JP2005297576A - 2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムが有する優れた強靱性や耐ピンホール性等を損なうことなく、沸水処理によるカール現象を可及的に軽減することのできる技術を確立しようとするものである。
【解決手段】 2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを製造するに当たり、実質的に未配向のポリアミド系樹脂フィルムまたはシートを縦方向で2.6倍以上延伸した後、横方向で3倍以上延伸することとし、縦延伸工程では、前記ポリアミド系樹脂のガラス転移温度+20℃よりも高温で且つ冷結晶化温度+20℃を超えない温度で延伸を行い、下記式の関係を同時に満足する2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得る(但し、加熱した物体の表面に密着固定させた状態で熱固定することを除く)。
3%≦BSx≦6%(BSxは、全方向の沸水収縮率のうち最大値)
BSa≦1.5%(BSaは、縦方向に対し+45°方向の沸水収縮率と−45°方向の沸水収縮率の差の絶対値)

Description

本発明は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートしてレトルト食品等の包装に使用される、強靱で耐ピンホール性に優れ且つ沸水処理時の耐カール性に優れた2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの製法に関するものである。
ナイロンを主成分とする2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムは、強靱で且つガスバリヤー性、耐ピンホール性、透明性、印刷性などに優れた性能を有しているところから、例えば各種液状食品、含水食品、冷凍食品、レトルト食品、ペースト状食品、畜肉・水産食品等を始めとする様々の食品の包装材料として広く実用化されており、殊に近年では、レトルト食品の包装に広汎に利用されている。
こうした包装用途に用いられるポリアミド系樹脂フィルムは、通常印刷処理を施して、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルム等と、ポリアミド系樹脂フィルムを外層側としてラミネートし、流れ方向に平行に2つに折り畳んでから3辺を熱融着して切り出し、1辺が開放された3方シール袋とされる。そして、この袋に上記の様な食品等を充填し、密閉した後沸騰水中で加熱殺菌して市場に供される。
ところで、従来の2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを用いた沸騰水処理用途に供される袋では、加熱殺菌処理後に包装袋の隅部で反りが生じて4辺がS字状にカールする現象が生じ、包装商品としての見栄えを著しく悪化させるという問題が指摘されていた。
そこで、こうしたカールの問題を解消するための手段として、例えば特許文献1,2などに開示されている様に、ポリアミド系樹脂フィルムの物性を特定することによってカール現象を低減する方法が提案されている。しかし、これらの方法には夫々以下に示す様な難点があり、需要者の要求を満足し得るものとは言い難い。即ち上記特許文献1に開示された方法は、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムにおける沸水収縮歪み率とマイクロ波によって測定される分子配向角のフィルム幅方向の変化率の積を評価基準とし、この値を特定することによって上記の様なカール現象を低減しようとするものであるが、この方法ではカール現象はある程度改善されるものの、強靱性や耐ピンホール性については尚不充分であり、これらの特性を含めて一層の改善が望まれる。
また上記特許文献2では、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの耐熱性を高め、具体的には、該フィルム内面の全方向の沸水収縮率を3%程度以下に抑えることによってカール現象を抑えることを提案している。ところが、この方法で沸騰水処理による寸法安定性を要求レベルまで高めるには、熱固定時の温度を極端に高くしてフィルム構成素材の結晶化を促進させたり、あるいは延伸後に過度の緩和熱処理を施してフィルム構成ポリマーの分子鎖の緊張を解きほぐす等の処理が必要となり、得られるフィルムの強靱性や耐ピンホール性が損なわれるといった問題が生じてくる。
即ち、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムに適用される従来のカール現象改善法では、カール現象の向上に伴って他の重要な要求特性である強靱性や耐ピンホール性が損なわれるという問題が指摘されていた。
特開平4−103335号公報 特開平4−128027号公報
本発明は上記の様な問題点に着眼してなされたものであって、その目的は、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムが有する優れた強靱性や耐ピンホール性等を損なうことなく、沸水処理によるカール現象を可及的に軽減することのできる技術を確立しようとするものである。
