JP2005299723A - ベルト伝動装置のベルト用エレメント - Google Patents
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Abstract
【課題】 ベルト伝動装置の、エレメントを構成部材とする伝動ベルトが、プーリに巻き掛けられる際に発生するベルトノイズを低減することができるエレメントを提供する。
【解決手段】 板状に形成され互いに対向して環状に配列されるとともに、環状の帯状部材が巻き掛けられて環状に結束されることによって伝動ベルトを構成するエレメント1において、前記伝動ベルトがプーリ3に巻き掛けられた際に、前記エレメント1が前記プーリ3の溝に挟み込まれて接触する左右の接触部4,5のうち少なくとも一方に、左右の接触部4,5を結ぶ方向での中央部23よりも板厚の薄い薄肉部24,25が形成されていること。
【選択図】 図1
【解決手段】 板状に形成され互いに対向して環状に配列されるとともに、環状の帯状部材が巻き掛けられて環状に結束されることによって伝動ベルトを構成するエレメント1において、前記伝動ベルトがプーリ3に巻き掛けられた際に、前記エレメント1が前記プーリ3の溝に挟み込まれて接触する左右の接触部4,5のうち少なくとも一方に、左右の接触部4,5を結ぶ方向での中央部23よりも板厚の薄い薄肉部24,25が形成されていること。
【選択図】 図1
Description
この発明は、ベルト伝動装置のプーリに巻き掛けられる伝動ベルトを構成するエレメントに関するものである。
この種のエレメントの一例を図7に示してある。ここに示すエレメント1は金属片からなり、左右の両側面がテーパ状の傾斜面とされた基体部分である板部2を有し、そのテーパ状に傾斜した左右両側面が、プーリ3のベルト巻き掛け溝に摩擦接触してトルクを伝達する摩擦面4,5とされている。
その板部2の幅方向における中央部に、図での上方に延びた首部6が形成されている。その首部6の上端部には、板部2の幅方向での両側に傘状に延びた頂部7が一体に形成されている。したがって板部2の図での上側のエッジ部分と頂部7の図での下側のエッジ部分との間に、左右方向に開いたスリット部8,9が形成されている。このスリット部8,9は、互いに密着して環状に配列されたエレメント1を環状に結束する金属バンドであるフープ10を巻き掛けるための部分であり、したがって板部2の図での上側のエッジ部分が、フープ10の接触するサドル面11,12となっている。
このエレメント1は、環状に配列された状態でフープ10によって結束され、その状態で駆動側および従動側のそれぞれのプーリ3に巻き掛けられる。したがってプーリ3に巻き掛けられた状態では、各エレメント1が、プーリ3の中心に対して扇状に拡がり、かつ互いに密着する必要があるので、各エレメント1の図での下側の部分(環状に配列した状態での中心側の部分)が薄肉に形成されている。すなわち、板部2の一方の面(例えば図7の(B)における左側面)における前記サドル面11,12より所定寸法下がった部分から下側の部分が削り落とされた状態で次第に薄肉化されている。したがって各エレメント1が扇形に拡がって接触する場合、その板厚の変化する境界部分で接触する。そして、その境界部分のエッジがロッキングエッジ13となっている。
なお、板部2の上部(図での上側の部分)、具体的には、板部2のロッキングエッジ13よりも上側の部分は、板部2の下部(図での下側の部分)、すなわち、板部2のロッキングエッジ13よりも下側の部分の板厚以上の厚さをもち、なおかつその板部2の上部の板厚は、エレメント1の幅方向(すなわち左右の接触面4,5を結ぶ方向)において一様な厚さに形成されている。
また、各エレメント1には、相対的な位置を決めるための凸部14と凹部15とが形成されている。すなわち、前述した首部6の延長位置(あるいは頂部7の中心部)には、一方の面側(図の例では、前記ロッキングエッジ13のある面側)に凸となる断面円形のディンプル14が形成されている。このディンプル14とは反対側の面に、隣接するエレメント1におけるディンプル14を緩く嵌合(挿入)させる有底円筒状のホール15が形成されている。したがってこれらのディンプル14とホール15とが嵌合することにより、エレメント1同士の図7(A)での、左右方向および上下方向の相対位置を決めるようになっている。
