JP2005281516A - 耐薬品性の改善されたポリカーボネートシートとそれからなるダミー缶 - Google Patents

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Akihide Fujita
昭秀 藤田
Suuki Kuwabara
崇喜 桑原
Sadamu Nakatsuka
定 中司
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Kanebo Ltd
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Abstract

【課題】耐薬品性、透明性、機械物性、熱成形加工適性に優れたダミー缶を得る。
【効果】分子量15000〜30000のポリカーボネート系樹脂65〜99重量%、相対粘度が1.4〜3.4のポリブチレンテレフタレート樹脂35〜1重量%からなり、ポリカーボネート系樹脂のマトリックス中にポリブチレンテレフタレート樹脂が500nm以下のサイズで微分散したシートであって、シートヘイズが10%以下になるように、溶融状態のポリマーを急冷してシートを得た後、微分散しているポリブチレンテレフタレートが特定の条件で結晶化していることを特徴とするポリカーボネートシートとそのシートから得られるダミー缶。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐薬品性、透明性、機械物性に優れるポリカーボネートシートとそれからなるダミー缶に関する。
自動販売機では、購入する商品が分かりやすい様に、商品と同じ形状の見本サンプルが購入ボタン上に陳列されている。従来は内容物が抜き取られた実際の商品が陳列されることが多かったが、ディスプレイ効果を上げるために、内部から光をあてて照らすことの出来るプラスチック製のダミー缶が用いられることが多くなってきた。単純な形状の缶であれば、商品と同じ図柄が印刷されたシートやフィルムを半円筒状になるようにホルダーに挟み込むだけで良いが、凹凸のある形状の缶や、ペットボトルの場合には、複雑な形状を再現するために、ダイレクトブローボトルや熱成形容器を用いらなければならない。
最近では、ペットボトル入りの飲料が自動販売機で販売されることが増えているが、複雑な形状を有しているために、ダイレクトブローによりボトルを作り、シュリンクフィルムで印刷柄を表示させたものが使われていた。しかしながら、ダミー缶は商品の季節的な入れ替えや新商品売り出しの場合には交換が必要であり、最近の商品ライフサイクルの短縮に伴い、高価なダイレクトブローボトルに代わり、安価に生産が可能な熱成形品が求められてきた。
自動販売機に陳列されるダミー缶は、透明なケースの中で直射日光を浴びることから、約90℃で変形しないことが要求される。又、成形品ディスプレイ効果アップのために成形品表面に光沢がある裏印刷が行われることから、素材の高透明性が必要である。更に、勘合部分等に複雑な形状を有しており、優れた熱成形加工適性も必要である。その他にも印刷時の溶剤によるソルベントクラックが発生しないことや、熱成形により高倍率に延伸されても印刷されたインクが充分な強度で密着していることが必要である。
この様に、ダミー缶に求められる要求性能は高く、様々な素材による熱成形品が検討されてきた。しかしながら、全ての要求性能を全てクリアすることの出来る、最適な熱成形用素材は見出せておらず、現状では優れた透明性を有し、耐熱温度も高いポリカーボネートシートに裏印刷をし、熱成形した成形品が用いられることが多い。
しかしながら、ポリカーボネートは耐薬品性に劣るために、印刷後にブロッキングが発生して不良が発生し易く、更にインクに含まれる溶剤によりソルベントクラックが発生し、成形品の衝撃強度が極端に低下する等の問題があり、強く改善が求められていた。
そこで、ポリカーボネートに耐薬品性の良いポリエステルをブレンドして用いることが考えられた。例えば、ポリカーボネートにポリブチレンテレフタレートをブレンドすることにより、耐薬品性は大幅に改善される(特許文献1)。しかしながら、ポリカーボネートシート製造時に、原料にポリブチレンテレフタレートを追加配合しただけでは透明性の良好なシートは得られず、又熱成形によっても透明性は大幅に低下することから、高透明性の必要とされるダミー缶用途には使用出来ない。
ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートは無配向状態の屈折率が近いために、溶融ブレンドした場合には比較的透明性の良いシートを得ることが出来ることが知られている(特許文献2)。しかしながらこの方法では、熱成形による延伸を受けた場合に、配向による屈折率の変化が生じるために、透明性が極端に低下しダミー缶には使用出来ない
