予備経路の正常性確認方法と、それを用いた回線救済方法について述べる。本方法を適用する装置のブロック図の例を図13に示す。図1との違いは、図1は前記回線救済方法にて用いる切替制御信号を処理するブロックを、各インタフェース部に具備していたのに対し、図13では予備経路の正常性確認方法にて用いる正常性確認情報等の処理も可能であるOH情報処理部及びOH情報多重分離部を各インタフェース部に具備する点が異なる。
分岐点ノード装置1300は、主信号を光信号または電気信号により伝達するネットワーク・ノード・インタフェース(NNI)部1301〜1304と、ユーザ信号を収容するユーザ・ネットワーク・インタフェース(UNI)部1305、1306と、主信号(及びそれに付帯するオーバヘッド(OH)情報等を含む)の方路を選択可能なクロスコネクト機能を有する、主信号に応じた光または電気ファブリックによるスイッチ部1307と、ノード内の各部を制御し、また、ネットワーク管理網を通じてネットワーク管理装置との通信等を可能とする監視制御部1308とから構成されるものとする。
また、各ネットワーク・ノード・インタフェース部1301〜1304において、主信号へのオーバヘッド(OH)情報の多重や分離機能を有するOH情報多重・分離部1321〜1324と、分離されたオーバヘッド(OH)情報の処理機能を有するOH情報処理部1311〜1314を具備する。
監視制御部1308は、内部にプロセッサとRAMやROM等の記憶領域を少なくとも具備し、この記憶領域に、ノードの構成等に関する固有情報(ノードテーブルと呼ぶことにする)や、データを参照・比較・処理することによりノードの動作を決定可能な情報テーブル(前述のパステーブルと同義、以下パステーブルと表記する)を格納可能である。また監視制御部1308は、ネットワーク管理網との通信に用いる、主信号の伝送以外の通信経路1309を具備する。前記ノードテーブル及びパステーブルは、装置外部/内部から取得した情報により更新可能であるとする。
ここで説明する予備経路の正常性確認方法及びこれを用いた回線救済方法を適用するネットワークは図6や図7に示したように、分岐点ノード装置を、その装置が持つネットワーク・ノード・インタフェース1301〜1304によってメッシュ状に相互接続したネットワークと、ネットワーク管理装置と、分岐点ノード装置とネットワーク管理装置間の通信を可能とするネットワーク管理網とから構成されるものとする。
本発明における予備経路の正常性確認方式は、ネットワークの正常運用中(障害が発生していない状態)に、現用回線に対する予備経路上の分岐点ノード装置及び伝送路(リンク)の正常性を確認し、状態に応じて自ノード内のパステーブルを更新する方式である。
図6で説明したように、1つの入力インタフェースに対して選択可能な出力インタフェースを複数搭載し、且つ使用可能な状態のノード装置を「分岐点ノード」と呼ぶことにする。これに対し、1つの入力インタフェースに対して、選択可能な出力インタフェースが1つしか持たないノード装置を「中継点ノード」と呼ぶことにする。
また、ネットワーク上に設定された現用回線(現用パス)において、現用パス上の前記分岐点ノードにて区切られた経路を「部分パス」と呼ぶことにする。ここで定義する部分パスは、分岐点ノードを両端に有し、その間の伝送路(リンク)及びその伝送路上に存在する中継ノードから構成されるものとする。また、現用パスの主信号の流れに沿った方向を有するものとし、主信号の送信側の分岐点ノードを「起点ノード」、受信側の分岐点ノードを「終点ノード」と呼ぶことにする。
次に、予備経路について説明する。図14に示すように、メッシュネットワークに設定した現用パス1404の部分パス1405,1406に対し、その経路上の伝送路(リンク)及び中継点ノードに障害が発生した場合に回線を救済する為の予備経路1407、1408(以降、予備パスと呼ぶことにする)を運用前に複数算出し、各々の予備パスにはいくつかの指標(重要度、伝送コスト、伝送距離、帯域の利用率等)を用いて優先順位を付与しておく。また、部分パスの両端に位置する分岐点ノードに障害が発生した場合に回線を救済する為の予備パスについても同様に、運用前に複数算出し、優先順位を付与する。
算出された予備パスについては、対応する部分パスのIDや、予備パス上の分岐点ノードID、各分岐点ノードにおいて使用するネットワークインタフェースのID、スイッチのポートID等の情報について、固有の値(又はラベル等)の関連付けを行う。これらの関連付けられた情報はパステーブルに記録される。
図15に示すようにネットワーク管理装置1501は、ネットワーク管理網1502を通じそれぞれのノードに対応したパステーブル1503を配信する。また、配信されたパステーブル1503は、それぞれのノード内の監視制御部1308における記憶領域1505に格納される。また、パステーブル1503の構成内容については、図16〜図19に示すような情報の集合体を例に挙げることができる。
図16はパステーブル中の情報を大きく分類し、回線ID1601,1602や運用情報1603、優先順位1604、部分パス情報1605等によって構成した例である。ここで、部分パス情報1605は、部分パスID1606、起点ノードID1607、終点ノードID1608、部分パス入力ポート1609、部分パス出力ポート1610等の情報から構成されるものを例としてあげることができる。
図17は、前記部分パス情報1605の構成要素となり得る、予備パス情報1611の構成例について示したものである。これについては、予備パスID1701、予備パスの優先順位1702、障害発生時に回線を救済すなわち、部分パスから予備パスに切り替える為に用いる切替制御情報の種別を示す、切替対象となる障害要因1703と、予備パスの正常性確認時に利用する予備パス確認情報種別1704や、その他の情報1705等から構成されるものを例にあげることができる。
図18は、予備パス情報1611の構成要素となり得る、前記切替対象となる障害要因1703と、それに関連付けられた情報の構成例を示すものである。この例としては、当該予備パスがどのスイッチのポートに対して入力されているかを示す予備パス入力ポート1801とそのポートの状態を表す情報や、接続元及び接続先などに関する情報1813、1814と、当該予備パスについては、前期予備パス入力ポート1801に対してスイッチのどの出力ポート接続すべきかを示す予備パス出力ポート1802とそのポートの状態を表す情報や、接続元及び接続先などに関する情報1815、1816と、当該予備パスの経路上で、自ノードに隣接するノードに関する情報を示す、予備パス隣接ノード1803と、そのノードID1804、分岐点ノードIDの集合で表された自ノードからの予備パスの経路情報1807と、自ノードに障害が発生した場合の回線救済時に用いる、自ノード障害時の切替制御情報の転送先ノード情報1808や、その優先順位1809、転送先ノードID1810、転送先ノードからの信号を入力しているスイッチの入力ポート1811及び転送先ノードへ信号を出力しているスイッチの出力ポート1812等の情報から構成されるものを例にあげることができる。
