JP2005294587A - 電荷輸送層の形成方法並びに有機半導体構造物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 両極性を有する電荷輸送層の新たな形成方法並びに電荷輸送層を備えた有機半導体構造物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 流動性を有する正孔輸送材料を予め形成された空隙内に酸素遮断手段を利用して注入することにより、上記課題を解決する両極性の電荷輸送層を形成する。この方法において、酸素遮断手段が毛細管現象を利用した手段であることが好ましい。こうして形成された電荷輸送層は、両極性の電荷輸送能を示す。
【選択図】 図3
【解決手段】 流動性を有する正孔輸送材料を予め形成された空隙内に酸素遮断手段を利用して注入することにより、上記課題を解決する両極性の電荷輸送層を形成する。この方法において、酸素遮断手段が毛細管現象を利用した手段であることが好ましい。こうして形成された電荷輸送層は、両極性の電荷輸送能を示す。
【選択図】 図3
Description
本発明は、両極性を有する電荷輸送層の形成方法並びに電荷輸送層を備えた有機半導体構造物及びその製造方法に関するものである。
近年、電荷輸送能を有する材料を用いた各種の有機デバイスについての研究が注目され、特にフレキシブルディスプレイ装置等に利用可能な薄膜トランジスタ(有機TFTともいう。)、有機EL素子、太陽電池等、各方面への応用が期待されている。そうした各種の有機デバイスのうち、例えば有機EL素子においては、発光層、正孔輸送層、電子輸送層等からなる電荷輸送能を有した各種の機能層を備えている。
有機EL素子や有機TFT等に形成される上記の機能層は、使用する材料の分子量や性質に応じて、真空蒸着や塗布法等によって成膜されている(例えば、非特許文献1及び2を参照)。
Y.-Y.Lin, D.J.Gundlach, S.Nelson, and T.N.Jackson, "Stacked Pentacene Layer Organic Thin-Film Transistors with Improved Characteristics," IEEE Electron Device Lett., 18,606(1997) M.Funahashi and J.Hanna, Jpn.J.Appl.Phys., 35,L703-L705(1996)
Y.-Y.Lin, D.J.Gundlach, S.Nelson, and T.N.Jackson, "Stacked Pentacene Layer Organic Thin-Film Transistors with Improved Characteristics," IEEE Electron Device Lett., 18,606(1997) M.Funahashi and J.Hanna, Jpn.J.Appl.Phys., 35,L703-L705(1996)
本発明者らは、電荷輸送能を有する各種の有機半導体材料について多方面から研究している過程で、正孔輸送能を有し、電子輸送能は有さない有機半導体材料として従来から認知されているものであっても、その取り扱いによっては電子輸送能を有する両極性の電荷輸送層となることを見出して本発明を完成させた。
したがって、本発明は、こうした知見に基づいてなされたものであって、その目的は、両極性を有する電荷輸送層の新たな形成方法並びに電荷輸送層を備えた有機半導体構造物及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の電荷輸送層の形成方法は、流動性を有する正孔輸送材料を予め形成された空隙内に酸素遮断手段を利用して注入することにより、両極性の電荷輸送層を形成することを特徴とする。
本来的に両極性の電荷輸送能を有する正孔輸送材料でありながら、材料中に混入した酸素で電子がトラップされてあたかも電子輸送能を発現しないと認知されていた材料について、本発明の方法により、両極性を有する電荷輸送層を形成することができる。
本発明の電荷輸送層の形成方法は、上記電荷輸送層の形成方法において、前記酸素遮断手段が毛細管現象を利用した手段であることを特徴とする。この発明によれば、流動性を有する材料を毛細管現象で空隙内に注入する手段を用いるので、電荷輸送層の形成時に流動性を有する材料が大気や酸素含有雰囲気下に曝されるのを防ぐことができる。
上記目的を達成する本発明の有機半導体構造物は、予め形成された空隙内に、正孔輸送材料からなる両極性の電荷輸送層が形成されていることを特徴とする。この発明によれば、本来的に両極性の電荷輸送能を有する正孔輸送材料でありながらその材料中に混入した酸素で電子がトラップされてあたかも電子輸送能を発現しないと認知されていた材料を用いて、新規な有機半導体構造物を構成することができる。
