JP2005297206A - 繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、生産性が高く、高温時における強度・剛性と衝撃強度に優れた繊維強化熱可塑性樹脂組成物の変色を防いだ製造方法およびその組成物、成形品を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂と連続した強化繊維を二軸押出機で溶融混練することにより製造される熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、該強化繊維の供給位置を超えて下流側に、連続した強化繊維を切断し、強化繊維長を制御する(A)部と、該(A)部の下流に(A)部で切断された強化繊維を分散させる(B)部を有し、(A)部を含む下流側の位置にベント口を設けた二軸押出機を用い、該二軸押出機中の熱可塑性樹脂が溶融状態にある位置より強化繊維を供給し、(A)部で連続した強化繊維を切断し、(B)部で切断された強化繊維を分散させ、該ベント口より発生ガス成分を、−10〜−76cmHgの範囲で減圧除去することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【選択図】選択図なし

Description

本発明は、連続した強化繊維を二軸押出機で溶融混練することにより得られる繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。更に詳しくは、生産性、高温時における強度・剛性、衝撃強度に優れた繊維強化熱可塑性樹脂組成物の変色を防ぐ製造方法およびその組成物、成形品に関する。
繊維強化熱可塑性樹脂はその優れた機械的特性を活かして様々な産業分野で利用されている。一般には、熱可塑性樹脂とチョップドストランド等の短繊維を押出機で混練する繊維強化熱可塑性樹脂の製造が行われている。しかしながら、この方法では押出機での混練中に繊維の折損が避けられないため、高度な機械的特性の要求に応えることはできないという問題がある。
これに対し近年、配合される繊維状強化材が本来有する性能を充分に引き出すための方法として、強化繊維を長くすることが検討されている。このような長繊維強化熱可塑性樹脂としては、例えば、連続した強化繊維のロービングからストランドを引抜きながら樹脂を含浸するプルトルージョン法により得られるものであり、上記短繊維強化熱可塑性樹脂と比較して、高温時における強度・剛性と衝撃強度に優れている(例えば特許文献1参照。)。
しかしながら、このようなプルトルージョン法では、樹脂に含浸させながら連続した強化繊維のストランドを引抜いてペレタイジングするため、ペレット中の繊維長は長いが、生産性が悪く、かつ低粘度の樹脂でなければ強化繊維に十分含浸させることができないという欠点があるばかりか、成形品中の繊維の分散も不均一であるという問題がある。
また、開繊度合を制御して強化繊維を均一に分散させると共に、重量平均繊維長を長く保ったまま、混練作用によって特定の繊維長分布にする事によって、生産性、流動性、機械的性質や表面平滑性等を改善することが提案されている。しかし、この方法では、押出機のスクリュー及び/またはシリンダの内壁の一部に特殊な加工が必要であるため通常の押出機では製造が困難であるという問題点がある(例えば特許文献2参照。)。
特公昭52−3985号公報 特開平07−80834号公報
本発明は、生産性、高温時における強度・剛性、衝撃強度に優れた繊維強化熱可塑性樹脂組成物の変色を防ぐ製造方法およびその組成物、成形品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂と連続した強化繊維を二軸押出機で溶融混練することにより製造される熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、該組成物中の強化繊維長を制御し、発生ガス成分を減圧除去することにより、高温時における強度・剛性、衝撃強度に優れ、変色を防いだ繊維強化熱可塑性樹脂組成物を優れた生産性で得ることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
