JP2005299707A - トルク伝達系の発進制御装置 - Google Patents

トルク伝達系の発進制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 Gセンサを用いずに発進及び再加速時におけるドライブシャフト等の捩り振動を抑制でき、かつ安価な発進制御装置を提供する。
【解決手段】 車両の発進要素として、電磁力により締結可能な電磁多板クラッチを備えたトルク伝達系の発進制御装置において、車速検出手段と、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、検出されたスロットル開度に基づいて、車両の目標車速軌跡を設定する目標車速設定手段と、車速に基づくフィードバック制御量演算部とを設け、フィードバック制御量演算部は、車速が目標車速軌跡に追従するよう、目標車速設定手段によって得られる目標車速と、車速検出手段によって得られる実車速の差分にロバスト制御を施すことでクラッチ締結トルク値を演算する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、エンジンと自動変速機の変速機構部との間に介在され、エンジン駆動力を断接可能に変速機構部へ伝達するクラッチの制御装置において、特に発進時の振動を抑制する発進制御の技術分野に関する。
従来、車両に用いられ、エンジンの出力トルクを伝達するクラッチにおいては、発進時のトルク変動による振動防止のため、様々な対策が講じられている。例えば、クラッチにおける駆動側および従動側の速度比、及び予め設定されたトルク容量式を用いることで車両の振動を検出し、発進時の振動制御を行っている(特許文献1参照)。
また、Gセンサ等、加速度を検出するセンサを用いて車両の振動を検出することで、発進時の振動制御を行っている(特許文献2参照)。
特開平9−72353号公報 特開2003−130088号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、クラッチにおける振動防止には効果があるものの、ドライブシャフト等、クラッチ出力軸から駆動輪に至るまでのトルク伝達部材の捩り振動に対する振動防止効果はない。また、Gセンサを用いた場合、振動検出効果は高く振動制御も容易であるが、コストが高く、非実用的であるという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、Gセンサを用いずに発進及び再加速時におけるドライブシャフト等の捩り振動を抑制でき、かつ安価な発進制御装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明では、車両の発進要素として、電磁力により締結可能な電磁多板クラッチを備えたトルク伝達系の発進制御装置において、車速検出手段と、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、検出されたスロットル開度に基づいて、車両の目標車速軌跡を設定する目標車速設定手段と、車速に基づくフィードバック制御量演算部とを設け、フィードバック制御量演算部は、車速が目標車速軌跡に追従するよう、目標車速設定手段によって得られる目標車速と、車速検出手段によって得られる実車速の差分にロバスト制御を施すことでクラッチ締結トルク値を演算することとした。
よって、本発明にあっては、目標車速設定手段によって得られる目標車速と、車速検出手段によって得られる実車速の差分にロバスト制御を施すことで、Gセンサを用いずに発進及び再加速時におけるドライブシャフト等の捩り振動を抑制でき、かつ安価な発進制御装置を提供できる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明する。
[本願実施例の構成]
図1は、実施例1のトルク伝達系の発進制御装置のシステム図である。実施例1におけるトルク伝達系の制御装置は、運転者のアクセルペダル操作に応じて作動するスロットル1と、スロットル開度TVOに応じて駆動するエンジン2と、エンジン2からの回転数を無段階に変速し駆動輪4に出力する無段変速機(CVT)3と、エンジン2とCVT3の間に介在され伝達トルクを制御する電磁多板クラッチ(EMSC)20と、EMSC20に対し指令信号を出力するEMSCコントロールユニット10を有する。
図1において運転者がスロットル1の操作を行うと、エンジンに対してスロットル開度TVOに応じた回転指令が出力され、同時にTVOがEMSCコントロールユニット10に入力される。
CVT3はEMSC20から動力の伝達を受け、駆動輪4に動力を伝達する。また、駆動輪4はCVT3からの動力伝達を受けて回転し、車速VSPをEMSCコントロールユニット10へ出力する。EMSCコントロールユニット10は、上述のスロットル開度TVO、車速VSPの入力を受け、これらの値を基に、EMSC20へ供給する電流値を制御し、トルク容量を制御する。
