JP2005280111A - ガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体 - Google Patents

ガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2005280111A
JP2005280111A JP2004097747A JP2004097747A JP2005280111A JP 2005280111 A JP2005280111 A JP 2005280111A JP 2004097747 A JP2004097747 A JP 2004097747A JP 2004097747 A JP2004097747 A JP 2004097747A JP 2005280111 A JP2005280111 A JP 2005280111A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
gas barrier
resin
film
dispersible
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004097747A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4439967B2 (ja
Inventor
Chiharu Okawara
千春 大川原
Shigenobu Yoshida
重信 吉田
Toru Hachisuga
亨 蜂須賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Plastics Inc
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Plastics Inc filed Critical Mitsubishi Plastics Inc
Priority to JP2004097747A priority Critical patent/JP4439967B2/ja
Publication of JP2005280111A publication Critical patent/JP2005280111A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4439967B2 publication Critical patent/JP4439967B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】 基材であるプラスチックフィルムと無機薄膜との接着性及び熱水処理後や印刷後のガスバリア性に優れたガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体を提供すること。
【解決手段】 プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布層が形成され、且つ当該塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層が、水溶性ポリアクリル樹脂、水分散性ポリアクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水分散性ポリエステル樹脂から選ばれる1種以上と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含み、酸素透過率が10fmol/m2/s/Pa以下であるガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体である。
【選択図】 なし