このような構成のエレメント1では、ディンプル14とホール15とによって図7での上下方向の位置が規制され、これに対してフープ10の張力によってサドル面11,12に図7での下向きの荷重が作用する。そのため、ディンプル14あるいはホール15とサドル面11,12との間の寸法にバラツキがあった場合には、首部6を引っ張る方向の荷重が作用する。その場合、サドル面11,12が首部6の基端部から直角方向に延びているから、首部6とサドル面11,12との間に曲げモーメントが作用する。その曲げモーメントは、首部6とサドル面11,12の境界部となっているコーナー部で最大となるから、この部分での応力集中を防止するために、図7に示すように、そのコーナー部を円弧状に窪ませていわゆるR部16を形成している。
以上に示すようなエレメント1の一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1の発明に記載されているブロック(すなわちエレメント1)は、上述したように、ブロック(エレメント1)の基体部分の上部(すなわち板部2の図7での上側部分)の厚さよりも、ブロック(エレメント1)の基体部分の下部(すなわち板部2の図7での下側部分)の厚さが薄くなる構成とされている。
また、特許文献2には、無段変速装置の運転時において、上記のような金属製ブロックによって構成された高負荷伝動ベルトが、プーリに巻き掛けられる際に発生する騒音を低減するために、金属製ブロックのプーリと接触する側面に切欠状の凹部を設け、その凹部の位置もしくは凹部の幅がランダムとなるように金属製ブロックを配列してベルトを構成するものが記載されている。
なお、上記のようなエレメント1は、従来では、主にプレス加工により製造されていて、そのプレス加工に伴うバリ取りなどの加工が必要である。そこで従来、多量のエレメント1を一括して研磨加工するために、バレル加工が採用されている。その一例が特許文献3に記載されている。
特開2002−257200号公報
実開平3−1343号公報
特開2003−231053号公報
上記の図7に示す構成のエレメント1では、ベルト式無段変速機の運転時には、フープ10によって環状に配列された状態に結束された多数のエレメント1が、その板部2の下部(図7での下側部分)からプーリ3のベルト巻き掛け溝に次々と圧入される。このとき、エレメント1とプーリ3のベルト巻き掛け溝との接触部には、多数のエレメント1とプーリ3のベルト巻き掛け溝とが衝突することによる衝撃音が発生する。その衝撃音のうちのある特定の周波数帯の音が騒音(ベルトノイズ)となる。
そのため、エレメント1の板部2の下部は、プーリ3のベルト巻き掛け溝との衝突の際の衝撃力を低減させるために、可及的に薄くして剛性を低下させることが好ましい。しかしながら、エレメント1の板部2の下部を一様に薄くすると、エレメント1の板部2の中央部(図7での左右方向の中央部分)の強度、すなわちエレメント1本体としてトルクを伝達するのに必要な強度が確保できなくなってしまう可能性があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、ベルト伝動装置のベルトに使用されるエレメントの強度を低下させることなく、プーリに巻き掛けられる際に発生するベルトノイズを低減することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、板状に形成され互いに対向して環状に配列されるとともに、環状の帯状部材が巻き掛けられて環状に結束されることによって伝動ベルトを構成するエレメントにおいて、前記伝動ベルトがプーリに巻き掛けられた際に、前記エレメントが前記プーリの溝に挟み込まれて接触する左右の接触部のうち少なくとも一方に、左右の接触部を結ぶ方向での中央部よりも板厚の薄い薄肉部が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記薄肉部は、前記プーリの半径方向での内径側に形成されていることを特徴とするものである。
