JP4249970B2 - Par−1を介する消化器系疾患の予防および/または治療用組成物 - Google Patents

Par−1を介する消化器系疾患の予防および/または治療用組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒトにおける消化器系疾患の予防および/または治療用組成物、特に、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢、腸炎等を予防および/または治療するための組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の消化器系疾患の原因は、攻撃因子と防御因子とのバランスの破綻により生じる。破綻を惹起する因子としては、薬物(例えば、非ステロイド系消炎剤、副腎皮質ホルモン剤、抗生物質、抗ガン剤、経口血糖降下剤)、ストレス、アルコール、腐食性薬物、肝硬変、アニサキス、食生活等が挙げられる。現在、臨床においては攻撃因子抑制薬、防御因子増強薬およびこれらの組み合わせが使用されている。
【0003】
このうち、攻撃因子抑制薬としては、制酸薬(例えば、重曹、水酸化アルミニウムゲル、酸化マグネシウム等)、抗コリン薬(例えば、硫酸アトロピン、塩酸ピレンゼピン等)、H2受容体拮抗薬(例えば、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、ロキサチジン等)、プロトンポンプ阻害薬(例えば、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム等)、抗ガストリン薬(例えば、プログルミド、セクレチン、ウロガストロン)および抗ペプシン薬(例えば、ショ糖硫酸エステル、スクラルファート等)等が臨床において使用されている。一方、防御因子増強薬としては、粘膜保護薬(例えば、スクラルファート、レパミピド、テプレノン等)、粘膜被覆薬(例えば、アルギン酸ナトリウム、アズノール製剤等)、組織修復促進薬(例えば、アセグルタミドアルミニウム、アルジオキサ、ゲファルナート等)、粘液産生促進薬(例えば、プログルミド、テプレノン、セクレチン、アルジオキサ等)、粘膜微小循環改善薬(例えば、塩酸セトラキサート、ベネキサート、スルピリド等)、プロスタグランジン合成促進薬(例えば、ソファルコン)およびプロスタグランジン製剤(例えば、オルノプロスチル、ミソプロストール、エンプロスチル等)等が臨床において使用されている。また、慢性胃炎には、消化管運動機能改善薬(例えば、シサプリド、ナパジシル酸アクラトニウム、ベタネコール、ドンペリドン、メトクロプラミド、マレイン酸トリメブチン)も使用されている。攻撃因子抑制薬であるH2受容体拮抗薬およびプロトンポンプ阻害薬等は強力な胃酸分泌抑制作用を有し、かつ顕著な治療効果を有しているため広く使用されている。
【0004】
しかしながら、一旦完治した後であっても薬物の服用を中止すると、胃酸分泌のリバウンド、潰瘍の再発や悪化が高頻度で認められることが明らかとなっている。また、H2受容体拮抗薬では完治しない潰瘍が存在すること、およびプロトンポンプ阻害薬の使用によってはエンテロクロマフィン様細胞の過形成、高ガストリン血症、胃カルチノイドの出現等が報告され、その投薬量が制限されている等の問題があった。また、防御因子増強薬は上記攻撃因子抑制薬に比較して作用が穏やかであるが、治療効果は補助的なものであった。そのため、消化器系疾患を有する患者および内科医からは、H2受容体拮抗薬およびプロトンポンプ阻害薬ではなく、他の作用機序を介して安全で効果的に用いることのできる攻撃因子抑制薬または防御因子増強薬の開発が望まれていた。
【0005】
一方、PAR(Protease-activated receptor)は7回膜貫通型のG蛋白共役受容体に属し、プロテアーゼによって活性化される受容体であることが知られている(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。PARはプロテアーゼにより細胞外ドメインのある特定のN末端部位で切断され、新しいN末端を露出させる。この新たに露出したN末端が鎖状リガンドとなって自身の活性部位に結合することにより、受容体の活性化が起こるものと考えられている(非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3参照)。
【0006】
PARにはPAR−1、PAR−2、PAR−3およびPAR−4のサブタイプが存在し、それぞれ機能が異なることが報告されている。PAR−1、PAR−3およびPAR−4はトロンビンによって活性化され(非特許文献3、非特許文献1、非特許文献4、非特許文献5および非特許文献6参照)(PAR−1は高濃度のトリプシンによっても活性化される)、PAR−2はトリプシン(非特許文献7、非特許文献8参照)およびトリプターゼ(非特許文献8および非特許文献9参照)によって活性化されることが判明している。
【0007】
また、PAR−1(非特許文献3参照)、PAR−2(非特許文献7参照)、PAR−3(非特許文献4参照)およびPAR−4(非特許文献5および非特許文献6参照)のアミノ酸配列上での切断部位が知られており、PAR−1、PAR−2およびPAR−4に関しては、切断部位の活性アミノ酸配列に基づいて合成した5〜6個のアミノ酸から成る合成ペプチドを外来的に与えることにより、該受容体が活性化されることも知られている(非特許文献3、非特許文献7、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6および非特許文献10参照)。特に、トロンビンによってPAR−1細胞外ドメインの特定部位が切断されると、受容体活性化配列であるSer-Phe-Leu-Leu-Argが露出し、それが自己の活性化部位に結合することによりPAR−1を活性化することが知られており、また、当該ペプチドを外来的に与えても同様の活性が認められることが知られている(非特許文献11参照)。
【0008】
さらに、PAR−1に対しアゴニスト作用を有する成分として、Thr-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号1)、Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号2)、Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-Asn-Pro-Asn-Asp-Lys-Tyr-Glu-Pro-Phe-NH2(配列番号3)、Ala(parafluoro-)Phe-Arg-(cyclohexyl-)Ala-citrulline-Tyr-NH2(配列番号4)が報告されている(非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14および非特許文献1参照)。
【0009】