。又、共重合成分の導入によりポリエステルの屈折率を、ポリカーボネートにより近づけたポリマーを使用して改善する方法も検討されている(特許文献3)。その結果、配向度の低い場合にはほぼ透明であることが知られている。しかしながら、ダミー缶の様な高延伸を受ける場合には、大幅な透明性の低下を引き起こし、殆ど効果が無いことが判明した。
ポリカーボネートとポリエステルをエステル交換させたポリマーも検討されているが、エステル交換させたポリマーは高価であるだけでなく、ポリカーボネートとポリエステルの間のガラス転移温度となるため、ダミー缶用途に用いるには耐熱性が不足する欠点を有する(特許文献4)。
特開昭48−54160号公報 特公昭36−14035号公報 特開2000−103948号公報 特開平09−216941号公報
本発明者等はこのような従来の問題点を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達したものであって、その目的とするところは、耐薬品性、透明性、機械物性に優れるポリカーボネートシートとそれからなる自動販売機用ダミー缶を得ることにある。
上述の目的は、ポリカーボネート系樹脂マトリックス中にポリブチレンテレフタレート樹脂が500nm以下のサイズでに微分散したシートであって、シートヘイズが10%以下になるように、溶融状態のポリマーを急冷してシートを得た後、微分散しているポリブチレンテレフタレートが下記(1)式の条件を満す様に結晶化していることを特徴とするポリカーボネートシートと、その積層体を印刷、熱成形することにより得られる自動販売機用ダミー缶によって達成される。

(1)式 ΔHc < 0.2ΔHm

ΔHc:ポリブチレンテレフタレートの結晶化熱量
ΔHm:ポリブチレンテレフタレートの結晶化融解熱
本発明のシート及びダミー缶は耐熱性、透明性、機械物性に優れるのみならず、印刷加工適正や熱成形性、リサイクル性、経済性にも優れており、自動販売機用に最適である。
本発明に用いられるポリカーボネートは、ビスフェノールAを主たる二価フェノール単位とするものが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲でビスフェノールA以外の二価フェノール単位を含んでいてもよい。ビスフェノールA以外の二価フェノール単位としては、例えばハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニルスルフィド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−スルホン(以下「ビスフェノールS」と略す)、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルのような化合物または(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニルプロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなハロゲン化ビスフェノール類を挙げることができる。これらの二価フェノール単位が一種類のみ使用されていても、二種類以上併用されていてもよい。また、多官能性芳香族化合物を二価フェノール及び/又はカーボネート前駆体と反応させた熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネートであってもよい。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂の分子量は、メチレンクロライド溶媒中25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量として、通常15000〜30000が好ましく、特に好ましくは18000〜26000である。粘度平均分子量が15000より小さい場合にはシートの衝撃強度が低下するため好ましくない。一方、30000を超える場合には樹脂の溶融粘度が高くなるために、押出し加工が難しくなり好ましくない。
本発明に用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂の相対粘度は、測定温度20℃重量比60/40のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒中での測定で、1.4〜3.4であることが必要である。1.4より小さいと押出し加工時の溶融粘度が低過ぎるために、ポリカーボネートマトリックス中に微分散させることが難しくなるだけでなく、結晶化し易いために、急冷による透明シートが得られる厚みが小さくなるため好ましくない。