Description

本発明はガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体に関し、詳しくはプラスチックフィルム上に無機薄膜を形成してなるガスバリア性フィルムであって、無機薄膜とプラスチックフィルムとの密着性が良好であるが故にガスバリア性に優れ、ひいては熱水処理(ボイル処理、レトルト処理、滅菌処理)が施されてもガスバリア性が維持され、食品、医薬品等の包装に好適なガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体に関する。
無機薄膜フィルムは、薄膜を形成する材料として、金属及び/又は金属酸化物を選択することにより、ガスバリア性、水分不透過性、可視・紫外光の遮断性、熱線反射性、導電性、透明導電性、磁気記録性などの特性を種々に変更し得るため、各種の用途に利用されている。例えば、包装材料、装飾用材料、窓ガラスの遮断用材料、金・銀糸用材料、コンデンサー材料、表示材料、配線基板材料、磁気記録材料などに利用されている。さらに、近年、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、エレクトロルミネッセンス(EL)用基板、カラーフィルター等で使用する透明導電シートの一部などの新しい用途にも注目されている。
また、近年、プラスチックフィルムからなる基材の表面に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等からなる無機薄膜を形成した透明性の高いガスバリア性フィルムが多く提案され、実用化されている。しかしながら、斯かるガスバリア性フィルムは、フィルムの加工工程中に、あるいは水分との接触により、無機薄膜の部分的な破壊、剥離を惹起し、ガスバリア性が低下する問題がある。特に、無機薄膜を形成したガスバリア性フィルムは、熱水処理(ボイル処理、レトルト処理、滅菌処理)用途への展開が望まれており、熱水処理後のガスバリア性維持は重要な課題である。
従来、ガスバリア性の低下を防止するため、ポリエステルフィルムからなる基材と蒸着無機薄膜層との間に、各種ポリウレタン、各種ポリエステル又はポリウレタンとポリエステルとの混合物からなる塗布層を設ける方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、耐水接着性及び耐溶剤性を改良するため、特殊なポリウレタン、ポリエステル及びエポキシ化合物を含有する塗布液が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、環境及び安全性への配慮から水性塗布液を用い、且つ耐熱水性接着性を持つプラスチックフィルムであって、塗布液が水性架橋剤を含有するもの(例えば、特許文献3、4及び5参照)や、このようなプラスチックフィルムの塗布層の表面に無機薄膜を形成させたフィルム(例えば、特許文献6参照)が提案されている。
しかしながら、熱水処理後のガスバリア性、及び溶剤系インキによる印刷後のガスバリア性について、市場からの要求は年々高レベルとなっており、より安定した高いガスバリア性を有する無機薄膜フィルムが望まれている。
特開平2−50837号公報 特開平4−176858号公報 特開平8−332706号公報 特開2001−58383号公報 特開2001−79994号公報 特開2003−320610号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、基材であるプラスチックフィルムと無機薄膜との接着性及び熱水処理後や印刷後のガスバリア性に優れたガスバリア性フィルム及びこのガスバリア性フィルムを用いたガスバリア性積層体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的達成のために種々検討を重ねた結果、塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、特定の水溶性及び/又は水分散性樹脂と、架橋性成分である水溶性及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂を含有する塗布液で塗布層を形成することにより、優れた特性を有するガスバリア性フィルムが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のガスバリア性フィルム及びこのガスバリア性フィルムを用いたガスバリア性積層体を提供するものである。
1. プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布層が形成され、且つ当該塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層が、水溶性ポリアクリル樹脂、水分散性ポリアクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水分散性ポリエステル樹脂から選ばれる1種以上と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含み、酸素透過率が10fmol/m2/s/Pa以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
2. プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布層が形成され、且つ当該塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層が、水溶性ポリアクリル樹脂、水分散性ポリアクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水分散性ポリエステル樹脂から選ばれる1種以上と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含み、且つ上記無機薄膜上に厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを積層してなる積層体の酸素透過率が10fmol/m2/s/Pa以下であって、当該積層体に対して120℃、30分間の熱水処理を行った後の酸素透過度率が50fmol/m2/s/Pa以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
3. プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布層が形成され、且つ当該塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層が、水溶性ポリアクリル樹脂、水分散性ポリアクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水分散性ポリエステル樹脂から選ばれる1種以上と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含み、且つ上記無機薄膜を形成した後に50℃以上の加熱処理が施されてなることを特徴とするガスバリア性フィルム。
4. プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布層が形成され、且つ当該塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層が、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水分散性ポリエステル樹脂から選ばれる1種と、水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含むことを特徴とするガスバリア性フィルム。
5. プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布層が形成され、且つ当該塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層が、水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂と、水溶性ポリウレタン樹脂及び/又は水分散性ポリウレタン樹脂と、水溶性ポリエステル樹脂及び/又は水分散性ポリエステル樹脂と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含むことを特徴とするガスバリア性フィルム。
6. 無機薄膜が酸化珪素を含む上記1乃至5の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
7. 塗布層中の水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂の含有割合が、塗布層を構成する樹脂基準で10〜50質量%である上記1乃至6の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
8. 水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂が乳化剤を含有しないものである上記1乃至7の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
9. プラスチックフィルムが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール及びエチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物から選ばれる1種以上のプラスチックを含む上記1乃至8の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
10. プラスチックフィルムを構成するプラスチックの10〜100質量%が再生プラスチックである上記9に記載のガスバリア性フィルム。
11. 塗布層が、塗布液をプラスチックフィルムに塗布した後、少なくとも1方向に延伸して形成されてなる上記1乃至10の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
12. 無機薄膜表面に樹脂含有層を設けてなる上記1乃至11の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
13. 無機薄膜を形成した後に50℃以上の加熱処理を施してなる上記1、2及び上記4乃至12の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
14. 上記1乃至13の何れか1項記載のガスバリア性フィルムの無機薄膜表面に、印刷層を形成し、当該印刷層の表面にヒートシール層を積層してなることを特徴とするガスバリア性積層体。
15. 印刷層とヒートシール層との間に、紙及びプラスチックフィルムから選ばれる少なくとも1層を積層してなる上記14記載のガスバリア性積層体。
16. 上記14又は15に記載のガスバリア性積層体において、当該積層体形成後に50℃以上の加熱処理を施してなることを特徴とするガスバリア性積層体。
17. 上記1乃至13の何れか1項記載のガスバリア性フィルムの無機薄膜上にプラスチックフィルムを積層したガスバリア性積層体であって、当該プラスチックフィルム積層後に50℃以上の加熱処理を施してなることを特徴とするガスバリア性積層体。
18. 上記1乃至13の何れか1項記載のガスバリア性フィルムの無機薄膜上にプラスチックフィルムを積層したガスバリア性積層体において、酸素透過率が10fmol/m2/s/Pa以下であり、且つ当該積層体に対して120℃、30分間の熱水処理を行った後の酸素透過率が50fmol/m2/day/Pa以下であることを特徴とするガスバリア性積層体。
