JP2005281137A - アンジオテンシンi変換酵素阻害剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】日常的に大量にある天然物原料から容易に製造ができ、安全性が高く、高血圧症の予防・治療薬、及び機能性食品に利用できるACE阻害剤を提供する。
【解決手段】「Tyr−Tyr−Arg−Ala」の構成でなるペプチド、その薬理上許容される塩、あるいはそれらの混合物から選ばれる一種以上を有効成分として含んでおり、このペプチドは、動物、特に鶏の骨抽出物より単離されるものが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】「Tyr−Tyr−Arg−Ala」の構成でなるペプチド、その薬理上許容される塩、あるいはそれらの混合物から選ばれる一種以上を有効成分として含んでおり、このペプチドは、動物、特に鶏の骨抽出物より単離されるものが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、血圧上昇に関与しているアンジオテンシンI変換酵素(以降、「ACE」と略す。)の阻害剤、特に特定のペプチドからなるACE阻害剤に関するものである。
現代の日本においては、高齢社会となって糖尿病や高血圧症等に代表される生活習慣病にかかる人の数が急激に増加している。生活習慣病に対する特効薬はいまだ開発途上であり、症状を進行させない或いは現状を維持するために莫大な費用が費やされている。その中にあって、食品中の栄養成分の中にはこれら生活習慣病を予防することができるような生理活性機能があることが明らかになりつつあり活発に研究がなされている。タンパク質はその良い例であり、栄養源としての第1次機能、味覚に訴える第2次機能に加え、近年ではタンパク質のもつ様々な生体調節機能を健康維持に役立てようとする第3次機能として注目されている。
タンパク質がもつ生理活性機能のひとつに血圧調節系に関与するACE阻害ペプチドがある。ACEは2価の亜鉛イオンをもつ金属プロテアーゼであり、レニンにより生じたアンギオテンシンIのC末端側2残基のHis‐Leuを遊離し、動脈収縮・昇圧物質であるアンギオテンシンIIを生成する〔例えば、非特許文献1参照〕。また、ACEは動脈弛緩・降圧物質であるブラジキニンの分解を触媒し、よってACE阻害物質の作用は降圧効果を示す。このため、各種食品タンパク質の酵素による加水分解物、あるいは食品成分のACE阻害活性について多くの研究が行われ、近年、各種の食品からACE阻害ペプチドが単離された。例えば、豚骨格筋(大腿二頭筋)より抽出したミオシン由来のペプチド〔非特許文献2参照〕、トウモロコシタンパク質の一種であるα−カゼインに由来するペプチド〔特許文献1参照〕、緑色植物の葉緑素に含有されるルビスコを加水分解して得られるペプチド〔特許文献2参照〕魚肉からのペプチド〔特許文献3参照〕マガキ生殖巣に由来するペプチド〔特許文献4参照〕など天然物由来の各種ペプチドがあり、その他ACE阻害活性がある特定のアミノ酸配列のペプチドについての報告〔例えば、特許文献5〜7など参照〕もある。
大石幸子他4名著、「キニンとアンギオテンシン生体調節の分子機構」(講談社サイエンティフィク)、21頁、講談社、1994年
ナカヤマ(Y.Nakayama)他5名著、ジャーナル・オブ・フード・サイエンス(Journal of Food Science)、67巻、1号、434‐437頁、2002年
特開平6−87886号公報
特開2003−300996号公報
特開2003−113199号公報
特開2003−81997号公報
特開2002−138097号公報
特開2002−145899号公報
特開平7−215889号公報
本発明の目的は、日常的に大量にある天然物原料から容易に製造ができ、安全性が高く、高血圧症の予防・治療薬、及び機能性食品に利用できるACE阻害剤を提供することにある。
上記目的を達成すべく、本発明請求項1はACE阻害剤に係り、Tyr−Tyr−Arg−Alaの構成でなるペプチド、その薬理上許容される塩、あるいはそれらの混合物から選ばれる一種以上を有効成分として含むものである。
さらに、請求項2は動物骨抽出物より単離されるペプチドを有効成分として含むACE阻害剤であり、請求項3は鶏の骨抽出物より単離されるペプチドを有効成分として含むACE阻害剤である。
本発明のACE阻害剤は、血圧の上昇を抑え、高血圧の予防・治療薬、及び機能性食品に使用できる。