図2は、EMSCコントロールユニット10の制御ブロック図である。EMSCコントロールユニット10は、車速センサ判断部11(異常検出手段)、目標速度設定部12(目標車速設定手段)、反転部13、第1加算部14、ロバスト制御部15(フィードバック制御演算部)、目標締結トルク設定部16(目標クラッチ締結トルク設定手段)、逆位相補償部17(フィードフォワード制御演算部)、第2加算部18、及び発進制御部19(発進制御手段)を有する。
目標速度設定部12、反転部13、第1加算部14、及びロバスト制御部15によりフィードバック制御部が形成され、車速VSPを用いたロバスト制御によるフィードバック制御が実行される。また、目標締結トルク設定部16及び逆位相補償部17によりフィードフォワード制御部が形成され、スロットル開度TVOを用いたフィードフォワード制御が実行される。
車速センサ判断部11はスロットル開度TVO及び車速VSPの入力を受け、また駆動輪4に設けられた車速センサ(非表示の車速検出手段)が正常かどうかを判断する。車速センサが正常であればTVOの値を目標速度設定部12へ出力し、VSPの値を反転部13へ出力する。正常でなければ、TVO,VSPの値を出力しない。
車速センサが正常と判断された場合、目標速度設定部12はスロットル開度TVOの入力を受け、TVOの値に応じた目標速度軌跡を予め設定したマップを読み込んでTVO値に対応した目標車速Voを設定し、Voの値を第1加算部14へ出力する。
車速センサが正常と判断されれば、反転部13は車速VSPの入力を受け、VSPの符号を反転させて-VSPとして第1加算部14へ出力する。
第1加算部14は加算器であり、入力を受けた目標車速Voの値と車速VSPの符号を反転させた-VSPの値を加算し、VoとVSPの差分であるVo-VSPの値を算出し、その値をロバスト制御部15に入力する。
ロバスト制御部15は、Vo-VSP値の入力を受け、ロバスト制御により所定のゲインKを乗じてロバストトルクTとし、第2加算部18へ出力する。車速センサが正常でない場合は目標速度Voの設定および車速VSPの入力が行われないため、ロバストトルクTの算出も行われない。
目標締結トルク設定部16は、スロットル開度TVOの値に応じた目標締結トルクToを予め設定したマップを読み込んで、TVOの入力を受け、その値に応じた目標締結トルクToの値を読み込んで逆位相補償部17へ出力する。逆位相補償部17は、目標締結トルク設定部16から入力された目標締結トルクToの逆位相補償を行い、逆位相補償トルクTinvとして第2加算部18へ出力する。
第2加算部18は加算器であり、入力されたロバストトルクTと逆位相補償トルクTinvの値を加算し、最終目標締結トルクTとして発進制御部19へ出力する。車速センサが正常でなくロバストトルクTが算出されない場合、入力された逆位相補償トルクTinvをそのまま出力する。発進制御部19は、最終目標締結トルクTの値の入力を受け、伝達トルクが入力どおりの値となるようEMSC20の電流を制御する。
図3は、スロットル開度TVOの値に応じた目標締結トルクToの値の経時変化を示す図である。同一時間においては、スロットル開度TVOの増大に伴って目標締結トルクToの値も増大することを示している。図2に示される目標締結トルク設定部16は、TVOの入力を受け、図3で示されるマップを読み込むことにより、TVO値に応じた目標締結トルクToの値を逆位相補償部17へ出力する。
図4は、スロットル開度TVOの値に応じた目標車速Voの値の経時変化を示した図である。図3における目標締結トルクToと同様、図2に示される目標速度設定部12はTVOの入力を受け、目標車速Voの値を第1加算部14へ出力する。
[本願実施例の作用]
図2に示すように、EMSCコントロールユニット10のフィードバック制御においては、入力に対し直接応答するスロットル開度TVOを検出し、予め設定された目標速度軌跡を目標速度設定部12が読み込んで目標車速Voを設定する。
ロバスト制御部15は、車速VSPが目標車速Voに追従するよう、第1加算部14から入力された目標車速Voと車速VSPとの差分値Vo-VSPに所定のゲインKを乗じてロバストトルクTを算出する。
フィードフォワード制御においては、逆位相補償部17は目標締結トルク設定部16により得られた目標締結トルクToに逆位相補償を施し、最適なゲインを乗じて逆位相補償トルクTinvを算出する。
発進制御部19は、EMSC20の締結トルクがTとTinvを重ね合わせて最終目標締結トルクTとし、EMSC20における伝達トルク値がこの最終目標伝達トルクTとなるよう、EMSC20の電流を制御する。
[従来例と本願におけるフィードバック制御作用の対比]
