JP2005289863A - セロフェンド酸を含む医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】腎不全の治療効果及び腎虚血/再灌流障害の保護作用を有する医薬組成物の提供。
【解決手段】 本発明により、セロフェンド酸を含む医薬組成物が提供され、当該医薬組成物は腎不全治療剤、腎虚血/再灌流障害の保護剤として有用である。
【選択図】なし


Description

本発明は、腎疾患又は腎虚血再灌流障害の治療に用いるための医薬組成物に関する。
腎虚血−再灌流は、急性又は慢性の腎不全及び移植腎症の病因に深く関与しており(非特許文献1、2)、末期腎不全における重要な増悪因子として認識されている(非特許文献3)。すなわち、何らかの原因で腎臓に一時的に血液が流れなくなってから再び流れ始めたときに、大量のスーパーオキシドアニオンが発生し、これが引き金となってより活性の強い活性酸素種(reactive oxygen species, ROS)が生まれ、腎臓の血管や細胞膜が破壊されると考えられている。
活性酸素種の生成は、標的細胞に対する直接的な毒作用により腎虚血−再灌流障害を及ぼすと考えられている(非特許文献4)。したがって、チオレドキシンなどのさまざまな抗酸化剤によって、腎機能不全及び腎虚血−再灌流によって生じる障害に対して有益な作用がもたらされる(非特許文献5)。さらに、活性酸素種は、細胞に間接的に障害を引き起こすこともある。例えば、スーパーオキサイドアニオンはNOと反応してパーオキシナイトライト(peroxynitrite)を形成し(非特許文献6)、このパーオキシナイトライトは、タンパク質のチロシンをニトロ化することによって(非特許文献7)、あるいはこれが分解してヒドロキシルラジカルと亜酸化窒素になる結果生じる酸化障害によって(非特許文献8)、障害を引き起こす。
以前、本発明者は、培養線条体細胞の馴らし培地が神経保護活性を有することを見出した。また、培養細胞の維持培地に添加されるウシ胎仔血清(FCS)にもグルタミン酸神経毒性に対して保護活性を有すること、さらに、その保護活性はエーテルで抽出される非タンパク質性分画、親油性分画に含まれることを見出した。そして、その中に含まれるセロフェンド酸によって、グルタミン酸の神経毒性を軽減することを明らかにした(非特許文献9、10)。セロフェンド酸は、分子量382Daの内在性の低分子物質である。質量分析及び核磁気共鳴(NMR)分析により、セロフェンド酸の化学構造が、スルホキシド基内に逆の立体配置を有するエピマー混合物である、硫黄含有のアチサン型ジテルペノイド(15-ヒドロキシ-17-メチルスルフィニル-アチサン-19-酸)であることが明らかとなっている(非特許文献11)。植物に含まれる天然のアチサン誘導体は報告されているが、セロフェンド酸は哺乳動物で見つかった最初のアチサン誘導体である。また、合成セロフェンド酸は、in vitroでROSの細胞毒性に対して神経細胞に強力な保護作用を示すことが知られている。
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本発明は、腎機能不全の治療効果及び虚血/再灌流障害の保護作用を有する医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、セロフェンド酸が腎臓における腎機能不全、及び虚血−再灌流によって引き起こされる障害に対して保護効果を有することを見出した。腹腔にセロフェンド酸を適応すると、in vivoで、低濃度で腎虚血−再灌流障害を最小限にする強力な保護作用を示すことを明らかにし、本発明を完成した。従って、本発明は以下の通りである。
(1)スルホキシド基を有するアチサン型ジテルペンを含む医薬組成物。
スルホキシド基を有するアチサン型ジテルペンとしては、セロフェンド酸又はその誘導体が挙げられる。ここで、セロフェンド酸は、次式I:
Figure 2005289863
で示されるものである。
本発明の医薬組成物は、腎不全等の腎疾患の治療剤、腎臓の虚血/再灌流障害保護剤、あるいは活性酸素種(例えばヒドロキシラジカル)による細胞障害に対する保護剤として使用される。
(2)上記(1)記載の医薬組成物をヒトに投与することを特徴とする腎疾患の予防及び/又は治療方法。
(3)上記(1)記載の医薬組成物をヒトに投与することを特徴とする腎虚血/再灌流障害の予防及び/又は治療方法。