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記エレメントは、所定幅のスリット部とそのスリット部に入り込む厚さの板部とを有し、前記スリット部の幅と前記板部の厚さとの差が前記エレメントをバレル研磨する際の研磨用粒子の最大外形寸法より小さい寸法に設定され、前記薄肉部に、前記スリット部の幅と前記研磨用粒子の最大外形寸法との差より小さい板厚となる脱出部が形成されていることを特徴とするものである。
そして、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記脱出部は、前記薄肉部の一部を薄肉化した部分として形成されていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、エレメント下部のプーリとの左右の接触部のうち、少なくとも一方に、左右の接触部を結ぶ方向での中央部より板厚の薄い薄肉部を設けることにより、エレメント下部のプーリとの接触部の剛性が低下される。そのため、中央部が相対的に薄肉部より厚いことにより、エレメントとして必要な強度を確保でき、また、薄肉部の剛性が下がり、エレメントがプーリと接触する際の衝撃力が低減されることによって、ノイズを低減することができる。
また、請求項2の発明によれば、薄肉部をプーリ半径方向での内径側であるエレメント下部に設けることにより、エレメント下部からプーリに接触し始めることから、剛性を下げることによるノイズの低減効果を大きくすることができる。
さらに、請求項3の発明によれば、薄肉部が設けられた複数のエレメントを、研磨用粒子と共に撹拌して研磨するバレル研磨をおこなう場合、薄肉部に設けられた脱出部の厚さと研磨用粒子の最大外形寸法との和が、スリット部の幅(隙間間隔)より小さいため、いずれかのエレメントにおけるスリット部に、他のエレメントの薄肉部と研磨用粒子とが入り込む、いわゆる噛み込んで外れなくなる事態が防止もしくは抑制される。したがって、エレメントの研磨を良好におこなうことができる。
そして、請求項4の発明によれば、脱出部が薄肉部の一部を薄肉化した部分として形成されているため、薄肉部と研磨用粒子とがスリット部にいわゆる噛み込まれて外れなくなる事態を防止もしくは抑制することができ、エレメントの研磨を良好におこなうことができる。
つぎに、この発明を図面を参照して具体的に説明する。図1にこの発明に係るエレメント1を示してある。図1の(A)はその正面図であり、また(B)は側面図であって、ここに示すエレメント1の基本的な構造は、前述した図7に示すエレメント1の構造を一部改良したものであるから、図7に示す構成と同様の部分には、図7に付した符号と同様の符号を付してその説明を省略する。なお、エレメント1の他の実施例を示す、後述の図2a、図2b、図3a、図3bにおいても、(A)はそれらの正面図であり、(B)は側面図である。また、図1の場合と同様に、図7に示す構成と同様の部分には、図7に付した符号と同様の符号を付してその説明を省略する。
この発明に係るエレメント1は、サドル面11,12を形成している板部2(すなわちサドル面11,12より図での下側の部分である板部2)の厚さが、スリット部8,9の幅(隙間間隔)Lより薄く設定されている。さらにこの板部2における前述したロッキングエッジ13より図での下側の部分(首部6もしくは頂部7とは反対側の部分)の板厚が更に薄くされている。すなわち、ロッキングエッジ13から次第に直線的な斜面20となるように板厚が減少されている。
そして、この発明に係るエレメント1は、エレメント1の板部2の形状が、剛性を確保して動力伝達する部分と剛性を落とした部分とに分けられていて、ベルトがプーリ3に巻き掛けられる際に、最初に剛性を落とした部分をプーリ3と接触させ、その後に動力伝達部分を接触させることで、ベルトノイズを低減するように構成されている。
具体的には、前述の図7に示したような板部2の下側部分(図での下側の部分)が、板部2の幅方向での中央部分(図での左右方向の中央部分)と両端部分(図での左右の端部)との間に切り欠き部21,22が設けられることによって、板部2の中央部23と両端部24,25とに区分されている。
板部2の中央部23は、前述の図7に示した板部2と同様に、サドル面11,12より所定寸法下がった(図での下側に位置する)部分から下側(図での下側)の部分が削り落とされた状態で次第に薄肉化されている。その薄肉化の程度は、板部2の剛性が、ベルトのエレメント1としてトルクの伝達をおこなうために必要な剛性、あるいは使用中に変形しない程度の剛性を下回らない範囲内で薄肉化されている。
