JP2005292061A - スポーツ用打具のグリップの把握力を検出するセンサおよびそのセンサを設けたグリップ - Google Patents

スポーツ用打具のグリップの把握力を検出するセンサおよびそのセンサを設けたグリップ Download PDF

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Abstract

【課題】 グリップを握る際の手や指とグリップ表面との間の接触面にはたらく摩擦力および圧力を精度よく測定できるセンサおよびそのセンサを設けたグリップを提供する。
【解決手段】 ゴルフ、テニス、野球などのスポーツ用打具で打撃スイングをする際に、該打具に設けたグリップに発生する把握力を検出する把握力センサにおいて、スイング時に該グリップと手や指との間に把握力として発生する摩擦力を単独に検出可能な構成により上記グリップに把握力センサを設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ゴルフなどのスポーツ用打具のスイングをする際に、把持したグリップと手や指との間にはたらく摩擦力や圧力を検出するセンサ、およびそのセンサを設けたグリップに関する。
従来、ゴルフ、野球(ソフトボールを含む)、テニスなどの打具を把持するスポーツ種目においては、そのグリップが人間と用具の唯一の接点であり打球の飛距離や球筋を決定付ける重要な要素であることから、実際の競技を模した動作でのグリップの把持形態、グリップ力の測定や解析などに関する研究がされてきている。中でもゴルフスイングにおいてはグリップの把握力が飛距離を左右するスイングスピードと密接な関連を有していることが知られており、このスイング時のゴルフクラブのグリップ力、すなわち摩擦力や圧力などの把握力を詳細に知りたいという強い願望がある。そして、この把握力の内で圧力を検出する方法としては、感圧ゴムなどを手や指側に貼り付けて計測する方法が周知である。またこの把握力における圧力検知の応用例としては、プレイヤーのスイング技術上達の補助ツールとしてこの圧力センサを用いた多くのトレーニングツールも開発されている。
例えば特許文献1には、ゴルファーがゴルフスイング中にゴルフクラブ(グリップ)を不用意にゆるめてしまった時に音信号を出しスイングエラーとして警告する目的で、グローブに圧力センサを取着して圧力を検出する発明が開示されている。即ちこの発明は、片手グローブの親指の裏側に相当する領域及び/または手のひらと中指および薬指との交差部の周りの部分に相当する領域に圧力センサを配置している。そして、これらの何れかのセンサ上の圧力が開放される(グリップ把握力がゆるむ)と警報として音信号を発信するシステムとしている。
また、例えば特許文献2にも、ゴルフスイングのタイミングチェック及びヘッド速度の擬似計測を手軽に行うことが可能な携帯型トレーニングツールを提供している。この発明は、圧力センサを貼り付けたゴルフ手袋と、グリップ圧力の計測手段と、傾斜センサまたは加速度センサとを組み合わせたトレーニングツールである。すなわち、ゴルフ手袋の親指腹部に貼り付けた圧力センサでゴルフクラブグリップ面との接触圧力を計測し、その波形をコントローラに組み込まれたプログラムで解析してバックスイングトップ位置やインパクト地点を求めている。そして、傾斜検出スイッチによりバックスイング開始直後の腕角度偏移点を検出し、その地点を基準として求めた上記インパクト地点までの所要時間を計算することにより、振り急ぎや振り遅れなどの矯正を行う手首装着型の携帯型トレーニングツールである。
一方、摩擦力を計測する方法としては、凹凸のある圧板を対向させて合わせ、それらの間に感圧導電性素材を挟んで圧力と摩擦応力分布を同時に検出する方法がある。
特開平10−286338号公報(第2−3頁、第1図) 特開平08−173586号公報(第2−3頁、第1図)
打具を把持するスポーツであるゴルフ、野球、テニスなどでは、(特にゴルフにおいては、手と指がグリップ軸に対して斜めに位置する関係上)グリップを静的に把持しただけでも手や指には何らかの摩擦力が作用していると考えられる。ましてプレイヤーが打撃スイングをする時、バックスイングから始動しクラブ(またはバット)に打撃エネルギーが蓄えられる過程およびインパクト時これが打球によりエネルギー放出される過程それぞれにおいて、グリップには遠心力、ねじり力、撓み力などの大きな変動力が発生する。そしてこの際プレイヤーはこれら作用力を、グリップを介して圧力や摩擦力などの把握力で受けている。即ちプレイヤーは、前記クラブからの力を手や指とグリップ表面との間の接触面にはたらく圧力および摩擦力として受けている。
従来この把握力の内の圧力を検出する方法としては、ゴルフスイングにおいて感圧ゴムなどをグリップ側または手や指側に貼り付けて計測する方法が一般的に知られていた。この例として、前述の特許文献1および特許文献2などに見られるように、ゴルフトレーニングツールとしてグロ−ブを用いこれに圧力センサを取着してスイング時にグリップに作用する圧力を測定する発明はあった。しかしながらこれらの発明には、グリップと手のひらや指との間にはたらく摩擦力を計測する技術思想はなかった。ただ従来、摩擦力を計測する一般的な手段としては、凹凸のある圧板を対向させて合わせそれらの間に感圧導電性素材を挟んで圧力と摩擦応力分布を検出するセンサがあるにはあった。しかしこのセンサの構造は、柔軟性はあるものの摩擦力と圧力を検出する機能が構造的に分離されておらずまた感圧性素材は出力感度が直線性に乏しいため、その測定精度が低く実用には供さなかった。従来このようにゴルフのスイング中のグリップ力に関しては、それらは何れも手とグリップの接触面に対して垂直方向の力(圧力)の分布あるいは時間的な変化を測定したもののみであり、グリップ部分にはたらく摩擦力およびその分布を精度よく測定する手段、技術が存在しなかった。
