しかしながら、塩素などの薬剤を加える除菌装置においては、除菌能力を高めるために薬剤濃度即ち塩素濃度を上げる必要があるが、法定基準の残留濃度とするためには限界がある。また、オゾンを加える除菌装置においては、オゾンを常時発生させるオゾン生成装置を必要とし、設備コストがかかる上にランニングコストもかかる問題がある。さらに、加熱、殺菌のような方法では、大量の水を利用する現場やプラント系などにおいては加熱のためのランニングコストが大きくなり過ぎる問題がある。更に、抗菌・除菌塗料を用いる場合には、各種菌類、藻類並びに紫貝などの稚貝の付着成長を防ぐことが可能であるが、これら塗料が海水中に溶け出して排出され、自然環境を汚染することが危惧される。
本発明は、除菌効果が高い上に長期運転が可能な除菌装置を提供することを目的とする。また本発明は運転が簡単でかつ低ランニングコストの除菌装置を提供することを目的とする。また、本発明は、スケール、スライム、ぬめり、レジオネラ菌やその他の菌類、藻類、ムラサキガイやその他の稚貝などのあらゆる除染対象物の除去を可能とする除菌装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、被処理流体の入口と出口とを有する筒状ケーシング内に、殺菌部と、水を活性化させる活水処理部とを収容するようにしている。ここで、殺菌部は銅イオン、銀イオンの少なくともいずれか一方を発生させる金属イオン発生部、あるいは酸化チタンと紫外線源を含むものであることが好ましい。ここで、金属イオンと光触媒との併用、例えば銀イオンと酸化チタン、銅イオンと酸化チタン、銀と銅と酸化チタンの併用がより好ましい。
さらに、活水処理部は、磁石と磁極片とを交互に積層した積層体を互いに平行に複数配置して、互いに隣り合う積層体の磁極片の間で被処理流体を通過させる通路を形成し、被処理流体水が通路を通過する際に被処理流体に磁界を作用させるものであり、通路を形成する領域の互いに隣接する磁極片の縁の形状に対して磁石の縁の形状を相似形とし、相似形状の磁極片の縁と磁石の縁との距離が、磁場を最も強くしたい箇所で最も狭くなるようにすると共にその他の箇所では一定となるようにしている。
また、筒状ケーシングの出入り口は殺菌部並びに活水処理部を収容する部分に向けて緩やかに拡径したレジューサであることが好ましく、より好ましくは筒状ケーシングの出入り口とは別に、殺菌部と活水処理部をケーシング内に出し入れ可能とする少なくとも1つの着脱蓋を備えることである。
上記のように構成した本発明においては、ケーシングを水道管路やプラント配管などの配管系の途中に組み込むと、被処理流体例えば水が当該ケーシング内を通過する際に、殺菌部において金属イオン例えば銅イオンあるいは銀イオン若しくは銅イオンと銀イオンの双方が溶出するとともに、活水処理部で水が活水化される。溶出する銅イオンは殺藻効果に優れ、銀イオンは殺菌効果を期待できる。また、水を活水化することにより、当該装置(筒状ケーシング)以降の管路にはスライムなどの発生が抑制される。スライムは水中の細菌の温床となるが、これの抑制により細菌の餌や温床が無くなるので、菌が繁殖し難い環境を作り出す。
従って、溶出した金属イオン例えば銅イオンや銀イオンなどによる殺菌あるいは滅菌を図る一方、活水処理によって細菌の繁殖し難い環境を整えるので、これらが相乗的に作用して比較的に短期に除菌効果が得られ、スケール、スライムの生成を抑え、レジオネラ菌やぬめりの原因となる細菌などのその他の菌類の繁殖を防ぐ。また、藻類やムラサキガイやその他の稚貝などは、金属イオンでは殺せないまでも、成長できないかあるいは餌不足の環境のため死滅する。
ここで、活水処理は、菌の餌となる有機物を分解したり、住みかをなくして、レジオネラ菌やその他の菌類、藻類などが繁殖し難い環境を作り出し維持すると共に、スケール成分(カルシウム、マグネシウムなど)の析出を抑えることができる。例えば磁気処理による活水処理によると、ロレンツ効果を利用して水の活性化を促し、菌の餌となる有機物を分解したり、住みかをなくして、菌類や藻類などが繁殖し難い環境を作り出し維持する。同時に、磁気処理により、水の分子の集合体であるクラスターが小さくなり、溶解度が上がることから、スケール成分(カルシウム、マグネシウムなど)の析出を抑えることができる。スケール成分は磁気処理により固着力が弱まり、微細化した状態で装置から流出するので、配管や熱交換機・濾過器などへ付着しない。通常、スケールを形成する結晶核は、電気的に不安定な状態で溶存しており、相互間の磁性によって誘因凝集(反応)しながら粒子状に成長する。