図5は、従来例のGセンサを用いたフィードバック制御図を示す制御ブロック図であり、図6は、車両情報のフィードバック制御における従来例と本願実施例の制御ブロック図の対比を示す図である。図5(a)、(b)及び図6(a)に従来例のフィードバック制御のブロック図を、図6(b)に本願実施例におけるEMSCコントロールユニット10におけるフィードバック制御のブロック図を示す。図5及び図6においては制御対象をvehicleとしているが、実際の車両においては図2に示すように電磁多板クラッチの電流値を制御対象としている。
一般に、速度センサは安価であるが、実際の車速はスロットル操作に対し必然的に遅れを生じてしまい、速度センサを用いて車両振動抑制制御を行う場合、精度の高い制御は困難である。さらに、制御対象としての速度と加速度は位相が異なり、車速をパラメータとした振動制御は困難であった。
これらの理由から、従来例においては、図5(a)に示されるようにGセンサを用いて車両の加速度G(振動)を検出し、スロットル開度TVOに応じた目標加速度Goと検出された加速度Gの差分値にPI制御を施して、振動を抑制するよう設定された目標加速度値に漸近させるフィードバック制御を行っている。すなわち、
図5(a)に示されるPIコントローラC1において目標加速度Goと実加速度Gの差分Go-GにPIゲインK(s)を施す。
このとき、PIコントローラC1におけるゲインK(s)は、定常ゲインをKとしてラプラス変換表記を用いれば
K(s)=(1/s)・K
と表されるため、図5(b)に示すようにPIコントローラC1においては
∫K(Go-G)dt=K(Vo-V+C) (C:積分定数)・・・(1)
K(Vo-V+C)=T ・・・(2)
として電磁多板クラッチの目標伝達トルクTを算出している。
このとき、積分の線形性から、PIコントローラC1における積分要素のみを分離して(1)式の左辺のみを表記すると
K・∫(Go-G)dt ・・・(3)
となり、比例要素である定常ゲインと積分要素を分離することが可能である。この積分要素の演算をIコントローラC2、比例要素の演算をPコントローラC3により行うことで、図5(a)のブロック図で表される制御を図6(a)のブロック図に変形できる。
図6(a)のブロック図で示されるように、目標加速度Goと実車両加速度Gの差分値Go-GをIコントローラC2により積分して
∫(Go-G)dt=Vo-V+C ・・・(4)
として加速度偏差の積分値Vo-V+Cを算出する。このとき、積分によりVo-V+Cの位相は速度の位相となる。PコントローラC3によってVo-V+Cに所定の定常ゲインKを乗じ
T = K(Vo-V+C) ・・・(5)
として、(2)式と同様に電磁多板クラッチの目標伝達トルクTを算出できる。以上から、図5(a)で示される従来例の制御ブロックは、図6(a)で示される制御ブロックに変換可能である。
ここで、定常ゲインKの次元は、分母が速度、分子がトルクの次元であり
K {Nm/(m/s)}
となる。
しかしながら、Gセンサによる車両加速度の検出にあっては、坂道など路面勾配のある走行路では駆動力による車両加速度が生じていなくても車両加速度が検出されてしまう。このため、路面勾配により発生する加速度を補正する必要があり、さらに高価なGセンサを用いるためコストアップの要因となっていた。
これに対し、本願実施例では、まず車速センサにより車速VSPを検出し、車両振動を抑制するようスロットル開度TVOに応じて予め設定された目標車速VoとVSPとの差分値にロバスト制御を施すフィードバック制御を行う。図6(b)に示されるように、車速VSPと目標車速Voの差分Vo-VSPをとり、ロバストコントローラC'3によってゲインK'を乗じる。K'は、従来例におけるPコントローラC3のゲインKを基に、積分定数Cを考慮して設定したゲインである。
このとき、ゲインK'の次元を従来例の定常ゲインKと同じく分母が速度、分子がトルクの次元を持つもの
K' {Nm/(m/s)}
として、入力されるパラメータVo-VSPにK'(s)を乗じ
T = K'(s)(Vo-VSP)
として、車速VSPを目標車速Voに漸近させるよう電磁多板クラッチの目標伝達トルクTを決定する。
本願実施例におけるロバストコントローラC'3に入力されるパラメータは、従来例におけるロバストコントローラC3に入力されるパラメータと同じ速度パラメータであり、最終的にvehicleに入力される入力信号の次元及び位相は同一である。また、本願実施例においては車速の実測値VSPをそのままロバスト制御のパラメータに用いており、従来例のように加速度Gの積分時に発生するような積分定数は本願実施例では発生しない。そのため、本願実施例のロバストコントローラC'3において乗じられるゲインK'は、実測値に乗じられるゲインであることを予め考慮した上で、従来例のゲインKと異なる値を設定している。
これにより、図6(b)に示されるように、車速VSPと目標車速Voの差分Vo-VSPをとり、速度パラメータである差分Vo-VSPをロバストコントローラC'3に入力してゲインK'を乗じ、車速VSPを目標車速Voに漸近させるよう電磁多板クラッチの目標伝達トルクTを決定する。よって、速度パラメータを用いた場合に生じる位相の問題を解決し、Gセンサを用いた場合に匹敵する適切な最終目標締結トルクTを決定することが可能となる。
