JP2005283902A - 一軸配向高分子薄膜およびその製造方法 - Google Patents

一軸配向高分子薄膜およびその製造方法 Download PDF

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慎一 六車
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Abstract

【課題】高配向、かつ、高平坦な一軸配向高分子薄膜を提供すること。また、本発明の別の課題は、上記の一軸配向高分子薄膜を高収率で且つ容易に製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一軸配向高分子薄膜は、厚さ1nm以上2000nm以下の範囲内であり、該薄膜を構成する高分子の分子軸方向の配向度が0.97以上で一軸方向に配向され、該薄膜の表面粗さ(Ra)が3.0nm以下、且つ薄膜占有率が90%以上であることを特徴とする。このような一軸配向高分子薄膜は、例えば、表面粗さ(Ra)が1.5nm以下である支持体の表面に高分子成型体を摩擦することにより支持体に支持された状態で得られる。このような薄膜を高収率で且つ容易に製造するには、クリーンな環境下で作成することが望ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は高配向且つ高平坦な一軸配向高分子薄膜及びその製造方法に関する。
一軸配向高分子薄膜はLCDディスプレイ用液晶配向膜、位相差フィルム等として産業的に利用されている。近年、ラビング法、光配向法、摩擦転写法などにより形成された一軸配向高分子薄膜を機能層として利用するのみならず、一軸配向高分子薄膜を配向テンプレートとして利用することにより偏光素子、有機EL素子、有機半導体、太陽電池等の各種デバイスへ応用することが活発に検討されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
ここで、ラビング法は布を用いて高分子膜の表面を擦りつけるのが一般的であり、このようなラビング法を用いた液晶配向膜の形成方法は既に工業的に実用化されている。しかしながら、ラビング法で得られる配向度は低く、また、ラビング法では数10nm程度の溝が観測され、ナノメートルオーダでの凹凸が発生する。したがって、高配向度及びナノメートルオーダでの表面平滑性(高平滑性)を課題とする応用分野への用途展開は行なわれていない。
また、光配向法では、報告されている配向度は低いので、高配向度が必要とされる用途展開は行われていない。
一方、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略称する。)を加熱しながら圧力をかけてガラス基板(ガラススライド)に擦りつけるという、いわゆる摩擦転写法(Friction Transfer Method)、によりPTFEの高配向薄膜が作成できることが提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2参照。)。そして、得られたPTFEの高配向薄膜を配向テンプレートとして高配向な高分子薄膜を形成する技術が提案されている。
しかしながらこの摩擦転写法は、提案者自身も非特許文献2において指摘するとおり、PTFEによりガラス基板を全面被覆するのは非常に困難であるという課題点が指摘されている。これにより、この摩擦転写法で得られるPTFE一軸配向高分子薄膜は品質斑が多いという欠点を抱えるので、このような摩擦転写法は高配向な一軸配向高分子薄膜の作成法としては有用であるが、品質斑という実用的な課題点が故に実用的な応用展開はなされていない。
このような観点からこの摩擦転写法を改良する試みも種々提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
特許文献2にはフッ素樹脂テープの表面を摩擦することを特徴とする、フッ素樹脂一軸配向高分子薄膜の製造方法が開示されている。
特許文献3には基板の表面をフッ素樹脂で少なくとも2回摩擦することを特徴とするフッ素樹脂一軸配向高分子薄膜の製造方法が開示されており、この製造法によると欠陥の少ないフッ素樹脂配向膜を製造できると開示されている。
特許文献4にはロール圧延して得られたフッ素樹脂膜の表面に、光学異方性分子材料を形成することを特徴とする一軸配向高分子薄膜の製造方法が開示されている。
米国特許第5180470号明細書 特開平8−254613号公報明細書 特開平8−278411号公報明細書 特開平9−269412号公報明細書 ネイチャー(Nature)、第352巻、第414頁(1991年) ジャーナル、オブ、アプライド、ポリマー、サイエンス(J.Appl.Polym.Sci)、第50巻、1151頁(1993年)