そして、更に成長を続けた粒子は、配管内の静電気に引き寄せられて管壁に沈殿・固着して管を閉塞させる。しかし、磁化処理すると、存置内の電場(磁場)が結晶核の電位を配管内の静電気に反発する電位に変えるので、結晶核は浮遊しながら微細な粒子状態で安定し、配管に付着せずに貝部へ排出される。また既に固着しているスケールは、粒子が丸みを帯び、相互間の付着力が低下し徐々に剥離して管外へ流出する。スライムは、水中に存在する殺菌が有機物などを利用して増殖したコロニーが主なものであり、細菌がお互いに粘着物質を分泌しながら凝集して徐々に大きな集合体へ成長する状態である。このスライムが配管内や系統内に付着した場合、熱交換率の低下や更にはスライムの増加に伴って配管との界面が局部的に嫌気状態となって酸素濃淡電池が発生し腐食を助長する弊害も発生する。スライムは、その特性上、スケール、腐食生成物等の付着物質がある場合にはより発生しやすい傾向がある。このため、スライム防止のためにはスケール、腐食などの発生・付着を防止することが重要であるが、磁気処理によれば同時にこれらスケール付着も防止できるので好ましい。
更に、磁気処理による活水処理の場合には、配管内の腐食の進行を止め、あるいは防止できる。即ち、水は極性を有しており、水流は耐電粒子の流動である。したがって、この水流が磁場を通過すると電磁誘導により、誘導電圧が発生する。さらに、誘導電圧が発生すると同誘導電圧によって水は電気分解されて、原始的に原子状態の活性水素と活性酸素が発生することとなる。このうち、活性酸素は、すぐに水と結合してH2O2を生成する。一方、非常に還元力が強い活性水素は、配管の内壁に堆積した赤錆Fe2O3を還元して、四酸化三鉄Fe3O4を生成する。また、水中に含まれる鉄イオンに対しては、酸化の進行を防止する。ここで、赤錆Fe2O3は進行性の腐食生成物であるため、放置しておくと配管の内壁面を浸食して漏水の原因ともなるし、それ自体が流出して赤水を発生させる原因ともなっている。一方、四酸化三鉄Fe3O4は非常に安定な酸化物であって、一度生成されると再び酸化されて赤錆Fe2O3を発生させることもない。さらに、配管内壁面に生成した四酸化三鉄Fe3O4は緻密な被膜を形成するため水道管を赤錆による浸食から保護する。したがって、磁気処理を行った水は、配管の内壁の腐食を防ぐ。
また、銅イオン、銀イオンの少なくともいずれか一方を発生させる殺菌部における菌類の殺菌は、スケール、細菌、藻などから電子を奪うことによってその組織体のバランスを崩し、無機物については溶解流出させ、有機物についてはその生命活動を攪乱して死滅させるものである。なかでも、銅イオンは藻類の細胞内の酵素と結合して、栄養源をエネルギーに変化させる整理作用を阻害し、藻類を死滅さることから、藻類に対し優れた殺菌効果を有する。また、銀イオンは、物質から水素を取り込む働きがあり、各種の細菌やウィルスから水素を奪うことにより抗菌作用が働く。これら金属イオンによる殺菌効果は、1893年に植物学者ネーゲリによって発見された。ネーゲリは、1000万分の1の銅イオンがアオミドロを死滅させることを発見した。この微量金属作用(オリゴデナミーと呼ばれる、銅イオンの殺菌効果を言う)は、銀においても同様の効果を示すことが発見されている。
また、光触媒と紫外線源を含む殺菌部の場合には、光触媒効果による殺菌作用と自浄作用による防汚、吸着脱臭、有害物質の除去、汚染物質の分解・除去による浄水が図られる。光触媒としてはアナターゼ型酸化チタンの採用が好ましく、酸化チタンの表面で微量の紫外線で高化学反応を起こし、水を分解して活性酸素を作り出し、この活性酸素の強い酸化力で有機物質(細菌の餌となったり汚れの原因となる)を酸化分解させたり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌やO157等の細菌類を殺菌する。このため、スケール、スライムの生成を抑え、レジオネラ菌やぬめりの原因となる細菌などのその他の菌類の繁殖を防ぐと共に、藻類やムラサキガイやその他の稚貝などの成長を抑制しあるいは死滅させる。
さらには、金属イオンと光触媒との併用、例えば銀イオンと酸化チタン、銅イオンと酸化チタン、銀と銅と酸化チタンを併用する場合、紫外線が当たらない部分でも金属イオンの殺菌・抗菌作用の補完により、水中に浮遊する菌類が激減する。
