JP2005298280A - 炭化珪素焼結体および炭化珪素焼結体の製造方法 - Google Patents

炭化珪素焼結体および炭化珪素焼結体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
炭化珪素焼結体はヤング率をはじめとする機械特性の限界から、高剛性が要求される用途では使用することができなかった。
【解決手段】
炭化珪素の多結晶からなる炭化珪素焼結体であって、前記多結晶の粒界に炭化硼素結晶が析出していることを特徴とする炭化珪素焼結体を提供することにより、従来にない高いレベルの機械特性を発現させることが可能となった。好ましくは、前記炭化硼素結晶が、炭素含有化合物および硼素含有化合物より転換したものである
【選択図】なし

Description

本発明は、炭化珪素焼結体、及びその製造方法に係り、特にヤング率などの機械特性に優れた炭化珪素焼結体に関する発明である。
緻密な炭化珪素焼結体は、高強度・高ヤング率・高硬度・高耐磨耗性などの優れた機械特性を有するとともに、耐熱性・耐腐食性・低熱膨張性・高熱伝導性・高温機械特性なども優れており、エンジニアリングセラミックスの代表例のひとつとして各種機械部品などに応用されている。
この炭化珪素はまた難焼結材料の典型としても知られており、従来はホットプレスにより超高温・超高圧の雰囲気下で製造されていた。ホットプレスでは小型タイル状のものしか生産には適さないので、機械部品として広く用いることはできないため、常圧焼結の焼結助剤が広く研究された。その結果、炭化珪素はα型とβ型に大別できるが、まずβ型で炭素と硼素を焼結助剤として常圧焼結する手法が開発された(特許文献1参照)。β型炭化珪素は高純度の粉体が容易に製造できるという利点はあるものの製法が特殊で高価である。そこで汎用品のα型についても常圧焼結できる手法として、同じく炭素と硼素を焼結助剤として用いる手法が開発され、その際に炭素と硼素を含む焼結助剤として炭化硼素(BC)を用いる手法も開発された(特許文献2参照)。現在炭化硼素の常圧焼結はα型もβ型も、この炭素・硼素系の非酸化物系焼結助剤を用いるのが主流であり、実際に用いられる焼結助剤としては、炭化硼素と不足する炭素分を黒鉛や樹脂分から採取するというのが一般的である。この炭素・硼素系焼結助剤を用いた場合の焼結機構には様々な説があるが、一般的には炭素が炭化硼素粉末表面を被覆しているSiOを還元除去し、硼素は界面にあって粒界エネルギーを減少させることにより焼結の臨界条件が満たされるという固相焼結機構が有力とされている。
これに対して炭素・硼素に加えてアルミナを加えた焼結助剤系も提案されている(例えば特許文献3参照)。これはアルミナの存在により液相が形成される酸化物液相焼結である。固相焼結ではやはり真密度近くまで焼結度を上げることは難しいが、液相焼結ならば比較的焼結が容易なので、真密度近くまでの焼結が可能であるとされており、α型β型の炭化珪素を問わず適用されている。
その液相焼結で真密度近くまでの焼結度を達成させる手法としてさらに、炭素・硼素・アルミニウム系の非酸化物液相焼結も提案されている(例えば特許文献4、非特許文献1、非特許文献2参照)。この手法によると含アルミニウム系化合物としてAlやAlBを、含硼素化合物としてBCやAlB2が、含炭素化合物としてAlやBCや黒鉛や樹脂が焼結助剤として用いられている。これらの焼結助剤は熔けて液相を形成し、その液相からAlを析出させることにより1950℃以下の低温により緻密化が達成されている。
また炭化硼素などの含炭素非酸化物セラミックスの焼結助剤に炭素を用いる場合の手法として、焼成前にあらかじめセラミックス粉体の表面を樹脂などの含炭素有機物でプレコートしておくことにより、通常では緻密化しないセラミックスを常圧で焼結させる手法も開示されている。(例えば特許文献5、非特許文献3参照)。この手法は焼結助剤が炭素である場合の固相焼結法として有力であり、炭素分がセラミック結晶に吸収され、余剰の炭素分が黒鉛として残留するという焼結機構をとっている。
