JP2005286116A - 発光素子装置、及びそれを用いた光導波装置及び光電融合配線基板 - Google Patents

発光素子装置、及びそれを用いた光導波装置及び光電融合配線基板 Download PDF

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Abstract

【課題】光配線(光インターコネクト)を柔軟に構成するようにできる発光素子装置、それを用いた光導波装置である。
【解決手段】発光素子装置は、複数のレンズ102、104と複数の発光素子100とが集積されている。形状が凹型、凸型、或いは凹型と凸型の両方のレンズ102、104を、これに対応する発光素子100からの出射光が結合するように配置し、出射光の放射角(拡がり角)を変化させる。光導波路層を備える光導波装置は、光導波路層上ないしは内部に、複数のレンズ102、104と複数の発光素子100とが集積された発光素子装置を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子装置、及びそれを用いた二次元光導波装置(二次元光導波路回路)などの光導波装置及び光電融合配線基板(電気配線層と光配線層(光導波装置)が混載された配線基板)に関するものである。
今日の携帯電話や個人情報端末の急速な普及に伴い、機器の更なる小型・軽量化また高機能化が求められている。しかし、小型・軽量化また高機能化により回路基板の高速化と高集積化が進み、信号遅延、EMI(Electromagnetic Interference:電磁干渉ノイズ)の発生などの問題への対応が急務となっている。これらの問題を解決する手段として、従来の電気配線において問題となっていた信号遅延、信号劣化、及び配線から放射される電磁干渉ノイズが克服ないし低減され、かつ高速伝送が可能である光配線技術が期待されている。この光配線の利点を用いた装置として次の様なものがある。
1つの光回路基板では、光配線部と電気配線部を分離し、電子機器からの電圧信号により基体上に設けられた光スイッチ或いは光変調器を駆動させて該基体上に設けられた光導波路を伝播する光を変調し、こうして電気信号を光信号に変換して伝送し、さらに該基体或いは他の基体上に設けられた受光素子により光信号を電気信号に変換して、他の電子機器または同一の電子機器に信号を伝達する(特許文献1参照)。また、他の光導波装置においては、光導波路に対して垂直に出入射される光を効率よく結合させるために、線状のポリマー導波路に45度傾いたミラーを形成している(特許文献2参照)。
特開平9-96746号公報 特開2000-199827号公報
上記特許文献1の方法は、電気配線における問題点を光配線で補ったものであるが、光配線が伝送線路(線状のポリマー導波路)であるため、電気/光信号或いは光/電気信号変換を行う場所が規定されてしまう。また、上記特許文献2の方法では、端部に45度傾いたミラーを有した線状光導波路に光信号が効率よく結合するように発光素子を実装すること、及び線状光導波路を伝播してきた光信号を効率よく受光するように受光器を実装することは、高度なアライメント精度が要求され、困難である。また、線状の光導波路であるため、複数の光導波路を形成する場合には、発光素子及び受光素子の位置が制限され設計の自由度が小さい。さらには、光配線(光インターコネクト)を柔軟に構成することも困難である。
そこで上記課題に鑑み、本出願に係る第1の発明の発光素子装置は、複数のレンズと複数の発光素子とが集積された発光素子装置であって、形状が凹型、凸型、或いは凹型と凸型の両方の該レンズを、これに対応する該発光素子からの出射光が結合するように配置し、該出射光の放射角(拡がり角)を変化させることを特徴とする。この構成では、面型発光素子などである発光素子より出射された光を、凸型レンズを介することで平行光などとすることができ、また凹レンズを介することで拡散光などとすることができる。また、励起する発光素子を適当に選択することで、発光素子装置からの出射光の放射角(拡がり角)ないし出射態様を柔軟に制御できる。
また、上記課題に鑑み、本出願に係る第2の発明の光導波装置ないし光導波路回路は、光導波路層を備え、該光導波路層上ないしは内部に、上記発光素子装置を有することを特徴とする。この構成では、光導波路層上(これの平面上や端部上)ないしは内部に、発光素子装置や受光素子を種々の姿勢で配置できて、柔軟に光配線(光インターコネクト)を構成ないし再構成できる。
