JP2005298522A - 消化器系疾患の予防、治療用組成物 - Google Patents

消化器系疾患の予防、治療用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 安全で効果的な消化器系疾患の予防、治療用組成物、特に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢、腸炎等を治療、予防するための組成物を提供する。また、これまでの公知の作用機序では困難であった副作用の問題を解決すべく、新規な作用機序を有する組成物を提供する。
【解決手段】 PAR−2を活性化させる成分を必須成分とする胃酸分泌抑制用、消化管粘液分泌促進用、消化管粘膜保護用、消化管組織修復用、消化器系疾患の予防、治療用として有用な医薬組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、消化器系疾患予防、治療用組成物、特に、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢、腸炎等を予防および/または治療するための組成物に関する。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の消化器系潰瘍の原因は、攻撃因子と防御因子とのバランスの破綻により生じる。破綻を惹起する因子としては、薬物(例えば、非ステロイド系消炎剤、副腎皮質ホルモン剤、抗生物質、抗ガン剤、経口血糖降下剤)、ストレス、アルコール、腐食性薬物、肝硬変、アニキサス、食生活等が挙げられる。現在、臨床においては、攻撃因子抑制薬、防御因子増強薬およびこれらの組み合わせが使用されている。
攻撃因子抑制薬としては、制酸薬(例えば、重曹、水酸化アルミニウムゲル、酸化マグネシウム等)、抗コリン薬(例えば、硫酸アトロピン、塩酸ピレンゼピン等)、H2受容体拮抗薬(例えば、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、ロキサチジン等)、プロトンポンプ阻害薬(例えば、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム等)、抗ガストリン薬(例えば、プログルミド、セクレチン、ウロガストロン)および抗ペプシン薬(ショ糖硫酸エステル、スクラルファート等)等が臨床において使用されている。
防御因子増強薬としては、粘膜保護薬(例えば、スクラルファート、レパミピド、テプレノン等)、粘膜被覆薬(例えば、アルギン酸ナトリウム、アズノール製剤等)、組織修復促進薬(例えば、アセグルタミドアルミニウム、アルジオキサ、ゲファルナート等)、粘液産生促進薬(例えば、プログルミド、テプレノン、セクレチン、アルジオキサ等)、粘膜微小循環改善薬(例えば、塩酸セトラキサート、ベネキサート、スルピリド等)、プロスタグランジン合成促進薬(例えば、ソファルコン)およびプロスタグランジン製剤(例えば、オルソプロスチル、ミソプロストール、エンプロスチル等)等が臨床において使用されている。また、慢性胃炎には、消化管運動機能改善薬(例えば、シサプリド、ナパジシル酸アクラトニウム、ベタネコール、ドンペリドン、メトクロプラミド、マレイン酸トリメブチン)も使用されている。
攻撃因子抑制薬であるH2受容体拮抗薬およびプロトンポンプ阻害薬等は強力な胃酸分泌抑制作用を有し、かつ顕著な治療効果を有しているため広く使用されている。しかしながら、一旦完治した後であっても薬物の服用を中止すると、胃酸分泌のリバウンド、潰瘍の再発や悪化が高頻度で認められることが明らかとなっている。また、H2受容体拮抗薬では完治しない潰瘍が存在すること、およびプロトンポンプ阻害薬の使用によってはエンテロクロマフィン様細胞の過形成、高ガストリン血症、胃カルチノイドの出現等が報告され、その投薬量が制限されている等の問題があった。また、防御因子増強薬は上記攻撃因子抑制薬に比較して作用が穏やかであるが、治療効果は補助的なものであった。そのため、消化器系疾患を有する患者および内科医からは、H2受容体拮抗薬およびプロトンポンプ阻害薬ではなく、他の作用機序を介して安全で効果的に用いることのできる攻撃因子抑制薬または防御因子増強薬の開発が望まれていた。
一方、PAR(protease-activated receptor)は7回膜貫通型のG蛋白共役受容体に属し、プロテアーゼによって活性化される受容体であることが知られている(Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996;Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 20, 271-273, 1999)。PARはプロテアーゼにより細胞外ドメインのある特定のN末端部位で切断され、新しいN末端を露出させる。新たに露出したN末端が鎖状リガンドとなって自身の活性部位に結合することにより、受容体の活性化が起こるものと考えられている(Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996;Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 20, 271-273, 1999;Vu, T.K. et al., Cell, 64, 1057-68, 1991)。
PARにはPAR−1、PAR−2、PAR−3およびPAR−4のサブタイプが存在し、それぞれ機能が異なることが報告されている。PAR−1、PAR−3およびPAR−4はトロンビンによって活性化され(Vu, T. K. et al., Cell, 64, 1057-1063, 1991;Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996;Ishihara, H. et al., Nature, 386, 502-6, 1997;Kahn, M. L. et al., Nature, 394, 690-4, 1998;Xu, W. F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 6642-6, 1998)、PAR−2はトリプシン(Nystedt, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-12, 1994;Molino, M. et al., J. Biol. Chem., 272, 6011-7, 1997)およびトリプターゼ(Molino, M. et al., J. Biol. Chem., 272, 6011-7, 1997;Fox, M. T. et al., FEBS Lett, 417, 267-9, 1997)によって活性化されることが判明している。