特許公報昭57−32035号(第2−6頁) 特許公報昭58−14390(第2−4頁) 特開平9−268062号広報(第2−4頁) 特開平11−292631号公報(第2−3頁) 特開2002−160975号公報(第2−8頁) H. Tanaka, Y. Zhou 著J.Mater.Res., 14, pp518-522, (1999) H. Tanaka 著 J.Ceram.Soc.Jap, 110, pp877-883 (2002) A. Matsumoto, A. Kawakami, T. Goto 著 Improved Ceramics through New Measurements, Processiong, and Standards Ceram. Trans. 133 pp223-227, (2002)
しかしながら従来の技術には次のような問題点があった。
炭化珪素は確かに機械特性が優れたセラミックであるが、炭化硼素を代表例とする硼化物セラミックスに比べるとその機械特性ははるかに劣っている。機械特性には、曲げ強度、引っ張り強度、圧縮強度、ヤング率、破壊靭性、ビッカース硬度等様々な評価項目があり、必ずしもひとつの評価項目が優れていれば他も優れているとはいえない。またほとんどの評価項目は焼結体中の微細欠陥を取り除けば飛躍的に向上するのが普通であり、これは生産技術の範疇であって素材の本質を正確に評価して比較することは難しい。しかしながらヤング率に関しては素材の微細欠陥にはそれほど影響されないため、素材の本質的な機械特性の評価パラメーターとして、各種素材を比較することができる。またセラミック機械部品は、金属に置き換わって用いられるべく普及が進んできたが、その際に通常重要視されるのは高ヤング率でたわまないことと、炭化珪素のように軽量であることである。その炭化珪素のヤング率は通常で400GPa程度、β相炭化珪素が大量に含まれることにより柱状に粒成長したものでも440GPa程度であり、これ以上の高ヤング率の要求には応えられていない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、ヤング率などの機械特性に優れた炭化珪素焼結体を、非加圧の焼結条件の下で提供することをその目的とする。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明として、炭化珪素の多結晶からなる炭化珪素焼結体であって、前記多結晶の粒界に炭化硼素結晶が析出していることを特徴とする炭化珪素焼結体を提供する。この炭化珪素多結晶体の結晶構成により優れた機械特性を発現させることが可能となる。
また請求項2記載の発明として、前記炭化硼素結晶が、炭素含有化合物および硼素含有化合物より転換したものであることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素焼結体を提供する。炭化硼素結晶が、焼結助剤である炭素含有化合物および硼素含有化合物よりより転換したものであることにより、炭化硼素結晶が均一に分散され、優れた機械特性を発現させることが可能となる。
また請求項3記載の発明として、前記炭化硼素結晶が0.1wt%以上、5wt%未満含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素焼結体を提供する。炭化硼素の結晶量がこの範囲にあるものは優れた機械特性を発現させるのに好適である。
また請求項4記載の発明として、前記炭化珪素焼結体がさらに黒鉛を含むことを特徴とする請求項1乃至3に記載の炭化珪素焼結体を提供する。全体の組成が下記するような効果を狙うため炭素分を多く含む場合には炭素分の一部が黒鉛として結晶化する。
また請求項5記載の発明として、前記黒鉛の一部または全部が炭素含有化合物より転換したものであることを特徴とする請求項4に記載の炭化珪素焼結体を提供する。炭素含有化合物は成形工程においては成形助剤として機能し、焼結工程においては焼結助剤として機能するものを用いる場合があり、その機能を充分に発現させるために炭素含有化合物を多量に加え、その結果全体の組成が炭素分を多く含む場合には炭素分の一部が黒鉛として結晶化する。