19. 上記18に記載のガスバリア性積層体において、当該積層体形成後に50℃以上の加熱処理を施してなることを特徴とするガスバリア性積層体。
20. 上記1乃至13の何れか1項記載のガスバリア性フィルムの無機薄膜表面に、印刷層を形成し、当該印刷層の表面にヒートシール層を積層したガスバリア性積層体において、酸素透過率が10fmol/m2/s/Pa以下であり、且つ当該積層体に対して120℃、30分間の熱水処理を行った後の酸素透過率が50fmol/m2/day/Pa以下であることを特徴とするガスバリア性積層体。
21. 印刷層とヒートシール層との間に、紙及びプラスチックフィルムから選ばれる少なくとも1層を積層してなる上記20記載のガスバリア性積層体。
22. 上記20又は21に記載のガスバリア性積層体において、当該積層体形成後に50℃以上の加熱処理を施してなることを特徴とするガスバリア性積層体。
本発明によれば、基材であるプラスチックフィルムと無機薄膜との間の接着性及びガスバリア性、特にレトルト処理後及び印刷後のガスバリア性に優れたガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体を提供することができ、本発明の工業的価値は非常に大きい。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で基材として使用するプラスチックフィルム(以下、「基材フィルム」称することがある。)との材料としては、通常の包装材料で使用される樹脂であれば特に制限はない。具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体又は共重合体などのポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素系樹脂、アクリレート樹脂、生分解性樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物が好ましく、ポリエステル及びポリアミドが特に好ましい。
本発明で使用する基材フィルムの原料として特に好適であるポリエステルとしては、その構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート、その構成単位の80モル%以上がエチレンナフタレートであるポリエチレンナフタレート、その構成単位の80モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートであるポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが挙げられる。
そして、上記の構成成分以外の共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール成分、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びそのエステル形成性誘導体のジカルボン酸成分、ヒドロキシ安息香酸及びそのエステル形成性誘導体のヒドロキシモノカルボン酸成分などを使用することができる。
本発明で使用する基材フィルムの原料として特に好適であるポリアミドには、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミドがある。脂肪族ポリアミドとしては、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の自己重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられる。具体的には、ナイロン6と称されるε−カプロラクタムの単独重合体、ナイロン−66と称されるポリヘキサメチレンアジパミドなどが挙げられ、これらは安価に入手できる点から好適である。
芳香族ポリアミドは、芳香族環を有するポリアミドであって、本発明で使用する芳香族ポリアミドに特に制限は無いが、キシリレンジアミンと炭素数が6〜12のα,ω脂肪族ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に70モル%以上含有する芳香族ポリアミドが好適に用いられる。キシリレンジアミンと炭素数が6〜12のα,ω脂肪族ジカルボン酸とからなるポリアミド構成成分の具体例としては、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミド等の単独重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体及びメタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体等の共重合体が挙げられる。
上記以外のポリアミド構成成分としては、ジアミン類とジカルボン酸類とのナイロン塩及びε−カプロラクタム等のラクタム類の開環重合物、ε−アミノカルボン酸等のω−アミノカルボン酸類の自己重縮合物などが挙げられる。ナイロン塩の成分としてのジアミン類の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、ピペラジンビスプロピルアミン、ネオペンチルグリーコルプロピルアミン等の異節環又は異原子含有ジアミンなどが挙げられる。また、ジカルボン酸類の具体例としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の環状脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
本発明で使用する基材フィルムの原料としては、再生原料でも特に支障はなく、例えば、プラスチックフィルム製品の製造過程で発生するスクラップフィルムのチップ状に加工した再生プラスチックを、省資源化の観点から使用してもよい。斯かる再生プラスチックの使用割合は、特に制限されないが、原料プラスチック中の割合として、好ましくは10〜100質量%の範囲とされる。
再生原料を用いる場合は、特にプラスチックフィルム表面にプラスチックフィルム原料のオリゴマーや添加剤等の低分子量成分が、ガスバリア性フィルム及びその積層体の製造工程や二次加工時に析出することに注意が必要となる。その際、本発明における塗布層がそれらの析出防止の役割も担う。
本発明で使用する基材フィルムは、フィルム表面の突起を形成する添加粒子、析出粒子、その他の触媒残渣を、用途に応じて通常使用される量の範囲で含有していてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、上記の突起形成剤以外の添加剤として、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを含有していてもよい。
本発明で使用する基材フィルムは、上記原料を主に1種類用いた単層フィルム、原料を2種類以上用いたブレンド単層フィルム、さらには共押し出し積層フィルムの何れでもよい。共押し出し積層フィルムの場合、各層の構成は、原料を1種類用いたものでも、2種類以上用いたブレンド層でもよい。
上記基材フィルムは、未延伸フィルムでもよいし延伸フィルムでもよい。また、2種以上のプラスチックフィルムを積層したフィルムであってもよい。基材フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することができる。例えば、原料樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの従来公知の一般的な方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸することにより、少なくとも一軸方向に延伸した延伸フィルムを製造することができる。
本発明で用いる基材フィルムの厚さは、本発明における基材としての機械強度、可撓性、透明性等、用途に応じて適宜選定され、通常2〜500μm程度、好ましくは5〜200μmの範囲に選択される。上記基材フィルムには、厚さが比較的厚いシート類も含まれる。また、基材フィルムの幅や長さは特に制限はなく、用途に応じて適宜選択することができる。
本発明において、基材フィルムに形成される塗布層は、架橋性樹脂として水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂が含まれる必要がある。
水溶性カルボジイミド基含有樹脂又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂は、アジリジン、プロックイソシアネート、水分散性イソシアネート、メチロール化メラミン、水性エポキシ、オキサゾリン等の水性架橋性成分に比べ、毒性の低さ、反応性の高さ、ポットライフの長さ、反応温度の低さの点で総合的に秀でており、ガスバリア性フィルムの塗布層を形成するための塗布液の架橋性成分として好適である。特に、塗布層の表面に無機薄膜形成した後、或いは後述するガスバリア性積層体を形成した後に加熱処理を施すことによって向上する耐熱水ガスバリア性は、塗布液にカルボジイミド基含有樹脂を含有させることによって効果的にもたらされる。
カルボジイミド含有樹脂は、下記一般式(1)で表されるいわゆるカルボジイミド基を、一分子当たりに少なくとも二つ有する樹脂の総称であり、ジイソシアネート化合物を触媒存在下で重縮合することにより得られる。
−N=C=N− (1)
カルボジイミド基含有樹脂の製造方法としては、公知の技術を適用することができ、例えば特公昭47−33279号公報、特開平9−235508号公報などに記載の方法を適用することができる。カルボジイミド基含有樹脂の出発原料であるジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族及び脂環式のジイソシアネートが挙げられる。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びジシクロヘキシルジイソシアネートなどが挙げられる。
本発明の効果を損なわない範囲において、さらにカルボジイミド基含有樹脂の水溶性及び/又は水分散性を向上させるために、任意の界面活性剤や、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩等の親水性モノマーを添加することができる。これらの化合物の添加量は、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂100質量部に対して、通常1から10質量部程度である。
塗布層中の水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂の含有割合は、塗布層を構成する樹脂基準で5〜50質量%が好ましく、より好ましくは15〜30質量%である。カルボジイミド基含有樹脂の含有割合が10質量%以上であると架橋が十分であり、50質量%以下であるとコストと効果のバランスが良好である。
上記塗布層には、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂に加えて、水溶性ポリアクリル樹脂、水分散性ポリアクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水分散性ポリエステル樹脂から選ばれる1種以上が含まれる。水溶性ポリアクリル樹脂又は水分散性ポリアクリル樹脂は、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートを主要な成分とする樹脂であり、具体的には、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレート成分の含有割合が通常40〜95モル%程度、共重合可能で且つ官能基を有するビニル単量体成分の含有割合が通常5〜60モル%程度の水溶性樹脂又は水分散性樹脂である。