本発明に用いるポリブチレンテレフタレートは経済性、透明性の点からポリブチレンテレフタレートホモポリマーが好ましい。しかしながら、本発明の効果を損なわない範囲であればイソフタル酸やアジピン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分や、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール等のグリコール成分を共重合することも出来る。共重合による屈折率の変化及び結晶性の低下の点から、15モル%以下が好ましい。
又、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ポリエステル系の樹脂を配合することも出来る。例えば、ホモポリエステルやシクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル、ポリエチレンナフタレート共重合ポリエステル、ネオペンチルグリコール共重合ポリエステル、イソフタル酸共重合ポリエステル等があげられる。これらのポリエステルは非結晶状態ではポリブチレンテレフタレートと分子鎖レベルで相溶しているが、結晶はそれぞれの樹脂に分かれて別々にすることから、結晶化速度のコントロールと結晶サイズの微細化を行うことも出来る。ポリエステル系の樹脂をポリブチレンテレフタレート100重量部に対して5〜35重量部程度ブレンドすることにより、シート製膜時のシートヘイズ悪化を防止出来るのみならず、ポリカーボネートマトリックスに分散した状態のポリブチレンテレフタレート系樹脂中の球晶サイズを小さくする効果が見られることから、熱成形品の透明性を改善することも出来る。しかしながら、35重量部を超えて配合した場合には熱成形品の透明性が逆に低下するため注意が必要である。
本発明品の厚みは10〜600ミクロンであることが必要である。ポリカーボネートマトリックス中のポリブチレンテレフタレートを急冷するためには、シートの厚みが上記範囲であることが必要である。好ましくは15ミクロン以上550ミクロン以下、更に好ましくは30ミクロン以上500ミクロン以下である。600ミクロンを超える場合には冷却ロールによる冷却効率が低下するために、ポリブチレンテレフタレートを急冷することが困難になり、積層体の透明性が低下する。一方、シートの厚みが10ミクロンより小さい場合には、シート自体の剛性が不足するため、シート及び熱成形品の耐熱性が不足し実用的でない。
又、本発明の効果を損なわない範囲であれば、シートの透明性を低下させない範囲内で増粘剤や架橋剤、熱安定剤、流動性改善剤、紫外線吸収剤、制電剤、防曇剤等を添加することができる。又、艶消しが必要な場合には二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄、カーボンブラック等の着色剤を含有させることもできる。
本発明品は分子量15000〜30000のポリカーボネート系樹脂65〜99重量%、固有粘度が1.4〜3.4のポリブチレンテレフタレート樹脂35〜1重量%であることが必要であり、好ましくはポリカーボネート系樹脂75〜98重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂25〜2重量%、特に好ましくはポリカーボネート系樹脂80〜97重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂20〜3重量%からなる。
又、本発明品はポリカーボネート系樹脂マトリックス中にポリブチレンテレフタレート樹脂が500nm以下のサイズで微分散することが必要である。特に好ましい微分散のサイズは、可視光波長領域以下であり400nm以下である。分散のサイズは両者の樹脂がエステル交換反応を起こしていない状態であれば小さい程良好である。ポリブチレンテレフタレートの分散サイズが500nmを超える場合には、積層体及び熱成形品の透明性が低下して好ましくない。更に、ポリカーボネート系樹脂マトリックスの中でポリブチレンテレフタレートが微分散の状態、具体的に言うとポリカーボネート系樹脂が連続相でポリブチレンテレフタレート樹脂が分散相の状態が必要である。ポリブチレンテレフタレートが連続相を形成すると、ヘイズの低下のみならず、結晶化したポリブチレンテレフタレートを熱成形するにはシート温度を高温にする必要があり、熱成形性が大幅に低下するためである。
ポリカーボネート系樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂は比較的相溶性は良好であり、特定の範囲の分子量及び固有粘度のポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートを特定の比率で配合するのみで、ポリカーボネート樹脂中にポリブチレンテレフタレート樹脂を500nm以下に微分散することが可能である。より均一に微分散させるためには、両者の溶融粘度を出来るだけ近づけることや、製膜前に予め混練しておくこと、あるいは製膜機に二軸押出し機を用いることも有効であるが、特に重要な点は、ポリブチレンテレフタレートの配合量が本発明の範囲内であることである。