また請求項6記載の発明として、前記黒鉛が0.1wt%以上、3wt%未満含有されていることを特徴とする請求項4または5に記載の炭化珪素焼結体を提供する。炭素含有化合物の機能を充分に発現させるために、全体の組成が炭素分を多く含むようになった場合には、炭素分がこの程度の量、黒鉛として結晶化する。
また請求項7記載の発明として、炭化珪素粉末と炭素含有化合物と硼素含有化合物を混合し、該混合物を成形し、該成形物を非酸化性雰囲気下で非加圧焼結することを特徴とする炭化硼素が析出した炭化珪素焼結体の製造方法を提供する。この製造方法により、優れた機械特性を有する炭化珪素焼結体の製造が可能となる。
また請求項8記載の発明として、前記炭化珪素焼結体がさらに黒鉛を含むことを特徴とする請求項7に記載の炭化珪素焼結体の製造方法を提供する。炭素含有化合物の機能を充分発現させるために、全体の組成が炭素分を多く含むようになった場合には、炭素分の一部が黒鉛として結晶化する。
また請求項9記載の発明として、前記混合物がさらにアルミニウム含有化合物を含むことを特徴とする請求項7または8に記載の炭化珪素焼結体の製造方法を提供する。混合物がさらにアルミニウム化合物を含むことにより均質かつ低温での液相焼結が可能となる。
また請求項10記載の発明として、前記炭素含有化合物の一部または全部が高分子有機物であることを特徴とする請求項7乃至9に記載の炭化珪素焼結体の製造方法を提供する。高分子有機物は成形工程では成形体に可塑性を付与することにより成形性を向上させ、また焼結時にはその炭素分が焼結助剤として機能する。
また請求項11記載の発明として、前記高分子有機物を前記炭化珪素粉体の表面にコーティングする工程を含む請求項10に記載の炭化珪素焼結体の製造方法を提供する。その高分子有機物を成形体中に均一に分散させまた、成形体の可塑性を最大限に発現させるためには成形工程の前に、炭化珪素粉体表面に該高分子有機物をコーティングしておくと効果的である。
本発明によれば、ヤング率をはじめとする機械特性に優れた炭化珪素焼結体を非加圧の焼結条件で製造することができ、機械部品等として優れた特性を発揮させることができる。
まず以下に本発明における炭化珪素焼結体の構成要素について説明する。本発明における炭化珪素焼結体は炭化珪素多結晶であり、その粒界に炭化硼素結晶が析出したものである。なおここでいうところの析出とは、溶融状態や非晶質の状態などの炭素と硼素を含む物質より、炭化硼素結晶が生成することを意味している。
本発明における炭化珪素多結晶の結晶系には特に制限はなく、α型(2H,4H,6H,15Rなど)β型(3C)のいずれでもかまわない。同様に原料として用いられる炭化珪素の結晶系もα型、β型のいずれでも良い。ただし特に高純度のものが求められるときなどにβ型の原料粉体を用いる場合を除いては、通常はコストや焼結のしやすさの点からα型の原料炭化珪素粉体を用いる。α型の炭化珪素粉末は例えばアチソン法で製造したものでは通常6Hに少し4Hと15Rが混入したものである。これらの結晶系の構成は焼結中に変化しなくともよく、また6H型のものの一部が4Hに転移するように変化しても良い。
本発明における炭化硼素結晶とは通常BCと表記されるが炭素と硼素の比はこれだけに限るものではない。炭化硼素結晶とは三方晶系の正20面体の構造をとるものであり、対角線上に3個炭素が並んだ場合B12(すなわちBC)の結晶組成となる。しかしながら真中の炭素が硼素に置換されてB13の組成となったり、また逆に硼素が炭素に置換される場合もあるため、炭素と硼素の比が広い範囲で固溶体が存在する。本発明における炭化硼素の結晶には特にその比の制限はなく、上記三方晶系の結晶として回折X線分析により検出することができる。
本発明において炭化硼素結晶が析出する母体となる炭素および硼素を含む物質とは炭化珪素を液相焼結させる場合に、液相を構成する成分であることが好ましい。その液相を生成させるための焼結助剤として好ましいものは炭素含有化合物と硼素含有化合物である。