本発明のACE阻害剤は、Tyr−Tyr−Arg−Alaの構成でなるペプチド、その薬理上許容される塩、あるいはそれらの混合物を有効成分としている。ここで、Tyrはチロシン、Argはアルギニン、Alaはアラニンである。
本発明における特定のペプチドは、アミノ酸からの合成によって得ることができる。すなわち、有機化学的に液相法あるいは固相法によりアミノ酸を段階的に導入して目的のペプチドとする方法、加水分解酵素の逆反応を利用してペプチドを合成していく方法など既によく知られており、本発明はいずれの方法に依って製造されたものも包含している〔例えば、非特許文献3(泉谷信夫他著、「ペプチド合成の基礎と実験」、丸善(株)、1985年)参照〕。
また、本発明のペプチドは、動物の骨から抽出し、分離しても得ることができる。ここで、動物は、好ましくは鶏、アヒル、鴨、ウズラ、ガチョウ、七面鳥、ホロホロ鳥などの鳥類である。以下、鶏の骨よりの抽出を例にして本発明の実施の形態を説明する。鶏以外の動物の骨からの抽出も同様にして実施できる。
先ず、鶏骨の抽出工程であり、鶏ガラよりエキスを熱水抽出する。抽出条件は特に限定するものではないが、代表的には、オートクレーブなど加圧の出来る容器中で、鶏骨に対し3〜5倍(重量)の水(蒸留水あるいはイオン交換水が好ましい)を加え、100〜150℃で30〜90分間加熱し、次いで水(蒸留水あるいはイオン交換水が好ましい)中で煮沸させエキスを熱水抽出する。冷却後にろ過して油脂分、不溶解分を除き、さらに遠心分離して微細に分散している油脂分をろ過で除去する。その液体部分が抽出液となる。
次いで、この抽出液にプロテアーゼを加えて酵素分解を行う。プロテアーゼは、パパイン、フィチン、ペプシン、トリプシン、α−キモトリプシン、サーモリシン、プロナーゼ、ブロメライン、パンクレアチンなどであり、任意に一種以上が選ばれる。これらプロテアーゼは、市販されている製品を用いることができる。
プロテアーゼを用いての酵素分解を行う条件は、プロテアーゼの種類やその力価に依り異なるが、代表的には、プロテアーゼを3〜10mg/mL(抽出液)加え、pHを調整して20〜50℃、好ましくは30〜40℃で、20〜30時間である。至適pH範囲は、用いるプロテアーゼにより異なり、例えばパパインではpH3〜12、フィチン、トリプシン、α−キモトリプシン、サーモリシン、プロナーゼ、ブロメライン、パンクレアチンなどでは、pH4〜10であり、ペプシンではpH2〜4である。pHを調整するときのアルカリまたは酸は、好適には食品に許容されるものが選ばれ、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸などである。
酵素分解が終わった後、分解混合液の温度を80〜100℃に上げてプロテアーゼを失活させ、必要により遠心分離してから不溶解物をろ過して除く。本発明のACE阻害活性作用を示す成分は、この分解混合物に含まれており、このまま経口で服用すればその効果は期待できる。しかし、薬、機能性食品、健康食品として使用するには、活性成分であるTyr−Tyr−Arg−Alaのペプチドを濃縮するのが好ましい。分解混合物には、本発明の目的物であるTyr−Tyr−Arg−Alaのペプチド成分以外の多くの化合物が含まれているが、いずれもヒトには無毒であり、また本発明の意図する血圧降下作用には支障がないのでそのまま用いることができる。本発明のペプチドを濃縮して分離するには、例えば、液体クロマトグラフィーなどにより分取し、さらに一定分子量範囲を分画して、濃縮、凍結乾燥することである。
本発明のペプチドは、必要により水中で薬理上許容される酸と反応させ、濃縮、凍結乾燥して塩にして分離することもできる。ここで、薬理上許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グルタミン酸塩などである。
本発明のペプチドあるいはその酸付加塩は、本ACE阻害剤として経口的あるいは非経口的(静脈注射、直腸投与等)投与方法に適した形態に製剤することができる。製剤化する際には、緩衝剤、pH調節剤(リン酸水素ナトリウム、クエン酸等)、等張化剤(塩化ナトリウム、グルコース等)、保存剤(パラオキシ安息香酸メチル、P−ヒドロキシ安息香酸プロピル等)、結合剤(シロップ、ゼラチン、ソルビット、ヒドロキシプロピルセルロース等)、賦形剤(ラクトース、シュガー、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビット、グリシン等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(ポテトスターチ、カルボキシメチルセルロース等)、湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)等の製薬補助剤を加えることがあるが、本発明の効果を損なわない限りにおいてこれら製薬補助剤の使用は制約されるものではない。本発明のACE阻害剤をヒトに対して投与する場合、有効成分としてTyr−Tyr−Arg−Alaのペプチドを2〜10mg/kg/day程度である。