ポリカーボネート系樹脂に微分散させるポリブチレンテレフタレート樹脂の量が35重量%を超えると、溶融粘度の調整や混練方法の工夫によってもポリカーボネートマトリックス中に500nm以下のサイズで均一微分散させることが難しくなるため、シート及び熱成形品の透明性が低下して好ましくない。一方、1重量%より少ない場合には、ポリブチレンテレフタレート配合によるポリカーボネートの耐薬品性改善効果が低く、シートに印刷を行う際にブロッキングやソルベントクラックの問題が発生して好ましくない。
又、本発明品においてシートヘイズが10%以下になるように、溶融状態のポリマーを急冷してシートを得ることが必要である。シートヘイズを10%以下にするには、Tダイ等から押出された溶融ポリマーを好ましくは10〜50℃、さらに好ましくは10〜30℃のロール温度で急冷することが必要である。(B)層に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は結晶化速度が速く、通常ポリカーボネートシートを生産する時に用いられるロール冷却温度では、溶融状態から直接結晶化してしまい可視光の波長を超える結晶サイズとなるため、シートヘイズが大幅に低下し好ましくない。一方、一度急冷された後に、再度結晶化した場合には可視光の波長よりも小さなポリブチレンテレフタレートの微結晶が生成されるために、シートヘイズは低下しない。
又、ポリカーボネートマトリックスに微分散しているポリブチレンテレフタレートが、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS−K−7122に準拠して測定した場合に、下
記(1)式の条件を満す様に結晶化していることが必要である。

(1)式 ΔHc < 0.2ΔHm

ΔHc:ポリブチレンテレフタレートの結晶化熱量
ΔHm:ポリブチレンテレフタレートの結晶化融解熱

ΔHcが0.2ΔHmより小さい場合には、積層体を熱成形する際に、ポリカーボネートのみが塑性変形し、結晶化状態で微分散しているポリブチレンテレフタレートは配向による屈折率の変化や分散のサイズ変化が無いために熱成形時の容器の透明性低下が無い。ΔHcが0.2ΔHm以上の場合には、ポリブチレンテレフタレートの結晶化が不充分なために、熱成形時にポリブチレンテレフタレートが延伸を受けて屈折率が大きく変化して、マトリックスのポリカーボネートとの屈折率差が大きくなることと、更にポリブチレンテレフタレートの平均分散サイズが延伸により大きくなるために熱成形品の透明性が低下して好ましくない。
ΔHcを0.2ΔHm以下にするには、共重合比率が低くかつ他のポリマーとのエステル交換反応を出来るだけ抑えることが重要である。エステル交換反応が進行して結晶化速度が低下すると、一度急冷された後に、再度結晶化した結晶のサイズが可視光の波長よりも大きくなるために積層体及び、成形品の透明性が低下する。ポリブチレンテレフタレートはガラス転移温度が室温付近にあり、かつ結晶化速度が極めて速いため、ホモポリマーを用いた場合には、急冷製膜の後に特別な加熱を行わなくてもΔHcが0.2ΔHm以上になることは無いが、共重合されたものや、熱履歴を受けて一部エステル交換反応が進んだ場合には結晶化速度が遅くなるため注意が必要である。ΔHcを小さくするために、急冷シートをポリブチレンテレフタレートの結晶化温度以上の温度になるようにヒーター加熱したりあるいはエージングを行い、結晶化を促進することも有効である。場合によっては、熱成形時の延伸直前迄の加熱時間内に結晶化をさせることも問題無い。
ダミー缶には、熱成形された後でも良好な密着強度を有するインク密着適性と、陳列作業する時の作業性をアップするためのアンチスタッキング性が必要であり、発明の効果を妨げない範囲であれば、アンチスタッキング剤や離型効果を有する添加剤の配合も問題無い。又、長期間自動販売機の内部に陳列されて紫外線を受けため、紫外線吸収剤や光安定剤の配合、あるいはその他の熱安定剤、流動性改善剤等の配合も何ら問題無い。
本発明のダミー缶の厚みは、特に限定されないが、通常は総厚みが150〜600μmのシートを熱成形することにより得ることが出来る。積層体は、例えば単軸押出機、二軸ベント式押出機の様な通常のポリエステル用エクストルーダーにより溶融押出しを行い、溶融状態の樹脂を冷却ドラムにより冷却することにより得ることが出来る。シートは、結晶化による透明性と熱接着性の低下を防ぐために、出来るだけ急冷することが好ましく、ヘイズは10%以下が必要であり、好ましくは7%以下、更に好ましくは5%以下である。