炭素含有化合物として好ましいものは高分子有機物、黒鉛、アモルファスカーボンである。その中でも特に高分子有機物は後述するように成形助剤としての作用も呈するため、炭素含有化合物としては高分子有機物を単独でまたは黒鉛やアモルファスカーボンと併用して用いることが好ましい。
硼素含有化合物として好ましいものは、AlB、BC、B、Bなどであり、成形を水系の湿式成形で行う場合には耐水性の観点からAlBとBCが好ましい。なお、カーボン分を高分子有機物からなるべく多量に採りたい場合にはカーボン分を含まないほうが好ましいため、AlBが最も好ましいことになる。
これらの焼結助剤は焼結時に液相を形成し、その液相は炭化珪素の粒界にあって炭化珪素の焼結を促進するとともに、炭化硼素の結晶が析出して多結晶炭化珪素焼結体の粒界に存在するようになる。その炭化硼素の存在により、炭化珪素の機械特性が向上するものと推定できる。機械特性には、曲げ強度、圧縮強度、ヤング率、破壊靭性、ビッカース硬度等様々な評価項目があるが、そのほとんどの項目は焼結体中の微細欠陥を取り除けば飛躍的に向上するのが普通であり、これは生産技術の範疇であって素材の本質を正確に反映したものとはいえない。しかしながらヤング率に関しては素材の微細欠陥にはそれほど影響されないため、素材の本質的な機械特性を表すパラメーターとして有効であり、以下にヤング率に関して本発明に係る炭化珪素焼結体の物性を論じる。
炭化珪素のヤング率は通常で400GPa程度であり、β相炭化珪素が大量に含まれることにより柱状に粒成長したものでもチャンピオンデータで440GPa程度がその限界である。これに対して炭化硼素のヤング率は常圧焼結体で400−420GPa程度と炭化珪素とほぼ等しい値である。複数の材料からなるコンポジットのヤング率は、ある条件の下ならそれぞれの素材の持つヤング率の体積加成性が成立するといわれているが、本研究のように炭化硼素の析出により500GPa程度までに飛躍的にヤング率が向上した現象は説明できない。したがって、本研究に係る炭化珪素焼結体がヤング率が向上した原因としては、粒界に存在する炭化硼素結晶が、炭化珪素の粒界の変形を防止する効果を奏したものだと推定できる。
なおヤング率以外のパラメーターとして本研究では曲げ強度を測定しており、この値も520MPa程度と通常のSiC焼結体の400MPa程度のものに比べるとはるかに高い値を示している。ただし前述のように曲げ強度は焼結体中の微細欠陥の影響を強く受けるため、例えば成形工程での欠陥を既知の方法にて取り除くことにより、この値はさらに飛躍的に延びることが推測できるため、あえて従来技術との比較は議論しない。
なお、焼結助剤が主成分として熔融した液相から炭化硼素が析出するのであるから、焼結助剤量を増やすなり液相量を増やすなりして析出する炭化硼素量を増やせば機械特性は向上しそうであるが、そうはならない。すなわち液相は第一義的には炭化硼素の焼結現象を助けるための成分であって、液相が多すぎると炭化珪素の焼結は妨げられるからである。そういう意味において実験結果では、炭化珪素がある程度以上焼き締まっておりまた炭化硼素がXRD(回折X線分析)で検出できるほど析出しておれば、炭化硼素の量とヤング率の間にはそれほど相関はなさそうである。炭化珪素を例えば相対密度で97%以上に焼き締めるためには炭化硼素の析出量は5wt%未満に制限される。またXRDでの炭化硼素の検出限界は通常で0.5wt%以上、特別に感度が優れたもので0.1wt%以上でありこの検出限界以上であれば炭化硼素の析出による機械特性の向上の効果が期待できる。
なお本発明における炭化珪素焼結体はさらに黒鉛を含んでいる場合もある。これは主として液相の成分となる含炭素化合物が黒鉛結晶に転換したものである。なお原料としての含炭素化合物に黒鉛そのものを用いる場合もあるが、この場合も黒鉛が液相に溶解した後に黒鉛として再結晶したものであると推定できる。この黒鉛は液相があまりにもカーボンリッチであると析出するようになるが3wt%以上析出するほど液相がカーボンリッチであっては炭化珪素の焼結助剤としての作用が充分に発揮できない。またXRDでの黒鉛の検出限界も上記炭化硼素の場合と同様に、通常で0.5wt%以上、特別に感度が優れたもので0.1wt%以上であると推定でき、この検出限界以上であれば含炭素化合物の添加による成形性状の向上が期待できる。