本発明により、セロフェンド酸を含む医薬組成物が提供される。また、本発明により、当該医薬組成物を用いることを特徴とする腎疾患、腎虚血/再灌流障害の予防及び/又は治療方法が提供される。当該医薬組成物は、腎疾患治療剤、腎虚血/再灌流障害の保護剤として有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
セロフェンド酸は、ウシ胎児血清の親油性画分から単離された新規のジテルペノイド物質である。本発明者は、セロフェンド酸がin vitroで抗酸化効果により神経保護的な役割を果たしていることを明らかにしているが、in vivoでのセロフェンド酸の役割は不明確であった。発明者は、マウスにおける腎虚血−再灌流障害に対するセロフェンド酸のin vivo保護作用を見出し、本発明に至った。
本発明のセロフェンド酸をマウスの腹腔に投与することによって、虚血−再灌流で誘発される血清クレアチニンの増加をセロフェンド酸の用量依存的に有意に減少させた。そして組織学的検討により、セロフェンド酸を投与したマウスにおいて、再灌流で誘発される尿細管上皮細胞の剥離が対照マウスよりも低いことを明らかにした。また、腹腔へのセロフェンド酸の投与により、再灌流で誘発される単球化学誘引性タンパク質-1(MCP-1)の発現、及び腎臓におけるマクロファージの浸潤が用量依存的に抑制された。また腹腔へのセロフェンド酸の投与により、腎再灌流に誘発されるタンパク質の酸化及び細胞外シグナル調節性キナーゼ(ERK)やJunアミノ末端キナーゼ(JNK)を含めたストレスキナーゼのリン酸化が抑制される。
以上の知見は、虚血−再灌流障害を最小限にするためにセロフェンド酸が保護的な役割を果たしていることを示している。本発明は、このようなセロフェンド酸のin vivoにおける保護作用に基づくものである。
1.セロフェンド酸
本発明で用いられるセロフェンド酸は、in vivoにおいて、培養大脳皮質ニューロンにおけるグルタミン酸神経毒性及びNO神経毒性に対して著明な保護作用を発現する。セロフェンド酸は、NOラジカルとは直接の反応を示さないが、NO神経毒性のカスケードにおいて細胞毒性発現の実行分子として知られるヒドロキシラジカル(OH・)の生成を抑制する。つまり、セロフェンド酸は、フリーラジカル誘発障害を減弱することにより、中枢神経系のニューロン生存を促進する低分子量生理活性物質であるといえる。さらに、セロフェンド酸は、ヒドロキシラジカルという活性酸素種の中では最も反応性の高い分子の生成を抑制することから、活性酸素の細胞障害が関与する難治性疾患や炎症性疾患に対する作用も期待される。そして、本発明により、活性酸素による細胞障害に対するセロフェンド酸の保護作用が明らかとなった。
本発明のセロフェンド酸は、下記式(I)で表される分子量382のジテルペノイド物質である。
Figure 2005289863
セロフェンド酸は、マス・スペクトリー及びNMRの解析から、その化学構造には硫黄分子が含まれ、基本骨格がアチサンと呼ばれる環状ジテルペンであり、側鎖にジメチルスルホキシド基、カルボキシル基などを持つことが明らかとなっている。その化学構造(15-hydroxy-17-methylsufinylatisan-19-oic acid)は、これまでに類のない独自のものである。本発明においては、このようなスルホキシド基を持つアチサン型ジテルペンを、本発明の医薬組成物として使用することができる。
また、セロフェンド酸は、哺乳類で初めて発見された環状ジテルペンである。さらに、セロフェンド酸は胎仔血清に比較的多量に含まれるが、成熟動物の血清中では微量にしか検出されず、胎仔由来の物質である点で、従来の生理活性物質にはない特徴を有する。本発明のセロフェンド酸には、哺乳類の胎仔由来の環状ジテルペンであって、かつ、活性酸素に対する細胞保護作用を有するものも含まれる。
本発明において、セロフェンド酸は、生体試料(例えば血清)から抽出したものでも、化学合成したものでもよい。例えば、セロフェンド酸の化学合成は、国際公報パンフレットWO02-088061号に記載の方法で、公知の化合物などを原料として用いて合成することができる。
本発明のセロフェンド酸は、任意の誘導体を用いることもできる。
本発明においては、上記のほか、セロフェンド酸の任意の薬学的に許容可能な塩の使用を含むものとする。「薬学的に許容可能な塩」としては、無機酸塩(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等)、有機酸塩(例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、酒石酸等)、スルホネート類(例えば、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネート等)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