また、PAR−1(Vu, T. K. et al., Cell, 64, 1057-1063, 1991)、PAR−2(Nystedt, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-12, 1994)、PAR−3(Ishihara, H. et al., Nature, 386, 502-6, 1997)およびPAR−4(Kahn, M. L. et al., Nature, 394, 690-4, 1998;Xu, W. F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 6642-6, 1998)のアミノ酸配列上での切断部位が知られており、PAR−1、PAR−2およびPAR−4に関しては、切断部位の活性アミノ酸配列に基づいて合成した5〜6個のアミノ酸から成る合成ペプチドを外来性に与えることにより、該受容体が活性化されることも知られている(Vu, T.K. et al., Cell, 64, 1057-68, 1991;Nystedt, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-12, 1994;Ishihara, H. et al., Nature, 386, 502-6, 1997;Kahn, M. L. et al., Nature, 394, 690-4, 1998;Xu, W. F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 6642-6, 1998;Dery, O. et al., Am. J. Physiol., 274, C1429-52, 1998)。
PAR−2を介する細胞内シグナルの1つとしては、イノシトール1,4,5−トリリン酸(IP3)およびプロテインキナーゼC系の活性化が知られている(Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 20, 271-273, 1999;Dery, O. et al., Am. J. Physiol., 274, C1429-52, 1998;Zheng, X. L. et al., J Pharmacol Exp Ther, 285, 325-34, 1998)。
PAR−2に関しては、炎症反応(Cirono, G. et al., J. Exp. Med., 183, 821-827, 1996;Kawabata, A et al., Br. J. Pharmacol., 125, 419-422, 1998)、気管の収縮および弛緩作用(Saifeddine, M. et al., Br. J. Pharmacol., 118, 521-531, 1996;Moffatt, J. D. et al., Br. J. Pharmacol., 125, 591-594, 1998;Cocks, T. M. et al., Nature, 398, 156-160, 1999;Hollenberg, M. D. et al., Can. J. Physiol. Pharmacol., 75, 832-884, 1997)の作用が報告されており、また、PAR−2は前立腺、小腸、結腸、肝臓、腎臓および膵臓での発現が報告されている(Stephan, K. B. et al., Biochem. J., 341, 1009-1016, 1996)。
しかし、PAR−2の胃酸分泌抑制作用、粘液分泌促進作用、粘膜保護作用等の消化器系に関する報告は現在まで存在しない。
Nystedt, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-12, 1994 Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 20, 271-273, 1999
本発明は上記従来技術に鑑みて行われたものであり、本発明の目的は、安全で効果的な消化器系疾患の予防、治療用組成物、特に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢、腸炎等を治療および/または予防するための組成物を提供することである。また、これまでの公知の作用機序では困難であった副作用の問題を解決すべく、新規な作用機序を有する上記組成物を提供することである。
本発明者らは、消化器系疾患、特に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢、腸炎等を治療および/または予防するための組成物として好ましい薬剤を開発すべく研究を行い、新たな作用機序を見出すために誠意研究した結果、PAR−2を活性化させる成分(アゴニスト)が消化器系に対する作用を有すること、すなわち、胃酸分泌を抑制し、消化管粘液分泌を促進し、さらに粘膜保護作用を有することを初めて見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)PAR−2を活性化させる成分を含むことを特徴とする胃酸分泌抑制用組成物。
(2)PAR−2を活性化させる成分を含むことを特徴とする消化管粘液分泌促進用組成物、
(3) PAR−2を活性化させる成分を含むことを特徴とする消化管粘膜保護用組成物、
(4)PAR−2を活性化させる成分を含むことを特徴とする、消化器系疾患の予防、治療用組成物、
(5)消化器系疾患が、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢および腸炎から選択される疾患である請求項4記載の組成物、
(6)成分がペプチドである上記(1)〜(5)いずれか1項の組成物、
(7)成分がタンパク質である上記(1)〜(5)いずれか1項の組成物、
(8)成分を失活化または分解する物質を阻害する物質を組み合わせる請求項上記(1)〜(7)いずれか1項の組成物、
(9)成分を失活化または分解する物質を阻害する物質を併用する上記(8)の組成物、