上記課題を解決することのできた本発明に係る2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの製法は、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを製造するに当たり、実質的に未配向のポリアミド系樹脂フィルムまたはシートを縦方向で2.6倍以上延伸した後、横方向で3倍以上延伸することとし、該縦延伸工程では、前記ポリアミド系樹脂のガラス転移温度+20℃よりも高温で且つ冷結晶化温度+20℃を超えない温度で延伸を行い、下記式の関係を同時に満足する2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得ることを特徴とする(但し、加熱した物体の表面に密着固定させた状態で熱固定することを除く)。
3%≦BSx≦6%………………(1)
(BSxは、全方向の沸水収縮率のうち最大値を表わす)
BSa≦1.5%…………………(2)
(BSaは、縦方向に対し+45°方向の沸水収縮率と−45°方向の
沸水収縮率の差の絶対値を表わす)
本発明の上記方法によって、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートされるポリアミド系樹脂フィルムを製造する際には、上記式の関係に加えて下記式の関係を満足する2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムとすれば、熱水処理等にも耐える優れたラミネート強度を得ることができるので好ましい。
1.505≦Nz≦1.520……(3)
(Nzは、フィルム厚さ方向の屈折率を表わす)
本発明によれば、上記製造条件を特定することによって、2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムの前記式(1),(2)、更にはこれらに加えて式(3)で規定される物性を備え、強靱で耐ピンホール性、ラミネート性、外観に優れると共に、沸水処理に供した場合でもカールやラミネートフィルムの剥離(デラミ現象)等を生じることがなく、包装材料、とりわけレトルト食品の包装用袋として優れた性能を備えた2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを容易に製造することができる。
以下、本発明において上記各構成要件を定めた理由を詳細に説明する。
まず、本発明でフィルムの構成素材となるポリアミド系樹脂として特に好ましいのは、ナイロンを主成分とするポリアミド系樹脂である。ナイロンとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−46、ナイロン−610、ナイロン−612、ナイロン−11、ナイロン−12等の様々のナイロンが例示されるが、これらの中でも特に好ましいのはナイロン−6である。また、これらナイロンを主成分とするポリアミド系樹脂としては、全てがナイロンであるものの他、例えば他の成分としてヘキサメチレンジアミンとアジピン酸またはイソフタル酸との反応物の塩や、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との反応物の塩等を少量共重合させた共重合ポリアミドやそれらのブレンド物などが包含される。
尚、上記ポリアミド系樹脂の中でも本発明において特に好ましいのは、相対粘度が2〜3.5の範囲のものである。しかしてポリアミド系樹脂の相対粘度は、得られる2軸延伸フィルムの強靱性や延展性等に影響を及ぼし、該相対粘度が2未満のものでは衝撃強度が不足気味になり、また相対粘度が3.5を超えるものは、延伸応力の増大によって逐次2軸延伸性が悪くなる傾向があるからである。しかるに2〜3.5の範囲の相対粘度を有するポリアミド系樹脂を選択使用すると、上記の様な好ましくない傾向を生じることなく、優れた性能の2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを容易に得ることができる。尚、上記において相対粘度とは、ポリマー0.5gを97.5%硫酸50mlに溶解した溶液を用いて25℃で測定した値をいう。
更にこれらナイロン主体の樹脂には、ポリアミド系樹脂としての特性を阻害しない範囲で公知の添加剤、たとえば耐ブロッキング剤、耐電防止剤、安定剤、可塑剤などを少量含有させることも可能である。
本発明によって得られる2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムは、後述する如く該ポリアミド系樹脂を溶融押し出し等によってシート状もしくはフィルム状に成形した実質的に未延伸物を、縦方向で2.6倍以上延伸した後、横方向で3倍以上延伸することによって得られるが、該2軸延伸され、必要により熱固定されたフィルム状態での物性が、前記(1),(2)式の関係を満たすものでなければならない。また、このフィルムをポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートする場合には、前記(3)式の関係も満足させることが好ましい。
上記各式の要件を定めた理由を説明する。
3%≦BSx≦6%……(1)