PAR−1(非特許文献3参照)を介する細胞内シグナルトランスダクションに関しては、ホスホリパーゼC、チロシンキナーゼ、MAPキナーゼおよびホスファチジルイノシトール3'―キナーゼ(PI3キナーゼ)の活性化が知られている(非特許文献2、非特許文献10および非特許文献15参照)。PAR−1に関しては、血小板凝集、炎症反応、神経傷害、細胞増殖作用および血管運動などに関与していること(非特許文献16参照)が報告されており、また、PAR−1は血小板、神経細胞、血管内皮細胞および肺などにおける発現が報告されている(非特許文献17参照)。しかし、PAR−1の消化管粘膜保護作用、消化管粘膜傷害修復作用、胃酸分泌抑制作用、消化管粘膜血流量増加作用等の消化器系に関する報告は現在までに存在せず、本発明者らによって初めてPAR−1を活性化させる成分(すなわち、アゴニスト)が上記作用を有することが証明されたのである。
【0010】
【特許文献1】
国際公開第01/62291号パンフレット
【非特許文献1】
ホーレンバーグ,エム・ディ(Hollenberg, M.D.)著,「トレンズ・イン・ファーマコロジカル・サイエンシーズ(Trends Pharmacol. Sci.)」,(オランダ), 1996年1月, 第17巻, p.3-6
【非特許文献2】
ホーレンバーグ,エム・ディ(Hollenberg, M.D.)著,「トレンズ・イン・ファーマコロジカル・サイエンシーズ(Trends Pharmacol. Sci.)」,(オランダ), 1999年7月, 第20巻, p.271-273
【非特許文献3】
ビュ,ティー・ケイ(Vu, T.K.)ら著, 「セル(Cell)」,(米国), 1991年3月,第64巻, p.1057-68
【非特許文献4】
イシハラ,エイチ(Ishihara, H.)ら著, 「ネイチャー(Nature)」,(英国), 1997年4月, 第386巻, p.502-6
【非特許文献5】
カーン,エム・エル(Kahn, M.L.)ら著, 「ネイチャー(Nature)」,(英国), 1998年8月, 第394巻, p.690-4
【非特許文献6】
ズー,ダブリュ・エフ(Xu, W.F.)ら著, 「プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・イン・ユーエスエイ(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)」,(米国), 1998年6月, 第95巻, p.6642-6
【非特許文献7】
ニステッド,エス(Nystedt, S.)ら著, 「プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・イン・ユーエスエイ(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)」,(米国), 1994年9月, 第91巻, p.9208-12
【非特許文献8】
モリノ,エム(Molino, M.)ら著, 「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)」,(米国), 1997年4月, 第272巻, p.6011-7
【非特許文献9】
フォックス,エム・ティ(Fox, M.T.)ら著, 「フェブス・レターズ(FEBS Lett)」,(オランダ), 1997年11月, 第417巻, p.267-9
【非特許文献10】
デリー・オウ(Dery, O.)ら著, 「アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(Am. J. Physiol.)」,(米国), 1998年6月, 第274巻, p.C1429-52
【非特許文献11】
「薬学雑誌」, 2001年1月, 第121巻1号, p.1-7
【非特許文献12】
カワバタ・エイ(Kawabata. A.)著, 「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Jpn. J. Pharmacol.)」,(日本), 2000年3月, 第82巻, p.171-174
【非特許文献13】
カワバタ・エイ(Kawabata, A.)ら著, 「ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティクス(J. Pharmacol. Exp. Ther.)」,(米国), 1999年1月, 第288巻, p.358-70
【非特許文献14】
ホーレンバーグ,エム・ディ(Hollenberg, M.D.)著, 「モレキュラー・ファーマコロジー(Molec. Pharmacol.)」,(米国), 1993年6月, 第43巻, p.921-930
【非特許文献15】
ゼン,エックス・エル(Zheng, X.L.)ら著, 「ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティクス(J. Pharmacol. Exp. Ther.)」,(米国), 1998年4月, 第285巻, p.325-34
【非特許文献16】
マクファーレン,エス・アール(Macfarlane, S.R.)ら著, 「ファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacol. Rev.)」,(米国), 2001年6月, 第53巻, p.45-282
【非特許文献17】
ファーグノール,エヌ(Vergnolle, N.)ら著, 「トレンズ・イン・ファーマコロジカル・サイエンシーズ(Trends Pharmacol. Sci.)」,(オランダ), 2001年3月, 第22巻, p.146-152
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術に鑑みて行われたものであり、本発明の目的は、安全で効果的なヒトにおける消化器系疾患の予防および/または治療用組成物、特に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢、腸炎等を治療および/または予防するための組成物を提供することである。また、これまでの公知の作用機序では困難であった副作用の問題を解決すべく、新規な作用機序を有する上記組成物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヒトにおける消化器系疾患、特に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢、腸炎等を治療および/または予防するための組成物として好ましい薬剤を開発すべく研究を行い、新たな作用機序を見出すために鋭意研究した結果、PAR−1を活性化させる成分(アゴニスト)が胃酸分泌を抑制し、さらに、消化管粘膜保護作用、消化管粘膜傷害修復作用、消化管粘膜血流量増加作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、
