JP2005296712A - 磁気式流体処理方法および磁気式流体処理装置 - Google Patents

磁気式流体処理方法および磁気式流体処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】製造コストの低減と装置の小型化を可能にする。
【解決手段】磁石2と磁極片3とを交互に積層した積層体4を複数備え、被処理流体が流れる管路内に積層体4を平行に並べて隣接する積層体4の磁極片3の間を通路6とし、通路6を流れる被処理流体に磁束を作用させる磁気式流体処理装置であって、通路6には磁束密度の必要性の重み付けがされており、即ち通路を形成する領域の磁極片の縁と磁石の縁との距離が、磁場を最も強くしたい箇所で最も狭くなるようにすることで磁場強度を制御するようにして、重み付けの大きな部分に重点的に大きな磁束密度を発生させるようにしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気式流体処理方法および磁気式流体処理装置に関する。更に詳述すると、本発明は、流体の通路に磁場を形成して流体に磁束を作用させる磁気式流体処理方法及び磁気式流体処理装置に関するものである。
流れる水に磁場を与えることにより水を活性化する装置として、例えば特許第2909891号公報に開示された磁気式水処理装置がある。この磁気式水処理装置は、図11及び図12に示すように、磁石103と磁極片104とを交互に積層した積層体101を例えば4つ備えており、流体が流れる図示しないケーシング内に積層体101を平行に並べて隣接する積層体101の磁極片104の間を流体が流れる通路105として流体に磁束を作用させるものである。磁石103には円形のもの(丸磁石・丸型あるいはR型と呼ばれている)が採用されており、水の通路の圧損を均一にしかつ水に直角に磁力線を作用させるために扇形の磁極片104が用いられ、この磁極片104の間で水の通路105が形成れている。隣接する積層体101では同じ段の磁石103のN極とS極とが逆になっている。これにより、対向する磁極片104の間、即ち通路105を挟んで向かい合う磁極即ちN極からS極に向かう磁力線を発生させ、この通路105を流れる水が磁力線を直角に横切ることで、水を活性化させる磁気処理を行うようにしている。この磁気処理装置の場合、磁石103と磁極片104とを何段にも積層して、磁気処理に必要な磁束密度を水に与えるようにしている。
また、水の磁気処理は、強力な磁場と被処理流体の流速並びに流体に対して垂直に磁力線を当てることが必要と考えられていることから、希土類系磁石を採用して数千ガウスあるいはそれ以上の磁束密度を局所において与えるようにするものもある。
特許第2909891号
しかしながら、磁石としてより磁束密度の高い希土類系磁石を使用する方法では、装置の大部分を占める磁石が高価であることから磁気式流体処理装置の製造コストが増加してしまう問題がある。しかも、いくら強い磁場を与えたとしても、水に対して垂直に磁力線を当てることができなければその効果は期待通りのものではなくなる。ところが、ケーシング内での水の流れの挙動は把握することさえ難しく、それをコントロールすることは困難であり、単純に強い磁場を歌えても効率的であるとは言えない。加えて、水の磁気処理にはどの程度の磁束密度の磁場を与えなければならないかということは完全に解明されておらず、より強い磁場を与える方が磁気処理に必要かつ十分な磁場の影響を受けない箇所をなくすという点ではより効果的であるとはいえても、磁気処理効果の飽和という観点からも、必要以上に高い磁束密度の磁石を使用してもそのコスト増に見合うだけの効果が期待できるとはいえない。
一方、図11及び図12に示す磁気式処理装置の場合、磁極片の間で一定幅の通路105を形成してその間を水を通過させることで磁力線に対し垂直に水を流すようにしているが、希土類系磁石よりも磁束密度がかなり小さいフェライト系磁石を用いた場合、所望の磁気処理効果を得るには、磁石103と磁極片104の段数を多くすることが必要であり、装置の大型化と圧力損失の増大が避けられない問題があった。