本発明の有機半導体構造物は、上記有機半導体構造物において、前記正孔輸送材料が、液晶状態、液体状態又は非晶質状態となり得る材料であることを特徴とする。この発明によれば、正孔輸送材料が液晶状態、液体状態又は非晶質状態となり得る材料の何れであっても構わない。
上記目的を達成する本発明の有機半導体構造物の製造方法は、一対の基板が所定の間隔を隔てて対向配置されてなる空間内に、流動性を有する正孔輸送材料を酸素を遮断した状態で注入する工程を含むことを特徴とする。この発明によれば、電荷輸送層の形成時に流動性を有する材料が大気や酸素含有雰囲気下に曝されるのを防ぐことができるので、有機半導体構造物に予め設けられた空間内に、本来的に両極性の電荷輸送能を有する正孔輸送材料を用いて実際に両極性を有する電荷輸送層を形成することができる。
以上説明したように、本発明の電荷輸送層の形成方法によれば、本来的に両極性の電荷輸送能を有する正孔輸送材料でありながら、材料中に混入した酸素で電子がトラップされてあたかも電子輸送能を発現しないと認知されていた材料を用いて、両極性を有する電荷輸送層を形成することができる。
また、本発明の有機半導体構造物によれば、本来的に両極性の電荷輸送能を有する正孔輸送材料でありながらその材料中に混入した酸素で電子がトラップされてあたかも電子輸送能を発現しないと認知されていた材料を用いて、新規な有機半導体構造物を構成することができる。
また、本発明の有機半導体構造物の製造方法によれば、電荷輸送層の形成時に流動性を有する材料が大気や酸素含有雰囲気下に曝されるのを防ぐことができるので、有機半導体構造物に予め設けられた空間内に、本来的に両極性の電荷輸送能を有する正孔輸送材料を用いて実際に両極性を有する電荷輸送層を形成することができる。
本発明の電荷輸送層及び有機半導体構造物は、特にフレキシブルディスプレイ装置等に利用可能な薄膜トランジスタ(有機TFTともいう。)、有機EL素子、太陽電池等、電荷輸送能を有する材料を用いた各種の有機デバイスについて、その適用の幅を一層広げることに寄与できる。
以下、本発明の電荷輸送層の形成方法並びに有機半導体構造物及びその製造方法について説明する。
(電荷輸送層の形成方法)
本発明の電荷輸送層の形成方法は、流動性を有する正孔輸送材料を予め形成された空隙内に酸素遮断手段を利用して注入することにより、両極性の電荷輸送層を形成することに特徴がある。
本発明の電荷輸送層の形成方法は、流動性を有する正孔輸送材料を予め形成された空隙内に酸素遮断手段を利用して注入することにより、両極性の電荷輸送層を形成することに特徴がある。
本発明に適用される正孔輸送材料は、本来的に両極性の電荷輸送能を有する正孔輸送材料でありながら、材料中に混入した酸素で電子がトラップされてあたかも電子輸送能を発現しないと認知されていた材料である。こうした材料は、現在公知の正孔輸送材料の中にかなりのものがあると考えられるが、本発明者らは、下記化学式1で表されるTPD(N',N'-bis(3-methylphenyl)-(1,1'-biphenyl)-4,4'-diamine)について具体的に検討して新たな知見を得ることにより本発明を完成させた。したがって、そうした材料であれば、現在あたかも電子輸送能を発現しないと認知されていた正孔輸送材料であっても、本発明に係る電荷輸送層の形成方法に適用できる。
本発明に適用される正孔輸送材料は、液晶状態、液体状態又は非晶質状態となり得る材料の何れであっても構わない。そうした状態は、室温(25℃程度)下であってもよいし、材料が分解しない温度範囲で加温した後の状態であってもよい。何れの場合であっても、正孔輸送材料が流動性を有する状態であること、又は加温によって流動性を有する状態になるものであることが望ましい。なお、「流動性」とは、例えば注入工程を行うことができる程度の流動性があればよく、具体的には酸素遮断手段の一例である毛細管現象を利用した注入手段を適用することができる程度の流動性を有することが好ましい。
本発明においては、空隙内に上記の正孔輸送材料が注入される。空隙は電荷輸送層を挟む各種の層や電極又は基材等で構成することができる。空隙1は、例えば図1に示すように、一対の基板2,2を所定の間隔dを隔てて対向配置させることにより構成することができる。この基板2,2は、図1に示すように、ガラス基板2a上にITO(インジウム錫オキサイド)2bが形成されているものであってもよいし、ITO上にさらに電子注入層が形成されたものでもよいし、さらにその電子注入層上に有機EL素子を構成する発光層が形成されているものであってよく、特に限定されない。