(1)PAR−1を活性化させる成分を含むことを特徴とする消化器系疾患の予防および/または治療用組成物、(2)PAR−1を活性化させる成分を含むことを特徴とする消化管粘膜保護用組成物、(3)PAR−1を活性化させる成分を含むことを特徴とする消化管粘膜傷害修復用組成物、(4)PAR−1を活性化させる成分を含むことを特徴とする胃酸分泌抑制用組成物、(5)PAR−1を活性化させる成分を含むことを特徴とする消化管粘膜血流量増加用組成物、(6)消化器系疾患が、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢および腸炎よりなる群から選択される疾患である上記(1)に記載の組成物、(7)成分がペプチドである上記(1)〜(6)いずれか1に記載の組成物、(8)ペプチドが、Thr-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号1)、Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号2)、Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-Asn-Pro-Asn-Asp-Lys-Tyr-Glu-Pro-Phe-NH2(配列番号3)およびAla(parafluoro-)Phe-Arg-(cyclohexyl-)Ala-citrulline-Tyr-NH2(配列番号4)よりなる群から選択される少なくとも1種の配列を含む上記(7)に記載の組成物、(9)成分がタンパク質である上記(1)〜(6)いずれか1に記載の組成物、(10)タンパク質がトロンビンおよびトリプシンよりなる群から選択される少なくとも1種である上記(9)に記載の組成物、(11)成分を失活化または分解する物質を阻害する物質を組み合わせる上記(1)〜(10)いずれか1に記載の組成物、(12)成分を失活化または分解する物質を阻害する物質を併用する上記(11)に記載の組成物、(13)成分を失活化または分解する物質を阻害する物質を配合する上記(11)に記載の組成物、(14)成分を失活化または分解する物質を阻害する物質がペプチダーゼ・インヒビターである上記(11)〜(13)いずれか1に記載の組成物、(15)ペプチダーゼ・インヒビターがアマスタチンである上記(14)に記載の組成物、および(16)DDS製剤化されている上記(1)〜(15)いずれか1に記載の組成物、を提供するものである。
【0014】
なお、本明細書中において「物質を組み合わせる」とは、PAR−1を活性化させる成分を失活化または分解する物質を阻害する物質とPAR−1を活性化させる成分とを共に、投与する時間、製剤の種類等に何ら制限されることなく対象に投与することをいう。また、本明細書中において「物質を併用する」とは、別々の製剤として処方化されたその物質とPAR−1を活性化させる成分とを同時に、またはその物質をPAR−1を活性化させる成分を投与する前もしくは後、好ましくは該成分を投与する前に、投与することをいう。さらに、本明細書中において「物質を配合する」とは、1の組成物または製剤の中にその物質とPAR−1を活性化させる成分とを含ませることをいう。なお、本明細書中において「組成物」とは本発明の有効成分であるPAR−1を活性化させる成分や、所望により該成分を失活化または分解する物質を阻害する物質とともに下記の種々の補助剤を含む混合物をいい、また、該組成物を投与用の形態に処方化したものを製剤という。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物の予防および/または治療の対象となる消化管系疾患としては、口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、回腸、盲腸、結腸、大腸、直腸などの消化器系における潰瘍、炎症、出血などの疾患が挙げられ、特に胃および十二指腸での潰瘍、炎症、出血等が挙げられる。
本発明の組成物に用いるPAR−1を活性化させる成分とは、PAR−1を活性化させる能力を有する、天然に存在するか、または人工的に合成されたいずれもの物質をいい、例えば、ペプチド、タンパク質、他の化合物などを包含する。さらに詳しくは、PAR−1を活性化させる成分としては、例えば、天然のPAR−1活性化タンパク質であるトロンビンおよびトリプシン、Thr-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号1)、Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号2)、Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-Asn-Pro-Asn-Asp-Lys-Tyr-Glu-Pro-Phe-NH2(配列番号3)、Ala(parafluoro-)Phe-Arg-(cyclohexyl-)Ala-citrulline-Tyr-NH2(配列番号4)、等が挙げられる。さらに、PAR−1に対する抗体またはそのフラグメントも、PAR−1を特異的に活性化させるタンパク質またはペプチドとなる可能性がある。
【0016】
種々の物質を、いずれかの公知の方法に従ってPAR−1を活性化させる能力についてスクリーニングすることによって、PAR−1を活性化する成分を得てもよい。例えば、PAR−1と試験物質との相互作用を、放射性同位元素での標識または表面プラズモン共鳴などを使用して直接的に検出することによって、PAR−1と結合する物質をスクリーニングすることができる。PAR−1を発現する細胞または組織におけるPAR−1の活性化によって引き起こされる生物学的活性を指標として、PAR−1を介するシグナル伝達を誘導する物質をスクリーニングしてもよい。さらに、実施例に示す胃粘膜傷害部位(%)、胃酸分泌量、胃粘膜血流量の測定方法を使用して、消化管粘膜保護作用、消化管粘膜傷害修復作用、胃酸分泌抑制作用、消化管粘膜血流量増加作用を示す物質をスクリーニングすることができる。PAR−1の活性化についてのアッセイは、例えば、Hollenberg, M. D., Can. J. Physiol. Pharmacol., 75, 832-841, 1997およびKawabata, A., J. Pharmacol. Exp. Ther., 288, 358-370, 1999に記載されている。受容体に結合してこれに作用する物質(すなわち、アゴニスト)についてのスクリーニング方法は当該分野において周知である(例えば、Hollenberg, M. D., Trends Pharmacol. Sci., 20, 271-273, 1999;Dery, O., Am. J. Physiol., 274, C1429-C1452, 1998;Kawabata, A., J. Pharmacol. Exp. Ther., 288, 358-370, 1990を参照のこと)。
