本発明はカラー画像表示機能を有する液晶表示装置、とりわけ広視野角の液晶表示装置に関するものである。
近年の微細加工技術、液晶材料技術および高密度実装技術等の進歩により、5〜50cm対角の液晶表示装置でテレビジョン画像や各種の画像表示機器が商用ベースで大量に提供されている。また、液晶パネルを構成する2枚のガラス基板の一方にRGBの着色層を形成しておくことによりカラー表示も容易に実現している。特にスイッチング素子を絵素毎に内蔵させた、いわゆるアクティブ型の液晶パネルではクロストークも少なく、応答速度も早く高いコントラスト比を有する画像が保証されている。
これらの液晶表示装置(液晶パネル)は走査線としては200〜1200本、信号線としては300〜1600本程度のマトリクス編成が一般的であるが、最近は表示容量の増大に対応すべく大画面化と高精細化とが同時に進行している。
図14は液晶パネルへの実装状態を示し、液晶パネル1を構成する一方の透明性絶縁基板、例えばガラス基板2上に形成された走査線の電極端子群5に駆動信号を供給する半導体集積回路チップ3を導電性の接着剤を用いて接続するCOG(Chip−On−Glass)方式や、例えばポリイミド系樹脂薄膜をベースとし、金または半田メッキされた銅箔の端子を有するTCPフィルム4を信号線の電極端子群6に導電性媒体を含む適当な接着剤で圧接して固定するTCP(Tape−Carrier−Package)方式などの実装手段によって電気信号が画像表示部に供給される。ここでは便宜上二つの実装方式を同時に図示しているが実際には何れかの方式が適宜選択される。
液晶パネル1のほぼ中央部に位置する画像表示部内の画素と、走査線及び信号線の電極端子5,6との間を接続する配線路が7、8で、必ずしも電極端子5,6と同一の導電材で構成される必要はない。9は全ての液晶セルに共通する透明導電性の対向電極を対向面上に有するもう1枚の透明性絶縁基板である対向ガラス基板またはカラーフィルタである。
図15はスイッチング素子として絶縁ゲート型トランジスタ10を絵素毎に配置したアクティブ型液晶表示装置の等価回路図を示し、11(図14では7)は走査線、12(図14では8)は信号線、13は液晶セルであって、液晶セル13は電気的には容量素子として扱われる。実線で描かれた素子類は液晶パネルを構成する一方のガラス基板2上に形成され、点線で描かれた全ての液晶セル13に共通な対向電極14はもう一方のガラス基板9の対向する主面上に形成されている。絶縁ゲート型トランジスタ10のOFF抵抗あるいは液晶セル13の抵抗が低い場合や表示画像の階調性を重視する場合には、負荷としての液晶セル13の時定数を大きくするための補助の蓄積容量15を液晶セル13に並列に加える等の回路的工夫が加味される。なお16は蓄積容量15の共通母線となる蓄積容量線である。
図16は液晶表示装置の画像表示部の要部断面図を示し、液晶パネル1を構成する2枚のガラス基板2,9は樹脂性のファイバ、ビーズあるいはカラーフィルタ9上に形成された柱状スペーサ等のスペーサ材(図示せず)によって数μm程度の所定の距離を隔てて形成され、その間隙(ギャップ)はガラス基板9の周縁部において有機性樹脂よりなるシール材と封口材(何れも図示せず)とで封止された閉空間になっており、この閉空間に液晶17が充填されている。
カラー表示を実現する場合には、ガラス基板9の閉空間側に着色層18と称する染料または顔料のいずれか一方もしくは両方を含む厚さ1〜2μm程度の有機薄膜が被着されて色表示機能が与えられるので、その場合にはガラス基板9は別名カラーフィルタ(Color Filter 略語はCF)と呼称される。そして液晶材料17の性質によってはガラス基板9の上面またはガラス基板2の下面の何れかもしくは両面上に偏光板19が貼付され、液晶パネル1は電気光学素子として機能する。現在、市販されている大部分の液晶パネルでは液晶材料にTN(ツイスト・ネマチック)系の物を用いており、偏光板19は通常2枚必要である。図示はしないが、透過型液晶パネルでは光源として裏面光源が配置され、下方より白色光が照射される。
液晶17に接して2枚のガラス基板2,9上に形成された例えば厚さ0.1μm程度のポリイミド系樹脂薄膜20は液晶分子を決められた方向に配向させるための配向膜である。21は絶縁ゲート型トランジスタ10のドレインと透明導電性の絵素電極22とを接続するドレイン電極(配線)であり、信号線(ソース線)12と同時に形成されることが多い。信号線12とドレイン電極21との間に位置するのは半導体層23であり詳細は後述する。カラーフィルタ9上で隣り合った着色層18の境界に形成された厚さ0.1μm程度のCr薄膜層24は半導体層23と走査線11及び信号線12に外部光が入射するのを防止するための光遮蔽部材で、いわゆるブラックマトリクス(Black Matrix 略語はBM)として定着化した技術である。
ここでスイッチング素子として絶縁ゲート型トランジスタの構造と製造方法に関して説明する。現在絶縁ゲート型トランジスタには2種類のものが多用されており、そのうちの一つのチャネルエッチ型と呼称されるものを従来例として紹介する。図17は従来の液晶パネルを構成するアクティブ基板(表示装置用半導体装置)の単位絵素の平面図であり、図17(e)のA−A’、B−B’およびC−C’線上の断面図を図18に示し、その製造工程を以下に簡単に説明する。