2.保護作用
腎炎などの疾患において血液を濾過する糸球体機能が低下し、あるいは、糸球体の下流に位置する尿細管が障害されることによって腎機能が低下し、老廃物を十分排泄することができなくなる。このような機能障害を「腎不全」と言い、急性腎不全と慢性腎不全に分けられる。急性腎不全は血清クレアチニン値で1日0.5 mg/dl、血清尿素窒素で1日10 mg/dl以上上昇するか、血清クレアチニン値が前値の50%以上に上昇する場合と定義されている。慢性腎不全としては腎臓の働きが低下し血清クレアチニン値が1.3 mg/dl以上に上昇し、糸球体濾過量が30ml/分以下に低下した状態として定義される。
本発明において「虚血・再灌流」とは、血流が一時停止し、その後再通することをいう。虚血再灌流は、手術時に血流を一度止めて施術を行った後に血流を再び戻すとき、心臓や腎臓の機能が低下しているとき、薬物による副作用、細菌感染によるショック症状を誘発しているときなどに起こりやすい。
本発明において「虚血再灌流障害」とは、血液が再灌流するときに、活性酸素種が発生し、その活性酸素種によって血管や組織が受ける障害をいう。
本発明において「活性酸素種」としては、ヒドロキシラジカルや、スーパーオキシドラジカル、オゾン、過酸化脂質等を挙げることができる。活性酸素種は、手術や貧血などで一時的に血流が止まったとき、スポーツをしたとき、強い紫外線や放射線を浴びたとき、ストレスがかかったとき、細菌感染の際などに体内に発生するといわれている。
本発明において「虚血/再灌流障害保護」とは、虚血/再灌流により生じる障害から細胞を守ることを意味する。虚血/再灌流により腎臓ではタンパク質MCP-1が特異的に発現することが知られているが、本発明のセロフェンド酸は、このMCP-1の発現を抑制し、虚血/再灌流で誘導される活性酸素種による細胞障害から細胞を保護すると考えられる。
本発明において、腎臓の細胞への保護作用は、血清クレアチニン(Cr)の量、血清尿素窒素(BUN)の量等によって評価することができる。例えば、筋肉中のクレアチンは、酵素によりクレアチニンに分解されるときにエネルギーを放出し、筋肉はこのエネルギーを使って動いている。放出されたクレアチニンは、血液を介して全て腎臓から尿中に排出されるために、クレアチニンの血清中濃度は腎機能の指標として用いられることが多い。一方、腎機能の低下、すなわち腎臓のろ過能が低下すると、血清クレアチニン濃度は上昇する。BUNは血中の尿素内の窒素成分であり、含窒素物質の体内代謝産物として糸球体から濾過排泄されて定常値を保っている。 したがって腎機能が低下すると、BUNは上昇する(腎性増加)。このほかにも心不全やショックなどで腎血流量が減少すると 血中に鬱滞する(腎前性増加)。

3.医薬組成物
本発明の医薬組成物は、腎疾患、例えば腎不全(急性腎不全、慢性腎不全)に広く適用することができる。また、本発明の医薬組成物は、腎虚血/再灌流の治療、及び活性酸素種による細胞障害の保護を目的として使用することができる。本発明の医薬組成物の適用となる疾患は、上記腎不全のほか、原発性糸球体腎炎 、ネフローゼ症候群(膜性増殖性糸球体腎炎 、膜性腎症、二次性ネフローゼ症候群、続発性ネフローゼ症候群等)、糖尿病性腎症、腎アミロイドーシス、腎梗塞、高血圧性腎硬化症 、腎静脈血栓、腎皮質壊死、近位尿細管機能異常、尿細管間質性腎症、間質性腎炎、腎盂腎炎などが挙げられる。
本発明は、セロフェンド酸を含む医薬組成物をヒトに投与することを特徴とする腎不全の予防及び/又は治療方法も提供する。また、当該医薬組成物をヒトに投与することを特徴とする腎虚血・再灌流障害の予防及び/又は治療方法も提供する。セロフェンド酸を細胞障害保護剤として使用すると、活性酸素種による細胞障害が保護される。
本発明の医薬組成物においては、上記腎疾患の治療効果、又は活性酸素種による細胞障害の保護作用を有する限り、その有効成分であるセロフェンド酸の一部が改変されてもよく、修飾された誘導体であってもよい。また、セロフェンド酸は、薬理学上許容し得る塩、エステルを形成していてもよい。セロフェンド酸は、精製された成分のみを含むものに限定されず、セロフェンド酸の粗精製物であってもよい。
また、本発明の医薬組成物は、他の腎疾患の治療剤、又は活性酸素種による細胞障害の保護を目的とした医薬組成物と併用することも可能である。