ところで、ゴルフの動作はスイング中にリストのコック(左手首を親指方向に曲げる動作)、アンコック(コックを解く動作)および前腕のロール動作(前腕を捻る動作)などの腕の動きをクラブに伝える役割を果たしている。このように、ゴルファーはスイング全般においてクラブを操作するために俊敏かつ複雑なグリップ力のコントロールを行っているので、これらグリップ力のデータ解析はスイング技術向上のためのコーチィングには是非とも必要と言える。ところが従来競技者が用具を購入する場合には、用具の形状や重量などの仕様を選択基準にする場合がほとんどで、握り易さや振り易さなどのグリップの情報については判断基準が曖昧でありこれらは軽視されがちであった。またグリップ方法のコーチィングに際しては、手のどの部分にどのタイミングでどの位の力をいれるかの表現で教示されるが、このような方法は、指導者による感覚的かつ抽象的な表現で行われており競技者が客観的に理解することは困難であった。
さらにゴルフスイングにおいては、両手のグリップの握り具合やグリップへの荷重割合などが取り沙汰されることが多い。例えば右打の場合、左手小指の締めを強くとか、両手のグリップは卵を割らない程度の握力でゆるく握れば良いなど、とはよく言われるスイング理論である。またスイング時には両手でグリップを絞り込むように握ることが肝要であるとのスイング理論も良く聞かれる。しかし、これらは実際の両手の各把握力配分、その各握力値などには言及されておらず、あくまで抽象的なスイング論(感覚的なグリップ理論)に過ぎなかった。つまり、このような場合においてもスイングの良し悪しをグリップ力やその分布状態により時系列かつ定量的に解析しては評価できず、前述のように曖昧な理論に甘んじていた。このような実情から、グリップ力の特性を正確に実測しスイングとの関連を解析することにより、プレイヤーの技術レベル別に最適なクラブの重さや形状を求めるなどしてグリップやシャフトなどの開発へ反映させ、プレイヤー各人に適応したスイングの矯正指導が行える(摩擦力を含めた総合的な)グリップ把握力の計測技術が待たれていた。
それに従来、プレイヤーのスイング時のグリップ把握力検出には、前述のようにグローブに圧力センサを取着する実用例が多く見られる。しかし、この技術はグローブといった極めて柔らかな部材に取着されているため、圧力センサはグリップ時にグローブの変形に倣って変形する必要がある。従って、圧力センサ自体は可撓性を有していなければならず硬くて剛性のある構成にはできない。よって、例えばストレインゲ−ジを使用した堅牢なロードセルなど高精度検出を可能とする圧力センサは採用できず、その検出精度はもちろん、耐久性にも限界があった。またゴルファーは、グローブを片手(右打ちなら左手)のみに着けるのが通常であり両手に着ける例はまず無い。この慣習から必然的に圧力センサの取り付けは片手のみとなり、両手操作の把握力の測定、およびその計測結果の応用などには考えが及んでいなかった。
本発明は上記の問題点に着目してなされたもので、グリップを握る際の手や指とグリップ表面との間の接触面にはたらく摩擦力および圧力を精度よく測定できるセンサおよびそのセンサを設けたグリップを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1発明は、ゴルフ、テニス、野球などのスポーツ用打具で打撃スイングをする際に、該打具に設けたグリップに発生する把握力を検出する把握力センサにおいて、スイング時に該グリップと手や指との間に把握力として発生する(少なくとも)摩擦力を(圧力とは無関係に)単独に検出可能な構成により上記グリップに設けたことを特徴とする把握力センサを設けた構成としている(この発明においては、把握力の内、少なくとも圧力は検出されない摩擦力を検出する(圧力センサは設けても設けなくても構わない))。
この場合において、第2発明は、第1発明記載の前記把握力センサにおいて、前記グリップの表面部分に設けられ、前記グリップ把持時の把握力により前記グリップの軸方向および円周方向にずれるのを可能とした可動ピースと、該可動ピースが把握力により前記グリップの軸方向および円周方向にずれようとする力をそれぞれ前記グリップに作用する摩擦力として単独に検出するため上記可動ピースを取り囲む周囲のグリップ本体との間に配置されたロードセルとで構成されている。
第3発明は、第2発明記載の前記把握力センサにおいて、前記ロードセルには、歪みゲージまたは感圧性ゴムを適用した構成としている。
第4発明は、第2発明、または第3発明記載の前記把握力センサにおいて、前記可動ピースには、前記グリップ把持時の把握力による圧力を検出する圧力センサも共に設けられた構成としている(この発明では、把握力の内、摩擦力と圧力の測定が可能である)。
第5発明は、第1発明記載の前記把握力センサにおいて、前記グリップの表面部分に設けられ、前記グリップ把持時の把握力により前記グリップの軸方向および円周方向にずれるのを可能とした可動ピースと、該可動ピースが把握力により前記グリップの軸方向および円周方向にずれようとする力をそれぞれ前記グリップに作用する摩擦力として単独に検出するため前記二つの移動方向に対して、それぞれの方向において可動ピースを挟む形態で弾性部を設け、前記弾性部の変形に基づいて前記グリップの表面に働く摩擦力を検出することを特徴とする。
この「弾性部」の形態としては、その部位に適度な弾力を持った材料(弾性板など)を嵌め込む形態で実施可能である。また、弾性部となる位置の周囲を削ることで、弾性部となる部分が把握力に対して適度な撓みを生ずるようにしてもよい。この実施形態は、可動ピースの周囲にあるグリップ、もしくは、把握力センサの枠の一部を適宜な弾力を持つように加工するものである。
第6発明は、第5発明記載の把握力センサにおいて、前記可動ピースは前記グリップ把握時の把握力により前記グリップの中心方向にずれるのを可能とし、前記グリップの中心方向にずれようとする力を前記グリップに作用する圧力として検出するための弾性部を前記可動ピースの裏側に配し、前記弾性部の変形に基づいて前記グリップに働く圧力を検出することを特徴とする。
この第5、第6発明のように、把握力センサとしては、可動ピースの周囲にロードセルを配するのではなく、弾性部を配することで、可動ピースと弾性部とからなる一つのロードセルとして構成してもよい。この把握力センサの構成を言い換えると、前記グリップの表面に可動ピースを設け、この可動ピースに前記グリップの軸方向及び円周方向にずれようとする力(把握力)が働いたときに、この可動ピースがその力の方向に適宜に歪むように前記二方向においてこの可動ピースを挟む形態で弾性部を設け、この弾性部の変形に基づいて前記グリップの表面に働く摩擦力を検出する構成である。更に、前記可動ピースの裏側に弾性部を設け、この弾性部により、グリップの中心方向への歪みを可能にするととともに、この裏側に設けた弾性部の変形に基づいて前記グリップに働く圧力を検出する構成であってもよい。この把握力センサは様々な用途のグリップに用いることが可能であり、特にバットとゴルフクラブに用いることで野球選手やゴルファーのグリップ状態の解析に利用することが可能となる。