一方、両端部24,25は、中央部23よりも剛性が低くなるように、薄肉化されいる。すなわち、これらの両端部24,25が、エレメント1の下部すなわち板部2の幅方向での中央部23より板厚の薄い薄肉部24,25である。
これらの薄肉部24,25は、前述した、ベルトがプーリ3に巻き掛けられる際にエレメント1がプーリ3のベルト巻き掛け溝に摩擦接触してトルクを伝達する摩擦面4,5と同一平面である、プーリ3のベルト巻き掛け溝に接触する面を含んでおり、ベルトがプーリ3に巻き掛けられる際に、エレメント1の各部のうちで、最初にプーリ3のベルト巻き掛け溝と接触する部分である。したがって、ベルトがプーリ3に巻き掛けられる際には、最初に、中央部23よりも剛性を低下させた薄肉部24,25がプーリ3のベルト巻き掛け溝と接触し、その後に、トルクを伝達する部分である板部2の摩擦面4,5がプーリ3のベルト巻き掛け溝と接触することになる。
このように、この発明におけるエレメント1は、その板部2が、トルクを伝達するのに必要な剛性を確保した中央部23と、ベルトがプーリ3に巻き掛けられる際に最初にプーリ3のベルト巻き掛け溝と接触する部分であって、中央部23よりも板厚を薄くすることによって剛性を低下させた薄肉部24,25とに分けられて形成されている。そのため、エレメント1のトルクを伝達するために必要な強度を確保しながら、エレメント1とプーリ3のベルト巻き掛け溝とが衝突もしくは接触し始める際の衝撃力を低減してその際に発生するベルトノイズを抑制することができる。
また、図2a、図2bは、エレメント1の薄肉部24,25について、他の実施形態における薄肉部24,25の例を示したものである。上記の図1に示すエレメント1の薄肉部24,25は、薄肉部24,25全体が均一に薄肉化されてその剛性が低下されているのに対して、図2aに示すエレメント1の薄肉部24,25は、部分的に薄肉化されてその剛性が低下されている。すなわち、図2aに示すエレメント1は、その薄肉部24,25の板部2の幅方向(図の左右方向)における左右の端面から中央部23側方向への所定範囲の部分24A,25Aが、薄肉化されずに中央部23と同等の板厚となるように形成されている。そして薄肉部24,25の前記の所定範囲の部分24A,25A以外の部分が、薄肉部24,25の剛性を低下させるために薄肉化されている。
このように薄肉部24,25が部分的に薄肉化されている場合であっても、薄肉部24,25の剛性が低下されることによって、上記の図1に示す実施例の場合と同様に、エレメント1とプーリ3のベルト巻き掛け溝とが衝突もしくは接触し始める際の衝撃力を低減してその際に発生するベルトノイズを抑制することができる。
また、上記の図1あるいは図2aに示すエレメント1が、板部2の下部(図での下側)に、全体あるいは部分的に薄肉化されてその剛性が低下されている薄肉部24,25が形成されているのに対して、図2bに示すエレメント1は、左右の接触面4,5の一部を含み、プーリ3の半径方向の内径側(エレメント1の下部)の所定範囲の部分だけが、薄肉部24B,25Bとして薄肉化されてその剛性が低下されている。
すなわち、ベルトがプーリ3に巻き掛けられる際にプーリ3に接触し始めるプーリ3の半径方向の内径側(エレメント1の下部)に、薄肉化されて剛性が低下された薄肉部24B,25Bが形成されるとともに、エレメント1の動力伝達部位である板部2の上部は薄肉化されずに所定の板厚に保たれることによって、エレメント1のトルクを伝達するために必要な強度を確保しながら、エレメント1とプーリ3のベルト巻き掛け溝とが衝突もしくは接触し始める際の衝撃力を低減してその際に発生するベルトノイズの低減効果を大きくすることができる。
前述したように、この発明に係る上記のエレメント1は、金属板を素材として、主にプレス加工により製造することができる。そして、そのプレス加工に伴なって生じるバリの除去や、R部16などの応力集中が予想される部位におけるきずの除去あるいは表面粗さの改善のために、複数のエレメントを研磨用粒子(メディア)Mと共に撹拌して研磨するバレル加工(バレル研磨)が施される。その場合、エレメント1に形成されているスリット部8,9に、他のエレメント1の板部2が入り込み、その中で薄肉部24,25とメディアMとが噛み込んで外れなくなる事態が生じる可能性がある。そのため、この発明におけるエレメント1は、薄肉部24,25に、バレル加工の際のメディアMとの噛み込みを防ぐための、脱出部が設けられている。