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、一軸配向高分子薄膜としての配向度、表面粗さに関する記載はなく、また本発明者等が行った追試では配向度が低いことが判明している。
また、特許文献3に記載の方法では、一軸配向高分子薄膜としての配向度、表面粗さに関する記載はない。また、本発明者等が行った追試では、繰り返し摩擦を行なうことにより欠陥は少なくなる傾向ではあるが、再現性に乏しく、また全体的に表面の荒いフッ素樹脂配向膜しか得られない。
また、特許文献4に記載の方法では、一軸配向高分子薄膜としての配向度、表面粗さに関する記載はなく、また、一般的にロール圧延により平坦で且つナノメートルオーダの厚みの薄膜を作成するのは困難であるため、ナノメートルオーダの薄膜を目的とする場合には実用的ではない。
以上述べたように、現在までに提案されている一軸配向高分子薄膜では、高配向度と表面平滑性の両者を満たす製造法は提案されていない。それ故、安定してデバイスを作動させるための重要特性である薄膜の品質(表面平滑性、斑)を重要視した液晶配向膜等の応用展開は実用化されているが、高配向度を生かした実用的な応用展開がなされていないのが現状である。
一般に、各種デバイス等への応用を考えた場合、分子の配向度は高ければ高い方がよく、高平坦な薄膜であって、高配向な一軸配向高分子薄膜を工業的に安定して製造することが望まれる。
そこで、本発明の課題は高配向、かつ、高平坦な一軸配向高分子薄膜を提供することにある。
また、本発明の別の課題は、上記の一軸配向高分子薄膜を高収率で且つ容易に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、クリーンな環境下において極めて平滑な支持体の表面を高分子成型体で摩擦することにより、高配向且つ高平坦な一軸配向高分子薄膜が製造できることを認め本発明に到達した。
すなわち、本発明は、厚さ1nm以上2000nm以下の範囲内であり、該薄膜を構成する高分子の分子軸方向の配向度が0.97以上で一軸方向に配向され、該薄膜の表面粗さ(Ra)が3.0nm以下、且つ薄膜占有率が90%以上である一軸配向高分子薄膜である。
このような一軸配向高分子薄膜は、例えば、表面粗さ(Ra)が1.5nm以下である支持体の表面に高分子成型体を摩擦することにより支持体に支持された状態で提供される。このような薄膜を高収率で且つ容易に製造するには、クリーンな環境下で作成することが望ましい。これにより得られた一軸配向高分子薄膜の支持体への被覆率は90%以上と高くなり、これにより一軸配向高分子薄膜の高平坦性を確保させることができる。
ここで、薄膜占有率とは、薄膜の任意の面積(1μm×1μm)をそれぞれ256×256等分し、各画成範囲内の薄膜の有無をパーセントで表現した値であり、例えば、薄膜が任意の支持体上に支持された積層体である場合には、支持体上に支持された薄膜の任意の面積(1μm×1μm)をそれぞれ256×256等分し、各画成範囲内の薄膜の有無をパーセントで表現した被覆率により求めることができる。
このような高分子成型体を与える高分子としては、結晶性高分子又は液晶性高分子が例示され、また、フッ素系高分子またはπ共役系高分子を用いることにより配向度及び平滑性を一層高めることができる。
本発明によりこれまで作成の困難であった産業上非常に有用な高平坦、かつ、高配向な一軸配向高分子薄膜を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明において、一軸配向高分子薄膜を形成する高分子の分子軸方向の配向度は非常に重要であり、高分子の分子軸方向の配向度が高ければ高いほど好ましい。
例えば一軸配向高分子薄膜を偏光吸収層、偏光発光層として用いる場合、分子軸方向の配向度が高くなることにより偏光性能が向上する。また、導電層として用いる場合、分子軸方向の配向度が高くなることにより導電率が向上する。
一方、本発明に従う一軸配向高分子薄膜を配向テンプレートとして偏光素子などの配向薄膜を作成する場合、配向テンプレートの配向度と作成された配向薄膜の配向度には相関があり、この場合も配向テンプレートとしての一軸配向高分子薄膜の配向度が高い方が好ましい。
以上により、本発明に従う一軸配向高分子薄膜を形成する高分子の分子配向度は0.97以上と高配向であるが、この分子配向度は0.98以上であることが一層好ましい。
ここで、一軸配向高分子薄膜の配向度は、後述するように、例えば、インプレーンX線測定装置によって測定することができる。