本発明の医薬組成物は、セロフェンド酸を含み、さらに薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物の形態で提供することが好ましい。ここで「薬学的に許容され得る担体」とは、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤、あるいはその他の添加剤等が挙げられる。そのような担体の一つ以上を用いることにより、注射剤、液剤、カプセル剤、懸濁剤、乳剤又はシロップ剤等の形態の医薬組成物を調製することができる。これらの医薬組成物は、経口又は非経口的に投与することができる。
本発明の医薬組成物を経口的に投与する場合は、それに適用される錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤などの固形製剤、あるいは液剤、シロップ剤などの液体製剤等とすればよい。特に顆粒剤及び散剤は、カプセル剤として単位量投与形態とすることができ、液体製剤の場合は使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。これら剤形のうち経口用固形剤は、通常それらの組成物中に製剤上一般に使用される結合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などの添加剤を含有する。また、経口用液体製剤は、通常それらの組成物中に製剤上一般に使用される安定剤、緩衝剤、矯味剤、保存剤、芳香剤、着色剤などの添加剤を含有する。
本発明の医薬組成物を非経口的に投与する場合は、注射剤、坐剤等とすればよい。注射の場合は、通常単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態で提供され、使用する際に適当な担体、例えば発熱物質不含の滅菌した水で再溶解させる粉体であってもよい。これらの剤形は、通常それらの組成物中に製剤上一般に使用される乳化剤、懸濁剤などの添加剤を含有し得る。また、注射剤は、非水性の希釈剤(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール、オリーブ油等の植物油、エタノール等のアルコール類など)、懸濁剤又は乳濁剤として調製することもできる。注射剤の無菌化は、フィルターによる濾過滅菌、殺菌剤の配合等により行えばよい。また、注射剤は、用時調製の形態、すなわち凍結乾燥法などによって無菌の固体組成物とし、使用前に無菌の注射用蒸留水又は他の溶媒に溶解する形態とすることができる。
注射手法としては、例えば点滴静脈内注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、皮内注射が挙げられる。また、その投与量は、投与対象の年齢、投与経路、投与回数により異なり、広範囲に変えることができる。
本発明の医薬組成物の投与量は、患者の年齢、性別、体重及び症状、治療効果、投与方法、処理時間、又は該組成物に含有される活性成分であるセロフェンド酸の形態により異なるが、通常成人一人当たり、30μg〜1000mg、好ましくは100μg〜500mgを1〜数回に分けて投与することができる。但し、この範囲に限定されるものではない。
例えば、注射剤の場合には、生理食塩水又は市販の注射用蒸留水等の薬学的に許容される担体中に0.1μg /ml担体〜10mg /ml担体の濃度となるように溶解又は懸濁することにより製造することができる。このようにして製造された注射剤は、処置を必要とする患者に対し、1回の投与において1kg体重あたり、1〜3000mgの割合で、好ましくは3μg〜1000mgの割合で、1日あたり1回数回投与することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
セロフェンド酸による再灌流誘発腎不全の抑制と再灌流障害の低減
(1)動物及びプロトコル
体重25〜30gの雄性C57BL/6野生型マウスを、腹腔内ペントバルビタール(50 mg/体重1kg)を用いて全身麻酔をした。両側の腎動脈を毛細血管瘤クランプで15、30、及び45分間クリップし、その後解放して再灌流した。腎臓を採取し、液体窒素中で凍結するか、又は10%中性緩衝ホルムアルデヒドに浸し、パラフィンに包埋した。擬似手術(Sham)を行ったマウスを上記のように処置したが、動脈はクリップせずに処置した(Kasuno K et al., Kidney Int, 64:1273-1282, 2003)。すべての動物実験で、ヘルシンキ宣言を遵守した。