しかして本発明によると、殺菌部で溶出した金属イオン例えば銅イオンや銀イオンあるいは活性酸素などによる殺菌あるいは滅菌を図る一方、活水処理によって細菌の繁殖し難い環境を整えるので、これらが相乗的に作用して比較的に短期に除菌効果が得られ、スケール、スライムの生成を抑え、レジオネラ菌やぬめりの原因となる細菌などのその他の菌類の繁殖を防ぐ。また、藻類やムラサキガイやその他の稚貝などは、金属イオンでは殺せないまでも、成長できないかあるいは餌不足の環境のため死滅させることができる。
また、本発明によると、金属イオンにより殺菌するようにしているので、複雑な配管中における殺菌において効果的である上に、残存して抗菌効果を持続する特長があり、人体に対する悪影響もないので安心して使用できる。さらに、光触媒と紫外線源を含む場合にも、光触媒反応によって生成される高酸化酸素によって殺菌されるので、人体に対する悪影響もないので安心して使用できる。
また、本発明によると、金属イオンと光触媒とを併用した殺菌部を用いる場合には、紫外線があたる光触媒の表面では光触媒反応によって生成される高酸化酸素によって殺菌され、紫外線が当たらない部分でも金属イオンの殺菌・抗菌作用により殺菌効果が補完されるため、水中に浮遊する菌類が激減する。
更に、活水処理部において、磁極片間に形成される通路の必要な箇所に必要な磁束密度・強い磁場を形成して磁力線と垂直に被処理流体を通過させて、通路の被処理流体が流れやすい箇所に大きな磁束密度を与えることができるので、磁場を最も強くしたい箇所に最も強い磁場を与えるように制御できるので、希土類系磁石に比べて比較的低磁束の磁石例えばフェライト系磁石を使っても、磁極片間に形成される通路の磁場が必要な箇所に必要な磁束密度・強い磁場を形成して流体の磁気処理・活性化を良好に行うことができる。したがって、残留磁束密度の高い高価な希土類系磁石等を使わなくとも、安価なフェライト系磁石でも十分な磁気処理効果が得られると共に、磁石並びに磁極片の段数を減らして装置を小型化することができる。
さらに、筒状ケーシングの出入り口を緩やかに拡径したレジューサとしているので、圧力損失を低減できる。また、出入り口とは別に、殺菌部と活水処理部を管体内に出し入れ可能とする少なくとも1つの着脱蓋を備えるので、メンテナンスが容易である。
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明の除菌装置の一実施形態を示す。この除菌装置は、被処理流体の入口16と出口17とを有する筒状ケーシング14内に、殺菌部20と、水を活性化させる活水処理部1とを収容し、水道管路やプラント配管などの配管系5の途中に組み込まれて、被処理流体例えば水が殺菌部20と活水処理部1とを通過するように構成されている。
筒状ケーシング14は、本体部分が円筒形を成し、中央にフランジ継手部を備えて中央で分割可能に連結されている。ケーシング14の内部は、特に仕切などを形成していないが、水の流下に支障を生じない程度のスペーサなどを殺菌部20と活水処理部1との間に介在させることにより、殺菌部20と活水処理部1とを区画している。勿論、これらはスペーサなどを介さずに連続的に配置されても良い。殺菌部20と活水処理部1との装入あるいは交換は、本体部分をフランジ部分で分割することにより行われる。ここで、筒状ケーシング14の入口16,出口17は、殺菌部20並びに活水処理部1を収容する部分に向けて緩やかに拡径したレジューサであることが好ましい。レジューサの拡径角度は例えば7°〜10°程度に設定されている。このレジューサから成る入り口16を経て筒状ケーシング14内に大きな乱れを招くことなく流入する。
殺菌部20は、本実施形態の場合、銅イオン、銀イオンの少なくともいずれか一方を発生させる金属イオン発生部である。この殺菌部20においては、金属イオン例えば銅イオンあるいは銀イオンのいずれか一方若しくは銅イオンと銀イオンの双方が溶出する。ここで、銀イオンは優れた殺菌効果を有し、銅イオンは殺藻効果については銀イオンより優れた効果を有する。必要に応じて銅イオンと銀イオンの少なくとも一方あるいは双方を発生させる。例えば、レジオネラ菌などの細菌を主として殺菌する場合には、銀イオンの使用が効果的であるが、藻類の繁殖を防ぐ場合には銅イオンの殺藻効果に優れる。尚、本実施形態の場合、殺菌部20は筒状ケーシング20内の上流側(入口16側)に配置されているが、これに特に限定されるものではなく、下流側(出口17側)に配置しても良いし、上流と下流のそれぞれに活水処理部1を挟んで配置しても良いし、場合によっては上流と下流のそれぞれに活水処理部1を配置してその間に殺菌部20を配置しても良い。また、図示していないが、濾材を配置しても良い。