この点について、本発明者等が種々実験・研究した結果、磁極片の間で均一な幅(磁極片間ギャップ)の流路を形成しても、その間に形成される磁束密度の分布はほぼ均一なものではなく、磁束密度の大きさに大きな差が生じていることが明らかになった。つまり、隣り合う磁極片104と磁極片104との間隔が等しくても、この磁極片間に発生する磁束密度は対向する磁石と磁石との間隔が最も短い領域(あるいは磁石の縁と磁極片の縁との距離が最も短い領域)106を中心として最も大きく、そこから離れるにしたがって小さくなり、磁極片間の通路105で磁気の影響を受けないあるいは影響が少ない領域107,108が生じていたことが判明した。特に、圧力損失を低減させるために通路105の幅を広く採った場合に、この影響は顕著である。しかも、水の流れは、通路105の幅を一定にしていても、流体摩擦によって管壁から離れるほど流速が速くなり、中央部分が最も流れ易くなることから、磁気処理に必要なだけの磁束密度が得られないあるいは得難い領域107に水が多く流れる。このため、水がケーシング内を流れる間に万遍なく必要な磁界の影響を受けるようにするためには、磁石103と磁極片104の段数を多くして磁気を作用させる距離を長くすることによって、十分な磁気処理効果が得るようにしている。
また、磁場の影響を受けないあるいは受けても弱いところの存在をなくすために、希土類系磁石のような高磁束密度の磁石を採用することは容易なことである。しかし、この高価な希土類系磁石の採用は、通路105の幅を広げることによって磁束密度の急速な低下が起こっても磁気処理に必要な最低限の磁束密度を確保することも可能となるが、同時に装置を高価なものとしてしまう。
そこで、高磁束密度の磁石を採用せずに、圧力損失の増大を招かずに磁気の影響を受けにくい場所を極力少なくすることが望まれている。
本発明は、かかる要望に応えるもので、高い磁束密度の磁石を採用せずとも、例えば安価なフェライト系磁石を用いても、磁場の影響を受けないあるいは磁場の影響が弱いところの存在を極力少なくして、十分な磁気処理効果が得られる磁気式流体処理方法並びに磁気式流体処理装置を提供することを目的とする。また、本発明は、圧力損失の増大を回避しつつ装置の小型化を実現できる磁気式流体処理方法並びに磁気式流体処理装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、流体の磁気処理と磁極片間に発生させる磁束密度の関係について鋭意研究を行った結果、磁極片間の通路で磁気の影響を受けないあるいは影響が少ない領域が生じ、尚かつこの領域107に水が多く流れていること、そして、これを高磁束密度の磁石を用いずとも防ぐためには、磁石の形状と磁極片に対する位置を工夫することが有効であるとの知見を得た。
本発明はかかる知見に基づき成されたもので、請求項1記載の発明は、被処理流体の出入り口を有する筒状ケーシングに磁石と磁極片とを交互に積層した積層体を互いに平行に複数配置して、互いに隣り合う前記積層体の磁極片の間で前記被処理流体を通過させる通路を形成し、前記被処理流体が前記通路を通過する際に前記被処理流体に磁界を作用させる磁気式流体処理方法において、前記通路を形成する領域の前記磁極片の縁と前記磁石の縁との距離が、磁場を最も強くしたい箇所で最も狭くなるようにすることで磁場強度を制御するようにしている。
したがって、磁極片間に形成される通路の必要な箇所に必要な磁束密度・強い磁場を形成して磁力線と垂直に被処理流体を通過させることができる。つまり、通路の被処理流体が流れやすい箇所に大きな磁束密度を与えることができ、流体の磁気処理・活性化を良好に行うことができる。一方、磁極片の周辺のケーシングとの間の通路あるいはその近傍の磁極片間の通路においては磁場の影響を大きく受けることがなくても、この部分には圧力損失やケーシング壁面との流体摩擦などによって被処理流体が流れ難いので、磁束密度を被処理流体が流れやすい箇所に集中させることによる磁気処理の効率向上によって全体として磁気処理・活性化を良好に行うことができる。