第7発明は、ゴルフ、テニス、野球などのスポーツ用打具に設けられたグリップにおいて、該グリップを把持する際に発生する摩擦力を検出するため第1発明〜第6発明記載の前記把握力センサを設けたグリップの構成としている。
第8発明は、第7発明記載の前記把握力センサを設けた前記グリップにおいて、前記グリップには多数の前記把握力センサを設けた構成としている。ここで、「多数の」とは2つ以上のことをいい、その個数は測定対象や目的に応じて適宜に決められる。
より具体的な構成としては、前記グリップにおいて、このグリップの表面に、前記可動ピースの厚みと略同寸の深さを有しかつ可動ピースの円周方向(X方向)および軸方向(Y方向)への僅かな移動用の余裕スペースを有した格納穴を多数設け、この各格納穴の内側に前記摩擦力センサを設けた構成である。その際、この格納穴の内壁との隙間に弾性体、もしくは、弾性部を設け、摩擦力の検出に利用する。これは、望ましい実施形態の一つであり、この構成によりグリップの表面の凹凸を低減することができ、使用者に大きな違和感を与えることなく使用してもらうことができる。更に、前記グリップにおいて、グリップエンドから使用者が左右の握り拳を軸方向に並べて握れる範囲に渡って配設した構成としてもよい。これにより、両手でグリップを握る用途、例えば、ゴルフ、野球、ラクロス、アイスホッケー用のグリップに用いることができる。また、テニスのように通常は片手で握っても、使用者や場面によって両手でグリップする場合(バックハンド)があるグリップにも適用することができる。
第9発明は、グリップを備えたゴルフクラブであって、このグリップの表面に多数の格納穴を設け、このグリップを把持する際に発生する摩擦力を検出するために、前記グリップの軸方向および円周方向に移動可能な可動ピースと、該可動ピースの軸方向および円周方向への移動方向であって、前記可動ピースと前記格納穴の内壁との間にロードセルを配したことを特徴とする。
第10発明は、グリップを備えたゴルフクラブであって、このグリップの表面に多数の格納穴を設け、このグリップを把持する際に発生する摩擦力を検出するために、前記グリップの軸方向、円周方向および中心方向に移動可能な可動ピースと、該可動ピースの軸方向、円周方向および中心方向への移動方向であって、前記可動ピースと前記格納穴の内壁との間に弾性部を配し、前記可動ピースが把握力により前記グリップの軸方向、円周方向、中心方向に移動しようとする力を前記弾性部の変形に基づいて前記グリップの表面に働く把握力を検出することを特徴とする。
第11発明は、グリップを備えたゴルフクラブであって、前記グリップの表面部分に設けられ、前記グリップ把持時の把握力により前記グリップの軸方向、円周方向及び中心方向にずれるのを可能とした可動ピースと、該可動ピースが把握力(摩擦力)により前記グリップの軸方向、円周方向及び中心方向にずれようとする力をそれぞれ前記グリップに作用する把握力として検出するため前記円周方向と軸方向の移動方向に対して、それぞれの方向において可動ピースを挟む形態で弾性部を設け、前記グリップの中心方向にずれようとする力を前記グリップに作用する圧力として検出するための弾性部を前記可動ピースの裏側に設け、前記弾性部の変形に基づいて前記グリップの表面に働く把握力を検出することを特徴とする。なお、把握力の検出については、3軸方向それぞれに弾性部を設けることにより、それぞれの方向に働く把握力を単独で検出できる形態が望ましい。
第1発明、および第7発明によると、ゴルフクラブや野球バットなどのグリップにこの把握力センサを設けることにより、プレイヤーがこのグリップを握ってスイングをする際に、グリップと手や指とグリップ表面との間の接触面にはたらく摩擦力を単独でしかも正確に検出できる。よってこの摩擦力に合わせて圧力も計測すれば、アドレスからアップスイングの過程でどのようなグリップ力をはたらかせているか、ダウンスイング時および打撃時にはどのような力や摩擦がはたらくかを知ることができる。そして、これらの力の測定結果より、グリップにおける表面性状のデザイン、径、形状などの最適化や、より機能的なグローブの開発に有用な情報をもたらすことができる。
また特にゴルフにおいて、本発明では従来のように圧力センサをプレイヤーが片手のみに装着したグローブ側に設けるのではなくグリップ側にこれを設けているので、グリップを把持しているプレイヤーの両手それぞれの握力を同時に詳細に測定できる。例えば両手でグリップを握っている場合、右手と左手を相対的にどのように作用させているか、また右手と左手でしぼる力(摩擦力)、引き合う力をかけているかなども知ることができる。さらに、グリップやシャフトまたはクラブの重さや形状などを変えたときに、これらグリップ力の特性がどのように異なるかを調べることもできる。そして、これらの解析結果をもとにプレイヤーの特性に合わせたシャフト長さ・剛性・クラブヘッド重量・形状などを評価することができる。また、プレイヤー各人のスイング時における現状のグリップ把握力特性を調べてこれを好調時の特性または目標とする特性と比較検討することにより、スイング矯正や良いスイングの指導などを行うなどしてプレイヤーの技術向上に寄与できる。
さらに、テニスにおいてはグリップの把持のためにグローブを使用しないのが一般的である。よってテニスの場合、従来のようにグロ−ブに圧力センサを取着してラケットスイング時にグリップに作用する圧力を測定する技術は採用できないが、本発明においてはグリップ側に把握力センサ設けているのでテニスの場合においても把握力の計測は可能である。