酸素遮断手段は、正孔輸送材料を空隙内に注入する際に、その正孔輸送材料中に酸素が混入しないようにする手段であれば各種の手段を適用することができる。具体例としては、毛細管現象を利用して正孔輸送材料を空隙内に注入する方法や、不活性雰囲気中での圧着方法を利用して正孔輸送材料を空隙内に注入する方法等を例示できる。なお、不活性雰囲気中での圧着方法とは、不活性雰囲気中で素子形成領域に溶融させた正孔輸送材料を滴下した後、その正孔輸送材料を挟むように封止基板を設けて酸素を遮断する方法であり、この方法により空隙内に正孔輸送材料を注入できる。本発明においては、こうした酸素遮断手段により、正孔輸送材料に混合される可能性のある大気中の酸素を遮断することができる、また、酸素を少なくした不活性ガス中であっても、その中に僅かに含まれる酸素を遮断することができる。なお、注入時のほか、正孔輸送材料の保存時や注入工程の準備段階であっても酸素を遮断することが望ましいのは、言うまでもない。
こうした方法で正孔輸送材料が注入されることによって、両極性を有する電荷輸送層が形成される。その結果、本来的に両極性の電荷輸送能を有する正孔輸送材料でありながらその材料中に混入した酸素で電子がトラップされてあたかも電子輸送能を発現しないと認知されていた材料であっても、本発明の方法により、両極性を有する電荷輸送層を形成することができる。
(有機半導体構造物及びその製造方法)
本発明の有機半導体構造物は、上記の電荷輸送層の形成方法により形成される両極性の電荷輸送層を有するものである。
本発明の有機半導体構造物は、上記の電荷輸送層の形成方法により形成される両極性の電荷輸送層を有するものである。
その電荷輸送層が液晶性を有するものである場合には、有機半導体構造物にポリイミド膜のような配向層を設けてその電荷輸送層に配向性を持たせることもできる。また、例えば、有機EL素子について例示すれば、さらに、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、発光層、等の各種の層を備えた有機半導体構造物とすることができる。また、例えば、有機TFTについて例示すれば、ドレイン電極、ソース電極、ゲート電極、チャネル層、拡散層、ゲート絶縁膜等の各層を備えた有機半導体構造物とすることができる。
なお、上述した基板は、絶縁性の材料であれば広い範囲の材料から選択することができる。例えば、ガラス、アルミナ焼結体などの無機材料、ポリイミド膜、ポリエステル膜、ポリエチレン膜、ポリフェニレンスルフィド膜、ポリパラキシレン膜等の各種の絶縁性材料を挙げることができる。電極についても、ITO電極等の透明電極の他、ポリアニリン、ポリチオフェン等の有機材料からなる電極、導電性インキを塗布して形成した電極、金属電極であってもよい。
以上、本発明の有機半導体構造物によれば、本来的に両極性の電荷輸送能を有する正孔輸送材料でありながらその材料中に混入した酸素で電子がトラップされてあたかも電子輸送能を発現しないと認知されていた材料を用いて、新規な有機半導体構造物を構成することができる。こうして得られた有機半導体構造物は、特にフレキシブルディスプレイ装置等に利用可能な薄膜トランジスタ(有機TFTともいう。)、有機EL素子、太陽電池等、電荷輸送能を有する材料を用いた各種の有機デバイスについて、その適用の幅を一層広げることに寄与することができる。
以下に、本発明についてさらに詳しく説明する。
典型的なアモルファス材料であるTPD(N',N'-bis(3-methylphenyl)-(1,1'-biphenyl)-4,4'-diamine、東京化成工業株式会社)を準備した。このTPDは、1984年に初めて米XEROXのPaiらによって複写機の感光体材料(分子分散ポリマー)として研究されて以来、数多くの研究がされている。また、1987年にC.W.Tangらによって、有機EL素子の正孔輸送材料として蒸着によるTPD薄膜が用いられ、それ以降専ら正孔輸送材料として認知され、扱われてきた。
先ず、酸素を遮断するように注意深く取り扱ったTPDを蒸留ヘキサンに溶解させ、活性炭処理をした。その後、ミリポアフィルターを用いて、活性炭や溶媒に不要な不純物を除去した後、再結晶にて精製を行った。溶媒を十分に乾燥させた後、等方相温度まで加熱し、図1に示す態様のサンドイッチセルに対して注入を行った。
具体的には、先ず、スパチュラに粉末試料を取り、ホットステージを用いて、試料を融点程度よりやや上の温度まで加熱する。溶融した試料を、図1に示すような、あらかじめ内側にITO電極が蒸着されている間隔15μmの空隙を有するサンドイッチセルに対し、毛細管現象を利用して注入した。均一に注入された後は、余分な試料を拭き取り、ホットステージからセルを取り除き、室温において冷却を行った。
TPDの融点の文献値は169.6℃で、再結晶後のサンプルでDSC測定により求めた融点は170.1℃であった。両者はよい一致を示しており、過剰な不純物は含んでいないと考えられた。DSC測定の条件は、30〜200℃(5℃/min)及び200℃〜−50℃(5℃/min)で行った。