【0017】
本明細書で用いるペプチドなる用語は、オリゴペプチドおよび比較的短いポリペプチドをいう。ペプチドは、例えば2〜40のアミノ酸残基、好ましくは3〜20のアミノ酸残基、より好ましくは5〜15のアミノ酸残基を含む。ペプチドは天然に存在するものであってもよく、または化学的に合成されたものであってもよい。ペプチドは、例えば、Carpino, L. A. et al., J. Org. Chem., 37, 3404-3409, 1972に記載されるような公知の方法に従って合成することができる。また、ペプチドは組換えDNA技術を使用して製造することも可能である。さらに、ペプチドは修飾または非天然アミノ酸残基を含んでいてもよい。本明細書で用いるタンパク質なる用語は、ペプチドに比較してより長いポリペプチドをいう。タンパク質は天然供給源から精製されたものであってもよく、またはこのタンパク質をコードするDNAを含む組換え宿主細胞を培養することによって製造してもよい。ペプチドと同様に、タンパク質を化学的に合成することも可能である。タンパク質は修飾または非天然アミノ酸残基を含んでいてもよい。
【0018】
かくして、本発明の組成物に用いるPAR−1を活性化させる成分は、胃粘膜傷害部位の面積を減少させ、胃酸分泌を抑制し、胃粘膜血流量を増加させるので、本発明の組成物は、消化管粘膜保護用組成物、消化管粘膜傷害修復用組成物、胃酸分泌抑制用組成物、消化管粘膜血流量増加用組成物として有用であり、消化器系疾患を予防および/または治療するのに、特に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、下痢、腸炎等を予防および/または治療するのに有用である。予防剤または治療剤として用いる場合、本発明の組成物は、そのままあるいは水に希釈する等の各種処理を施して製剤化した後に使用することができ、医薬品、医薬部外品等に配合して使用することができる。この場合、PAR−1を活性化させる成分の配合量は、用いる組成物の製剤の型に応じて適宜選択されるところではあるが、通常全身投与製剤の場合には、組成物の全量に対して0.001〜50重量%、特に0.01〜10重量%とすることができ、0.001%より少ないと満足する予防および/または治療作用が認められない可能性があり、また、50%を超えると製品そのものの安定性や香味等の特性が損なわれる可能性がある。
また、本発明の組成物は、ヒト以外の哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、サル、ウサギ、モルモット、ハムスター等の消化器系疾患の予防および/または治療用の組成物としても同様に効力がある。
【0019】
本発明の組成物に用いるPAR−1を活性化させる成分は、薬理学的に許容される塩として製剤中に含有されていてもよい。薬理学的に許容される塩としては、例えば無機塩基、有機塩基等の塩基との塩、無機酸、有機酸、塩基性または酸性アミノ酸などの酸付加塩等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、アンモニウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、エタノールアミン等の第一級アミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン等の第二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、トリエタノールアミン等の第三級アミン等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えば、アルギニン、リシン、オルニチン等が挙げられる。酸性アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。また、ペプチドおよびタンパク質は生体に存在するペプチダーゼにより分解されることから、PAR−1を活性化させる成分としてペプチドまたはタンパク質を用いる場合、ペプチダーゼ・インヒビターであるアマスタチン等の薬物と併用あるいはそれを配合することにより、PAR−1を活性化する作用の持続性を高めることができる。上記成分がペプチドでない場合、当業者は適切に、この成分を失活化または分解する物質を同定し、これを阻害する物質を選択し、これを併用あるいは配合できる。ペプチダーゼ・インヒビターの投与量は、インヒビターの種類、投与方法、PAR−1を活性化させる成分の投与量、疾患の程度等の種々のファクターにより変化し得るが、例えばアマスタチンを経口投与する場合には、好ましくは0.01 μmol/kg〜1000 μmol/kg、より好ましくは0.05 μmol/kg〜500 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜100 μmol/kgであり、またアマスタチンを静脈内投与する場合には、好ましくは0.01 μmol/kg〜500 μmol/kg、より好ましくは0.05 μmol/kg〜100 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜10 μmol/kgの範囲である。
【0020】
本発明の組成物の投与方法としては、経口投与、静脈内投与以外に、経粘膜投与、経皮投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸内投与等が適宜選択でき、その投与方法に応じて、種々の製剤として用いることができる。以下に、各製剤について記載するが、本発明において用いられる剤型はこれらに限定されるものではなく、医薬製剤分野において通常用いられる各種製剤として用いることができる。
【0021】
本発明の組成物におけるPAR−1を活性化させる成分の投与量は、目的とする効果、成分の種類、投与方法、患者の年齢、疾患の程度等の種々のファクターにより変化し得るが、消化器系疾患の予防および/または治療用として用いて経口投与する場合の投与量は、好ましくは0.01 μmol/kg〜1000 μmol/kg、より好ましくは0.03 μmol/kg〜500 μmol/kg、さらに好ましくは0.06 μmol/kg〜100 μmol/kgの範囲であり(この場合に所望により経口投与し得るインヒビターの量は、各々、好ましくは0.01 μmol/kg〜1000 μmol/kg、より好ましくは0.05 μmol/kg〜500 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜100 μmol/kg)、また、静脈内投与する場合には、好ましくは0.01 μmol/kg〜500 μmol/kg、より好ましくは0.03 μmol/kg〜100 μmol/kg、さらに好ましくは0.06 μmol/kg〜10 μmol/kgの範囲である(この場合に所望により静脈内投与し得るインヒビターの量は、各々、好ましくは0.01 μmol/kg〜500 μmol/kg、より好ましくは0.05 μmol/kg〜100 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜10 μmol/kg)。
