JP2005280465A - 膝保護装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】乗員の膝の運動エネルギーを的確に吸収でき、かつ、駆動機構自体を膝の運動エネルギーを吸収する吸収機構に利用できて、コンパクトに構成できる膝保護装置の提供。
【解決手段】車両の衝突時に、拘束体20を車両後方側に移動させて、着座した乗員の膝の車両前方側への移動を抑制する膝保護装置S。拘束20体の駆動機構25が、シリンダ部26と、ピストン部32と、シリンダ部26内に駆動用流体を充満させる流体発生源38と、を備える。シリンダ部26には、ピストン部32の前方移動時に、流体をシリンダ部26外に流出可能で、ピストン部32によって閉塞可能なベントホール29が、配設されている。拘束体20が、膝に干渉した後、ベントホール29から流体を流出させつつ、ピストン部32とともに、車両前方側に向かって移動可能とされ、ベントホール29の閉塞時、車両前方側への移動を規制される。
【選択図】図4
【解決手段】車両の衝突時に、拘束体20を車両後方側に移動させて、着座した乗員の膝の車両前方側への移動を抑制する膝保護装置S。拘束20体の駆動機構25が、シリンダ部26と、ピストン部32と、シリンダ部26内に駆動用流体を充満させる流体発生源38と、を備える。シリンダ部26には、ピストン部32の前方移動時に、流体をシリンダ部26外に流出可能で、ピストン部32によって閉塞可能なベントホール29が、配設されている。拘束体20が、膝に干渉した後、ベントホール29から流体を流出させつつ、ピストン部32とともに、車両前方側に向かって移動可能とされ、ベントホール29の閉塞時、車両前方側への移動を規制される。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両の衝突時に、着座した乗員における膝の移動を抑制して、乗員の膝を保護する膝保護装置に関する。
従来、この種の保護装置では、着座した乗員における胸部の移動を抑制して、乗員の胸部を保護する構成のものがあった。この保護装置では、駆動機構に連結された拘束体としてのパッドが、着座した乗員の胸部の周囲である前方側に、配設されていた(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の保護装置では、拘束体としてのパッドを、折り畳まれて収納される膨張容体を介して、車両のボディ側に配設される駆動機構側に連結させた構成であり、駆動機構の作動時に、パッドを乗員の胸部側(車両後方側)に突出させるとともに、膨張容体を固定させるボディ側の壁部に形成される孔を介して膨張容体内にエアを流入させて膨張容体を膨張させて、パッドを乗員の胸部を保護可能な位置に配設させる構成であった。そして、特許文献1の保護装置では、乗員の胸部がパッドに干渉した際に、膨張容体を塑性変形させることにより、胸部の運動エネルギーを吸収させる構成であった。
また、膝保護装置として、駆動機構としてのインフレーターと、拘束体としてのエアバッグと、を備えたエアバッグ装置が、着座した乗員の膝の周囲である前方側に配設される構成のものもあった(特許文献2参照)。
特許文献2に記載の膝保護装置では、インフレーターから吐出される膨張用ガスを内部に流入させて膨張したエアバッグにより、乗員の膝を保護可能な構成であった。そして、特許文献2に記載の膝保護装置では、エアバッグ装置が、エネルギー吸収部材を介して、車両のボディ側に取り付けられており、エアバッグ装置の作動時に、乗員の膝が、膨張を完了させたエアバッグを車両前方側に強く押圧するように、エアバッグと干渉した際に、エネルギー吸収部材が塑性変形して、乗員の膝の運動エネルギーを吸収可能な構成とされていた。
特公昭48−31206号公報
実開平2−56053号公報