また、上記課題に鑑み、本出願に係る第3の発明の光電融合配線基板は、上記の光導波装置を電気回路基板と電気的に接続が得られるように形成した光電融合配線基板であって、該電気回路基板の信号の一部または全てを該光導波装置を用いた光信号の授受によって配線させる様に構成されたことを特徴とする。この構成においても、二次元光導波路層などの光導波路層を用いることにより、電気信号を光信号に変換するための発光素子や光信号を電気信号に変換するための受光素子の配置があまり制限されることがなく、電気回路基板の信号の一部または全てを光導波装置を用いた光信号の授受によって配線させて電子機器を動作させられる。
上記した構成の本発明により、発光素子からの出射光を凸レンズ或いは凹レンズに結合させることにより出射光の状態を柔軟に制御できる発光素子装置が実現できる。また、こうした発光素子装置と二次元光導波路層などの光導波路層の空間的特性を有効に利用し、光導波路層を介して光信号伝送回路を柔軟に構成ないし再構成することができる。
本発明の発光素子装置、光導波装置、光電融合配線基板は上記の如き基本構成を有するが、この基本構成に基づいて次の様な形態も可能である。発光素子を面型発光素子とするとき、これとレンズとのアライメントされた集積化が容易にできる。特に、発光素子とレンズを、対応してアレイ状に配置構成するとき、集積化が容易である。
本発明の光導波装置における光導波路層は、二次元光導波路層(フィルム状光導波路)、ライン導波路(一次元光導波路)、或いは二次元光導波路層とライン導波路の両者を混載した構造を有する光導波路層とできる。この構成において、特に、二次元光導波路層を用いるとき、電気信号を光信号に変換するための発光素子や光信号を電気信号に変換するための受光素子の配置が制限されることがなく、かつ二次元光導波路層全域を使い柔軟に光配線を構成ないし再構成できる二次元光導波路回路を実現できる。
発光素子装置は、光導波路層の平面上、端面上、或いは内部に、種々の姿勢で配置できる。この際、例えば、光導波路層の端面上、或いは内部に傾斜した姿勢で配置する場合、発光素子装置からの出射光を、その光路を変換するための光路変換構造体なしで、光導波路層内に導入して伝播させることもできるが、二次元光導波路層の平面上に平行に配置するような場合には、発光素子装置からの出射光の光路を変換するための光路変換構造体を設けるのがよい。こうした光路変換構造体は、二次元光導波路層において、二次元光導波路層全域に出射光が伝播されるように、または二次元光導波路層の一部に出射光が伝播されるように、配置できる。
例えば、二次元光導波路層内に配置された光路変換構造体の近傍、かつ二次元光導波路層表面近傍に発光素子装置が配置され、発光素子から出射される光が光路変換構造体により光路変換される形態において、発光素子から出射された光が、凸レンズを介して光ビーム径が絞られた平行光として光路変換される場合、ないしは発光素子から出射された光が、凹レンズを介して光ビーム径が拡がった拡散光として光路変換される場合とに応じて、二次元光導波路層内の所望の方向に所望の状態で光信号を伝播するように制御できる。より具体的には、発光素子からの出射光が、凸レンズを介して光ビーム径が絞られた平行光として光路変換構造体の斜面部に結合し光路変換されることで、指向性を有したビーム光伝播として光信号が二次元光導波路層内を伝播することが可能となる。また、発光素子からの出射光が、凹レンズを介して光ビーム径が拡がった光として光路変換構造体全体に結合し光路変換されることで、拡がり角を有した拡散光伝播として光信号が二次元光導波路層内を伝播することが可能となる。ビーム光伝播においては光パワーロスを抑制して高速伝送が可能となり、また拡散光伝播では二次元光導波路層の広い領域ないしは全域に伝送が可能となる。このように、ビーム光伝播と拡散光伝播を選択することにより、光信号伝送領域の再構成が可能となる。
また、上記構成において、光導波路層内に形成された光路変換構造体が半球形状である場合は、光路変換構造体の斜面に光ビーム径の絞られた平行光が結合し光路変換されると、光導波路層内を広がり角を有した拡散光として伝播し得る。また、半球形状の光路変換構造体全体に光ビーム径の広がった光が結合し光路変換されると、光導波路層全域(光路変換構造体から360°拡がる)に拡散光として伝播し得る。
また、上記構成において、光導波路層内に形成された光路変換構造体が四角錐形状である場合は、例えば、4つの斜面それぞれに光ビーム径の絞られた平行光が結合し光路変換されると、4つの指向性を有したビーム光として光導波路層内を伝播し得る。また、四角錐形状の光路変換構造体全体に光ビーム径の広がった光が結合し光路変換されると、広がり角を有した拡散光として光導波路層内を伝播し得る。その他、光路変換構造体の形状は、楔形形状、円錐形状、或いは多角錐形状などであり得る。
