JP2005281425A - キチン・キトサン系複合体、及びそのキチン・キトサン系複合体の製造方法、並びにそのキチン・キトサン系複合体を配合する皮膚外用剤及び化粧料 - Google Patents

キチン・キトサン系複合体、及びそのキチン・キトサン系複合体の製造方法、並びにそのキチン・キトサン系複合体を配合する皮膚外用剤及び化粧料 Download PDF

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Abstract

【課題】 キチン、キトサン、又はこれらの誘導体と無機物とを、水素結合やイオン結合等で複合化させた、キチン・キトサン系複合体と、その複合体の製造方法、並びにそのキチン・キトサン系複合体を配合する皮膚外用剤及び化粧料に関し、安定性、持続性が高く、しかも実際の生体に対する作用性を高めたキチン・キトサン系複合体及びその複合体を含有する皮膚外用剤や化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】 キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体と、無機系酸化物又は無機酸塩とからなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、キチン、キトサン、又はこれらの誘導体と無機物とを、水素結合やイオン結合等で複合化させた、キチン・キトサン系複合体と、その複合体の製造方法、並びにそのキチン・キトサン系複合体を配合する皮膚外用剤及び化粧料に関する。
周知のように、キチンは甲殻類や糸状菌から得られる物質であり、またキトサンはこのキチンを脱アセチル化した物質であり、このキチン、キトサン、又はこれらの誘導体は、皮膚修復効果、抗菌性・防黴性、人工皮膚、保湿性等の種々の効能や機能、生理活性作用を有することから、化粧品原料や機能性食品素材として実用化されており、またこれ以外の種々の技術分野でも開発、研究がなされている。しかし、これらのキチン、キトサン、又はこれらの誘導体は、生体に対する作用性や親和性の点で十分ではない。
すなわち、抗菌性や生体修復作用等の生理効果は、キチンやキトサン、又はこれらの誘導体の主に荷電アミノ基に由来するが、生体中に存在する蛋白質によるポリイオンコンプレックス形成により、活性が低下し、或いは生体中に存在するグルコース等の単糖類のメイラード反応による変性が起こる場合があり、安定性、持続性や実際の生体に対する作用性の点で問題が生じていた。
そこで、このような問題点に鑑み、生体中の蛋白質等とのポリイオンコンプレックスを形成させないよう、別の物質をキチン、キトサン、又はこれらの誘導体にコンプレックスを形成させて複合化させるような研究がなされている。たとえばケイ素は生体中の成長に関連した部位に多く見られ、生体と適合性が高く、下記非特許文献1に示すように、生体適合性複合体への応用研究も検討されている。
機能材料 1984 年 9月号
このようなケイ素との複合化の観点から、多量体シリコンアルコキシドをケイ素原料としてキトサンと反応させることにより複合体を製造する下記特許文献1のような出願もされているが、効能・機能、生理活性作用に重要なアミノ基と強い反応が起こり、生理活性効果等が減少するという問題がある。
特公平7-64953 号公報
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、安定性、持続性が高く、しかも実際の生体に対する作用性を高めたキチン・キトサン系複合体及びその複合体を含有する皮膚外用剤や化粧料を提供することを課題とする。
本発明者等は、このような課題を解決すべく鋭意研究したところ、キチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体と、無機酸化物又は無機酸塩とを複合化させることにより、キチン、キトサン又はこれらの誘導体の安定性、持続性が高まり、上記問題点が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1記載の発明は、キチン・キトサン系複合体に係る発明であり、キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体と、無機系酸化物又は無機酸塩とからなることを特徴とする。また請求項2記載の発明は、請求項1記載のキチン・キトサン系複合体において、無機系酸化物又は無機酸塩が、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化銀、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムの一種又は二種以上であることを特徴とする。
さらに請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のキチン・キトサン系複合体において、無機系酸化物又は無機酸塩が、平均粒子径0.5 μm以下の微粒子状であることを特徴とする。さらに請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のキチン・キトサン系複合体において、キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体が、アミノ基含有率20〜100 %を示すことを特徴とする。