この式においてBSxは、全方向における沸水収縮率のうち最大値を表わしており、その測定法は後述するが、この値は、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを袋状に成形し熱水処理を施した時の耐熱性(ラミネート強度あるいは耐デラミ性ということがある)を確保すると共に、フィルム自体の強靱性・耐ピンホール性を高めるうえで重要であり、BSxの値が3%未満では、強靱性・耐ピンホール性の指標の1つである耐衝撃強度が不充分となり、一方6%を超えると、ラミネート不良となったり熱水処理時の耐デラミ性が不充分となる。強靱性・耐ピンホール性とラミネート性や耐デラミ性を高める上でより好ましいBSxの範囲は3.5〜5.0である。
BSa≦1.5%……(2)
この式においてBSaは、フィルム流れ方向、即ち縦方向に対し+45°方向の沸水収縮率と−45°方向の沸水収縮率の差の絶対値(以下、沸水収縮率の斜め差、ということがある)を表わし、この値は、沸水処理時に生じるカール現象に大きな影響を及ぼす。即ち本発明の2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムは、前述の如くポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートした後、2つ折りにして3方シールすることによって袋状に成形されるため、この袋の上面と下面では、同一素材のフィルム面が袋表面に出ることになる。従って、沸水収縮率の斜め方向を夫々A、Bとすると、袋の上面のA方向と下面のB方向は、袋に対して同一方向となる。即ち、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの沸水収縮率の斜め差は、袋の表裏面の斜め対角線方向の収縮率差を意味し、この差が大きいほど袋は反り返り易くなってカールが著しくなる。しかるに本発明者らが検討を行なったところによると、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの該斜め差を1.5%以下、より好ましくは1.2%以下に抑えてやれば、沸水処理時における袋の反り返りが可及的に抑えられ、S字状のカール現象を生じなくなることが確認された。
1.505≦Nz≦1.520……(3)
この式においてNzは、フィルム厚さ方向の屈折率を表わし、この値はラミネート強度と厚み斑などのフィルム品位に大きな影響を及ぼす。従ってこの要件は、該2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムをポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートして使用する場合の必須の要件となる。そしてNzが1.505未満では、ポリオレフィン系樹脂フィルム等とのラミネート強度が不充分となり、製袋後の沸水処理等でラミネート基材との間でデラミ現象が起こり易くなる。
一方このNzは、未延伸のポリアミド系樹脂フィルムを2軸延伸する過程で順次低下していく。換言すると、Nzは延伸の指標の1つとも考えることができ、Nzが大きいということは延伸が未だ不十分であることを表わしており、Nzが1.520を超えるものでは、2軸延伸不足による厚み斑等が顕著に現れて、満足なフィルム品位が得られなくなる。ラミネート強度とフィルム品位の両面を考慮して特に好ましいNzの範囲は1.507〜1.516の範囲である。
本発明では、上記の様に2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムの特性を式(1)と(2)、更にはこれに加えて式(3)によって特定することにより、高レベルの強靱性・耐ピンホール性、ラミネート強度およびフィルム品質を確保すると共に、沸水収縮時にもカール現象を起こすことのない包装用袋を得ることが可能となる。
この様な特性を備えた2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムは、後述する縦延伸工程を除いて他の方法は通常の縦・横逐次2軸延伸法を採用し、縦方向で2.6倍以上延伸した後、横方向で3倍以上延伸することによって容易に得ることができる。例えば、縦延伸後に行なわれる横延伸は、縦延伸1軸配向フィルムに、テンター等を用いて素材樹脂のガラス転移温度(Tg)〜200℃程度の温度条件で3倍程度以上の横延伸を施し、次いで200℃〜素材樹脂の軟化温度(Tm)で熱固定し、必要により緩和熱処理を行なう方法である。
こうした延伸工程で特に重要となるのは縦延伸工程であり、該縦延伸条件を下記の様に設定することによって、本発明で意図する前述の様な物性を備えた2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを容易に得ることができる。即ち延伸に当たっては、まず実質的に未延伸のフィルムを、フィルム素材のガラス転移温度(Tg)+20℃以上で且つ該フィルム素材の冷結晶化温度(Tcc)+20℃を超えない温度域で、総合倍率2.6倍以上に縦延伸する方法であり、該縦延伸を2段階で行なう場合、延伸の中間ではその温度をガラス転移温度(Tg)以上に維持することが望ましい。こうした縦延伸条件を設定することによって、その後の横延伸を容易にすると共に、該横延伸・熱固定の条件の如何を問わず前記式(1)〜(3)の要件を満足する2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを容易に得ることが可能となる。