上記のビニル単量体における官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基又はその塩、アミド基又はアルキロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、アルキロール化されたアミノ基又はそれらの塩、水酸基、エポキシ基などが挙げられ、特に、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基などが好ましい。これらの基は、ポリアクリル樹脂中に2種類以上含有されていてもよい。
上記の水溶性ポリアクリル樹脂又は水分散性ポリアクリル樹脂において、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートの含有量を40モル%以上にすることにより、塗布性、塗膜の強度、耐ブロッキング性が特に良好となる。そして、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートを95モル%以下とし、共重合成分として特定の官能基を有する化合物を水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂に5モル%以上導入することにより、水溶化又は水分散化を容易にすると共にその状態を長期にわたり安定化することができる。その結果、塗布層と基材フィルムとの接着性の改善、塗布層内での反応による塗布層の強度、耐水性、耐薬品性の改善などを図ることができる。
上記のアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートのアルキル基としては、例えば、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。カルボキシル基や酸無水物などを有する化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸など、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが挙げられ、さらに、無水マレイン酸が挙げられる。スルホン酸基又はその塩を有する化合物としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これらスルホン酸のナトリウム塩等の金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
上記のアミド基又はアルキロール化されたアミド基を有する化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド、ウレイドビニルエーテル、β−ウレイドイソブチルビニルエーテル、ウレイドエチルアクリレートなどが挙げられる。
上記のアミノ基やアルキロール化されたアミノ基又はそれらの塩を有する化合物としては、例えば、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、それらのアミノ基をメチロール化した化合物、ハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、サルトン等により4級化した化合物などが挙げられる。
上記の水酸基を有する化合物としては、例えば、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられる。エポキシ基を有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
さらに、これらの単量体と併用し得る化合物としては、例えば、アクリロニトリル、スチレン類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸モノ又はジアルキルエステル、フマル酸モノ又はジアルキルエステル、イタコン酸モノ又はジアルキルエステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
上記の水溶性ポリアクリル樹脂又は水分散性ポリアクリル樹脂は、何れのタイプのポリアクリル樹脂であってもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、任意の乳化剤を含有してもよいが、乳化剤を含まないタイプのポリアクリル樹脂が好適に使用される。
従って、本発明で用いる水溶性ポリアクリル樹脂又は水分散性ポリアクリル樹脂は、反応性乳化剤を使用して合成された自己分散タイプのポリアクリル樹脂であってもよく、高分子量の界面活性剤を使用して合成されたポリアクリル樹脂であってもよい。また、水溶性ポリアクリル樹脂又は水分散性ポリアクリル樹脂は、自己架橋型樹脂であってよい。
塗布層中の水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂の含有割合は、塗布層を構成する樹脂基準で、通常5〜80質量%の範囲であり、10〜50質量%が好ましい。ポリアクリル樹脂の含有割合が5質量%以上であると、プラスチックフィルムのオリゴマー析出を塗布層により防止する十分な効果が得られ、80質量%以下であると、無機薄膜との接着性が良好となる。そして、水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂は、好ましくは、後述の水溶性ポリウレタン樹脂及び/又は水分散性ポリウレタン樹脂と併用される。
本発明で用いる水溶性ポリウレタン樹脂又は水分散性ポリウレタン樹脂としては、特に制限されないが、低分子の親水性分散剤などを含有しないものが好適に使用される。水溶性ポリウレタン樹脂又は水分散性ポリウレタン樹脂は、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを常法に従って反応させることにより製造される水溶性樹脂又は水分散性樹脂である。水溶性ポリウレタン又は水分散性ポリウレタン樹脂は、水媒体との親和性を高めるため、カルボキシル基又はその塩(以下、単にカルボキシル基と略記する。)を含有するものが好ましい。
上記のポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどが挙げられる。
上記のポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物などが挙げられる。
ポリウレタン側鎖へのカルボキシル基の導入は、例えば、ポリウレタン合成の際、原料ポリヒドロキシ化合物の1つとしてカルボキシル基含有ポリヒドロキシ化合物を使用するか、又は、未反応イソシアネート基を有するポリウレタンのイソシアネート基に水酸基含有カルボン酸やアミノ基含有カルボン酸を反応させ、次いで、反応生成物を高速攪拌下でアルカリ水溶液中に添加して中和する等の方法によって容易に行うことができる。
上記のカルボキシル基含有ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール吉草酸、トリメリット酸ビス(エチレングリコール)エステル等が挙げられる。また、水酸基含有カルボン酸としては、例えば、3−ヒドロキシプロピオン酸、γ−ヒドロキシ酪酸、p−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸、リンゴ酸など、アミノ基含有カルボン酸としては、例えば、β−アミノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸、p−アミノ安息香酸などが挙げられる。
水溶性ポリウレタン樹脂又は水分散性ポリウレタン樹脂のカルボキシル基は、対イオンを有していてもよく、斯かる対イオンとしては、通常一価イオン、好ましくは水素イオン又はアンモニウムイオンを含むアミン系オニウムイオンが挙げられる。また、水溶性ポリウレタン樹脂又は水分散性ポリウレタン樹脂は、自己架橋型樹脂であってよい。
塗布層中の水溶性ポリウレタン樹脂及び/又は水分散性ポリウレタン樹脂の配合割合は、塗布層を構成する樹脂基準で、通常5〜80質量%程度であり、10〜70質量%が好ましい。水溶性ポリウレタン樹脂及び/又は水分散性ポリウレタン樹脂の含有割合が5質量%以上であると、無機薄膜が塗布層と共に剥離することが抑制され、80質量%以下であると、耐熱水接着性が良好となる。そして、水溶性ポリウレタン樹脂及び/又は水分散性ポリウレタン樹脂は、好ましくは水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂と併用される。
水溶性ポリエステル樹脂又は水分散性ポリエステル樹脂としては、特に制限されないが、好ましくは低分子の親水性分散剤などを含有しないポリエステル樹脂であり、飽和ポリエステル又は不飽和ポリエステルの何れをも使用し得る。
上記の飽和ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸及びそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、p−キシリレンジオール等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリ(オキシアルキレン)グリコールなどが挙げられる。
上記の飽和ポリエステルは線状構造であるが、3価以上のエステル形成成分を使用して分岐状ポリエステルとすることもできる。一方、上記の不飽和ポリエステルとしては、例えば、次の(1)及び(2)で示されるものが挙げられる。
(1)特公昭45−2201号公報、特公昭46−2050号公報、特公昭44−7134号公報、特開昭48−78233号公報、特開昭50−58123号公報などに開示されている、共重合性不飽和基を含有する原料成分と他の原料成分とを反応させて得られる樹脂骨格中に共重合性不飽和基を有する不飽和ポリエステル。
(2)特公昭49−47916号公報、特公昭50−6223号公報などに開示されている、共重合性不飽和基を持たない飽和ポリエステルを得た後、その飽和ポリエステル中に存在する水酸基又はカルボキシル基などの官能基と反応性を有する官能基とビニル基を有するビニル系モノマーを飽和ポリエステルに付加して得られる不飽和ポリエステル。
上記のビニル系モノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基とビニル基を有する化合物、ビニルメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラノール基とビニル基を有する化合物、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水基とビニル基を有する化合物、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート−ヘキサメチレンジイソシアネート付加物などのイソシアネート基とビニル基を有する化合物などが挙げられる。
水溶性ポリエステル樹脂又は水分散性ポリエステル樹脂は、水媒体との親和性を高めるため、カルボキシル基を含有するものが好ましい。飽和又は不飽和ポリエステルの側鎖へのカルボキシル基の導入は、カルボン酸を有するジオキサン化合物をポリエステルと反応させる方法(特開昭61−228030号公報)、不飽和カルボン酸をポリエステルにラジカル的にグラフトする方法(特開昭62−225510号公報)、ポリエステルとハロゲノ酢酸を反応させて芳香族環に置換基を導入する方法(特開昭62−225527号公報)、ポリエステルと多価無水カルボン酸化合物とを反応させる方法(特開昭62−240318号公報)などの方法により容易に行うことができる。