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の磁気式流体処理方法において、前記通路を形成する領域の互いに隣設する前記磁極片の縁の形状に対して前記磁石の縁の形状を相似形とし、前記相似形状の前記磁極片の縁と前記磁石の縁との距離を一定とするようにしている。この場合、磁極片の間で形成される被処理流体を通過させる通路の磁石を配置している領域全域で磁場の強い影響を受け、中でも通路が交差する被処理流体が流れ易い箇所では磁束が集中してより強い磁場の影響を受ける。即ち、磁石に近い部分の磁極片の縁では磁束密度は大きくなり、磁極片の縁に沿って磁石が配置されている領域の磁極片間の通路の全体において強い磁場の影響を受ける、水の磁気処理効果が高まる。
また、請求項3記載の発明は、被処理流体の出入り口を有する筒状ケーシングに磁石と磁極片とを交互に積層した積層体を互いに平行に複数配置して、互いに隣り合う前記積層体の磁極片の間で前記被処理流体を通過させる通路を形成し、前記被処理流体が前記通路を通過する際に前記被処理流体に磁界を作用させる磁気式流体処理装置において、前記通路を形成する領域の前記磁極片の縁と前記磁石の縁との距離が、磁場を最も強くしたい箇所で最も狭くなるようにしている。この装置によれば、磁極片間に形成される通路の被処理流体が流れる箇所に必要な磁束密度・強い磁場を形成することができる。即ち、本発明装置によると、通路の被処理流体が流れやすい箇所に大きな磁束密度を与えることができ、被処理流体に必要な磁気処理・活性化を効率的に達成できる。
ここで、通路を形成する領域の互いに隣設する前記磁極片の縁の形状に対して前記磁石の縁の形状を相似形とし、相似形状の前記磁極片の縁と前記磁石の縁との距離が一定となるように前記磁極片と前記磁石とを積層させることが好ましい。この場合には、磁極片の間で形成される被処理流体を通過させる通路の磁石を配置している領域全域で磁場の強い影響を受け、中でも通路が交差する被処理流体が流れ易い箇所では磁束が集中してより強い磁場の影響を受けるので、効率的な磁気処理・活性化が実現できる。
また、通路の幅は圧力損失と比例し磁場強度と反比例するので、磁場の影響が大きく低下しない範囲内で可能な限り広くすることが好ましい。本発明者等の実験によると、通路幅は9mmを超えると磁力の低下が目立ち始めるが、10mm程度までは磁力の低下が磁気処理に必要な磁束密度・強い磁場を形成するに実用上問題とならない範囲で尚かつ圧力損失を最も低くできるので好ましい。
さらに、筒状ケーシングの出入り口は積層体を収容する部分に向けて緩やかに拡径したレジューサであることが好ましい。この場合には、圧力損失を低減できる。
また、積層体の積層方向と直交する同一平面において、互いに隣設する磁極片が同一磁極であることが好ましい。より好ましくは、同一平面内の磁石は同一磁極とし、水の流れ方向にN極とS極を交互に配置することである。更に、この通路の幅よりも磁極片の積層方向の間隔の方が広いことが好ましい。
しかして、請求項1記載の磁気式流体処理方法並びに請求項3記載の磁気式流体処理装置によると、磁場を最も強くしたい箇所に最も強い磁場を与えるように制御できるので、希土類系磁石に比べて比較的低磁束の磁石例えばフェライト系磁石を使っても、磁極片間に形成される通路の磁場が必要な箇所に必要な磁束密度・強い磁場を形成して磁力線と垂直に被処理流体を通過させることができる。例えば、本発明者等の実験によると、少なくとも200ガウス、好ましくは500ガウスの磁束密度が水に作用すれば赤さびが黒さびに変化したことが同定できた。したがって、残留磁束密度の高い高価な希土類系磁石等を使わなくとも、安価なフェライト系磁石でも十分な磁気処理効果が得られる。しかも、このフェライト系磁石は磁気特性が安定している。
更に、本発明によると、通路の被処理流体が流れやすい箇所に大きな磁束密度を与えることができので、被処理流体の磁気処理・活性化を良好且つ効率的に実施でき、磁石並びに磁極片の段数を減らして装置を小型化することができる。