また、一軸配向高分子薄膜の平滑性も重要である。各種機能層として用いる場合、積層構造を形成する場合が多く、表面が粗いと積層構造に歪みを与え機能層としての特性が劣化することが知られている。
また配向テンプレートとして使用する場合、表面が粗いと一軸配向高分子薄膜上への有機分子や二色性色素分子等の有機又は無機材料の配向が乱れるため好ましくない。この原因は明らかではないが、無機結晶基板へのエピタキシャル成長時に悪影響を及ぼすとされるステップと類似の作用をしているものと考えられる。
いずれの場合も一軸配向高分子薄膜の表面は平滑であるほうが好ましく、表面粗さ(Ra)は3.0nm以下であることが好ましく、2.0nm以下であることがさらに好ましい。
このような一軸配向高分子薄膜の表面粗さ(Ra)は、後述するように、走査型原子間力顕微鏡装置によって測定することができる。
また、本発明においては、支持体に対する一軸配向高分子薄膜の被覆率も重要である。被覆率が低いということは欠陥が多いということであり、各種機能層として用いる場合大きな問題となる。また配向テンプレートとして使用する場合も、被覆されていない領域は配向テンプレートとして機能しないため、欠陥が多いほど各種有機分子や二色性色素分子の配向度が低下するため、好ましくない。
これにより、支持体に対する一軸配向高分子薄膜の被覆率は90%以上であることが好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。支持体に対する一軸配向高分子薄膜の被覆率は、後述するように、走査型原子間力顕微鏡装置の横振動摩擦力顕微鏡測定モードによる測定によって算出することができる。
これまで述べてきたように一軸配向高分子薄膜の配向度、表面粗さ、支持体に対する被覆率は、各種機能層として用いる場合、また偏光素子や配向薄膜の作成用の配向テンプレートとして使用する場合において非常に重要であり、配向度0.97以上、表面粗さ3.0nm以下、支持体に対する被覆率90%以上を全て達成することが好ましい。
本発明の一軸配向高分子薄膜の厚みとしては使用する用途によって異なるが通常厚さ1nm以上2000nm以下であることが好ましい。これより薄いと基板に対する被覆率が低下する傾向にあり、また厚いと最終的な製品そのものが厚くなってしまうなどの問題がある。
本発明の一軸配向高分子薄膜を形成する高分子としては特に限定されないが、高配向で且つ高平滑な一軸配向高分子薄膜を高収率でかつ容易に形成するためには結晶性高分子、あるいは液晶性高分子が好ましい。
結晶性高分子としては特に限定されないがポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、三フッ化塩化エチレン、フッ化ビニリデン−三フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系樹脂;ポリイミド;ポリアクリロニトリル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリアミド;ポリエステル;ポリビニルアルコール又はその共重合体;ポリビニルエーテル;等が具体例として挙げられる。
また液晶性高分子としては特に限定されずに、主鎖型液晶性高分子又はメソゲン基を側鎖に導入した側鎖型液晶高分子であってもよい。好ましい液晶性高分子としては、全芳香族液晶ポリエステル、半剛直性液晶ポリエステル、液晶性ポリエステルアミド、液晶性ポリアミド等を例示することができる。
これらの高分子中で特にフッ素系高分子またはπ共役系高分子は得られる一軸配向高分子薄膜の配向度が高く、また平滑性に優れるという特徴を備える。
このようなフッ素系高分子としては、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−三フッ化ビニリデン共重合体が例示される。
また、π共役系高分子としては、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリフルオレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリジアセチレンが例示され、立体規則性又は対象性の優れたπ共役系高分子であることが好ましい。また、π共役系高分子としては、ブロックポリマーを一例とする共重合ポリマーであってもよく、また、側鎖に官能基や置換基を持つπ共役系高分子であってもよい。いづれの場合でも、このようなπ共役系高分子は様々な機能を備えているので、様々な用途展開が進められている。
本発明で用いられる一軸配向高分子薄膜は主として上述した高分子から形成される。用いる高分子としては1種類を用いても、2種又は3種以上の高分子を混合して用いてもよい。また本発明の主旨を損なわない範囲で適当な低分子化合物、無機物、金属等を含有して用いることもできる。