さらに請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のキチン・キトサン系複合体において、キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体の平均分子量が1000〜5000000 であることを特徴とする。さらに請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載のキチン・キトサン系複合体において、キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体が、疎水基を導入した両親媒性を示すことを特徴とする。
さらに請求項7記載の発明は、キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体と、無機物の酸化ゾルとからなることを特徴とする。さらにキチン・キトサン系複合体の製造方法に係る請求項8記載の発明は、キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体と、無機物の酸化ゾルとを、親水性溶媒中で混合させて製造することを特徴とする。
さらに皮膚外用剤に係る請求項9記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載のキチン・キトサン系複合体を含有することを特徴とする。さらに化粧料に係る請求項10記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載のキチン・キトサン系複合体を含有することを特徴とする。
本発明によれば、上述のように、キチン、キトサンやその誘導体を無機系酸化物又は無機酸塩と複合化させることにより、生体中に存在する蛋白質や単糖類による効能低下を抑制させることができ、それによって、熱安定性、メイラ−ド反応抑制効果が得られる等、安定性・持続性や実際の生体に対する作用性を高めたキチン・キトサン系複合体、及び皮膚外用剤、化粧料を提供することが可能となった。
本発明の複合体に含まれる無機系酸化物としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化銀、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等が用いられ、無機酸塩としてはたとえば硫酸亜鉛等が用いられる。複合化させる無機系酸化物は、たとえばコロイダルシリカ、コロイダル酸化亜鉛、コロイダル酸化セリウム等の微粒子酸化ゾルを用いるのが望ましい。酸化ゾル中の平均粒子径は 1〜500nm であることが望ましい。
本発明の複合体に含まれるキチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体としては、上記無機系酸化物や無機酸塩と水素結合やイオン結合等で複合化させる観点から、上述のように平均分子量1000〜5000000 のものを用いるのが好ましい。この場合の平均分子量は、たとえばデータモジュールGPC用カートリッジを連結させたGPC−HPLC〔ゲル濾過クロマトグラフィーカラム:東ソー(株)製TSK−gel−G3000WXL+TSK−gel−G2500PWXL、溶媒:0.4 M酢酸−酢酸Na緩衝液(pH=4.8)〕分析により分子量分布を明らかにすることによって測定される。分子量スタンダードとしては、キトサンオリゴ糖(分子量:413,1006)、デキストラン硫酸塩(分子量:5000 、8000) 及びプルラン分子量スタンダードが用いられる。また、粘度測定法等からも平均分子量を求めることが可能である。
またキチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体としては、アミノ基含有率20〜100 %を示すものを用いるのが好ましい。キトサンは、天然多糖であるキチンの高脱アセチル化物であり、脱アセチル化度50〜100 %を示す脱アセチル化キチンを元に誘導体を合成するのが好ましい。
キチン若しくはキトサンの誘導体としては、たとえばキトサングリコール酸塩、キトサングルタミン酸塩、キトサン乳酸塩、キトサンアスコルビン酸塩、カルボキシメチルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシブチルキトサン、ヒドロキシプロピルキトサン等のヒドロキシアルキルキトサン、サクシニル化キトサン、リン酸化キチン、リン酸化キトサン、部分加水分解キチン、硫酸化キチン、硫酸化キトサン、N−ジカルボキシメチルキトサン、グリコールキトサン、サクシニル化カルボキシメチルキトサン、四級塩化キトサン等を使用することができる。
又、炭素数4〜20のアシル基等の脂肪酸基を0.1 〜50.0%部分導入したようなものも用いられる。アミノ基や水酸基に炭素数4〜20の脂肪酸基を0.1 〜50.0%部分導入した物質は無機系酸化物や無機酸塩との複合化作用がさらに高まるため好ましい。この観点からは、炭素数8〜20の脂肪酸基を部分導入したものがより好ましい。具体的には部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩(製品名PM−キトサン:ピアス株式会社)や部分アセチルミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩、部分ミリストイル化キチン乳酸塩、部分ミリストイル化四級化キトサングリコ−ル酸塩等の部分アシル化キトサン塩、部分ミリストイル化キチン等の塩、部分アシル化キチン、部分ラウロイル化四級塩化キトサン等の部分アシル化四級塩化キトサン、部分ラウロイル化カルボキシメチルキトサン等の部分アシル化カルボキシメチルキトサン等を使用することができる。