なお本発明における液相を構成する成分としてさらにアルミニウム含有化合物を添加する事もできる。このアルミニウム含有化合物は液相の生成を容易にしてなるべく低い温度で炭化珪素の焼結を可能にする作用を奏する。好ましいアルミニウム含有化合物にはAlB,Al,Al,Al、Al等をあげることができるが、液相の生成の容易さや水系の成形方法を用いる場合の耐水性などを考慮すると、最も使用しやすいのはAlBである。このALBは先ほどあげた好ましい硼素含有化合物でもあり、したがってAlBは硼素含有化合物として析出するBCの主要構成分となると共に、アルミニウム含有化合物として液相焼結を促進する働きももつ。なお、アルミニウム含有化合物を原料として添加した場合のアルミニウム分は、本研究で実験した範囲においては結晶の構成成分として検出されなかった。したがって該アルミニウム分は炭化珪素粒界に微量に存在すると思われるガラス相に内に含まれているか、あるいは炭化珪素結晶内に固溶しているか、あるいは焼成中に蒸散しているかのいずれかだと思われる。
本発明における炭化珪素焼結体は、炭化珪素粉末と焼結助剤である炭素含有化合物と硼素含有化合物を混合し、該混合物を成形し、該成形物を非酸化性雰囲気下で非加圧焼結することによって製造することができる。原料である炭化珪素粉末の粒径は焼結性に関しては細かいほうがいいが、あまりにも細かすぎるものは成形が難しかったりコストが高くなったりするため、好ましくは平均粒径で0.1μm−1.5μm、さらに好ましくは0.3−1μmのものを用いる。
成形方法には特に制限はなく、乾式プレス成形、湿式プレス成形、CIP成形、鋳込成形、押し出し成形、シート成形、射出成形等を適宜選択することができる。鋳込成形などの湿式成形を行う場合の溶媒としては、水系及び有機溶媒系のどちらも適用可能であるが、可塑性や成形工程の簡便さ・安全性を考慮すれば水系のほうがより取り扱い易いといえる。
このような湿式成形を行う場合には時に、焼結助剤として用いる炭素含有化合物には高分子有機物を用いることにより該高分子有機物に成形体に可塑性を付与することにより成形助剤としての効果も奏せしめる事が可能である。この高分子有機物は成形助剤および焼結助剤としての作用を示すものであるが、その作用を十分に発揮させるためには、成形工程または焼結工程において均一に粉体周辺に存在することが好ましい。そのための好ましい手段としては、使用する溶媒に実質的に溶解しない高分子有機物をあらかじめコーティングした粉体を用いて成形する方法をあげることができる。例えば溶媒として水を用いて鋳込成形を行う場合においては、まず有機溶媒に溶解するが水には実質的に溶解しない高分子有機物を有機溶媒中に溶解させ、該溶液と炭化珪素粉体を混合した後に該混合物から有機溶剤を蒸発などの手段により実質的に取り除いた、高分子有機物がコーティングされた炭化珪素粉体を製造する。次に高分子有機物がコーティングされた炭化珪素粉体と水を混合してスラリーを製造し、そのスラリーを用いて鋳込成形を行う。有機溶媒を用いて鋳込成形を行う場合においては全く逆に水溶性であるが該有機溶媒には実質的に溶解しない高分子有機物を用いて、セラミックス粉体表面をあらかじめコーティングしておけばよい。その他にもスプレードライ法や、高分子有機物の直接吹き付けや練り混ぜなどの方法により、粉体表面に高分子有機物をコーティングする事が可能である。例えば高分子有機物としてフェノール樹脂を用いる場合においては、フェノール樹脂には油溶性のものが多いノボラック型と水溶性のものが多いレゾルシン型があり、溶媒として水を用いて鋳込成形を行う場合は油溶性のノボラック型を用い、溶媒として有機溶媒を用いて鋳込成形を行う場合は水溶性のレゾルシン型を用いると好適である。
