記載された技術では、有機EL素子を構成する各電極や有機層の形状を変えて形状自由度を高めたものであり、電極は、従来と同様にITO等の無機材料から形成したため、有機EL素子の形状自由度が飛躍的に向上するものではなかった。
特に、上述した無機材料から形成した電極をフレキシブルディスプレイとして曲率の小さな径に丸めた形状とし、あるいは、凹凸のある3次元形状体のディスプレイに適用して使用する場合は、電極が、引張強度、圧縮強度及び伸び率等でその形状に追従できず、歪みが大となり高抵抗化していた。さらに、極端な場合には、電極が断線してしまうという恐れを有していた。
また、開発が進められている高分子系発光材料を使用した高分子系有機ELの製造方法では、基板上に陽極(例えば、ITO)を形成し、その後、再び高分子発光材をインク化して、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法及び熱転写法等のウェットプロセスで形成し、さらに蒸着やスパッタリングなどの真空プロセスで陰極(例えば、Mg・Ag)を形成という複雑な工程を経ていた。このため、本来有している大面積化、低価格化に対しても、ウェット法のメリットを十分に活かすことができなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、すなわち、本発明の有機機能性素子は、機能性有機層と、機能性有機層の一方の面に、π共役系高分子を含む材料から形成された陽極層と、機能性有機層の他方の面に、π共役系高分子を含む材料から形成された陰極層と、を備えることを要旨とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、有機発光材料から形成される有機発光層と、有機発光層の一方の面に、π共役系高分子を含む材料から形成された陽極層と、有機発光層の他方の面に、π共役系高分子を含む材料から形成された陰極層と、を備え、陰極層及び前記陽極層の少なくともいずれか一方が、可視光線領域で光透過性を有することを要旨とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示体は、光透過性を有する基材と、少なくともいずれか一方が可視光線領域で光透過性を有する陽極層及び陰極層の電極と、有機発光層と、を有する有機エレクトロルミネッセンス素子群を備え、複数の陽極層及び陰極層がπ共役系高分子を含む材料から形成されると共に、陽極層と陰極層との複合体が互いにマトリックス状に構成されていることを要旨とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、光透過性を有する基材上に、可視光線領域において光透過性を有する第1の導電性高分子層を形成して陽極又は陰極とする工程と、第1の導電性分子層上に、少なくとも有機発光材を含む材料から形成される有機発光層を形成する工程と、有機発光層上に、第2の導電性高分子層を形成して陽極又は陰極とする工程と、を含むことを要旨とする。
本発明の有機機能性素子によれば、π共役系高分子を含む材料から各電極層を形成したため、フレキシビリティ(形状追従性)を高めることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、低表面抵抗化、高光透過性化に加え、フレキシビリティを高めることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示体によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子のフレキシビリティが高いため、各種形状とすることができる。
本発明の有機機能性素子の製造方法によれば、一貫生産を可能として製造プロセスを簡略化することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る有機機能性素子、有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法について、図1から図11までを挙げて説明する。
<第1実施形態(図1、図2)>
第1実施形態では、本発明の実施の形態に係る有機機能性素子を有機太陽電池に適用した例を挙げて、図1及び図2を用いて説明する。
第1実施形態では、本発明の実施の形態に係る有機機能性素子を有機太陽電池に適用した例を挙げて、図1及び図2を用いて説明する。
まず、本発明の実施の形態に係る有機機能性素子の基本的な構成を図1に示す。図1に示すように、有機機能性素子1は、光透過性を有する材料から形成された基材2上に、陽極層3、機能性有機層4及び陰極層5を順次積層して形成している。
陽極層3及び陰極層5は、π共役系高分子を含む材料から形成することが好ましい。π共役系高分子とは、炭素の単結合と二重結合とが交互に繰返す構造を有しており、連続的なπ結合が分子鎖に沿って形成(共役二重結合)されているものである。共役二重結合中のπ電子は、自由に移動しやすい性質を有するため、キャリアとなり、半導体的又は金属的性質を示すようになる。また、π共役系高分子としては、化学的及び物理的ドーピング処理により表面抵抗値や光透過率を可変できる導電性高分子とすることが好ましい。導電性高分子から陽極層3及び陰極層5を形成することにより、高光透過性及び低表面抵抗化を図り、フレキシビリティ(形状追従性)を高めることができる。