ここで、「部分導入」とは構成単糖1残基当たりにアシル基等の脂肪酸基がどの程度導入されているかを示すもので、「脂肪酸基を0.1 〜50.0%部分導入した」とは、たとえばキトサンの場合であれば、構成単糖であるヘキソサミン1000残基に、脂肪酸基が1 〜500 個導入されていることを意味する。このように炭素数4〜20のアシル基等の脂肪酸基が部分導入されたキチン、キトサンの誘導体は、両親媒性を示すものである。
無機系酸化物又は無機酸塩と、キチン、キトサン又はこれらの誘導体の共存比は、特に限定されないが、キチン、キトサン又はこれらの誘導体100 容量部に対して、無機系酸化物又は無機酸塩の容量比が1〜50容量部であることが望ましい。
本発明のキチン・キトサン系複合体は、キチン・キトサン誘導体中のアミノ基やアセチル基と無機系酸化物等の水酸基が相互作用して形成される。得られたキチン・キトサン複合体やその複合体のゾルは, 安定性と機能性が高まることから、イオンコンプレックス形成性は低く、効能、機能とその持続性を向上させながらアミノ基を保護している。また本発明のキチン・キトサン複合体ゾルは親水溶媒で安定性が高く、凍結や温度変化による凝集や分離は起こりにくい。
本発明の複合体を含有する皮膚外用剤や化粧料は、保湿柔軟性、抗菌性、皮膚修復効果、抗老化、抗シワ等の機能効果を効果的に発現することができる。また、皮膚外用剤の形態に応じ、上記必須成分以外に化粧料や外用剤で一般的に用いられる成分を本発明の効果を阻害しない範囲で配合できる。たとえばブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、セタノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、流動パラフィン、スクワラン等の非極性油剤類、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル系油剤類、小麦胚芽油やオリーブ油等の植物油類、トリメチルシロキシケイ酸、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコン化合物類、パーフルオロポリエーテル等のフッ素化合物類が挙げられる。また、保湿柔軟化剤、抗酸化剤、収斂剤、美白剤、抗菌剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、ビタミン類、酵素等の医薬部外品原料規格、化粧品種別配合成分規格、化粧品原料基準、日本薬局方、食品添加物公定書規格等の成分等が挙げられる。
本発明の複合体を含有する皮膚外用剤や化粧料の剤型は問わず、ローション、乳液、パック、乳化ローション及びクリーム等の製剤形態で提供することができる。たとえばクリーム状のスキンケア剤、乳液状の化粧下地、乳化型マスカラやファンデーション等の製剤として提供することができる。
本発明における皮膚外用剤又は化粧料に対する組成物の配合量は、特に限定されるものではないが、外用剤等の全量中、乾燥固形物重量で0.0005〜5質量%が好ましい。0.0005質量%未満では本発明の効果が充分に得られない可能性があり、一方、5質量%を越えても、その増量に見合った効果の向上は認められないからである。この観点からは、0.001 〜3質量%がより好ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
2%部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩(平均分子量:約60万、60%エタノール含有)水溶液100gに30%コロイダルシリカ溶液(30%、イソプロパノール分散)3.3gを添加させ、有機合成器(東京理化器械製、PPV-3000)中で40℃、15時間、100rpmの攪拌反応により、分散質がナノサイズの半透明分散液を得た。この反応液を遠心処理(10000rpm 、20min)させることにより、複合化ゾル(平均粒子径:約250nm)を得た。得られた複合化ゾルをエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥することにより白色粉末を得た。図1に示すようなFT−IR分析(反射型)より、アミドI(1660cm-1) 、アミドII(1580cm-1) の吸収ピークを示したが、部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩に比べてピ−ク強度が顕著に低下した。さらにアミド基に起因する吸収ピーク(1573cm-1) が高波数側に約7cm-1シフトしていることから、荷電アミノ基とシリカの相互作用による複合化が確認された。
(実施例2)
2%キトサン乳酸塩 (平均分子量:約8万、60%エタノール含有)水溶液100gに30%コロイダルシリカ溶液(30%、イソプロパノール分散)2.0gを添加させ, 有機合成器(東京理化器械製, PPV-3000)中で40℃、12時間、100rpmの攪拌反応により分散質がナノサイズの半透明分散液を得た。この反応液を遠心処理(10000rpm 、20min )させることにより、複合化ゾル(平均粒子径:約100nm)を得た。得られた複合化ゾルをエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥することにより白色粉末を得た。FT−IR分析(反射型)分析より、アミドI(1660cm-1)、アミドII(1583cm-1)の吸収ピークを示したが、キトサン乳酸塩に比べてピ−ク強度が顕著に低下した。さらにアミド基に起因する吸収ピーク(1573cm-1) が高波数側に約10cm-1シフトしていることから、荷電アミノ基とシリカの相互作用による複合化が確認された。