しかし、特許文献1に記載の保護装置では、膨張容体にエアを流入させる孔には、逆止め弁が配設されており、膨張容体内に一旦流入したエアは、膨張容体外に流出不能とされている。そのため、特許文献1の保護装置では、乗員の胸部がパッドと干渉した際に、パッドと駆動装置とを連結する膨張容体が塑性変形して、胸部の運動エネルギーを吸収可能な構成とされているものの、膨張容体内に充満されたエアが膨張容体の塑性変形を阻害して、胸部の運動エネルギーを充分に吸収できない虞れが生じていた。
また、特許文献2に記載の膝保護装置では、エネルギー吸収部材の塑性変形により膝の運動エネルギーを充分に吸収可能な構成であるものの、拘束体を駆動させる駆動機構に加えてエネルギー吸収部材が必要であり、装置が大型化して、車両搭載時に大きなスペースが必要であった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、乗員の膝の運動エネルギーを的確に吸収でき、かつ、駆動機構自体を膝の運動エネルギーを吸収する吸収機構に利用できて、コンパクトに構成できる膝保護装置を提供することを目的とする。
本発明に係る膝保護装置は、駆動機構に連結された拘束体が、着座した乗員の膝の前方に、配設される構成として、
車両の衝突時に、駆動機構が、作動して、拘束体を車両後方側に移動させ、拘束体の車両後方側の面によって、膝の車両前方側への移動を抑制して膝を保護する構成の膝保護装置であって、
駆動機構が、
軸方向を前後方向に略沿うように配設させて、車両のボディ側に連結させた略筒状のシリンダ部と、
シリンダ部内において摺動可能に配設されるとともに、後端側で、後方移動時の拘束体を支持するピストン部と、
作動時に、ピストン部を介して拘束体を車両後方側に向かって移動可能とするように、シリンダ部内に駆動用流体を充満させる流体発生源と、
を備えて構成され、
シリンダ部には、作動前のピストン部の前端面より前方側で、かつ、作動時における後方移動完了時のピストン部の前端面より後方側に、開口されて、ピストン部の前方移動時に、流体をシリンダ部外に流出可能で、かつ、ピストン部によって閉塞可能としたベントホールが、配設され、
拘束体が、後方移動されて膝に干渉した後、ベントホールから流体を流出させつつ、ピストン部とともに、車両前方側に向かって移動可能とされるとともに、ピストン部によるベントホールの閉塞時、車両前方側への移動を規制されて、膝を拘束可能に、構成されていることを特徴とする。
車両の衝突時に、駆動機構が、作動して、拘束体を車両後方側に移動させ、拘束体の車両後方側の面によって、膝の車両前方側への移動を抑制して膝を保護する構成の膝保護装置であって、
駆動機構が、
軸方向を前後方向に略沿うように配設させて、車両のボディ側に連結させた略筒状のシリンダ部と、
シリンダ部内において摺動可能に配設されるとともに、後端側で、後方移動時の拘束体を支持するピストン部と、
作動時に、ピストン部を介して拘束体を車両後方側に向かって移動可能とするように、シリンダ部内に駆動用流体を充満させる流体発生源と、
を備えて構成され、
シリンダ部には、作動前のピストン部の前端面より前方側で、かつ、作動時における後方移動完了時のピストン部の前端面より後方側に、開口されて、ピストン部の前方移動時に、流体をシリンダ部外に流出可能で、かつ、ピストン部によって閉塞可能としたベントホールが、配設され、
拘束体が、後方移動されて膝に干渉した後、ベントホールから流体を流出させつつ、ピストン部とともに、車両前方側に向かって移動可能とされるとともに、ピストン部によるベントホールの閉塞時、車両前方側への移動を規制されて、膝を拘束可能に、構成されていることを特徴とする。