(10)成分を失活化または分解する物質を阻害する物質を配合する上記(8)の組成物、
(11)阻害する物質がペプチダーゼインヒビターである上記(8)〜(10)いずれか1項記載の組成物、および
(12)徐放化製剤、局所適用製剤、薬物放出制御製剤、腸溶性製剤および胃溶性製剤よりなる群から選択されるDDS製剤とされる上記(1)〜(11)いずれか1項の組成物
を提供するものである。
本発明の組成物は優れた胃酸分泌抑制作用、粘液分泌促進作用、粘膜保護作用、消化管組織修復作用等を有する優れた予防、治療薬となる。
したがって、PAR−2を活性化させる成分であるSer-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2および/またはtrans-シンナモイル-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-オルニチン-NH2等のペプチドを使用することにより、効果的に消化器系疾患を予防および/または治療することができる。また、上記ペプチドは生体に存在するペプチダーゼにより分解されることから、ペプチダーゼインヒビターであるアマスタチン等の薬物と併用あるいは配合することにより、上記ペプチドの作用の持続性を高めることができる。
「PAR−2を活性化させる成分」は、PAR−2を活性化する能力を有する、天然に存在するか、または人工的に合成されたいずれもの物質をいい、例えば、ペプチド、タンパク質、他の化合物などを包含する。さらに詳しくは、PAR−2を活性化させる成分としては、例えば、天然のPAR−2活性化タンパク質であるトリプシンおよびトリプターゼ、既に報告されているヒトPAR−1アミノ酸配列(Vu, T. K. et al., Cell, 64(6), 1057-1068, 1991)に基づいて合成され、ヒトPAR−1に対しアゴニスト作用を有し(Hollenberg, M.D., Molec. Pharmacol., 43, 921-930, 1993;Hollenberg, M. D., Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996)、かつPAR−2に対し弱いアゴニスト作用を有することが知られているSer-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2ペプチド(配列番号3)(以下、「SFp-NH2」という。) (Kawabata, A. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 288, 358-70, 1999)、ラットPAR−2のアミノ酸配列(Saifeddine, M. et al., Br. J. Pharmacol., 118(3), 521-530, 1996)より、ラットPAR−2に対しアゴニスト作用を有するSer-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2ペプチド(配列番号1)(以下、「SLp-NH2」という。)(Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996;Nystedt, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-12, 1994)、SLp-NH2のC末端がアミド化されていないSer-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-OHペプチド(配列番号4)(以下、「SLp-OH」という。)およびPAR−2を特異的に活性化することが報告されているtrans-シンナモイル-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-オルニチン-NH2ペプチド(配列番号2)(以下、「tcLp-NH2」という。)(Hollenberg, M. D. et al., Can J Physiol Pharmacol, 75, 832-41, 1997)等が挙げられる。さらに、PAR−2に対する抗体またはそのフラグメントも、PAR−2を特異的に活性化するタンパク質またはペプチドとなる可能性がある。
種々の物質を、いずれかの公知の方法にしたがって、PAR−2を活性化する能力についてスクリーニングすることによって、PAR−2を活性化する成分を得てもよい。例えば、PAR−2と試験物質との相互作用を、放射性同位元素での標識または表面プラズモン共鳴などを使用して直接的に検出することによって、PAR−2と結合する物質をスクリーニングすることができる。PAR−2を発現する細胞または組織におけるPAR−2の活性化によって引き起こされる生物学的活性を指標として、PAR−2を介するシグナル伝達を誘導する物質をスクリーニングしてもよい。さらに、実施例に示す胃酸分泌量、粘液分泌量または粘膜保護作用の測定方法を使用して、胃酸分泌抑制作用、粘液分泌促進作用または粘膜保護作用を示す物質をスクリーニングすることができる。PAR−2の活性化についてのアッセイは、例えば、Hollenberg, M. D., Can. J. Physiol. Pharmacol., 75, 832-841, 1997およびKawabata, A., J. Pharmacol. Exp. Ther., 288, 358-370, 1999に記載されている。受容体に結合してこれに作用する物質(すなわち、アゴニスト)についてのスクリーニング方法は当該分野において周知である(例えば、Hollenberg, M. D., Trends Pharmacol. Sci., 20, 271-273, 1999;Dery, O., Am. J. Physiol., 274, C1429-C1452, 1998;Kawabata, A., J. Pharmacol. Exp. Ther., 288, 358-370, 1990を参照のこと)。
本明細書で用いる「ペプチド」なる用語は、オリゴペプチドおよび比較的短いポリペプチドをいう。ペプチドは、例えば、2〜40のアミノ酸残基、好ましくは3〜20アミノ酸残基、より好ましくは5〜15アミノ酸残基を含む。ペプチドは天然に存在するものであってもよく、または化学的に合成されたものであってもよい。ペプチドは、例えば、Carpino, L. A. et al., J. Org. Chem., 37, 3404-3409, 1972に記載されるような公知の方法にしたがって、合成することができる。ペプチドを組換えDNA技術を使用して製造することも可能である。さらに、ペプチドは修飾または非天然アミノ酸残基を含んでいてもよい。