次に本発明における一軸配向高分子薄膜(以下、単に高分子薄膜ということがある。)の製造方法について説明する。
本発明における製造法において重要な点は、支持体として表面粗さ(Ra)が1.5nm以下である極めて平坦な基板を用いることである。この平坦な支持体の表面に高分子成型体を摩擦することにより、この支持体に対する被覆率が90%以上となる高平坦、かつ、高配向な一軸配向高分子薄膜を形成することができる。
すなわち、本発明においては、摩擦されるべき支持体の表面粗さが高分子薄膜の平滑性確保及び支持体に対する被覆率向上のため特に重要であり、詳細な検討の結果、支持体に対する被覆率が90%以上を達成するためには支持体表面の表面粗さ(Ra)が1.5nm以下である必要があることが確認された。
支持体表面の表面粗さ(Ra)が1.5nmより大きい場合、支持体に対する高分子薄膜の被覆率が90%を下回り、充分に平滑な高分子薄膜を得ることは困難である。
一般に、日常的に使用されるガラスの表面粗さは2.0nm程度であり、液晶ディスプレイ等に利用されるITO(酸化インジウム)透明電極の表面粗さは2.8nm程度である。また、市販されているPETフィルムには、超平坦高分子フィルムとして市販されているものがあるが、この超平坦高分子フィルムの表面粗さは高々、20nm程度の平滑性しか有していない。このような観点から、本発明で採用される支持体は、特異的に平坦な表面粗さ(Ra)が必要であると理解される。なお、この支持体の表面粗さは、後述するように、走査型原子間力顕微鏡装置によって測定することができる。
このような支持体は、表面粗さ(Ra)が1.5nm以下であれば透明材料、不透明材料などに特には制限なく広く使用することができる。例えば、支持体を構成する材料としては、無機材料、有機材料、高分子材料、金属材料などが単独で又は混合されて使用できる。また、これらの支持体は単一な成形体であっても、また、積層体や複合体等であってもよい。
例えば、フュージョン法などのように非常に平滑性の高いガラス基板を与える作成法が透明な支持体を与える作成法の一例として挙げられる。この表面平滑性は、例えば、支持体を研磨することにより付与してもよい。例えば、石英ウェハー、サファイアウェハー等は高精度に両面を研磨することにより、本発明に好ましい支持体とすることができる。
また、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルサルフォン等の高分子材料は、nmレベルの平滑性を持つ板、金型、ロールで平滑性を転写することにより平滑性を備えた透明プラスチック支持体として用いることができる。このような平滑性を備えたプラスチック支持体は、例えば、プレス成型、射出成型、押出成型、キャスト成型等で成形することができる。
また、任意の支持体の表面に平滑化層を付与することにより支持体の表面粗さ(Ra)を満たすこともできる。このような平滑化層は、同様に、無機材料、有機材料、高分子材料、金属材料などが単独で、又は混合して用いることができる。
例えば、プラスチック基板又はガラス基板などの任意の支持体に、スピンコート成膜、ロールコート成膜、デイップコート成膜、スプレー成膜等で平滑化層を成膜することもできる。このような成膜材料としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂、アクリル樹脂等の光硬化性樹脂が例示され、成膜した後に熱や光等により樹脂を硬化させることにより表面粗さ(Ra)が1.5nm以下の平滑化層を与えることができる。
またその他の平滑化層の具体例としてはSiO2、ZnO、ITO、Al23等の無機透明酸化物層、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)層、チッ化シリコン層等が例示される。このような平滑化層は、例えば、真空蒸着、スパッタ、プラズマ、ゾルゲル法などによる薄膜形成法(成膜法)により平滑な面とすることができる。
例えば、最終用途として透明性が必要となる偏光素子、液晶配向膜、位相差フィルム等に用いる場合は、透明性を有するガラス材料又は透明高分子材料を支持体として用いることにより、支持体に支持された状態で提供される一軸配向高分子薄膜(支持体と一軸配向高分子薄膜とは積層体となる。)は、その積層体の状態でそのまま利用することができる。
支持体との積層体として提供される一軸配向高分子薄膜を別の基板に転写して使用する場合には、最終用途に透明性が必要であっても、この支持体は透明である必要がなく、転写される基板が透明であればよい。