また、本発明のペプチドは多量に摂取しても生体に悪影響を与えない利点を有することから、そのまま、または種々の栄養分等を加えて、もしくは飲食品中に含有せしめて血圧降下作用、高血圧予防の機能をもたせた機能性食品、健康食品として食してもよい。すなわち、例えば各種ビタミン類、ミネラル類等の栄養分を加えて、例えば栄養ドリンク、豆乳、スープ等の液状の食品や各種形状の固形食品、さらには粉末状としてそのままあるいは各種食品へ添加して用いることもできる。かかる機能性食品、健康食品としての本ACE阻害剤ひいては血圧降下剤中の有効成分の含有量、摂取量はそれぞれ上記製薬における含有量、投与量を基準にして適宜決められる。
次に本発明を実施例により説明する。以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
(1)骨抽出液の調製
鶏ガラ(4羽分、約1kg)を水洗し、3〜4cm角に裁断し、水とともにオートクレーブに入れ、121℃で30分間加熱した。冷却後、オートクレーブから取り出し周囲の水を拭き取り、その骨1,000gを蒸留水4,000gとともに鍋で、始めは中火で、沸騰後はできるだけ弱火で加熱し、蒸発分の水を補給しつつ4時間加熱抽出した。ペーパータオルでろ過して骨および水中の不溶解分を除去した後、液部分を冷却して脂肪層を除き、さらに遠心分離(10,000×g、30℃、60分間)してからろ紙(ADVANTEC TOYO No.5A)でろ過し、凍結乾燥した。乾燥固形分10mgをリン酸緩衝液(PBS;Phosphate Buffered Saline、pH7.5)1mlに溶解し試料として用いた。尚、リン酸緩衝液は、超純水にリン酸二水素カリウム(ナカライテスク株式会社製、特級)1.47mM、リン酸水素二ナトリウム・12水和物(ナカライテスク株式会社製、特級)8.1mM、塩化ナトリウム(和光純薬株式会社製、特級)137mM、塩化カリウム(ナカライテスク株式会社製、特級)2.68mMを溶解して調製した。
鶏ガラ(4羽分、約1kg)を水洗し、3〜4cm角に裁断し、水とともにオートクレーブに入れ、121℃で30分間加熱した。冷却後、オートクレーブから取り出し周囲の水を拭き取り、その骨1,000gを蒸留水4,000gとともに鍋で、始めは中火で、沸騰後はできるだけ弱火で加熱し、蒸発分の水を補給しつつ4時間加熱抽出した。ペーパータオルでろ過して骨および水中の不溶解分を除去した後、液部分を冷却して脂肪層を除き、さらに遠心分離(10,000×g、30℃、60分間)してからろ紙(ADVANTEC TOYO No.5A)でろ過し、凍結乾燥した。乾燥固形分10mgをリン酸緩衝液(PBS;Phosphate Buffered Saline、pH7.5)1mlに溶解し試料として用いた。尚、リン酸緩衝液は、超純水にリン酸二水素カリウム(ナカライテスク株式会社製、特級)1.47mM、リン酸水素二ナトリウム・12水和物(ナカライテスク株式会社製、特級)8.1mM、塩化ナトリウム(和光純薬株式会社製、特級)137mM、塩化カリウム(ナカライテスク株式会社製、特級)2.68mMを溶解して調製した。
(2)酵素分解
上記骨抽出物のPBS溶液に、トリプシン(シグマ社製)を5mg/mlになるように0.001N塩酸に溶解した溶液を加えた。このとき、PBS溶液中のタンパク質100重量部に対し、トリプシンを1重量部の割合となるようにした。
トリプシンを添加した骨抽出物のPBS溶液は、37℃で6時間保持して反応させ、その後95℃に10分間加熱してトリプシンを失活させた。10,000×g、10分間遠心分離し、上清を回収したものをトリプシン分解物とした。
上記骨抽出物のPBS溶液に、トリプシン(シグマ社製)を5mg/mlになるように0.001N塩酸に溶解した溶液を加えた。このとき、PBS溶液中のタンパク質100重量部に対し、トリプシンを1重量部の割合となるようにした。