実験直前に、合成セロフェンド酸を7%炭酸水素ナトリウムに溶かした。セロフェンド酸を含まないこの濃度の炭酸水素ナトリウムを、擬似処置したマウス及びクリップにて障害を惹起した疾患コントロールマウスに同様に注入した。なお、上記炭酸水素ナトリウムの濃度では、対照条件下で検査した実験室データに影響を与えない。
血中尿窒素及び血清クレアチニンの濃度を、虚血/再灌流においてセロフェンド酸を用いたマウス又は用いないマウスで測定した。
組織学的検査については、45分間の虚血における組織学的損傷を、ヘマトキシリン−エオジン染色によって評価した。
(2)セロフェンド酸による抑制
本発明者等は、以前に急性グルタミン酸毒性に対する、培養細胞におけるセロフェンド酸の顕著な予防的活性を示している(Takaya K, et al., Am J Physiol Renal Physiol. 284(5):F1037-1045, 2003)。そこで、C57BL/6マウスの腎臓において再灌流障害によって誘発される機能低下腎に対し、in vivoでの合成セロフェンド酸の効果を評価した。腎機能の低下は、血清クレアチニン及び血中尿素窒素レベルの増加によって判断した。虚血の15分前に腹腔へセロフェンド酸、エダラボン又はビヒクルを投与した。腎動脈を15分間クリップした後に再灌流することで虚血/再灌流を行った。再灌流の24時間後に血清を採取した。
擬似対照条件下(Sham)では、セロフェンド酸(SA)の腹腔注入は、血清クレアチニン(Serum creatinine)及び血中尿素窒素(Blood urea nitrogen)のレベルのどちらにも影響を与えなかった(図1A及びB)。ビヒクルで処置した虚血−再灌流マウスと比較した場合、セロフェンド酸は血清クレアチニン及び血中尿素窒素のレベルのどちらでも、また陽性対照であるエダラボンも、用量依存的に増加を抑制した(図1及び表1)。したがって、腹腔へのセロフェンド酸投与は、低用量(0.5 mgの1回投与)でも、虚血−再灌流に誘発される腎臓の機能低下を抑制することができた。なお、図1A中「*」はP<0.05であることを示す。
Figure 2005289863
(3)セロフェンド酸による腎再灌流障害の軽減
虚血−再灌流による腎障害を評価するために、45分間の虚血に次いで24時間の再灌流を行った腎臓の組織学的検査について、疾患コントロールマウスとセロフェンド酸で処置したマウスとで比較した。組織はヘマトキシリン及びエオシン染色を行った。
図2中、Aは、腹腔へセロフェンド酸を投与して擬似手術を行ったマウスの腎臓を示す。異常所見は観察されず、腎損傷は見られなかった。Bは、腹腔にビヒクル対照を投与して再灌流を行った後の腎臓の組織を示す。45分間の虚血/再灌流の24時間後に腎臓を採取した。再灌流の後、疾患コントロールマウスでは、髄質外部に特に障害があった。髄質の太い上行脚の上皮細胞(髄質外部の尿細管上皮細胞)のほとんどが平坦で細胞の脱落により低密度になっており、これら細胞の核は、核濃縮を示しているか又は核が完全に消失していた。細胞質は、均一にエオシン好性であるように見える。Cは、セロフェンド酸を投与したマウスにおける再灌流の後の腎臓の組織を示す。虚血侵襲の15分前に腹腔にセロフェンド酸を投与し、45分間の虚血−再灌流の24時間後に腎臓を採取した。このマウスでは、再灌流後の障害は著しく抑制されており、尿細管細胞は高さが高く、細胞集団の密度は維持され、核濃縮は見られなかった。なお、図の倍率は400倍である。
再灌流で誘発されるマクロファージの浸潤のセロフェンド酸による寛解
(1)マクロファージの免疫組織化学
虚血15分前にマウス腹腔に薬物を投与し、続いて15分間の虚血−再灌流の24時間後に腎臓を採取した。パラフィンに包埋した腎臓組織切片からワックスを取り除き、電子レンジを使用して誘導体化した。非特異的抗体結合を阻害するために5%ウマ血清で遮断した後、切片に抗マウスF4/80抗体(Serotec)を適用し、終夜4℃でインキュベートした。陰性対照用にはF4/80抗体の代わりに非特異的ラット免疫グロブリンG(IgG)を用いた。その後、切片をFITC標識の抗ラットIgG (Alexia488)と共に1時間、室温でインキュベートした。対比染色は、PT溶液と共に1分間、室温でインキュベートすることによって行った。この切片を、蛍光顕微鏡(オリンパス、東京)で観察した。
(2)MCP-1用ELISA