また、本発明の光電融合配線基板においても、二次元光導波路層を用いるとき、電気信号を光信号に変換するための発光素子や光信号を電気信号に変換するための受光素子の配置が制限されることなく、かつ二次元光導波路層全域を使い柔軟に光信号伝送回路を構成ないし再構成できる光電融合基板を実現でき、電気回路基板の信号の一部または全てを二次元光導波路回路を用いた光信号の授受によって配線させて電子機器を動作させられる。
以下に、添付図面を参照し、より具体的な実施例を挙げて本発明を説明する。
(実施例1)
図1は本実施例による発光素子装置を示した断面図である。図1において、100は発光素子の構成部である面発光レーザ(Vertical
Cavity Surface Emitting Laser(VCSEL))部、102は凸レンズ、104は凹レンズである。本実施例の発光素子装置には、面発光レーザ100とレンズ102、104は同数形成されており、一つの面発光レーザから出射された光が一つのレンズに結合するような位置関係にそれぞれが形成されている。
次に、本実施例による発光素子装置の作製方法を説明する。図2は、面型発光素子(VCSEL)とレンズが集積された発光素子装置の作製方法を説明する模式断面図である。同図において、200は半導体層、202は成長基板、204はVCSEL、206は樹脂材料、208は凹レンズ、そして210は凸レンズである。
まず、図2(a)に示すように、980nm帯VCSELとして機能するために必要な半導体層(DBR層、活性層、電流狭窄層など)200を、MOCVD(Metalorganic
Chemical Vapor Deposition:有機金属気層成長)法により成長基板202に成長させる。このとき成長基板202はGaAs(100)を使用した。そして、図2(b)に示すように、フォトリソグラフィー技術、エッチング技術、成膜技術などを用いてVCSEL204を形成する。次に、図2(c)に示すように、GaAs基板202を80μm厚まで研磨する。続いて、図2(d)に示すように樹脂材料206を塗布し、図2(e)に示すようにモールドを用いて凹レンズ208を形成する。このとき樹脂材料206としてUV硬化エポキシ樹脂を使用した。さらに、図2(f)に示すように、樹脂材料206(UV硬化エポキシ樹脂)をディスペンサを用いて吐出し、凸レンズ210を形成する。このとき、樹脂材料206は表面張力で凸レンズ状になり、これを紫外線などの照射で固めて凸レンズ210が形成される。
本実施例において面型発光素子204は980nm帯VCSELを用いたが、これに限定されるものではなく、850nm帯などの波長帯の発光素子であってもよい。また、本実施例において、成長基板202の半導体層200が形成された面の反対側の面にレンズ208、210を形成したが、これに限定されるものではなく、半導体層200上にレンズを形成する構成をとってもよい。この際は、複数のVCSEL204間のスペースを埋めつつ樹脂材料をVCSEL204上に塗布して、上記と同様な方法を用いてレンズを形成する。
また、本実施例において、樹脂材料としてUV硬化エポキシ樹脂を用いたが、これに限定されなく、フッ素化ポリイミドやポリシラン系樹脂であってもよい。また、モールドを用いて凹レンズを形成したが、この方法に限定されない。さらに、凸レンズはディスペンサを用いて形成したが、これに限定されなく、インクジェット法などで形成してもよい。
このように、複数の発光素子204からのそれぞれの出射光が、凸レンズ210または凹レンズ208に結合するように集積された発光素子装置では、発光させる素子を選択することで放射角の異なる出射光或いは出射た異様の異なる光を得られる。
(実施例2)
図3は、本発明による発光素子装置を用いた二次元光導波路回路ないし光導波装置を示す。図3(a)のA-A’断面図が図3(b)である。図3において、300はクラッド層、302はコア層、304は光路変換構造体、306は発光素子装置、そして308は受光素子である。発光素子装置306と受光素子308と光路変換構造体304は、発光素子装置306より出射された光が、発光素子装置306近傍に配置された光路変換構造体304により光路変換され、光路変換された光が二次元光導波路のコア層302内を伝播し、伝播した光が受光素子308近傍に配置された光路変換構造体304により光路変換され、受光素子308に結合するような位置関係にある。シート状の二次元光導波路は、屈折率の異なる材料の組み合わせによりコア層とそれを挟む第1および第2のクラッド層より構成される。なお、図3ではコア層302の上部にクラッド層を形成していないが、必要に応じて形成してもよい。本実施例では、屈折率1.60のポリシラン系樹脂をコア層302に用い、屈折率1.55のポリシラン系樹脂をクラッド層300に用いた。また、光路変換構造体304として、半径40μmの半球状の構造体を用いた。