また、請求項2記載の磁気式流体処理方法並びに請求項4記載の磁気式流体処理装置によると、磁極片の間で形成される被処理流体を通過させる通路の磁石を配置している領域全域で磁場の強い影響を受け、中でも通路が交差する被処理流体が流れ易い箇所では磁束が集中してより強い磁場の影響を受けるので、水の磁気処理効果が高い。したがって、請求項4記載の磁気式流体処理装置によると、磁気処理を完了させるための磁石と磁極片の段数を減らすことができるので、装置をよりコンパクトにできる。
さらに、請求項5記載の磁気式流体処理装置によると、磁気処理に必要な磁束密度・強い磁場を磁極片間の通路に形成した上に圧力損失を最も低くできるので、装置のコンパクト化に適している。
また、請求項6記載の磁気式流体処理装置によると、被処理流体をケーシングに導入すとき並びにケーシングから排出するときの圧力損失を低減できる。
また、請求項7から8記載の発明によると、互いに隣設する同一磁極の磁極片の間で形成される反発磁場で被処理流体が強い磁界の影響を受けるので、磁気処理効果が効果的であり、装置のより小型化を可能とする。
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図6に、本発明の磁気式流体処理装置の実施形態の一例を示す。この磁気式流体処理装置1は、被処理流体の出入り口16,17を有する筒状ケーシング14に磁石2と磁極片3とを交互に積層した積層体4を互いに平行に複数配置して、互いに隣り合う積層体4の磁極片3の間で被処理流体を通過させる通路6を形成し、被処理流体が通路6を通過する際に被処理流体に磁界を作用させるようにしている。
ここで、通路6には磁束密度の必要性の重み付け、即ち意図的に狙った箇所に強い磁場を形成するように、通路6を形成する領域の磁極片3の縁と磁石2の縁との距離xが、磁場を最も強くしたい箇所で最も狭くなるように設けることで磁場強度を制御するようにしている。本実施形態では、通路6を形成する領域の互いに隣設する磁極片3の縁の形状に対して磁石2の縁の形状を相似形とし、相似形状の磁極片3の縁と磁石2の縁との距離xを一定とするようにしている。この場合には、磁極片3の間で形成される被処理流体を通過させる通路6の磁石2を配置している領域Aの全域で磁場の強い影響を受け、中でも通路が交差する被処理流体が流れ易い箇所では磁束が集中してより強い磁場の影響を受ける。
積層体4は、交互に積層した磁石2と磁極片3を1本の支持軸7に通して1つのブロックに構成されている。本実施形態では、積層体4は例えば4本備えられている。さらに、4本の積層体4は、例えば2枚の端部固定板8と2枚の中間固定板9に組み付けられ一体化されている。即ち、4本の積層体4は、支持軸7と同じ長さの支柱10を中心に円状に且つ平行に並べられ、両端を端部固定板8によって、中間の2箇所を中間固定板9によってそれぞれ束ねられている。より具体的には、支柱10と各積層体4の支持軸7の両端にはねじ部11と段部12(図2に支持軸7について図示)が形成されており、段部12を端部固定板8の裏面に当て、ねじ部11を端部固定板8の孔に通してナット13を締め付けることで、各積層体4の両端を端部固定板8に取り付けている。また、磁石2と磁極片3を交互に積層して積層体4を製造する際、中間の2箇所において磁極片3の代わりに中間固定板9を積層しておくことで、4本の積層体4の途中の部分を数段毎に束ねている。本実施形態では、図1の上から4段目と5段目の間と、10段目と11段目(下から4段目と5段目)の間に中間固定板9を積層している。4本の積層体4を組み付ける際、隣接する積層体4の磁石2同士が反発又は吸引し合うので、途中に中間固定板9を設けることで、磁石2の反発又は吸引による振れで組付作業性が損なわれるのを防止することができる。また、途中に中間固定板9を設けることで、4本の積層体4の中間部分の剛性を向上させることができ、特に積層数が多くなる場合に有用である。尚、磁石2は脆く破損し易いのでそのかけらが流出しないようにするため、ステンレス製キャップ2aに納めて磁極片3に組み付けられている。例えば、本実施形態では磁石を2枚ずつ合わせてステンレス製カップ2aに収納して、磁極片3を挟んで連結するようにしている。勿論、磁石2は、1枚ずつでも良いし、場合によっては3枚以上合わせてカップ2aに収納して用いても良い。