図19は、予備パス情報1611の構成要素となる、予備パス正常性確認情報種別1704に関連付けられた情報の構成例を示す。その要素としては、予備パス隣接ノードに関する情報1901や、その詳細情報である隣接ノードID1902、隣接ノードからの信号を入力しているスイッチの入力ポート1903及び隣接ノードへ信号を出力しているスイッチの出力ポート1904、分岐点ノードIDの集合で表された自ノードからの確認経路情報1905等の情報から構成されるものを例にあげることができる。
図20にノードテーブルの構成例を示す。ノードテーブルは、リソース等に関する各ノード固有の情報等から構成されたものを例にあげることができる。その例としては、ネットワークID2001、サブネットワークID2002、ノードID2003、装置情報2004の詳細情報である、NNI−ID2005やUNI−ID2006、スイッチID2007、スイッチのポート数2008、入力ポートID2009と接続状態情報2010、出力ポートID2011とその接続状態情報2012、監視制御部ID2013、その他の装置情報2014、装置内障害情報2015、回線障害情報2016や、その他の情報2017等から構成されるものを例としてあげることができる。
次に、予備パスにおける伝送路(リンク)や中継ノードの正常性について、パステーブル及び正常性確認の為の情報(詳細は後述)を用いて確認する方法の例を示す。
図21に示すように、ある1つの部分パス2101において、その両端に位置する分岐点ノードI2104、分岐点ノードII2105のどちらか(例えば送信側:ノードI2104)が、その部分パス2101に対しパステーブル中に定義されている予備パスの全てについて、優先順位に従い周期的に正常性の確認を自律的に行う。
予備パスの正常性確認については、図21に示すように、例えば部分パス2101の端点で、主信号を送信する側に位置する分岐点ノードI2104が、正常性確認の為の情報を、例えば主信号のオーバヘッド情報を用いて、予備パス上の全てのノード装置(分岐点ノード、中継ノード)及び伝送路を経由するように分岐点ノードII2105に送信する。この正常性確認情報を受信したノードII2105が最終的にノードI2104に正常性確認情報を送信することによって、自ノードに戻ってきた情報を元にノードI2104が予備パスの正常性の監視(診断)を行うものである。
この正常性確認情報の転送経路2103については、主信号を受信する側に位置するノードII2105が主体となり、予備パスをノードI2104に向かう方向に転送し、ノードI2104から最終的にノードII2105に送信する経路としてもよい。
次に、正常性確認情報について説明する。図22に、正常性確認情報の例を示す。これはITU−T勧告G.709に定義されたOTN(Optical Transport Network)フレームフォーマットの中の、ODUk(Optical Data Unit−k)オーバヘッド情報2201を利用した場合を示し、このODUkオーバヘッド2201の中のMFAS(MultiFrame Alignment Signal)バイト2202及びAPS/PCC(Automatic Protection Switching cordination channel/Protection Communication Control channel)バイト2203を利用する例である。
図23に、MFASバイト2202及びAPS/PCCバイト2203の使用例を示す。MFASバイト2202は1バイトの情報であり、ITU−T勧告G.709ではOTNの1フレーム毎にインクリメントされる値を持つ。本方式では、このMFASバイト2202を、サブネットワーク内の各ノードにおいて、それぞれのノードID情報2302,2303と対応させて解釈することで、それぞれのノードが発出又は転送する予備パス確認情報をマルチフレーム化(独立チャネル化)する。
APS/PCCバイト2203は、ITU−T勧告G.709では切替制御等に利用する為に割り当てられた4バイトの情報であるが、その利用方法までは定義されていない。本方式では、この4バイトに予備パスの正常性確認情報の種別2305、正常性確認情報を発出又は転送したノードの状態に関する情報2306、予備パスのID2307、サブネットワークID2308、予備パス上の分岐点ノードで、正常性確認情報を発出するノードにおけるサブネットワーク内のノードID2309、予備パス上の分岐点ノードで、正常性確認情報を受信するノードにおけるサブネットワーク内のノードID2310等の情報をアサインする。
図24に、予備パスの正常性確認時における、APS/PCCバイト内にアサインした正常性確認情報の種別2305及び、正常性確認情報を発出又は転送したノードの状態2306に関する情報の値の例を示す。正常性確認情報の種別としては、確認情報を発出・転送していない通常状態2405、正常性確認情報2404とそれに対する応答を示す正常性確認応答2403、規定外情報2402等に対応する値をそれぞれ定義する。正常性確認情報を送信したノードの状態に関する情報2306については、通常状態2410、正常性確認情報を送信した状態2409、正常性確認応答を送信した状態2408、異常発生状態2407に対応する値等を定義する。
次に、前述の正常性確認情報等を用いて、予備パスの正常性を確認する方法について述べる。図25に、9個の分岐点ノード(A〜I)をメッシュ状に相互接続したネットワークの例を示す。部分パスの端点の分岐点ノードにおいて、主信号の送信側に位置するノードが正常性確認情報の発出元となる場合(ここではノードE2500)の、正常性確認情報の転送経路について説明する。
分岐点ノードE2500では、自身が収容している現用パスにおいて、自身が主信号の送信側となる全ての部分パス2510、2520、2530、2540について、そのそれぞれに対してパステーブル中に定義された全ての予備パスの正常性を確認する。例えば、図25(a)〜(d)のように、部分パス2510については予備パス2511、2512の正常性の確認を、部分パス2520については予備パス2521、2522の正常性の確認を、部分パス2530については予備パス2531、2532の正常性の確認を、部分パス2540については予備パス2541、2542の正常性の確認を行うというものである。予備パスの正常性を確認する部分パスの順番については、パステーブル中に定義された部分パス情報の優先順位に従う方法等が考えられる。