[トルク伝達制御処理]
図7は、実施例1のトルク伝達系の発進制御装置における制御の流れを示すフローチャートである。
ステップS1では、スロットル1及び駆動輪4により、スロットル開度TVO、車速VSPの値が検出され、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、車速センサ判断部11により車速センサが正常であるかどうかが判断され、正常であればステップS3へ移行し、正常でなければステップS5へ移行する。
ステップS3では、目標速度設定部12によりスロットル開度TVOの値により目標車速Voが設定され、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、第1加算部14により目標車速Voと車速VSPの差分であるVo-VSPの値が算出され、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、ロバスト制御部15によりVo-VSPのロバスト制御を行ってロバストトルクTを算出し、ステップS8へ移行する。
ステップS6では、目標締結トルク設定部16によりスロットル開度TVOの値により目標締結トルクToが設定され、ステップS7へ移行する。
ステップS7では、逆位相補償部17により目標締結トルクToに逆位相補償制御を行って逆位相補償トルクTinvを算出し、ステップS8へ移行する。
ステップS8では、第2加算部18により最終目標締結トルクTが決定され、ステップS9へ移行する。
ステップS9では、発進制御部19により、最終目標締結トルクTがその値に対応した最終目標電流i(T)に変換され、ステップS10へ移行する。
ステップS10では、Tに対応した最終目標電流i(T)をEMSC20へ入力して終了する。
[トルク伝達制御作用]
(1) 車速センサ判断部11において車速センサが正常であると判断された場合、図7のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS8へと進み、並行してステップS1→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進む。ステップS8において一つの流れとなり、ステップS8→ステップS9→ステップS10と進む流れとなる。
すなわち、ステップS5においてVo-VSP値のロバスト制御が実行され、ステップS7においてTo値の逆位相補償が実行され、ステップS8において最終目標締結トルクTが決定されて終了する。
これにより、車速VSPの値を関与させたフィードバック制御によるロバストトルクTと、応答性の高いフィードフォワード制御による逆位相補償トルクTinvを重ね合わせて最終目標締結トルクTを決定できる。
(2) 車速センサ判断部11において車速センサが正常でないと判断された場合、図7のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS7と進み、並行してステップS1→ステップS6→ステップS7と進む。ステップS7において一つの流れとなり、ステップS7→ステップS8→ステップS9→ステップS10と進む流れとなる。
すなわち、ステップS7においてTo値の逆位相補償が実行され、ステップS8において最終目標締結トルクTが決定されて終了する。
これにより、車速センサに異常が発生しても、逆位相補償部17によりフィードフォワード制御を行う。
図8は、実施例1のトルク伝達系の発進制御装置におけるEMSCコントロールユニット10で制御が実行された際のタイムチャートを示す図である。
図8(a)は、スロットル1から入力されるスロットル開度TVOを示すタイムチャートであり、図7のフローチャートではステップS1における制御である。
図8(b),(c)は図2におけるフィードフォワード制御で目標締結トルクToの設定と逆位相補償が実行される際のタイムチャートを示している。図7のフローチャートにおいて、ステップS6→ステップS7→ステップS8と進む制御である。
車両発進時に発生する振動を抑えるため、目標締結トルク設定部16により設定された目標締結トルクToを逆位相補償部17に通過させ、逆位相補償トルクTinvとする。
図8(d),(e),(f),(g)は、図2におけるフィードバック制御で目標車速Voの設定と、目標車速Voと車速VSPの差分Vo-VSPの値を算出し、ロバスト制御が実行される際のタイムチャートを示している。図7のフローチャートにおいて、車速センサが正常である場合に、ステップS3→ステップS4→ステップS5と進む制御である。
上述のフィードフォワード制御で得られた逆位相補償トルクTinvによっても発生する車両の振動や外乱の影響を抑えることが可能な制御を行うため、目標速度設定部12で設定された目標車速Voと車速VSPの差分Vo-VSPを第1加算部14で算出し、ロバスト制御部15に通過させてロバストトルクTとする。