先ず図17(a)と図18(a)に示したように耐熱性と耐薬品性と透明性が高い絶縁性基板として厚さ0.5〜1.1mm程度のガラス基板2、例えばコーニング社製の商品名1737の一主面上にSPT(スパッタ)等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1〜0.3μm程度の第1の金属層を被着し、微細加工技術により感光性樹脂パターンを用いてゲート電極11Aも兼ねる走査線11と蓄積容量線16を選択的に形成する。走査線の材質は耐熱性と耐薬品性と耐弗酸性と導電性とを総合的に勘案して選択するが一般的にはCr,Ta,MoW合金等の耐熱性の高い金属または合金が使用される。走査線11と蓄積容量線16の形成と同時に画像表示部外の領域で走査線11の一部よりなる(電極端子)5も同時に形成する。
次にガラス基板2の全面にPCVD(プラズマ・シーブイデー)装置を用いてゲート絶縁層となるSiNx層30、不純物をほとんど含まず絶縁ゲート型トランジスタのチャネルとなる第1の非晶質シリコン層31、及び不純物を含み絶縁ゲート型トランジスタのソース・ドレインとなる第2の非晶質シリコン層33と3種類の薄膜層を、例えば0.3−0.2−0.05μm程度の膜厚で順次被着する。そして図17(b)と図18(b)に示したように微細加工技術により感光性樹脂パターンを用いてゲート電極11A上に第2の非晶質シリコン層33Aと第1の非晶質シリコン層31Aとの積層よりなる島状の半導体層をゲート11電極Aよりも幅広く選択的に形成してゲート絶縁層30を露出する。
引き続きソース・ドレイン配線の形成工程ではSPT等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1μm程度の耐熱金属層として例えばTi,Ta等の薄膜層34と、膜厚0.3μm程度の低抵抗配線層としてAL薄膜層35と、膜厚0.1μm程度の中間導電層を順次被着する。そして図17(c)と図18(c)に示したように微細加工技術により感光性樹脂パターンを用いてこれらの薄膜層を順次食刻し、ゲート電極11Aと一部重なるように34A,35A及び36Aの積層よりなる絶縁ゲート型トランジスタのドレイン電極21とソース配線も兼ねる信号線12を選択的に形成するが、ここでは第2の非晶質シリコン層33A及び第1の非晶質シリコン層31Aも順次食刻し、第1の非晶質シリコン層31Aは0.05〜0.1μm程度残して食刻する。ソース・ドレイン配線12,21の形成と同時に画像表示部外の領域で信号線12の一部よりなる(電極端子)6も同時に形成する。
ソース・ドレイン配線12,21の形成後はガラス基板2の全面に透明性の絶縁層として0.3μm程度の膜厚のSiNx層を被着してパシベーション絶縁層37とし、微細加工技術により感光性樹脂パターンを用いて図17(d)と図18(d)に示したようにドレイン電極21上、走査線の一部5上及び信号線の一部6上に夫々開口部62,63及び64を形成し、開口部62,64内のパシベーション絶縁層37と、開口部63内のパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30を選択的に除去してこれらの電極を露出する。同様に蓄積容量線16(を平行に束ねた電極パターン)上には開口部65を形成して蓄積容量線16の一部を露出する。
最後にSPT等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1〜0.2μm程度の透明導電層として例えばITO(Indium−Tin−Oxide)あるいはIZO(Indium−Zinc−Oxide)を被着し、図17(e)と図18(e)に示したように微細加工技術により感光性樹脂パターンを用いて開口部62を含んでパシベーション絶縁層37上に絵素電極22を選択的に形成してアクティブ基板2として完成する。開口部63内の露出している走査線11の一部を電極端子5とし、開口部64内の露出している信号線12の一部を電極端子6としても良く、図示したように開口部63,64を含んでパシベーション絶縁層37上にITOよりなる電極端子5A,6Aを選択的に形成しても良いが、通常は電極端子5A,6A間を接続する透明導電性の短絡線40も同時に形成される。その理由は、図示はしないが電極端子5A,6Aと短絡線40との間を細長いストライプ状に形成することにより高抵抗化して静電気対策用の高抵抗とすることが出来るからである。同様に番号は付与しないが開口部65を含んで蓄積容量線16への電極端子が形成される。
このようにして得られたアクティブ基板2とカラーフィルタとを貼り合わせて液晶パネル化し、アクティブ型の液晶表示装置の製作が完了する。蓄積容量15の構成に関しては図17(e)に示したように走査線11と同時に形成された蓄積容量線16とドレイン電極21とが間にゲート絶縁層30を介して平面的に重なることで構成している例(右下がり斜線部52)を例示しているが、蓄積容量15の構成はこれに限られるものではなく、絵素電極22に接続されたソース・ドレイン配線12,21と同時に形成されて絵素電極22に接続された蓄積電極と前段の走査線11とがゲート絶縁層30を介して平面的に重なることで構成しても良い。
このようにパシベーション絶縁層には無機材質のSiNx層37が用いられているが、パシベーション絶縁層に透明性と耐熱性の高い有機材質の感光性アクリル樹脂を用いてアクティブ基板2表面の平坦化を図り、かつ感光性アクリル樹脂の膜厚を3μm以上と厚く形成してから絵素電極22を形成した、いわゆる高開口率の液晶表示装置も消費電力の制約が厳しいノートブック用途として根強い需要がある。
上記したTN型の液晶表示装置は商品化された当初から中間調表示において液晶分子の非対称的な配向特性から視野角が狭いことは良く知られており、ここ数年はモニターや大型テレビ向けに視野特性の改善を目的とした技術開発が積極的に行われてきた。