次に、予備パスの正常性確認に際し、予備パス上の各分岐点ノードにおける処理の推移を、図25の(a)を例にとって説明する。図26では、分岐点ノードE2601が持つ部分パスのうち、ノードFに向かうもの(2600)について定義された予備パスの中で、その経路がノードE2601→ノードB2602→ノードC2603→ノードF2604となっている予備パスの確認手順の例を示す。
基本的な手順の例としては、正常性確認情報2605を分岐点ノードE2601から発出し、予備パスの経路上の全ノードについて転送する。この正常性確認情報2605を受信した分岐点ノードF2604が発出元の分岐点ノードE2601に対して確認応答情報2606を発出し、正常性確認情報2605とは逆の経路をたどって、分岐点ノードE2601までこれを転送する。確認応答情報2606を受信した分岐点ノードE2601は、受信した事をノードF2604に通知する為、例えば調査中の部分パス2600を利用してノードF2604に対して確認応答情報2606を転送する。
各分岐点ノードにおいては、受信した正常性確認情報2605あるいは確認応答情報2606のそれぞれについて、自身が持つパステーブルを検索し、それぞれの情報(正常性確認情報2605/確認応答情報2606)に関連付けられた情報(転送先の隣接ノード等に関する情報等)を元に、情報の転送先を決定し、転送するという動作を行う。ここで、各情報の発出/転送タイミングについては、前述のMFASバイトの値が、正常性確認情報2605の発出元の分岐点ノードであるノードE2601のノードIDと一致したフレームのAPS/PCCバイトに対して、各情報に対応する値を挿入する。
また、それぞれのノードにおいて自ノード内の障害や伝送路の障害を検出した場合は、異常状態であることを転送(図24に示すAPS/PCCバイトにおける(b)正常性確認情報を送信したノードの状態に関する情報2406について、異常状態2407を示す値を挿入する)し、必要に応じて後述の回線救済方法を用いて障害復旧動作を実施する。
この正常性確認情報及び確認応答情報の転送経路及び確認手順については、図27、図28に示すものも例として挙げられる。
次に、図26に示す予備パス確認手順を例に取り、各ノードそれぞれについての動作の詳細を説明する。図29はノードの動作を決定する為のパステーブル2900の項目に関する関連付けの例である。ここでは、パステーブル2900を大きく3つの要素(現用パス情報、部分パス情報、予備パス情報)から構成する例を挙げる。ネットワークに設定された現用パス情報#1(2910)が部分パス#情報1(2911)〜#m(2913)によって構成されるとすると、その部分パスのそれぞれに対し、優先順位を付与された予備パス情報2914〜2919を関連付ける。これをネットワークにおける全ての現用パスについて生成し、ネットワーク全体のパステーブル2900とすることができる。これに対し、各分岐点ノードについては、自ノードが収容する部分パスと関連付けられた情報を元に構成されたパステーブルが配信されればよい。
図30に、ノードE2601のパステーブルの内容及びこれを参照する順番の例を示す。ここでは、前記パステーブル2900の要素を更に細かい情報で構成した例となっており、これらの値を参照し、ノードの動作を決定する。図中の丸枠にて囲んだ番号は図32における正常性確認手順中の番号との対応を示す。また、パステーブル内の値が表すインタフェースIDやスイッチのポートIDとノードE2601の各部との対応の例を図31に示す。ノードE2601の各部については、入力インタフェースID3111〜3115、及び出力インタフェースID3121〜3125、スイッチの入力ポートID3131〜3135、及び出力ポートID3141〜3145等に付与した値もしくはラベルの例をあげることができる。
図32に、ノードE2601における予備パスの正常性確認手順の例を示す。まず最初に、調査したい部分パスに対する予備パスの中で、優先順位が最も高いものを選定する為に、その優先順位の値を決定する(3201)。次にノードE2601内のパステーブルを参照し、運用状態の部分パスの中で、自ノードが起点ノードの部分パス情報のうち、「優先順位と等しい予備パス」を検索する(3202)。その後、該当した部分パスに関連付けられた情報のうち、「APS/PCC種別」が「正常性確認情報(CfM)」の情報群を検索する(3203)。次に、該当した「APS/PCC種別(CfM)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「隣接ノードSW入力対応IF」及び「隣接ノードSW出力対応IF」を検索する(3204)。その後、該当した「隣接ノードSW出力対応IF」内のOH情報処理部(図13の1301等)に対して、MFASバイトと自ノードIDが一致したOTNフレームに、正常性確認情報(CfM+CfMT+・・・)をAPS/PCCバイトに挿入する指示を行なう(3205)。そして該当した「隣接ノードSW入力対応IF」において、MFASバイトと自ノードIDが一致したOTNフレームに、確認応答情報を示す情報が検出された場合、「隣接ノードSW出力対応IF」から送信していた正常性確認情報の値を通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更し、調査中の部分パスに関連付けられた情報のうち、「APS/PCC種別」が「確認応答情報(CfR)」の情報群を検索する(3206)。
その後、該当した「APS/PCC種別(CfR)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「隣接ノードSW入力対応IF」及び「隣接ノードSW出力対応IF」を検索する(3207)。
その後、該当した「隣接ノードSW出力対応IF」内のOH情報処理部(図13の1301等)に対して、MFASバイトと自ノードIDが一致したOTNフレームに、確認応答情報(CfR+CfRT+・・・)をAPS/PCCバイトに挿入する指示(3208)を行った後、該当した「隣接ノードSW入力対応IF」において、MFASバイトと自ノードIDが一致したOTNフレームに挿入されていたノードBからの確認応答情報が通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更されたことを検出した場合、「隣接ノードSW出力対応IF」から送信していた確認応答情報の値を通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更する(3209)。これによって、調査中の予備パスの正常性確認が終了する。
その後、調査中の部分パスに対してパステーブル中に定義された全ての予備パスについての正常性確認が終了している場合は、部分パスID=次の部分パスID、予備パスの優先順位=01とする。そうでない場合は、現在調査中の予備パスの優先順位=次の優先順位として(3210)、予備パスの正常性確認を続ける。ここで、各手順中に不具合が発生した場合は、エラー処理(3200)を実行する。
