JP2005297610A - 車体フロアの補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】重量増加を招くことなく、側面衝突時の衝突荷重に十分耐え得る車体フロアの補強構造を得る。
【解決手段】トンネル部14の裏面側には、リインフォース上部32及びリインフォース下部34から成るトンネル下リインフォース30が配設されている。リインフォース上部32は側面衝突時の入力荷重が大きい部分に位置されており、高強度の材料によって構成されている。また、リインフォース下部34は側面衝突時の入力荷重が比較的小さい部分に配置されており、低強度の材料によって構成されていると共に板厚も薄く設定されている。従って、側面衝突荷重に対する耐力はリインフォース上部32で確保され、重量軽減機能はリインフォース下部34で確保される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車体フロアの中央部に設けられたトンネル部と左右一対のロッカとの間に一対のクロスメンバが掛け渡されると共に、トンネル部の裏面側にトンネル下リインフォースが設けられた車体フロアの補強構造に関する。
従来から、側面衝突対策として車体フロアを補強することが行われていた。
例えば、図5に示される例では、フロントフロア100は、平板状に構成された左右一対のフロントフロア本体部102と、これらのフロントフロア本体部102間に車両前後方向を長手方向として配置された略鞍型形状のトンネル部104と、を含んで構成されている。トンネル部104の両側部104Aと左右の図示しないロッカとの間には、車両幅方向を長手方向とする左右一対の第1クロスメンバ106が配設されている。さらに、トンネル部104の裏面側には、深絞り成形によって一体形成された略鞍型形状のトンネル下リインフォース108が配設されている。なお、同種構造が下記特許文献1に開示されている。
上記構成によれば、側面衝突時、その際の衝突荷重は一方のロッカから一方の第1クロスメンバ106に入力される。その後、トンネル部104及びトンネル下リインフォース108を介して他方の第1クロスメンバ106に伝達された後、他方のロッカへと流される。
実開昭59−133373号公報
しかしながら、上記従来の車体フロアの補強構造による場合、トンネル部104を補強するトンネル下リインフォース108が深絞り成形による一体成形品として構成されていたため、使用できる材料(材質)が特定の材料(材質)に限定されてしまい、十分な補強効果が得られないという問題があった。このため、かかる問題点を解消するべく、従来では、トンネル下リインフォース108の板厚を増加させることで対応していたが、その場合、車体重量が増加するという別の問題が生じる。
本発明は上記事実を考慮し、重量増加を招くことなく、側面衝突時の衝突荷重に十分耐え得る車体フロアの補強構造を得ることが目的である。
請求項1記載の本発明に係る車体フロアの補強構造は、車体フロアの中央部に車両前後方向を長手方向として設けられたトンネル部の両側部と車両前後方向を長手方向として配置された左右一対のロッカとの間に車両幅方向を長手方向として掛け渡された左右一対のクロスメンバと、トンネル部の裏面側で左右一対のクロスメンバを結ぶ線上に配置されたトンネル下リインフォースと、を含んで構成された車体フロアの補強構造であって、前記トンネル下リインフォースを上下に複数個に分割した、ことを特徴としている。
請求項2記載の本発明に係る車体フロアの補強構造は、請求項1記載の発明において、前記トンネル下リインフォースは上部と下部とに分割されており、上部の車両幅方向に対する強度を下部の車両幅方向に対する強度よりも高く設定した、ことを特徴としている。
請求項1記載の本発明によれば、側面衝突時、その際の衝突荷重は一方のロッカから一方のクロスメンバに入力された後、トンネル部へ伝達される。トンネル部の裏面側には左右一対のクロスメンバを結ぶ線上にトンネル下リインフォースが配置されているため、トンネル部に入力された荷重は、トンネル下リインフォースを介して他方のクロスメンバへ伝達された後、他方のロッカへと流される。
ここで、本発明では、トンネル部の裏面側に配置されるトンネル下リインフォースを上下に複数個に分割したので、強度のチューニングをすることができる。つまり、一方のクロスメンバから入力される側面衝突荷重の内、トンネル部に最も大きな荷重が入力される部位に位置するトンネル下リインフォースの分割要素については高強度にして荷重伝達機能を担わせ、他のトンネル下リインフォースの分割要素については板厚を薄くする等の手段によって強度を落としてその分重量軽減機能を担わせるといったチューニングが可能となる。
請求項2記載の本発明によれば、トンネル下リインフォースは上部と下部とに分割されており、上部の車両幅方向に対する強度を下部の車両幅方向に対する強度よりも高く設定したので、一般的な側面衝突時の入力荷重の分布に呼応した強度のチューニングとなる。つまり、一般的には、側面衝突時の入力荷重は、トンネル部の上部側の方が下部側よりも大きくなる。従って、入力荷重が大きい方に位置するトンネル下リインフォースの上部の車両幅方向に対する強度を高くして荷重伝達機能を発揮させ、入力荷重が小さい方に位置するトンネル下リインフォースの下部の車両幅方向に対する強度を低くして重量軽減機能を発揮させることにより、トンネル下リインフォースを上下に分割した意義を最大限に引き出すことができる。