本明細書で用いる「タンパク質」なる用語は、ペプチドに比較してより長いポリペプチドをいう。タンパク質は天然供給源から精製されたものであってもよく、またはこのタンパク質をコードするDNAを含む組換え宿主細胞を培養することによって製造してもよい。ペプチドと同様に、タンパク質を化学的に合成することも可能である。タンパク質は修飾または非天然アミノ酸残基を含んでいてもよい。
かくして、PAR−2を活性化させる成分は、胃酸分泌を抑制し、消化管粘液分泌を促進し、さらに粘膜保護作用を有するので、本発明のPAR−2を活性化させる成分を含む組成物は、胃酸分泌抑制用組成物、消化管粘液分泌促進用組成物、消化管組織修復用組成物および消化管粘膜保護用組成物として有用であり、消化器系疾患の予防、治療用組成物、特に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢、腸炎等を予防および/または治療するのに有用である。
予防剤または治療剤として用いる場合、本発明の組成物を、そのままあるいは水に希釈する等の各種処理を施して使用することができ、医薬品、医薬部外品等に配合して使用することができる。この場合、PAR−2を活性化させる成分の配合量は製品に応じて適宜選択されるところではあるが、通常全身投与製剤の場合には、0.001〜50重量%、特に0.01〜10重量%とすることができ、0.001%より少ないと満足する予防または治療作用が認められない可能性があり、また、50%を越えると製品そのものの安定性や香味等の特性が損なわれる可能性がある。
本発明の組成物に含まれるPAR−2を活性化する成分は、製剤学的に許容される塩として製剤中に含有されていてもよい。薬剤学的に許容される塩としては、例えば、無機塩基、有機塩基等の塩基との塩、無機酸、有機酸、塩基性または酸性アミノ酸などの酸付加塩等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、アンモニウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、エタノールアミン等の第一級アミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン等の第二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、トリエタノールアミン等の第三級アミン等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチン等が挙げられる。酸性アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。
また、ペプチドおよびタンパク質は生体に存在するペプチダーゼにより分解されることから、PAR−2を活性化させる成分としてペプチドまたはタンパク質を用いる場合、ペプチダーゼインヒビターであるアマスタチン等の薬物と併用あるいは配合して組み合わせることにより、PAR−2を活性化する作用の持続性を高めることができる。上記成分がペプチドでない場合、当業者は適切に、この成分を失活化または分解する物質を同定し、これを阻害する物質を選択し、これを併用あるいは配合できる。
本発明の組成物の投与方法としては、経口投与、静脈内投与以外に、経粘膜投与、経皮投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸内投与等が適宜選択でき、その投与方法に応じて、種々の製剤として用いることができる。
以下に、各製剤について記載するが、本発明において用いられる剤型はこれらに限定されるものではなく、医薬製剤分野において通常用いられる各種製剤として用いることができる。
消化器系疾患の予防薬または治療薬として用いる場合には、PAR−2を活性化させる成分の経口投与量は、3mg/kg〜300mg/kgの範囲が好ましく、より好ましくは10mg/kg〜100mg/kgである。全身投与を行う場合、特に静脈内投与の場合には老若男女または体型等により変動があるが、有効血中濃度が2μg/mL〜200μg/mL、より好ましくは5μg/mL〜100μg/mLの範囲となるように投与すべきである。
経口投与を行う場合の剤型として、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤およびシロップ剤等があり、適宜選択することができる。また、それら製剤について徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を施すことができる。また、口腔内局所投与を行う場合の剤型として、咀嚼剤、舌下剤、バッカル剤、トローチ剤、軟膏剤、貼布剤、液剤等があり、適宜選択することができる。また、それら製剤について徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を施すことができる。
上記の各剤型について、公知のドラッグデリバリーシステム(DDS)の技術を採用することができる。本明細書でいうDDS製剤とは、徐放化製剤、局所適用製剤(トローチ、バッカル錠、舌下錠等)、薬物放出制御製剤、腸溶性製剤および胃溶性製剤等、投与経路、バイオアベイラビリティー、副作用等を勘案した上で、最適の製剤形態にした製剤をいう。
DDSの構成要素には基本的に薬物、薬物放出モジュール、被膜および治療プログラムから成り、各々の構成要素について、特に放出を停止させた時に速やかに血中濃度が低下する半減期の短い薬物が好ましく、投与部位の生体組織と反応しないおおいが好ましく、さらに、設定された期間において最良の薬物濃度を維持する治療プログラムを有するのが好ましい。薬物放出モジュールは基本的に薬物貯蔵庫、放出制御部、エネルギー源および放出孔または放出表面を有している。これら基本的構成要素は全て揃っている必要はなく、適宜追加あるいは削除等を行い、最良の形態を選択することができる。