【0022】
また、本発明の組成物におけるPAR−1を活性化させる成分を消化管粘膜保護用として用いて経口投与する場合の投与量は、好ましくは0.03 μmol/kg〜1000 μmol/kg、より好ましくは0.06 μmol/kg〜500 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜100 μmol/kgの範囲であり(この場合に所望により経口投与し得るインヒビターの量は、各々、好ましくは0.01 μmol/kg〜1000 μmol/kg、より好ましくは0.05 μmol/kg〜500 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜100 μmol/kg)、また、静脈内投与する場合には、好ましくは0.03 μmol/kg〜500 μmol/kg、より好ましくは0.06 μmol/kg〜100 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜10 μmol/kgの範囲である(この場合に所望により静脈内投与し得るインヒビターの量は、各々、好ましくは0.01 μmol/kg〜500 μmol/kg、より好ましくは0.05 μmol/kg〜100 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜10 μmol/kg)。
【0023】
また、本発明の組成物におけるPAR−1を活性化させる成分を消化管粘膜傷害修復用として用いて経口投与する場合の投与量は、好ましくは0.01 μmol/kg〜1000 μmol/kg、より好ましくは0.03 μmol/kg〜500 μmol/kg、さらに好ましくは0.06 μmol/kg〜100 μmol/kgの範囲であり(この場合に所望により経口投与し得るインヒビターの量は、各々、好ましくは0.01 μmol/kg〜1000 μmol/kg、より好ましくは0.05 μmol/kg〜500 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜100 μmol/kg)、また、静脈内投与する場合には、好ましくは0.01 μmol/kg〜500 μmol/kg、より好ましくは0.03 μmol/kg〜100 μmol/kg、さらに好ましくは0.06 μmol/kg〜10 μmol/kgの範囲である(この場合に所望により静脈内投与し得るインヒビターの量は、各々、好ましくは0.01 μmol/kg〜500 μmol/kg、より好ましくは0.05 μmol/kg〜100 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜10 μmol/kg)。
【0024】
さらに、本発明の組成物におけるPAR−1を活性化させる成分を胃酸分泌抑制用として用いて経口投与する場合の投与量は、好ましくは0.2 μmol/kg〜1000 μmol/kg、より好ましくは0.3 μmol/kg〜500 μmol/kg、さらに好ましくは1 μmol/kg〜100 μmol/kgの範囲であり(この場合に所望により経口投与し得るインヒビターの量は、各々、好ましくは0.01 μmol/kg〜1000 μmol/kg、より好ましくは0.05 μmol/kg〜500 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜100 μmol/kg)、また、静脈内投与する場合には、好ましくは0.2 μmol/kg〜500 μmol/kg、より好ましくは0.3 μmol/kg〜100 μmol/kg、さらに好ましくは1 μmol/kg〜10 μmol/kgの範囲である(この場合に所望により静脈内投与し得るインヒビターの量は、各々、好ましくは0.01 μmol/kg〜500 μmol/kg、より好ましくは0.05 μmol/kg〜100 μmol/kg、さらに好ましくは0.1 μmol/kg〜10 μmol/kg)。
【0025】
本発明の組成物を経口投与する場合の剤型として、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤およびシロップ剤等があり、適宜選択することができる。また、それら製剤について徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を施すことができる。また、口腔内局所投与を行う場合の剤型として、咀嚼剤、舌下剤、バッカル剤、トローチ剤、軟膏剤、貼布剤、液剤等があり、適宜選択することができる。また、それら製剤について徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を施すことができる。上記の各剤型について、公知のドラッグデリバリーシステム(DDS)の技術を採用することができる。本明細書で用いるDDS製剤なる用語は、徐放化製剤、局所適用製剤(トローチ、バッカル錠、舌下錠等)、薬物放出制御製剤、腸溶性製剤および胃溶性製剤等、投与経路、バイオアベイラビリティー、副作用等を勘案した上で、最適の製剤形態にした製剤をいう。
【0026】
DDSの構成要素は、基本的に薬物、薬物放出モジュール、被膜および治療プログラムから成り、各々の構成要素について、特に放出を停止させた時に速やかに血中濃度が低下する半減期の短い薬物が好ましく、投与部位の生体組織と反応しない被膜が好ましく、さらに、設定された期間において最良の薬物濃度を維持する治療プログラムを有するのが好ましい。薬物放出モジュールは基本的に薬物貯蔵庫、放出制御部、エネルギー源および放出孔または放出表面を有している。これら基本的構成要素は全て揃っている必要はなく、適宜追加あるいは削除等を行い、最良の形態を選択することができる。DDSに使用できる材料としては、高分子、シクロデキストリン誘導体、レシチン等がある。高分子には不溶性高分子(シリコーン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチルセルロース、セルロースアセテート等)、水溶性高分子およびヒドロキシルゲル形成高分子(ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート架橋体、ポリアクリル架橋体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、水溶性セルロース誘導体、架橋ポロキサマー、キチン、キトサン等)、徐溶解性高分子(エチルセルロース、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の部分エステル等)、胃溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、マクロゴール、ポリビニルピロリドン、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸メチル共重合体等)、腸溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、アクリル酸系ポリマー等)、生分解性高分子(熱凝固または架橋アルブミン、架橋ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリβヒドロキシ酢酸、ポリカプロラクトン等)があり、剤型によって適宜選択することができる。