腎臓組織における単球化学誘引性タンパク質−1(MCP-1)レベルを、Cytoscreen Mouse MCP-1(BIOSOURCE INTERNATIONAL, Camarillo, CA, USA)を用いて、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で測定した。タンパク質濃度は、DCタンパク質アッセイ(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)によって測定し、100μgのアリコートをアッセイした。ペルオキシダーゼの基質である3,3',5,5'−テトラメチルベンジジンと共に30分間インキュベートした後、停止溶液(2N H2SO4)を加えた。ELISAリーダー(Molecular Devices, Menlo Park, CA, USA)を用いてOD450 nmにおける吸光度を測定した。

(3)結果
ケモカインの発現及びマクロファージの浸潤が腎虚血−再灌流障害における最も重要な原因の1つであるため、腎臓組織におけるマクロファージの浸潤及びケモカインレベルを検討した。
図3において、Aは、腹腔にセロフェンド酸を投与して、擬似手術を行ったマウスの腎臓を示す。マクロファージの浸潤は観察されなかった。Bは、疾患コントロールマウスの再灌流後の腎臓を示す。頻繁なマクロファージの浸潤が広く観察された。Cは、0.5 mg/kgのセロフェンド酸を腹腔に投与した再灌流の後の腎臓を示す。ごくわずかなマクロファージの浸潤が観察されただけであった。Dは、2.5 mg/kgのセロフェンド酸を用いた再灌流の後の腎臓を示す。セロフェンド酸で処置したマウスではマクロファージの浸潤が完全に遮断されたことが観察された。Eは、4.5 mg/kgのエダラボンを腹腔に投与し、再灌流の後の腎臓を示す。腹腔へのエダラボンの適用によっては、虚血−再灌流に誘発されるマクロファージの浸潤が遮断されず、頻繁なマクロファージの浸潤が広く観察された。Fは、腎臓におけるMCP-1の発現量を示す図であり、腎臓組織における単球化学誘引性タンパク質−1(MCP-1)レベルをELISAで測定した結果である。ELISAは、腎臓をホモジナイズし、100μgのアリコートをアッセイした。その結果、擬似手術を行ったマウスのMCP-1レベル(Sham, 312.18±31.56)は、15分間の虚血−再灌流によって増加した(Vehicle, 377.35±106.69)。セロフェンド酸の腹腔投与により、MCP-1レベルの増加が抑制された(SA, セロフェンド酸0.5 mg、343.50±59.66;セロフェンド酸2.5 mg、285.45±33.42)。しかし、エダラボンはMCP-1レベルの増加を抑制しなかった(461.43±37.18)。
セロフェンド酸による再灌流誘発ストレスキナーゼのリン酸化の抑制及びタンパク質の酸化抑制
(1)免疫ブロットアッセイの方法
虚血/再灌流を行った又は行っていない全腎臓を、2 mMのジチオスレイトール、1 mMのNaVO3、及び完全プロテアーゼ阻害剤(Roche Applied Science)を含む冷放射免疫沈降アッセイ緩衝液中で、Astrason(Misonix, Farming-dale, NY)を使用して溶解した(Kasuno K et al,. Kidney Int, 64:1273-1282, 2003)。試料を10,000×gで遠心分離して細胞片をペレットにした。20μgのアリコートを12% SDS-PAGEによって分画化し、酸化タンパク質を酸化タンパク質検出キット(Oxiblot, Oncor Inc., MD)を使用して検出した。また、100μgのアリコートをそれぞれ12%及び7.5%のSDS-PAGEによって分画化し、リン酸化タンパク質及び誘導酸化窒素合成酵素をERK、JNK(Cell Signaling Technology, Beverly, MA)、及びiNOS (BD Biosciences, San Jose, CA)の特異的抗体(1:1000希釈)を使用した免疫ブロットアッセイで検出した。シグナルの検出は、ECL試薬(Amersham Biosciences, Little Chalfont, Buckingham-shire, UK)を使用した(Kasuno K et al., J Biol Chem. 23;279(4):2550-2558, 2004)。シグナル強度は、画像解析装置(NIH画像解析システム)を使用して測定した。
(2)結果
虚血−再灌流を含めた酸化的ストレスのシグナル伝達は、MAPKなどのストレスキナーゼによるタンパク質リン酸化によって媒介される(Kunduzova OR et al., FASEB J. 16(9):1129-1131, 2002)。セロフェンド酸の投与によって虚血−再灌流によるMAPK経路の活性化が抑制されるかどうかを決定するために、腎臓における細胞外シグナル調節性キナーゼ(ERK)及びJunアミノ末端キナーゼ(JNK)のリン酸化を、セロフェンド酸を用いたマウスと用いないマウスとで比較した。