(1)熱可塑性樹脂と連続した強化繊維を二軸押出機で溶融混練することにより製造される熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、強化繊維の供給位置を超えて下流側に、連続した強化繊維を切断し、強化繊維長を制御する(A)部と、(A)部の下流に(A)部で切断された強化繊維を分散させる(B)部を有し、(A)部を含む下流側の位置にベント口を設けた二軸押出機を用い、該二軸押出機中の熱可塑性樹脂が溶融状態にある位置より強化繊維を供給し、(A)部で連続した強化繊維を切断し、(B)部で切断された強化繊維を分散させ、該ベント口より発生ガス成分を、−10〜−76cmHgの範囲で減圧除去することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(2)強化繊維の供給位置を、二軸押出機のバレル全長の最上流を0また最下流を1と定義した場合に、0.50以上の位置に設けることを特徴とする上記(1)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(3)(A)部を、二軸押出機のバレル全長の0.75〜0.98の位置に設けることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(4)(A)部が、スクリュー軸方向と同方向に強化繊維を切断するための刃を持つ形状のパーツで構成され、(B)部が、スクリューフライト上に切り欠き部を持つ形状のスクリューパーツであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(5)(A)部を構成するパーツのブロック長Laと押出機のスクリュー径Daの比(La/Da)が0.3〜1.5、(B)部を構成するスクリューパーツのブロック長Lbと押出機のスクリュー径Dbの比(Lb/Db)が0.3〜4.0であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(6)熱可塑性樹脂100重量部に対して、連続した強化繊維を10〜170重量部添加することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(7)熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂、強化繊維がガラス繊維であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(8)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法によって得られた繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
(9)(8)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
本発明によれば、熱可塑性樹脂と連続した強化繊維からなるロービングを二軸のスクリュー式押出機により溶融混練し、発生ガス成分を減圧除去することにより、強化繊維長を制御し、変色を防いだ繊維強化熱可塑性樹脂組成物が得られる。従って、高温時における強度・剛性と衝撃強度を必要とする自動車部品等に好適に用いられる。
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明に用いる二軸押出機は、熱可塑性樹脂が溶融状態で、強化繊維を供給するという観点から、全バレル長Lとバレル径Dの比が(L/D)30以上、120以下の二軸押出機が好ましく、更に好ましくは、30以上、70以下の二軸押出機である。
熱可塑性樹脂の溶融状態を達成できる方法に特に制限はないが、熱可塑性樹脂の劣化の影響が出ない範囲で、強化繊維の供給位置より上流側でのヒーター温度を高める方法や、ニーディングブロックにより剪断発熱させ溶融温度を高める方法が例示できる。
本発明に用いる連続した強化繊維は連続した単繊維を集束したロービングであれば特に限定されるものではないが、強化繊維と樹脂界面との接着性を向上するためにカップリング剤等の表面処理が施されていることが好ましい。強化繊維としては、通常樹脂の補強用して用いられるものならば特に限定されるものではなく、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、有機繊維等を使用することが可能であるが、ガラス繊維が最も広範に用いられる。
本発明で好適に用いられるポリアミド樹脂用のガラス繊維はポリアミド樹脂用の集束剤(これはいわゆるサイジングを目的とした集束成分とポリアミド樹脂との接着性を目的とした表面処理成分を含む)で表面処理されているものを用いることができる。集束剤の構成成分は特に限定されるものではないが、無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体とアミノ基含有シランカップリング剤を主たる構成成分とするものが機械的特性向上の観点から最も好ましい。
集束剤を構成する無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体として具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエン等の不飽和単量体と無水マレイン酸との共重合体が挙げられ、その中でもブタジエン、スチレンと無水マレイン酸との共重合体が特に好ましい。更にこれら単量体は2種以上併用してもよいし、例えば、無水マレイン酸とブタジエン共重合体と無水マレイン酸とスチレンの共重合体を混合して使用する等のブレンドによって使用してもかまわない。上記無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体は平均分子量2,000以上であることが好ましい。また、無水マレイン酸と不飽和単量体との割合は特に制限されない。更に無水マレイン酸共重合体に加えてアクリル酸系共重合体やウレタン系ポリマーを併用して用いても何ら差し支えない。