DDSに使用できる材料としては、高分子、シクロデキストリン誘導体、レシチン等がある。高分子には不溶性高分子(シリコーン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチルセルロース、セルロースアセテート等)、水溶性高分子およびヒドロキシルゲル形成高分子(ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート架橋体、ポリアクリル架橋体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、水溶性セルロース誘導体、架橋ポロキサマー、キチン、キトサン等)、徐溶解性高分子(エチルセルロース、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の部分エステル等)、胃溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、マクロゴール、ポリビニルピロリドン、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸メチルコポリマー等)、腸溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、アクリル酸系ポリマー等)、生分解性高分子(熱凝固または架橋アルブミン、架橋ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリβヒドロキシ酢酸、ポリカプロラクトン等)があり、剤型によって適宜選択することができる。
特に、シリコーン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、メチルビニルエーテル・無水マレインサン共重合体の部分エステルは薬物の放出制御に使用でき、セルロースアセテートは浸透圧ポンプの材料として使用でき、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースは徐放性製剤の膜素材として使用でき、ポリアクリル架橋体は口腔粘膜あるいは眼粘膜付着剤として使用できる。
また、製剤中にはその剤形(経口投与剤、注射剤、座剤等の公知の剤形)に応じて、溶剤、賦形剤、コーティング剤、基剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁化剤、粘稠剤、乳化剤、安定剤、緩衝剤、等張化剤、無痛化剤、保存剤、矯味剤、芳香剤、着色剤等の添加剤を加えて製造することができる。
これら各添加剤について、それぞれ具体例を挙げて例示するが、これらに特に限定されるものではない。
溶剤:精製水、注射用水、生理食塩水、ラッカセイ油、エタノール、グリセリン、
賦形剤:デンプン類、乳糖、ブドウ糖、白糖、結晶セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、トレハロース、キシリトール、
コーティング剤:白糖、ゼラチン、酢酸フタル酸セルロースおよび上記記載した高分子、
基剤:ワセリン、植物油、マクロゴール、水中油型乳剤性基剤、油中水型乳剤性基剤、
結合剤:デンプンおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、トラガント、アラビアゴム等の天然高分子化合物、ポリビニルピロリドン等の合成高分子化合物、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、
滑沢剤:ステアリン酸およびその塩類、タルク、ワックス類、コムギデンプン、マクロゴール、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、
崩壊剤:デンプンおよびその誘導体、寒天、ゼラチン末、炭酸水素ナトリウム、セルロースおよびその誘導体、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースおよびその塩類ならびにその架橋体、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース、
溶解補助剤:シクロデキストリン、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
懸濁化剤:アラビアゴム、トラガント、アルギン酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、クエン酸、各種界面活性剤、
粘稠剤:カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ホドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、トラガント、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、
乳化剤:アラビアゴム、コレステロール、トラガント、メチルセルロース、各種界面活性剤、レシチン、
安定剤:亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロール、キレート剤、不活性ガス、還元性物質、
緩衝剤:リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸、
等張化剤:塩化ナトリウム、ブドウ糖、
無痛化剤:塩酸プロカイン、リドカイン、ベンジルアルコール、
保存剤:安息香酸およびその塩類、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、逆性石けん、ベンジルアルコール、フェノール、チロメサール、
矯味剤:白糖、サッカリン、カンゾウエキス、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、
芳香剤:トウヒチンキ、ローズ油、
着色剤:水溶性食用色素、レーキ色素。
上記したように、医薬品を除法化製剤、腸溶性製剤または薬物放出制御製剤等のDDS製剤化することにより、薬物の有効血中濃度の持続化、バイオアベイラビリティーの向上等の効果が期待できる。しかし、PAR−2を活性化させる成分は生体内で失活化または分解され、その結果、所望の効果が低下または消失する可能性がある。例えば、PAR−2を活性化させる成分がペプチドである場合、そのようなペプチドの多くは生体内において、アミノペプチダーゼにより分解されることが知られている(Godin, D. et al., Eur. J. Pharmacol., 253, 225-30, 1994)。したがって、、PAR−2を活性化させる成分を失活化または分解する物質を阻害する物質(例えば、アミノペプチダーゼを阻害する物質)を本発明の組成物と併用することにより、成分の効果をさらに持続化させ得る。