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る車体フロアの補強構造は、トンネル部の裏面側で左右一対のクロスメンバを結ぶ線上に配置されたトンネル下リインフォースを上下に複数個に分割したので、強度のチューニングをすることができ、その結果、重量増加を招くことなく、側面衝突時の衝突荷重に十分耐え得るという優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明に係る車体フロアの補強構造は、請求項1記載の発明において、トンネル下リインフォースは上部と下部とに分割されており、上部の車両幅方向に対する強度を下部の車両幅方向に対する強度よりも高く設定したので、一般的な側面衝突時の入力荷重の分布に呼応した強度のチューニングとなり、その結果、極めて合理的なトンネル部の補強体を構成することができるという優れた効果を有する。
以下、図1〜図4を用いて、本発明に係る車体フロアの補強構造の一実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
図1には、本発明に係る車体フロアの補強構造が適用されたフロントフロア10の平面図が示されている。また、図2及び図3には、図1に示されたフロントフロア10の要部の縦断面構造がそれぞれ示されている。
これらの図に示されるように、車体フロアとしてのフロントフロア10は、平板状に構成された左右一対のフロントフロア本体部12と、これらのフロントフロア本体部12間(即ち、フロア中央部)に車両前後方向を長手方向として配置されたトンネル部14と、を含んで構成されている。さらに、トンネル部14は、縦断面形状が鞍型形状とされた中央部16と、この中央部16の両下端部から各々車両幅方向外側(互いに離反する方向)へ張り出された一対の張り出し部18と、によって構成されている。各張り出し部18の縦断面形状は略ハット形状とされており、フロントフロア本体部12の裏面にスポット溶接によって結合されている。
また、フロントフロア10の車両幅方向の両端部には、左右一対のロッカ20が配設されている。ロッカ20は、車室内側に配置されるロッカインナパネル22と車室外側に配置されるロッカアウタパネル24とによって閉断面構造に構成されている。
さらに、フロントフロア本体部12の上面には、車両幅方向を長手方向とする左右一対の第1クロスメンバ(クロスメンバNo.1)26及び第2クロスメンバ28(クロスメンバNo.2)が前後に平行に配設されている。第1クロスメンバ26及び第2クロスメンバ28は断面略ハット形状に形成されており、その各々の内端部はトンネル部14の中央部16の側部にスポット溶接により結合されている。また、第1クロスメンバ26及び第2クロスメンバ28の各外端部は、ロッカインナパネル22にスポット溶接により結合されている。さらに、第1クロスメンバ26及び第2クロスメンバ28の長手方向の中間部は、フロントフロア本体部12の上面にスポット溶接により結合されている。
上述したトンネル部14の裏面側でかつ左右一対の第1クロスメンバ26を結ぶ線上には、トンネル部14を補強するためのトンネル下リインフォース30が配設されており、以下に詳細に説明する。
図4には、本実施形態に係るトンネル下リインフォース30の分解斜視図が示されている。この図に示されるように、トンネル下リインフォース30は、上下に二分割されている。リインフォース上部32は全体としては略ブリッジ形状を成しており、断面形状が逆L字状とされた前後一対の取付フランジ部32Aと、緩やかな凸湾曲面状に形成された所定幅の底部32Bと、によって構成されている。
一方、リインフォース下部34は全体として略山形形状を成しており、リインフォース上部32が載置されて結合される上端支持部36と、この上端支持部36の両端部から滑り台状に屈曲垂下された左右一対の傾斜部38と、各傾斜部38の下端部から一体に延出されたフランジ状の下端取付部40と、によって構成されている。
上端支持部36の前後縁には車両上方側へ立ち上がる前後一対の上端フランジ部36Aが一体に形成されており、図3に示されるように、上端支持部36の底部36Bにリインフォース上部32の底部32Bが載置された状態で、上端フランジ部36Aがリインフォース上部32の取付フランジ部32Aの外側側面32A1にスポット溶接されている。さらに、上端支持部36の底部36Bはリインフォース上部32の底部32Bともスポット溶接されている。これにより、リインフォース上部32が、リインフォース下部34に結合されている。
また、リインフォース上部32の取付フランジ部32Aの上面32A2は、トンネル部14の中央部16の上端部分16Aの裏面にスポット溶接により結合されている(図2及び図3参照)。これにより、リインフォース上部32は、トンネル部14とも結合されている。
また、リインフォース下部34の一対の傾斜部38の前後縁には、断面L字状の側部フランジ部38Aが一体に形成されている。図2に示されるように、これらの側部フランジ部38Aの上面38A1は、トンネル部14の中央部16の下部16B並びに一対の張り出し部18の内側側面18Aにスポット溶接により結合されている。さらに、リインフォース下部34の一対の下端取付部40は、左右一対の張り出し部18の下端面18Aにスポット溶接により結合されている。