水溶性ポリエステル樹脂又は水分散性ポリエステル樹脂のカルボキシル基は対イオンを有していてもよく、斯かる対イオンとしては、通常一価イオン、好ましくは水素イオン又はアンモニウムイオンを含むアミン系オニウムイオンが挙げられる。
塗布層中の水溶性ポリエステル樹脂及び/又は水分散性ポリエステル樹脂の含有割合は、塗布層を構成する樹脂基準で、通常3〜70質量%の範囲であり、5〜30質量%が好ましい。水溶性及び/又は水分散性ポリエステル樹脂の含有割合が3質量%以上であると、ガスバリア性が良好であり、70質量%以下であると熱水処理後のガスバリア性が良好である。
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層は、上記樹脂を含む塗布液を基材フィルムに塗布することにより形成することができる。塗布液は、塗布層の固着性(ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤性、機械的強度などの改良のため、架橋性成分として、例えば、エポキシ系、メチロール化又はアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系などの化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、オキサゾリン基含有化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコーアルミネートカップリング剤、過酸化物、光反応性のビニル化合物や感光性樹脂などを、接着性を悪化させない範囲内で少量含有していてもよい。特に、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物を併用すると、樹脂化合物におけるカルボキシル基等の側鎖に架橋して無機薄膜との接着性を高めることができるので好ましい。
上記塗布液は、固着性や滑り性の改良のため、無機系微粒子として、例えば、シリカ、シリカゾル、アルミナ、アルミナゾル、ジルコニウムゾル、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモンゾル等を含有してもよく、さらに、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
基材フィルムに塗布液を塗布する方法としては、「コーティング方式」(原崎勇次著、槙書店、1979年発行)に示されるリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター又はこれら以外の塗布装置を使用して、基材フィルム製造工程内で塗布を行う。塗布層は、基材フィルムの製膜後に形成してもよいが、基材フィルムの製膜工程で形成するのが好ましい。基材フィルムが二軸延伸フィルムの場合は、好ましくは縦方向に一軸延伸した基材フィルムに塗布液を塗布し、乾燥又は未乾燥の状態で横方向に延伸し、次いで、熱処理を施すことにより塗布層を形成するのが好ましい。
上記の方法は、製膜、塗布及び乾燥を同時に行うことができることから、製造コスト面においてメリットが大きく、特に好ましく採用される。塗布層は、基材フィルムの片面又は両面に設けることができ、基材フィルムの両面に設ける場合、これらの塗布層は同一でも異なっていてもよい。なお、基材フィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布液を塗布する前に、基材フィルムの表面に化学処理、放電処理などを施してもよい。
本発明において、基材フィルムの厚さは、上述したように、通常2〜500μm程度、好ましくは5〜200μmである。塗布層の厚さは、通常0.01〜5μm程度、好ましくは0.02〜1μmの範囲とされる。塗布層の厚さが0.01μm以上であると、均一な塗布層が得られ、また、5μm以下であると、滑り性が向上して基材フィルムの取扱いが容易となる。
また、上記のようにして形成された塗布層の水滴接触角は、60゜以上であることが好ましい。一般的に、乳化剤、親水性化合物、親水性基を多く有する水溶性樹脂塗布層は、水滴接触角を低下させ、無機薄膜との耐水接着性を悪化させる傾向があるので注意を要する。
本発明において、無機薄膜を構成する無機物質としては、例えば、アルミニウム、珪素、マグネシウム、パラジウム、亜鉛、錫、ニッケル、銀、銅、金、インジウム、ステンレス鋼、クロム、チタン等の金属、これらの各金属の酸化物又はそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、酸化珪素、酸化アルミニウム、炭化水素を主体としたダイアモンドライクカーボンである。特に、酸化珪素は、後述する熱処理の効果が顕著に発現されること、高いガスバリア性が安定に維持できる点で最も好ましい。
無機薄膜を形成する方法としては、蒸着法、コーティング法等があり、特に制限はないが、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。この蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD(化学蒸着)等の方法が含まれる。無機薄膜は、塗布層の表面に形成される。無機薄膜の厚さは、ガスバリア性フィルムの最終用途によって適宜選択されるが、通常0.1〜500nm程度、好ましくは0.5〜50nmである。0.1nm以上とすることにより十分なガスバリア性が得られ、また、厚すぎないようにすることにより、無機薄膜に亀裂や剥離が発生せず、透明性が維持される。
基材フィルム、塗布層及び無機薄膜で構成されるガスバリア性フィルムは、良好なガスバリア性を得る点から、温度25℃、湿度80%RHの条件下で測定した酸素透過率が10fmol/m2/s/Pa以下であることを要する。
また、基材フィルム、塗布層及び無機薄膜で構成されるガスバリア性フィルムは、熱水処理後においても良好なガスバリア性を維持する点から、無機薄膜上に厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを積層した場合に、この積層体の、酸素透過率(測定条件は同上)が10fmol/m2/s/Pa以下であり、且つこの積層体に対して120℃、30分間の熱水処理を行った後の、酸素透過度率(測定条件は同上)が50fmol/m2/s/Pa以下であることを要する。
基材フィルム、塗布層及び無機薄膜で構成されるガスバリア性フィルムとしては、以下の実施態様が好ましい。
(1)塗布層が、水溶性ポリアクリル樹脂、水分散性ポリアクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水分散性ポリエステル樹脂から選ばれる1種以上と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含み、且つ上記無機薄膜を形成した後に50℃以上の加熱処理が施されたガスバリア性フィルム。
(2)塗布層が、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれる1種と、水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含むガスバリア性フィルム。
(3)塗布層が、水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂と、水溶性ポリウレタン樹脂及び/又は水分散性ポリウレタン樹脂と、水溶性ポリエステル樹脂及び/又は水分散性ポリエステル樹脂と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含むガスバリア性フィルム。
本発明のガスバリア性フィルムにおける無機薄膜には、接着性、特に耐水接着性や、耐溶剤性、耐擦傷性などを付与するため、無機薄膜形成後に樹脂含有層を積層してもよい。この樹脂含有層の形成に使用する原料としては、一般に使用される樹脂であれば特に制限はない。例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、EVOH、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、架橋基剤含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂等が挙げられ、これらを単独又は2種以上混合して使用することができる。また、シリカやアルミナのゾル及び粒子や層状無機微粒子を添加、重合することができる。
さらに、上記樹脂含有層に、無機薄膜との密着を向上させるためシランカップリング剤や有機チタン化合物を添加したり、その他、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、フィラー、着色剤、安定剤、消泡剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
上記樹脂含有層の厚さは、通常0.05μm〜5μm程度、好ましくは0.1μm〜2μmの範囲である。樹脂層厚さを0.05μm以上とすると、機能性付与効果が高く、5μm以下とするとブロッキング等の問題が生じることがない。
本発明のガスバリア性フィルムにおいては、無機薄膜を形成した後に、50℃以上の加熱処理を施すことが好ましい。無機薄膜上に樹脂含有層を形成する場合は、樹脂含有層を形成した後にこの加熱処理を行う。このような加熱処理を行うことによって、熱水処理後でも良好なガスバリア性が維持される。加熱処理については、後述するガスバリア性積層体の加熱において説明する。
本発明のガスバリア性積層体は、本発明のガスバリア性フィルムに、各種層を積層したものであり、用途に応じたガスバリア性積層体とすることができる。ガスバリア性積層体の通常の実施態様としては、その無機薄膜(ガスバリア層)の上にプラスチックフィルムを積層したガスバリア性積層体が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、本発明のガスバリア性フィルムに用いられる基材フィルムと同様のフィルムを使用することができる。
上記プラスチックフィルムとして、ヒートシールが可能な樹脂からなるフィルムを使用することにより、ヒートシールが可能となり、種々の容器として使用できる。ヒートシールが可能な樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、生分解性樹脂などの公知の樹脂が例示される。
上記プラスチックフィルムの厚さは、本発明の積層構造体の機械強度、可撓性、透明性等、用途に応じて適宜選定されるが、通常5〜500μm程度、好ましくは10〜200μmの範囲である。また、フィルムの幅や長さは特に制限はなく、用途に応じて適宜選択することができる。
また、ガスバリア性積層体の他の実施態様としては、本発明のガスバリア性フィルムの無機薄膜の表面に印刷層を形成し、さらにその上にヒートシール層を積層したものが挙げられる。印刷層の形成に用いる印刷インクとしては、水性樹脂又は溶媒系樹脂を含有する印刷インクが使用できる。ここで、印刷インクに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂及びこれらの混合物が例示される。さらに、印刷インクに、帯電防止剤、光線遮光剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤などの公知の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