本発明の膝保護装置では、車両の衝突時、駆動機構が作動し、流体発生源から、シリンダ部内に流体が噴出されて、ピストン部が車両後方側に押し出され、ピストン部に支持された拘束体が、車両後方側に移動されることとなる。そして、乗員の膝が拘束体に干渉して、拘束体及びピストン部が、車両の衝突に伴う慣性力によって前方移動する膝により、車両前方側に向かって押圧されると、シリンダ部内に充満された流体が、シリンダ部に形成されたベントホールから、シリンダ部外に流出することとなる。そのため、この流体の流出により、膝の運動エネルギーを吸収しつつ、拘束体が、徐々に車両前方側に移動し、ピストン部が前進して、ベントホールを閉塞させる位置まで移動した際に、ベントホールからの流体の流出が止まって、ピストン部及び拘束体の車両前方側への移動が規制され、拘束体により乗員の膝が拘束されることとなる。すなわち、本発明の膝保護装置では、乗員の膝が、一旦、拘束体に干渉すると、拘束体が、絞られた所定開口径のベントホールからの流体の流出によって、緩やかに前方に向かって移動しつつ、乗員の膝を拘束する構成であることから、乗員の膝を、膝の運動エネルギーを充分に吸収しつつ、剛体に干渉したような急激な底着き感を得ることなく、拘束することができる。また、本発明の膝保護装置では、駆動機構のシリンダ部を利用して、乗員の膝の運動エネルギーを吸収することができる構成であることから、装置をコンパクトにすることができる。
従って、本発明の膝保護装置では、乗員の膝の運動エネルギーを的確に吸収でき、かつ、駆動機構自体を膝の運動エネルギーを吸収する吸収機構に利用できて、コンパクトに構成することができる。
また、本発明の膝保護装置では、拘束体の繰り出し完了時からベントホール閉塞時までのストロークを、シリンダ部に配設されるベントホールの位置や、ベントホールの開口面積の調整により適宜設定できることから、乗員の膝の運動エネルギーの吸収ストロークを、種々の車両における乗員前方のスペースに対応して設定でき、車両への搭載自由度を増大させることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の膝保護装置Sは、図1・2に示すように、乗員としての運転者MDの膝Kの車両前方側であるステアリングコラム6の下方に、配設されている。
なお、本明細書での上下・前後・左右の関係は、膝保護装置Sが車両に搭載された状態を基準とするもので、搭載時の車両の上下・前後・左右の関係と一致するものである。
ステアリングコラム6は、図1に示すように、ステアリングホイール5に連結されるメインシャフト7と、メインシャフト7の周囲を覆うコラムチューブ8と、それらの周囲を覆うコラムカバー9と、を備えて構成されている。コラムカバー9は、インストルメントパネル(以下、「インパネ」と省略する)11から斜め上後方に突出するように、配設されている。実施形態の場合、インパネ11は、アッパパネル11aとロアパネル11bとから構成されている(図2参照)。
膝保護装置Sは、拘束体20と、拘束体20を駆動させる駆動機構25と、を備えて構成されている。拘束体20は、ロアパネル11bに形成される略長方形状の開口16の部位に、開口16を塞ぐように配設されている。ロアパネル11bにおける開口16の周縁となる縁部17は、ロアパネル11bの車両後方側の面から前方側に一段突出するように、段差状に、形成されている。また、縁部17において、開口16の四隅付近となる部位には、拘束体20をロアパネル11b側に係止するための後述する係止脚21を係止するための係止孔18が、形成されている。
拘束体20は、衝撃を与えることを極力抑えて運転者MDの膝K(KL・KR)を受けることができるように、適宜、内部に塑性変形や弾性変形可能な発泡体等の緩衝材を内蔵させた合成樹脂や金属等から形成されて、図2に示すように、略長方形の板状としている。実施形態の場合、拘束体20は、車両搭載状態において、外周縁20aを、開口16の周囲の縁部17に支持されるとともに、開口縁部17に対して、殆ど隙間なく嵌合されるように、構成されている。また、拘束体20は、車両搭載状態において、運転者MD側となる車両後方側の面20cを、ロアパネル11bの車両後方側の面と略面一とするように配設されている(図1・4参照)。