次に、本実施例で示した二次元光導波路回路の作製方法を説明する。図4は、二次元光導波路回路の製造方法を説明する模式図である。同図において、400は基板、402はクラッド層、404は光路変換構造体材料、406はフォトマスク、408は第1形状を有する構造体、410は第2形状を有する構造体、412は反射膜材料、414は反射膜、416はコア層、418は発光素子装置、420は受光素子、そして422は素子駆動用パッドである。
まず図4(a)に示すように、傾斜のついた基板(例えばSiウエハ)400上にクラッド層材料であるポリシラン系樹脂をスピンコーターを用いて塗布し、ベーキングを行いて膜厚20μmのクラッド層402を形成する。次に、図4(b)に示すように、光路変換構造体材料である感光性を有した熱可塑性材料404をスピンコーターを用いて塗布し、フォトマスク406(半径40μmの円形パターン光透過部を有する)を用いてこれを露光する。その後、図4(c)に示すように、現像過程を経て半径40μm、高さ27μmの円柱状の第1形状を有する構造体408を形成する。この状態で、図4(d)に示すように、150
℃のホットプレート上で4分間加熱し、熱可塑性材料で形成した前記第1形状を有する構造体408に対して熱処理による溶融・再固化を行い、半径40μmの半球状に変形した第2形状を有する構造体410を形成する。
次に、図4(e)に示すように、電子ビーム蒸着装置を用いて反射膜材料412であるCr / Auを蒸着する。続いて、スピンコーターを用いてフォトレジストを塗布し、露光・現像過程を経た後、半球状に変形した第2形状を有する構造体410の表面のみを覆うようにレジストマスク(図示せず)を形成し、その後Au、Crの順でウエットエッチングを行い、図4(f)に示すように、半球状に変形した第2形状を有する構造体410の表面上のみに反射膜414を形成する。続いて、図4(g)に示すように、クラッド層402よりも屈折率の大きいポリシラン系樹脂をスピンコーターを用いて塗布し、ベーキングを行ってコア層416を形成する。
次に、半球状の第2形状を有する構造体410に発光素子装置418からの出射光が結合するように、また該構造体410に結合した伝播光が受光素子420に結合するように、発光素子装置418及び受光素子420をコア層416上に実装するため、図4(h)に示すように、コア層416上に素子駆動用パッド(Ti/Au)422を形成する。続いて、図4(i)に示すように、発光素子装置418及び受光素子420を素子駆動用パッド422上にフリップチップボンダーを用いて実装し、二次元光導波路回路を得る。
図5に、二次元光導波路回路における発光素子装置近傍の拡大図を示す。同図において、500は発光素子装置、502はコア層、504は光導波路上に形成したレンズ、506は光路変換構造体、そして508はハンダボールである。
図5に示すように、発光素子装置500は図4(i)に示した工程においてハンダボール508で実装されている。金属バンプなどを用いることもできる(しかし、溶融接着剤などは、レンズ部がこれで汚染される可能性が大きいので不適当である)。また、図4(h)に示した工程の後に、コア層502上にUV硬化エポキシ樹脂をディスペンサを用いて吐出し、レンズ504を形成してある。このように、発光素子装置500側の対応するレンズとアライメントされるレンズ504をコア層502上に形成することにより、発光素子装置500より出射された光を、より絞ったビーム光として光路変換構造体506の斜面に結合させられる。
本実施例で作製した二次元光導波路回路の発光素子装置から出射された光が光路変換構造体に結合して光路変換され、光導波路層内を伝播する様子を図6及び図7に示す。図6及び図7において、600、700は発光素子装置、602、702は中心に配置したVCSEL、604、704は周囲に配置したVCSEL、606、706は半球状の光路変換構造体、608は凹レンズ、708は凸レンズ、610、710は出射光、612、712は二次元光導波路層、そして614は全域に広がった拡散光、714は限定された広がり角を有した拡散光である。本実施例の形態では図6(a)に示すように、発光素子装置600に5つのVCSELを配置しており、中心に配置したVCSEL