この脱出部について具体的に説明すると、先ず、図1の実施例では、エレメント1の薄肉部24,25自体が、脱出部24,25となっている場合を示している。この場合は、図1の(B)に示すように薄肉部24,25の板厚をT1とし、スリット部8,9の幅をL、メディアMの最大外形寸法をDとすると、
T1<L−D
の関係を満たすように、薄肉部24,25の板厚T1が設定されている。すなわち、幅がLであるスリット部8,9に、板厚T1の他のエレメント1の薄肉部(すなわち、この場合の脱出部)24,25と、最大外形寸法がDのメディアMとが同時に入り込んだ場合(図4の(A)に示す状態)でも、メディアMと薄肉部24,25とが噛み込んでしまわないように、薄肉部24,25が脱出部24,25として、それらの板厚が上記のような板厚T1に設定されているのである。その結果、スリット部8,9の中で、他のエレメント1の薄肉部24,25とメディアMとが噛み込んで外れなくなることが回避もしくは抑制され、エレメント1のバレル加工を円滑に行うことができる。
T1<L−D
の関係を満たすように、薄肉部24,25の板厚T1が設定されている。すなわち、幅がLであるスリット部8,9に、板厚T1の他のエレメント1の薄肉部(すなわち、この場合の脱出部)24,25と、最大外形寸法がDのメディアMとが同時に入り込んだ場合(図4の(A)に示す状態)でも、メディアMと薄肉部24,25とが噛み込んでしまわないように、薄肉部24,25が脱出部24,25として、それらの板厚が上記のような板厚T1に設定されているのである。その結果、スリット部8,9の中で、他のエレメント1の薄肉部24,25とメディアMとが噛み込んで外れなくなることが回避もしくは抑制され、エレメント1のバレル加工を円滑に行うことができる。
また、図3aに示す実施例は、エレメント1の薄肉部24,25の一部に、脱出部26,27が設けられた場合を示している。この場合は、図3aの(B)に示すように、板厚がT2である薄肉部24,25の下側(図での下側)の部分に、板厚が、板厚T2よりも薄い板厚T3である脱出部26,27が、薄肉部24,25に対し段差が付けられて形成されている。そしてこの脱出部26,27の板厚T3は、上記の図1に示す実施例の場合の薄肉部(脱出部)24,25の板厚T1と同様に、
T3<L−D
の関係を満たすように、板厚T3が設定されている。なお、この場合の薄肉部24,25の板厚T2は、
T2>L−D
の関係式で表すことができる。したがって、エレメント1がバレル加工される際に、エレメント1のスリット部8,9の中に、他のエレメント1の薄肉部24,25とメディアMとが同時に入り込み、その薄肉部24,25とメディアMとが噛み込んでしまった場合でも、脱出部26,27がメディアMの逃げ場所となって、薄肉部24,25とメディアMとの噛み込みを解消し易くなる。また、脱出部24,25の板厚T3が、薄肉部26,27の板厚T2に対して段差が付くように設定されているため、スリット部8,9の中に他のエレメント1と同時に入り込んだメディアMが、脱出部26,27の側から薄肉部25,26の方へ移動し難くなり、薄肉部24,25とメディアMとの噛み込みが抑制される。さらに、薄肉部24,25とメディアMとの噛み込みが生じた場合であっても、例えば板厚T2と板厚T3との間がスロープ状となるように設定した場合のように楔効果が生じることがないため、メディアMが薄肉部24,25の板厚T2の部分に徐々に入り込み、薄肉部24,25とメディアMとがさらに強く噛み込んでしまうことを防ぐことができる。
T3<L−D
の関係を満たすように、板厚T3が設定されている。なお、この場合の薄肉部24,25の板厚T2は、
T2>L−D