一体化された4本の積層体4から成る磁気式流体処理装置本体1は、筒状ケーシング14内に収容されて被処理流体が流れる管路5に組み込まれる。本実施形態では、横断面形状が円形状を成す筒状ケーシング14内に磁気式流体処理装置本体1を収容するので、磁気式流体処理装置本体1全体の軸方向からみた輪郭を円形にする必要がある。このため、積層体4の数が4本の場合には、積層体4の磁極片3の形状を中心角が90度の扇形としている。ここで、筒状ケーシング14の出入り口16,17は積層体4を収容するケーシング本体部分に向けて緩やかに拡径したレジューサで構成されている。レジューサの拡径角度は例えば7°〜10°程度に設定されている。
隣接する積層体4の磁極片3の間には、適宜隙間があけられて被処理流体を通過させる通路6が形成されている。この通路の幅(隣合う磁極片3の間の隙間)dの大きさは、圧力損失と比例し磁場強度と反比例するので、磁場の影響が大きく低下しない範囲内で可能な限り広くすることが好ましい。即ち、被処理流体の圧力損失を考慮すると、磁極片3間の隙間(通路6)は広い方が良い。一方、発生する磁束密度の大きさを考慮すると、磁極片3間の隙間は狭い方が良い。そして、本発明者等の実験によると、磁極片3間の隙間(通路幅)dが0mm(隙間無し)から広がるにつれて磁極片3間の磁束密度は徐々に減少するが、約9mmまでは磁束密度の減少は緩やかであり、約9mmを超えると磁束密度の減少が目立ち始めるが、10mm程度までは磁力の低下が磁気処理に必要な磁束密度・強い磁場を形成するに実用上問題とならない範囲である。そこで、磁極片3間の磁束密度の減少と被処理流体の圧力損失の低減を考慮して、本実施形態では磁極片3間の隙間を10mmとしている。尚、本実施形態では、扇形の磁極片3を支柱10まわりに円形状に並べる配置であるので、軸方向からみて十字形状の通路6が形成される。通路6は各段の磁極片3毎に形成される。また、中間固定板9には、例えば図4に示すような切り欠き孔15が4箇所に設けられており、中間固定板9の段においては各切り欠き孔15が通路6となる。各切り欠き孔15は磁極片3間の通路6の上に重なるように配置されており、被処理流体の流れを妨げ難い構造となっている。
通路6には磁束密度の必要性に対する重み付けがなされており、必要な箇所に必要な磁束密度・強い磁場を形成して磁力線と垂直に被処理流体を通過させるようにされている。つまり、被処理流体の磁気処理を行う場合、通路6の全ての部分について磁束密度を大きくしなくても、必要なところだけに磁束密度を大きくすれば、被処理流体を十分に活性化することができて磁気処理の効果として十分な効果を得ることができると考えられる。そこで、通路6を形成する領域の磁極片3の縁と磁石2の縁との距離xが、磁場を最も強くしたい箇所で最も狭くなるように設けて磁場強度を制御することで重み付けするようにしている。
本実施形態の場合、ケーシング14の管壁から離れた中央寄りの被処理流体が流れやすい領域Aに大きな磁束密度を与え、それ以外の領域の重み付けを小さくした。この場合、磁極片3の周辺のケーシング14との間の僅かな隙間(通路)あるいはその近傍の磁極片3間の通路6においては磁場の影響を大きく受けることがなくても、この部分には圧力損失やケーシング壁面との流体摩擦などによって被処理流体が流れ難いので、磁気処理効果に与える影響は小さい。したがって、磁束密度を被処理流体が流れやすい箇所に集中させることによる磁気処理の効率向上の方が上回り、全体として磁気処理・活性化を良好に行うことができる。