図33に、ノード間で授受を行う、正常性確認情報及び確認応答情報の流れの例を示す。図中の丸枠にて囲んだ番号は図32に示したノードEでの正常性確認手順の番号との対応を示す。
次に、前述のノードEにおける予備パスの正常性確認手順中のノードB、Cの動作について説明する。図34に、ノードBのパステーブルの内容及びこれを参照する順番の例を示す。また、パステーブル内の値が表すインタフェースIDやスイッチのポートIDとノードBの各部との対応の例を図35に示す。
図36に、ノードBにおける予備パスの正常性確認手順の例を示す。まず最初に、インタフェース部において正常性確認情報(CfM)を受信した場合、APS/PCCバイトに挿入された予備パスIDと一致する情報群のうち、「APS/PCC種別」が「正常性確認情報(CfM)」であるものをパステーブルで検索する(3601)。また、この時検出したAPS/PCCバイトの終点ノードIDと、自ノードIDとが一致しない為、以降の動作を行う。該当した「APS/PCC種別(CfM)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「隣接ノードSW入力対応IF」及び「隣接ノードSW出力対応IF」を検索する(3602)。
その後、該当した「隣接ノードSW出力対応IF」内のOH情報処理部に対して、最初に検出したMFASバイトと一致したOTNフレームに、正常性確認情報(CfM+CfMT+・・・)をAPS/PCCバイトに挿入する指示を行う(3603)。その後、該当した「隣接ノードSW入力対応IF」において、最初に検出したMFASバイトと一致したOTNフレームに、確認応答情報を示す情報が検出された場合、「隣接ノードSW出力対応IF」から送信していた正常性確認情報の値を通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更し、調査中の予備パスに関連付けられた情報のうち、「APS/PCC種別」が「確認応答情報(CfR)」の情報群を検索する(3604)。
その後、該当した「APS/PCC種別(CfR)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「隣接ノードSW入力対応IF」及び「隣接ノードSW出力対応IF」を検索する(3605)。その後、該当した「隣接ノードSW出力対応IF」内のOH情報処理部に対して、最初に検出したMFASバイトと一致したOTNフレームに、確認応答情報(CfR+CfRT+・・・)をAPS/PCCバイトに挿入する指示を行う(3606)。
その後、該当した「隣接ノードSW入力対応IF」において、最初に検出したMFASバイトと一致したOTNフレームに挿入されていたノードEからの確認応答情報が通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更されたことを検出し、更にCfMを受信した際の検索時に該当した「隣接ノードSW入力対応IF」において、最初に検出したMFASバイトと一致したOTNフレームに挿入されていたノードCからの確認応答情報が通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更されたことを検出した場合、該当した「隣接ノードSW出力対応IF」から送信していた確認応答情報の値を通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更する(3607)。これによってノードBでの当該予備パスの確認動作を完了する。また、各手順中に不具合が発生した場合は、エラー処理(3600)を実行する。
図37に、ノード間で授受を行う、正常性確認情報及び確認応答情報の流れの例を示す。図中の丸枠にて囲んだ番号は図36に示したノードBでの正常性確認手順の番号との対応を示す。
ノードCについても、まず最初に、インタフェース部において正常性確認情報(CfM)を受信した場合、APS/PCCバイトに挿入された予備パスIDと一致する情報群のうち、「APS/PCC種別」が「正常性確認情報(CfM)」であるものをパステーブルで検索する。この時検出したAPS/PCCバイトの終点ノードIDと、自ノードIDとが一致しない為、以降のノードCの動作は、ノードBと同様の動きを行う。
次に、前述のノードEが予備パスの正常性確認を行っている際のノードFの動作について説明する。図38に、ノードFのパステーブルの内容及びこれを参照する順番の例を示す。また、パステーブル内の値が表すインタフェースIDやスイッチのポートIDとノードFとの対応の例を図39に示す。
図40に、ノードFにおける予備パスの正常性確認手順の例を示す。まず最初に、インタフェース部において正常性確認情報(CfM)を受信した場合、APS/PCCバイトに挿入された予備パスIDと一致する情報群のうち、「APS/PCC種別」が「正常性確認情報(CfM)」であるものをパステーブルで検索する(4001)。また、この時検出したAPS/PCCバイトの終点ノードIDと、自ノードIDとが一致する為、以降の動作を行う。
該当した「APS/PCC種別(CfM)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「隣接ノードSW入力対応IF」及び「隣接ノードSW出力対応IF」を検索する(4002)。その後、該当した「隣接ノードSW出力対応IF」内のOH情報処理部に対して、最初に検出したMFASバイトと一致したOTNフレームに、確認応答情報(CfR+CfRT+・・・)をAPS/PCCバイトに挿入する指示を行う(4003)。その後、該当した「隣接ノードSW入力対応IF」において、最初に検出したMFASバイトと一致したOTNフレームに挿入されていたノードCからの確認応答情報が通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更されたことを検出した場合、調査中の予備パスに関連付けられた情報のうち、「APS/PCC種別」が「確認応答情報(CfR)」の情報群を検索する(4004)。