さらに、拘束体20の四隅付近には、車両前方側に突出するように、係止脚21が、配設されている(図3参照)。これらの係止脚21は、開口縁部17に配設される係止孔18に挿入されて、開口縁部17の前面側に係止可能な構成とされている。また、これらの係止脚21は、駆動機構25が作動して、拘束体20が車両後方側に向かって突出する際に、図3の二点鎖線に示すごとく、係止孔18から抜け可能なように、構成されている。
実施形態の場合、拘束体20は、車両搭載状態において、係止脚21のみにより、ロアパネル11b側に係止される構成であり、駆動機構25側と連結されていない。拘束体20の車両前方側の面20bにおける駆動機構25に対応した所定箇所(実施形態の場合、左右方向に沿った2箇所)には、駆動機構25の作動時において、駆動機構25の後述するピストン部32が拘束体20側に向かって移動された際に、拘束体20をピストン部32と連結して、ピストン部32により拘束体20を支持可能とする係合部材22が、配設されている。実施形態の場合、係合部材22として、雄側部22aと雌側部22bとから構成される面状ファスナーが使用されている。すなわち、実施形態の場合、係合部材22は、拘束体20側と、駆動機構25のピストン部32側と、の両側に、配設される構成であり、拘束体20側には、ピストン部32側に配設される雄側部22aと係合可能な雌側部22bが、配設されている。
駆動機構25は、制御装置13により作動を制御されるもので、実施形態の場合、車両の左右方向に沿った2箇所に、配設されている。各駆動機構25は、車両のボディ1側に連結されるシリンダ部26と、シリンダ部26内に配設されるピストン部32と、シリンダ部26内における前端付近に配設される流体発生源としてのガス発生器38と、から構成されている。
ガス発生器38は、作動時に窒素ガス等のガスGを吐出する図示しないガス吐出口を備えて構成され、作動時に、ピストン部32を介して拘束体20を車両後方側(乗員側)に向かって移動可能とするように、シリンダ部26内に、駆動用流体としてのガスGを車両後方側に向かって噴出させて、シリンダ部26内にガスGを充満可能な構成とされている。
シリンダ部26は、板金製とされるとともに、軸方向を前後方向に沿うように配設される略円筒形とされている。シリンダ部26は、略円筒状の周壁部27と、周壁部27の後端側を塞ぐ後壁部28と、を備えて構成され、周壁部27における前端27a付近に、シリンダ部26の前端26a側を閉塞させるように、ガス発生器38が、収納される構成である。後壁部28には、ピストン部32における後述する連結軸部34を挿通可能とする挿通孔28aが、形成されている。また、後壁部28における挿通孔28aの周囲の部位は、ガス発生器38が作動してピストン部32が車両後方側に向かって突出した際に、ピストン部32の後述する本体部33を係止させて、ピストン部32のシリンダ部32からの抜けを防止するストッパとしても作用することとなる。実施形態の場合、各シリンダ部26は、それぞれ、車両のボディ1側における剛性を有したインパネリインフォースメント2から延びるブラケット3・4に保持されて、ボディ1側に、連結されている。
周壁部27における前後方向の中間部位には、複数(実施形態の場合2個)のベントホール29が、形成されている。これらのベントホール29は、図5に示すように、作動前のピストン部32における後述する本体部33の前端面33aより前方側で、かつ、作動時における後方移動完了時のピストン部32における本体部33の前端面33aより後方側となる位置に、開口されている。また、これらのベントホール29は、拘束体20が運転者MDの膝Kと干渉した後に、シリンダ部26内に充満されたガスGを、シリンダ部26外に流出させるために、配設されている。そして、これらのベントホール29は、ガスGの流出に伴って前方移動したピストン部32に、閉塞される構成である。なお、実施形態の場合、駆動機構25の作動時において、後方移動完了時のピストン部32における本体部33の前端面33aからベントホール29までの距離Xは、30mmに設定されている(図5参照)。また、ベントホール29の開口面積は、運転者MDの膝Kが拘束体20を車両前方側に向かって押圧した際に、拘束体20を、緩やかに前方に向かって移動可能とするように、ガスGを流出可能な大きさに、設定されている。