殺菌部20は、図示していないが、通水性に優れる容器例えばステンレス製のメッシュから成る円筒状のかごなどに、金属イオンを溶出する物質・溶出源を収容してなる。溶出源としては、例えば銅あるいは銀の粒(粒径数mm程度)、線材、繊維、チップなどの使用が好ましい。これら銅あるいは銀の粒などは、銅あるいは銀のメッキを施したり、蒸着させたりしたものでも良いし、不純物を含んだり、合金であっても良い。
また、容器を用いずに金属イオン溶出源を構成するようにしても良い。例えば、パンチングメタル状に多数の貫通孔をあけた銅あるいは銀製の円板、あるいはステンレス製やプラスチック製、セラミック製などのパンチングメタル素材に銅メッキや銀メッキを施したものを適宜間隔を開けて複数層設置するようにしたものでも実施可能である。さらには、銅あるいは銀若しくはこれらの合金の焼結品で通水性の板や筒などを構成して、ケーシング内に収容するようにしても良い。
また、殺菌部20としては、金属イオンを発生させるものに限られず、図2あるいは図3に示すように、光触媒と紫外線源を含むものであっても良い。光触媒20としては、アナターゼ型酸化チタンの採用が好ましく、紫外線源となるランプ30を適当な位置に配置するようにしている。この場合、筒状ケーシング14としては、被処理流体の入口16,出口17とは別に、殺菌部20と活水処理部1を出し入れ可能とする少なくとも1つの着脱蓋を備えていることが好ましい。例えば、図2の筒状ケーシング14では、円筒形の本体の側面部分に配置された入口16に対し、出口17は円筒形の本体の後端に配置され、被処理流体がL形に流れる流路を形成している。そして、入口16と隣接させて、円筒形の本体の前端にフランジ継ぎ手で着脱可能に設けられた着脱蓋18が形成されている。この着脱蓋18を開いて殺菌部20と活水処理部1の装入並びに交換などが行われ、さらには紫外線ランプ30の装入が行われている。また、図3の筒状ケーシング14では、円筒形の本体の側面部分に入口16と出口17とがそれぞれ配置され、円筒形の本体の両端にそれぞれ着脱蓋18,19がフランジ継ぎ手で着脱可能に取り付けられ、被処理流体がU形に流れる流路を形成している。殺菌部20の出し入れは着脱蓋18を開いて、活水処理部1の出し入れは着脱蓋19を開いて行われる。紫外線ランプ30は殺菌部20が設置されている側の着脱蓋、本実施形態では着脱蓋18側から装着されている。
ここで、酸化チタンは、被処理流体の通過を阻害しない構造あるいは材質でなければどのような形態で設けられても良く、例えば通水性に優れる多孔質の基材や多数の通路を有するハニカム形状の基材、フィルター素材などに、コーティングや接着などによって固定することにより使われる。この場合、紫外線が満遍なく照射されるように配慮されることが必要である。例えば、酸化チタン保持基材として、漏光型光ファイバーを用い(図3の横断面図のように配置)、このファイバの周面に酸化チタンをコーティングして、ファイバ端面から紫外線を照射するようにしても良い。漏光型光ファイバーは、その周面から僅かに光が漏洩する構造を有するものであり、僅かな紫外線で光触媒反応を起こす酸化チタンの保持基材(担体)として好適なものである。この漏光型光ファイバーを、各ファイバ間を被処理流体が流れるように適宜隙間を空けて筒状ケーシング14内に管軸と平行に配置して束ね、一方の端面から紫外線ランプ30で紫外線を照射すれば、各ファイバを通過する紫外線がファイバの周面から少しずつ漏れて、各光ファイバーの周りにコーティングされた全面の酸化チタンを内面からの紫外線で満遍なく活性化して光触媒反応を起こすことができる。
この光触媒と紫外線源を含む殺菌部の場合には、紫外線照射による光触媒効果により殺菌作用と自浄作用による防汚、吸着脱臭、有害物質の除去、汚染物質の分解・除去による浄水を図る。光触媒としてはアナターゼ型酸化チタンの採用が好ましく、酸化チタンの表面で微量の紫外線で高化学反応を起こし、水を分解して活性酸素を作り出し、この活性酸素の強い酸化力で有機物質(細菌の餌となったり汚れの原因となる)を酸化分解させたり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌やO157等の細菌類を殺菌する。このため、スケール、スライムの生成を抑え、レジオネラ菌やぬめりの原因となる細菌などのその他の菌類の繁殖を防ぐと共に、藻類やムラサキガイやその他の稚貝などの成長を抑制しあるいは死滅させる。