その後、該当した「APS/PCC種別(CfR)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「隣接ノードSW入力対応IF」及び「隣接ノードSW出力対応IF」を検索する(4005)。その後、該当した「隣接ノードSW入力対応IF」において、最初に検出したMFASバイトと一致したOTNフレームに挿入されていたノードEからの確認応答情報を検出した場合、CfMを受信した際の検索時に該当した「隣接ノードSW出力対応IF」から送信していた確認応答情報の値を通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更する(4006)。その後、該当した「隣接ノードSW入力対応IF」において、最初に検出したMFASバイトと一致したOTNフレームに挿入されていたノードEからの確認応答情報が通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更されたことを検出した場合、調査中の予備パスについての動作を完了する(4007)。また、各手順中に不具合が発生した場合は、エラー処理(4000)を実行する。
図41に、ノード間で授受を行う、正常性確認情報及び確認応答情報の流れの例を示す。図中の丸枠にて囲んだ番号は図40に示したノードFでの正常性確認手順の番号との対応を示す。
以上のようにして、起点ノードが持つ部分パスに対する予備パスの正常性が確認可能となる。また、MFASバイトの利用により、各ノードがそれぞれ独立にかつ非同期に予備パスの正常性を確認することが可能となる。
次に、前述の予備パスの正常性確認方式を利用した、回線救済方法について説明する。本方法は、これまでに述べた装置・ネットワークを適用対象とし、前述の予備パスの正常性確認方式によって、各ノードが自律的に予備経路の正常性の確認を行っていることを前提とする。これによって、予備経路を共有しつつ、メッシュネットワークにおける高速な障害復旧を実現可能となる。
本方法では、図42に示すように、メッシュネットワークの伝送路(あるいは前述の中継ノード)及び分岐点ノードについて障害が発生した場合に適用する回線救済方法である。伝送路の障害要因については、図42に示すように、伝送路断(4201)、信号劣化(4202)等が挙げられる。また、分岐点ノードの障害については、スイッチ故障(4203)やインタフェース部故障(4204)、監視制御部故障(4205)、電源断(4206)等が挙げられる。
図43に、伝送路障害に対する回線救済(障害復旧)の手順例を示す。これより説明する予備パスの正常性確認方法を用いた回線救済方法では、主信号を受信する側の分岐点ノードF4304が伝送路障害4307を検出した場合、障害復旧の行動を開始する。図43下部にそのシーケンスの例を示す。概要としては、ノードF4304では、障害検出後、自ノード内のパステーブルを参照し、自ノードが部分パスの終点ノードであることから、障害発生以前に確認されている予備パスの中で、もっとも優先順位の高い予備パスに対してスイッチの接続状態を変更し、このことを予備パス上の分岐点ノードでノードF4304に隣接するノードC4303に対して通知する為に、ノードC4303へ送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに切替制御情報(「切替要求」)を挿入することで通知する。
これを受けたノードC4303は、パステーブルを参照し、自ノードが部分パスの起点ノードでも終点ノードでもない為、予備パスに異常がない場合には、予備パスの接続を行った後、ノードF4304と同様に、当該予備パス上の分岐点ノードで、切替制御情報を伝達すべき隣接ノード(ここではノードB4302)に通知する為、ノードB4302に送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに切替制御情報(「切替要求」)を挿入することで通知する。
ノードB4302では、ノードC4303からの切替制御情報を受けた後、パステーブルを参照し、自ノードが部分パスの起点ノードでも終点ノードでもない為、ノードC4303と同様の動きを行う。即ち、予備パスに異常がない場合には、予備パスの接続を行った後、ノードF4304、C4303と同様に、当該予備パス上の分岐点ノードで、切替制御情報を伝達すべき隣接ノード(ここではノードE4301)に通知する為、ノードE4301に送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに切替制御情報(「切替要求」)を挿入することで通知する。
ノードE4301では、ノードB4302からの切替制御情報を受けた後、パステーブルを参照し、自ノードが部分パスの起点ノードである為、予備パスに異常がない場合には、スイッチの接続状態変更する。この時点で予備経路への切替が完了する。その後ノードE4301では、切替が完了したことを予備パス上の各分岐点ノードに通知する為、切替制御情報を伝達すべき隣接ノード(ここではノードB4302)に送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに切替制御情報(「切替完了」)を挿入することで通知する。以降、切り替えられた予備パス上の各分岐点ノードが切替制御情報(「切替完了」)を転送し、障害が発生した部分パスの終点ノードである分岐点ノードF4304まで到達させる。
以上のように、各分岐点ノードがスイッチの接続変更及び切替制御情報の伝達を連鎖的に実行することで、メッシュネットワークにおいて高速な障害復旧を実現する。
図44に、障害復旧時におけるMFASバイト4401及びAPS/PCCバイト4404の使用例を示す。本障害復旧方式におけるMFASバイト4401の使用法については、予備パスの正常性確認方式と同様に、サブネットワーク内の各ノードにおいて、それぞれのノードID(4402、4403)と対応させて解釈することで、それぞれのノードが発出又は転送する切替制御情報をマルチフレーム化(独立チャネル化)する為に使用する。
本障害復旧方式におけるAPS/PCCバイト4404の使用法ついても、予備パスの正常性確認方式と同様に、この4バイトに、切替制御情報の種別4405、切替制御情報を発出又は転送したノードの状態に関する情報4406、予備パスのID4407、サブネットワークID4408、切替対象となる(障害が発生した)部分パスの起点ノードの、サブネットワーク内のノードID4409、終点ノードのサブネットワーク内におけるノードID4410等の情報についてアサインする。
図45に、障害復旧時における、APS/PCCバイト内にアサインした切替制御情報の種別4501及び、切替制御情報を発出又は転送したノードの状態に関する情報4507の例を示す。切替制御情報の種別4501としては、切替制御情報を発出・転送していない通常状態4506、切替要求の各種要因(ノード内スイッチ故障4503、信号断4504、信号劣化4505等)、規定外情報4502等に対応する値を定義する。切替制御情報を送信したノードの状態に関する情報4507については、通常状態4510、スイッチの接続を変更した(切替完了)状態4509、異常状態4508等に対応する値を定義する。