トリプシンを添加した骨抽出物のPBS溶液は、37℃で6時間保持して反応させ、その後95℃に10分間加熱してトリプシンを失活させた。10,000×g、10分間遠心分離し、上清を回収したものをトリプシン分解物とした。
(3)タンパク質の定量
鶏骨抽出物、トリプシン分解物および精製で得られた画分のタンパク質濃度は、紫外線吸収法で、215nmにおける吸光度から225nmにおける吸光度を差し引き、144倍したときの数値をタンパク質濃度とした。
鶏骨抽出物、トリプシン分解物および精製で得られた画分のタンパク質濃度は、紫外線吸収法で、215nmにおける吸光度から225nmにおける吸光度を差し引き、144倍したときの数値をタンパク質濃度とした。
〔結果〕
鶏骨抽出物およびトリプシン分解物のゲルろ過HPLCの結果を図1に示した。鶏骨抽出物には、保持時間10分〜12分にかけて大きなピークが見られ、高分子量のタンパク質が存在しており、20分〜30分にかけて若干のピークが見られることから、ポリペプチドも存在していることが明らかとなった。また、トリプシン分解物は、保持時間10分〜12分のピークが消失し、保持時間20分〜30分にかけてピークが多数出現している。これから、鶏骨抽出物をトリプシン分解することによってタンパク質が低分子量化していることが確認された。
鶏骨抽出物およびトリプシン分解物のゲルろ過HPLCの結果を図1に示した。鶏骨抽出物には、保持時間10分〜12分にかけて大きなピークが見られ、高分子量のタンパク質が存在しており、20分〜30分にかけて若干のピークが見られることから、ポリペプチドも存在していることが明らかとなった。また、トリプシン分解物は、保持時間10分〜12分のピークが消失し、保持時間20分〜30分にかけてピークが多数出現している。これから、鶏骨抽出物をトリプシン分解することによってタンパク質が低分子量化していることが確認された。
(5)低分子量ポリペプチドの精製
〔方法〕
トリプシン分解物における低分子量ポリペプチドを、ゲルろ過HPLC法、および逆相HPLC法を組合わせて分離精製した。それぞれの段階で使用した装置および条件を表2に示した。
〔方法〕
トリプシン分解物における低分子量ポリペプチドを、ゲルろ過HPLC法、および逆相HPLC法を組合わせて分離精製した。それぞれの段階で使用した装置および条件を表2に示した。
〔結果〕
結果を図2〜7に示した。図2は、第1回目のゲルろ過HPLCの結果であり、分子量約3,500〜500Daの範囲にペプチド群が存在した。その画分を分取し、さらに逆相HPLCにて順次分画した。
先ず、「Inertsil ODS‐2」カラムにて2回逆相HPLCを行った。図3はこの最初の逆相HPLCの結果であり、保持時間29〜32分にかけてのペプチド群を分画し、さらに図4の逆相HPLCにおける26〜27分のペプチド群を分画した。この分画部分を、さらに「COSMOSIL 5PE‐MS」カラムにて2回逆相HPLCを行い、図5の保持時間10〜11分のペプチド群、図6の保持時間16〜17分のペプチド群を順次分画した。この最終分画物を「COSMOSIL 5PE‐MS」カラムにて逆相HPLCを行うと、図7に示すようにシングルピークとなった。
結果を図2〜7に示した。図2は、第1回目のゲルろ過HPLCの結果であり、分子量約3,500〜500Daの範囲にペプチド群が存在した。その画分を分取し、さらに逆相HPLCにて順次分画した。
先ず、「Inertsil ODS‐2」カラムにて2回逆相HPLCを行った。図3はこの最初の逆相HPLCの結果であり、保持時間29〜32分にかけてのペプチド群を分画し、さらに図4の逆相HPLCにおける26〜27分のペプチド群を分画した。この分画部分を、さらに「COSMOSIL 5PE‐MS」カラムにて2回逆相HPLCを行い、図5の保持時間10〜11分のペプチド群、図6の保持時間16〜17分のペプチド群を順次分画した。この最終分画物を「COSMOSIL 5PE‐MS」カラムにて逆相HPLCを行うと、図7に示すようにシングルピークとなった。
(6)ACE阻害ペプチドのアミノ酸配列の決定
上記で精製分画した成分につき、プロテインシーケンサー〔アプライドバイオシステム(Applied Biosystems)社(米国)製、「プロサイス(Procise)492」(商品名)〕を用いてそのアミノ酸配列を解析した。その結果、最終分画物のアミノ酸配列は、「Tyr‐Tyr‐Arg‐Ala(YYRA、分子量=571.67)」であることが確認された。