上述の重み付けをするため、磁石2は、通路6を形成する領域の互いに隣設する磁極片3の縁の形状に対して磁石2の縁の形状を相似形とし、相似形状の磁極片3の縁と磁石2の縁との距離xが一定となるように磁極片3と磁石2とを積層させている。即ち、本実施形態では、扇形の磁極片3に対し、磁石2の平面形状を中心角90度の扇形状とし、磁石2の縁と磁極片3の縁とが通路6の被処理流体が流れ易い領域Aにおいて等しくなるように配置されている。このようにすることで、磁石2として磁力が強く高価なものを使用しなくても、通路6の重み付けの大きな部分に重点的に大きな磁束密度を発生させることができる。
本発明者等の実験によると、少なくとも200ガウス、好ましくは500ガウスの磁束密度が水に作用すれば赤さびが黒さびに変化したことが同定できた。したがって、残留磁束密度の高い高価な希土類系磁石等を使わなくとも、安価なフェライト系磁石でも十分な磁気処理効果が得られる。しかも、このフェライト系磁石は磁気特性が安定している。
ここで、磁石の着磁方向は、積層方向(水の流れ方向)にN,Sとし隣合う磁石の対向する磁極がN,S極となるようにしても良いが、本実施形態の場合には積層体の積層方向と直交する同一平面において、互いに隣設する磁極片が同一磁極であるようにしている。さらには、同一平面内の磁石は全て同一磁極とし、積層方向にN極の平面とS極の平面とを交互に配置するようにしている。そして、通路6の幅dよりも磁極片3の積層方向の間隔tの方が広くなるように形成している。これによって、通路6を通過する被処理流体が互いに隣り合う磁極片3の同一磁極間で反発し合う磁力線を垂直に横切る。この場合、被処理流体に対して作用する磁力線の向きは1段毎に逆になるので、被処理流体は1段ごとに向きを変えた磁力線によって活性化されることになる。このため、被処理流体に対する磁束作用を極めて大きくすることができ、小型の装置で高い活性化効果を得ることができる。N極とS極とに交互に通過することによって効率的にスピン現象を起こすことでさび成分などが磁気をもった小さなマグネトロンになり、配管の内壁に発生するマイナスのゼータ電位に対してプラス電位となった細かな磁石が吸着することで管壁をマグネタイトで次第に被覆するものと推定される。
以上のように構成された磁気式流体処理装置によると、管路5から供給される被処理流体は、レジューサから成る入り口16を経て筒状ケーシング14内に大きな乱れを招くことなく流入する。そして、ケーシング内での流れの挙動がどのようであろうと、各段の磁極片3の間の通路6を通過する際には、被処理流体に磁力線が直角に作用する。しかも、被処理流体の多くが磁気処理に必要な磁束密度が発生する領域Aを通過するため、筒状ケーシング14内を通り抜ける頃には、磁気処理・活性化が完了している。即ち、大きな磁束密度が欲しい所に大きな磁束密度を発生させることができる。このため、効率よく被処理流体の活性化を行うことができ、通路6全体に大きな磁束密度を発生させるような強い磁力の磁石2を使用しなくて済む。
本発明は、被処理流体が水の場合は勿論のこと、例えば軽油、ガソリン等の石油燃料や、化学プラントにおける供給反応材料等、磁束作用での活性化効果の得られる他の幅広い流体に適用することができる。
この磁気式流体処理装置1を例えば給水配管に装着した場合には、被処理流体として水に対する高い活性化効果が得られ、水による配管内の腐食の進行を止め、あるいは防止する。また、付着スケールの溶解、再付着防止効果を得ることができ、安価なランニングコストで長期にわたって高品質の給水を得ることができる。しかも、小型、低コストで設置場所にも制約が少ない。
なお、水の磁気処理の効果として、配管内の腐食の進行を止め、あるいは防止できるメカニズムは次の通りである。即ち、水は極性を有しており、水流は耐電粒子の流動である。したがって、この水流が磁場を通過すると電磁誘導により、誘導電流が発生する。さらに、誘導電流が発生すると同誘導電流によって水は電気分解されて、原始的に原子状態の活性水素と活性酸素が発生することとなる。
