JP2005297576A - 2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの製法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを製造するに当たり、実質的に未配向のポリアミド系樹脂フィルムまたはシートを縦方向で2.6倍以上延伸した後、横方向で3倍以上延伸することとし、縦延伸工程では、前記ポリアミド系樹脂のガラス転移温度+20℃よりも高温で且つ冷結晶化温度+20℃を超えない温度で延伸を行い、下記式の関係を同時に満足する2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得る(但し、加熱した物体の表面に密着固定させた状態で熱固定することを除く)。
3%≦BSx≦6%(BSxは、全方向の沸水収縮率のうち最大値)
BSa≦1.5%(BSaは、縦方向に対し+45°方向の沸水収縮率と−45°方向の沸水収縮率の差の絶対値)
Description
3%≦BSx≦6%………………(1)
(BSxは、全方向の沸水収縮率のうち最大値を表わす)
BSa≦1.5%…………………(2)
(BSaは、縦方向に対し+45°方向の沸水収縮率と−45°方向の
沸水収縮率の差の絶対値を表わす)
1.505≦Nz≦1.520……(3)
(Nzは、フィルム厚さ方向の屈折率を表わす)
3%≦BSx≦6%……(1)
この式においてBSxは、全方向における沸水収縮率のうち最大値を表わしており、その測定法は後述するが、この値は、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを袋状に成形し熱水処理を施した時の耐熱性(ラミネート強度あるいは耐デラミ性ということがある)を確保すると共に、フィルム自体の強靱性・耐ピンホール性を高めるうえで重要であり、BSxの値が3%未満では、強靱性・耐ピンホール性の指標の1つである耐衝撃強度が不充分となり、一方6%を超えると、ラミネート不良となったり熱水処理時の耐デラミ性が不充分となる。強靱性・耐ピンホール性とラミネート性や耐デラミ性を高める上でより好ましいBSxの範囲は3.5〜5.0である。
この式においてBSaは、フィルム流れ方向、即ち縦方向に対し+45°方向の沸水収縮率と−45°方向の沸水収縮率の差の絶対値(以下、沸水収縮率の斜め差、ということがある)を表わし、この値は、沸水処理時に生じるカール現象に大きな影響を及ぼす。即ち本発明の2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムは、前述の如くポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートした後、2つ折りにして3方シールすることによって袋状に成形されるため、この袋の上面と下面では、同一素材のフィルム面が袋表面に出ることになる。従って、沸水収縮率の斜め方向を夫々A、Bとすると、袋の上面のA方向と下面のB方向は、袋に対して同一方向となる。即ち、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの沸水収縮率の斜め差は、袋の表裏面の斜め対角線方向の収縮率差を意味し、この差が大きいほど袋は反り返り易くなってカールが著しくなる。しかるに本発明者らが検討を行なったところによると、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの該斜め差を1.5%以下、より好ましくは1.2%以下に抑えてやれば、沸水処理時における袋の反り返りが可及的に抑えられ、S字状のカール現象を生じなくなることが確認された。
この式においてNzは、フィルム厚さ方向の屈折率を表わし、この値はラミネート強度と厚み斑などのフィルム品位に大きな影響を及ぼす。従ってこの要件は、該2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムをポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートして使用する場合の必須の要件となる。そしてNzが1.505未満では、ポリオレフィン系樹脂フィルム等とのラミネート強度が不充分となり、製袋後の沸水処理等でラミネート基材との間でデラミ現象が起こり易くなる。
2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを一辺21cmの正方形状に切り出し、23℃、65%RHの雰囲気で2時間以上放置する。この試料の中央を中心とする直径20cmの円を描き、縦方向(フィルム引出し方向)を0°として、15°間隔で時計回りに0〜165°方向に円の中心を通る直線を引き、各方向の直径を測定して処理前の長さとする。
BS=[(処理前の長さ−処理後の長さ)/処理前の長さ]×100(%)
BSx=15°間隔で0〜165°方向に測定した中で最も収縮率の大きい値(%)
BSa=45°および135°(即ち180°−45°)方向の収縮率の差の絶対値(%)
各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後、アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて測定。
各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後、東洋精機製作所製の「フィルムインパクトテスターTSS式」を使用し、直径12.7mmの半球型衝突子により破断強度を測定。
厚さ15μm、幅400mmの2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを、巻取りロールの最も縁寄りの部分からスリットして切り出し、このスリットフィルムにウレタン系AC剤(東洋モートン社製「EL443」)を塗布した後、その上に、モダンマシナリー社製のシングルテストラミネータ−装置を用いて厚さ15μmのLDPE(低密度ポリエチレン)フィルムを315℃で押し出し、更にその上に、厚さ40μmのLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)フィルムをラミネートし、ポリアミド系樹脂/LDPE/LLDPEよりなる3層積層構造のラミネートフィルムを得る。