特に、シリコーン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の部分エステルは薬物の放出制御に使用でき、セルロースアセテートは浸透圧ポンプの材料として使用でき、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースは徐放化製剤の膜素材として使用でき、ポリアクリル架橋体は口腔粘膜あるいは眼粘膜付着剤として使用できる。また、組成物中にはその製剤の型(経口投与剤、注射剤、坐剤等の公知の剤型)に応じて、溶剤、賦形剤、コーティング剤、基剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁化剤、粘稠剤、乳化剤、安定剤、緩衝剤、等張化剤、無痛化剤、保存剤、矯味剤、芳香剤、着色剤等の添加剤を加えて製造することができる。これら各添加剤について、それぞれ具体例を挙げて例示するが、これらに特に限定されるものではない。
【0027】
溶剤:精製水、注射用水、生理食塩水、ラッカセイ油、エタノール、グリセリン、
賦形剤:デンプン類、乳糖、ブドウ糖、白糖、結晶セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、トレハロース、キシリトール、
コーティング剤:白糖、ゼラチン、酢酸フタル酸セルロースおよび上記した高分子、
基剤:ワセリン、植物油、マクロゴール、水中油型乳剤性基剤、油中水型乳剤性基剤、
結合剤:デンプンおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、トラガント、アラビアゴム等の天然高分子化合物、ポリビニルピロリドン等の合成高分子化合物、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、
滑沢剤:ステアリン酸およびその塩類、タルク、ワックス類、コムギデンプン、マクロゴール、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、
崩壊剤:デンプンおよびその誘導体、寒天、ゼラチン末、炭酸水素ナトリウム、セルロースおよびその誘導体、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースおよびその塩類ならびにその架橋体、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース、
溶解補助剤:シクロデキストリン、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
懸濁化剤:アラビアゴム、トラガント、アルギン酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、クエン酸、各種界面活性剤、
粘稠剤:カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、トラガント、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、
乳化剤:アラビアゴム、コレステロール、トラガント、メチルセルロース、各種界面活性剤、レシチン、
安定剤:亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロール、キレート剤、不活性ガス、還元性物質、
緩衝剤:リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸、
等張化剤:塩化ナトリウム、ブドウ糖、
無痛化剤:塩酸プロカイン、リドカイン、ベンジルアルコール、
保存剤:安息香酸およびその塩類、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、逆性石けん、ベンジルアルコール、フェノール、チロメサール、
矯味剤:白糖、サッカリン、カンゾウエキス、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、
芳香剤:トウヒチンキ、ローズ油、
着色剤:水溶性食用色素、レーキ色素。
【0028】
上記したように、医薬品を徐放化製剤、腸溶性製剤または薬物放出制御製剤等のDDS製剤化することにより、薬物の有効血中濃度の持続化、バイオアベイラビリティーの向上等の効果が期待できる。しかし、PAR−1を活性化させる成分は生体内で失活化または分解され、その結果、所望の効果が低下または消失する可能性がある。例えば、PAR−1を活性化させる成分がペプチドである場合、そのようなペプチドの多くは生体内において、種々のペプチダーゼ、例えばアミノペプチダーゼにより分解されることが知られている(Godin, D. et al., Eur. J. Pharmacol., 253, 225-30, 1994)。従って、PAR−1を活性化させる成分を失活化または分解する物質を阻害する物質(例えば、種々のペプチダーゼ・インヒビター、例えばアミノペプチダーゼ・インヒビター)を本発明の組成物と組み合わせることにより、例えば併用または配合することにより、成分の効果をさらに持続化させ得る。アミノペプチダーゼ・インヒビターとしては、アマスタチン、アファメニンA、アファメニンBおよびベスタチン等が知られている。これらの化合物は製剤中に配合してもよく、または別々に投与してもよい。さらに、PAR−1を活性化させる成分がペプチドおよびタンパク質でない場合、当業者は適切に、その成分を失活化または分解する物質を同定し、これを阻害する物質を選択し、本発明の組成物と組み合わせて、すなわち本発明の組成物と併用またはそれに配合することができる。製剤中には、上記以外の添加物として通常の医薬組成物に使用されている成分を用いることができ、これらの成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0029】
本発明の組成物は、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法にも併用できる。例えば、オメプラゾール40mg(1日2回)とアモキシシリン1,500mg(1日3回)に加えて、本発明の組成物300mg(1日3回)を併用できる。慢性消化性潰瘍、若年者に多い潰瘍性大腸炎、クローン病等の難治性消化管障害の治療にも有用である。