このうち、活性酸素は、すぐに水と結合してHを生成する。一方、非常に還元力が強い活性水素は、水道管壁に堆積した赤錆Feを還元して、四酸化三鉄Feを生成する。また、水中に含まれる鉄イオンに対しては、酸化の進行を防止する。ここで、赤錆Feは進行性の腐食生成物であるため、放置しておくと水道管壁面を浸食して漏水の原因ともなるし、それ自体が流出して赤水を発生させる原因ともなっている。一方、四酸化三鉄Feは非常に安定な酸化物であって、一度生成されると再び酸化されて赤錆Feを発生させることもない。さらに、水道管壁面に生成した四酸化三鉄Feは緻密な被膜を形成するため水道管を赤錆による浸食から保護する。したがって、磁気処理を行った水は、水道管の閉塞、漏水、赤水を防止することが可能となっている。本発明者等の実験によると、本発明の磁気処理装置を温水管・給水管に設置した場合、設置45日目において濁度・溶出鉄分などに顕著な変化が現れ、設置88日目にはX線回折法による同定検査にて配管内のマグネタイト化が確認された。また。発電所の排水管に設置した場合の実験においては、3ヶ月設置した後に、装置を2週間外していても、ゼータ電位(界面電位)が確認され、管内壁面にマグネタイトが生成されたことが推定された。
また、同時に、磁気処理により発生する活性酸素は、菌の餌となる有機物を分解したり、住みかをなくして、レジオネラ菌やその他の菌類、藻類などが繁殖し難い環境を作り出し維持すると共に、スケール成分(カルシウム、マグネシウムなど)の析出を抑えることができる。即ち、磁気処理により水の活性化を促し、菌の餌となる有機物を分解したり、住みかをなくして、菌類や藻類などが繁殖し難い環境を作り出し維持する。同時に、磁気処理により、水の分子の集合体であるクラスターが小さくなり、溶解度が上がることから、スケール成分(カルシウム、マグネシウムなど)の析出を抑えることができる。スケール成分は磁気処理により固着力が弱まり、微細化した状態で装置から流出するので、配管や熱交換機・濾過器などへ付着しない。通常、スケールを形成する結晶核は、電気的に不安定な状態で溶存しており、相互間の磁性によって誘因凝集(反応)しながら粒子状に成長する。そして、更に成長を続けた粒子は、配管内の静電気に引き寄せられて管壁に沈殿・固着して管を閉塞させる。しかし、磁化処理すると、存置内の電場(磁場)が結晶核の電位を配管内の静電気に反発する電位に変えるので、結晶核は浮遊しながら微細な粒子状態で安定し、配管に付着せずに貝部へ排出される。また既に固着しているスケールは、粒子が丸みを帯び、相互間の付着力が低下し徐々に剥離して管外へ流出する。スライムは、水中に存在する殺菌が有機物などを利用して増殖したコロニーが主なものであり、細菌がお互いに粘着物質を分泌しながら凝集して徐々に大きな集合体へ成長する状態である。このスライムが配管内や系統内に付着した場合、熱交換率の低下や更にはスライムの増加に伴って配管との界面が局部的に嫌気状態となって酸素濃淡電池が発生し腐食を助長する弊害も発生する。スライムは、その特性上、スケール、腐食生成物等の付着物質がある場合にはより発生しやすい傾向がある。このため、スライム防止のためにはスケール、腐食などの発生・付着を防止することが重要であるが、磁気処理によれば同時にこれらスケール付着も防止できるので好ましい。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述の説明では、積層体4の数を4本にしていたが、積層体4の数は4本に限るものではなく、2本、3本、あるいは5本以上にしても良い。例えば、図7に積層体4の数を9本とした場合の例を示す。この場合には、軸方向からみて格子状の通路6となる。なお、図7の符号Aで示す仮想線の円の範囲が通路6の大きな重み付けの部分である。また、例えば図8に示すように、外側の積層体4の磁極片3と筒状ケーシング14との間も通路6にする場合には、通路6全体に大きな重み付けをしても良い。この場合には、磁石2の横断面の形状及び大きさを磁極片3の形状及び大きさとほぼ同じにすれば良い。即ち、磁極片3並びに磁石2の形状は、前述の扇形に限定されるものではなく、必要に応じて種々の形状をとり得ることができるものである。
また、上述の説明では、隣接する積層体4では、向かい合う磁極片3同士が同極になるようにしていたが、この構成に限るものではなく、例えば図9に示すように、向かい合う磁極片3同士が異極になるようにしても良い。この場合にも、磁極片3間には磁力線が発生するので、被処理流体に対して磁力線を作用させることができる。