第2発明によると、グリップ部分に可動ピースを埋め込むと共に可動ピースとこれを取り囲む周囲のグリップ本体との間にロードセルを配置した。よって、グリップを握った時にこの可動ピースが手のひらや指と接触して前後左右にずれる方向に受けた力をロードセルにより計測することで、グリップに作用する摩擦力を正確に検出することができる。またこのロードセルは、可動ピースとこれを取り囲む周囲のグリップ本体との間でその軸方向および円周方向にそれぞれ配置したので、これらのロードセルの出力からグリップの軸および円周2方向の摩擦力を同時かつそれぞれ単独に求められる。その上この把握力センサは、従来のグローブに取着した軟弱な圧力センサと異なり、比較的剛性のあるグリップ側に装着され、しかも、可動ピースと堅牢なロードセルとで構成された把握力センサであるので、高精度な検出精度が得られるのみならず、耐久性にも優れている。
第3発明によると、可動ピースと周囲のグリップ本体との間にはさむロードセルにひずみゲージを採用した場合、ロードセルとしての出力の安定性が良いので精度の高い測定ができると共にその耐久性が向上できる。また、このロードセルには、感圧性ゴムなど他の各種の検出器を適用することも容易である。
第4発明によると、前記把握力センサには、その可動ピース内に前記グリップ把握時の握力による圧力を検出する圧力センサも共に装着されているので、摩擦力センサと圧力センサとをまとめてコンパクトに内装できることとなり、狭いグリップの表面上においても適正な配置が可能となる。またこの構成により、可動ピースにかかる同一接触点での摩擦力と圧力とを同時に計測することができる。即ちこの3分力センサセルの構成により、プレイヤーのスイング時において、手の平または指面と可動ピースとの接触点(同一個所)における3軸の力、つまりグリップに対し軸直角方向の圧力と軸方向および径方向の2方向の摩擦力との3軸方向の力を同時かつ独立して動的に計測できる。さらにこのセンサを用いれば、グリップ上における正確な把握力の荷重分布およびその動的な推移が求められる。
第5〜第7発明によると、その実施形態により上記した効果が得られるほか、把握力センサを一体形成することで、剛性の高いセンサなどの実現が可能となる(設計の自由度が高まる)。
第8発明によると、可動ピースをグリップ上に多数配置しているので手のひらや指がグリップに接触する様々な箇所の圧力、摩擦力を検出することができるのみならずそれらの分布も求められる。また、グリップ上には多数の把握力センサが任意位置に設けてあるので、両手の手の平、各指のどの個所の圧力および摩擦力を検出すべきかその最適な箇所を選ぶことができる。
第9〜第11発明において、ゴルフクラブとは、1Wからパターまでのほか、各種のユーティリティクラブを含む。また、ゴルフコースで使用されるゴルフクラブのみならず、練習/試打用にのみ開発されたゴルフクラブのほか、この上記した把握力センサによるテスト用に特別に設計されたクラブ(重量が通常より大きい/軽い、また、シャフトが極めて重い/軽いなど)であってもよい。このようなゴルフクラブを用いることにより、使用者のグリップの把握状態をより詳細に解析することが可能となる。
以下、本発明に係るグリップの把握力センサの実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明に係るグリップに装着した把握力センサの構成を示す図である。ここで図1(a)は、本発明に係るグリップに装着した把握力センサの平面図である。また図1(b)および図1(c)は、それぞれ図1(a)の把握力センサをそれぞれ軸方向および円周方向から見た断面図である。
図1において、グリップ2は市販ゴルフクラブ用のグリップであり全長が約250mm、重さは約50gである。グリップ2の全体形状は、直径が約27mmの略円形断面を成すグリップエンドと直径が約16mmの略円形断面を成すヘッド側の端部との間で略円錐形状を形成している。また把握力センサ1は、可動ピース11と、ロードセル12(12X,12Y)と、圧力センサ13とでセンサセルを構成している。
可動ピース11は、その外形が略正方形を成す樹脂製の薄板形状で、その外面はグリップ2の外形形状にほぼ沿った曲面を構成している。一方グリップ2には、可動ピース11を収納可能にすると共にゴルファーの把握力による円周方向(X方向)および軸方向(Y方向)のずれを可能とするため、可動ピース11の厚みと略同寸の深さを有しかつ可動ピース11のX方向およびY方向への僅かな移動用の余裕スペースを有した、格納穴16が設けられている。そしてこの格納穴16の側壁と可動ピース11の各角部位にはそれぞれ付勢部材15が設けられ、可動ピース11のX,Y方向のずれによる移動を自在にしている。
摩擦力を測定するために用いられるロードセル12(12X,12Y)は、その裏側(可動ピース11の反対側)に超小型の歪みゲージを貼付した縦7.0mm×横1.5mm×高さ2.0mmのブリッジ形状の金属性ブロックで、その中央にかかる力を両端で支えて梁の撓みに変換する。そしてこのロードセル12は、摩擦力Fx、Fyを検出するため前記格納穴16の側壁と可動ピース11側壁との間に配置されている。即ちロードセル12(12X,12Y)は、可動ピース11が把握力によりグリップ2のX方向、Y方向にずれようとする力Fx、Fyをグリップ2に作用する正負両方向それぞれの摩擦力として単独に検出するため、グリップ本体2Aの格納穴16の側壁と可動ピース11との間で可動ピース11の対辺に各軸につき各2個ずつ(計4個)対面配置されている。そしてロードセル12(12X,12Y)の裏面には、縦1.6mm×横1.2mmの超小型の歪みゲージをそれぞれ2枚貼付している。
圧力センサ13も把握力センサ1に設けられている。この圧力センサ13は、その形状がφ6.0mm×11.2mmの凸ボタン型の金属円板であり、把握力の内の圧力Fz(グリップ2の円筒面に垂直に付加する力)を円板の撓みに変換して検出するため可動ピース11の上面中央部に埋め込まれている。そしてこの圧力センサ13の裏側(作用圧力の反対側の面)には縦1.6mm×横1.2mmの超小型の歪みゲージを4枚貼付している。なお圧力センサ13や前述のロードセル12などには、感圧性ゴムなど他の各種の検出器を適用することも可能である。
把握力センサ1は、前述のようにロードセル12と圧力センサ13とを同時収納して小型に構成されているので、面積の限られたグリップ2の表面上に配設できると共に圧力と摩擦力の3分力(Fx,Fy,Fz)が同時検出できる。