疾患コントロールとともに、所定用量のセロフェンド酸、又は4.5 mg/kgのエダラボンを、虚血侵襲の15分前に注入した。15分間の虚血−再灌流の24時間後に腎臓を採取した。採取した腎臓をホモジナイズした。100μgのアリコートを、リン酸化(Thr-202 / Tyr-204)又は全p42ERK2/P44ERK1 MAPKに特異的な抗体を使用した免疫ブロット(IB)アッセイに供した。リン酸化ERKのシグナル強度を測定し、全ERKのシグナル強度を用いて標準化した。相対強度を図4に示す。
上記と同様に、100μgのアリコートを、リン酸化(Thr-183 / Tyr-185)又は全SAPK/JNK MAPKに特異的な抗体を使用した免疫ブロット(IB)アッセイに供した。リン酸化JNKのシグナル強度を測定し、全SAPK/JNK MAPK(p54/46 JNK MAPK)のシグナル強度を用いて標準化した。相対強度を図5に示す。
また、酸化タンパク質については10μgのアリコートを(図6A)、iNOSについては100μgを(図6B)免疫ブロット(IB)アッセイに供した。シグナル強度を測定し、全p-38 MAPKのシグナル強度を用いて標準化した。相対強度を図6に示す。
図4、図5及び図6Aはいずれも、IBのシグナル像を上二段のパネルで示し、シグナル像を基に測定したシグナル強度を中段の棒グラフ及び下段のグラフで示している。
擬似手術を行ったマウス(図4、レーン1〜2)と比較すると、リン酸化されたp44/42ERKは15分間の虚血−再灌流によって著しく増加した(図4、レーン3〜5)。腹腔へのセロフェンド酸の投与(図4、レーン6〜11)、及びエダラボンの投与(図4、レーン12)によって、再灌流時に誘発されるp44/42ERKのリン酸化が用量依存的に抑制された。これと同様に、リン酸化されたp54/46 JNKは、擬似マウス(図5、レーン1〜2)と比較して、15分間の虚血−再灌流(図5、レーン3〜5)で著しく増加した。腹腔へのセロフェンド酸投与(図5、レーン6〜11)、及びエダラボン投与(図5、レーン12)によっても、再灌流で誘発されるp54/46 JNKのリン酸化が用量依存的に抑制された。
細胞内でのROSの産生及びiNOSの発現は、腎再灌流障害における重要な機構である(Chatterjee PK et al., Kidney Int 61:862-871, 2002)。そこで、腎組織における酸化タンパク質の量及びiNOSの発現を定量した。擬似手術を行ったマウス(図6A、レーン1〜3)と比較すると、酸化タンパク質は15分間の虚血−再灌流後に著しく増加した(図6A、レーン4〜6)。腹腔へのセロフェンド酸投与(図6A、レーン7〜12)、及びエダラボン投与(図6A、レーン13〜15)によって、再灌流に誘発される酸化タンパク質レベルが有意に抑制された。対照的に、セロフェンド酸は再灌流後にiNOSの増加を阻害しなかった(図6B)。従って、セロフェンド酸は再灌流後にiNOSではなくタンパク質の酸化を抑制することが明らかとなった。

(3)まとめ
本発明者は、腹腔へのセロフェンド酸の投与によって、陽性対照であるエダラボンに匹敵するほど虚血−再灌流で誘発される尿素及びクレアチニンの血清レベルの増加を抑えることを示した。組織学的検査では、腎尿細管障害もセロフェンド酸によって抑制されることが示された。これらの結果は、セロフェンド酸が虚血−再灌流に誘発される腎不全に対する予防的効果を有することを示すものである。腎の再灌流障害は、炎症細胞の浸潤、反応性酸素種の生成、及び髄質外部の持続性低酸素症を含めた複数の機構によって引き起こされる(Conger JD: Drug therapy in acute renal failure. In Acute renal failure (3rd ed), edited by Lazaraus JM, Brenner BM, New York, Churchill Livingstone, 1993. pp 1212)。
本発明においては、セロフェンド酸は虚血−再灌流後のマクロファージの浸潤及びMCP-1の増加をどちらも有効に抑制することが示された。これに対し、エダラボンは、虚血−再灌流後のマクロファージの浸潤及びMCP-1の発現のどちらも抑制しなかった。