それらの中で先行文献である例えば特開2002−365636号公報に開示されている垂直配向型の液晶表示装置について説明する。同公報によれば図19、図20及び図21に示したように電圧無印加時に液晶表示装置を構成する一対の表示電極14,22内で垂直配向の液晶分子17Mを傾斜させるため、一対のスリット70A,70B及び一対の突起60A,60Bさらにスリット70と突起60の複合と、2種類の配向制御手段の組み合わせが詳細に開示されている。なお100は液晶セルに信号電圧を供給する交流の信号源である。
特開2002−365636号公報
図19、図20及び図21において何れも(a)図は液晶セル間に電圧が印加されない場合に液晶分子17Mが表示電極14,22に垂直に配向するとともに配向制御部位に沿って傾斜している状態を模式的に示し、(b)図は液晶セル間に電圧が印加された場合に液晶分子17Mが傾斜して配向している状態を示している。ただしスリット70は電界が印可されて初めて配向制御部位として機能し、電圧が印可されていない場合は液晶セル内で全て垂直に配向している。そして傾斜し始めた液晶分子17Mはある電圧で殆ど表示電極14,22に平行に配列し、液晶パネルとしては最大の輝度を表示するようになる。このように表示モードは電圧が印加された時に白表示となるノーマリ・ブラック(Normaly Black 略語はNB)である。
現在市販されている垂直配向型の液晶表示装置において形成されている配向制御手段の組合せについて説明する。一つの例では画像表示部の平面図である図22(f)と同図のD−D’線上の断面図である図23(f)に示したようにカラーフィルタ9上に例えば感光性アクリル樹脂のような有機性樹脂よりなる突起60を設けるとともに、アクティブ基板2上の絵素電極22の一部を除去してスリット70を設けている。このような垂直配向型の液晶表示装置に用いられるアクティブ基板の製造方法の一例について以下に簡単に記載する。
図22(d)と図23(d)に示したように微細加工技術により感光性樹脂パターンを用いてドレイン電極21上、走査線の一部5上及び信号線の一部6上に夫々開口部62,63及び64を形成し、開口部62,64内のパシベーション絶縁層37と、開口部63内のパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30を選択的に除去してこれらの電極を露出するまでは従来のTN用アクティブ基板と同一の製造工程を進行する。
最後に透明導電性のITOまたはIZOよりなる絵素電極22を形成する工程も従来のTN用アクティブ基板と同一である。唯一の差異は絵素電極22のパターン形状にあり、図22(e)と図23(e)に示したように絵素電極22に幅数μmのスリット70と称する透明導電層の欠如した領域が帯状に存在することである。このスリット70の領域では対向電極14からの電気力線が歪んで対向電極14に垂直方向以外の成分が生ずる。そうするとネガ型の垂直配向の液晶分子は電気力線に垂直な方向に配向するので傾斜する。その傾斜角は電界が高くなる程大きくなり、先述したようにある電圧で殆ど絵素電極22に平行に配列し、液晶パネルとしては最大の輝度を表示するようになる。すなわちスリット70は垂直配向液晶の配向制御部位として機能している。
このようにして得られたアクティブ基板2と、同じく配向制御部位として対向電極14上に先述したようにアクリル樹脂よりなる突起60を形成されたカラーフィルタ9を貼り合せて液晶パネル化し、画像表示部の平面図である図22(f)と同図のD−D’線上の断面図である図23(f)に示したように垂直配向型の液晶表示装置を得ている。スリット70と突起60とは液晶分子の配向が揃うように半ピッチずらして配置されている。スリット70と突起60を略直交するL字形状に形成するのは液晶分子の配向方向を4分割して視野を広げるための光学的な設計事由に基づいている。
耐熱性と透明性の高い感光性アクリル樹脂39を用いてアクティブ基板2を平坦化した場合には平坦化された平面図の図22(g)とそうでない平面図の図22(e)との比較からも絵素電極22を大きく形成できる分、明るい画像が得られることは容易に理解されよう。なお図22(h)と図23(h)は平坦化した場合の画像表示部の平面図と同図のD−D’線上の断面図である。
絵素電極22の周辺ではスリット70と突起60の長手方向に対して液晶分子が直角に配向できない領域(別名ドメイン領域)が存在する。そこでは表示画像が暗くなる、あるいは応答速度が遅くなる等の理由で通常はカラーフィルタ9に形成されたBM24で光学的に遮蔽され、図22(f)と図22(h)に示したように点線95で囲まれた領域が絵素電極22の有効領域となる。
このように量産されている垂直配向型の液晶表示装置においては配向制御手段を形成するに当たり、コスト的な観点からは製造工程が増加しないように配慮してアクティブ基板2上には突起60を形成せず、絵素電極22にスリット70を形成しているのであるが、まずスリット70は配向制御部位として機能するが表示電極が欠如しており表示能力がないのでその分、開口率を下げて表示画像が暗くなる欠点がある。
次にカラーフィルタ9上に突起60を形成するためには感光性有機樹脂と、その選択的パターン形成のためのフォトマスク及び塗布・露光・現像と一連の生産設備が必要であり、そのために製造コストが上昇するのは避けられない。
また特許文献にも詳細に記載されているように、突起60が存在する領域では突起60が誘電体として液晶セルの一対の表示電極14,22間に介在するので、突起60の材質あるいは製造条件によって電荷の蓄積が起こり、表示画像の焼付けが起きることがある。さらに突起が透明性の樹脂で形成されていても突起60による印加電圧の配分損失の結果、突起60では常に輝度が低くなる。