の関係式で表すことができる。したがって、エレメント1がバレル加工される際に、エレメント1のスリット部8,9の中に、他のエレメント1の薄肉部24,25とメディアMとが同時に入り込み、その薄肉部24,25とメディアMとが噛み込んでしまった場合でも、脱出部26,27がメディアMの逃げ場所となって、薄肉部24,25とメディアMとの噛み込みを解消し易くなる。また、脱出部24,25の板厚T3が、薄肉部26,27の板厚T2に対して段差が付くように設定されているため、スリット部8,9の中に他のエレメント1と同時に入り込んだメディアMが、脱出部26,27の側から薄肉部25,26の方へ移動し難くなり、薄肉部24,25とメディアMとの噛み込みが抑制される。さらに、薄肉部24,25とメディアMとの噛み込みが生じた場合であっても、例えば板厚T2と板厚T3との間がスロープ状となるように設定した場合のように楔効果が生じることがないため、メディアMが薄肉部24,25の板厚T2の部分に徐々に入り込み、薄肉部24,25とメディアMとがさらに強く噛み込んでしまうことを防ぐことができる。
このように、この図3aに示す実施例の場合も、上記の図1の実施例の場合と同様に、スリット部8,9の中で、他のエレメント1の薄肉部24,25とメディアMとが噛み込んで外れなくなることが回避もしくは抑制され、エレメント1のバレル加工を円滑に行うことができる。なお、図4の(B)は、この図3aに示す実施例のエレメント1において、スリット部8,9に、他のエレメント1の薄肉部24,25とメディアMとが同時に入り込んだ状態を示している。
なお、上述したメディアMの最大外形寸法Dは、使用開始当初の寸法であり、メディアMの外形寸法は使用に伴って次第に小さくなる。そのため、エレメント1のバレル研磨を継続すると、外形寸法(もしくは粒径)の小さくなったメディアMが、前記スリット部8,9の内面とここに入り込んでいる他のエレメント1の板部2における斜面20、もしくは図3aに示す薄板部24,25の一部に脱出部26,27が設けられた場合の薄板部24,25との間に入り込むことがあるが、これらの部分の長さ(前記ロッキングエッジ13から下端に向けて図った長さ)が、脱出部26,27を形成してあることにより短くなっているので、いわゆる噛み込みによってスリット部8,9から外れなくなる可能性もしくは頻度が低く、エレメント1のバレル研磨の支障になることは殆どない。
また、図3bに示す実施例は、ロッキングエッジ13から下側の部分の約半分に、下端に到る長さの矩形の脱出部28が櫛歯状に形成されたものである。その脱出部28の板厚T4は、前述した図3aに示すエレメント1の脱出部26,27の板厚T3と同じもしくは近似する板厚であってよい。したがって図3bに示す構造では、板部2の幅方向(図の左右方向)に、脱出部28に相当する凹部とその間に位置する凸部とが交互に並んだ形状となる。したがって凸部の厚さは、スリット部8,9の幅Lとの差がメディアMの最大外形寸法より小さくなる厚さである。
この図3bに示す構造であっても、スリット部8,9の内面と脱出部28との間に形成されるスペースは、メディアMの最大外形寸法より大きく(広く)なるので、バレル研磨の際にいずれかのエレメント1におけるスリット部8,9に他のエレメント1の板部2がメディアMと共に噛み込まれる可能性もしくは頻度が低くなり、その結果、エレメント1のバレル研磨を確実もしくは円滑におこなうことができる。
上記のような、ベルトノイズを低減するために剛性を低下させた薄肉部24,25が形成されたこの発明に係るエレメント1は、薄肉部24,25の有無あるいは薄肉部24,25の位置や形状、板厚などが異なった複数の種類に分けて形成され、その複数種類のエレメント1を、所定の条件の基づいて、もしくは任意に配列することによって、ベルトノイズの低減を図ることができる。
具体的には、図5に示す4種類のタイプのエレメント1が、図6に示すような配列パターンで配列されてフープ10により結束されることによりベルト式無段変速機のベルトが構成される。図5の(A)ないし(D)は、それぞれ、板部2の右側(図での右側)端部のみが薄肉部24として薄肉化されているAタイプ(図5の(A))、板部2の左側(図での左側)端部のみが薄肉部25として薄肉化されているBタイプ(図5の(B))、板部2の両側端部が薄肉部24,25として薄肉化されているCタイプ(図5の(C))、板部2に薄肉部が形成されていない従来の構成によるDタイプ(図5の(D))の4種類のタイプのエレメント1を示している。そして、これらの4種類のタイプのエレメント1が、図6に示すように、それぞれ混在されて配列されている。その場合の配列パターンの例として、例えば、図6の(A)に示す配列パターンI、図6の(B)に示す配列パターンIIなどがある。