このように本発明のグリップ2は、その外周部に可動ピース11を埋め込むと共にこの可動ピース11の側壁とグリップ本体2Aの格納穴16の側壁との間でグリップ2の円周方向(X方向)、軸方向(Y方向)にそれぞれロードセル12(12X,12Y)を配置した。よってゴルファーがグリップ2を握った時に、この可動ピース11が手のひらや指と接触してグリップ2の円周方向、軸方向にずれる力Fx、Fyをロードセル12X、12Yにより計測することで、グリップ2に作用する2方向の摩擦力を正確に検出することができる。しかもこの可動ピース11は格納穴16の側壁と付勢部材15でつながれており、その移動が自由であるのみならずはずれることもない。またこのロードセル12は、X、Y方向にそれぞれ配置したので、これらのロードセル12X、12Yの出力からグリップ2の円周および軸2方向の摩擦力を同時かつそれぞれ単独に求められる。その上この把握力センサ1は、可動ピース11と堅牢なロードセル12とで構成されると共に、このロードセル12は比較的剛性のあるグリップ2側に装着され歪みゲージを採用しているので、従来のグローブに取着した軟弱な圧力センサと異なり、ロードセルとしての出力の安定性が良く高い検出精度が得られるのみならずその耐久性にも優れている。
また把握力センサ1には、その可動ピース11に前記グリップ把握時の握力による圧力を検出する圧力センサ13も共に内装している。よって前記XY2方向の摩擦力を検知するロードセル12と圧力センサ13とをまとめてコンパクトに把握力センサ1に内装できることとなり、狭いグリップの表面上においても適正な配置が可能となる。また把握力センサ1は、上述のように小型に構成されているので、可動ピース11にかかる同一接触点での摩擦力と圧力とを同時に計測することができる。即ちこの3分力センサセルの構成により、スイング時プレイヤーの手の平または指面と可動ピースとの接触点(同一個所)における3軸の力、つまりグリップに対し軸直角方向(Z方向)の圧力FzとX、Y方向の2方向の摩擦力Fx、Fyとの3軸方向の力を同時かつ独立して計測できることとなる。従ってこの把握力センサ1を用いれば、グリップ上における正確な把握力の荷重分布およびその動的な推移が求められる。
図2は本発明に係る多点グリップセンサの例を示す図である。本図によりグリップ2上に多数の把握力センサ1を配設した実施例を説明する。図において、把握力センサ1は、グリップ2の端側であるグリップエンド2Bからゴルファーが左右2つの握り拳を軸方向に並べて握れる範囲に渡って配設されている。そして個々の把握力センサ1は、グリップ2の外周面上に軸方向および円周方向へそれぞれ前記格納穴16と穴無し部とを1つ飛びに交互に配列して設けられている(格子状に、かつ、グリップ全周を覆うように配置)。つまり把握力センサ1は、ゴルファーがスイングに際してグリップ2をグリップした場合、ゴルファーの手の平や指がこのグリップ2と接する全ての範囲をカバーでき、その把握力を検出できるように配列している。ここで前述のようにグリップ2の外周面に敷設された格納穴16に設けられた個々の把握力センサ1は、X、Y方向かつそれぞれの正負2方向の摩擦力を検知する4個のロードセル12(12X,12Y)と可動ピース11の上面中央部に設けられグリップ把握時のZ方向圧力を検出する圧力センサ13とでX、Y、Z方向の3分力(Fx、Fy、Fz)のセルを構成している。
把握力センサ1を図2のようにグリップ2上に多数配置することで、ゴルファーがこのグリップ2を握ってスイングをする際に、グリップ2と手や指とグリップ表面との間の接触面にはたらく摩擦力を単独で検出できるだけでなく、この摩擦力に合わせて圧力およびこれらの分布も計測できる。そして、アドレスからアップスイングの過程でどのようなグリップ力をはたらかせているか、ダウンスイング時および打撃時にはどのような力や摩擦がはたらくかなどスイング時の把握力を詳細に知ることができる。また両手でグリップ2を握っているが、これらの右手と左手を相対的にどのように作用させているか、例えば右手と左手でしぼる力(摩擦力)、引き合う力をかけているかどうかなども知ることができる。この結果をもとにプレイヤーが最適と感じるグリップ形状や最も打撃力が発生するグリップ力など、プレイヤーの特性に合わせたグリップ形状やシャフト長さ・剛性・クラブヘッド重量・形状などを評価することができる。またさらに、グリップ力の特性が、グリップやシャフト、クラブの重さや形状を変えたときにどのように異なるかを調べることもできる。このようにプレイヤー個々のグリップ力特性の違いを調べることにより、各プレイヤーに最適なグリップ、ゴルフ用具の選択やスイングの指導などを行うことができる。
摩擦力センサ1を配置する軸方向の長さに特に制限はないが、両手での測定を考慮すると10cm(子供用を考慮)〜50cmの範囲でよく、ゴルフクラブを考慮すると、15cm〜30cmの範囲が望ましいといえる。
そして、これらの圧力や摩擦力の測定結果より、グリップにおける表面性状のデザイン、径、形状などの最適化や、より機能的なグローブの開発に有用な情報をもたらすことができる。
さらに、テニスにおいてはグローブを使用しないのが一般的であるため、従来のように圧力センサを取着したグロ−ブを用いることではラケットスイング時のグリップ作用圧力を測定できないが、グリップ側に把握力センサを設けた本発明の構成によればテニスの場合でも把握力の計測が可能となる。
また、グリップ上には多数の摩擦力センサや圧力センサが任意位置に設けてあるので、両手の手の平、各指のどの個所の圧力および摩擦力を検出すべきかその最適な箇所を選ぶことができる。
本発明の実施形態を、本発明に係るスイング時のグリップ把握力測定システムの概要を示す図3を用いて以下説明する。図において、ゴルフクラブ21には本発明に係る多数の圧力センサ13を内装する把握力センサ1を設けたグリップ2を採用している。そして、このゴルフクラブ21を用いてゴルファー20(男性、右打ち、HDCP5)を被試験者としたスイングを行い、公式球打撃時の動的なグリップ3分力のスイングデータを測定している。
把握力センサ1からの出力は延長ケーブル22、ブリッジボックス23、多チャンネル型動歪計24を介して200HzのサンプリングでA/D変換後、パソコン25に収集している。また、スイングのタイミングと把握力センサ1の出力との同期をとるため、足の位置に設けられ体重移動を検知することによりスイング開始を検出するフットセンサ26と、クラブの通過を検知してインパクト時刻を検出するインパクトセンサ27とを配置すると共にスイング動作を250fpsの高速度カメラ28(2台)で撮影している。