加えて突起60の材質あるいは製造条件によっては配向膜20が突起60によって弾かれて均一な塗布ができない、あるいは部分的に塗布できない事態が発生して表示画像に斑が発生しまうことも稀ではなかった。
特許文献には表示電極の窪みは突起と同様に有効と記載されてはいるが、突起の形成と同様に樹脂を用いた場合の記述のみで細部では具体性と正確性に欠けている。本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、垂直配向型の液晶に配向制御手段を付与するに際し、上記の表示性能上の諸課題を回避するとともに製造工程の増加を最低限に抑えて製造コストの上昇を回避し、さらに明るくコントラストの高い画像を提供することを目的とする。
樹脂を用いた突起のようにカラーフィルタやアクティブ基板上に新たに配向制御部材・部位を形成すると製造工程が増加するので、本発明はカラーフィルタやアクティブ基板上の部位を除去して窪みあるいは溝を形成することで製造コストの上昇を回避している。
請求項1に記載の液晶表示装置は、一主面上に少なくとも絶縁ゲート型トランジスタと、前記絶縁ゲート型トランジスタのゲート電極も兼ねる走査線とソース配線も兼ねる信号線と、ドレイン配線に接続された透明導電性の絵素電極を有する単位絵素が二次元のマトリクスに配列された第1の透明性絶縁基板と、その一主面上に透明導電性の対向電極を有し前記第1の透明性絶縁基板と対向する第2の透明性絶縁基板またはカラーフィルタとの間に電圧無印加時に垂直配向する液晶を充填してなる液晶表示装置において、
前記第1の透明性絶縁基板上に前記液晶に電圧を印加した時に液晶が配向する方向を規制する第1の配向制御手段と、
前記第2の透明性絶縁基板上に前記液晶に電圧を印加した時に液晶が配向する方向を規制する第2の配向制御手段を備え、
前記第1の配向制御手段は、少なくとも、第1の透明性絶縁基板上の絶縁層の一部が帯状に開口され、前記開口部を含んで形成された絵素電極内の溝領域であることを特徴とする。
この構成により製造工程が増加することなくアクティブ基板上に溝状の配向制御手段を形成することが可能となる。しかも除去する絶縁層をパシベーション絶縁層のみ、パシベーション絶縁層とゲート絶縁層、さらにはアクリル樹脂等の透明樹脂よりなる平坦化絶縁層まで含めてと溝の深さを変えることが容易であり、配向制御手段の最適化も容易となる。
請求項2に記載の液晶表示装置は、同じく、
前記第1の透明性絶縁基板上に前記液晶に電圧を印加した時に液晶が配向する方向を規制する第1の配向制御手段と、
前記第2の透明性絶縁基板上に前記液晶に電圧を印加した時に液晶が配向する方向を規制する第2の配向制御手段を備え、
前記第2の配向制御手段は、少なくとも、カラーフィルタ上の着色層の一部が帯状に開口され、前記開口部を含んで形成された対向電極内の溝領域であることを特徴とする。
この構成により溝の深さを変えることはできないが製造工程を増加させること無くカラーフィルタ上に溝状の配向制御手段を形成することが可能となる。
請求項3に記載の液晶表示装置は、請求項1及び請求項2に記載の液晶表示装置であって、開口部よりわずかにパターン幅の広い金属層が前記開口部下に形成されていることを特徴とする。
この構成により電圧無印加時に溝内に傾斜している液晶分子からの光漏れを阻止できて黒レベルが低下し、コントラスト比の向上が実現する。また溝の長手方向に配列して発生するTN成分からの光漏れも阻止できてγ(ガンマ)特性の視野角依存性が改善される。
以上述べたように本発明では絵素電極内や対向電極内に形成された溝内に液晶が配列するので従来のスリットや突起と比べると、溝内は電界が弱くなるが表示に寄与できるので明るい画像が得られる。ただしドメイン領域が暗くなる性質は変わらない。
また多少開口率は低下するものの溝領域を金属層で光シールドすることによりコントラストが高くなり、かつγ(ガンマ)特性の視野角依存性が低減してどこから見ても色合いが変化しない画像が得られるのでテレビ表示用には最適のものが得られる。
さらに本発明では表示電極上に余分な絶縁体が存在しないので電荷の蓄積による表示画像の焼付けが生ずることもなく、同様に配向膜の種類によらず配向膜の均一な塗布が可能であって配向膜の塗布工程で品質不良を発生しない。
何よりも従来の樹脂を用いた突起形成のように製造工程が増加しないので、低価格化を求められているテレビ向け市場の要求を満たして液晶テレビの急速な成長を力強く支えることも可能である。
本発明の要件は上記の説明からも明らかなように、絵素電極下の絶縁層や対向電極下の着色層を溝状に除去することで垂直配向型液晶を配向制御するものであって、絶縁ゲート型トランジスタの形式や製造方法の差異に関係なく実施可能な技術であり、また透明性の高い有機絶縁層を用いて絵素電極を可能な限り大きく形成する高開口化技術との整合性にも優れた技術である。
本発明の実施例を図1〜図5に基づいて説明する。図1に本発明の実施例1に係るアクティブ基板の断面図を示し、同様に実施例2、実施例3は夫々図2、図3でアクティブ基板の断面図を示す。図4には本発明の実施例4に係るカラーフィルタの断面図を示し、同様に実施例5は図5でカラーフィルタ基板の断面図を示す。なお従来例と同一の部位については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。垂直配向型液晶の配向制御手段は対向電極または絵素電極の何れかもしくは双方に形成されるが、便宜上実施例1〜実施例3では絵素電極に、実施例4〜実施例5では対向電極に形成した実施例を説明している。これらの組合せで本発明の目的に叶った垂直配向型の液晶表示装置が得られるのは言うまでも無い。なお図6〜図13は参考例である。