さらには、光触媒による殺菌部20は金属イオン発生部と併用すること、例えば銀イオンと酸化チタン、銅イオンと酸化チタン、銀と銅と酸化チタンを併用することが好ましい。この場合には、紫外線が当たらない部分でも金属イオンの殺菌・抗菌作用が補完して水中に浮遊する菌類が激減する。ここで、光触媒と銅イオン発生源あるいは銀イオン発生源を一緒にケーシング14に充填しておけば、銅イオンや銀イオンを含んだ被処理流体が酸化チタンの表面を流れるときに紫外線照射によって光触媒上での還元反応により銅や銀の微粒子の形で酸化チタンの表面に付着する。このため、予め酸化チタンの表面に銅や銀の微粒子を付着させておく必要がなく、製造が容易である。本実施形態の場合には、酸化チタンをコーティングした部分よりも上流側に金属イオン発生部を設けることが好ましいが、酸化チタンを担持する基材あるいは素材を銅製あるいは銀製(メッキなどでも可)で構成しても良い。勿論、予め酸化チタンの表面に銅や銀の微粒子を付着させておいても良い。
活水処理部1としては、図4〜12に示す磁気式水処理装置の使用が好ましい。この磁気式水処理装置1は、筒状ケーシング14に磁石2と磁極片3とを交互に積層した積層体4を互いに平行に複数配置して、互いに隣り合う積層体4の磁極片3の間で水を通過させる通路6を形成し、水が通路6を通過する際に水に磁界を作用させるようにしたものである。
ここで、通路6には磁束密度の必要性の重み付け、即ち意図的に狙った箇所に強い磁場を形成するように、通路6を形成する領域の磁極片3の縁と磁石2の縁との距離xが、磁場を最も強くしたい箇所で最も狭くなるように設けることで磁場強度を制御するようにしている。本実施形態では、通路6を形成する領域の互いに隣設する磁極片3の縁の形状に対して磁石2の縁の形状を相似形とし、相似形状の磁極片3の縁と磁石2の縁との距離xを一定とするようにしている。この場合には、磁極片3の間で形成される水を通過させる通路6の磁石2を配置している領域Aの全域で磁場の強い影響を受け、中でも通路が交差する水が流れ易い箇所では磁束が集中してより強い磁場の影響を受ける。
積層体4は、交互に積層した磁石2と磁極片3を1本の支持軸7に通して1つのブロックに構成されている。本実施形態では、積層体4は例えば4本備えられている。さらに、4本の積層体4は、例えば2枚の端部固定板8と2枚の中間固定板9に組み付けられ一体化されている。即ち、4本の積層体4は、支持軸7と同じ長さの支柱10を中心に円状に且つ平行に並べられ、両端を端部固定板8によって、中間の2箇所を中間固定板9によってそれぞれ束ねられている。より具体的には、支柱10と各積層体4の支持軸7の両端にはねじ部11と段部12(図5に支持軸7について図示)が形成されており、段部12を端部固定板8の裏面に当て、ねじ部11を端部固定板8の孔に通してナット13を締め付けることで、各積層体4の両端を端部固定板8に取り付けている。また、磁石2と磁極片3を交互に積層して積層体4を製造する際、中間の2箇所において磁極片3の代わりに中間固定板9を積層しておくことで、4本の積層体4の途中の部分を数段毎に束ねている。本実施形態では、図4の上から4段目と5段目の間と、10段目と11段目(下から4段目と5段目)の間に中間固定板9を積層している。4本の積層体4を組み付ける際、隣接する積層体4の磁石2同士が反発又は吸引し合うので、途中に中間固定板9を設けることで、磁石2の反発又は吸引による振れで組付作業性が損なわれるのを防止することができる。また、途中に中間固定板9を設けることで、4本の積層体4の中間部分の剛性を向上させることができ、特に積層数が多くなる場合に有用である。尚、磁石2は脆く破損し易いのでそのかけらが流出しないようにするため、ステンレス製キャップ2aに納めて磁極片3に組み付けられている。例えば、本実施形態では磁石を2枚ずつ合わせてステンレス製カップ2aに収納して、磁極片3を挟んで連結するようにしている。勿論、磁石2は、1枚ずつでも良いし、場合によっては3枚以上合わせてカップ2aに収納して用いても良い。
一体化された4本の積層体4から成る磁気式流体処理装置本体1は、筒状ケーシング14内に収容されて水が流れる管路5に組み込まれる。本実施形態では、横断面形状が円形状を成す筒状ケーシング14内に磁気式流体処理装置本体1を収容するので、磁気式流体処理装置本体1全体の軸方向からみた輪郭を円形にする必要がある。このため、積層体4の数が4本の場合には、積層体4の磁極片3の形状を中心角が90度の扇形としている。