図8(h)は、図2の第2加算部18において決定される最終目標締結トルクTのタイムチャートを示している。図7のフローチャートにおいて、並行して流れるステップS5→ステップS8、及び流れるステップS7→ステップS8と進む制御である。図2の第2加算部18によって上述のフィードフォワード制御及びフィードバック制御で得られた逆位相補償トルクTinvとロバストトルクTを重ねあわせて、最終目標締結トルクTとする。
図8(i)は、EMSCコントロールユニット10により、EMSC20に最終目標締結トルクTの伝達指令を行ったときの車両の実加速度を示すタイムチャートである。上述のように、フィードフォワード制御量とフィードバック制御量に基づいて発進制御を行う。
図9は、実施例1のフィードフォワード制御で実行される目標車速Voと車速VSPとの関係及びその差分であるエラー車速Vo-VSPを示す図である。
図9(a)に示すように、車速VSPは目標車速Voに比べ時間的遅れが生じており、それによってVoとVSPの差分Vo-VSPがエラー車速となって図9(b)に示されている。
スロットル1への操作が行われ、目標車速Voが生成した後でも車速VSPが発生していないとき、エラー車速Vo-VSPは増加関数となり、VSPが発生した時点から減少関数に転じる。また、時間経過に伴いVSPがVoに接近するにつれ、エラー車速Vo-VSPも減少する。
[本願実施例の効果]
実施例1のトルク伝達系の制御装置にあっては、次に列挙する効果を得ることができる。
(1) 車速センサにより車速VSPを検出し、ロバスト制御を施したフィードバック制御を行う。図6(b)に示されるように、車速VSPと目標車速Voの差分Vo-VSPをとり、速度パラメータであるVo-VSPをロバストコントローラに入力してゲインK'を乗じ、車速VSPを目標車速Voに漸近させるよう電磁多板クラッチの目標伝達トルクTを決定する。
これにより、高価なGセンサを用いることなく適切な最終目標締結トルクTを決定することが可能となり、発進及び再加速時におけるドライブシャフト等の捩り振動を抑制し、かつ安価な発進制御装置を提供することができる。
(2) スロットル開度TVOの値に基づいて、車両の加速度が所望の値となるよう逆位相補償トルクTinvを演算する逆位相補償部17を設けた。これにより、フィードフォワード制御による応答性の高いを用い発進制御装置を提供することができる。
(3) ロバスト制御部15により得られたロバストトルクT,逆位相補償部17により得られた逆位相補償トルクTinvを重ね合わせ、EMSC20の最終目標締結トルクTとすることとした。
これにより、車速VSPの値を関与させたフィードバック制御によるロバストトルクTと、応答性の高いフィードフォワード制御による逆位相補償トルクTinvを重ね合わせて最終目標締結トルクTを決定することが可能となり、発進及び再加速時における振動制御の精度と応答性を高めることができる。
(4) 車速センサに異常がある場合、逆位相補償部17により得られた逆位相補償トルクTinvのみをEMSC20の最終目標締結トルクTとすることとした。
これにより、車速センサに異常が発生し、車速信号が正常でなくなった場合であっても、フィードフォワード制御は実行され、安定的な走行を行うことができる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
実施例1では、図6に示されるように固定ゲインK'を用いたが、車速等制御パラメータの変化に伴ってゲインを変化させてもよい。制御対象の環境変化によりゲインを変化させることで、より精度の高い制御を実現できる。
実施例1では、スロットル開度TVOの値に応じた目標車速Voに車速VSPが追従するようにフィードバック制御を行ったが、図10に示すように、運転者の体感加速度が安定的なものとなるように目標加速度を設定し、この目標加速度に対応した車速を目標車速として追従させてもよい。
実施例1では、車速センサが正常でなくロバストトルクTが算出されない場合、フィードフォワード制御により得られた逆位相補償トルクTinvをそのまま最終目標締結トルクTとしたが、ロバストトルクTの不存在によるトルクの不足分を補うため、最終目標締結トルクTを電流に変換する際、Tを増幅させてEMSC20の締結力を増加させてもよい。
具体的には、ロバストトルクTのゲインをK,逆位相補償トルクTinvのゲインをKinvとすれば、最終目標締結トルクTは
T = K・T + Kinv・Tinv
で表される。
発進制御部19で行われるトルク・電流変換のゲインをKTとすれば、EMSC20の最終目標電流i(T)
i(T) = KT・T = KT・(K・T + Kinv・Tinv)
と表される。
よって、車速センサが正常でなくロバストトルクTが算出されない場合
T = 0
T = Kinv・Tinv
であり、最終目標電流i(T)
i(T) = KT・T = KT・(Kinv・Tinv)
となる。