【0030】
【実施例】
製剤例
錠剤
結晶セルロース 18mg
TFLLR-NH2 15mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 12mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
乳糖 適量
合計 100mg
アマスタチン 20mg
結晶セルロース 18mg
TFLLR-NH2 15mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 12mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
乳糖 適量
合計 100mg
【0031】
カプセル剤
TFLLR-NH2 15mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 15mg
架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム 5mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
乳糖 63mg
合計 100mg
TFLLR-NH2 15mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 15mg
アマスタチン 5mg
架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム 5mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
乳糖 58mg
合計 100mg
【0032】
注射剤
ブドウ糖 10mg
TFLLR-NH2 1mg
アマスタチン 1mg
注射用精製水 適量
合計 200mL
【0033】
実施例1
Thr-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(TFLLR-NH2)は、既知の方法(Carpino, L. A. et al., J. Org. Chem., 37, 3404-3409, 1972)に準じて合成した。
Fmoc-PAL-PEG-PS-resin(PEバイオシステムズ)を1.0 g(0.2 meq/g)秤取し、これにジメチルホルムアミド10 mLを加えて2〜3時間放置し、樹脂を膨張させた後、ペプチド合成用のカラムに充填した。
【0034】
Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519 mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Leu-OH 283 mg(WAKO)、Fmoc-L-Phe-OH 310 mg(WAKO)、Fmoc-L-Thr(tBu)-OH 318 mg(PEバイオシステムズ)を試験管に秤量し、これにHATU (N-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-6]ピリジン-1-イルメチレン]-N-メチルメタナミニウム=ヘキサフルオロホスファート=N-オキシド) (PEバイオシステムズ)を各380 mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEER(PEバイオシステムズ)を用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂をTFA-H2O-フェノール-トリイソプロピルシラン(8.8:0.5:0.5:0.2)の混合溶液で4時間処理した後、樹脂を濾過し、濾液をエーテルで再結晶し、粗ペプチドを得た。次に、この粗ペプチドをHPLC(A:0.02%TFA含H2O、B:0.02%TFA含50%CH3CN)に供し精製した。得られたフラクションの凍結乾燥を行い、Thr-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2を得た。
【0035】
実施例2
エタノールおよび塩酸-エタノール誘発胃粘膜傷害に対するProtease-activated receptor (PAR, プロテアーゼ受容体)-1活性化ペプチドの作用
実験には7週齢のWistar系雄性ラットを使用した。各動物は室温23±2℃、湿度50±5%および12時間の明暗サイクル(明期:0700から1900)の環境下で1週間の予備飼育の後、実験に供した。予備飼育期間および実験前日までは水および固形飼料を自由に摂取させた。
【0036】
エタノールおよび塩酸-エタノール誘発胃粘膜傷害の作製はRobertらの方法 (Robert, A. et al., Gastroenteral, 77, 433-443, 1979)を参考にし、一部変更して行った。即ち、ラットを18-24時間絶食した後、100%エタノールあるいは150 mM塩酸を含む60%エタノール1 mLを経口投与し、120分後に放血致死させ胃を摘出した。摘出した胃を大彎に沿って切開し、洗浄した後、10%ホルムアルデヒドにて固定し、胃粘膜傷害部位および腺胃部の面積を画像解析ソフト Win Roof(三谷商事株式会社)を用いて測定した。データは腺胃部面積に対する胃粘膜傷害部位面積を百分率で示した。PAR-1活性化ペプチドは100%エタノールあるいは150 mM塩酸含有60%エタノール投与の5分前に静脈内または経口投与した。また、静脈内投与の場合はアマスタチン (2.5 μmol/kg) をPAR-1活性化ペプチド投与1分前に静脈内投与した。
【0037】
塩酸-エタノールによる胃粘膜傷害に対してTFLLR-NH2の静脈内投与は0.1および0.3 μmol/kgの用量において保護作用を示した(図1)。また、TFLLR-NH2は経口投与においても0.3 μmol/kgの用量で塩酸-エタノールによる胃粘膜傷害に対して保護作用を示した(図2)。さらに、TFLLR-NH2はエタノールによる胃粘膜傷害に対しても塩酸-エタノールによる胃粘膜傷害と同様に0.3 μmol/kgの用量において保護作用を示した(図3)。
【0038】
実施例3
カルバコール誘発胃酸分泌亢進に対するPAR-1活性化ペプチドの作用