隣接する積層体4の磁極片3の間には、適宜隙間があけられて水を通過させる通路6が形成されている。この通路の幅(隣合う磁極片3の間の隙間)dの大きさは、圧力損失と比例し磁場強度と反比例するので、磁場の影響が大きく低下しない範囲内で可能な限り広くすることが好ましい。即ち、水の圧力損失を考慮すると、磁極片3間の隙間(通路6)は広い方が良い。一方、発生する磁束密度の大きさを考慮すると、磁極片3間の隙間は狭い方が良い。そして、本発明者等の実験によると、磁極片3間の隙間(通路幅)dが0mm(隙間無し)から広がるにつれて磁極片3間の磁束密度は徐々に減少するが、約9mmまでは磁束密度の減少は緩やかであり、約9mmを超えると磁束密度の減少が目立ち始めるが、10mm程度までは磁力の低下が磁気処理に必要な磁束密度・強い磁場を形成するに実用上問題とならない範囲である。そこで、磁極片3間の磁束密度の減少と水の圧力損失の低減を考慮して、本実施形態では磁極片3間の隙間を10mmとしている。尚、本実施形態では、扇形の磁極片3を支柱10まわりに円形状に並べる配置であるので、軸方向からみて十字形状の通路6が形成される。通路6は各段の磁極片3毎に形成される。また、中間固定板9には、例えば図7に示すような切り欠き孔15が4箇所に設けられており、中間固定板9の段においては各切り欠き孔15が通路6となる。各切り欠き孔15は磁極片3間の通路6の上に重なるように配置されており、水の流れを妨げ難い構造となっている。
通路6には磁束密度の必要性に対する重み付けがなされており、必要な箇所に必要な磁束密度・強い磁場を形成して磁力線と垂直に水を通過させるようにされている。つまり、水の磁気処理を行う場合、通路6の全ての部分について磁束密度を大きくしなくても、必要なところだけに磁束密度を大きくすれば、水を十分に活性化することができて磁気処理の効果として十分な効果を得ることができると考えられる。そこで、通路6を形成する領域の磁極片3の縁と磁石2の縁との距離xが、磁場を最も強くしたい箇所で最も狭くなるように設けて磁場強度を制御することで重み付けするようにしている。
本実施形態の場合、ケーシング14の管壁から離れた中央寄りの水が流れやすい領域Aに大きな磁束密度を与え、それ以外の領域の重み付けを小さくした。この場合、磁極片3の周辺のケーシング14との間の僅かな隙間(通路)あるいはその近傍の磁極片3間の通路6においては磁場の影響を大きく受けることがなくても、この部分には圧力損失やケーシング壁面との流体摩擦などによって水が流れ難いので、磁気処理効果に与える影響は小さい。したがって、磁束密度を水が流れやすい箇所に集中させることによる磁気処理の効率向上の方が上回り、全体として磁気処理・活性化を良好に行うことができる。
上述の重み付けをするため、磁石2は、通路6を形成する領域の互いに隣設する磁極片3の縁の形状に対して磁石2の縁の形状を相似形とし、相似形状の磁極片3の縁と磁石2の縁との距離xが一定となるように磁極片3と磁石2とを積層させている。即ち、本実施形態では、扇形の磁極片3に対し、磁石2の平面形状を中心角90度の扇形状とし、磁石2の縁と磁極片3の縁とが通路6の水が流れ易い領域Aにおいて等しくなるように配置されている。このようにすることで、磁石2として磁力が強く高価なものを使用しなくても、通路6の重み付けの大きな部分に重点的に大きな磁束密度を発生させることができる。
本発明者等の実験によると、少なくとも200ガウス、好ましくは500ガウスの磁束密度が水に作用すれば赤さびが黒さびに変化したことが同定できた。したがって、残留磁束密度の高い高価な希土類系磁石等を使わなくとも、安価なフェライト系磁石でも十分な磁気処理効果が得られる。しかも、このフェライト系磁石は磁気特性が安定している。
ここで、磁石の着磁方向は、積層方向(水の流れ方向)にN,Sとし隣合う磁石の対向する磁極がN,S極となるようにしても良いが、本実施形態の場合には積層体の積層方向と直交する同一平面において、互いに隣設する磁極片が同一磁極であるようにしている。さらには、同一平面内の磁石は全て同一磁極とし、積層方向にN極の平面とS極の平面とを交互に配置するようにしている。そして、通路6の幅dよりも磁極片3の積層方向の間隔tの方が広くなるように形成している。これによって、通路6を通過する水が互いに隣り合う磁極片3の同一磁極間で反発し合う磁力線を垂直に横切る。この場合、水に対して作用する磁力線の向きは1段毎に逆になるので、水は1段ごとに向きを変えた磁力線によって活性化されることになる。このため、水に対する磁束作用を極めて大きくすることができ、小型の装置で高い活性化効果を得ることができる。N極とS極とに交互に通過することによって効率的にスピン現象を起こすことでさび成分などが磁気をもった小さなマグネトロンになり、配管の内壁に発生するマイナスのゼータ電位に対してプラス電位となった細かな磁石が吸着することで管壁をマグネタイトで次第に被覆するものと推定される。