陽極層3及び陰極層5を形成する導電高分子にドーピングする材料(ドーパント)としては、大別してアクセプタ(P型ドープ)用とドナー用(n型ドープ)の2種類がある。アクセプタ(P型ドープ)用のドーパントとしては、Br2、I2、Cl2などのハロゲン系、BF3、PF5、AsF5、SbF5、SO3などのルイス酸、FeCl3、MoCl3、WCl5、SnCl4などの遷移金属ハライドなどを挙げることができる。また、ドナー用(n型ドープ)のドーパントとしては、Li、Na、K、Csなどのアルカリ金属や、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウムイオンを挙げることができる。
光透過性を有する基材2としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルサルフォン(PES)及びこれらの誘導体の中から選択される少なくとも一種以上から形成される高分子樹脂フィルムとすることが好ましい。なお、ここで光透過性とは、可視光線領域(波長380 nm〜波長780 nm)での平均光透過率が概ね80%以上、さらには85%以上であることが好ましい。
上記例示した材料から基板2を形成することにより、基板2と陽極層3又は陰極層5との間の密着性が高まり、曲率の小さな形状や3次元形状に成形することも可能となる。
機能性有機層4は、有機機能性素子1の用途に応じて変わるが、機能性有機層は、以下に示す有機薄膜太陽電池として適用する場合には有機光起電力層とし、有機エレクトロルミネッセンス素子として適用する場合には有機発光層とすることが好ましい。なお、機能性有機層の構成材料については後述する。
図1に示す本発明の実施の形態に係る有機機能性素子を適用した有機薄膜太陽電池の構成を図2に示す。図2に示すように、有機薄膜太陽電池6は、基材2上に、陽極層(導電性高分子層)3、機能性有機層として有機光起電力層7及び光透過性を有する陰極層(導電性高分子層)5aを順次積層し、陽極層3及び陰極層5aに外部回路8を接続している。
陰極層5は、光透過性を有する前述した構成材料から形成され、基材2及び陽極層3は、前述した材料と同様の材料とした。
有機光起電力層7は、積層型のp−n接合あるいは陽極層との間で同様にショットキー(schottky)接合としても良く、また、p型有機ポリマとn型有機ポリマの混合型(ミクロなp−n接合)としても良い。
上記構成の有機薄膜太陽電池6では、太陽光9が陰極層5から入射され、入射した光が、有機起電力層7において電子と正孔とに分離し、その後、電子が外部回路8に流れて光起電力が生じる。
本実施形態によれば、陽極層及び陰極層をπ共役系高分子から形成したため、各電極層を低表面抵抗化、高光透過性化及び高キャリア注入性とすることができ、フレキシビリティ(形状追従性)をも高めることができる。この結果、従来の無機材料から形成した電極層を適用した有機機能性素子に比べてフレキシビリティが高まり、任意の形状に3次元成形加工できるフレキシビリティの高い電極を使用して各種の形状に対応することができる。
また、本実施形態によれば、透明性を有する基材を使用して有機太陽電池を構成したため、効率良く光を所望の方向に出射することができる。また、図1に示した本発明の実施の形態に係る有機機能性素子は、例示した有機太陽電池に適用されるものに限定されるものではなく、後述する有機エレクトロルミネッセンス素子や調光素子としても使用することができる。この場合にも透明性を有する基材を使用することにより効率良く光を所望の方向に出射することができる。
<第2実施形態(図3〜図9)>
第2実施形態では、本発明の実施の形態に係る有機機能性素子を有機エレクトロルミネッセンス素子に適用した例を挙げて、図3〜図9を用いて説明する。
第2実施形態では、本発明の実施の形態に係る有機機能性素子を有機エレクトロルミネッセンス素子に適用した例を挙げて、図3〜図9を用いて説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る平面状とした有機エレクトロルミネッセンス素子の構成を示す断面図である。なお、図3に示す有機エレクトロルミネッセンス素子10は、基本的に、図1に示す有機機能性素子1と同様の構成であるため、同一箇所の説明は省略して同一符号を用いる。
図3(a)に示す有機エレクトロルミネッセンス素子10は、光透過性を有する基材2上に、光透過性を有する陽極層(導電性高分子層)3a、有機発光層11及び陰極層(導電性高分子層)を順次積層して構成され、各電極3(3a),5(5a)に外部回路を接続している。図3(b)に示す有機エレクトロルミネッセンス素子12では、陽極層3aだけではなく陰極層5aも同様に、光透過性を有する材料から形成している。
図3(a)に示す有機エレクトロルミネッセンス素子10の陽極層3aと陰極層5aとの間に、直流電圧又は電流を印加すると、陽極層3aから有機発光層11へ正孔が効率良く注入されると同時に、陰極層3aから有機発光層11へ電子が効率良く注入され、有機発光層11で所望の輝度や色相により発光する。
また、図3(b)に示す有機エレクトロルミネッセンス素子12では、陽極層3a及び陰極層5aの各電極層を透明としている。このため、陽極層3aと陰極層5aとの間の電圧又は電流をOFFとした場合には、有機エレクトロルミネッセンス素子12自体が透明体となるのに対し、各電極層3a,5a間に電圧又は電流を印加した場合は、基材2及び陰極層5aの両側から発光した光が出射される。この結果、上記構成の図3(b)に示す有機エレクトロルミネッセンス素子12を、例えば、車両や建物のウィンドウなどの用途に適用すると、透明性と発色による色彩とを切り替えることができ、意匠性を損なうことなく外部からの守秘性をも確保することができる。