胃酸分泌の測定は竹内らの方法 (Takeuchi, K. et al., Jpn. J. Pharmacol. 41, 87-99, 1986)に準じて行った。即ち、ラットをウレタン (1.2 g/kg i.p.) を用いて麻酔した後、腹部を約2 cm正中切開し、胃を露出させた。食道より灌流液流入用のポリエチレンチューブを胃内まで挿入し噴門部にて糸で固定した。その後、幽門輪より約1 cmのところを切開し、その切開部より灌流液流出用ポリエチレンチューブを逆行性に胃内に挿入して幽門輪直下にて糸で固定した。次に、灌流液流出用ポリエチレンをペリスタポンプに接続し、灌流液を1 mL/minの速度で灌流した。この灌流液についてpH 7.0を終点として0.05N NaOHでpH stat(東亜ディーケーケー株式会社)を用いて連続的に滴定した。胃酸分泌量は10分毎の胃酸分泌量として算出した。尚、実験中は灌流液を100%酸素ガスでバブリングした。PAR-1活性化ペプチド(TFLLR-NH2)はカルバコール (60 μg/kg) 皮下投与後30分に静脈内投与した。また、アマスタチン (2.5 μmol/kg) をその1分前(カルバコール投与29分後)に静脈内投与した。
TFLLR-NH2は、0.3および1 μmol/kgの用量においてカルバコールの投与によって亢進した胃酸分泌を持続的に抑制した(図4)。
【0039】
実施例4
胃粘膜血流に対するPAR-1活性化ペプチドの作用
胃粘膜血流の測定は、川畑らの方法 (Kawabata, A. et al., J. Clin. Invest. 107, 1443-1450, 2001)に準じてレーザードップラー血流測定装置(株式会社アドバンス、ALF21)を用いて測定した。即ち、ラットをウレタン (1.2 g/kg 腹腔内投与) を用いて麻酔した後、腹部を約2 cm正中切開し、胃を露出させた。その後、前胃を小切開し、バランサーに装着したプローブを胃内に挿入し、測定部の先端を粘膜に接触させ固定した。PAR-1活性化ペプチド(TFLLR-NH2)は胃粘膜血流が安定した後、アマスタチン (2.5 μmol/kg)を静脈内投与した1分後に静脈内投与した。データはPAR-1活性化ペプチド投与前の値に対する百分率で表した。
TFLLR-NH2は、30および60 nmol/kgの用量において投与後約30秒をピークとする胃粘膜血流量の増加作用を示した(図5)。また、TFLLR-NH2が胃粘膜血流量を増加させる作用を有することから、この成分は胃粘膜傷害修復作用も有することが明らかとなった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の組成物は、優れた消化管粘膜保護作用、消化管粘膜傷害修復作用、胃酸分泌抑制作用、消化管粘膜血流量増加作用等を有する優れた治療薬となる。従って、PAR−1を活性化させる成分であるThr-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号1)およびSer-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号2)等のペプチドを使用することにより、効果的にヒトにおける消化器系疾患を予防および/または治療することができる。また、上記ペプチドは生体に存在するペプチダーゼにより分解されることから、ペプチダーゼ・インヒビターであるアマスタチン等の薬物と併用あるいは配合することにより、上記ペプチドの作用の持続性を高めることができる。
【0041】
【配列表フリーテキスト】
SEQ ID NO: 1
Designed peptide having PAR-1 agonist activity. The C-terminal amino acid residue is amidated.
SEQ ID NO: 2
Designed peptide having PAR-1 agonist activity. The C-terminal amino acid residue is amidated.
SEQ ID NO: 3
Designed peptide having PAR-1 agonist activity. The C-terminal amino acid residue is amidated.
SEQ ID NO: 4
Designed peptide having PAR-1 agonist activity. The amino acid residue at position 2 is para-fluorinated, the amino acid residue at position 4 is cyclohexylated, the amino acid residue at position 5 is citrulline, and the C-terminal amino acid residue is amidated.
【0042】
【配列表】
Figure 0004249970
Figure 0004249970
Figure 0004249970

【図面の簡単な説明】
【図1】 ラットにおける塩酸-エタノール誘発胃粘膜傷害に対するProtease-activated receptor (PAR, プロテアーゼ受容体)-1活性化ペプチドの静脈内投与の作用を示すグラフである。データは平均値±標準誤差を示す(例数;溶媒群:15匹、TFLLR-NH2投与群:9-10匹)。P<0.05 vs. 溶媒 (Tukeyテスト)。
【図2】 ラットにおける塩酸-エタノール誘発胃粘膜傷害に対するPAR-1活性化ペプチドの経口投与の作用を示すグラフである。データは平均値±標準誤差を示す(例数;溶媒群:8匹、TFLLR-NH2投与群:5または6匹)。P<0.05 vs. 溶媒 (Tukeyテスト)。
【図3】 ラットにおけるエタノール誘発胃粘膜傷害に対するPAR-1活性化ペプチドの静脈内投与の作用を示すグラフである。データは平均値±標準誤差を示す(例数;溶媒群:18匹、TFLLR-NH2投与群:13匹)。P<0.05 vs. 溶媒 (Student-tテスト)。
【図4】 カルバコール誘発胃酸分泌亢進に対するPAR-1活性化ペプチドの静脈内投与の作用を示すグラフである。データは平均値±標準誤差を示す(例数;溶媒群:7匹、TFLLR-NH2投与群:4-5匹)。P<0.05、・・P<0.01 vs. 溶媒 (Tukeyテスト)。
【図5】 ラットにおける胃粘膜血流に対するPAR-1活性化ペプチドの静脈内投与の作用を示すグラフである。データは平均値±標準誤差を示す(例数;溶媒群:9匹、TFLLR-NH2投与群:4-5匹)。P<0.05、・・P<0.05 vs. 溶媒 (Tukeyテスト)。

Claims (4)

  1. Thr-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号1)で示されるペプチドを含むことを特徴とする胃粘膜障害抑制用、胃酸分泌抑制用および/または胃粘膜血流増加用の組成物。
  2. 胃潰瘍、十二指腸潰瘍および炎よりなる群から選択される疾患の予防および/または治療用である請求項1記載の組成物。
  3. さらに、アマスタチンを配合する請求項1または2に記載の組成物。
  4. DDS製剤化されている請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
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