図46は、ノードFにおける障害復旧用のパステーブルの内容及びこれを参照する順番の例を示す。図中の丸枠にて囲んだ番号は図48における障害復旧手順例中の番号との対応を示す。また、パステーブル内の値が表すインタフェースIDやスイッチのポートIDとノードFの各部との対応の例及び、接続状態の変化例を図47に示す。
図48に、ノードFにおける障害復旧手順の例を示す。まず最初に、ノードEにおいては、部分パスE→Fを収容するインタフェース部(IFi−02)にて伝送路障害(SF)を検出(4801)すると、自ノード内のパステーブルから、運用状態のパスの部分パスの中で、自ノードが起点ノードの部分パス情報のうち、「予備パス優先順位が最も高いもの(01)」を検索する(4802)。その後、該当した予備パス(優先順位=01)に関連付けられた情報のうち、「APS/PCC種別」が「伝送路障害(SF)」の情報群を検索(4803)し、該当した「APS/PCC種別(SF)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「隣接ノードSW入力対応IF」及び「隣接ノードSW出力対応IF」を検索する(4804)。その後、該当した「隣接ノードSW出力対応IF」内のOH情報処理部に対して、MFASバイトと自ノードIDが一致したOTNフレームに、切替要求(SF+・・・) をAPS/PCCバイトに挿入する指示を行う(4805)。
その後、予備パスへの切替を行う為、予備パスを「APS/PCC種別」で検索した際に該当した予備パス情報から、「予備パスSW入力ポートID」、「予備パスSW出力ポートID」を検索(4806)し、障害の発生した部分パスE→Fにおける信号の接続状態を、該当した情報に接続変更する(4807)。その後、「隣接ノードSW入力対応IF」において、MFASバイトと自ノードIDが一致したOTNフレームに、切替完了を示す情報が検出された場合、「隣接ノードSW出力対応IF」から送信していた切替要求(SF+・・・)の値を通常状態の値(NR+IDLE・・・)に変更(4808)し、その後、ノードテーブル及びパステーブルの情報を更新する(4809)。また、各手順中に不具合が発生した場合は、エラー処理(4800)を実行する。
図49は、ノードFにて障害復旧に入った場合のノードCにおける障害復旧用のパステーブル及び参照する順番の例を示す。図中の丸枠にて囲んだ番号は図51における障害復旧手順例中の番号との対応を示す。また、このパステーブル内の値が表すインタフェースIDやスイッチのポートIDとの対応の例及び、障害復旧前後の信号の接続状態について、図50に示す。
図51に、ノードCにおける障害復旧手順の例を示す。まず最初に、ノードCにおいては、インタフェース部(IFi−02)にて切替要求(SF+・・・)を検出する(5101)。自ノードIDが切替制御情報中の起点ノードIDとも終点ノードIDとも一致しない為、以降の処理を実行する。
パステーブルから、運用状態のパスの部分パスの中で、検出した切替要求中の起点ノード・終点ノードと一致するものを検索し、該当する部分パスの予備パスの中から、検出した切替要求中の予備パスIDと一致する予備パスを検索する(5102)。その後、該当した予備パスに関連付けられた情報のうち、「APS/PCC種別」が切替要求中のAPS/PCCバイトの切替要因(SF)の情報群を検索する(5103)。その後、該当した「APS/PCC種別(SF)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「隣接ノードSW入力対応IF」及び「隣接ノードSW出力対応IF」を検索する(5104)。その後、該当した「隣接ノードSW出力対応IF」内のOH情報処理部に対して、切替要求を検出した際のMFASバイトと一致するMFASバイトOTNフレームに、切替要求(SF+・・・) をAPS/PCCバイトに挿入し、切替要求を転送する(5105)。
その後、予備パスへの切替を行う為、「APS/PCC種別(SF)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「予備パスSW入力ポートID」、「予備パスSW出力ポートID」を検索(5106)し、それぞれのポートの接続を行う(5107)。その後、「隣接ノードSW入力対応IF」において、切替要求を検出した際のMFASバイトと一致するMFASバイトのOTNフレームに、切替完了を示す情報が検出された場合、「隣接ノードSW出力対応IF」から送信していた切替要求(SF+・・・)の値を通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更(5108)し、その後、ノードテーブル及びパステーブルの情報を更新する(5109)。また、各手順中に不具合が発生した場合は、エラー処理(5100)を実行する。
図52は、ノードFにて障害復旧に入った場合の、ノードBにおける障害復旧用のパステーブル及び参照する順番の例を示す。図中の丸枠にて囲んだ番号は図54における障害復旧手順例中の番号との対応を示す。また、このパステーブル内の値が表すインタフェースIDやスイッチのポートIDとの対応の例及び、障害復旧前後の信号の接続状態について、図53に示す。
図54に、ノードBにおける障害復旧手順の例を示す。まず最初に、ノードBにおいては、インタフェース部(IFi−02)にて切替要求(SF+・・・)を検出する(5401)。自ノードIDが切替制御情報中の起点ノードIDとも終点ノードIDとも一致しない為、以降の処理を実行する。パステーブルから、運用状態のパスの部分パスの中で、検出した切替要求中の起点ノード・終点ノードと一致するものを検索し、該当する部分パスの予備パスの中から、検出した切替要求中の予備パスIDと一致する予備パスを検索する(5402)。
その後、該当した予備パスに関連付けられた情報のうち、「APS/PCC種別」が切替要求中のAPS/PCCバイトの切替要因(SF)の情報群を検索する(5403)。その後、該当した「APS/PCC種別(SF)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「隣接ノードSW入力対応IF」及び「隣接ノードSW出力対応IF」を検索する(5404)。その後、該当した「隣接ノードSW出力対応IF」内のOH情報処理部に対して、切替要求を検出した際のMFASバイトと一致するMFASバイトOTNフレームに、切替要求(SF+・・・) をAPS/PCCバイトに挿入し、切替要求を転送する(5405)。その後、予備パスへの切替を行う為、「APS/PCC種別(SF)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「予備パスSW入力ポートID」、「予備パスSW出力ポートID」を検索(5406)し、それぞれのポートの接続を行う(5407)。その後、「隣接ノードSW入力対応IF」において、切替要求を検出した際のMFASバイトと一致するMFASバイトのOTNフレームに、切替完了を示す情報が検出された場合、「隣接ノードSW出力対応IF」から送信していた切替要求(SF+・・・)の値を通常状態の値(NR+IDLE+・・・)に変更(5408)し、その後、ノードテーブル及びパステーブルの情報を更新する(5409)。また、各手順中に不具合が発生した場合は、エラー処理(5400)を実行する。