印刷層を設けるための印刷方法としては、特に限定されず、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の公知の印刷方法が使用できる。印刷後の溶媒の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線乾燥などの公知の乾燥方法が使用できる。
また、印刷層とヒートシール層との間に、紙及びプラスチックフィルムから選ばれる少なくとも1層を積層することができる。プラスチックフィルムとしては、本発明のガスバリア性フィルムに用いられるプラスチックフィルム基材と同様のフィルムが使用できる。中でも、十分な積層体の剛性及び強度を得る観点から、紙、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及び生分解性樹脂が好ましい。
印刷層の厚さは、通常0.05〜5μm程度、ヒートシール層の厚さは、通常1〜200μm程度、紙及びプラスチックフィルムから選ばれる少なくとも1層の厚さは、通常5μm〜5mm程度とすることができる。
本発明のガスバリア性積層体においては、熱水処理後でも良好なガスバリア性を維持する点から、ガスバリア性フィルムに各種層を積層して積層体を形成した後に、上述した無機薄膜形成後に行う加熱処理と同様に50℃以上の加熱処理を施すことが好ましい。積層体形成後に加熱する場合、積層体を袋や容器等の形態に二次加工してから加熱する方法、これらの二次加工品に内容物を入れてから加熱する方法の何れも採用できる。
加熱処理は、ガスバリア性フィルムやガスバリア性積層体を構成する要素の種類や厚さなどにより条件が異なるが、必要な時間にわたって、必要な温度に保つことができる方法であれば特に限定されない。例えば、必要な温度に設定したオーブンや恒温室で保管する方法、熱風を吹き付ける方法、赤外線ヒーターで加熱する方法、ランプで光を照射する方法、熱ロールや熱板と接触させて直接的に熱を付与する方法、マイクロ波を照射する方法などが例示される。また、取り扱いが容易な大きさにフィルムや積層体を切断してから加熱処理しても、フィルムロールのままで加熱処理してもよい。さらに必要な時間と温度が得られるのであれば、コーター、スリッター等のフィルム製造装置の一部分に加熱装置を組み込み、製造過程で加熱を行ってもよい。
上記加熱処理の温度は、通常50℃以上で、且つ使用する基材フィルム、積層体に用いるプラスチックフィルムの融点以下の温度であれば特に限定されず、下限は好ましくは60℃、上限は通常200℃程度、好ましくは160℃である。処理温度が50℃未満の場合、加熱処理の効果が発現するために必要な処理時間が極端に長くなり現実的でない。加熱処理の時間は、処理温度が高くなるほど短くできる傾向にある。また、処理温度が高い場合、ガスバリア性フィルム及びガスバリア性積層体の構成要素が熱分解してガスバリア性が低下する恐れがあるので、処理時間を短くすることが好ましい。例えば、50℃で2日〜6ヶ月間程度、80℃で2時間〜6日間程度、150℃で2分〜60分間程度というような温度と時間の組み合わせが可能である。但し、これらは単なる目安であって、ガスバリア性フィルムやガスバリア性積層体を構成する各層の種類や厚さなどにより異なる。
以上のような加熱処理の最適時間について、実験結果に基づいて以下のような相関式を導かれる。即ち、熱処理の最適処理時間t(sec)は、熱処理温度T(K)により下記に示される。
3.0×10-10×exp(11000/T)<t<2.4×10-10×exp(13500/T)
本発明のガスバリア性積層体は、熱水処理後においても良好なガスバリア性を維持する点から、温度25℃、湿度80%RHの条件下で測定した酸素透過率が10fmol/m2/s/Pa以下であり、且つこの積層体に対して120℃、30分間の熱水処理を行った後の、酸素透過度率(測定条件は同上)が50fmol/m2/s/Pa以下であることを要する。この酸素透過率が50fmol/m2/s/Pa以下であると、ボイル処理、レトルト処理、滅菌処理などが施された後でも良好なガスバリア性を維持することができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例等で得られたガスバリア性フィルム又はガスバリア性積層体について、次の(イ)、(ロ)、(ハ)の何れかの処理を行った。
(イ)未処理;ガスバリア性フィルム又はガスバリア性積層体そのまま。
(ロ)印刷処理;ガスバリア性フィルムの無機薄膜面にグラビアインキ(東洋インキ製「NEW LP スーパー白」)を希釈剤SL302(トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール混合液)で半分に希釈し、2μm厚で印刷した。
(ハ)レトルト処理;ガスバリア性積層体をレトルト試験機(平山製作所製PL30AERIII)にて120℃、30分間レトルト処理した。
また、実施例等で得られたガスバリア性積層体について、次の評価を行った。
(1)水蒸気透過率(g/m2/day)
(イ)未処理のガスバリア性積層体について測定した。水蒸気透過率測定装置(モダンコントロールズ社製「W−1型透湿度測定装置」)により、温度40℃、湿度90%RHの条件下で測定した。水蒸気透過率を次に示す基準で判定した。
A:2以下
B:2より大、且つ10以下
C:10より大
(2)酸素透過率(fmol/m2/s/Pa)
(イ)未処理、(ハ)印刷処理、(ロ)レトルト処理を別々に行ったガスバリア性積層体について測定した。酸素透過率測定装置(モダンコントロールズ社製「OX−TRN100型酸素透過率測定装置」)により、温度25℃、湿度80%RHの条件下で測定した。酸素透過率を次に示す基準で判定した。
A:10以下
B:10より大、且つ50以下
C:50より大
(1)ラミネート強度(g/15mm幅)
(ハ)レトルト処理を行ったガスバリア性積層体について測定した。ガスバリア性積層体を幅15mmの短冊状とし、その端部の一部を、ガスバリア性フィルムとシーラントフィルム(下記実施例の場合、未延伸ポリプロピレンフィルム)とに剥離し、剥離試験機により100mm/分の速度でT型剥離を行った。ラミネート強度値を次に示す基準で判定した。
A:300以上
B:100以上300未満
C:100未満
実施例1〜8及び比較例1〜6
厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製「H100C」、表1においてPET)のコロナ処理面に、後述する樹脂A〜Gを表1に示す配合比で含有する水媒体塗布液を塗布し、乾燥させて厚さ0.1μmの塗布層を形成した。
次いで、このポリエステルフィルム塗布層上に、真空蒸着装置を使用して一酸化珪素(SiO)を高周波加熱方式で蒸着させ、無機薄膜厚さが20nmであるガスバリア性ポリエステルフィルムを得た。
次いで、このガスバリア性フィルムに(イ)未処理、又は(ロ)印刷処理し、無機薄膜面或いは印刷面に、ウレタン系接着剤(東洋モートン製AD−900とCAT−RT85を10:1.5の質量比で配合)を塗布し、乾燥させて厚さ3μmの接着樹脂層を形成し、この接着樹脂層面に厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製「パイレンフィルムCT P1146」、表1においてCPP)をラミネートし、40℃で3日間のエージング処理を行い、ガスバリア性積層体を得た。
そのうち、(イ)未処理のガスバリア性フィルムを用いたガスバリア性積層体について、(ハ)レトルト処理を行った。
各種処理を施し得られたガスバリア性積層体について、ラミネート強度、水蒸気透過率、酸素透過率を測定し、判定した。その結果を表1に示す。なお、表1の層構成の記載において「 / 」は主な層構成を意味し、基材フィルム上の比較的厚さの薄い塗布層の記載は省略した。「 // 」はドライラミネートを意味し、接着剤層の記載は省略した。
実施例9〜10
再生ナイロン6の含有量が50質量%のナイロン6(表1においてNY)を230℃の温度で押出機のTダイより押し出して冷却ドラムで急冷し、厚さ144μmの未延伸ナイロンシートを得た。この未延伸シートを60℃で縦方向に3倍延伸した後、表1に示す配合比の水媒体塗布液をシートの片面に塗布し、90℃で縦方向に3倍延伸し、205℃で熱処理し、厚さ16μmの2軸延伸ナイロンフィルムを得た。
基材フィルムが2軸延伸ナイロンフィルムである他は、実施例1〜8と同様にして、ガスバリア性フィルム及びガスバリア性積層体を得、同様の測定を行い、判定した。その結果を表1に示す。
実施例11〜15及び比較例7
実施例9〜10と同様にして、ガスバリア性ナイロンフィルムを作製し、(イ)未処理、又は(ロ)印刷処理を行い、ラミネートの構成を次のように変えてガスバリア性積層体を作製した。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製「H100C」)のコロナ処理面に、ウレタン系接着剤(東洋モートン製AD−900とCAT−RT85を10:1.5の質量比で配合)を塗布し、乾燥させて厚さ3μmの接着樹脂層を形成し、この接着樹脂層面に上記ガスバリア性ナイロンフィルムの無機薄膜面或いは印刷面を貼り合わせラミネートし、ガスバリア性ナイロンフィルムを得た。
得られたガスバリア性ナイロンフィルムのナイロンフィルム面に上記と同様にしてウレタン系接着剤の接着樹脂層を形成し、この接着樹脂層面に厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンシート(東洋紡績(株)製「パイレンフィルムCT P1146」)をラミネートし、40℃で3日間のエージング処理を行い、ガスバリア性積層体を得た。
このガスバリア性積層体について、上記と同様の測定を行い、判定した。その結果を表1に示す。
Figure 2005280111
(注)
樹脂A: 水性ポリウレタン系樹脂水性塗料として、次の方法で得られた水性ポリウレタン系樹脂水性塗料を使用した。すなわち、先ず、テレフタル酸664質量部、イソフタル酸631質量部、1,4−ブタンジオール472質量部、ネオペンチルグリコール447質量部からなるポリエステルポリオールを得た。次いで、得られたポリエステルポリオールに、アジピン酸321質量部、ジメチロールプロピオン酸268質量部を加え、ペンダントカルボキシル基含有ポリエステルポリオールAを得た。さらに、上記のポリエステルポリオールA1880質量部にヘキサメチレンジイソシアネート160質量部を加えて水性ポリウレタン系樹脂水性塗料を得た。
樹脂B: 水性アクリル系樹脂水性塗料(無乳化剤タイプ)として、次の方法で得られた水性アクリル系樹脂水性塗料を使用した。すなわち、アクリル酸エチル40質量部、メタクリル酸メチル30質量部、メタクリル酸20質量部、グリシジルメタクリレート10質量部の混合物をエチルアルコール中で溶液重合し、重合後水を加えつつ加熱しエチルアルコールを除去した。アンモニア水でpH7.5に調節し、水性アクリル系樹脂水性塗料(無乳化剤タイプ)を得た。
樹脂C: 水性ポリエステル系樹脂水性塗料として、日本合成化学工業(株)製「ポリエスターWR−961」を使用した。
樹脂D: カルボジイミド基含有水性樹脂として、日清紡績(株)製「カルボジライトE−02」を使用した。
樹脂E: オキサゾリン基含有水性樹脂として、日本触媒(株)製「エポクロスWS−500」を使用した。
樹脂F: エポキシ基含有水性樹脂として、高松油脂(株)製「CAT−2N−206」を使用した。
樹脂G: メラミン基含有水性樹脂として、住友化学工業(株)製「スミマールM50W」を使用した。
本発明のガスバリア性フィルム及びガスバリア性積層体は、熱水処理(ボイル処理、レトルト処理、滅菌処理)が施されてもガスバリア性が維持され、食品、医薬品等の包装に好適である。