ゴルファー20の手および指における把握力の測定点を、図4により説明する。図4(a)は左右両手の把握力の測定点を手の平側から見た図であり、また図4(b)はグリップ2を左右両手でグリップした状態での測定点をゴルファーの正面側から見た図である。これらの図に示すように各測定点は、左手30Lにおいては左手小指の測定点32および左手小指側掌の測定点31を、右手30Rにおいては右手中指の測定点34および右手親指の測定点33としている。
次に、スイング時におけるグリップ把握力の測定結果の一例を図5〜図7を用いて説明する。ここで図5は、本発明に係る把握力センサにより測定した左手小指側掌の測定点のグリップ力変化を示す図であり、図6および図7は、それぞれ本発明に係る把握力センサにより測定した、右手親指の測定点のグリップ力変化を示す図および右手中指の測定点のグリップ力変化を示す図である。これらのデータは、1回のスイング中におけるグリップ力の動的変化を示しており、横軸はスイングの経過時間である。また、図中の縦点線と囲み文字とは、スイングのタイミング(S:スイング開始時、D:ダウンスイング開始時、I:インパクト時、F:フォロー時)の時刻を示している。図中のグリップ2の図は、グリップ2上におけるX方向の摩擦力Fx、Y方向の摩擦力Fy、および圧力Fzの力の方向をそれぞれ表している。
図5による測定結果を説明する。左手小指側掌の測定点31でのスイング中の圧力Fzはスイング中にわたってほぼ一定値を維持している。これは、ゴルフクラブ21の回転運動の支点としてのグリップエンド2Bをスイング全体にわたり保持しているためであると考えられる。X方向の摩擦力Fxは、スイング開始時Sおよびインパクト時I直前で+方向の力が作用しており、この時点でグリップ2の握り込みを行い、ゴルフクラブ21をクローズ方向(クラブフェースを閉じる方向)に操作していることが窺える。またスイング開始時SにおけるX方向の摩擦力Fxの増加は、リストのコッキングと腕のロール動作を始めるタイミングとほぼ一致していることから、左手小指部分がバックスイング時のリスト動作やインパクト時Iのクラブフェース面のコントロールに関与していると思われる。また、Y方向の摩擦力Fyについては、インパクト時Iにおいてゴルファー20の身体側への力が作用しており、インパクト時Iにゴルフクラブ21を身体に引きつける動作に伴い作用している力であると考えられる。
図6による測定結果を説明する。右手親指の測定点33でのY方向の摩擦力Fyがスイング全体で大きく検出され、これに比べてX方向の摩擦力Fxや圧力Fzは小さい値を示していた。これは右手親指が比較的クラブシャフト軸に沿ってグリップを支持する形態をとることから、主に軸方向に沿った力が作用しているものと思われる。特に、ダウンスイング中(ダウンスイング開始時Dからインパクト時I近傍に至る間)にクラブヘッド側へほぼ一定の力が作用しており、インパクト時I前後で一旦減少後、再び増加に転じていた。これより、右手親指のグリップ力は、ゴルフクラブ21の振り下ろし動作およびリストコックの開放動作と関連が深い可能性があると考えられる。
図7による測定結果を説明する。右手中指の測定点34でのX方向の摩擦力Fxはスイング開始S後にやや上昇した後減少に転じ、インパクト時I前後で急激な上昇が見られた。これより、右手中指はバックスイングのヘッド加速期とインパクト時Iにゴルフクラブ21の握り込みを行っているものと思われる。また、Y方向の摩擦力Fyの時間的変化から、アドレス(ボールを打つ姿勢をとること)からバックスイング後期において比較的一定の力が作用し、ダウンスイングで減少後、インパクト直後に急増していた。ダウンスイング期のX方向の摩擦力Fx、Y方向の摩擦力Fyはいずれもほぼ0に近いことから、右手の中指はダウンスイングのゴルフクラブ21の運動にあまり関与していないことが想定される。また以上の結果から、X方向の摩擦力FxとY方向の摩擦力Fyについては、インパクト時Iとバックスイング時(図5のFx、図7のFx、Fy)あるいはダウンスイング時(図6のFy)とに大きな力が作用するダブルピーク型の変化を示していることが判明した。
以上のように、本発明の把握力センサおよびこの把握力センサを装備したグリップにより、ゴルフスイング中の手指各部に作用する圧力および軸方向と円周方向の摩擦力の動的な測定が可能となった。これにより、従来不可能であった摩擦力の測定を可能とし、その測定結果から得られた摩擦方向のデータから、ゴルフのグリップにおいては、検出点数こそ少ないもののいずれの測定点においてもそれぞれ特徴的な手指の摩擦力がスイング中に動的に大きく作用していることが明らかにできた。即ち、スイング中のグリップ把握力は特にインパクト前後において急激な変化が見られ、スイング中の左手小指側掌には、接触面に垂直な方向の力、右手親指では軸方向の摩擦力、右手中指には円周方向の摩擦力がそれぞれ大きく作用していたことなど興味深い結果が得られた。またこれらの測定結果を用いれば、例えば作用力が大きい部分グリップ表面テクスチャに作用力方向を考慮したデザインを付与するなど、スリップ防止機能を備えた機能的なグローブの設計などの新たなゴルフ用品の開発に役立つものと期待できる。
<把握力センサのその他の実施形態>
把握力センサのその他の実施形態を、図を用いて説明する。図8、9は、外径26mmのグリップに一つの把握力センサを設けたものであり、図8は正面図(可動ピース101を取り除いた図)、図9は図8におけるA−A面の断面図である。図10は、可動ピース101に軸方向の把握力が働いたときの把握力センサ1の機能を説明する図面である。
(円周方向、第1弾性部F1)
図8は、把握力センサ1の正面図であって、図9に示す可動ピース101を取り除いたものである。図中、符号102は把握力センサ1の枠を示す。この実施形態では、ステンレス鋼(SUS304)の塊を削り出し加工により形成する。図中の符号103は可動ピース101の取付ネジである。この取付ネジ103を挟み、軸方向に垂直となるように二つの第1スリット105a,bを左右に設ける。この第1スリット105はそれぞれ並行に配置し、その長さも略均一とする。スリット105と取付ネジ103を挟み、軸方向に並行となるように二つの第2スリット107a,bを上下に設ける。第2スリット107もそれぞれ並行かつ略均一の長さとする。この実施例では取付ネジ103と可動ピース101の一部分と考える。