セルに注入した材料は、室温では偏光顕微鏡観察により均質なアモルファス状態であることが確認された。一方、徐々に加熱をしていくと、Tm付近で、ガラスがほどけて結晶化していく様子が、セルによる偏光顕微鏡観察からも確認でき、DSCの結果と一致していた。また、ガラス基板に対しTPDを溶融させキャストにより作製した厚さ15μmの薄膜について、XRDの測定を行なったところ、低分子ガラス材料として特徴的な微小領域における秩序構造を反映したブロードなハーローを確認することができた。また、結晶化などに由来するピークは観察できておらず、TPDの薄膜が均一なアモルファス状態であることを確認した。
セルに注入した素子を用い、ホットプレート上で図2に示す装置を用いた定常光電流測定(TOF法)によりバイアス50Vで電荷移動度を測定した。予めUV測定により、本材料が337nm付近に強い吸収があることを確認し、光吸収に伴ったキャリア生成とその輸送を確認するために定常光照射により、光電流を確認した。光源は、Xeランプ(500W)で、赤外と紫外短波長領域はフィルターをかけている(300〜400nm)。光強度は2.4mW/cm2とした。
TOF法により得られた過渡光電流波形を観測したところ、図3(A)に示すように正孔輸送能に関しては従来からの正孔輸送特性が得られた。さらに、図3(B)に示すように、今までには報告例のない電子の輸送が観測できた。電子の輸送に関しては、光の浸透深さに対して十分大きな厚さを持つ試料(25μm)を用いても明確に見ることができた。なお、このデータについては、対向電極側において光励起された分子による正孔輸送ではなく、電子の輸送による信号を観測していると言える。
1 空隙
2 基板
2a ガラス基板
2b ITO電極
d 空隙の間隔
201 N2パルスレーザー
301 試料
401 デジタルオシロスコープ
2 基板
2a ガラス基板
2b ITO電極
d 空隙の間隔
201 N2パルスレーザー
301 試料
401 デジタルオシロスコープ
Claims (5)
- 流動性を有する正孔輸送材料を予め形成された空隙内に酸素遮断手段を利用して注入することにより、両極性の電荷輸送層を形成することを特徴とする電荷輸送層の形成方法。
- 前記酸素遮断手段が毛細管現象を利用した手段であることを特徴とする請求項1に記載の電荷輸送層の形成方法。
- 予め形成された空隙内に、正孔輸送材料からなる両極性の電荷輸送層が形成されていることを特徴とする有機半導体構造物。
- 前記正孔輸送材料が、液晶状態、液体状態又は非晶質状態となり得る材料であることを特徴とする請求項3に記載の有機半導体構造物。
- 一対の基板が所定の間隔を隔てて対向配置されてなる空間内に、流動性を有する正孔輸送材料を酸素を遮断した状態で注入する工程を含むことを特徴とする有機半導体構造物の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2004108527A JP2005294587A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 電荷輸送層の形成方法並びに有機半導体構造物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|---|---|
| JP2004108527A JP2005294587A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 電荷輸送層の形成方法並びに有機半導体構造物及びその製造方法 |
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| JP2004108527A Withdrawn JP2005294587A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 電荷輸送層の形成方法並びに有機半導体構造物及びその製造方法 |
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Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2015099155A (ja) * | 2009-09-16 | 2015-05-28 | 独立行政法人科学技術振興機構 | 液体有機半導体材料 |
-
2004
- 2004-03-31 JP JP2004108527A patent/JP2005294587A/ja not_active Withdrawn
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|---|---|---|---|---|
| JP2015099155A (ja) * | 2009-09-16 | 2015-05-28 | 独立行政法人科学技術振興機構 | 液体有機半導体材料 |
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