ちなみに、縦延伸時における温度が「フィルム素材のガラス転移温度(Tg)+20℃」未満では、延伸応力が高くなって横延伸工程で破断し易くなり、また「フィルム素材の冷結晶化温度(Tcc)+20℃」を超えると、熱結晶化の進行や厚み斑の増大が問題となる。また上記2段階延伸の中間でフィルム温度が素材のガラス転移温度(Tg)を下回ると、縦第2延伸の際の再加熱処理時に熱結晶化が進行し、横延伸時の破断が頻発する、といった問題が生じてくる。
かくして、最初の縦延伸条件を上記の様に設定してやれば、その後のテンター等を用いた横延伸や熱固定の条件については通常の方法(但し、加熱した物体の表面に密着固定させた状態で熱固定することを除く)を採用することで、目的とする前述の様な諸特性を備えた2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得ることができる。
次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは全て本発明の技術的範囲に包含される。尚、下記実施例で採用した物性値および特性の測定・評価法は次の通りである。
[沸水収縮率(BS)、その最大値(BSx)および斜め差(BSa)]
2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを一辺21cmの正方形状に切り出し、23℃、65%RHの雰囲気で2時間以上放置する。この試料の中央を中心とする直径20cmの円を描き、縦方向(フィルム引出し方向)を0°として、15°間隔で時計回りに0〜165°方向に円の中心を通る直線を引き、各方向の直径を測定して処理前の長さとする。
次いでこの試料を沸水中で30分間加熱処理した後、取り出して表面に付着した水分を拭き取り、風乾してから23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置し、上記で各直径方向に引いた直線の長さを測定して処理後の長さとし、下記式によって沸水収縮率を算出する。
BS=[(処理前の長さ−処理後の長さ)/処理前の長さ]×100(%)
BSx=15°間隔で0〜165°方向に測定した中で最も収縮率の大きい値(%)
BSa=45°および135°(即ち180°−45°)方向の収縮率の差の絶対値(%)
[屈折率]
各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後、アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて測定。
[衝撃強度(IP)]
各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後、東洋精機製作所製の「フィルムインパクトテスターTSS式」を使用し、直径12.7mmの半球型衝突子により破断強度を測定。
[ラミネート強度]
厚さ15μm、幅400mmの2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを、巻取りロールの最も縁寄りの部分からスリットして切り出し、このスリットフィルムにウレタン系AC剤(東洋モートン社製「EL443」)を塗布した後、その上に、モダンマシナリー社製のシングルテストラミネータ−装置を用いて厚さ15μmのLDPE(低密度ポリエチレン)フィルムを315℃で押し出し、更にその上に、厚さ40μmのLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)フィルムをラミネートし、ポリアミド系樹脂/LDPE/LLDPEよりなる3層積層構造のラミネートフィルムを得る。
このラミネートフィルムを、幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、東洋ボールドウイン社製の「テンシロンUMT−II−500型」を用いて、温度23℃、相対湿度65%の条件下でポリアミド系樹脂フィルム層とLDPE層間の剥離強度を測定する。引張速度は10cm/分、剥離角度は180度とし、剥離部分に水を付けて行なった。
[3方シール袋のS字カール]
上記ラミネートフィルムを、西部機械社製のテストシーラーを用いて巻き長さ方向に平行に2つに折り畳みつつ、縦方向に各両端縁20mmずつを150℃で連続的に熱シールし、それに垂直方向に10mmを150mm間隔で断続的に熱シールすることにより、幅200mmの半製品を得る。これを巻き長さ方向に、両側縁をシール部分が10mmとなる様に裁断した後、これと垂直方向にシール部分の境界で切断し、3方シール袋(シール幅:10mm)を作製する。この袋10枚を沸騰水中で30分間熱処理した後、23℃、65%RHの雰囲気で一昼夜保持し、更にこの10枚の袋を重ねて上から袋全面に1Kgの荷重をかけ、一昼夜保持した後に荷重を取り去って袋の反り返り(S字カール)の度合いを以下の様にして評価した。
◎ :全く反り返りがない、
○ :僅かに反り返りが見られる、
× :明らかに反り返りが見られる、
××:反り返りが著しい。
[製膜状況]
同一条件で2時間逐次延伸を行なった時の破断回数で評価する。
[厚み斑]
2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを縦方向、横方向に夫々1m×5cmの短冊状に切断し、安立電気社製の厚さ計「K306C」を用いて厚みを測定し、下記式によって1m当たりの厚み斑を算出し、5回繰り返してその平均を厚み斑とする。