集束剤を構成するもう一つの成分であるシラン系カップリング剤としては通常ガラス繊維の表面処理に用いられるシラン系カップリング剤がいずれも使用できる。具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤;γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤;γ−メタクリロキプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキプロピルトリエトキシシラン等のメタクロキシシラン系カップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等のビニルシラン系カップリング剤などが挙げられる。これらカップリング剤は2種以上併用して用いることもできる。
これらの中で特にポリアミド樹脂との親和性からアミノシラン系カップリング剤が最も好ましく、その中でもγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシランが最も好ましい。上記無水マレイン酸共重合体とシラン系カップリング剤との使用割合は比較的良好な物性バランスを与える前者100重量部に対して後者0.01〜20重量部の割合が好ましい。通常、無水マレイン酸共重合体とシラン系カップリング剤は水溶媒中で混和して集束剤として用いられるが、更に必要に応じて界面活性剤、滑剤、柔軟剤、帯電防止剤などを加えても良い。
また、強化繊維の平均繊維直径は特に限定されるものではなく、集束性の観点から5μm以上で、機械的性質の向上の観点から20μm以下が好ましく、更に平均繊維直径8〜17μmが組成物の機械的性質向上の観点から好ましい。強化繊維の集束本数においても特に限定されるものではないが、繊維モノフィラメントを1000〜10000本集束したロービングがハンドリングの点から好ましい。
本発明の連続した強化繊維の供給位置は、強化繊維の折損を防止し、良好な機械的性質を得るという観点から、熱可塑性樹脂が溶融状態である位置に設けた供給口より供給する必要があり、熱可塑性樹脂が溶融状態であればその供給位置に制限はないが、バレル全長の0.50を含む下流の位置より供給することが好ましい(最上流を0、最下流を1と定義する。)。
本発明の連続した強化繊維を供給する方法は、具体的には押出機スクリューを回転させることで連続した強化繊維のロービングを押出機に巻き込むもので、長時間安定的に押出機内に供給するという観点から強化繊維供給管を通じて押出機内に供給することが好ましい。強化繊維供給管とは押出機内に強化繊維を供給する前に複数の強化繊維のロービングが絡み合うのを防ぐことを目的とするもので、特に管の材質は限定されるものではない。
本発明の押出機のスクリュー構成において、連続した強化繊維の繊維長を制御し、当該樹脂組成物中に均一に分散させ、良好な機械的性質を得るという観点から、強化繊維供給位置より下流側には(A)連続した強化繊維を切断し、強化繊維長を制御する(A)部と、(B)該(A)部の下流側に切断された強化繊維を分散させる(B)部を設けることが必要である。
ここで(A)部は、スクリュー軸方向と同方向に強化繊維を切断するための刃を持つ形状のパーツで構成され、具体的には押出機中に巻き込まれて、スクリューに巻き付きながら前進してきた連続した強化繊維を、上記(A)部を構成するパーツ同士が噛み合う事によって、強化繊維を切断し、当該組成物中の繊維長を制御する。ここで、(A)部によって切断された強化繊維の繊維長は、(A)部の刃の数、刃と刃の間隔、パーツ数等によって決定されるが、重量平均繊維長が10mm〜300mmとなるように(A)部を構成することが好ましい。
また、(B)部を構成するスクリューパーツは、具体的にはスクリューフライト上に切り欠き部を持つ形状であることを特徴とし、(A)部で切断された強化繊維を樹脂中に分散させるものであり、該スクリューエレメントは強化繊維の種類、濃度に応じて、順ネジ型、逆ネジ型、またはそれらの組み合わせを用いることができる。なお、該(A)、(B)部を構成するパーツは市販のパーツを用いることができる。(A)部の市販パーツの例として、WERNER&PFLEIDERER製MIXING SCREW ELEMENT HME、(B)部の市販パーツの例として、WERNER&PFLEIDERER製SCREW ELEMENT ZME、SCREW ELEMENT SMEが挙げられる。