なお、図5の(A)ないし(C)に示すエレメント1は、、前述の図1に示したエレメント1と同様の、薄肉部24,25全体が均一に薄肉化されてその剛性が低下されているタイプのものであるが、それ以外に、例えば図2a、図2b、図3a、図3bに示したような薄肉部24,25,24A,25A,24B,25B,28が形成されたそれぞれのタイプのエレメント1であってもよく、あるいはそれら各種タイプのエレメント1の組み合わせであってもよい。
このように、剛性を低下させた薄肉部24,25の位置や形状などが異なる複数種類のエレメント1を混在させて配列し、ベルトを構成することによって、ベルトがプーリに巻き掛けられる際に生じる衝撃音の周波数のピークを分散することができ、その結果、特定の周波数レベルの音が耳障りな騒音となるような場合の、ベルトノイズを低減することができる。
なお、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、エレメント1の薄肉部24,25は、上記の図1ないし図3bに示した実施例以外のものであってもよい。要は、ベルトがプーリ3に巻き掛けられる際に、エレメント1の、プーリ3のベルト巻き掛け溝と最初に接触する部分、すなわち薄肉部24,25が、プーリ3のベルト巻き掛け溝との接触時生じる衝撃音を低減するために剛性が低下されたものであればよい。
1…エレメント、 2…板部、 6…首部、 8,9…スリット部、 16…R部、 24,25…薄肉部、 26,27…脱出部、 M…メディア。
Claims (4)
- 板状に形成され互いに対向して環状に配列されるとともに、環状の帯状部材が巻き掛けられて環状に結束されることによって伝動ベルトを構成するエレメントにおいて、
前記伝動ベルトがプーリに巻き掛けられた際に、前記エレメントが前記プーリの溝に挟み込まれて接触する左右の接触部のうち少なくとも一方に、左右の接触部を結ぶ方向での中央部よりも板厚の薄い薄肉部が形成されていることを特徴とするベルト伝動装置のベルト用エレメント。 - 前記薄肉部は、前記プーリの半径方向での内径側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト伝動装置のベルト用エレメント。
- 前記エレメントは、所定幅のスリット部とそのスリット部に入り込む厚さの板部とを有し、
前記スリット部の幅と前記板部の厚さとの差が前記エレメントをバレル研磨する際の研磨用粒子の最大外形寸法より小さい寸法に設定され、
前記薄肉部に、前記スリット部の幅と前記研磨用粒子の最大外形寸法との差より小さい板厚となる脱出部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト伝動装置のベルト用エレメント。 - 前記脱出部は、前記薄肉部の一部を薄肉化した部分として形成されていることを特徴とする請求項3に記載のベルト伝動装置のベルト用エレメント。
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JP2004112940A JP2005299723A (ja) | 2004-04-07 | 2004-04-07 | ベルト伝動装置のベルト用エレメント |
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Cited By (1)
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JP2019120282A (ja) * | 2017-12-28 | 2019-07-22 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用伝動ベルトのベルトエレメント |
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- 2004-04-07 JP JP2004112940A patent/JP2005299723A/ja active Pending
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