JP2005295298A - 誘電体フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】帯状端子の延在部先端と積層体の内部の伝送線路との間の静電容量の変動を抑えて周波数特性の劣化を無くした誘電体フィルタを提供する。
【解決手段】複数個の誘電体層を積層して成る積層体1の側面に、両端部が積層体1の両主面にまで延在されている複数個の帯状端子2a〜2fを被着させるとともに、積層体1の内部に帯状端子2a〜2fの少なくとも1個と電気的に接続される伝送線路3を配設してなる誘電体フィルタにおいて、積層体1の両主面に、帯状端子2a〜2fの延在方向と直行する方向に溝部4を形成するとともに、溝部4に沿って断面山状の突条5を形成し、突条5の外側斜面に帯状端子2a〜2fの延在部先端を当接せしめた。
【選択図】図1

Description

本発明は、高周波回路等に用いられる誘電体フィルタに関するものである。
従来より、携帯電話等の高周波通信機器に組み込まれる高周波回路に誘電体フィルタが用いられている。
かかる従来の誘電体フィルタは、例えば複数個の誘電体層を積層して成る積層体の側面に、両端部が前記積層体の両主面にまで延在されている複数個の帯状端子を被着させるとともに、前記積層体の内部に前記帯状端子と電気的に接続される伝送線路を配設してなる構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また積層体の内部に配設される伝送線路は、例えばストリップライン等の分布定数線路であり、このような伝送線路を複数組み合わせて所定の周波数帯を選択的に通過させるバンドパスフィルタ等を構成するものである。
特開平9―93069号公報
しかしながら、上述した従来の誘電体フィルタにおいては、帯状端子の延在部先端と積層体の内部の伝送線路との間で形成される静電容量がばらつき、誘電体フィルタの周波数特性が変動するという問題を有している。従来の誘電体フィルタによれば、帯状端子を被着させる工程を印刷法や蒸着法等の如何なる手段で行っても、積層体の両主面にまで延在されている帯状端子の先端の位置を安定させることができず、帯状端子の延在部先端と積層体の内部の伝送線路との間で形成される静電容量を安定させることは困難である。
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、帯状端子の延在部先端と積層体の内部の伝送線路との間の静電容量の変動を抑えて周波数特性の劣化を無くした誘電体フィルタを提供することにある。
本発明の誘電体フィルタは、複数個の誘電体層を積層して成る積層体の側面に、両端部が前記積層体の両主面にまで延在されている複数個の帯状端子を被着させるとともに、前記積層体の内部に前記帯状端子の少なくとも1個と電気的に接続される伝送線路を配設してなる誘電体フィルタにおいて、前記積層体の両主面に、前記帯状端子の延在方向と直行する方向に溝部を形成するとともに、該溝部に沿って断面山状の突条を形成し、該突条の外側斜面に前記帯状端子の延在部先端を当接せしめたことを特徴とするものである。
また本発明の誘電体フィルタは、前記溝部の最大深さDと前記突条の頂部の高さHとが関係式“D>H”を満足するように設定されていることを特徴とするものである。
更に本発明の誘電体フィルタは、前記突条の頂部の高さHが10〜30μmであることを特徴とするものである。
本発明の誘電体フィルタによれば、積層体の両主面に、帯状端子の延在方向と直行する方向に溝部を形成するとともに、該溝部に沿って断面山状の突条を形成し、該突条の外側斜面に前記帯状端子の延在部先端を当接せしめたことから、積層体の内部の伝送線路との間の誘電率が低くなり、帯状端子と伝送線路との間の静電容量を少なくすることができ、帯状端子の延在部先端と積層体の内部の伝送線路との間の静電容量の変動を抑えられ、周波数特性の劣化を無くした誘電体フィルタとすることができる。
然も突条によって入力端子電極の先端部分と伝送線路との距離が大きくなるので入力端子電極と伝送線路との間の静電容量をより少なくしている。
また本発明の誘電体フィルタによれば、前記溝部の最大深さDと前記突条の頂部の高さHとが関係式“D>H”を満足するように設定されていることから、静電容量の変動を抑えられつつも両主面の突条の頂部の高さを抑えた構造とすることができる。