Claims (22)

  1. プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布層が形成され、且つ当該塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層が、水溶性ポリアクリル樹脂、水分散性ポリアクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水分散性ポリエステル樹脂から選ばれる1種以上と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含み、酸素透過率が10fmol/m2/s/Pa以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布層が形成され、且つ当該塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層が、水溶性ポリアクリル樹脂、水分散性ポリアクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水分散性ポリエステル樹脂から選ばれる1種以上と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含み、且つ上記無機薄膜上に厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを積層してなる積層体の酸素透過率が10fmol/m2/s/Pa以下であって、当該積層体に対して120℃、30分間の熱水処理を行った後の酸素透過度率が50fmol/m2/s/Pa以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  3. プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布層が形成され、且つ当該塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層が、水溶性ポリアクリル樹脂、水分散性ポリアクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水分散性ポリエステル樹脂から選ばれる1種以上と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含み、且つ上記無機薄膜を形成した後に50℃以上の加熱処理が施されてなることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  4. プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布層が形成され、且つ当該塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層が、水溶性ポリウレタン樹脂、水分散性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水分散性ポリエステル樹脂から選ばれる1種と、水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含むことを特徴とするガスバリア性フィルム。
  5. プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布層が形成され、且つ当該塗布層の表面に無機薄膜を設けたガスバリア性フィルムにおいて、上記塗布層が、水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂と、水溶性ポリウレタン樹脂及び/又は水分散性ポリウレタン樹脂と、水溶性ポリエステル樹脂及び/又は水分散性ポリエステル樹脂と、水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂とを含むことを特徴とするガスバリア性フィルム。
  6. 無機薄膜が酸化珪素を含む請求項1乃至5の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
  7. 塗布層中の水溶性カルボジイミド基含有樹脂及び/又は水分散性カルボジイミド基含有樹脂の含有割合が、塗布層を構成する樹脂基準で10〜50質量%である請求項1乃至6の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
  8. 水溶性ポリアクリル樹脂及び/又は水分散性ポリアクリル樹脂が乳化剤を含有しないものである請求項1乃至7の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
  9. プラスチックフィルムが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール及びエチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物から選ばれる1種以上のプラスチックを含む請求項1乃至8の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
  10. プラスチックフィルムを構成するプラスチックの10〜100質量%が再生プラスチックである請求項9に記載のガスバリア性フィルム。
  11. 塗布層が、塗布液をプラスチックフィルムに塗布した後、少なくとも1方向に延伸して形成されてなる請求項1乃至10の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
  12. 無機薄膜表面に樹脂含有層を設けてなる請求項1乃至11の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
  13. 無機薄膜を形成した後に50℃以上の加熱処理を施してなる請求項1、2及び請求項4乃至12の何れか1項記載のガスバリア性フィルム。
  14. 請求項1乃至13の何れか1項記載のガスバリア性フィルムの無機薄膜表面に、印刷層を形成し、当該印刷層の表面にヒートシール層を積層してなることを特徴とするガスバリア性積層体。
  15. 印刷層とヒートシール層との間に、紙及びプラスチックフィルムから選ばれる少なくとも1層を積層してなる請求項14記載のガスバリア性積層体。
  16. 請求項14又は15に記載のガスバリア性積層体において、当該積層体形成後に50℃以上の加熱処理を施してなることを特徴とするガスバリア性積層体。
  17. 請求項1乃至13の何れか1項記載のガスバリア性フィルムの無機薄膜上にプラスチックフィルムを積層したガスバリア性積層体であって、当該プラスチックフィルム積層後に50℃以上の加熱処理を施してなることを特徴とするガスバリア性積層体。
  18. 請求項1乃至13の何れか1項記載のガスバリア性フィルムの無機薄膜上にプラスチックフィルムを積層したガスバリア性積層体において、酸素透過率が10fmol/m2/s/Pa以下であり、且つ当該積層体に対して120℃、30分間の熱水処理を行った後の酸素透過率が50fmol/m2/day/Pa以下であることを特徴とするガスバリア性積層体。
  19. 請求項18に記載のガスバリア性積層体において、当該積層体形成後に50℃以上の加熱処理を施してなることを特徴とするガスバリア性積層体。
  20. 請求項1乃至13の何れか1項記載のガスバリア性フィルムの無機薄膜表面に、印刷層を形成し、当該印刷層の表面にヒートシール層を積層したガスバリア性積層体において、酸素透過率が10fmol/m2/s/Pa以下であり、且つ当該積層体に対して120℃、30分間の熱水処理を行った後の酸素透過率が50fmol/m2/day/Pa以下であることを特徴とするガスバリア性積層体。
  21. 印刷層とヒートシール層との間に、紙及びプラスチックフィルムから選ばれる少なくとも1層を積層してなる請求項20記載のガスバリア性積層体。
  22. 請求項20又は21に記載のガスバリア性積層体において、当該積層体形成後に50℃以上の加熱処理を施してなることを特徴とするガスバリア性積層体。