アミノペプチダーゼ阻害薬としては、アマスタチン、アファメニンA、アファメニンBおよびベスタチン等が知られている。これらの化合物を製剤中に配合してもよく、または別々に投与してもよい。上記成分がペプチドでない場合、当業者は適切に、この成分を失活化または分解する物質を同定し、これを阻害する物質を選択し、配合あるいは併用することができる。
製剤中には、上記以外の添加物として通常の組成物に使用されている成分を用いることができ、これらの成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
本発明の組成物は、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法にも併用できる。例えば、オメプラゾール40mg(1日2回)とアモキシシリン1,500mg(1日3回)に加えて、本発明の組成物300mg(1日3回)を併用できる。
慢性消化性潰瘍、若年者に多い潰瘍性大腸炎、クローン病等の難治性消化管障害の治療にも有用である。
つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
各種ペプチドの合成方法
実施例で使用したアゴニストペプチド(Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(SLp-NH2))およびコントロールペプチド(Leu-Ser-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(LSp-NH2))を、既知の方法(Carpino, L. A. et al., J. Org. Chem., 37, 3404-3409, 1972)に準じて合成した。
Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(配列番号1、SLp-NH2)の合成
Fmoc-PAL-PEG-PS-樹脂(PEバイオシステムズ)を1.33g(0.17meq/g)秤取し、これにジメチルホルムアミド10mLを加えて2〜3時間放置し、樹脂を膨張させた後、ペプチド合成用のカラムに充填した。
Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Gly-OH 238mg(BACHEM)、Fmoc-L-Ile-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH 307mg(PEバイオシステムズ)を試験管に秤量し、これにHATU(0-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(PEバイオシステムズ)を各380mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEER(PEバイオシステムズ)を用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂をTFA-H20-フェノール-トリイソプロピルシラン(8.8:0.5:0.5:0.2)の混合溶液で3時間処理した後、樹脂を濾過し、濾液をエーテルで再結晶し、粗ペプチドを得た。次に、この粗ペプチドをHPLC(A:0.02%TFA含H2O、B:0.02%TFA含50%CH3CN)に供し精製した。得られたフラクションを凍結乾燥し、Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2を得た。
Leu-Ser-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(配列番号5、LSp-NH2)
LSp-NH2はSLp-NH2のSerとLeuを入れ替えることにより不活性体となる(Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996、Nystedt, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-12, 1994)。
上記方法に準じてペプチド合成用カラムを作製し、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Gly-OH 238mg(BACHEM)、Fmoc-L-Ile-OH 283mg(WAKO) 、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH 307mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)を試験管に秤量し、これにHATU各380mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEERを用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂を上記した方法により粗ペプチドを得、その後HPLCに供し精製した。得られたフラクションを凍結乾燥してLeu-Ser--Ile-Gly-Arg-Leu-NH2を得た。
また、同じく実施例で使用したアゴニストペプチドであるtrans-シンナモイル-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-オルニチン-NH2(配列番号2、tcLp-NH2)は、米国カルガリー大学医学部のHollenberg, M. D. 教授より御供与いただいた。
PAR−2を活性化させる成分である他の各種ペプチドは、例えば、以下のようにして合成できる。
Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号3、SFp-NH2)の合成
Fmoc-PAL-PEG-PS-樹脂(PEバイオシステムズ)を1.33g(0.17meq/g)秤取し、これにジメチルホルムアミド10mLを加えて2〜3時間放置し、樹脂を膨張させた後、ペプチド合成用のカラムに充填する。
Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Phe-OH 305mg(WAKO)、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH 307mg(PEバイオシステムズ)を試験管に秤量し、これにHATU (PEバイオシステムズ)を各380mg加える。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEER(PEバイオシステムズ)を用いて合成を行う。合成したペプチド−樹脂をTFA-H20-フェノール-トリイソプロピルシラン(8.8:0.5:0.5:0.2)の混合溶液で3時間処理した後、樹脂を濾過し、濾液をエーテルで再結晶し、粗ペプチドを得る。次に、この粗ペプチドをHPLC(A:0.02%TFA含H2O、B:0.02%TFA含50%CH3CN)に供し精製する。得られたフラクションを凍結乾燥することにより、Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2を得ることができる。
Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-OH(配列番号4、SLp-OH)の合成
Fmoc-L-Leu-PEG-PS-樹脂(PEバイオシステムズ)を1.00g(0.21meq/g)秤取し、これにジメチルホルムアミド10mLを加えて2〜3時間放置し、樹脂を膨張させた後、ペプチド合成用のカラムに充填する。
Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Gly-OH 238mg(BACHEM)、Fmoc-L-Ile-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH 307mg(PEバイオシステムズ)を試験管に秤量し、これにHATU各380mg加える。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEERを用いて合成を行う。合成したペプチド−樹脂を上記した方法により粗ペプチドを得、その後、HPLCに供し精製する。得られたフラクションを凍結乾燥することにより、Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-OH を得ることができる。
カルバコール誘発胃酸分泌亢進に及ぼす影響
使用動物
実験には5週齢のWistar系雄性ラットを使用した。各動物は室温23±2℃、湿度50±5%および12時間の明暗サイクル(明期:07:00から19:00)の環境下で1週間の予備飼育の後、実験に供した。予備飼育期間および実験期間中は水および固型飼料を自由に摂取させた。
また、実験に用いた例数は全て4〜14匹であり、結果を平均値±標準誤差で示した。有意差検定はTukeyの多重比較検定で行った。
方法
18〜24時間の絶食後、ラットをエーテルで麻酔し、胸部剣状骨下端下方を、約1 cm開腹した。開腹孔より十二指腸をはさみだし、幽門と十二指腸の接合部を結紮し、開腹部を縫合した。その30分後にラットを放血致死させ、胃を取り出し、胃液を採取した。採取した胃液を濾過した後、胃液中の酸度を滴定法により測定した。カルバコール (60μg/kg) は幽門結紮直後に皮下投与し、その1分後にアマスタチン (2.5μmol/kg) を、また、その1分後にSLp-NH2およびLSp-NH2を静脈内投与し、カルバコールの投与によって亢進した胃酸分泌に対する作用を調べた。
結果
結果を図1に示す。
図1において、縦軸は胃酸分泌量(μmol/30min)を、横軸は投与薬物および投与量(Vは、ビヒクルの投与)を示す。図1に示すごとく、PAR−2アゴニストペプチドであるSLp-NH2は1.25から5μmol/kgの用量においてカルバコールの投与によって亢進した胃酸分泌を用量依存的に抑制した。これに対して、SLp-NH2のコントロールペプチドであるLSp-NH2は5μmol/kgの用量においてもカルバコールによって亢進した胃酸分泌に対して何ら影響を与えなかった。
ラット胃粘膜細胞からのムチン分泌に及ぼす影響
方法
上記と同様の方法で胃幽門を結紮した。結紮直後にアマスタチン (2.5μmol/kg)を、また、アマスタチン投与1分後にSLp-NH2、LSp-NH2およびtcLp-NH2を静脈内投与した。結紮30分後にラットを放血致死させ、胃を取り出し、胃液を採取した。得られた胃液サンプルを10000gで30分間遠心分離し、上清をMillipore MC FREE (MW10000)で限外濾過した後凍結乾燥した。この凍結乾燥サンプルに2MのTFAを加え100℃の条件下で4時間加水分解を行った。その後遠心分離を行い、上清を蒸発乾固した。この蒸発乾固したサンプルに0.1 M Tris-HCl 200μLを加え溶解した。このサンプル50μLにガラクトースオキシダーゼ (1 U)、パーオキシダーゼ(0.5 mU)およびHPPA (0.25 μmol)を含む反応溶液を150μL加え37℃で30分間インキュベートした後、励起波長320nmおよび蛍光波長405nmでガラクトース量を測定した。
結果
結果を図2に示す。
図2において、縦軸はムチン分泌量(ng ガラクトース)を、横軸は投与薬物および投与量(Vは、ビヒクルの投与)を示す。図2に示すごとく、SLp-NH2は0.02から5μmol/kgの用量においてラット胃粘膜細胞からのムチン分泌を用量依存的に亢進させた。また、SLp-NH2よりもPAR−2特異的であるアゴニストペプチドのtcLp-NH2もSLp-NH2と同様にムチン分泌を亢進させた。これに対して、SLp-NH2のコントロールペプチドであるLSp-NH2はムチン分泌に影響を与えなかった。
エタノールおよび塩酸−エタノール誘発胃粘膜傷害に及ぼす影響
方法
エタノールおよび塩酸−エタノール誘発胃粘膜傷害の作製は、Robert (Robert, A. et al., Gastroenteral, 77, 433-443, 1979)らの方法に準じて行った。すなわち、ラットを18-24時間絶食した後、75%エタノールまたは150 mM塩酸を含む60%エタノール1mLを経口投与し、60分後に放血致死させ胃を摘出した。摘出した胃を大彎に沿って切開し、洗浄したのち10%ホルムアルデヒドにて固定し、胃粘膜傷害部位の面積を画像解析ソフト Mac acpect(三谷商事株式会社、千葉県)を用いて測定した。SLp-NH2は75%エタノールあるいは150mM塩酸含有60%エタノール投与の5分前に静脈内投与した。また、アマスタチン (2.5μmol/kg) はSLp-NH2投与1分前に投与した。
結果
75%エタノール投与の結果を図3に、また、150mM塩酸含有60%エタノール投与の結果を図4に示す。