本発明で用いられる高分子有機物としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、弗素樹脂、ポリプロピレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、スチロール樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂などをあげることができる。
この高分子有機物は非酸化性雰囲気での焼結によりカーボン分以外はほぼすべて分解・蒸散し、カーボン分も一部が蒸散して残炭分が溶解して他成分と共に液相を形成して焼結助剤として機能する。この様にプレコーティングされた高分子有機物を成分とする液相は焼結助剤としての効果が高く、また炭化硼素を均一に析出させて機械特性を向上させるのに優れた効果を奏する。
本発明における混合物には、以上述べた成分以外にその成形方法に応じてさらに解膠剤、分散剤、消泡剤、可塑剤、離型剤、バインダー、増粘剤などを添加することもできる。
成形体は乾燥後に非酸化性雰囲気下で非加圧焼結される。焼結温度は1850℃−2100℃程度であり、焼結助剤の組成・量、成形体のサイズにより焼結に必要な最低限の温度・時間のヒートカーブを選択する。焼成雰囲気は非酸化性雰囲気が必要であるが、その中でも最も好ましいのはアルゴン雰囲気である。焼成圧力に関しては、本焼結助剤系では加圧の必要はなく常圧で焼結可能である。ただし炭化珪素には表面にSiOが存在するためこれを焼結助剤中のカーボン分と反応させて除くために、1500℃程度までは真空雰囲気で温度を上げていき、この温度を越えた後にアルゴンを導入することが好ましい。
表1の実施例No1−7の各サンプルを以下の手順にて作成した。炭化珪素粉体(アチソン法にて製造、α型、平均粒径0.7μm、純度98.5% 屋久島電工株式会社製)100重量部と、ノボラック型フェノール樹脂(比重1.18、昭和高分子株式会社製)を表1の樹脂コート量(重量部)に記載した重量部と、アセトン200重量部を混合・攪拌した混合物よりアセトンを蒸散させてフェノール樹脂をコーティングした炭化珪素粉体を作成した。それぞれの樹脂コーティング炭化珪素粉体を炭化珪素に換算して100重量部と、AlB(スタルクビテック株式会社製)を表1のAlB添加量(重量部)に記載した重量部と、黒鉛粉末を表1の黒鉛添加量(重量部)に記載した重量部と、水60重量部と、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩(花王株式会社製)1重量部混合して鋳込成形用のスラリーを作成した。
該スラリーを脱泡した後に、80mmφの石膏型に注型し、8mmの厚みまで着肉させて排泥鋳込成形を行った。該成形体を脱型し、脱型直後の成形体の可塑性を触感で評価した結果を表1の成形体可塑性にしめす。ここに記載された○は、炭化珪素のような非可塑性セラミックを通常のバインダー添加により鋳込み成形した場合に比べ優れた可塑性を示したことを意味している。なお優れた可塑性とは具体的には成形体を引き伸ばしたり丸めたりしてもクラックが発生しないレベルである。また◎はそれよりさらに優れた可塑性を示したことを意味しており、具体的には成形体をなでながら曲げてもクラックが発生しないレベルである。
脱型した成形体は乾燥させた後に下記のヒートカーブにて焼成した。室温−1500℃ 5時間 真空、1500℃―表1最高温度(℃)に記載した温度 200℃/時間 アルゴン雰囲気、該最高温度にて1時間ソーキング、該最高温度−1500℃ 200℃/時間 アルゴン雰囲気、1500℃−室温 5時間 アルゴン雰囲気。
得られた焼結体の相対密度をアルキメデス法にて測定し表1の相対密度(%)として表記した。なお、焼結体の真密度は、SiCの密度を3.15、BCの真密度を2.52として、焼結体にはSiCとBCのみが含まれているものとして、BCの含有量は後述するBCの析出量であるとして計算した。また焼結体の曲げ強度をJIS−R−1601に従い測定し、その結果を表1の曲げ強度(MPa)として表記した。また焼結体のヤング率をJIS−R−1602に従い測定し、表1のヤング率(GPa)として表記した。