さらに、図3の(a)(b)に示す各有機エレクトロルミネッセンス素子10,12の外周面に防湿保護層14を形成した各有機エレクトロルミネッセンス素子15,16の構成を図4の(a)及び(b)に示す。なお、図4に示す(a)及び(b)では、有機エレクトロルミネッセンス素子15,16の外周面に防湿保護層14を形成したが、防湿保護層14は外周面に限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子15,16の上面又は下面に防湿保護層を形成することもできる。防湿保護層17を形成することにより、長期安定性を得られるだけでなく屋内のみならず屋外でも使用可能となり、有機エレクトロルミネッセンス素子15,16の適用範囲を一層広げることができる。なお、防湿保護層としては、補水液剤の塗布層(例えば、双葉電子工業製OleDry(オーレドライ))などを適切な厚さ(例えば、0.1μm〜10μm厚)に塗布して用いることができる。
図5は、本発明の実施の形態に係る曲面状とした有機エレクトロルミネッセンス素子の構成を示す断面図である。図5の(a)及び(b)に示す各有機エレクトロルミネッセンス素子17,18は、前述した図4(a)(b)に示した平板状の各有機エレクトロルミネッセンス素子15,16を曲面状としている。なお、図5に示す各有機エレクトロルミネッセンス素子17,18の各構成は、図4と同様であるため、同一箇所の説明は省略して同一符号を使用する。
さらに、前述した図3(b)と同等に、図4(b)及び図5(b)においても、透過性を有する導電性高分子層により陽極層3(3a)及び陰極層5(5a)を形成したため、電圧をONとしたとき、有機エレクトロルミネッセンス素子の前面(図中、人間の眼が位置する方向)及び後面に光が出射され、一方、電圧をOFFとしたとき、前面から見たときに裏面も透けて見えるようになる。
また、図5の(a)(b)に示す各有機エレクトロルミネッセンス素子17,18では、導電性高分子層から陽極層3(3a)及び陰極層5(5a)を形成したため、曲率の小さい半径rである場合でも、曲面状の有機エレクトロルミネッセンス素子とすることができる。なお、半径rは、光透過性を有する基材2の厚さ、引張強度及び伸び等の力学的物性値に加え、有機エレクトロルミネッセンス素子17,18内の陽極層3(3a)、有機発光層11、陰極層5(5a)の種類や厚さ、その力学的物性値に依存する。このため一義的に決定することができないが、半径は、概ねr=30〜10 mm程度の大きさまでは実用上問題がない。
ここで、導電性高分子について説明する。π電子が主役を演じる共役系の発達した共役系高分子が導電性高分子であり、固体物理的なバンド構造でいうと比較的小さな禁止体幅(エネルギギャップ)を有しており、半導体的である。
導電性高分子の共役長が長くなるほど禁止体幅が小さくなり、代表的な導電性高分子であるポリアセチレンなどでは、理想的には共役長が長くなると禁止体幅は徐々に小さくなり、共役長が充分長くなれば0となる。
導電性高分子は、π電子共役系の発達した主鎖を有する高分子であるため、導電性高分子の分子構造、コンフォメーションあるいは高次構造を反映したπ電子系の実効共役長により、様々な禁止体幅(エネルギギャップ)とすることができる。この結果、ドーピングした状態で特有の着色をすることができる。これは、禁止体幅が赤から赤外領域の光のエネルギに対応している導電性高分子では、ドーピングにより可視光領域の吸収を激減することが可能であることを意味している。本実施形態で適用可能なドーピング高分子は、p型ドープ(アクセプタ)、またはn型ドープ(ドナー)可能なπ共役系高分子であれば、特に限定されるものではない。導電性高分子層を形成するπ共役系高分子としては、例えば、ポリピロール(doped Polypyrrole)、ポリアニリン(doped Polyaniline)、ポリチオフェン(doped Polythiophene)、ポリアセチレン(doped Polyacethilene)、ポリイソチアナフテン(doped Polyisothianaphtene)及びこれらの誘導体の群から選択される少なくとも一種類以上を挙げることができる。例示したπ共役系高分子を使用することにより、導電性及び光透過性に優れた電極を形成することができる。また、実用的な光透過率と発光層に対する適切なイオン化ポテンシャル、さらにフレキシビリティを有し、特に、表面抵抗の優れた低表面抵抗値の有機エレクトロルミネッセンス素子とすることができる。
また、導電性高分子層を形成するπ共役系高分子として、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリプロピレンオキシド(PO)及びこれらの誘導体の中から選択された少なくとも一種類以上を挙げることができる。例示したπ共役系高分子を使用することにより、特に、光透過性に優れ、容易に塗布可能な各種印刷法を適用して、有機エレクトロルミネッセンス素子を形成することができる。
次に、前述した有機エレクトロルミネッセンス素子10,12,15,16,17,18の陽極層3(3a)及び陰極層5(5a)と有機発光層11との関係について、図6に示すバンド構造を用いて説明する。