シートは、フィードブロックダイ、マルチマニホールドダイ等を有する公知の押出装置の使用が可能である。又、溶融ラミネート、ドライラミネート等公知の技術により製造することができる。
又、製膜方法としては金属ロール間で挟み冷却する方法(タッチロール法)や静電印加法、エアーナイフ法等があるが、シートを急冷することが必要なことから冷却効率の高いタッチロール法が好ましい。
又、ダミー缶は自動販売機で陳列される時、ほこりが付着し難い様に帯電防止性能が求められるため、シートを製造する時に帯電防止剤を塗布することについては特に問題ない。帯電防止剤は、公知のものを用いることが出来るが、性能と持続性の点からカチオン系のポリマー型のものを用いると有効である。
シートの製造はシートを製膜する時に発生する耳部や熱成形容器を打抜いたスケルトン部を粉砕して原料として戻すインラインリサイクルが一般的であるが、本発明に用いる積層体は優れたリサイクル特性を有しており、物性を極端に低下させない範囲であれば配合しても問題ない。
本発明品への印刷は、ダミー缶で一般的に行われている方法で問題無い。一般的には、密着性が良好で、熱成形時に印刷部分が伸びるインクが必要なことから、溶剤型のインクが用いられることが多いが、用途により、UV硬化タイプも用いることが出来る。印刷の方法についても、一般的にはシルクスクリーン印刷が用いられることが多いが、グラビアやオフセット、フレキソ印刷等の方法も用いることが出来る。印刷も一般的には、成形品の光沢が良い裏面印刷が行われるが、場合によっては表印刷も可能である。
本発明品は真空成形、圧空成形、熱盤成形、プラグアシスト成形、リバースドロー成形、エアースリップ成形等、またはこれらを組み合わせた成形方法何れの方法を用いても差し支えない。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、各特性値測定は次の方法に従って行った。
(1)ポリブチレンテレフタレート樹脂の相対粘度
重量比60/40のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒中を用い1.0g/dlの濃度、20℃の条件で測定した。
(2)ポリカーボネート樹脂の分子量
メチレンクロライド溶媒中25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量として求めた。
(3)シートのヘイズ
日本電色(株)製ヘイズメーター NDH−20Dを使用し、JIS−K−7105に準じた方法にてシートのヘイズ(曇価)を測定した。ヘイズ値が3.5%未満のものを ○
3.5%以上6%未満のものを △
6.0%以上のものを × と評価した。
(4)ポリカーボネート中のポリブチレンテレフタレートの分散サイズ測定
シートの切断面を酸化ルテニウム(RuO4)で染色し、透過型電子顕微鏡を用いて20000倍で観察した。得られた画像から、分散サイズを測定し、平均分散サイズを求めた。
(5)ΔHc、ΔHm
パーキンエルマー製の示差走差熱量計装置 (型式DSC−7)を用いJIS−K−7105に準じた方法にて測定を行った。窒素気流中、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、ΔHc、ΔHmを求めた。
(6)インク密着適性
密着性は、印刷面上にクロスカット(100ケ/cm)をいれ、該クロスカット面に対し45゜にニチバン株式会社製セロテープ(登録商標):CT−24を貼り、ハンドローラーを用いて約5kgの荷重で10回往復して圧着させ、セロテープ(登録商標)を180゜方向に強制剥離し、被覆層の剥離度合を観察し評価した。
判定基準は、剥離のないものを ◎
剥離した個数が5個未満のものを ○
剥離した個数が5以上10個未満のものを △
10個以上剥離したものを × とした。
(7)インクによる溶剤クラッキングの発生
印刷乾燥後のシートを顕微鏡により観察し、クラックの無いものを○、クラックが僅かでも観察されたものを×と評価した。
(8)熱成形時の図柄のズレ
熱成形品の図柄のズレを評価し、所定の位置よりも3mm以上のズレが生じているものを不合格とした。不合格の発生率が、
2%未満のものを○、
2%以上5%未満のものを△
5%以上発生するものを×と評価した。
(9)熱成形条件巾
熱成形によって得られた、ダミー缶を固定ホルダーにはさみ込み、勘合部分が正確に熱成形出来ているか確認を行った。勘合部分が正確に再現出来る熱成形条件巾(熱成形時のシート表面温度を赤外線温度計にて測定実施)を評価した。
適正な熱成形条件巾が10℃以上あるものを ○
10℃未満のものを △
適正条件の無いものを × として評価した。
(10)熱成形による透明性の低下
成形品の透明部分でかつ延伸倍率が2倍以上の部分を切り出しヘイズを測定した。延伸前のヘイズと比較して、10%以上ヘイズが低下したものを×