図3および図4において、縦軸は胃粘膜障害部位の面積(cm2)を、横軸は投与薬物および投与量(Vは、ビヒクルの投与)を示す。
図3に示すごとく、エタノールによる胃粘膜傷害に対してSLp-NH2は0.25および0.5μmol/kgの用量において保護作用を示した。また、図4に示すごとく、塩酸−エタノールによる胃粘膜傷害に対してもエタノールによる胃粘膜傷害と同様に0.25および0.5μmol/kgの用量において保護作用を示した。
錠剤
以下の処方に従い、常法により錠剤を調製した。
結晶セルロース 18mg
SLp-NH2 15mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 12mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
乳糖 適量

合計 100mg
錠剤
以下の処方に従い、常法により錠剤を調製した。
アマスタチン 20mg
結晶セルロース 18mg
SLp-NH2 15mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 12mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
乳糖 適量

合計 100mg
カプセル剤
以下の処方に従い、常法によりカプセル剤を調製した。
SLp-NH2 15mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 15mg
架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム 5mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
乳糖 63mg

合計 100mg
カプセル剤
以下の処方に従い、常法によりカプセル剤を調製した。
SLp-NH2 15mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 15mg
アマスタチン 5mg
架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム 5mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
乳糖 63mg

合計 100mg
注射剤
以下の処方に従い、常法により注射剤を調製した。
ブドウ糖 10mg
SLp-NH2 1mg
アマスタチン 1mg
注射用精製水 適量

合計 200mL
これらの実施例5〜9で得られた製剤は、いずれも本発明の胃酸分泌抑制用組成物、消化管粘液分泌促進用組成物、消化管粘膜保護用組成物、消化器系疾患の予防、治療用組成物として使用できる。
In vivoにおけるカルバコール誘発胃酸分泌亢進に対するPAR−2アゴニストペプチドの胃酸分泌抑制作用を示す図である。**P<0.01 vs V(Tukeyテスト)。 In vivoにおけるPAR−2アゴニストペプチドの胃粘膜細胞からのムチン分泌に対する作用を示す図である。**P<0.01 vs V(Tukeyテスト)。 In vivoにおけるエタノールによる胃粘膜傷害に対するPAR−2アゴニストペプチドの作用を示す図である。*P<0.05 vs V(Tukeyテスト)。 In vivoにおける塩酸−エタノールによる胃粘膜傷害に対するPAR−2アゴニストペプチドの作用を示す図である。**P<0.01 vs V(Tukeyテスト)。
SEQ ID NO: 1
Designed peptide having PAR-2 agonist activity. The C-terminal amino acid residue is amidated.
SEQ ID NO: 2
Designed peptide having PAR-2 agonist activity. Xaa at 1 is trans-cynnamoyl-Leu. Xaa at 6 is Orn. The C-terminal amino acid residue is amidated.
SEQ ID NO: 3
Designed peptide having PAR-1 and PAR-2 agonist activity. The C-terminal amino acid residue is amidated.
SEQ ID NO: 4
Designed peptide having PAR-2 agonist activity. The C-terminal amino acid residue is hydroxylated.
SEQ ID NO: 5
Designed control peptide. The C-terminal amino acid residue is amidated.

Claims (12)

  1. PAR−2を活性化させる成分を含むことを特徴とする胃酸分泌抑制用組成物。
  2. PAR−2を活性化させる成分を含むことを特徴とする消化管粘液分泌促進用組成物。
  3. PAR−2を活性化させる成分を含むことを特徴とする消化管粘膜保護用組成物。
  4. PAR−2を活性化させる成分を含むことを特徴とする、消化器系疾患の予防、治療用組成物。
  5. 消化器系疾患が、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢および腸炎から選択される疾患である請求項4記載の組成物。
  6. 成分がペプチドである請求項1〜5いずれか1項記載の組成物。
  7. 成分がタンパク質である請求項1〜5いずれか1項記載の組成物。
  8. 成分を失活化または分解する物質を阻害する物質を組み合わせる請求項1〜7いずれか1項記載の組成物。
  9. 成分を失活化または分解する物質を阻害する物質を併用する請求項8記載の組成物。
  10. 成分を失活化または分解する物質を阻害する物質を配合する請求項8記載の組成物。
  11. 阻害する物質がペプチダーゼインヒビターである請求項8〜10いずれか1項記載の組成物。
  12. 徐放化製剤、局所適用製剤、薬物放出制御製剤、腸溶性製剤および胃溶性製剤よりなる群から選択されるDDS製剤とされる請求項1〜11いずれか1項記載の組成物。
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