実施例1では図1に示したように従来の5枚マスク・プロセスのパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30への開口部形成に際して、絵素電極形成領域下のこれらの絶縁層にも開口部63Aを形成し、走査線11への接続のための開口部63と同様に開口部63A内のパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30を除去してガラス基板2を露出し、引き続き前記開口部63Aを含んで透明導電性の絵素電極22を形成することにより絵素電極22内に溝80Aを有するアクティブ基板2を得る。このようにして得られたアクティブ基板2と適当な配向制御手段を有するカラーフィルタ9を貼り合わせて広視野角の液晶表示装置が得られる。
開口部63A(溝80A)の幅は光学的な設計事項であるがプロセス的には高精度の露光機を用いて4μm程度まで対応可能である。またその断面形状は配向制御手段としてその高さ(深さ)とともに重要な設計事項であるが、断面形状の制御は開口部63Aの形成にあたりドライエッチ技術を用いて30〜70度のテーパ角度を与えることも容易である。なぜならばパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30のエッチングガスとして通常弗素系のガスが用いられるが、適当な分圧の酸素ガスを添加することにより開口部63A形成のために形成された感光性樹脂パターンの膜厚が減少しながら、すなわち開口部63Aのパターン寸法が広がりながらエッチングされるからである(レジスト後退法)。
溝80Aの高さもアクティブ基板2を構成する絶縁層が複数個存在するので除去する絶縁層の除去方法によって複数個の選択が可能である。実施例1では開口部63A内のパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30の双方を除去している。すなわち高さは0.7〜0.9μmと通常は1μmを超えることはない。
実施例1ではこのように開口部63Aを覆って透明導電性の絵素電極22が形成されるので、溝80A内は液晶セルとしての厚みが増加するので溝内は電界が弱くなるが溝80A内の絵素電極22も表示に寄与して開口率が高く明るい表示画像が得られる点に特徴がある。しかしながら液晶分子が電圧無印加の黒表示時に溝80Aの側面では液晶分子が傾斜しているのでわずかに光が漏れてしまうことは避けられない。このわずかな光漏れを阻止して黒表示時の黒レベルを低下させてコントラストを向上させるための手段を付与した発明が実施例2である。
実施例2では図2に示したように溝80Aが形成される領域に溝80Aよりもわずかにパターン幅の広い光シールド11Bを走査線11の形成時に同時に形成する。そして実施例1と同様にパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30への開口部形成に際して、絵素電極形成領域下のこれらの絶縁層にも開口部63Aを形成し、走査線11への接続のための開口部63と同様に開口部63Aのパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30を除去して光シールド11Bを露出し、引き続き前記開口部63Aを含んで透明導電性の絵素電極22を形成することにより絵素電極22内に溝80Aを有するアクティブ基板2を得る。このようにして得られたアクティブ基板2と適当な配向制御手段を有するカラーフィルタ9を貼り合わせて広視野角の液晶表示装置が得られる。
このように走査線11を構成する金属配線材を光シールド11Bとして形成することで製造工程の増加は発生しない。光シールド11Bのパターン幅は高解像力の露光機を用いれば開口部63Aの寸法に露光機の合わせ精度分の2〜3μmを光シールド11Bの両側に加えた寸法である10μm以下に抑えることはさほど困難ではなく、これによって開口率の低下を出来るだけ小さくすると良い。
実施例2では光シールド11Bを走査線材料で形成しているが、信号線材料で形成することも可能であり、それを実施例3で説明する。
実施例3では図3に示したように溝80Aが形成される領域に溝80Aよりもわずかにパターン幅の広い光シールド12Bをソース・ドレイン配線12,21の形成時に同時に形成する。そして実施例1と同様にパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30への開口部形成に際して、絵素電極形成領域下のこれらの絶縁層にも開口部64Aを形成し、信号線12への接続のための開口部64と同様に開口部64のパシベーション絶縁層37を除去して光シールド12Bを露出し、引き続き前記開口部64Aを含んで透明導電性の絵素電極22を形成することにより絵素電極内に22に溝80Aを有するアクティブ基板2を得る。このようにして得られたアクティブ基板2と適当な配向制御手段を有するカラーフィルタ9を貼り合わせて広視野角の液晶表示装置が得られる。
このようにソース・ドレイン配線12,21を構成する金属配線材を光シールド12Bとして形成することで製造工程の増加は発生しない。また実施例1及び実施例2と異なり溝80Aの深さはパシベーション絶縁層37のみであるので精々0.3〜0.5μmしかなく、浅い溝80Aが必要な場合に適している。
浅い溝80Aを形成するに当たり絵素電極形成領域ではパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30とが積層されておりパシベーション絶縁層37のみを選択的に除去することは不可能なので浅い溝80Aを有するアクティブ基板2には自動的に光シールド12Bも付与されることを理解されたい。