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る誘電体フィルタの外観透視斜視図、図2は図1の誘電体フィルタの要部拡大断面図であり、これらの図に示す誘電体フィルタは、積層体1の側面に複数個の帯状端子2a〜2fが被着され、内部に伝送線路3が配設された構造を有している。
積層体1は、矩形状をなす誘電体層を積層した構成となっており、誘電体層の材料としては、誘電体セラミック材料、焼結助剤、低融点ガラス材料等が用いられている。誘電体セラミック材料としては、例えばBaO−TiO系、Ca−TiO系、MgO−TiO系等のセラミック材料が用いられ、これらのセラミック材料を用いる場合には、焼結温度が低いので、同時焼成により、後述するような高導電率材料を内蔵することができるので、インピーダンスの低い伝送線路を備えた部品とすることが可能である。また焼結助剤としては、例えば、BiVO、CuO、LiO、B等が用いられ、各誘電体層の厚みは、例えば50μm〜300μmに設定される。
帯状端子2a〜2fは、上記積層体1の側面に両端部が積層体1の両主面にまで延在されて被着された外部電極であり、外部の回路との電気的な接続に用いられる。その材質としては、例えばAgやCu等の金属を主成分とする導電性の高い導体材料が好適に用いられる。また、帯状端子2a〜2fの表面には、酸化腐食等を防止する目的で、Auメッキ膜、Ni−Auメッキ膜、若しくはNi−Snメッキ等が被着される。
伝送線路3は、積層体1の誘電体層間に、帯状端子2a〜2fの少なくとも1個と電気的に接続される導体パターンであり、積層体1の内部で電気回路を構成するのに用いられる。導体パターンの材質としては、例えば、Ag、Ag−Pd、Au、Cu等の導電性の高い導体材料が好適に用いられる。本実施形態においては、3本のストリップラインを平行に配置して形成しており、所定の周波数帯を選択的に通過させるバンドパスフィルタを構成している。
尚、ここで述べる電気的な接続とは、信号を伝搬することが可能な状態を示すものであり、帯状端子と伝送線路とは物理的な接触・接続を必ずしも必要とはしないものである。
また、伝送線路とは、上述したように電気回路を構成するのに用いられるものであって、ストリップラインのような細長の導体パターンを示すものではなく、例えば、内部に配設されるグランド電極のようなベタ導体パターンについても含まれる。
本実施形態の誘電体フィルタにおいては、積層体1の両主面に、帯状端子2a〜2fの延在方向と直行する方向に溝部4が形成されている。そして、図2に示されるように、溝部4に沿って断面山状の突条が形成されており、突条5の外側斜面に帯状端子2a〜2fの延在部先端が当接された構造を有している。
上述したように、積層体1の両主面に、帯状端子2a〜2fの延在方向と直行する方向に溝部4を形成するとともに、溝部4に沿って断面山状の突条5を形成し、突条5の外側斜面に帯状端子2a〜2fの延在部先端を当接せしめたことから、積層体1の内部の伝送線路3との間の誘電率が低くなり、帯状端子2a〜2fと伝送線路3との間の静電容量を少なくすることができる。従って、帯状端子2a〜2fの延在部先端と積層体1の内部の伝送線路との間の静電容量の変動を抑えられ、周波数特性の劣化を無くした誘電体フィルタとすることができる。
然も突条によって入力端子電極の先端部分と伝送線路との距離が大きくなるので入力端子電極と伝送線路との間の静電容量をより少なくするという効果も得られる。
また、溝部4の深さは25〜100μmに設定され、突条5の頂部の高さは10〜30μmに設定される。溝部4の最大深さDと突条5の頂部の高さHとが関係式“D>H”を満足するように設定しておけば、静電容量の変動を抑えられつつも両主面の突条5の頂部の高さを抑えた構造とすることができる。
本実施形態の積層フィルタは、次のようにして製作した。
先ず、複数のセラミックグリーンシートを準備する。セラミック材料としては、TiO−Nd−BaTiOを主成分としたセラミックグリーンシートを準備する。各誘電体層の厚みは5μm〜300μmに設定する。
一部のセラミックグリーンシートには、打ち抜き型やパンチングマシーン等を用いて、所定位置にビアホールを打ち抜き形成し、各ビアホールに導体ペーストを充填する。また、各セラミックグリーンシートの主面には、必要に応じて配線用の導体パターンを従来周知のスクリーン印刷法により、導体ペーストを被膜形成する。これら、充填や印刷に用いる導体ペーストは、Ag粉末を、有機ビヒクル中に分散させたものを用いる。このような複数のセラミックグリーンシートを積層し、得られた積層シートを所定の条件で熱圧着して一体化する。