また一軸配向高分子薄膜を電極上に作成する必要がある場合は、近年開発が進んでいる有機EL用の平滑ITO基板等の透明電極や、金、Al、炭素材料等の電極を支持体として用いることができる。いずれの場合にも、表面粗さ(Ra)が1.5nm以下の平滑な支持体であることが必要である。
透明性を要求されない場合は、市販されている表面粗さ(Ra)が1.5nm以下のシリコンウェハー、ガリウムヒ素ウェハー、ガリウムリンウェハー等の超平滑ウェハーを支持体として用いることができる。
以上の支持体の形状は最終的使用する用途により適宜選択されるが、通常はフィルム状、板状、ロール状から選択される。
次に、本発明において用いる高分子成型体は、成型体の大きさ、形状などは使用する用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、ペレット、棒、インゴット、ロッド、スティック、フィルム、その他の形態に成型した成型体を用いることができる。
また、このような高分子成型体の成型方法については特に限定されず、使用する高分子によって公知の成型方法より適切な方法を選択して使用することができる。例えば、圧縮成型、射出成型、押出成型、焼結成型、キャスト成型、粉末プレス成型、等が挙げられる。一軸配向高分子薄膜の配向度の観点からは高分子成型体の作成時において、できるだけ分子の絡み合いの少ない成型法が好ましい。この観点から、ゲルキャスト成型が最も好ましい成型方法として例示される。
また本発明において、平滑な支持体の表面を高分子成型体で摩擦する工程において、支持体に対する被覆率を向上させるためには高分子成型体を支持体表面に摩擦する際の接触面積が非常に重要である。充分な接触面積が確保できるように、高分子成型体の成型時にその成型表面を充分に平滑にできる、面精度の高い成型加工法が好ましい。また必要に応じて高分子成型体の表面を研磨、切削などの手法により平坦な面を出すことも有用である。
次に、支持体の表面を高分子成型体で摩擦するときの条件(温度、圧力、走引速度、クリーン度)について説明する。
まず、温度については、使用する高分子により適宜選択される。結晶性高分子ではガラス転移点以上融点以下、液晶性高分子では液晶性が発現する温度領域で行なうことが好ましい。ガラス転移点以下では高分子薄膜の被覆率が低い場合が多く、融点以上では配向した高分子薄膜が作成できない。温度制御の方法に関しては、支持体を加熱してもよいし、高分子成型体を加熱してもよい。また、支持体及び高分子成型体の双方を同時に加熱してもよい。耐熱性の低い支持体を使用する場合は高分子成型体のみを加熱するのが好ましい。
圧力については、使用する高分子により適宜選択されるが、通常は0.1MPa〜10MPaの範囲から選択される。圧力が低すぎると高分子成型体と支持体との接触が不十分である場合があり、圧力が高すぎると支持体が破壊されることがあり好ましくない。
走引速度については、使用する高分子により適宜選択されるが、通常は0.05m/min〜50m/minの範囲から選択される。走引速度が遅すぎると生産が低く、走引速度が速すぎると支持体に対する被覆率が低下する傾向があり好ましくない。
本発明者等は、一軸配向高分子薄膜を作成する条件を詳しく検討した結果、支持体の表面を高分子成型体で摩擦するときの環境が非常に重要であり、クリーンな環境で摩擦することが好ましいことを見出した。
ここで、クリーンな環境とは、高分子薄膜を作成する工程においてクリーン性を確保することであり、クリーン度クラスを1000以下に保つこと、及び使用する支持体の清浄度を高めることである。このクリーン度クラスは、更に100以下であることが好ましい。
支持体の表面にパーティクル等の異物が付着すると、支持体の表面を高分子成型体で摩擦し、薄膜を形成する際の被覆率、表面平滑性に悪影響を及ぼす。そのため支持体の表面は使用する前に洗浄して支持体表面の清浄度を保持すること、及びクリーン度クラスを1000以下に保つことが非常に重要となる。
以上により、厚さ1nm以上2000nm以下の範囲内であり、該薄膜を構成する高分子の分子軸方向の配向度が0.97以上で一軸方向に配向され、該薄膜の表面粗さ(Ra)が3.0nm以下、且つ薄膜占有率が90%以上である高分子薄膜が支持体の表面に支持された積層体として提供される。この積層体の支持体への高分子薄膜の被覆率は90%以上である。
この様にして得られた一軸配向高分子薄膜は、別の基板に転写することも可能であり、例えば石英等の支持体の上に作成し、高分子フィルムに転写して使用することもできる。
以下、本発明を実施例にてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明の一軸配向高分子薄膜を規定する各種パラメータの測定方法は次の通りである。
<一軸配向高分子薄膜の配向度>