図55は、ノードFにて障害復旧に入った場合の、ノードEにおける障害復旧用のパステーブル及びこれを参照する順番の例を示す。図中の丸枠にて囲んだ番号は図57における障害復旧手順例中の番号との対応を示す。また、このパステーブル内の値が表すインタフェースIDやスイッチのポートIDとの対応の例及び、障害復旧前後の信号の接続状態について、図56に示す。
図57に、ノードEにおける障害復旧手順の例を示す。まず最初に、ノードEにおいては、インタフェース部(IFi−01)にて切替要求(SF+・・・)を検出する(5701)。自ノードIDが切替制御情報中の起点ノードIDと一致する為、以降の処理を実行する。パステーブルから、運用状態のパスの部分パスの中で、検出した切替要求中の起点ノード・終点ノードと一致するものを検索し、該当する部分パスの予備パスの中から、検出した切替要求中の予備パスIDと一致する予備パスを検索する(5702)。その後、該当した予備パスに関連付けられた情報のうち、「APS/PCC種別」が切替要求中のAPS/PCCバイトの切替要因(SF)の情報群を検索する(5703)。
その後、予備パスへの切替を行う為、「APS/PCC種別(SF)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「予備パスSW入力ポートID」、「予備パスSW出力ポートID」を検索(5704)し、それぞれのポートの接続を行う(5705)。この時点で、主信号の流れとしては部分パスE→Fに発生した障害を迂回する予備パスに対する接続が完了したことになる。その後、該当した「APS/PCC種別(SF)」に関連付けられた予備パス情報のうち、「隣接ノードSW入力対応IF」及び「隣接ノードSW出力対応IF」を検索する(5706)。その後、該当した「隣接ノードSW出力対応IF」内のOH情報処理部に対して、切替要求を検出した際のMFASバイトと一致するMFASバイトOTNフレームに、切替完了(NR+Switched+・・・)を示す情報をAPS/PCCバイトに挿入する指示を行い(5707)、ノードテーブル及びパステーブルの情報を更新する(5708)。また、各手順中に不具合が発生した場合は、エラー処理(5400)を実行する。
次に、ノード障害時に対する障害復旧の手順例を示す。図58は、分岐点ノードE5805において、方路接続不能等のスイッチ障害5809が発生し、分岐点ノードE5805から分岐点ノードF5806に向かう部分パス(以降、部分パスE→F5808と記すことにする。)の終点ノードである分岐点ノードF5806において、伝送路障害と同じ障害種別である波及障害を検出した場合の例と、障害復旧の手順例である。ここで、部分パスE→F5808と部分パスD→E5807が、同一のパス5810における部分パスである(主信号がD→E→Fと流れている)とする。
ノードE5805、ノードF5806でそれぞれ障害を検出する為、それぞれが障害復旧動作に入るが、ノードB5802においてスイッチの接続状態変更時に競合が発生する為、この競合を解決する為には、部分パスE→F5808における波及障害(伝送路障害に準ずる優先順位を持つ)に対して、部分パスD→E5807におけるノード障害の復旧の優先度が高く設定してあればよい。具体的には、ノードB5802において、この優先順位に従ったスイッチの接続設定ならびに、切替制御情報の処理を実施する。
次に、それぞれの障害復旧動作について説明すると、まず、ノードE5805ではスイッチに方路接続不能等の障害が発生している為、これを検出した場合には、自ノードに設定されている部分パスの全てについて、自ノードを経由しないように経路変更する必要があるが、方路接続不能のような障害の場合、これに付随して主信号の受信側に波及障害が発生する為、ノードE5805では切替信号の授受等について、前記伝送路障害検出時の障害復旧と同様な動きを行い、且つ、ノードE5805から主信号を受信するノードF5806側でも、波及障害の検出によって、やはり伝送路障害検出時と同様の障害復旧を行うことで、「主信号の受信側が主体となって障害復旧を開始する」という統一した動作が可能となる。
具体的には、部分パスD→E5807における、ノード障害検出時の予備パスがD→A→B→Eと設定されており、部分パスE→F5808における、波及障害検出時の予備パスがE→B→C→Fと設定されており、それぞれの予備パスに切替を実施するように障害復旧が動作し、部分パスD→E5807における障害復旧の優先度が高いことを理由に、ノードB5802においては部分パスD→E5807におけるノード障害からの復旧に応じたスイッチ接続設定(この場合、ノードA5801からの主信号がノードC5803に向かう設定となる)を実施していればよい。これらの動作についても、前述のパステーブルを用いた障害復旧方式を用いることで実現可能である。
まず、部分パスD→E5807の障害復旧について説明すると、ノードE5805では、自ノード内のスイッチ障害を検出後に障害復旧動作に入り、パステーブルにおいて、自ノードが終点ノードになっている部分パスに対する予備パスの中で、最も優先順位が高く、かつ正常性確認が直前まで行われていた予備パスを選択し、予備パス上の分岐点ノードで、ノードE5805に隣接するノードB5802に対して通知する為に、ノードB5802へ送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに「切替要求」を示す切替制御情報5811を挿入することで通知する。その後、スイッチの接続状態を予備パスへの接続に変更する。
ノードE5805からの「切替要求」を受けたノードB5802では、前述の障害復旧方式手順中のノードBの動作と同様に、パステーブルを参照し、自ノードが部分パスの起点ノードでも終点ノードでもない為、予備パスに異常がない場合には、当該予備パス上の分岐点ノードで、切替制御情報を伝達すべき隣接ノード(ここではノードA5801)に通知する為、ノードA5801に送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに、受信した「切替要求」を示す切替制御情報5811を挿入することで通知し、その後、スイッチの接続状態を予備パスへの接続に変更する。この時、ノードE5805から送信された「切替要求」の切替要因はノード障害(スイッチ故障)である為、パステーブル中の予備パスへの接続ポートは、主信号がD→A→B→C→Fと流れるような設定となっていればよい。