上記で精製分画した成分につき、プロテインシーケンサー〔アプライドバイオシステム(Applied Biosystems)社(米国)製、「プロサイス(Procise)492」(商品名)〕を用いてそのアミノ酸配列を解析した。その結果、最終分画物のアミノ酸配列は、「Tyr‐Tyr‐Arg‐Ala(YYRA、分子量=571.67)」であることが確認された。
(7)ACE阻害ペプチドのホモロジー検索
ホモロジー検索の結果、本ペプチドは骨髄中に多く含まれるタンパク質の一種である「免疫グロブリン重鎖(Ig heavy chain V region)」の27−30位由来であると推定された(図8)。
ホモロジー検索の結果、本ペプチドは骨髄中に多く含まれるタンパク質の一種である「免疫グロブリン重鎖(Ig heavy chain V region)」の27−30位由来であると推定された(図8)。
(8)「Tyr−Tyr−Arg−Ala」のアミノ酸配列ペプチドの合成
上記した「Tyr−Tyr−Arg−Ala」のアミノ酸配列ペプチドを、構成アミノ酸(L体)から合成した。合成手順は、Fmoc(9−Fluorenylmethyloxycarbonyl)−Wang樹脂〔アメリカンペプタイド社(American Peptide Company)製品〕を基に、ペプチド合成装置〔レイニン(Rainin)社製、「Symphony」(商品名)〕にて、Fmoc法による全自動合成を実施した。得られたレンジ付きの完全保護ペプチドにチオアニソールを含む80%−トリフルオロ酢酸溶液を加え、室温で1時間反応し、粗ペプチドを得た。これを逆相クロマトグラフィー〔カラム;ODSカラム(シリカゲル担体にオクタデシルシリル基(ODS基)を化学結合した充填剤を詰めたカラム)〕にて分取精製し、目的とするペプチドを得た。
上記した「Tyr−Tyr−Arg−Ala」のアミノ酸配列ペプチドを、構成アミノ酸(L体)から合成した。合成手順は、Fmoc(9−Fluorenylmethyloxycarbonyl)−Wang樹脂〔アメリカンペプタイド社(American Peptide Company)製品〕を基に、ペプチド合成装置〔レイニン(Rainin)社製、「Symphony」(商品名)〕にて、Fmoc法による全自動合成を実施した。得られたレンジ付きの完全保護ペプチドにチオアニソールを含む80%−トリフルオロ酢酸溶液を加え、室温で1時間反応し、粗ペプチドを得た。これを逆相クロマトグラフィー〔カラム;ODSカラム(シリカゲル担体にオクタデシルシリル基(ODS基)を化学結合した充填剤を詰めたカラム)〕にて分取精製し、目的とするペプチドを得た。
(9)ACE阻害活性の測定
〔方法〕
山本らの方法〔非特許文献4(山本節子他2名著、「血清アンギオテンシン変換酵素活性測定方法の検討」、日本胸部疾患学会誌、18巻、297〜303頁、1980年)参照〕に準じて行った。
緩衝液;0.25Mホウ酸緩衝液(pH8.3)を用いた。
基質溶液;塩化ナトリウム(和光純薬工業製、特級)、0.25Mホウ酸緩衝液を、それぞれ最終濃度0.608M、0.01Mになるように超純水を用いて調製し、この溶液にHHL(Hippuryl‐L‐Histidyl‐L‐Leucine)〔ナカライテスク社製〕)を溶解して7.6mM合成基質HHLを作成した。
ACE溶液;ウサギ肺由来ACE〔和光純薬工業(株)製〕を活性が60mU/mlとなるように上記ホウ酸緩衝液(pH8.3)に溶解した。
〔方法〕
山本らの方法〔非特許文献4(山本節子他2名著、「血清アンギオテンシン変換酵素活性測定方法の検討」、日本胸部疾患学会誌、18巻、297〜303頁、1980年)参照〕に準じて行った。
緩衝液;0.25Mホウ酸緩衝液(pH8.3)を用いた。
基質溶液;塩化ナトリウム(和光純薬工業製、特級)、0.25Mホウ酸緩衝液を、それぞれ最終濃度0.608M、0.01Mになるように超純水を用いて調製し、この溶液にHHL(Hippuryl‐L‐Histidyl‐L‐Leucine)〔ナカライテスク社製〕)を溶解して7.6mM合成基質HHLを作成した。
ACE溶液;ウサギ肺由来ACE〔和光純薬工業(株)製〕を活性が60mU/mlとなるように上記ホウ酸緩衝液(pH8.3)に溶解した。
〔ACE阻害率〕
試料0.006mlに、60mU/mlACE溶液0.02mlおよび基質溶液0.05mlを入れ、37℃で30分間反応させた。0.1N塩酸0.554mlを加えて反応を停止し、酢酸エチル1.5mlを加えてACEの作用により遊離した馬尿酸を抽出し、1,000×gで15分間遠心分離を行った後、酢酸エチル層1mlを分取して蒸発乾固(100℃、10分間)した。乾固した馬尿酸を1M塩化ナトリウム溶液1mlで溶解し、波長228nmにおける吸光度を測定した。