602は、そこからの出射光610が、発光素子装置に集積した凹レンズ608に結合するように配置されている。また、図7(a)に示すように、周囲の4つのVCSELは、そこからの出射光710が、発光素子装置700に集積した凸レンズ708にそれぞれ結合するように配置されている。それぞれのVCSEL
704は、そこから出射された光が凸レンズ708を介して半球状の光路変換構造体706に結合し、光路変換される位置関係に配置してある。
なお、図示していないが、二次元光導波路層712上にも凸レンズが形成してあり(図5のレンズ504参照)、出射光710はビーム径30μmで半球状の光路変換構造体706に結合する様になっている。図6に示すように、中心に配置したVCSEL
602からの出射光610は、半球状の光路変換構造体606全体に光ビーム径の広がった光として結合して光路変換され、図6(b)に示すように、二次元光導波路層612全域を拡散光614として伝播する。また、図7に示すように、周囲に配置したVCSEL
704からの出射光710は、半球状の光路変換構造体706の斜面に光ビーム径の絞られた平行光として結合して光路変換され、図7(b)に示すように、二次元光導波路層712内を限定された広がり角を有した拡散光714として伝播する。
この様にして作製される二次元光導波路回路は、外部へ放出される光を減少させられるため、光信号の伝送効率を上げることが可能となる。また、反射膜414を有した半球状に変形した第2形状を有する構造体410が配置されているため、半球状の構造体410の上面から入射された光は、効率よく散乱され、コア層416全域に伝搬させられる。また、コア層416を伝搬してきた光が半球状に変形した第2形状を有する構造体410により散乱され、半球状の構造体410の上方へ光を出射させることができる。
本実施例では、クラッド層及びコア層材料の組み合わせとして、それぞれ屈折率の異なるポリシラン系樹脂を用いたが、これに限定されなく、コア層材料がクラッド層材料と比較して屈折率が大きい材料であれば、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂などを用いた組み合わせであってもよい。また、屈折率の値も本実施例の上記値に限定されない。
また、本実施例では、基板として傾斜のついたSiウエハを用いたが、これに限定されなく平板状のガラス基板やセラミック基板であってもよい(傾斜のついた基板を用いた理由は、コア層が受光素子の近辺で薄くなって受光素子に伝播光が効果的に導入される様にするためである)。また、基板としてコア層材料と比較して屈折率の小さな樹脂フィルムであってもよく、この樹脂フィルム自身をクラッド層として機能させ、折り曲げ可能な二次元光導波素子を得ることもできる。
また、本実施例では、クラッド層の層厚を20μmとしたがこれに限定されなく、任意の層厚であってもよい。また、第1形状を有する構造体408を半径40μm、高さ27μmの円柱形状としたが、これに限定されなく、楕円柱、角柱などの形状、また任意のサイズでもよい。
また、本実施例においては、半径40μmの半球状の光路変換構造体を用いたが、これに限定されるものではなく、発光素子の放射角、光導波路層の屈折率及び光導波路層厚との兼ね合いにより任意の大きさを選定できる。
また、光路変換構造体を半球状としたがこれに限定されなく、例えば四角錐形状であってもよい。図8及び9に、二次元光導波路回路の発光素子から出射された光が四角錐形状の光路変換構造体に結合して光路変換され、光導波路層内を伝播する様子を示す。図8及び図9において、800、900は発光素子装置、802、902は中心に配置したVCSEL、804、904は周囲に配置したVCSEL、806、906は四角錘形状の光路変換構造体、808は凹レンズ、908は凸レンズ、810、910は出射光、812、912は二次元光導波路層、そして814は広がり角を有した拡散光、914は指向性を有したビーム光である。
図8(a)に示すように、発光素子装置800に5つのVCSELを配置しており、中心に配置したVCSEL 802からの出射光810は、発光素子装置800に集積した凹レンズ808に結合するように配置されている。また、図9(a)に示すように、周囲の4つのVCSEL
904からの出射光は、発光素子装置900に集積した凸レンズ908にそれぞれ結合するように配置されている。それぞれのVCSELから出射された光はレンズを介して四角錐形状の光路変換構造体に結合し、光路変換される位置関係に配置してある。なお、図示していないが、二次元光導波路層912上にも凸レンズが形成してあり、出射光910はビーム径30μmで四角錘形状の光路変換構造体906に結合する。