エダラボンは、ある造影剤と共に投与した場合に急性腎不全の副作用を有することが報告されている。エダラボンが再灌流の侵襲後にマクロファージの浸潤を阻害することができないことが、急性腎不全の機構の1つであると考えられる。従って、セロフェンド酸は、再灌流後のマクロファージの浸潤及びMCP-1の増加を阻害する効果がエダラボンより優れているといえる。
ERK及びJNK経路の調節は、腎虚血−再灌流障害に関与している(Kunduzova OR. et al., FASEB J. 16(9):1129-1131, 2002)。ERK経路は、マウス尿細管細胞におけるMCP-1の発現にも関与している(Takaya K, et al, Am J Physiol Renal Physiol. 284(5):F1037-1045, 2003)。本発明者はERK及びJNKのどちらのリン酸化もセロフェンド酸によって軽減されることを示した。ERK及びJNKは、それぞれ「生存」及び「死」のシグナル経路の一部として記載されている逆方向のストレスキナーゼであるため、本発明により、セロフェンド酸はERK又はJNK経路を特異的に阻害するのではなく、虚血−再灌流のストレス自体を軽減させたことが示された。
本発明のセロフェンド酸はオキシブロット(Oxyblot)分析において再灌流によって誘発される酸化タンパク質の増加を軽減させたので、細胞内のROS産生の抑制は、セロフェンド酸の保護作用の重要な機構を構成していると考えられる。さらに、本発明者は、セロフェンド酸が虚血−再灌流に誘発されるiNOSの発現の増加を阻害しないことを示した。重要なことは、セロフェンド酸が、iNOSやNOに対して直接の活性を示すことがなかったことである(Kume, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci.U. S. A. 99, 3288−3293.)。これらの知見によって、セロフェンド酸が、重要なシグナリング分子としてのNOの生理機能を妨害することなく、NOに誘発される腎毒性を選択的に抑えるものと考えられる。
本発明では、セロフェンド酸を0.5 mg/kgという低濃度で投与した場合も、虚血−再灌流に誘発される急性腎不全の有意な阻害が実証された。セロフェンド酸の特筆すべき特質は、これが低濃度で、虚血−再灌流に誘発される腎不全の著しい阻害を示したことである。低濃度においてもセロフェンド酸が有効であることは、用量を少なくすることによって副作用を低減又は抑えることができることを意味する。従って、本発明の医薬組成物は臨床上極めて有用である。
再灌流後の腎機能を示す図である。 セロフェンド酸の処置有無のマウスにおける再灌流障害の組織学的検査結果を示す図である。 再灌流において誘発されるマクロファージの浸潤及びMCP-1の発現を示す図である。 再灌流後における腎臓内のERK経路シグナリングを示す図である。 再灌流後における腎臓内のJNK経路シグナリングを示す図である。 再灌流後における腎臓内の酸化タンパク質及びiNOSの発現を示す図である。

Claims (11)

  1. スルホキシド基を有するアチサン型ジテルペンを含む医薬組成物。
  2. スルホキシド基を有するアチサン型ジテルペンがセロフェンド酸又はその誘導体である請求項1記載の医薬組成物。
  3. セロフェンド酸が次式I:
    Figure 2005289863
    で示されるものである請求項2記載の医薬組成物。
  4. 腎疾患の治療剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  5. 腎疾患が腎不全である請求項4記載の医薬組成物。
  6. 腎臓の虚血/再灌流障害保護剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  7. 活性酸素種による細胞障害に対する保護剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. 活性酸素種がヒドロキシラジカルである請求項7記載の医薬組成物。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物をヒトに投与することを特徴とする腎疾患の予防及び/又は治療方法。
  10. 腎疾患が腎不全である請求項9記載の方法。
  11. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物をヒトに投与することを特徴とする腎虚血/再灌流障害の予防及び/又は治療方法。

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