(A)部を構成するパーツのブロック長Laと押出機のスクリュー径Daの比(La/Da)と(B)部を構成するスクリューパーツのブロック長Lbと押出機のスクリュー径Dbの比(Lb/Db)は、連続した強化繊維の繊維長を制御し、当該樹脂組成物中に均一に分散させると同時に、過大な強化繊維の折損を防止するという観点から、(La/Da)が0.3〜1.5、(Lb/Db)が0.3〜4.0が好ましく、(La/Da)が0.3〜1.0、(Lb/Db)が0.3〜2.0がより好ましい。ここでブロック長とはパーツ長の総計を意味する。
(A)部は、切断された強化繊維が、(A)部より下流での折損を最小限にし、(A)部より下流に(B)部を配置するという観点から押出機全長の0.75〜0.98に配置することが好ましく、0.80〜0.98に配置することがより好ましい。ここで(A)部より下流での強化繊維の折損とは、例えば分散不十分な強化繊維が押出機のスクリューと押出機のシリンダの内壁間で擦りあわされることによる折損や、強化繊維同士の接触による折損が原因として考えられる。
該(A)、(B)部が、複数からなるパーツで構成される場合は、上記条件を満たす範囲であれば、該パーツを連続的に設けても良いし、断続的に設けても良い。
強化繊維の供給位置より下流側の(A)、(B)部以外のスクリュー構成に関しては、強化繊維の供給位置と(A)部の間にニーディングディスク等を設け、減圧除去の際、シールすることが好ましいが、それにより過大な剪断力が強化繊維に加わり、強化繊維の折損が過大とならないよう配慮する必要がある。強化繊維供給位置より上流側のスクリュー構成に関しては、熱可塑性樹脂を可塑化するのに充分な剪断力が与えられれば、特に制限はないが、通常強化繊維供給位置より上流側に、1ヶ所以上の逆方向ネジスクリューを設ける方法が好ましい。
本発明の(A)部を含む下流側の位置には、ベント口を設け、該ベント口より発生ガス成分を、−10〜−76cmHgの範囲で減圧除去することが好ましい。ここで発生ガス成分とは、熱可塑性樹脂や、強化繊維の供給に同伴した水分が気化した水蒸気、同伴空気、残留モノマーや添加剤の揮発成分である。特に、本発明による製造方法は、強化繊維の供給の際、連続した強化繊維のロービングを押出機に巻き込むため、強化繊維に同伴した空気による影響が大きい。発生ガスの減圧除去が不十分であると、押出機より吐出された繊維強化熱可塑性樹脂組成物が同伴されたガスの影響で、該組成物の嵩密度が大きくなり、品質に問題となる場合がある。また、強化繊維の供給位置より下流側で、(A)部より上流側の位置にベント口を設け、減圧除去を行うと、熱可塑性樹脂と強化繊維の混練が不十分であるため、減圧除去が不十分で、熱可塑性樹脂が変色するという問題がある。
本発明のベント口の形状は、発生ガスを減圧除去できるものであれば、特に制限はないが、押出時、ベントアップをしないようなベント口の形状であることが好ましい。
本発明に係わる熱可塑性樹脂はポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられ、これらは単独または2種類以上の熱可塑性樹脂を組み合わせて用いても良い。また、本発明の目的を損なわない範囲に於いて必要に応じて通常の熱可塑性樹脂に添加される酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光劣化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、難燃剤、着色顔料、染料等を添加することもできる。
熱可塑性樹脂としては、高温時における強度・剛性に優れるという観点からポリアミド樹脂が最も広範に用いられる。ポリアミド樹脂の具体例としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸を重合してなるナイロン(ナイロン6I)、イソフタル酸とビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンを重合してなるナイロン(ナイロンPACMI)などのホモポリマー、アジピン酸とイソフタル酸とへキサメチレンジアミンを重合してなるナイロン(ナイロン66/6I共重合体)、アジピン酸とイソフタル酸とへキサメチレンジアミン、ε−カプロラクタムを重合してなるナイロン(ナイロン66/6I/6共重合体)アジピン酸とテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンを重合してなるナイロン(ナイロン66/6T共重合体)が挙げられる。