試料0.006mlに、60mU/mlACE溶液0.02mlおよび基質溶液0.05mlを入れ、37℃で30分間反応させた。0.1N塩酸0.554mlを加えて反応を停止し、酢酸エチル1.5mlを加えてACEの作用により遊離した馬尿酸を抽出し、1,000×gで15分間遠心分離を行った後、酢酸エチル層1mlを分取して蒸発乾固(100℃、10分間)した。乾固した馬尿酸を1M塩化ナトリウム溶液1mlで溶解し、波長228nmにおける吸光度を測定した。
阻害率は、サンプルの吸光度をS、サンプルの代わりに超純水を加えて同様に反応させた時の値をC、予め反応停止液を加えて反応させた時の値をBとして次式により求めた。
ACE阻害率(%)={(C−S)/(C−B)}×100
上式により求められる阻害率が50%を示す時の阻害物質濃度(反応液1ml当たりのmg数)を、阻害活性(IC50)とした。鶏骨抽出物のトリプシン分解物の濃度とACE阻害率の関係を図9に示す。
対照実験として、既知のACE阻害物質であるカルノシン(β‐alanyl‐L‐histidine)〔和光純薬工業(株)社製品〕のACE阻害活性を測定した。
ACE阻害率(%)={(C−S)/(C−B)}×100
上式により求められる阻害率が50%を示す時の阻害物質濃度(反応液1ml当たりのmg数)を、阻害活性(IC50)とした。鶏骨抽出物のトリプシン分解物の濃度とACE阻害率の関係を図9に示す。
対照実験として、既知のACE阻害物質であるカルノシン(β‐alanyl‐L‐histidine)〔和光純薬工業(株)社製品〕のACE阻害活性を測定した。
以上の結果、鶏骨抽出物のトリプシン分解物にはACE阻害活性があり、これから分画した最終分画物のIC50は32.7μg/ml(57.2μM)であり、この値は精製前のトリプシン分解物のIC50781μg/mlと比べ、約24倍となっていた。合成した同じアミノ酸配列のペプチドでは、IC50が33.9μg/ml(59.3μM)であり、鶏骨抽出物のトリプシン分解物からの最終分画物と同等の活性を有していることが認められた。
日常的に大量にある天然物原料から容易に製造ができ、安全性の高いACE阻害剤が提供され、人々の健康維持に寄与することができる高血圧症の予防・治療薬、機能性食品に利用できる。
Claims (3)
- Tyr−Tyr−Arg−Alaのアミノ酸配列からなるペプチド、その薬理上許容される塩、あるいはそれらの混合物から選ばれる一種以上を有効成分として含むことを特徴とするアンジオテンシンI変換酵素阻害剤。
- 前記ペプチドは、動物骨抽出物より単離されることを特徴とする請求項1記載のアンジオテンシンI変換酵素阻害剤。
- 前記動物は、鶏であることを特徴とする請求項2記載のアンジオテンシンI変換酵素阻害剤。
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---|---|---|---|---|
JP2008239521A (ja) * | 2007-03-26 | 2008-10-09 | Kaneka Corp | アンジオテンシン変換酵素阻害剤およびその製造方法 |
KR101115041B1 (ko) * | 2011-01-07 | 2012-03-06 | 경남과학기술대학교 산학협력단 | 계육 가수분해물을 포함하는 기능성 조성물 및 이의 제조방법 |
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2004
- 2004-03-26 JP JP2004092891A patent/JP2005281137A/ja active Pending
Non-Patent Citations (1)
Title |
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JPN6010020291, 鶏骨エキストリプシン分解物のACE阻害活性作用, "中出浩二ら", 日本畜産学会大会講演要旨, 20040320, Vol.103rd, p.186 * |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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