厚み斑=[(最大厚み−最小厚み)/平均厚み]×100(%)
実施例1
MXD(メタキリシレンジアミン)6を4%含有するナイロン−6樹脂(相対粘度:2.8、Tg:41℃、Tc:71℃)を真空乾燥した後、これを押出し機に供給して260℃で溶融し、Tダイよりシート状に押し出し、直流高電圧を印加して冷却ロール上に静電気的に密着させて冷却固化し、厚さ200μmの実質的に未配向のシートを得た。
このシートを、延伸温度75℃で1.7倍に第1縦延伸した後、70℃に保温しつつ延伸温度70℃で総合延伸倍率が3.3倍となる様に第2延伸を行い、引き続いて連続的にテンターへ導いて130℃で4倍に横延伸し、次いで210℃で熱固定および4%の横緩和熱処理を施してから冷却し、両縁部を裁断除去して厚さ15μmの2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
実施例2
上記実施例1において、横延伸倍率を3.5倍とした以外は全く同様にして2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
実施例3
縦延伸温度を65℃とし、1段で2.6倍に縦延伸し、その後に行なわれる横延伸倍率を4.5倍とした以外は上記実施例1と全く同様にして2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
比較例1
縦延伸温度を65℃とし、1段で3.3倍に縦延伸した以外は上記実施例1と全く同様にして2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
比較例2
縦延伸温度を65℃とし、1段で2.8倍に縦延伸し、その後に行なわれる横延伸の温度を120℃、延伸倍率を倍率4.5倍とし、205℃で熱固定した後、210℃で蒸気を吹き付けながら5%の横緩和熱処理を行なって2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
比較例3
横緩和熱処理を施した後、更に200℃のオーブンに通して横方向に自由収縮させながら再加熱処理を行なった以外は、前記比較例1と全く同様にして2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
上記実施例、参考例および比較例で得た各フィルムの性能試験結果を表1に一括して示す。
Figure 2005297576
表1からも明らかである様に、本発明の規定要件を全て満足するフィルムでは、靱性・耐ピンホール性の指標とされる衝撃強度およびラミネート強度が何れも良好で且つS字カールも殆んど見られない。これに対しBSaの値が規定範囲を外れる比較例1では、沸水処理によるカールの発生が著しく、また比較例2は、BSxおよびNzの値が規定要件を外れるものであって、耐カール性、衝撃強度、ラミネート強度の何れにおいても不充分である。更に比較例3は、BSxが低過ぎる例であって、耐衝撃強度が非常に低く実用にそぐわない。尚実施例3では、BSxやBSaは一応規定要件を満たしているため、耐衝撃性や耐カール性は良好であるが、Nzの値が規定要件を外れるため満足なラミネート強度が得られていない。
実施例4,比較例4,5
MXD6を4%含有するナイロン−6樹脂(相対粘度:3.1、Tg:42℃、Tc:76℃)を使用し、表2に示す縦延伸温度を採用した以外は前記実施例1と同様にして2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。夫々について破断回数と厚み斑を調べた結果を表2に併記する。
Figure 2005297576

Claims (2)

  1. 2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを製造するに当たり、実質的に未配向のポリアミド系樹脂フィルムまたはシートを縦方向で2.6倍以上延伸した後、横方向で3倍以上延伸することとし、該縦延伸工程では、前記ポリアミド系樹脂のガラス転移温度+20℃よりも高温で且つ冷結晶化温度+20℃を超えない温度で延伸を行い、下記式の関係を同時に満足する2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得ることを特徴とする2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの製法(但し、加熱した物体の表面に密着固定させた状態で熱固定することを除く)。
    3%≦BSx≦6%
    (BSxは、全方向の沸水収縮率のうち最大値を表わす)
    BSa≦1.5%
    (BSaは、縦方向に対し+45°方向の沸水収縮率と−45°方向の
    沸水収縮率の差の絶対値を表わす)
  2. 前記ポリアミド系樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートされるものであり、且つ上記式の関係に加えて下記式の関係を満足する2軸配向ポリアミド系樹脂フィルム得る請求項1に記載の製法。
    1.505≦Nz≦1.520
    (Nzは、フィルム厚さ方向の屈折率を表わす)
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