(実施例3)
2%カルボキシメチルキトサン (平均分子量:約15万、50%エタノール含有)水溶液100gに30%コロイダル酸化亜鉛溶液(30%、イソプロパノール分散)3.3 gを添加させ、有機合成器(東京理化器械製, PPV-3000)中で40℃、10時間、100rpmの攪拌反応により分散質がナノサイズの半透明分散液を得た。この反応液を遠心処理(10000rpm、20min)させることにより、複合化ゾル(平均粒子径:約200nm)を得た。得られた複合化ゾルをエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥することにより白色粉末を得た。FT−IR分析(反射型)分析より、アミドI(1660cm-1)、アミドII(1580cm-1)の吸収ピークを示したが、カルボキシメチルキトサンに比べてピ−ク強度が顕著に低下した。さらにアミド基に起因する吸収ピーク(1572cm-1)が高波数側に約8cm-1シフトしていることから、荷電アミノ基と酸化亜鉛の相互作用による複合化が確認された。
(実施例4)
実施例1と実施例2の複合化ゾルを45℃、25℃の条件下で2ヶ月、凍結解凍2回処理での経時変化を外観及び粒度分布から求めた。その結果、本発明の複合化ゾルの安定性は高く外観及び粒度分布の変化は認められなかった。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で、キトサン誘導体に代えてヒアルロン酸、コラーゲンを反応させたものは、すべての系で凝集・分離が認められ安定な複合化ゾルは形成されなかった。
(実施例5)
本実施例では、メイラード反応の抑制作用について検討した。メイラード反応とはアミノ基とグルコースのような還元糖のアルデヒド化して褐色化する非酵素的反応である。実施例3記載の複合体の1%水溶液100ml に500mg のグルコースを添加して80℃、2時間処理による褐色化を420nm の吸光度変化を指標にして求めた。その結果、複合化していない場合は吸光度が0.05から0.45に上昇し、顕著な褐色変化が見られるのに対して、実施例3記載の複合体溶液は褐色変化がほとんど認められない。アミノ基が複合化により保護されることから、キトサン誘導体の機能性を低下させるメイラード反応が抑制されるためと考えられる。
(実施例6)
抗菌性評価について検討した。抗菌性効果は実施例1、3の複合化ゾルを生理食塩水で希釈(10倍)し、抗菌剤に対して抵抗性の高いMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を接種させ生菌数の経時的変化から求めた。複合化していない場合は、90分後で死滅したのに対して、複合化ゾルは60分で死滅したことからMRSAに対する抗菌性が向上した。又、複合化していない場合は生体タンパク質(BSA、皮膚由来ケラチン)の共存による抗菌性低下が認められたのに対して、複合化ゾルは抗菌性低下が見られなかった。
(実施例7)
活性酸素の中でも細胞障害性やDNA損傷作用の強いヒドロキシラジカル消去作用について検討した。反応組成は40mM リン酸緩衝液(pH7.2)、0.26mM アスコルビン酸、0.15mM Fe EDTA 、0.6 mM 過酸化水素、2mM サリチル酸と実施例1、2のハイブリッドゾルを精製水で希釈(50倍) した液を含有させ、全量を400ml とし、アスコルビン酸−過酸化水素系によりヒドロキシラジカルを発生させた。25℃で90分間保温後、水酸化されたサリチル酸を誘導体化させ、510nm の吸光度からラジカルの検出を行った。コントロールはサンプルの代わりに精製水を添加し、ブランクはアスコルビン酸、 Fe EDTA、過酸化水素を除いた溶液を利用した。その結果、実施例2、3の複合化ゾルのヒドロキシラジカル消去率はそれぞれ31%、39%を示し、優れた消去効果を有していた。
(実施例8)
ローション1 (重量%)
(1) エタノール 5.0
(2) ブチレングリコール 3.0
(3) グリセリン 3.0
(4) メチルパラベン 0.2
(5) 実施例1の複合体 0.2
(6) 精製水 残量
(実施例9)
ローション2 (重量%)
(1) エタノール 5.0
(2) ブチレングリコール 3.0
(3) グリセリン 3.0
(4) メチルパラベン 0.2
(5) 実施例3の複合体 0.2
(6) 精製水 残量
(比較例1)
ローション3 (重量%)
(1) エタノール 5.0
(2) ブチレングリコール 3.0
(3) グリセリン 3.0
(4) メチルパラベン 0.2
(5) キトサン乳酸塩(平均分子量:約10万) 0.2
(6) 精製水 残量
(比較例2)
ローション4 (重量%)
(1) エタノール 5.0
(2) ブチレングリコール 3.0
(3) グリセリン 3.0
(4) メチルパラベン 0.2
(5) ヒアルロン酸(平均分子量:約50万) 0.2
(6) 精製水 残量
(比較例3)
ローション5 (重量%)
(1) エタノール 5.0
(2) ブチレングリコール 3.0
(3) グリセリン 3.0
(4) メチルパラベン 0.2
(5) 精製水 残量
(試験例1)