TN型の液晶表示装置において開口率を高めるために透明性の高い樹脂よりなる平坦化層39がアクティブ基板2上に付加されることは既に述べたが、垂直配向液晶を用いた液晶表示装置でも全く同様であり、透明導電性の絵素電極22を走査線11や信号線12と重なるまで目一杯拡大することは可能である。ただし5枚マスク・プロセスでは配向制御手段である溝80Aは走査線11と信号線12へのコンタクト(開口部63と開口部64)形成と同時に行われるので、溝80Aを走査線11や信号線12と重ねることは出来ない。またマスク枚数を増やして溝80Aを走査線11や信号線12と重ねても、重なった領域はパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30との積層なので溝80Aを含んで形成される絵素電極22と走査線11及び信号線12との間の静電容量が大きくクロストークの発生は避けられないので無意味である。
既に述べたように溝80Aの深さは実施例1と実施例2では0.7〜0.9μm、実施例3では0.3〜0.5μmであり、平坦化層39は通常3μm程度の膜厚が必要とされるので、深い溝80Aが必要な場合には平坦化層39が必須の構成部材となることが分かる。このように本発明では使用する垂直配向型液晶の組成・特性に合わせて溝80Aの深さを決定することが可能である。
また詳細は説明しないがチャネル上にSiNxよりなる保護絶縁層(エッチストップ層あるいはチャネル保護層)を有する絶縁ゲート型トランジスタではパシベーション絶縁層37は必須の構成部位ではないので、平坦化層39にパシベーション機能も担わせることでパシベーション絶縁層37を不要とする製造工程の削減が可能である。ただしこの場合は実施例1〜3で説明したような浅い溝80Aを形成することは困難である。
垂直配向液晶の配向制御手段はアクティブ基板2上だけでなくカラーフィルタ9上にも形成可能であり、表示性能の向上のためには液晶セルを構成する一対の基板の双方に形成することが望ましい。カラーフィルタ9上に窪みあるいは溝を形成するに当たり新たな部材の導入による形成は製造工程の増加につながるので、実施例1〜実施例3と同様な観点から従来のカラーフィルタの製造方法を見直した結果得られた発明を実施例4と実施例5で説明する。
実施例4では図4に示したように従来のカラーフィルタ9の着色層18の形成に際して、対向電極形成領域下のこれらの着色層18にも開口部50を形成してガラス基板2を露出し、引き続き前記開口部50を含んで透明導電性の対向電極14を形成することにより対向電極14に溝80Bを有するカラーフィルタ9を得る。一般的に対向電極14はマスク製膜でカラーフィルタ9上の画像表示部に選択的に形成され、フォトマスクを用いた微細加工技術の必要性は少ない。勿論開口部50はR,G,Bの色毎に形成が必要であるが、着色層18の形成に必要なフォトマスクのパターン変更だけで実現し、製造工程の増加は発生しない点が実施例4の最大の特徴である。このようにして得られたカラーフィルタ9と適当な配向制御手段を有するアクティブ基板2を貼り合わせて広視野角の液晶表示装置が得られる。
開口部50(溝80B)の幅は設計事項であるが、カラーフィルタの生産会社の殆どがコスト的な観点からプロキシミティ方式の露光機を採用しており、プロセス的には精々8μmまでしか対応できないのが現状である。勿論アクティブ基板2の製造で使用されているような高精度の露光機を用いることにより4μm程度までは実現可能である。またその断面形状は配向制御手段としてその深さとともに重要な設計事項であり、解像力が低いプロキシミティ方式の露光機では丸みを帯びた傾斜が形成されるが、現像処理でその断面形状を制御することは困難である。一方、解像力が高い投影方式の露光機では比較的直線性のある傾斜が形成され、現像処理で例えば現像液をシャワー上に吹き付けるシャワーの角度やシャワーの流速等をきめ細かく調整することにより(プロセス・チューニング)、断面形状あるいは傾斜角をある程度制御することも可能である。しかしながら着色層18内の溶剤を完全に蒸発させるための現像後の加熱処理で着色層18が流動化して何れの場合にも結果的には丸みを帯びた傾斜(蒲鉾状)となることが知られている。すなわち溝80Bの断面形状を制御するためには高い解像力を有する露光機の使用と耐熱性の高い顔料分散型感光性樹脂の開発が必要である。
溝80Bの高さはカラーフィルタ9を構成する着色層18の膜厚で決まり、通常1〜2μmの範囲で一定値が選択される。すなわち溝80Bの高さを変えて設計することは出来ない。着色層18内の分散された顔料の含有率によって着色層18としての最適の膜厚が存在し、含有率が高いほど着色層18の膜厚は薄くて良いが、同時に露光エネルギーの増大と着色層18の解像力の低下が発生する。ただし通常用いられるネガ型の顔料分散型感光性樹脂に代えてポジ型の顔料分散型感光性樹脂を使用するとハーフトーン露光技術を併用して溝80Bの膜厚を薄く形成することは可能であり、後述する色純度の低下を抑制することも可能となる。
実施例4ではこのように開口部50を覆って透明導電性の対向電極14が形成されるので、溝80B内は液晶セルとしての厚みが増加するので溝内は電界が弱くなるが溝80B内の対向電極14も表示に寄与して開口率が高く明るい表示画像が得られる点に突起との大きな違いがある。しかしながら着色層18によって着色されない白色成分が表示画像に加わるので表示画像の色純度の低下は避けられない。溝80Bの幅は光学設計上許容される範囲で細いことが望ましい。ただし輝度に関しては信号処理より通常のカラー表示と変わらない画像を表示することができる。さらに液晶分子が電圧無印加の黒表示時に溝80Bの側面では液晶分子が傾斜しているのでわずかに光が漏れてしまうことも避けられない。このわずかな光漏れを阻止して黒表示時の黒レベルを低下させてコントラストを向上させるとともに色純度の高い画像を表示するための手段を付与した発明が実施例5である。