一軸配向高分子薄膜の配向度には薄膜資料用全反射X線回折装置(理学電機 ATX−G)を用いた。インプレーン測定のX線入射角は0.2〜0.3°の範囲で調整を行なう。次に2θχ/φを5〜40degの範囲でIn−plane coupled scanを実行し、回折ピークを同定する。その後、φrocking scanを実行し、ピークの半値角αを算出し、次式に代入し、配向度faを求める。
fa=(3〈cos2α〉−1)/2
<一軸配向高分子薄膜並びに支持体の表面粗さ(Ra)>
原子間力顕微鏡装置(セイコーインスツルメンツ社製SPI−3700)を使用し、探針:SN−FF01(材質Si34)、走査モード:コンタクトモード、走査範囲:1μm×1μm、画素数:256×256、スキャン速度0.5Hzの条件で測定し、表面粗さRa(2乗平均粗さ)を算出した。
<一軸配向高分子薄膜の支持体に対する被覆率>
原子間力顕微鏡装置(セイコーインスツルメンツ社製SPI−3700)を使用し、探針:SN−FF01(材質Si34)、走査モード:LM−FFM(横振動FFM)、走査範囲:1μm×1μm、画素数:256×256、スキャン速度0.5Hzの条件で測定した。
得られたFFM像のコントラストの差を画像処理により白と黒に変換することにより一軸配向高分子薄膜の支持体に対する被覆率を算出した。
(実験例1)
シリコンウェハーの鏡面を用いてプレス成型することにより表面を平坦化したPTFEペレットを用意した。このPTFEペレットを用い、クリーン度クラス100のクリーンルーム内にて、300℃に加熱した表面粗さ0.4nmの石英基板上に、圧力10kg/cm2、走引速度1.0m/分の条件で摩擦することによりPTFEを素材とする一軸配向高分子薄膜を作成した。この一軸配向高分子薄膜の配向度は0.998、表面粗さRaは0.6、被覆率は100%であった。
(実験例2〜5)
クリーンルームのクリーン度(環境)と基板の表面粗さを種々変更した以外は実験例1と同様にしてPTFEを素材とする一軸配向高分子薄膜を作成し、得られた薄膜の配向度、表面粗さRa及び被覆率を測定して結果を併せて表1に示した。
Figure 2005283902
摩擦転写法によりPTFE粉末のペレットをガラススライド上に擦りつけることにより得られる薄膜では、10℃未満の配向角を有する厚み約20nmの高配向薄膜が形成されるが、この高配向薄膜の配向角より算出される高分子配向度は0.955である。
これに対して、極めて平坦である支持体を用いてクリーンな環境下で実施した本発明に従う実験例1〜3の場合には、いずれも支持体への被覆率が90%以上と高く、高配向、かつ、平坦な一軸配向高分子薄膜が得られていた。
本発明の一軸配向高分子薄膜は高分子素材として各種の機能性高分子を採用することにより、バリアフィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム、ディスプレイ用基板フィルム、等の機能性フィルム又はそれらの構成材料として好適に使用される。
特に高分子素材として発光性、導電性、光電変換性を保有するπ共役系高分子を使用することにより偏光有機EL、有機半導体、太陽電池、等のデバイス素材としての利用が期待される。
また本発明の一軸配向高分子薄膜は各種の配向テンプレートとして利用することもできる。例えば、本発明の一軸配向高分子薄膜の上に有機分子や二色性色素分子を配向させる場合には、配向される有機分子や二色性色素分子等の選択により様々な光電子材料分野での応用が期待される。二色性色素分子を配向させることにより偏光素子が形成され、液晶分子を配向させることによりLCD用液晶配向膜としての利用が期待される。

Claims (5)

  1. 厚さ1nm以上2000nm以下の範囲内であり、該薄膜を構成する高分子の分子軸方向の配向度が0.97以上で一軸方向に配向され、該薄膜の表面粗さ(Ra)が3.0nm以下、且つ薄膜占有率が90%以上である一軸配向高分子薄膜。
  2. 前記一軸配向高分子薄膜は、任意の支持体に支持され、該支持体への前記一軸配向高分子薄膜の被覆率が90%以上であることを特徴とする請求項1記載の一軸配向高分子薄膜。
  3. 前記高分子が結晶性高分子または液晶性高分子である請求項1又は2に記載の一軸配向高分子薄膜。
  4. 前記高分子がフッ素系高分子またはπ共役系高分子である請求項1又は2に記載の一軸配向高分子薄膜。
  5. 表面粗さ(Ra)が1.5nm以下である任意の支持体の表面に高分子成型体を摩擦することにより薄膜を作成することを特徴とする請求項1〜4記載の一軸配向高分子薄膜の製造方法。
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