第1スリット105と第2スリット107との隙間を円周方向の弾性部、第1弾性部F1とし、その隙間の寸法を2mmとする。この隙間を円周方向間隔として図中符号S1と示す。この寸法は、枠102の素材の剛性を考慮して決定すればよく、この実施例においては、ステンレス鋼であるとして円周方向間隔S1を2mm、その肉厚を0.4mmとした。第1弾性部F1(a〜d)の更に円周外側であって、第2スリット107の内側の壁には、第1弾性部F1の変形を測定するための歪センサ109(a〜d)を配置する。
(軸方向、第2弾性部F2)
取付ネジ103と第2スリット107を挟み、軸方向に垂直となるように二つの第3スリット111a、bを配置する。この第3スリット111はそれぞれ並行に配置し、その長さも略均一とする。第3スリット111の長さは第1スリット105よりも約50%長くする。またその間隔は、第2スリット107の長さよりも適宜に広くすることで、第2スリット107の端部との間に隙間を形成し、これにより軸方向の弾性部、第2弾性部F2が形成される(第2弾性部F2は図10に示す)。第2弾性部F2の寸法も幅2mm、肉厚0.4mmとする。第2弾性部F2(a〜d)の外側であって、第3スリット111の内側の壁には、第2弾性部F2の変形を測定するための歪センサ113(a〜d)を配置する。これら歪センサ109、113の測定データは上記実施例と同様に延長ケーブル22、ブリッジボックス23、多チャンネル型動歪計24を介してパソコン25に取り込まれる。
(穴120a,bの説明)
図8において点線で示す穴120の位置を説明する。穴120は枠102の内部であって、取付ネジ103を挟み形成される。穴120aは図中右側から切削し形成され、枠102の右側から第1スリット105aを貫通し、取付ネジ103の上側を通過し、第1スリット105bまで到達する。一方、穴120bは図中左側から切削して形成され、枠102の左側から第1スリット105bを貫通し、取付ネジ103の下側を通過し、第1スリット105aまで到達する。
(中心方向、第3弾性部F3)
図9は、図8におけるA−A断面図である。図に示すように、表面には、グリップの外周と面一となるように配置した可動ピース101を設ける。この可動ピースは把握力により前記グリップの軸方向(図8に示すY方向)および円周方向(X方向)にずれようとする力が作用した場合、前記二つの方向に移動可能となるよう、その周囲と適宜な間隔Dを備える。この間隔Dには、ゴミなどが混入しないよう柔軟性の高い素材で埋めてもよい。可動ピース101の底部は、取付ネジ103によって、把握力センサ1に取り付けられる。
可動ピース101の裏側(図9では右側)には、可動ピース101の両端とほぼ同じ間隔で中心方向(Z方向)の第3弾性部F3a、b(図中、この弾性部付近を斜線で示す)を配置する。この実施形態では、第3弾性部F3となる位置に適宜な直径の穴120a,bを設けることで、この部分の剛性を低下させる。この第3弾性部F3により、グリップの中心方向に向けての把握力(圧力)が働いたときに、可動ピース101を介してこの部分が適宜に撓む。
第3弾性部F3の裏側には、所定の間隔で二つの歪センサ115が円周方向に並んで配置される。これらの歪センサ115は第3弾性部F3と枠102とに跨る形態で配置される。上記歪センサ107、109、115としてはストレインゲージなどを用いて実施可能である。
(第1弾性部F1の機能)
図10を用いて、軸方向(図8、Y方向)の摩擦力がグリップに作用した場合の弾性部の変形(歪み)、および、その変形に基づく摩擦力の検出形態を説明する。図中、軸方向に水平に配置される第2スリット107とその第2スリット107を左右に挟む形態で縦方向に配置されている第3スリット111との隙間が第2弾力部F2である。図中、右上から時計回りにF2a〜F2dと示す。矢印方向の摩擦力が作用すると、可動ピースは右側に移動する(取付ネジ103も右に移動する)、この動きにより、第3スリット111に設けられた歪センサ113は、右側にあるもの(113a、b)は伸びを感知し、左側にあるもの(113c、d)はちぢみを感知する。この感知された値により、グリップに働く摩擦力が測定される。この実施形態は、可動ピースの周囲にロードセルを設けるのではなく、可動ピースと弾性部が一体化したロードセルとして機能するものである。
円周方向(図8、X方向)の摩擦力が作用した場合は、第1弾性部F1が撓み、歪センサ109がその撓みを感知する。
(第3弾性部F3の機能)
図9を用いて、中央方向(Z方向)の圧力がグリップに作用した場合の弾性部の変形(歪み)、および、その変形に基づく圧力の検出形態を説明する。図9中の矢印で示す方向に力(Fz)が作用した場合、第3弾性部F3が中心方向に歪み、この歪みにより、内側の歪センサ115ainと115dinは伸びを感知し、外側の歪センサ115は縮みを感知する。この感知された値からグリップに働く圧力が測定される。
各弾性部近傍に配置される歪センサの位置については特に制限はなく、弾性部の形状に応じ、その変形を検出しやすい場所や配置が容易な場所などでよい。弾性部F1〜F3の形状についても、特に制限はなく、ゴルフクラブのグリップに用いるステンレス鋼を用いた実施形態においては、0.2mm〜1.0mm程度の肉厚、及び、1〜5mm程度の幅や長さで実施可能である(適宜に撓ませ、かつ、強度を保つ観点から、望ましくは、肉厚0.2mm〜0.5mm程度、幅は1〜3mm程度)。また、図9に示すように、穴120を設けて弾性部(F3)を形成する場合、その寸法としては1〜1.5mm程度が望ましい。なお、第1、第2弾性部を形成する際にも穴を設ける形態であってもよい。上記実施例においては、弾性部F1〜F3とそれ以外の部分(枠102)との間には明確な境界が存在するわけではなく、可動ピースの動きに応じて適宜に歪むよう剛性を低下させた領域を弾性部と定義する。なお、他の実施形態においては、弾性部となる領域に剛性の低い素材を配置することで弾性部の領域を明確にすることも可能である。