5%以上10%未満ヘイズが低下したものを△
5%未満のものを○として評価を行った。
(11)成形品の耐熱性
ダミー缶を90℃の環境で5時間放置し、ついで20℃の環境で5時間放置した。この、加熱冷却を10回繰り返し、変形の度合いを目視により評価し、変形のないものを○
僅かでも変形したものを×とした。
(12)成形品の耐衝撃性
印刷、熱成形後、ダミー缶を1個ずつ切り離す打ち抜き工程での割れ発生率で評価を行った。
割れの発生率が、0.1%未満のものを ○
0.1%以上のものを ×とした。
(13)成形品の透明性
成形品の透明部分でかつ延伸倍率が2倍以上の部分を切り出しヘイズを測定し、
ヘイズ値が10%未満のものを ○
10%以上15%未満のものを△
15%以上のものを×として評価を行った。
(14)総合評価
各評価項目の中で全て○のものを○
△が1個でもあるものを△
×が1個でもあるものを× として評価した。
設定温度280℃、二軸押出し機のベント部の真空度667Paの条件で、Tダイより溶融押出を行った。所定の巾のシートを得るためにカットしたシートの耳はコア層へリターンさせた(重量比で11〜14wt%)。溶融押出した樹脂はタッチロール法で実施例記載のロール温度で冷却し、各種構成のシートを得た。又、製膜時、積層体に帯電防止性能を付与するため、日本純薬株式会社製の帯電防止剤(商品名:ジュリマーSPO−600)を5wt%の濃度の水溶液にして、シートの非印刷面に約1ml/m均一塗布させた後、ドライヤーで乾燥させた。
得られたシートに、ダミー缶の図柄を印刷するために、帝国インキ製造株式会社製のEGインクを用いてシルクスクリーン印刷を行った。得られた印刷済み積層体は、プラグアシスト付きの真空圧空成形機により、縦約210mm×横約67mm×深さ約35mmの500mlペットボトル型のダミー缶に熱成形した。(熱成形条件:ヒーター設定温度350℃、金型温度60℃、真空度8000Pa)。
実施例1〜18、比較例1〜14
表1〜3に記載した樹脂を用いて表4〜6記載の各種構成のシートを製膜した。得られたシートに印刷、熱成形を行って行いダミー缶を作製し、各種物性評価を行った。
表4では、樹脂の組成について評価したものであるが、配合するポリブチレンテレフタレートの配合量が少ない場合、耐薬品性の改善効果が小さいことが分かる。一方、規定範囲を超えて配合した場合には、熱成形品の透明性が大幅に低下することが分かる。又、配合するポリブチレンテレフタレートが共重合等されているために結晶化速度が遅過ぎる場合にはΔHc/ΔHmが0.2を超えてしまい、透明性が熱成形により急激に低下することが分かる。更に、ポリカーボネートマトリックスに微分散されたポリブチレンテレフタレートの分散サイズにより、熱成形品の透明性が大きく変化することも分かる。
表5ではポリカーボネートマトリックス中に配合されたポリブチレンテレフタレートの結晶化の状態が異なる例を示しているが、シートの厚みが厚くなると、製膜時にロール温度を下げても急冷することが出来ず、微分散しているポリブチレンテレフタレートが溶融状態から結晶化するためにシートのヘイズが低下することが分かる。ポリブチレンテレフタレートが溶融状態から結晶化しているシートは、熱成形により更にヘイズが低下することが分かる。
表6では、製膜時の冷却の状態を種々変えたものであるが、通常のポリカーボネートの製膜条件である、高いロール冷却温度では、シートのヘイズが低下することが分かる。本発明品において、低いロール温度により急冷することが必要であることが分かる。
本発明のポリカーボネートシートは耐薬品性、透明性、機械物性、熱成形加工適性に優れており、そのシートから得られた熱成形品は自動販売機用ダミー缶に最適である。

Claims (3)

  1. 分子量15000〜30000のポリカーボネート系樹脂65〜99重量%、相対粘度が1.4〜3.4のポリブチレンテレフタレート樹脂35〜1重量%からなり、ポリカーボネート系樹脂のマトリックス中にポリブチレンテレフタレート樹脂が500nm以下のサイズで微分散したシートであって、シートヘイズが10%以下になるように、溶融状態のポリマーを急冷してシートを得た後、微分散しているポリブチレンテレフタレートが下記(1)式の条件を満す様に結晶化していることを特徴とするポリカーボネートシート
    (1)式 ΔHc < 0.2ΔHm
    ΔHc:ポリブチレンテレフタレートの結晶化熱量
    ΔHm:ポリブチレンテレフタレートの結晶化融解熱
  2. 厚みが10〜600ミクロンである請求項1記載のシート
  3. 請求項1、2のシートに、印刷と熱成形をすることにより得られるダミー缶。

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