また得られた焼結体を以下の条件にて回折X線分析を行った。装置:MXP−18(スペクトリス社製)、管電圧・管電流:40kV・200mA、走査角度:10〜80°、ステップ角度:0.02deg、走査速度:1.0deg/min、発散スリット:1.0deg、散乱スリット:1.0deg、受光スリット:0.8mm。その結果得られたピークは、実施例1,2,3,7においてはSiC、BC(B12)、B13、および黒鉛の微量ピーク、実施例4,5,6においてはSiCおよびBCであった。また焼結体をエッチングした後にSEM観察、およびEPMAにて部分的な組成を分析したところ、SiCの結晶粒界にBCが析出していることが確認できた。
これらの結果から焼結体の組成を下記の仮定の下に推定し、BCの焼結体全体の中に占める重量を表1のBC析出量(wt%)として表記し、また前述の相対密度の計算を行った。その仮定は、黒鉛量は僅かであるため無視し、BCの量はAlBの硼素分がすべてカーボン分と結合してBCになったものとした。なお本研究において用いたフェノール樹脂は別途樹脂単独で焼成して残炭率を推定したところ約40wt%であるため、上記仮定は現実的であると推定される。本実施例では出発原料からBCの量を計算したが、XRDの炭化珪素、炭化硼素それぞれのピーク面積を測定し、定量分析を行うこともできる。また、XRDでは誤差が出やすい低濃度のときは、SEM像よりBC結晶を同定し、その体積分率から比重換算によりBCの含有量を求めることもできる。
Figure 2005298280
本発明の炭化珪素焼結体は炭化硼素結晶が粒界に析出していることにより、ヤング率をはじめとする機械特性が従来の炭化珪素焼結体に比較して格段に優れている。したがって各種の機械部品として、特に高ヤング率の部材を採用することによりパターン形成の微細化が達成できるような半導体・液晶製造装置用部材などの機械部材として応用できる。またこのような部材は大型・複雑形状のものが多いためその成形が難しいが、本発明のように原料炭化珪素粉表面に樹脂をプレコーティングすることにより成形体に可塑性が発現するため、成形が容易となる。

Claims (11)

  1. 炭化珪素の多結晶からなる炭化珪素焼結体であって、前記焼結体を構成する結晶の粒界に炭化硼素結晶が析出していることを特徴とする炭化珪素焼結体。
  2. 前記炭化硼素結晶が、炭素含有化合物および硼素含有化合物より転換したものであることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素焼結体。
  3. 前記炭化硼素結晶が前記炭化珪素焼結体に対して0.1wt%以上、5wt%未満含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素焼結体。
  4. 前記炭化珪素焼結体がさらに黒鉛を含むことを特徴とする請求項1乃至3に記載の炭化珪素焼結体。
  5. 前記黒鉛の一部または全部が炭素含有化合物より転換したものであることを特徴とする請求項4に記載の炭化珪素焼結体。
  6. 前記黒鉛が前記炭化珪素焼結体に対して0.1wt%以上、3wt%未満含有されていることを特徴とする請求項4または5に記載の炭化珪素焼結体。
  7. 炭化珪素粉末と炭素含有化合物と硼素含有化合物を混合する工程と、
    該混合物を成形する工程と、
    該成形物を非酸化性雰囲気下で非加圧焼結する工程と、
    を備えたことを特徴とする粒界に炭化硼素が析出した炭化珪素焼結体の製造方法。
  8. 前記炭化珪素焼結体がさらに黒鉛を含むことを特徴とする請求項7に記載の炭化珪素焼結体の製造方法。
  9. 前記混合物がさらにアルミニウム含有化合物を含むことを特徴とする請求項7または8に記載の炭化珪素焼結体の製造方法。
  10. 前記炭素含有化合物の一部または全部が高分子有機物であることを特徴とする請求項7乃至9に記載の炭化珪素焼結体の製造方法。
  11. 前記高分子有機物を前記炭化珪素粉体の表面にコーティングする工程を含む請求項10に記載の炭化珪素焼結体の製造方法。

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