ここで、積層体4の数は4本に限られず、2本、3本、あるいは5本以上にしても良い。例えば、図9に積層体4の数を9本とした場合の例を示す。この場合には、軸方向からみて格子状の通路6となる。なお、図9の符号Aで示す仮想線の円の範囲が通路6の大きな重み付けの部分である。また、例えば図10に示すように、外側の積層体4の磁極片3と筒状ケーシング14との間も通路6にする場合には、通路6全体に大きな重み付けをしても良い。この場合には、磁石2の横断面の形状及び大きさを磁極片3の形状及び大きさとほぼ同じにすれば良い。即ち、磁極片3並びに磁石2の形状は、前述の扇形に限定されるものではなく、必要に応じて種々の形状をとり得ることができるものである。
また、上述の説明では、隣接する積層体4では、向かい合う磁極片3同士が同極になるようにしていたが、この構成に限るものではなく、例えば図11に示すように、向かい合う磁極片3同士が異極になるようにしても良い。この場合にも、磁極片3間には磁力線が発生するので、水に対して磁力線を作用させることができる。
また、上述の説明では、各積層体4の磁極片3の高さを同一にし、図8に示すように隣接する積層体4の磁極片3同士が正面に向かい合うように配置していたが、例えば図12に示すように、一端にスペーサ16を設ける等して隣接する積層体4の磁極片3同士をずらして配置しても良い。磁極片3同士の配置をずらすことで磁極片3間の距離が広がるので、通路6の通路面積を増加させて水の圧力損失を減らすことができる。
以上のように構成された磁気式流体処理装置1によると、殺菌部20を通過した被処理流体例えば水は、ケーシング内での流れの挙動がどのようであろうと、各段の磁極片3の間の通路6を通過する際には、水に磁力線が直角に作用する。しかも、水の多くが磁気処理に必要な磁束密度が発生する領域Aを通過するため、筒状ケーシング14内を通り抜ける頃には、磁気処理・活性化が完了している。即ち、大きな磁束密度が欲しい所に大きな磁束密度を発生させることができる。このため、効率よく水の活性化を行うことができ、通路6全体に大きな磁束密度を発生させるような強い磁力の磁石2を使用しなくて済む。
なお、水の磁気処理の効果として、配管内の腐食の進行を止め、あるいは防止できるメカニズムは次の通りである。即ち、水は極性を有しており、水流は耐電粒子の流動である。したがって、この水流が磁場を通過すると電磁誘導により、誘導電流が発生する。さらに、誘導電流が発生すると同誘導電流によって水は電気分解されて、原始的に原子状態の活性水素と活性酸素が発生することとなる。
このうち、活性酸素は、すぐに水と結合してH2O2を生成する。一方、非常に還元力が強い活性水素は、水道管壁に堆積した赤錆Fe2O3を還元して、四酸化三鉄Fe3O4を生成する。また、水中に含まれる鉄イオンに対しては、酸化の進行を防止する。ここで、赤錆Fe2O3は進行性の腐食生成物であるため、放置しておくと水道管壁面を浸食して漏水の原因ともなるし、それ自体が流出して赤水を発生させる原因ともなっている。一方、四酸化三鉄Fe3O4は非常に安定な酸化物であって、一度生成されると再び酸化されて赤錆Fe2O3を発生させることもない。さらに、水道管壁面に生成した四酸化三鉄Fe3O4は緻密な被膜を形成するため水道管を赤錆による浸食から保護する。したがって、磁気処理を行った水は、水道管の閉塞、漏水、赤水を防止することが可能となっている。本発明者等の実験によると、本発明の磁気処理装置を温水管・給水管に設置した場合、設置45日目において濁度・溶出鉄分などに顕著な変化が現れ、設置88日目にはX線回折法による同定検査にて配管内のマグネタイト化が確認された。また。発電所の排水管に設置した場合の実験においては、3ヶ月設置した後に、装置を2週間外していても、ゼータ電位(界面電位)が確認され、管内壁面にマグネタイトが生成されたことが推定された。