図8に示すように、中心に配置したVCSEL 802からの出射光810は、四角錘形状の光路変換構造体806全体に光ビーム径の広がった光として結合して光路変換され、図8(b)に示すように、二次元光導波路層812内を広がり角を有した拡散光814として伝播する。また、図9に示すように、周囲に配置したVCSEL
904からの出射光910は、四角錘形状の光路変換構造体906の斜面に光ビーム径の絞られた平行光として結合して光路変換され、図9(b)に示すように、二次元光導波路層912内を指向性を有したビーム光914として伝播する。その他、光路変換構造体の形状として、楔形形状、円錐形状或いは多角錘形状であってもよい。
また本実施例では、光導波路層を二次元光導波路層(フィルム状の光導波路)としたがこれに限定されるものではなく、ライン導波路(一次元光導波路)、或いは該二次元光導波路層(フィルム状の光導波路)と該ライン導波路(一次元光導波路)の両者を混載した構造を有する光導波路層であってもよい。ライン導波路は、例えば、フィルム状の光導波路層内に有効屈折率の比較的大きいライン状部分を作製して(例えば、光導波路層上に凸状ライン状部を形成する)得られる。
また本実施例では、ビーム光伝播と拡散光伝播のいずれか(または両方)を選択することが可能となり、ビーム光伝播においては光パワーロスを抑制して高速伝送が可能となり、また拡散光伝播では二次元光導波路層の広い領域ないしは全域に伝送が可能となる。このように、ビーム光伝播と拡散光伝播を適宜選択することにより、光信号伝送領域の柔軟な再構成が可能となる。
(実施例3)
実施例2に示した二次元導波路回路と電気回路配線基板を組み合わせて作製した実施例3の光電融合基板を図10に示す。図10において、1000はCPU、1002、1004、1006および1008はRAM、1010および1012は電子デバイス(LSI)、1014は本発明の発光素子装置、1016は受光素子、1018は伝送線路(電気配線)、1020はビーム光、1022は拡散光、1024は二次元光導波路層、1026および1028は電気回路基板である。図10(a)は、図10(b)の光電融合配線基板を矢印の方向から見た図であり、図10(a)では二次元光導波路層1024および電気回路基板1028は図示していない。
図11は光電融合配線基板の一部の断面図である。CPU1100は、電気回路基板1102上にハンダボール1104を用いてフリップチップボンディングされている。CPU1100と二次元光導波路層1106に実装された発光素子装置1108との接続は、電気回路基板1102に形成された内部配線1110を通して行われている。
従来の電気配線基板では、低速でのデータ転送においては問題とならないが、大容量・高速での伝送が必要となる場合には、EMIの影響や配線遅延などにより、常に安定したデータ転送をすることに困難が生じる場合がある。このような場合に、図10に示した様に光電融合配線基板を用いることで安定した大容量・高速伝送が可能となる。例えば、CPUからの電気信号を発光素子を介して光信号に変換し、その信号をRAMやLSIと電気的に接続された受光素子へ伝送する信号伝送方法を説明する。図10に示すように、CPU1000に電気的に接続された発光素子装置1014は二次元導波路層内に埋め込まれており、発光素子装置1014から出射されたレーザ光が光路変換構造体(図示せず)に結合して二次元光導波路層1024内を伝播する。
図10においては、発光素子装置1014として、3つのVCSELと1つの凹レンズ及び2つの凸レンズを集積したものを用い、それぞれのVCSELの出射光が凸レンズを介して光路変換構造体に結合して光路変換された場合は、指向性を有したビーム光伝播(ビーム光1020)を得ることが可能となる。また、VCSELの出射光が凹レンズを介して光路変換構造体に結合して光路変換された場合は、広がり角を有した拡散光伝播(拡散光1022)が可能となる。この様にして二次元光導波路層1024内を伝播したレーザ光は受光素子1016近傍に設けられた光路変換構造体(図示せず)に結合し、受光素子1016へと導かれる。受光素子1016は、それぞれのRAMやLSIと接続されており、光信号を電気信号へと変換する。図10では、RAM1002へは高速の信号をビーム光1020の伝播で送信し、またRAM1004、RAM1006、RAM1008へは拡散光1022の伝播として3つのRAMへ同時に伝送している。
3つのVCSELと1つの凹レンズ及び2つの凸レンズを集積した発光素子装置を用いたが、これに限定されるものではなく、適当数の複数のVCSEL及びレンズを用いた発光素子装置であってもよい。