本発明に係るグリップに装着した把握力センサの構成図である。(a)把握力センサの平面図。(b)把握力センサを軸方向から見た断面図。(c)把握力センサを円周方向から見た断面図。 本発明に係る多点グリップセンサの例を示す図である。 本発明に係るスイング時のグリップ把握力測定システムの概要を示す図である。 本発明に係る把握力センサにより測定した、手指の把握力測定位置を示す図である。(a)左右両手の把握力の測定点を手の平側から見た図。(b)グリップ2を左右両手でグリップした状態での測定点をゴルファーの正面から見た図。 本発明に係る把握力センサにより測定した、左手小指側掌の測定点のグリップ力変化を示す図である。 本発明に係る把握力センサにより測定した、右手親指の測定点のグリップ力変化を示す図である。 本発明に係る把握力センサにより測定した、右手中指の測定点のグリップ力変化を示す図である。 その他の実施形態における把握力センサの平面図。 その他の実施形態における把握力センサの断面図。 その他の実施形態における軸方向摩擦力感知の説明図。
符号の説明
1…把握力センサ、2…グリップ、2A…グリップ本体、2B…グリップエンド、3…シャフト、11、101…可動ピース、12…摩擦力ロードセル、12X…円周方向摩擦力ロードセル、12Y…軸方向摩擦力ロードセル、13…圧力センサ、15…付勢部材、16…格納穴、20…ゴルファー、21…ゴルフクラブ、22…延長ケーブル、23…ブリッジボックス、24…多チャンネル型動歪計、25…パソコン、26…フットセンサ、27…インパクトセンサ、28…高速度カメラ、30L…左手、30R…右手、31…左手小指側掌の測定点、32…左手小指の測定点、33…右手親指の測定点、34…右手中指の測定点、Fx…X方向の摩擦力、Fy…Y方向の摩擦力、Fz…圧力、S…スイング開始時、D…ダウンスイング開始時、I…インパクト時、F…フォロー時、F1…円周方向の弾性部(第1弾性部)、F2…軸方向の弾性部(第2弾性部)、F3…中心方向の弾性部(第3弾性部)。

Claims (11)

  1. ゴルフ、テニス、野球などのスポーツ用打具で打撃スイングをする際に、該打具に設けたグリップに発生する把握力を検出する把握力センサにおいて、スイング時に該グリップと手や指との間に把握力として発生する摩擦力を単独に検出可能な構成により上記グリップに設けたことを特徴とする把握力センサ。
  2. 請求項1記載の前記把握力センサにおいて、前記グリップの表面部分に設けられ、前記グリップ把持時の把握力により前記グリップの軸方向および円周方向にずれるのを可能とした可動ピースと、該可動ピースが把握力により前記グリップの軸方向および円周方向にずれようとする力をそれぞれ前記グリップに作用する摩擦力として単独に検出するため上記可動ピースを取り囲む周囲のグリップ本体との間に配置されたロードセルとで構成されたことを特徴とする把握力センサ。
  3. 請求項2記載の前記把握力センサにおいて、前記ロードセルには、歪みゲージまたは感圧性ゴムを適用したことを特徴とする把握力センサ。
  4. 請求項2、または請求項3記載の前記把握力センサにおいて、前記可動ピースには、前記グリップ把持時の把握力による圧力を検出する圧力センサも共に設けられたことを特徴とする把握力センサ。
  5. 請求項1記載の前記把握力センサにおいて、前記グリップの表面部分に設けられ、前記グリップ把持時の把握力により前記グリップの軸方向および円周方向にずれるのを可能とした可動ピースと、該可動ピースが把握力により前記グリップの軸方向および円周方向にずれようとする力をそれぞれ前記グリップに作用する摩擦力として単独に検出するため前記二つの移動方向に対して、それぞれの方向において可動ピースを挟む形態で弾性部を設け、前記弾性部の変形に基づいて前記グリップの表面に働く摩擦力を検出することを特徴とする把握力センサ。
  6. 請求項5記載の前記把握力センサにおいて、前記可動ピースは前記グリップ把握時の把握力により前記グリップの中心方向にずれるのを可能とし、前記グリップの中心方向にずれようとする力を前記グリップに作用する圧力として検出するための弾性部を前記可動ピースの裏側に配し、前記弾性部の変形に基づいて前記グリップに働く圧力を検出することを特徴とする把握力センサ。
  7. ゴルフ、テニス、野球などのスポーツ用打具に設けられたグリップにおいて、該グリップを把持する際に発生する摩擦力を検出するため請求項1〜請求項6記載の前記把握力センサを設けたことを特徴とするグリップ。
  8. 請求項7記載の前記把握力センサを設けた前記グリップにおいて、前記グリップには多数の前記把握力センサを設けたことを特徴とするグリップ。
  9. グリップを備えたゴルフクラブであって、このグリップの表面に多数の格納穴を設け、このグリップを把持する際に発生する摩擦力を検出するために、前記グリップの軸方向および円周方向に移動可能な可動ピースと、該可動ピースの軸方向および円周方向への移動方向であって、前記可動ピースと前記格納穴の内壁との間にロードセルを配したことを特徴とするゴルフクラブ。
  10. グリップを備えたゴルフクラブであって、このグリップの表面に多数の格納穴を設け、このグリップを把持する際に発生する摩擦力を検出するために、前記グリップの軸方向、円周方向および中心方向に移動可能な可動ピースと、該可動ピースの軸方向、円周方向および中心方向への移動方向であって、前記可動ピースと前記格納穴の内壁との間に弾性部を配し、前記可動ピースが把握力により前記グリップの軸方向、円周方向、中心方向に移動しようとする力を前記弾性部の変形に基づいて前記グリップの表面に働く把握力を検出することを特徴とするゴルフクラブ。
  11. グリップを備えたゴルフクラブであって、前記グリップの表面部分に設けられ、前記グリップ把持時の把握力により前記グリップの軸方向、円周方向及び中心方向にずれるのを可能とした可動ピースと、前記円周方向と軸方向の移動方向に対して、それぞれの方向において可動ピースを挟む形態で弾性部を設け、前記可動ピースの裏側に弾性部を設け、前記弾性部の変形に基づいて前記グリップの表面に働く把握力を検出することを特徴とするゴルフクラブ。
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