実施例5では図5に示したように溝80Bが形成される領域に溝80Bよりもわずかにパターン幅の広い光シールド24BをBM24の形成時に同時に形成する。そして着色層18の形成に際して、対向電極形成領域下のこれらの着色層にも開口部50を形成してガラス基板2と光シールド24Bを露出し、引き続き前記開口部50を含んで透明導電性の対向電極14を形成することにより対向電極14内に溝80Bを有するカラーフィルタ9を得る。このようにして得られたカラーフィルタ9と適当な配向制御手段を有するアクティブ基板2を貼り合わせて広視野角の液晶表示装置が得られる。なおBM24には隣り合った着色層18間で不要な段差を発生しないようにCr薄膜のように膜厚が薄くても光シールド機能を発揮する金属薄膜の採用が好ましい。
このようにBM24を構成する遮光材を光シールド24Bとして形成することで製造工程の増加は発生しない。光シールド24Bのパターン幅は開口部50の寸法に露光機の合わせ精度分の3μmを光シールド24Bの両側に加えた寸法である10〜15μm程になるので、出来るだけ高解像力の露光機を用いて開口率の低下を小さくすると良い。
実施例5による配向制御部位を付与されたカラーフィルタを用いた垂直配向型の液晶表示装置と実施例4による配向制御部位を付与されたカラーフィルタを用いた垂直配向型の液晶表示装置を比較すると、溝80Bからの光漏れが皆無となって高いコントラストと高い色純度が得られ、開口率の低下を補って余りある高画質の表示装置を得ることができる。
本発明は垂直配向型の液晶表示装置の形成に当たり製造コストの増加しない配向制御手段の形成を主目的としているので、配向制御手段を実施例1〜実施例3では絵素電極に形成して、実施例4〜実施例5では対向電極に形成している。先述したように垂直配向型液晶の配向制御手段は対向電極または絵素電極の何れかもしくは双方に形成されるが、以降の参考例では双方に配向制御手段を付与した液晶表示装置について説明する。ただしカラーフィルタ9上の対向電極14へのスリット形成と異なり、絵素電極22へのスリット70形成では製造工程の増加は発生しないので、以下に配向制御手段として絵素電極22にスリット70を併用した参考例も含めて説明する。
「参考例1」
参考例1の垂直配向型の液晶表示装置の平面配置図と参考例1で用いられるアクティブ基板2の平面配置図を図6(a)と図6(b)に示し、図6(a)のD−D’線上の断面図を図7に示す。ただし絶縁ゲート型トランジスタ関連の部位と配向膜20は記載を省略している。感光性アクリル樹脂よりなる平坦化層39も同様である。また開口率を高めるために信号線12も絵素電極22の形状にならいジグザグ状に屈曲させている。参考例1ではカラーフィルタ9上の対向電極14に溝80Bを形成するとともにアクティブ基板2の絵素電極22に溝80Aを形成している。配向制御手段が共に溝であるので溝80Aと溝80Bは半ピッチずらして配置されている。なお液晶分子17Mは中間調表示状態で傾斜している状態を示している。
この構成により視野角が広いだけでなく、二つの溝による強い配向制御力を付与することができて応答速度が速くなり、さらに溝領域も表示に寄与するので明るい画像の液晶表示装置が得られる。また樹脂よりなる突起形成と異なり製造工程の増加が無く、カラーフィルタ9の製造コストが下がり液晶表示装置のコストダウンに大きく寄与する。
「参考例2」
参考例2の垂直配向型の液晶表示装置の画像表示部の断面図を図8に示す。参考例2ではカラーフィルタ9上の対向電極14に溝80Bと溝80Bよりわずかにパターン幅の広い光シールド24Bを形成するとともにアクティブ基板2の絵素電極22にも溝80Aと溝80Aよりわずかにパターン幅の広い光シールド11Bを形成している。なお光シールドに信号線材よりなる12Bを採用できることは言うまでも無い。なお液晶分子17Mは中間調表示状態で傾斜している状態を示している。
この構成により視野角が広いだけでなく、二つの溝による強い配向制御力を付与することができて応答速度が速くなり、黒表示時に黒レベルを完全な黒に近づけることができてコントラスト比の高い画像の液晶表示装置が得られる。また参考例1と同様に液晶表示装置のコストダウンが推進される。何れか一方の光シールドのみを配置した場合には若干コントラスト比は下がるが開口率が高くなり、その分明るい表示画像が得られる。ただし光シールド24Bを採用しないと色純度の低下は免れない。
「参考例3」
参考例3の垂直配向型の液晶表示装置の平面配置図と参考例3で用いられるアクティブ基板の平面配置図を図9(a)と図9(b)に示し、図9(a)のD−D’線上の断面図を図10に示す。ただし絶縁ゲート型トランジスタ関連の部位と配向膜20は記載を省略している。感光性アクリル樹脂よりなる平坦化層39も同様である。また開口率を高めるために信号線12も絵素電極22の形状にならいジグザグ状に屈曲させている。参考例3ではカラーフィルタ9上の対向電極14に溝80Bを形成するとともにアクティブ基板2の絵素電極22には従来通りスリット70を形成している。図9(b)に示したようにスリット70で分割された絵素電極間を接続するための透明導電性パターン22Aもしくは図示はしないが導電性パターンが必要であることは容易に理解されよう。透明導電性パターン22Aは蓄積容量線16上や絵素電極22の周辺部に配置するのが合理的である。配向制御手段の溝80Bとスリット70とは液晶分子17Mを傾斜させる方向が一致するよう両者は半ピッチずらして配置されている。なお液晶分子17Mは中間調表示状態で傾斜している状態を示している。