また、本実施例では二次元光導波路層1024が電気回路基板1026、1028の間に内蔵された形状となっているが、これに限定されなく、電気回路基板の上部あるいは下部に二次元光導波路層がある形態、またはそれぞれの組み合わせの形状を取ってもよい。また、二次元光導波路層は単層であったが、多層としてもよい。なお、信号は必ず光により伝送する必要はなく、電気配線1018を介しても伝送できるように、選択の柔軟性を持たせてある。
このように二次元光導波路層を用いることにより、従来の信号線で問題となっていた配線自身がアンテナとなりコモンモードノイズ輻射による回路の誤動作などを生じていた電磁放射ノイズを大幅に低減でき、EMIの問題を改善することができる。
また、本発明の発光素子装置を用いることでビーム光伝播と拡散光伝播のいずれかを選択することが可能となり、ビーム光伝播においては光パワーロスを抑制して高速伝送が可能となり、また拡散光伝播では二次元光導波路層の広い領域ないしは全域に伝送が可能となる。このように、ビーム光伝播と拡散光伝播を選択することにより、光信号伝送領域の柔軟な再構成が可能となる。さらに、本発明の発光素子装置の二次元光導波路層への配置も比較的容易に行なわれ得る。
本発明の第1の実施例による発光素子装置を説明する図である。 本発明の第1の実施例による発光素子装置の製造方法を説明する図である。 本発明の第2の実施例における発光素子装置を用いた二次元導波路回路を説明する図である。 本発明の第2の実施例における発光素子装置を用いた二次元導波路回路の製造方法を説明する図である。 本発明の第2の実施例における発光素子装置を用いた二次元導波路回路の発光素子装置近傍を説明する拡大図である。 本発明の第2の実施例における発光素子装置からの出射光の光路変換構造体への光結合の様子を説明する図である。 本発明の第2の実施例における発光素子装置からの出射光の光路変換構造体への光結合の様子を説明する図である。 本発明の第2の実施例における発光素子装置からの出射光の光路変換構造体への光結合の様子を説明する図である。 本発明の第2の実施例における発光素子装置からの出射光の光路変換構造体への光結合の様子を説明する図である。 本発明の第3の実施例における光電融合配線基板を説明する図である。 本発明の第3の実施例における光電融合配線基板の内部を説明する図である。
符号の説明
100、602、604、702、704、802、804、902、904:発光素子(面発光レーザ(VCSEL))
102、708、908:凸レンズ
104、608、808:凹レンズ
302、416、502:コア層
304、506、606、706、806、906:光路変換構造体
306、500、600、700、800、900、1014、1108:発光素子装置

Claims (8)

  1. 複数のレンズと複数の発光素子とが集積された発光素子装置であって、形状が凹型、凸型、或いは凹型と凸型の両方の該レンズを、これに対応する該発光素子からの出射光が結合するように配置し、該出射光の放射角を変化させることを特徴とする発光素子装置。
  2. 前記発光素子が面型発光素子であることを特徴とする請求項1記載の発光素子装置。
  3. 前記発光素子及びレンズが、対応してアレイ状に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の発光素子装置。
  4. 光導波路層を備え、該光導波路層上ないしは内部に、請求項1乃至3のいずれかに記載の発光素子装置を有することを特徴とする光導波装置。
  5. 前記光導波路層は、二次元光導波路層、ライン導波路、或いは二次元光導波路層とライン導波路の両者を混載した構造を有する光導波路層であることを特徴とする請求項4記載の光導波装置。
  6. 前記発光素子装置からの出射光の光路を変換するための光路変換構造体が、該二次元光導波路層において、該二次元光導波路層全域に出射光が伝播されるように、または二次元光導波路層の一部に出射光が伝播されるように、配置されていることを特徴とする請求項5記載の光導波装置。
  7. 前記光路変換構造体の形状が、半球形状、楔形形状、円錐形状、あるいは多角錐形状であることを特徴とする請求項6記載の二次元光導波装置。
  8. 請求項4乃至7のいずれかに記載の光導波装置を電気回路基板と電気的に接続が得られるように形成した光電融合配線基板であって、該電気回路基板の信号の一部または全てを該光導波装置を用いた光信号の授受によって配線させる様に構成されたことを特徴とする光電融合配線基板。
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