図6に示すように、陽極層3(3a)および陰極層5(5a)は、π共役系高分子層であるドーピングした導電性高分子層から形成される。図6に示す陽極層3(3a)及び陰極層5(5a)に、+−の電圧を各々印加すると、Aに示すように、陽極層3(3a)から正孔(ホール)が注入され、陰極層5(5a)からBに示すように電子(エレクトロン)が注入される。すると、有機発光層11において、Cに示すように電場で正孔と電子とが移動し、Dに示すように、正孔と電子とが再結合して発光する。
図6に示すように、陽極層3(3a)および陰極層5(5a)は、π共役系高分子層であるドーピングした導電性高分子層から形成される。図6に示す陽極層3(3a)及び陰極層5(5a)に、+−の電圧を各々印加すると、Aに示すように、陽極層3(3a)から正孔(ホール)が注入され、陰極層5(5a)からBに示すように電子(エレクトロン)が注入される。すると、有機発光層11において、Cに示すように電場で正孔と電子とが移動し、Dに示すように、正孔と電子とが再結合して発光する。
また、導電性高分子層を形成する導電性高分子に可溶性を付与することも可能であり、通常のウェット薄膜積層法に限定されず、グラビア印刷やインクジェット法等の精密印刷技術を用いて電極パターンを形成することもできる。
さらに、導電性高分子層は、使用するドーパント種やそのドープ量を変えることにより、表面抵抗、光透過率及びイオン化ポテンシャルを任意に制御することができる。なお、導電性高分子層のイオン化ポテンシャルについて、光電子分光装置 (理研計器(株)社製:Model AC−1)を用いて大気中の光電子を測定した結果、イオン化ポテンシャル値は、概ね3.5〜5.5 eV(エレクトロンボルト)程度であった。
後に詳述するが、上記構成の有機エレクトロルミネッセンス素子では、陽極層及び陰極層の少なくともいずれか一方に、有機発光層の価電子帯の上端レベル(最高空準位)と伝導帯の下端レベル(最低空準位)との大きさに対応した導電性高分子を使用することができる。
また、陽極層及び陰極層の少なくとも一方に、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリプロピレンオキシド(PO)及びこれらの誘導体の中から選択される少なくとも一種類以上の材料を使用した場合には、評価結果から、イオン化ポテンシャル値は、概ね5.0 eV前後であることが判明した。このため、前述のドーピングした導電性高分子と同様に、陽極層及び陰極層の少なくとも一方に、例示した材料を使用することができるが、イオン化ポテンシャル値が5eV程度と比較的大きいため、使用する有機発光層の価電子帯の上端レベル(最高空準位)との大小関係から、陽極層に適用することが好ましい。このような材料から電極を形成することにより、特に、光透過性の優れた電極とすることができる。
より具体的に、前述した図6を用いて説明する。図6に示すように、陽極層3(3a)及び陰極層5(5a)のイオン化ポテンシャルをそれぞれIpc, Ipaとし、また、有機発光層11における価電子帯の上端レベル(最高空準位HOMO)と伝導帯の下端レベル(最低空準位LUMO)とをEH, ELとする。このとき、陽極層3(3a)からは正孔が、陰極側からは電子が効率良く、しかも安定して注入されるためには、少なくともEH - Ipc ≦0.3 eV、EL - Ipa ≦0.3 eVを満足するように調整する必要がある。例えば、EH - Ipc の値が0.3 eVを超えると、陽極層3(3a)と有機発光層11との間の障壁の高さ(EH とIpc)が大となり、印加電圧を大きくしないと十分な正孔が注入されないことになる。また、陰極層5(5a)と有機発光層11との間の障壁の高さ(EL - Ipa)が0.3eVを超えると、印加電圧を大としなれば十分な電子が注入されず、高効率かつ安定した発光を維持できなくなるからである。さらに、各電極層3(3a) ,5(5a)からの正孔、電子の注入バランスの観点からは、EH - Ipc= EL - Ipaとすることが好ましく、EH - Ipc ≦ 0.1 eV、EL - Ipa ≦ 0.1eVとなるように調整することがより好ましい。上記範囲の値に規定することにより、低表面抵抗、高光透過性及びフレキシビリティに加え、陽極層及び陰極層から有機発光層に効率的に正孔及び電子を安定して注入することができる。
次に、導電性高分子層から陽極層及び陰極層を形成する場合に、陽極層と陰極層の層厚方向の表面粗さが大になると、安定した発光を維持できない傾向となるが、これを図7により説明する。
図7は、陽極層3(3a)及び陰極層5(5a)を形成する導電性高分子層の測定範囲における最大凹凸差Rmaxと発光輝度の時間変化を示す図である。なお、縦軸は発光輝度、横軸は稼働時間を示す。ここで、初期発光輝度が100 cd/m2となるように印加電圧を設定し、表面粗さRmaxを5nm、10nm、20nmに各々変えた。
導電性高分子層の表面粗さRmaxと発光輝度との関係は、陽極層3(3a)及び陰極層5(5a)の間に配置する有機発光層11の種類や厚さに依存する可能性がある。このため、一概には言えないが、図7のK,Lに示すように、表面粗さ(Rmax)が10 nmまでは、10000時間後の発光輝度が初期の90%以内に収まっており、表面粗さRmaxが10 nmを超えると、図中のMに示すように、発光輝度が急激に低下して実用に供し得ないことが判明した。これは、表面粗さが大になると、陽極層と陰極層との間に電圧を印加すると局所電場がかかり、発光輝度が低下するものと考えられる。このため、表面粗さをRmax≦10. 0 nmの範囲とすることにより、電圧又は電流の印加時の局所的な電界集中を防ぎ、長期間に亘り安定した発光特性を得ることができる。また、図7に示す関係図から、発光輝度を維持するために、陽極層3(3a)及び陰極層5(5a)の表面抵抗値が、発光輝度を維持するのに影響を与えていることも判明した。
さらに、陽極層3(3a)及び陰極層5(5a)を形成する導電性高分子層の表面抵抗値を各々変えて、有機エレクトロルミネッセンス素子の稼働時間と発光輝度との関係を調べた。その結果を図8に示す。なお、縦軸は発光輝度、横軸は稼働時間を示し、陽極層として配置した透明導電性高分子層の表面抵抗値(Rs)を10Ω/□、100Ω/□、200Ω/□に各々変化させた。
図8のX,Yに示すように、本条件下において、陽極層の表面抵抗値(Rs)が100Ω/□までは、稼動時間10000Hにおける発光輝度が初期発光強度の80%以上であったが、表面抵抗値(Rs)が100Ω/□を超えると、図中Zに示すように、発光輝度が急激に低下してしまうことが判明した。発光輝度が急激に低下する原因は明らかではないが、各電極層の表面抵抗が大になると、発光輝度100(cd/m2)を得るために要する印加電圧が大となり、必要以上の負荷がかかり実用化レベルの性能を得ることができないからである。本範囲に表面抵抗値を規定することにより、陽極又は陰極の電極層として実用的な導電性を確保することができ、この結果、印加する電圧又は電流を低減することができる。
さらに、上記構成の各有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極層および陰極層のうち、主たる発光側に位置している電極とそれと反対側に位置している電極との屈折率を、それぞれn1、n2としたとき、n2 ≧ n1とすることが好ましい。陽極層と陰極層との屈折率を変えて、主たる発光側に位置している電極の反対側に位置している電極側の屈折率を大とすることにより、界面での反射率を大きくすることができる。このため、陽極層及び陰極層が光透過性を有する場合でも、主たる発光側に発光を効率的に出射することができる。さらに、陽極層及び陰極層の屈折率差(n2 - n1)は、可能な限り大きくすると良く、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.5以上である。
また、上記構成の有機エレクトロルミネッセンス素子中の光透過性を有する基材は、以下に示す特性とすることが好ましい。
光透過性を有する基材は、高分子樹脂フィルムから構成することが好ましく、高分子樹脂フィルムの可視光線領域での平均透過率を80%以上とすると良い。高分子樹脂フィルムから光透過性を有する基材を形成することにより、フレキシビリティを向上することができ、また、80%以上の平均透過率とした基材とすることにより、有機エレクトロルミネッセンス素子内で発光した光を極力減衰させることなく出射することができる。この理由は、自動車等の車両のウィンドウに適用するガラス等は、ドライバーの視認性確保のため、通常70%以上の光透過率を要求されるからであり、安全性の要件に適合させると共に、基材での光の減衰を考慮して規定したものである。さらに、実用化レベルでは、図4に示すように、有機エレクトロルミネッセンス素子の外周に、防湿性を考慮したフィルムをラミネートして防湿保護層を形成するため、高分子樹脂フィルムの平均透過率を90%以上とすることが好ましい。
また、基材を構成する高分子樹脂フィルムの面内の複屈折Δnは、Δn≦0.1とすることが好ましい。複屈折Δnを本範囲に規定したのは、複屈折Δnが0.1を超えると、有機エレクトロルミネッセンス素子を見る際の角度依存性が引き起こされるばかりでなく、発光した光を基材側から出射させる際に、基材内での多重反射が引き起こされる可能性があるからである。複屈折を本範囲の値とすることにより、発光した光が基板側から外部へ効率良く出射することができる。今、複屈折Δnが、0.08、0.10、0.15の3種類のポリエチレンテレフタレート(PET)を基材として用いた場合の有機エレクトロルミネッセンス素子の角度θ=30°、60°での発光輝度Lを比較してみる。なお、角度θは有機エレクトロルミネッセンス素子の法線(角度0°)を基準とし、その法線からの角度θとして、また、発光輝度は法線での各発光輝度を100と規格化して表示する。
我々の検討によれば、3者の発光輝度Lは、Δn=0.08の場合、L30°=92、L60°=88。また、Δn=0.10の場合、L30°=91、L60°=87であるのに対し、Δn=0.12の場合、L30°=79、L60°=64となり、複屈折Δnが0.10以上になると、顕著に発光輝度Lの角度依存性が大きくなることが明らかとなった。
次に、本発明の実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法について、説明する。
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の光透過性を有する基材上に、光透過性かつ可溶性のある導電性高分子薄膜を形成し、陽極を構成する。その後、陽極上に、可溶性のある導電性高分子を用いて発光層を形成する。さらに、発光層の上に、光透過性かつ可溶性のある導電性高分子薄膜を形成し、陰極を構成し、有機エレクトロルミネッセンス素子とする。光透過性を有する基材上に、陽極、発光層及び陰極を形成する方法は、特に限定されるものではなく、真空蒸着法及び各種印刷法を使用することができ、さらに具体的には、キャスティング法、スピンコート法及びドクターブレード法等を使用することができる。各種印刷法を用いて、有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する場合には、例えば、光透過性を有する基材上に、可視光線領域で光透過性を有する第1の導電性高分子樹脂分散液を塗布した層を陽極(又は陰極)とし、その後、陽極上(又は陰極上)に、少なくとも有機発光材を含む分散液を塗布して有機発光層を形成し、その後、可視光線領域で光透過性を有する第2の導電性高分子樹脂分散液を塗布した層を陰極(又は陽極)を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子とする。
本実施形態によれば、有機機能性素子中の陽極層及び陰極層の少なくともいずれか一方を可視光線領域で光透過性を有する材料から形成することにより、低表面抵抗、高光透過性及びフレキシビリティの各特性を向上させて、陽極層および陰極層から有機発光層へ正孔及び電子を注入することができる。この結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光輝度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、インクジェット方やグラビア印刷等のウェットプロセスを用いて、基材上に陽極層、有機発光層及び陰極層、さらに防湿保護層等の封止材に至るまで、全て有機材料を使って連続的に形成できる。このため、製造プロセス的にも一貫生産を可能とし、しかもそのプロセスを簡略化することができる。また、本製造方法から得られる有機エレクトロルミネッセンス素子は、大面積化を図れるだけでなく、上記メリットの点から低コスト化をも実現することができる。
<第3実施形態(図9〜図11)>
第3実施形態では、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示体及び表示体を自動車外板に適用した例を挙げて、図9〜図11を用いて説明する。
第3実施形態では、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示体及び表示体を自動車外板に適用した例を挙げて、図9〜図11を用いて説明する。
図9は、3次元に成形した表示体の概略的な構成を示す図である。図9に示すように、表示体19は、断面が台形である柱状の3次元形状体である基材20の上面に、薄膜状の薄膜状の有機エレクトロルミネッセンス素子21aを形成し、基材20の一方の側面にも、同様に薄膜状の有機エレクトロルミネッセンス素子21bを形成し、基板20と有機エレクトロルミネッセンス素子とを一体に成形している。有機エレクトロルミネッセンス素子21a,21bを拡大した図を図9に示すが、基本的には、第2実施形態で説明した有機エレクトロルミネッセンス素子の構成と同様であり、同一符号を使用してその説明を省略する。また、有機エレクトロルミネッセンス素子21a,21bの構成材料は、基本的に、前述した第1実施形態及び第2実施形態で示した材料と同様であるため、その説明は省略するが、有機発光層は、形状追従性の観点から低分子系ではなく高分子系の発光材料から形成することが好ましい。
図10は、別形態の表示体の構成を示す図であり、電極層又は有機発光層の少なくともいずれか一方を帯状とした表示体の構成を示す。
図10(a)に示す表示体22は、光透過性を有する基材上23に、帯状に形成した光透過性を有する陽極24a,24b,24cを所定の間隔を空けて配置し、陽極24a,24b,24c 上に層状の有機発光層25を形成している。さらに、有機発光層25上には、帯状に形成した光透過性を有する陰極26a, 26bを所定の間隔を空けて形成し、陰極26a, 26bは、陽極24a,24b,24cの軸方向と直角方向の向きに配置し、有機エレクトロルミネッセンス素子群を構成している。陰極26a, 26b及び陽極24a,24b,24cは、お互いに格子状(マトリックス状)に構成され、両電極が交差(クロス)する位置に1つの画素(ピクセル)27を形成している。また、陽極24a,24b,24c及び陰極26a, 26bのいずれか一方は、可視光線領域で光透過性を有する材料から形成することが好ましい。
図10(a)に示すように、各電極を帯状として複数のエレクトロルミネッセンス素子から成る群から表示体22を構成したため、陽極24a,24b,24cと陰極26a, 26bとの両電極間に個別に電圧または電流をON/OFFすることにより、有機発光層25から出射される特定波長の光をクロスしている画素部(ピクセル)27から、任意に発光又は消光することができる。
また、図10(a)に示した表示体22の有機発光層25を、陽極24a,24b,24cと同様の形状とした帯状の有機発光層としても良く、図10(b)に、その構成を示す。図10(b)に示す表示体28は、陽極24a,24b,24cと、有機発光層25a, 25bを一体に構成した陰極26a, 26bと、が交差(クロス)する位置を1つの画素(ピクセル)27a,27bとして構成している。図10(b)に示す構成とすることにより、有機発光層の電気抵抗の大きさにかかわらず、個別に両電極間に電圧又は電流を印加して発光及び発色を制御することができる。さらに、図10(b)に示す表示体として、例えば、赤色の発光体(赤発光層)、緑色の発光体(緑発光層)、青色の発光体(青発光層)を使用して、マトリックス状に構成しても良い。
このため、陽極層と陰極層に対して電圧又は電流をON/OFFすると、クロスしている画素部(ピクセル)を赤色、緑色、青色に、瞬時又は任意に発光又は消光することができる。光の3原色を発色できるため、各色を組合せ又は各光の発光強度を変えて、通常のテレビ表示画面のように多種類の色を表示することが可能となる。この結果、高彩度であり、見る角度による色味の変化の少ない表示体を形成することができる。
図10の(a)(b)に示す構成の各表示体を製造する際、赤色、緑色、青色などに塗り分ける必要がある場合には、インクジェット法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、熱転写法などを適用することもできる。もっとも導電性高分子であっても、蒸着法等を用いて成膜することもできる。
さらに、上述した有機エレクトロルミネッセンス表示体を自動車用外装として適用した例を説明する。
図11は、本発明の実施の形態に係る表示体を自動車用外装に貼り付けた自動車の外観を示す図である。図11に示した自動車外装に貼り付けた表示体29の構成は、基本的に、図9に示した表示体21の構成と同様であるため、同一符号を用いてその説明を省略する。なお、ここでは、表示体29の陽極と陰極との両者を、光透過性を有する導電性高分子から形成した。
図11(a)に示すように、表示体29の陽極層5と陰極層3との間に電圧V=Vaを印加すると、自動車用外装に貼り付けた表示体29aが高彩度に発色するが、一方、電極層間3,5に電圧を印加しない場合は(印加電圧V=0)、表示体29bが透明となり、自動車用外装の下地の色となる。このように、表示体29を自動車用外装に貼り付けることにより、「塗装レス外装」とすることができる。
図11(b)から明らかなように、本発明の実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示体は、透明かつフレキシブルであるため、3次元成形表示体として成立する。
本実施形態によれば、図9に示す3次元形状体のように、エッジ部の曲率がかなり小さい場合でも、フレキシビリティが高いため、エッジ部の表示の歪みを低減することができる。また、本実施形態では、有機機能性素子の電極として導電性高分子を使用したため、形状追従性の良い3次元成形表示体とすることができる。
なお、本実施形態では、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示体を自動車用外装の用途として使用したが、自動車用外装の用途に限定されるものではなく、有機エレクトロルミネッセンス素子等の有機機能性素子あるいは有機機能性素子を用いた表示体は、自動車の各部位をはじめとして、各種車両、建築物、家具、家電品、玩具、照明、電飾体、衣料などに例示されるその他の広範な用途に適用することができる。この結果、従来におけるフラットパネル等の表示体としての用途に限定されず、曲率が小であり凹凸のある3次元の成形体としても適用可能となり、3次元形状を有する部位での発色又は発光が可能となり、意匠性をも高めることができる。
1…有機機能性素子,
2…基材,
3…陽極層,
4…機能性有機層,
5…陰極層,
2…基材,
3…陽極層,
4…機能性有機層,
5…陰極層,
Claims (23)
- 機能性有機層と、
前記機能性有機層の一方の面に、π共役系高分子を含む材料から形成された陽極層と、
前記機能性有機層の他方の面に、π共役系高分子を含む材料から形成された陰極層と、
を備えることを特徴とする有機機能性素子。 - さらに、前記陽極層又は前記陰極層のいずれか一方の面に、光透過性を有する基材を備えることを特徴とする請求項1記載の有機機能性素子。
- 前記π共役系高分子は、導電性高分子であることを特徴とする請求項1記載の有機機能性素子。
- 有機発光材料から形成される有機発光層と、
前記有機発光層の一方の面に、π共役系高分子を含む材料から形成された陽極層と、
前記有機発光層の他方の面に、π共役系高分子を含む材料から形成された陰極層と、を備え、
前記陰極層及び前記陽極層の少なくともいずれか一方が、可視光線領域で光透過性を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - さらに、前記陽極層又は前記陰極層のいずれか一方の面に、光透過性を有する基材を備えることを特徴とする請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記陰極層及び陽極層は、π共役系高分子である導電性高分子から形成された導電性高分子層であることを特徴とする請求項4又は5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記導電性高分子層の表面粗さRmaxは、Rmax≦10.0 nmであることを特徴とする請求項6記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記導電性高分子層の表面抵抗は、100Ω/□以下であることを特徴とする請求項6又は7記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記導電性高分子層の可視光線領域における平均光透過率が、80%以上であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記導電性高分子層は、ドーピングされたポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリイソチアナフテン及びこれらの誘導体の中から選択される少なくとも一種以上から形成されることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記導電性高分子層は、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリプロピレンオキシド及びこれらの誘導体の中から選択される少なくとも一種以上から形成されることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記陽極層および陰極層のいずれか一方の電極のうち、主たる発光側に位置している電極とそれとは反対側に位置している電極の屈折率をn1、n2としたとき、n2 ≧ n1の関係を有することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記陽極層および陰極層のイオン化ポテンシャルをIpc、Ipaとし、有機発光層における価電子帯の上端レベル(最高空準位)および伝導帯の下端レベル(最低空準位)をEH、ELとすると、EH - Ipc ≦0.3 eV及びEL - Ipa ≦0.3 eVであることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記光透過性を有する基材は、高分子樹脂フィルムから形成されることを特徴とする請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記高分子樹脂フィルムの可視光線領域における平均光透過率が、80%以上であることを特徴とする請求項14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記高分子樹脂フィルムの面内の複屈折Δnは、Δn≦0.1であることを特徴とする請求項14又は15記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記高分子樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルサルフォン及びこれらの誘導体の中から選択される少なくとも一種以上から形成されることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項4乃至17のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を、車両、建築物、家具、家電品、玩具、照明、電飾体、衣料に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 光透過性を有する基材と、少なくともいずれか一方が可視光線領域で光透過性を有する陽極層及び陰極層の電極と、有機発光層と、を有する有機エレクトロルミネッセンス素子群を備え、
複数の前記陽極層及び前記陰極層がπ共役系高分子を含む材料から形成されると共に、前記陽極層と前記陰極層との複合体が互いにマトリックス状に構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示体。 - 前記有機発光層は、複数の赤発光層と、緑発光層と、青発光層と、から形成されており、前記各発光層のいずれか一方の面に形成される陰極層と前記各発光層とを同形状に構成したことを特徴とする請求項19記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示体。
- 請求項19又は20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示体を、車両、建築物、家具、家電品、玩具、照明、電飾体、衣料の一部として使用した有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示体。
- 光透過性を有する基材上に、可視光線領域において光透過性を有する第1の導電性高分子層を形成して陽極又は陰極とする工程と、
前記第1の導電性分子層上に、少なくとも有機発光材を含む材料から形成される有機発光層を形成する工程と、
前記有機発光層上に、第2の導電性高分子層を形成して陽極又は陰極とする工程と、
を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。 - 光透過性を有する基材上に、可視光線領域において光透過性を有する第1の導電性高分子樹脂分散液を塗布した層を形成し、陽極又は陰極とする工程と、
前記陽極又は陰極のいずれか一方の上に、少なくとも有機発光材を含む分散液を塗布して有機発光層を形成する工程と、
可視光線領域において光透過性を有する第2の導電性高分子樹脂分散液を塗布した層を形成し、陰極又は陽極とする工程と、
を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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