この構成により視野角が広いだけでなく、溝80Bによる強い配向制御力を付与することができて応答速度が速くなり、さらに溝80Bも表示に寄与するので明るい画像の液晶表示装置が得られる。また参考例1と同様に液晶表示装置のコストダウンが推進される。
「参考例4」
参考例4の垂直配向型の液晶表示装置の画像表示部の断面図を図11に示す。参考例4ではカラーフィルタ9上の対向電極14に溝80Bと溝80Bよりわずかにパターン幅の広い光シールド24Bを形成するとともにアクティブ基板2の絵素電極22には従来通りスリット70を形成している。なお液晶分子17Mは中間調表示状態で傾斜している状態を示している。
この構成により視野角が広いだけでなく、応答速度が速くコントラスト比の高い画像の液晶表示装置が得られる。また参考例1と同様に液晶表示装置のコストダウンが推進される。
本発明の狙いは製造工程の増加を抑制することであるが、従来の配向制御手段である突起と本発明で提案する配向制御手段である溝との組合せによる垂直配向型の液晶表示装置も可能であり、その場合の得られる効果の一部について下記に記載する。
「参考例5」
参考例5の垂直配向型の液晶表示装置の平面配置図と参考例5で用いられるアクティブ基板の平面配置図を図12(a)と図12(b)に示し、図12(a)のA−A’線上の断面図を図13に示す。ただし絶縁ゲート型トランジスタ関連の部位と配向膜20は記載を省略している。感光性アクリル樹脂よりなる平坦化層39も同様である。また開口率を高めるために信号線12も絵素電極22の形状にならいジグザグ状に屈曲させている。参考例5ではカラーフィルタ9上の対向電極14に従来通り突起60を形成するとともにアクティブ基板2の絵素電極内に22に溝80Aを形成している。配向制御手段の突起60と溝80Aとは液晶分子17Mを傾斜させる方向が逆であるので両者は等ピッチで配置されている。すなわち図12(a)に示したように突起60と溝80Aはその相対位置が一致する。なお液晶分子17Mは中間調表示状態で傾斜している状態を示している。
参考例5ではアクティブ基板2上に形成された配向制御手段が溝80Aで電圧無印加状態でも配向制御力があり液晶の応答速度が速くなる。さらに実施例1で述べたように溝80A内の絵素電極22は表示に寄与しており、しかも一対の基板2,9上に形成された配向制御手段溝80Aと突起60との相対位置が一致するので従来のスリットと比較すると開口率が高く明るい表示画像が得られる。そしてアクティブ基板2の製造工程の増加も無い。さらに光シールド11Bまたは12Bの付与により開口率は従来並に低下するもののコントラスト比が高く、色純度の優れた表示画像が得られる。
本発明の実施例1にかかるアクティブ基板の断面図
本発明の実施例2にかかるアクティブ基板の断面図
本発明の実施例3にかかるアクティブ基板の断面図
本発明の実施例4にかかるカラーフィルタの断面図
本発明の実施例5にかかるカラーフィルタの断面図
本発明の参考例1にかかる液晶表示装置とアクティブ基板の平面配置図
本発明の参考例1にかかる液晶表示装置の断面図
本発明の参考例2にかかる液晶表示装置の平面配置図
本発明の参考例3にかかる液晶表示装置とアクティブ基板の平面配置図
本発明の参考例3にかかる液晶表示装置の断面図
本発明の参考例4にかかる液晶表示装置の平面配置図
本発明の参考例5にかかる液晶表示装置とアクティブ基板の平面配置図
本発明の参考例5にかかる液晶表示装置の断面図
液晶パネルへの実装状態を示す斜視図
液晶パネルの等価回路図
TN型の液晶パネルの断面図
TN型液晶表示装置向けアクティブ基板の平面図
TN型液晶表示装置向けアクティブ基板の製造工程断面図
従来の配向制御手段:一対のスリット
従来の配向制御手段:一対の突起
従来の配向制御手段:スリットと突起の組合せ
垂直配向型液晶表示装置向けアクティブ基板の平面図
垂直配向型液晶表示装置向けアクティブ基板の製造工程断面図
符号の説明
1:液晶パネル
2:アクティブ基板(ガラス基板)
3:半導体集積回路チップ
4:TCPフィルム
5:走査線の一部または電極端子
5A:透明導電性の走査線の電極端子
6:信号線の一部または電極端子
6A:透明導電性の信号線の電極端子
9:カラーフィルタ
10:絶縁ゲート型トランジスタ
11:走査線
11A:ゲート配線、ゲート電極
11B:光シールド
12:信号線(ソース配線、ソース電極)
12B:光シールド
14:対向電極
16:蓄積容量線
17:液晶
18:着色層(顔料分散型感光性樹脂)
19:偏光板
20:配向膜
21:ドレイン電極(ドレイン配線、ドレイン電極)
22:透明導電性の絵素電極
30:ゲート絶縁層
31:不純物を含まない(第1の)非晶質シリコン層
33:不純物を含む(第2の)非晶質シリコン層
34:耐熱金属層
35:低抵抗金属層(AL層)
36:中間導電層
37:(無機)パシベーション絶縁層
39:平坦化層(アクリル樹脂層)
50:(着色層に形成された)開口部
60,60A,60B:(有機性樹脂よりなる)突起
62:(ドレイン電極上の)開口部
63:(走査線の一部上または走査線の電極端子上の)開口部
63A:(光シールド11B上の)開口部
64:(信号線の一部上または信号線の電極端子上の)開口部
64A:(光シールド12B上の)開口部
65:(対向電極上の)開口部
70,70A,70B:(表示電極の)スリット、欠損領域
80A,80B:(絵素電極内と対向電極内の)溝