上記ラミネートフィルムを、西部機械社製のテストシーラーを用いて巻き長さ方向に平行に2つに折り畳みつつ、縦方向に各両端縁20mmずつを150℃で連続的に熱シールし、それに垂直方向に10mmを150mm間隔で断続的に熱シールすることにより、幅200mmの半製品を得る。これを巻き長さ方向に、両側縁をシール部分が10mmとなる様に裁断した後、これと垂直方向にシール部分の境界で切断し、3方シール袋(シール幅:10mm)を作製する。この袋10枚を沸騰水中で30分間熱処理した後、23℃、65%RHの雰囲気で一昼夜保持し、更にこの10枚の袋を重ねて上から袋全面に1Kgの荷重をかけ、一昼夜保持した後に荷重を取り去って袋の反り返り(S字カール)の度合いを以下の様にして評価した。
◎ :全く反り返りがない、
○ :僅かに反り返りが見られる、
× :明らかに反り返りが見られる、
××:反り返りが著しい。
同一条件で2時間逐次延伸を行なった時の破断回数で評価する。
2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを縦方向、横方向に夫々1m×5cmの短冊状に切断し、安立電気社製の厚さ計「K306C」を用いて厚みを測定し、下記式によって1m当たりの厚み斑を算出し、5回繰り返してその平均を厚み斑とする。
厚み斑=[(最大厚み−最小厚み)/平均厚み]×100(%)
MXD(メタキリシレンジアミン)6を4%含有するナイロン−6樹脂(相対粘度:2.8、Tg:41℃、Tc:71℃)を真空乾燥した後、これを押出し機に供給して260℃で溶融し、Tダイよりシート状に押し出し、直流高電圧を印加して冷却ロール上に静電気的に密着させて冷却固化し、厚さ200μmの実質的に未配向のシートを得た。
上記実施例1において、横延伸倍率を3.5倍とした以外は全く同様にして2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
縦延伸温度を65℃とし、1段で2.6倍に縦延伸し、その後に行なわれる横延伸倍率を4.5倍とした以外は上記実施例1と全く同様にして2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
縦延伸温度を65℃とし、1段で3.3倍に縦延伸した以外は上記実施例1と全く同様にして2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
縦延伸温度を65℃とし、1段で2.8倍に縦延伸し、その後に行なわれる横延伸の温度を120℃、延伸倍率を倍率4.5倍とし、205℃で熱固定した後、210℃で蒸気を吹き付けながら5%の横緩和熱処理を行なって2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
横緩和熱処理を施した後、更に200℃のオーブンに通して横方向に自由収縮させながら再加熱処理を行なった以外は、前記比較例1と全く同様にして2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
MXD6を4%含有するナイロン−6樹脂(相対粘度:3.1、Tg:42℃、Tc:76℃)を使用し、表2に示す縦延伸温度を採用した以外は前記実施例1と同様にして2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得た。夫々について破断回数と厚み斑を調べた結果を表2に併記する。
Claims (2)
- 2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを製造するに当たり、実質的に未配向のポリアミド系樹脂フィルムまたはシートを縦方向で2.6倍以上延伸した後、横方向で3倍以上延伸することとし、該縦延伸工程では、前記ポリアミド系樹脂のガラス転移温度+20℃よりも高温で且つ冷結晶化温度+20℃を超えない温度で延伸を行い、下記式の関係を同時に満足する2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得ることを特徴とする2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの製法(但し、加熱した物体の表面に密着固定させた状態で熱固定することを除く)。
3%≦BSx≦6%
(BSxは、全方向の沸水収縮率のうち最大値を表わす)
BSa≦1.5%
(BSaは、縦方向に対し+45°方向の沸水収縮率と−45°方向の
沸水収縮率の差の絶対値を表わす) - 前記ポリアミド系樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートされるものであり、且つ上記式の関係に加えて下記式の関係を満足する2軸配向ポリアミド系樹脂フィルム得る請求項1に記載の製法。
1.505≦Nz≦1.520
(Nzは、フィルム厚さ方向の屈折率を表わす)
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JP2005185408A JP2005297576A (ja) | 2005-06-24 | 2005-06-24 | 2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの製法 |
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JP2004124941A Division JP2004237743A (ja) | 2004-04-21 | 2004-04-21 | 2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの製法 |
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JP2018062377A (ja) * | 2016-10-14 | 2018-04-19 | 昭和電工パッケージング株式会社 | シール材およびシール材によってシールされた容器 |
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- 2005-06-24 JP JP2005185408A patent/JP2005297576A/ja active Pending
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