JP2004097747A 2004-03-30 2004-03-30 ガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体 Expired - Fee Related JP4439967B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004097747A JP4439967B2 (ja) 2004-03-30 2004-03-30 ガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004097747A JP4439967B2 (ja) 2004-03-30 2004-03-30 ガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005280111A true JP2005280111A (ja) 2005-10-13
JP4439967B2 JP4439967B2 (ja) 2010-03-24

Family

ID=35179003

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004097747A Expired - Fee Related JP4439967B2 (ja) 2004-03-30 2004-03-30 ガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4439967B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009081715A1 (ja) * 2007-12-21 2009-07-02 Kureha Corporation ガスバリア性フィルム、ガスバリア性積層フィルム及びそれらを用いた包装材料
JP2011126068A (ja) * 2009-12-16 2011-06-30 Toyobo Co Ltd 易接着性熱可塑性樹脂フィルム
WO2013021860A1 (ja) * 2011-08-11 2013-02-14 東レ株式会社 積層シートおよびその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009081715A1 (ja) * 2007-12-21 2009-07-02 Kureha Corporation ガスバリア性フィルム、ガスバリア性積層フィルム及びそれらを用いた包装材料
JP2011126068A (ja) * 2009-12-16 2011-06-30 Toyobo Co Ltd 易接着性熱可塑性樹脂フィルム
WO2013021860A1 (ja) * 2011-08-11 2013-02-14 東レ株式会社 積層シートおよびその製造方法
JPWO2013021860A1 (ja) * 2011-08-11 2015-03-05 東レ株式会社 積層シートおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4439967B2 (ja) 2010-03-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI433781B (zh) A gas barrier laminated film and a method for manufacturing the same
US8658278B2 (en) Gas barrier multilayer film
CN101516614B (zh) 阻气性膜
US8092917B2 (en) Gas-barrier laminate
JP4398265B2 (ja) ガスバリア性フィルム及びガスバリア性積層体
JP4792859B2 (ja) 熱水処理用ガスバリア性積層体
JP4812552B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム
EP2450187B1 (en) Multilayer polyester film
JP3881463B2 (ja) 蒸着プラスチックフイルム
JP4812382B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム
EP1728622A1 (en) Laminates with gas-barrier property
US20120128985A1 (en) Laminated polyester film
JP2011224981A (ja) 積層フィルム
CN114728498B (zh) 层叠薄膜
JP6927336B2 (ja) ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法
JP2006009023A (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルム及びその製造方法
WO2023286679A1 (ja) 無機薄膜層形成用の積層フィルム
JP4439967B2 (ja) ガスバリア性フィルム及びそれを用いたガスバリア性積層体
JP2001058383A (ja) 樹脂被覆ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP6136092B2 (ja) 積層フィルム
JP2002301787A (ja) 蒸着プラスチックフイルムの製造方法
JP2006321193A (ja) ガスバリア性ポリアミドフィルムおよびその製造方法
JP7380916B2 (ja) 積層フィルム
TW202136060A (zh) 積層薄膜

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090804

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091005

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091215

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100106

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130115

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4439967

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees