JP2005299751A - 油圧式オートテンショナ - Google Patents

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智善 井筒
Hisashi Hayakawa
久 早川
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Abstract

【課題】シート面の摩耗によるチェックボールの吸着を防止して、油圧式オートテンショナの特性の低下を抑制することである。
【解決手段】シリンダ1の内部を圧力室10とリザーバ室11に仕切るプランジャ9に上記両室10、11を連通する通路12を設け、その通路12に形成されたシート面14に対してチェックボール15を接触離反自在に設ける。シート面14の面粗さを、シート面14にチェックボール15が吸着保持される摩耗量の限界値以上の面粗さとし、チェックボール15の衝突によりシート面14が摩耗し、その摩耗の進行により摩耗限界に達した状態でシート面14に微細な凹部が残るようにしてシート面14にチェックボール15が吸着保持されるのを防止する。
【選択図】図1

Description

この発明は、カム軸や補機を駆動するベルトやチェーン等のエンドレスの伝動部材の張力を一定に保持する油圧式オートテンショナに関するものである。
この種の油圧式オートテンショナとして、油圧ダンパを有し、その油圧ダンパによりカム軸駆動用のタイミングベルトやチェーンから成る伝動部材からの変動荷重を支持して、伝動部材の振動を吸収するようにしたものが知られている。ここで、油圧ダンパは、圧力室とリザーバ室を連通する通路にシート面を形成し、そのシート面に対して接触離反可能なチェックボールを有するチェックバルブにより上記通路を開閉し、伝動部材からの押し込み力が負荷されたとき、そのチェックバルブで通路を閉じ、圧力室内の作動油が上記通路からリザーバ室内に流動するのを防止して、上記押し込み力を緩衝するようにしている。
上記チェックバルブにおいては、伝動部材から油圧ダンパに高周波の変動荷重が負荷されるため、頻繁に開閉を繰り返し、その開閉の都度、チェックボールがシート面に当接する。このため、シート面は摩耗し易く、そのシート面の摩耗が進行すると、チェックボールがシート面に吸着して、シート面から離反し難くなる作動不良が生じ、油圧式オートテンショナの特性が低下する。
そのような不都合を解消するため、特許文献1に記載された油圧式オートテンショナにおいては、ショットピーニングによりシート面の硬度を高めて摩耗を抑制するようにしている。
また、特許文献2に記載された油圧式オートテンショナにおいては、シート面にTiN、TiCN、DLCの被膜を形成して、シート面の硬度を高めるようにしている。
特開2003−301901号公報 特開2003−207001号公報
ところで、特許文献1および特許文献2に記載された油圧式オートテンショナのように、シート面の硬度を高めたとしても、図5に示すように、シート面20のチェックボール21が接触する部位に摩耗が発生し、そのシート面20の摩耗の進行によりチェックボール21がシート面20に吸着して、開き遅れが生じるという作動不良が生じ、油圧式オートテンショナの特性が低下する。
この発明の課題は、シート面の摩耗によるチェックボールの吸着を防止して、油圧式オートテンショナの特性の低下を抑制することである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、作動油が充填されたシリンダの内部に圧力室とリザーバ室とを設け、その圧力室とリザーバ室を連通する通路にシート面を形成し、このシート面に対するチェックボールの当接により通路を閉鎖して圧力室内の作動油が通路からリザーバ室内に流れるのを防止するようにした油圧式オートテンショナにおいて、前記シート面を、そのシート面がボールを吸着保持する摩耗量の限界値以上の面粗さとした構成を採用したのである。
上記のように構成すれば、チェックボールの頻繁な衝突によりシート面が摩耗して、油圧式オートテンショナの特性が低下する摩耗の限界に達した場合でも、シート面のチェックボールが接触する部位に微細な凹部が残り、その凹部によってリザーバ室と圧力室の相互間で作動油の流動を確保することができるため、チェックボールがシート面に吸着するのを防止することができ、油圧式オートテンショナの特性の低下を抑制することができる。
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、アルミ合金から成るシリンダ1の内部には鋼製の底付きスリーブ2が組込まれている。シリンダ1の上部開口には、シリンダ1の内部に充填された作動油の漏洩を防止するシール部材3が取付けられている。
シール部材3はロッド挿入孔4を有し、そのロッド挿入孔4内にプッシュロッド5がスライド自在に挿入されている。プッシュロッド5は、シリンダ1の内周に沿って摺動可能なウェアリング6により長さ方向の中央部が支持され、そのウェアリング6の下方に組込まれたリターンスプリング7は上記ウェアリング6を押圧してプッシュロッド5に外方向への突出性を付与している。
シリンダ1の内部には油圧ダンパ8が組込まれ、その油圧ダンパ8はプッシュロッド5に付与される押し込み力を緩衝するようになっている。
油圧ダンパ8は、スリーブ2の内周に沿って摺動可能なプランジャ9をプッシュロッド5の下部に接続し、そのプランジャ9によってシリンダ1の内部を圧力室10とリザーバ室11とに仕切り、上記プランジャ9に圧力室10とリザーバ室11とを連通する通路12を設け、その通路12をチェックバルブ13によって開閉するようにしている。
ここで、チェックバルブ13は、通路12の圧力室10側の端部に形成されたシート面14に対して接触、離反可能なチェックボール15と、そのチェックボール15の開閉量を制限するリテーナ16とから成り、上記リテーナ16は圧力室10内に組込まれたプランジャスプリング17によってプランジャ9の下端面に押し付けられている。
上記チェックバルブ13は圧力室10内の圧力がリザーバ室11の圧力より高くなると通路12を閉じ、圧力室10内の作動油が通路12からリザーバ室11内に流れるのを防止するようになっている。
図2および図3に示すように、シート面14は断面形状が円弧状とされ、そのシート面14は凹凸18の形成によって粗面とされている。このシート面14の面粗さは、そのシート面14が摩耗し、そのシート面14にチェックボール15が吸着保持される摩耗量の限界値以上の面粗さとされている。
ここで、チェックボール15がシート面14に吸着保持される摩耗量の限界値はある試験条件では、その摩耗量がほぼ1μmに達するとチェックボール15が吸着保持されることが判明している。そこで、実施の形態では、シート面14の面粗さをRmax1μm以上としている。
シート面14を粗面とする方法として、プランジャ9を鍛造成形する金型のシート面形成部位に凹凸をつけ、プランジャ9の鍛造成形時に、上記凹凸をシート面に転写させる方法、プランジャ9の鍛造成形後、熱処理前にショットピーニングを施す方法、あるいは、熱処理後にショットピーニングを施す方法を採用することができる。
実施の形態で示す油圧式オートテンショナは上記の構造から成り、カム軸駆動用のベルトやチェーン等の伝動部材の張力調整に際しては、揺動自在に支持されたプーリアームに油圧式オートテンショナのプッシュロッド5を当接して、プーリアームに支持されたテンションプーリが伝動部材に押し付けられる方向にプーリアームを付勢する。
上記のような伝動部材の張力調整状態において、伝動部材がカム軸の負荷の変動により振動し、その伝動部材の張力が増大してプッシュロッド5が押し込まれると、圧力室10内の圧力がリザーバ室11内の圧力より高くなるため、チェックボール15がシート面14に当接して通路12を閉じ、圧力室10内の作動油によってプッシュロッド5に負荷される押し込み力が緩衝される。
上記押し込み力がリターンスプリング7およびプランジャスプリング17のばね力の合力より大きい場合、圧力室10内の作動油がスリーブ2とプランジャ9の摺動面間よりリザーバ室11内にリークし、上記合力と押し込み力とが釣り合う位置までプランジャ9がゆっくりと下降して伝動部材の張力変化を吸収し、伝動部材の張力変化を一定に保持する。
一方、伝動部材に弛みが生じると、リターンスプリング7およびプランジャスプリング17の押圧によりプランジャ9およびプッシュロッド5が外方向に移動する。このとき、圧力室10内の圧力がリザーバ室11内の圧力より低下するため、チェックボール15はシート面14から離反して通路12を開放する。このため、リザーバ室11内の作動油は上記通路12から圧力室10内に流れ、プランジャ9およびプッシュロッド5は外方向に急速に移動して、伝動部材の弛みを直ちに吸収する。
ここで、エンジンの駆動時における伝動部材の振動は高周波の振動であるため、チェックボール15は高速度で開閉を繰り返し、閉鎖の都度、シート面14に当接する。その当接によってシート面14が摩耗し易く、その摩耗が進行してチェックボール15が吸着保持される摩耗量の限界値に達すると、従来の油圧式オートテンショナではチェックボール15がシート面14に吸着して、シート面14から離れ難くなり、開き遅れが生じるおそれがあった。
しかしながら、上記シート面14は粗面とされ、その面粗さはシート面14にチェックボール15が吸着保持される摩耗量の限界値以上の面粗さとされているため、シート面14が摩耗限界に達した状態でシート面14には、図4に示すように、微細な凹部19が残存することになる。この微細な凹部19により作動油の流通が確保されるのでチェックボール15がシート面14に吸着保持されるのを防止することができ、油圧式オートテンショナの特性の低下を抑制することができる。
この発明に係る油圧式オートテンショナの実施形態を示す縦断正面図 図1のチェックバルブ部を拡大して示す断面図 図2に示すシート面の拡大断面図 シート面の摩耗状態を示す断面図 従来の油圧式オートテンショナのシート面の摩耗を示す断面図
符号の説明
1 シリンダ
10 圧力室
11 リザーバ室
12 通路
14 シート面
15 チェックボール

Claims (1)

  1. 作動油が充填されたシリンダの内部に圧力室とリザーバ室とを設け、その圧力室とリザーバ室を連通する通路にシート面を形成し、このシート面に対するチェックボールの当接により通路を閉鎖して圧力室内の作動油が通路からリザーバ室内に流れるのを防止するようにした油圧式オートテンショナにおいて、前記シート面を、そのシート面がボールを吸着保持する摩耗量の限界値以上の面粗さとしたことを特徴とする油圧式オートテンショナ。
JP2004114354A 2004-04-08 2004-04-08 油圧式オートテンショナ Pending JP2005299751A (ja)

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