上述したリインフォース上部32はリインフォース下部34よりも降伏応力の高い材料によって構成されている。従って、リインフォース上部32の車両幅方向に対する強度は、リインフォース下部34の車両幅方向に対する強度よりも高く設定されている。また、リインフォース下部34の板厚は、リインフォース上部32の板厚よりも薄く設定されている。
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
本実施形態では、第1クロスメンバ26及び第2クロスメンバ28が前後に平行に配置されているが、以下の説明においては、第1クロスメンバ26側に主たる側面衝突荷重が入力されたものとして説明する。
上記側面衝突時の衝突荷重は一方のロッカ20から一方の第1クロスメンバ26に入力された後、トンネル部14へ伝達される。トンネル部14の裏面側には一対の第1クロスメンバ26を結ぶ線上にトンネル下リインフォース30が配置されているため、トンネル部14に入力された荷重F(図2参照)は、トンネル下リインフォース30を介して他方の第1クロスメンバ26へ伝達された後、他方のロッカ20へと流される。
ここで、本実施形態では、トンネル部14の裏面側に配置されるトンネル下リインフォース30をリインフォース上部32とリインフォース下部34とに分割し、リインフォース上部32の車両幅方向に対する強度をリインフォース下部34の車両幅方向に対する強度よりも高く設定した(即ち、リインフォース上部32を降伏応力の高い材料で製作し、リインフォース下部34を降伏応力が相対的に低い材料で製作した)ので、重量増加を招くことなく、側面衝突時の衝突荷重に十分耐えることができる。
つまり、一般的には、側面衝突時の入力荷重は、トンネル部14の上部側の方が下部側よりも大きくなる。従って、入力荷重が大きい方に位置するリインフォース上部32を車両幅方向に対する降伏応力の高い材質で製作することで、側面衝突時の荷重伝達機能が担保される。一方、側面衝突時の入力荷重が小さい方に位置するリインフォース下部34をリインフォース上部32よりも車両幅方向に対する降伏応力の低い材質で製作してその分板厚を薄くすることで、重量軽減機能が発揮される。このように機能を分担することにより、トンネル下リインフォース30を上下に分割した意義を最大限に引き出すことができる。換言すれば、本実施形態によれば、一般的な側面衝突時の入力荷重の分布に呼応した強度のチューニングとなり、その結果、極めて合理的なトンネル部14の補強体を構成することができる。
なお、上述した本実施形態に係る車体フロアの補強構造では、左右一対の第1クロスメンバ26を結ぶ線上にトンネル下リインフォース30を設定したが、これに限らず、左右一対の第2クロスメンバ28を結ぶ線上にもトンネル下リインフォース30’(図1参照)を設定してもよい。また、クロスメンバが車両前後方向に所定の間隔で3箇所以上設定される車種にあっては、任意の一又は二以上の左右一対のクロスメンバを結ぶ線上にトンネル下リインフォースを設定するようにしてもよい。
また、上述した本実施形態に係る車体フロアの補強構造では、トンネル下リインフォース30が上下二分割された構造を採用したが、これに限らず、上下(トンネル部14の高さ方向)に複数個に分割されていればよく上下三段以上に分割されていてもよい。
さらに、上述した本実施形態に係る車体フロアの補強構造では、車両幅方向に対する強度の差を出すためにリインフォース上部32とリインフォース下部34とで材質を変更する構成を採ったが、これに限らず、他の方法を採ってもよい。例えば、リインフォース上部を筒型形状やハニカム形状にする等して、構造的に見てリインフォース上部の方がリインフォース下部よりも剛性が高くなるようにしてもよい。
本発明に係る車体フロアの補強構造が適用されたフロントフロアの概略平面図である。 本実施形態の要部に係るトンネル部の縦断面図(図1の2‐2線断面図)である。 本実施形態の要部に係るトンネル部の縦断面図(図1の3‐3線断面図)である。 本実施形態の要部に係るトンネル下リインフォースの分解斜視図である。 従来の車体フロアの補強構造を示す図2に対応するトンネル部の縦断面図である。
符号の説明
10 フロントフロア(車体フロア)
14 トンネル部
20 ロッカ
26 第1クロスメンバ
30 トンネル下リインフォース
32 リインフォース上部
34 リインフォース下部

Claims (2)

  1. 車体フロアの中央部に車両前後方向を長手方向として設けられたトンネル部の両側部と車両前後方向を長手方向として配置された左右一対のロッカとの間に車両幅方向を長手方向として掛け渡された左右一対のクロスメンバと、トンネル部の裏面側で左右一対のクロスメンバを結ぶ線上に配置されたトンネル下リインフォースと、を含んで構成された車体フロアの補強構造であって、
    前記トンネル下リインフォースを上下に複数個に分割した、
    ことを特徴とする車体フロアの補強構造。
  2. 前記トンネル下リインフォースは上部と下部とに分割されており、上部の車両幅方向に対する強度を下部の車両幅方向に対する強度よりも高く設定した、
    ことを特徴とする請求項1記載の車体フロアの補強構造。
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