ノードA5801では、ノードB5802からの「切替要求」を受信した後、述の障害復旧方式手順中のノードCの動作と同様に、パステーブルを参照し、自ノードが部分パスの起点ノードでも終点ノードでもない為、予備パスに異常がない場合には、当該予備パス上の分岐点ノードで、切替制御情報を伝達すべき隣接ノード(ここではノードD5804)に通知する為、ノードD5804に送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに「切替要求」を示す切替制御情報5811を挿入することで通知し、その後、スイッチの接続状態を予備パスへの接続に変更する。
ノードD5804では、ノードA5801からの「切替要求」を検出し、前述の障害復旧方式手順中のノードEの動作と同様に、パステーブルを参照し、自ノードが部分パスの起点ノードある為、予備パスに異常がない場合には、スイッチの接続状態を予備パスへの接続に変更し、当該予備パス上の分岐点ノードで、「切替完了」を示す切替制御情報5812を伝達すべき隣接ノード(ここではノードA5801)に通知する為、ノードA5801に送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに「切替完了」を示す切替制御情報5812を挿入することで通知する。
ノードA5801では、ノードD5804からの「切替完了」を受信後、ノードD5804に対して転送していた「切替要求」を通常状態の値に変更し、その後、ノードB5802に対して「切替完了」を転送する。また、ノードB5802では、ノードA5801からの「切替完了」を受信後、ノードA5801に対して転送していた「切替要求」を通常状態の値に変更し、その後、ノードE5805に対して「切替完了」を転送する。これによって、部分パスD→E5807の障害復旧が完了する。
次に、部分パスE→F5808の障害復旧について説明すると、伝送路障害の例と同様に、分岐点ノードF5806では、障害(ノードE5805のスイッチ障害の波及障害)検出後、自ノード内のパステーブルを参照し、自ノードが部分パスの終点ノードであることから、障害発生以前に正常性が確認されている予備パスの中で、もっとも優先順位の高い予備パスを選択し、予備パス上の分岐点ノードでノードF5806に隣接するノードC5803に対して通知する為に、ノードC5803へ送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに「切替要求」を示す切替制御情報5813を挿入することで通知する。この時挿入した「切替要求」は、ノードE5805において発出された「切替要求」よりも優先順位が低いものとなっている。その後、スイッチの接続状態を予備パスへの接続に変更する。
ノードF5806からの「切替要求」を受けた分岐点ノードC5803についても、前述の障害復旧方式手順中のノードCの動作と同様に、パステーブルを参照し、自ノードが部分パスの起点ノードでも終点ノードでもない為、予備パスに異常がない場合には、ノードFと同様に、当該予備パス上の分岐点ノードで、切替制御情報を伝達すべき隣接ノード(ここではノードB5802)に通知する為、ノードB5802に送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに「切替要求」を示す切替制御情報5813を挿入することで通知し、その後、スイッチの接続状態を予備パスへの接続に変更する。
ノードB5802では、ノードC5803からの「切替要求」を受けた場合、パステーブルを参照し、自ノードが部分パスの起点ノードでも終点ノードでもない為、ノードC5803と同様の動きを行うが、部分パスD→E5807の障害復旧の際にノードE5805から受信した「切替要求」を示す切替制御情報の優先順位の方が高い為、予備パスの接続(自ノード内のスイッチの接続変更)については実施せず、「切替要求」の転送のみを実施する。即ち、予備パスに異常がない場合には、当該予備パス上の分岐点ノードで、切替制御情報を伝達すべき隣接ノード(ここではノードE5805)に通知する為、ノードE5805に送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに「切替要求」を示す切替制御情報5813を挿入することで通知する。
ノードE5805では、ノードB5802からの「切替要求」を示す切替制御情報5813を受けた後、パステーブルを参照し、自ノードが当該部分パスE→F5808の起点ノードであることを認識するが、切替の要因が自ノード内で検出された障害よりも優先順位が低い為、予備パスの接続(自ノード内のスイッチの接続変更)については実施せず、「切替完了」の発出のみを実施する。即ち、切替が完了したことを予備パス上の各分岐点ノードに通知する為、切替制御情報を伝達すべき隣接ノード(ここではノードB5805)に送出している信号のオーバヘッド(OH)情報に含まれるAPS/PCCバイトに「切替完了」を示す切替制御情報5814を挿入することで通知する。
ノードB5802では、ノードE5805からの「切替完了」を受信後、ノードE5805に対して転送していた「切替要求」を通常状態の値に変更し、その後、ノードC5803に対して、ノードE5805から受信した「切替完了」を転送する。また、ノードC5803では、ノードB5802からの「切替完了」を受信後、ノードB5802に対して転送していた「切替要求」を通常状態の値に変更し、その後、ノードF5806に対して「切替完了」を転送する。これによって、部分パスE→F5808の障害復旧が完了する。なお、切替制御情報の挿入については、前記障害復旧方法と同じように、MFASバイトを利用することで、「切替要求」や「切替完了」を発出したノードからの情報をそれぞれ処理可能となる。
以上に述べた手法は、ITU−T勧告G.709におけるOTNフレーム内のAPS/PCCバイトを用いて切替制御情報の授受を行った場合の説明であるが、これはITU−T勧告G.707に準拠したSDHフレームを用いたクロスコネクト装置、及びこれをメッシュ状に配置したネットワークに対しても適用可能である。
110・・・入力インタフェース部、130・・・スイッチ部、140・・・出力インタフェース部、160・・・切替制御情報転送部、210・・・光クロスコネクト装置、220・・・波長多重装置、230・・・伝送路、240・・・ユーザ回線、300・・・光クロスコネクト装置、310・・・光スイッチ部、320・・・波長多重装置、330・・・ネットワークノードインタフェース、340・・・ユーザネットワークインタフェース、350・・・制御部、610・・・分岐点ノード、620・・・中継ノード、630・・・伝送路、640・・・回線、660・・・迂回ルート、710・・・管理装置、720・・・ネットワーク管理網、740・・・パステーブル