また、イソフタル酸とテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンを重合してなるナイロン(ナイロン6I/6T共重合体)、テレフタル酸と2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンを重合してなるナイロン(ナイロンTMDT共重合体)、イソフタル酸とテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンを重合してなる共重合ナイロン、およびイソフタル酸とテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンを重合してなる共重合ナイロンとナイロン6の混合物、MXD6ナイロンとナイロン66の混合物等が挙げられる。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物における強化繊維の配合量は熱可塑性樹脂100重量部に対して、強化繊維は機械的性質の面から10重量部以上、繊維の折損等の点から170重量部以下が好ましく、20〜150重量部がより好ましい。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形等公知の成形加工に用いることができる。射出成形や押出成形に通常用いられるスクリュー式成形機では、強化繊維の破損を押さえるため、ノズルやゲート形状を大きくし、深溝の成形機スクリューを使用することが機械的性質の面から好ましい。
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。
<原材料>
[1]ポリアミド樹脂
・PA−1:ポリアミド66、旭化成ケミカルズ(株)製 レオナ1300−001
[2]ガラス繊維
・GF−1:日本電気硝子(株)製、ガラス繊維束(ロービング)、ガラス繊維平均直径17μm、1ロービング当たりの繊維モノフィラメント数4000本
<試験片の作成>
射出成形機(日精樹脂工業(株)社製:FN3000)を用い、金型温度80℃で、ISO 3167に準じた多目的試験片A形を成形し、曲げ試験用試験片、シャルピー衝撃強さ試験用試験片に切削加工した。
[測定方法]
(1)曲げ弾性率、曲げ強度
ISO 178に準じて、試験片をオートグラフ((株)島津製作所社製:AG−5000D形)で、クロスヘッドスピード5mm/min、スパン64mm、周囲温度23℃、150℃の条件下で測定を行った。
(2)シャルピー衝撃強さ
ISO 179に準じて、ノッチあり試験片をシャルピー衝撃強さ試験装置(東洋精機製作所(株):DG−C(A、B)シャルピー法)を用いて周囲温度23℃、−30℃の条件下で測定を行った。
(3)嵩密度
体積100cmの容器にガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを充填して、その質量を測定した。なお、測定は5回行い、その平均値を求めた。
(4)ガラス繊維の重量平均長さ
ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の成形品1gを650℃電気炉内でポリアミド樹脂のみ燃焼させた後、光学顕微鏡下で観察し、画像解析装置を用いて、無作為に選んだガラス繊維400〜500本の長さを測定した値からガラス繊維の重量平均長さを求めた。
(5)繊維強化熱可塑性樹脂組成物の外観性
上記試験片の色調を目視観察し、外観性の指標とした。
○:押出前後で、熱可塑性樹脂が変色しない。
×:押出前後で、熱可塑性樹脂が変色する。
[実施例1]
押出機として、二軸押出機ZSK40MC(WERNER&PFLEIDERER製)(L/D=48)を用いた。ポリアミド樹脂PA−1を最上流供給口より定重量式フィーダーを用い46kg/hrで供給し、ロービング数7ケの連続したガラス繊維GF−1を、ガラス繊維供給管を通じて、押出機全長の0.70の位置(最上流を0、最下流を1としたとき)より、46kg/hrで溶融したポリアミド樹脂中に供給し、紡口より押し出されたストランドを冷却後、長さ8mm、直径4mmのペレット状に切断、乾燥して、ガラス繊維濃度が50重量%であるガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物を得た。なお、押出機のバレル温度は285℃、スクリュー回転数500rpm、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の吐出量は92kg/hrである。また、スクリュー構成は、押出機全長の0.93の位置に(A)部として、MIXING SCREW ELEMENT HMEを、押出機全長の0.96の位置に(B)部として、SCREW ELEMENT ZMEとSCREW ELEMENT SMEを組み合わせて用いた。また、この時のLa/Da=0.45、Lb/Db=1.13である。また、押出機全長の0.94の位置にベント口を設け、減圧度−40cmHgにて脱気を行った。得られた樹脂組成物を上述の方法でシリンダ温度290℃の条件で成形し、諸特性を評価した。その結果を表1に示す。比較例に比べ、高温時の強度・剛性と衝撃強度に優れ、押出前後で、熱可塑性樹脂が変色しない。