また、上述の説明では、各積層体4の磁極片3の高さを同一にし、図6に示すように隣接する積層体4の磁極片3同士が正面に向かい合うように配置していたが、例えば図10に示すように、一端にスペーサ16を設ける等して隣接する積層体4の磁極片3同士をずらして配置しても良い。磁極片3同士の配置をずらすことで磁極片3間の距離が広がるので、通路6の通路面積を増加させて被処理流体の圧力損失を減らすことができる。
本発明の磁気式流体処理装置の第1の実施形態を示す斜視図である。 積層体の端部を示す斜視図である。 図1のIII−III線に沿う断面図である。 中間固定板の平面図である。 磁気式流体処理装置をケーシング内に設置した様子を示す平面図である。 隣接する積層体の磁極片の磁極の関係を説明するための図である。 本発明の磁気式流体処理装置の第2の実施形態を示し、その図3に対応する断面図である。 本発明の磁気式流体処理装置の第3の実施形態を示し、その図3に対応する断面図である。 本発明の磁気式流体処理装置の第4の実施形態を示し、その図6に対応する図である。 本発明の磁気式流体処理装置の第5の実施形態を示し、その図6に対応する図である。 従来の磁気式流体処理装置の斜視図である。 図11のXII−XIIに沿う断面図である。
符号の説明
1 磁気式流体処理装置
2 磁石
3 磁極片
4 積層体
5 管路
6 通路

Claims (9)

  1. 被処理流体の出入り口を有する筒状ケーシングに磁石と磁極片とを交互に積層した積層体を互いに平行に複数配置して、互いに隣り合う前記積層体の磁極片の間で前記被処理流体を通過させる通路を形成し、前記被処理流体が前記通路を通過する際に前記被処理流体に磁界を作用させる磁気式流体処理方法において、前記通路を形成する領域の前記磁極片の縁と前記磁石の縁との距離が、磁場を最も強くしたい箇所で最も狭くなるようにすることで磁場強度を制御することを特徴とする磁気式流体処理方法。
  2. 前記通路を形成する領域の互いに隣設する前記磁極片の縁の形状に対して前記磁石の縁の形状を相似形とし、前記相似形状の前記磁極片の縁と前記磁石の縁との距離を一定とすることを特徴とする請求項1記載の磁気式流体処理方法。
  3. 被処理流体の出入り口を有する筒状ケーシングに磁石と磁極片とを交互に積層した積層体を互いに平行に複数配置して、互いに隣り合う前記積層体の磁極片の間で前記被処理流体を通過させる通路を形成し、前記被処理流体が前記通路を通過する際に前記被処理流体に磁界を作用させる磁気式流体処理装置において、前記通路を形成する領域の前記磁極片の縁と前記磁石の縁との距離が、磁場を最も強くしたい箇所で最も狭くなるようにしたことを特徴とする磁気式流体処理装置。
  4. 前記通路を形成する領域の互いに隣設する前記磁極片の縁の形状に対して前記磁石の縁の形状を相似形とし、相似形状の前記磁極片の縁と前記磁石の縁との距離が一定となるように前記磁極片と前記磁石とを積層させたことを特徴とする請求項3記載の磁気式流体処理装置。
  5. 前記通路の幅が最大でも10mmの範囲で最も圧損が少なくなる広さとしたことを特徴とする請求項3または4に記載の磁気式流体処理装置。
  6. 前記筒状ケーシングの出入り口は前記積層体を収容する部分に向けて緩やかに拡径したレジューサであることを特徴とする請求項3から5のいずれか1つに記載の磁気式流体処理装置。
  7. 前記積層体の積層方向と直交する同一平面において、互いに隣設する磁極片が同一磁極であることを特徴とする請求項3から6のいずかれ1つに記載の磁気式流体処理装置。
  8. 前記同一平面内の磁石は同一磁極とし、水の流れ方向にN極とS極を交互に配置することを特徴とする請求項7記載の磁気式流体処理装置。
  9. 前記通路の幅よりも前記磁極片の積層方向の間隔の方が広いことを特徴とする請求項7または8に記載の磁気式流体処理装置。
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