また、同時に、磁気処理により発生する活性酸素は、菌の餌となる有機物を分解したり、住みかをなくして、レジオネラ菌やその他の菌類、藻類などが繁殖し難い環境を作り出し維持すると共に、スケール成分(カルシウム、マグネシウムなど)の析出を抑えることができる。即ち、磁気処理により水の活性化を促し、菌の餌となる有機物を分解したり、住みかをなくして、菌類や藻類などが繁殖し難い環境を作り出し維持する。同時に、磁気処理により、水の分子の集合体であるクラスターが小さくなり、溶解度が上がることから、スケール成分(カルシウム、マグネシウムなど)の析出を抑えることができる。スケール成分は磁気処理により固着力が弱まり、微細化した状態で装置から流出するので、配管や熱交換機・濾過器などへ付着しない。通常、スケールを形成する結晶核は、電気的に不安定な状態で溶存しており、相互間の磁性によって誘因凝集(反応)しながら粒子状に成長する。そして、更に成長を続けた粒子は、配管内の静電気に引き寄せられて管壁に沈殿・固着して管を閉塞させる。しかし、磁化処理すると、存置内の電場(磁場)が結晶核の電位を配管内の静電気に反発する電位に変えるので、結晶核は浮遊しながら微細な粒子状態で安定し、配管に付着せずに貝部へ排出される。また既に固着しているスケールは、粒子が丸みを帯び、相互間の付着力が低下し徐々に剥離して管外へ流出する。スライムは、水中に存在する殺菌が有機物などを利用して増殖したコロニーが主なものであり、細菌がお互いに粘着物質を分泌しながら凝集して徐々に大きな集合体へ成長する状態である。このスライムが配管内や系統内に付着した場合、熱交換率の低下や更にはスライムの増加に伴って配管との界面が局部的に嫌気状態となって酸素濃淡電池が発生し腐食を助長する弊害も発生する。スライムは、その特性上、スケール、腐食生成物等の付着物質がある場合にはより発生しやすい傾向がある。このため、スライム防止のためにはスケール、腐食などの発生・付着を防止することが重要であるが、磁気処理によれば同時にこれらスケール付着も防止できるので好ましい。
以上のように殺菌部20と活水処理部1とを備える本発明の除菌装置によると、殺菌部20における殺菌効果だけに依存するものではなく、活水処理部1の活水効果を利用することにより殺菌効果を相乗的に高めることができる。即ち、殺菌部20において殺菌あるいは滅菌を図る一方、活水処理によって細菌の繁殖し難い環境を整えるので、これらが相乗的に作用して比較的に短期に除菌効果が得られ、スケール、スライムの生成を抑え、レジオネラ菌やぬめりの原因となる細菌などのその他の菌類の繁殖を防ぎ、また藻類やムラサキガイやその他の稚貝などは、金属イオンでは殺せないまでも、成長できないかあるいは餌不足の環境のため死滅する。
いずれの活水処理方法の例においても、活水処理部で水が活性化すると、ぬめりなどのスライムが発生し難くなる。これは水自体の除菌効果であるが、スライムの減少が細菌の温床を減らすことになる。これに加えていずれの殺菌方法の例においても、優れた殺菌効果を得られる上に、細菌の温床が減るので、残った細菌がスライム中で増殖してしまう可能性を可能な限り低減させる。従って、瞬問的な殺菌のみならず、水の配管経路において細菌が生き残り、繁殖する可能性を全ての面から減らすことができ、安全性を保持した高い除菌性能を呈することができる。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、本実施形態では、殺菌部20として、金属イオン発生部、あるいは酸化チタンと紫外線源を含むもの、若しくは金属イオンと光触媒とを併用した例を挙げて主に説明したが、場合によってはこれらに代えて細菌などを取り除ける濾材例えば中空糸などを配置することも可能である。この場合には、空孔の大きさが異なる複数の中空糸などを組み合わせて、目詰まりなどを防ぐようにすることが好ましい。
また、本実施形態では、活水処理部1として磁気処理装置を例に挙げて主に説明したが、図示の磁気処理装置に特に限られず、また場合によってはステンレス製のメッシュのカゴに麦飯石、トルマリン、ゼオライトなどの鉱物あるいはそれらを粉砕・焼成したセラミックスなどを収容したものを使用することも可能である。この場合にも、磁気式活水処理装置と同様に、スライム等の発生を防止する効果があり、殺菌部との間で同様の相乗効果を奏するものである。
また、本除菌装置は、海水を処理対象とすることも可能である。例えば、発電所の蒸気を復水させるコンデンサの冷却材としてあるいは天然ガスを気化させる冷媒として使用される海水の取水配管あるいは排水配管に、本除菌装置を組み込むことで、自然環境を汚染することなく配管中のさび、ぬめり、藻の繁殖あるいはムラサキガイなどの稚貝の発生を防ぐことができる。
更に、本発明の除菌装置は、例えば殺菌洗浄水、家畜用飲料水、軽油、ガソリン等の石油燃料や、化学プラントにおける供給反応材料等、磁束作用での活性化効果の得られる他の幅広い流体に適用することもできる。