ピストン部32は、シリンダ部26内において摺動可能に配設される略円盤状の本体部33と、本体部33から車両後方側に突出するように配設される連結軸部34と、連結軸部34の後端側に配設されて作動時に拘束体20と連結される連結板部35と、から構成されている。本体部33は、シリンダ部26に対して摺動可能とするように、外径寸法を、周壁部27の内径寸法と略同一に、若しくは、若干小さく設定されている。また、本体部33における車両後方側の外周面には、シールリング36が、配設されている。
連結軸部34は、軸方向を前後方向に沿わせて配設され、外径寸法を、シリンダ部26の後壁部28に形成される挿通孔28aに挿通可能な寸法に、設定されている。連結軸部34の後端側に配設される連結板部35は、後方側の面に、係合部材22を構成するとともに、拘束体20側に配設される雌側部22bと係合可能な雄側部22aを、配設させている。
制御装置13は、バンパ等に配設される複数のセンサ14と電気的に接続されている。センサ14は、車両に前方から接近してくる物体を検出可能としているもので、赤外線や超音波を利用するタイプ、あるいは、CCDカメラを利用するタイプを例示できる。制御装置13は、車速等を考慮しつつ、各センサ14からの信号を入力して、接近してくる物体との衝突を予測できる衝突検知を検出するように、構成されている。
すなわち、実施形態の膝保護装置Sでは、制御装置13がセンサ14からの信号により、衝突検知を検出すると、駆動機構25に配設されるガス発生器38からガスGが車両後方側に向かって噴出され、このガスGが、本体部33を車両後方側に向かって押圧し、ピストン部32が、車両後方側に向かって突出されるように移動することとなる。そして、連結板部35に配設される雄側部22aと、拘束体20側に配設される雌側部22bとが係合されて、拘束体20が、ピストン部32に連結されることとなる。その後、拘束体20が、ピストン部32に支持されつつ、ピストン部32とともに車両後方側に移動し、拘束体20の車両後方側の面20cにより、乗員としての運転者MDの膝Kと干渉することとなる。
そして、実施形態の膝保護装置Sでは、乗員としての運転者MDの膝K(KL・KR)が拘束体20に干渉して、拘束体20及びピストン部32が、車両の衝突に伴う慣性力によって前方移動する膝Kにより、車両前方側に向かって押圧されると、シリンダ部26内に充満されたガスGが、図5に示すように、シリンダ部26に形成されたベントホール29から、シリンダ部26外に流出することとなる。そのため、このガスGの流出により、膝Kの運動エネルギーを吸収しつつ、拘束体20が、徐々に車両前方側に移動し、ピストン部32が前進して、ベントホール29を閉塞させる位置まで移動した際に、ベントホール29からのガスGの流出が止まって、ピストン部32及び拘束体20の車両前方側への移動が規制され、拘束体20により運転者MDの膝K(KL・KR)が拘束されることとなる(図6参照)。
すなわち、実施形態の膝保護装置Sでは、運転者MDの膝Kが、一旦、拘束体20に干渉すると、拘束体20が、絞られた所定開口径のベントホール29からのガスGの流出によって、緩やかに前方に向かって移動しつつ、運転者MDの膝Kを拘束する構成であることから、運転者MDの膝Kを、膝Kの運動エネルギーを充分に吸収しつつ、剛体に干渉したような急激な底着き感を得ることなく、拘束することができる。また、実施形態の膝保護装置Sでは、駆動機構25のシリンダ部26を利用して、運転者MDの膝Kの運動エネルギーを吸収することができる構成であることから、装置をコンパクトにすることができる。