[比較例1]
実施例1と比較して、減圧度0cmHg、すなわちベント口より脱気を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス繊維濃度が50重量%であるガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造を行い、得られた樹脂組成物を上述の方法でシリンダ温度290℃の条件で成形を試みた。得られた樹脂組成物のペレットは同伴されたガスの影響で嵩密度が大きいため、成形時の強化繊維の折損が大きい。実施例1と比較して、高温時の強度・剛性と衝撃強度に劣る。
[比較例2]
実施例1と比較して、押出機全長の0.82の位置にベント口を設け、減圧度−40cmHgにて脱気を行った以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス繊維濃度が50重量%であるガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造を行い、得られた樹脂組成物を上述の方法でシリンダ温度290℃の条件で成形を試みた。得られた樹脂組成物は、実施例1と比較して、機械的物性は遜色ないが、押出前後で熱可塑性樹脂が変色するという問題がある。
Figure 2005297206
@0001
本発明の製造方法によって得られた繊維強化熱可塑性樹脂組成物の成形品は、高温時における強度・剛性と衝撃強度に優れ、変色を防いだ繊維強化熱可塑性樹脂組成物を優れた生産性で得ることができるため、シリンダーヘッドカバー、ラジエータータンク、タイヤ圧センサー、カーヒータータンク、ウォーターバルブ、ラジエーターパイプ、インテークマニホールド、スロットルボディ、エンジンマウント、ステアリングロック、フロントエンドモジュール、ドアモジュール、ミラーブラケット、ペダル、バンパー、ホイールキャップ、アンダーカバー等の自動車部品や屋外ファン、冷水塔等のインペラー、電動工具、釣具リール、ブレーカー、歯車に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂と連続した強化繊維を二軸押出機で溶融混練することにより製造される熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、強化繊維の供給位置を超えて下流側に、連続した強化繊維を切断し、強化繊維長を制御する(A)部と、(A)部の下流に(A)部で切断された強化繊維を分散させる(B)部を有し、(A)部を含む下流側の位置にベント口を設けた二軸押出機を用い、該二軸押出機中の熱可塑性樹脂が溶融状態にある位置より強化繊維を供給し、(A)部で連続した強化繊維を切断し、(B)部で切断された強化繊維を分散させ、該ベント口より発生ガス成分を、−10〜−76cmHgの範囲で減圧除去することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 強化繊維の供給位置を、二軸押出機のバレル全長の最上流を0また最下流を1と定義した場合に、0.50以上の位置に設けることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. (A)部を、二軸押出機のバレル全長の0.75〜0.98の位置に設けることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. (A)部が、スクリュー軸方向と同方向に強化繊維を切断するための刃を持つ形状のパーツで構成され、(B)部が、スクリューフライト上に切り欠き部を持つ形状のスクリューパーツであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. (A)部を構成するパーツのブロック長Laと押出機のスクリュー径Daの比(La/Da)が0.3〜1.5、(B)部を構成するスクリューパーツのブロック長Lbと押出機のスクリュー径Dbの比(Lb/Db)が0.3〜4.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂100重量部に対して、連続した強化繊維を10〜170重量部添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂、強化繊維がガラス繊維であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法によって得られた繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項8に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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