よって、上式におけるKTの値を増幅させ、i(T)を増加させてもよい。このとき、ランプ制御や一次遅れ制御を用いることにより、ロバストトルクTが算出されず逆位相補償トルクTinvをそのまま最終目標締結トルクTとする際の入力変化を滑らかにできる。
実施例1のトルク伝達系の発進制御装置のシステム図である。 実施例1のEMSCコントロールユニットの詳細なブロック図である。 実施例1のスロットル開度TVOの値に応じた目標締結トルクToの値の経時変化を示した図である。 実施例1のスロットル開度TVOの値に応じた目標車速Voの値の経時変化を示した図である。 従来例のGセンサを用いたフィードバック制御図を示す制御ブロック図である。 車両情報のフィードバック制御における従来例と本願実施例の制御ブロック図の対比を示す図である。 実施例1のトルク伝達系の発進制御装置における制御の流れを示すフローチャートである。 実施例1のトルク伝達系の発進制御装置における制御のタイムチャートを示す図である。 実施例1のフィードフォワード制御で実行される目標車速Voと車速VSPとの関係及びその差分であるエラー車速Vo-VSPを示す図である。 本願のトルク伝達系の発進制御装置の他の実施例を示す図である。
符号の説明
1 スロットル
2 エンジン
3 CVT
4 駆動輪
10 EMSCコントロールユニット
11 速度センサ判断部
12 目標速度設定部
13 反転部
14 第1加算部
15 ロバスト制御部
16 目標締結トルク設定部
17 逆位相補償部
18 第2加算部
19 発進制御部
20 電磁多板クラッチ

Claims (4)

  1. 車両の発進要素として、電磁力により締結可能な電磁多板クラッチを備えたトルク伝達系の発進制御装置において、
    車速検出手段と、
    スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、
    検出されたスロットル開度に基づいて、車両の目標車速軌跡を設定する目標車速設定手段と、
    車速に基づくフィードバック制御量演算部と
    を設け、
    前記フィードバック制御量演算部は、車速が目標車速軌跡に追従するよう、前記目標車速設定手段によって得られる目標車速と、前記車速検出手段によって得られる実車速の差分にロバスト制御を施すことで目標クラッチ締結トルク値を演算することを特徴とするトルク伝達系の発進制御装置。
  2. 請求項1に記載のトルク伝達系の発進制御装置において、
    前記スロットル開度検出手段により検出されたスロットル開度に基づいて、車両の目標車速軌跡を設定する目標車速設定手段と、
    検出されたスロットル開度に基づいて、前記電磁多板クラッチの目標締結トルクを設定する目標クラッチ締結トルク設定手段と、
    スロットル開度に基づくフィードフォワード制御量演算部と
    を設け、
    前記フィードフォワード制御量演算部は、車両の加速度が所望の値となるよう目標クラッチ締結トルクを演算することを特徴とするトルク伝達系の発進制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のトルク伝達系の発進制御装置において、
    前記電磁多板クラッチの最終目標締結トルクを決定する発進制御手段を設け、
    前記発進制御手段は、前記フィードバック制御量演算部により得られたクラッチ締結トルク値と、前記フィードフォワード制御量演算部により得られたクラッチ締結トルク値を重ね合わせることで、電磁多板クラッチの最終目標締結トルクとすることを特徴とするトルク伝達系の発進制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のトルク伝達系の発進制御装置において、
    前記車速検出手段の異常を判断する異常検出手段を設け、
    前記異常検出手段により、前記車速検出手段に異常があると判断された場合、前記フィーフォワード制御量演算部により得られたクラッチ締結トルクのみを前記電磁多板クラッチの最終目標締結トルクとすることを特徴とするトルク伝達系の発進制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007247417A (ja) * 2006-03-13 2007-09-27 Nissan Motor Co Ltd 車両の駆動力制御装置
JP2008069851A (ja) * 2006-09-13 2008-03-27 Honda Motor Co Ltd 車両用発進クラッチのトルク推定および制御装置
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JP2016118290A (ja) * 2014-12-24 2016-06-30 アイシン・エーアイ株式会社 車両用動力伝達制御装置

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