従って、実施形態の膝保護装置では、乗員としての運転者MDの膝Kの運動エネルギーを的確に吸収でき、かつ、駆動機構25自体を膝Kの運動エネルギーを吸収する吸収機構に利用できて、コンパクトに構成することができる。
また、実施形態の膝保護装置Sでは、拘束体20の繰り出し完了時からベントホール29閉塞時までのストロークを、シリンダ部26に配設されるベントホール29の位置や、ベントホール29の開口面積の調整により適宜設定できることから、乗員MDの膝Kの運動エネルギーの吸収ストロークを、種々の車両における乗員前方のスペースに対応して設定でき、車両への搭載自由度を増大させることができる。
なお、実施形態の膝保護装置Sでは、流体発生源としてガス発生器を使用しているが、駆動用流体は、ガスに限定されるものではない。例えば、駆動用流体として水やオイル等の液体を用いた流体発生源を使用してもよい。しかし、実施形態の膝保護装置Sでは、駆動用流体を、シリンダ部26外に流出させる構成であることから、駆動用流体として、大気に放出しても無害なガスを使用することが好ましく、流体発生源として窒素ガスを発生させるガス発生器を使用することが、望ましい。
また、実施形態の膝保護装置Sでは、駆動機構25と拘束体20との間に係合部材22を介在させて、車両搭載状態において、拘束体20が、駆動機構25側に、連結されない構成であるが、拘束体20は、車両搭載状態において、予め、駆動機構25側に連結されている構成としてもよい。
なお、実施形態では、ステアリングコラム7の下方に配設されて運転者MDの膝Kを保護するための膝保護装置Sを例に採り説明したが、本発明の膝保護装置は、助手席に着座した乗員の膝を保護するために、助手席前方に配設される膝保護装置にも、適用可能である。
1…ボディ、
2…インパネリインフォースメント、
20…拘束体、
21…係止脚、
22…係合部材、
25…駆動機構、
26…シリンダ部、
29…ベントホール、
32…ピストン部、
38…ガス発生器(流体発生源)、
K(KL・KR)…膝、
MD…運転者(乗員)、
S…膝保護装置。
2…インパネリインフォースメント、
20…拘束体、
21…係止脚、
22…係合部材、
25…駆動機構、
26…シリンダ部、
29…ベントホール、
32…ピストン部、
38…ガス発生器(流体発生源)、
K(KL・KR)…膝、
MD…運転者(乗員)、
S…膝保護装置。
Claims (1)
- 駆動機構に連結された拘束体が、着座した乗員の膝の前方に、配設される構成として、
車両の衝突時に、前記駆動機構が、作動して、前記拘束体を車両後方側に移動させ、前記拘束体の車両後方側の面によって、前記膝の車両前方側への移動を抑制して前記膝を保護する構成の膝保護装置であって、
前記駆動機構が、
軸方向を前後方向に略沿うように配設させて、前記車両のボディ側に連結させた略筒状のシリンダ部と、
該シリンダ部内において摺動可能に配設されるとともに、後端側で、後方移動時の前記拘束体を支持するピストン部と、
作動時に、前記ピストン部を介して前記拘束体を車両後方側に向かって移動可能とするように、前記シリンダ部内に駆動用流体を充満させる流体発生源と、
を備えて構成され、
前記シリンダ部には、作動前の前記ピストン部の前端面より前方側で、かつ、作動時における後方移動完了時の前記ピストン部の前端面より後方側に、開口されて、前記ピストン部の前方移動時に、前記流体を前記シリンダ部外に流出可能で、かつ、前記ピストン部によって閉塞可能としたベントホールが、配設され、
前記拘束体が、後方移動されて前記膝に干渉した後、前記ベントホールから前記流体を流出させつつ、前記ピストン部とともに、車両前方側に向かって移動可能とされるとともに、前記ピストン部による前記ベントホールの閉塞時、車両前方側への移動を規制されて、前記膝を拘束可能に、構成されていることを特徴とする膝保護装置。
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