次に、積層シートを、複数個の未焼成積層体に切断・分割し、得られた未焼成積層体を、焼成路を用いて、ピーク温度が930℃の温度プロファイルにて脱バイ・焼成することで、積層体1を得る。
得られた積層体1の側面から150〜200μmの位置に、レーザー照射により溝部4を形成する。レーザー照射は、例えばYAGレーザーを用いて孔を形成する方法を用いるものであり、孔を開ける間隔を狭くすることにより連続した溝4を形成することができる。形成した溝4は、深さは25〜100μmに設定され、幅は25〜150μmに設定される。また本実施形態の溝4は、複数個の孔から構成される為、図に示されるように等間隔でくびれを有した形状となっている。
尚、レーザー照射されたセラミック材料は、溝部4が形成された際に、溝部4に沿って断面山状の突条5を形成することになる。
次に、Agを主成分とする導体材料を用いて作製した導体ペーストを、積層体1の側面に従来周知のディップ法やスクリーン印刷等によって複数箇所に帯状に塗布する。
このとき、導体ペーストは積層体1の側面からはみ出して両主面側に回り込み、延在部が形成される。本実施形態のように上記溝部4を延在方向と直行する方向に形成しておけば、突条5の外側斜面によって帯状端子2a〜2fの延在部先端の回り込みを止めることができるので、これによっても帯状端子2a〜2fの延在部先端と積層体1の内部の伝送線路との間の静電容量の変動を抑えられ、周波数特性の劣化を無くした誘電体フィルタとすることができる。
また、溝部4は図に示されるように等間隔でくびれを有した形状となっているので、これにより導体ペーストを塗布したときに延在部先端の幅がばらつきにくくなるという効果も得られる。
そして、積層体1を高温で焼成し、帯状端子2a〜2fの表面にNi−Snメッキ処理を施すことによって、積層体1の側面に、両端部が積層体1の両主面にまで延在されている複数個の帯状端子2a〜2fが被着された誘電体フィルタが制作される。同時に、誘電体フィルタの内部には、伝送線路3が誘電体層間に配設され、伝送線路3は上記帯状端子2a〜2fの少なくとも1個と電気的に接続されることとなる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、上述した実施形態では、誘電体層はセラミック材料が用いられているが、これに代えて、有機材料を用いても構わない。また、有機材料をベースにして、セラミックフィラーを含ませた複合材料を用いても構わない。
また、上述した実施形態では、伝送線路が主面に形成したストリップラインで構成されているが、これに限らず、例えば、ビアホール導体のみでも伝送線路を構成することは可能である。
更に、上述した実施形態では、溝部の形成を、焼成して得られた積層体にレーザー照射をすることによって行っているが、これに限らず、例えば、未焼成積層体にルータ等を用いても溝を形成することが可能であり、このときに溝部に沿って突条を形成することもできる。
図1は本発明の一実施形態に係る誘電体フィルタの外観透視斜視図である。 本発明の一実施形態に係る誘電体フィルタの要部拡大断面図である。
符号の説明
1・・・積層体
2a〜2f・・・帯状端子
3・・・伝送線路
4・・・溝部
5・・・突条

Claims (3)

  1. 複数個の誘電体層を積層して成る積層体の側面に、両端部が前記積層体の両主面にまで延在されている複数個の帯状端子を被着させるとともに、前記積層体の内部に前記帯状端子の少なくとも1個と電気的に接続される伝送線路を配設してなる誘電体フィルタにおいて、
    前記積層体の両主面に、前記帯状端子の延在方向と直行する方向に溝部を形成するとともに、該溝部に沿って断面山状の突条を形成し、該突条の外側斜面に前記帯状端子の延在部先端を当接せしめたことを特徴とする誘電体フィルタ。
  2. 前記溝部の最大深さDと前記突条の頂部の高さHとが関係式“D>H”を満足するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の誘電体フィルタ。
  3. 前記突条の頂部の高さHが10〜30μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘電体フィルタ。
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