皮膚の粘弾性改善及びシワ改善作用についての試験を行った。男女12人(平均年齢:38.5才)の前腕外側部にローションをサーキット方式で6週間塗布(2回/日)した。測定の際は、水洗後 22 ℃湿度50%の環境下に20分順応させてから測定した。皮膚粘弾性はキュートメーター(C・K社)、角層水分量はSKIKON-200EX(アイ・ビイ・エス社製)を利用して求めた。さらに評価部位のレプリカを採取後、ハロゲンランプ照射で生じる影をCCD カメラ(キーエンス社製)に取り込み、画像解析により、シワの平均深さを求めた。結果を表1に示す。
Figure 2005281425
表1において、皮膚粘弾性の項目の◎は向上率が20%以上であることを示し、○は向上率が10〜20%であることを示し、△は向上率が5〜10%であることを示し、×は向上作用が認められなかったことを示す。また、角層水分量の項目の◎は向上率が40%以上であることを示し、○は向上率が20〜40%であることを示し、△は向上率が10〜20%であることを示し、×は向上作用が認められなかったことを示す。さらに、シワ改善の項目の◎はシワの平均深さが30%以上浅くなることを示し、○はシワの平均深さが20〜30%浅くなることを示し、△はシワの平均深さが10〜20%浅くなることを示し、×は改善作用が認められなかったことを示す。
表1から明らかなように、実施例8、9では、比較例1〜3に比べて皮膚粘弾性、皮膚水分量、シワ改善作用が優れていることが判った。
次に処方例を示す。
〔処方例1〕 スキンケアクリーム (重量%)
(1) セタノール 5.0
(2) ミリスチン酸プロピル 3.0
(3) スクワラン 10.0
(4) POEモノステアリン酸ソルビタン 3.5
(5) 実施例2の複合体 0.5
(6) グリセリン 5.0
(7) プロピレングリコール 3.0
(8) メチルパラベン 0.1
(9) 精製水 残量
加熱処理した(5) 〜(9) の水相組成にハ゜ート(1)〜(4) を加熱溶解させたものを添加しホモミキサー処理(7000rpm, 1min)による乳化によりO/W型クリームを調製した。
〔処方例2〕 乳化ローション (重量%)
(1) 流動パラフィン 1.0
(2) ミリスチン酸プロピル 1.0
(3) POE モノラウリル酸ソルビタン 3.0
(4) 実施例3記載のハイブリッドゾル 10.0
(5) ブチレングリコール 10.0
(6) 甘草フラボノイド 0.2
(7) ローズマリー抽出物 2.0
(8) フェノキシエタノール 0.1
(9) 精製水 残量
加熱処理した(4) 〜(9) の水相組成にハ゜ート(1)〜(4) を加熱溶解させたものを添加しホモミキサー処理による乳化し乳化ローションを調製した。
本発明のキチン・キトサン系複合体は、活性酸素抑制用、特にシワ、シミ等の皮膚老化や、肌荒れ、炎症性ニキビ等の皮膚細胞損傷への影響性が高いヒドロキシラジカルを抑制する皮膚膚外用剤、化粧料に広く適用することができる。
荷電アミノ基とシリカの複合化状態を確認するためのIR分析チャート。

Claims (10)

  1. キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体と、無機系酸化物又は無機酸塩とからなることを特徴とするキチン・キトサン系複合体。
  2. 無機系酸化物又は無機酸塩が、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化銀、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムの一種又は二種以上である請求項1記載のキチン・キトサン系複合体。
  3. 無機系酸化物又は無機酸塩が、平均粒子径0.5 μm以下の微粒子状である請求項1又は2記載のキチン・キトサン系複合体。
  4. キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体が、アミノ基含有率20〜100 %を示す請求項1乃至3のいずれかに記載のキチン・キトサン系複合体。
  5. キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体の平均分子量が1000〜5000000 である請求項1乃至4のいずれかに記載のキチン・キトサン系複合体。
  6. キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体が、疎水基を導入した両親媒性を示す請求項1乃至5のいずれかに記載のキチン・キトサン系複合体。
  7. キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体と、無機物の酸化ゾルとからなることを特徴とするキチン・キトサン系複合体。
  8. キチン若しくはキトサン、又はキチン若しくはキトサンの誘導体と、無機物の酸化ゾルとを、親水性溶媒中で混合させて製造することを特徴とするキチン・キトサン系複合体の製造方法。
  9. 請求項1乃至7のいずれかに記載のキチン・キトサン系複合体を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
  10. 請求項1乃至7のいずれかに記載のキチン・キトサン系複合体を含有することを特徴とする化粧料。
JP2004095583A 2004-03-29 2004-03-29 キトサン系複合体、及びそのキトサン系複合体の製造方法、並びにそのキトサン系複合体を配合する皮膚外用剤及び化粧料 Expired - Fee Related JP4559764B2 (ja)

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