JP2005279140A - 髄内釘 - Google Patents
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Abstract
【課題】 釘本体に設けられた横断孔に挿通される骨固定具を釘本体に対して容易かつ確実乃至は精密に係合させることのできる係合構造を提供する。
【解決手段】 本発明の髄内釘100は、軸線と交差する横断孔114,115を備えた釘本体110と、横断孔114,115に挿通される骨固定具10,20と、骨固定具に係合するために横断孔に臨む係合手段121,122,123とを具備し、係合手段は、釘本体に対して軸線方向に移動可能に螺合する第1操作部材121と、第1操作部材に対して回転可能な状態で第1操作部材とともに横断孔側に移動する第2操作部材122と、第2操作部材の横断孔側に配置され、第2操作部材に対して軸線方向に移動可能に螺合する係合部材123とを有し、第1操作部材における軸線方向の横断孔側の限界位置を規定する限界位置規定手段103dをさらに具備することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明の髄内釘100は、軸線と交差する横断孔114,115を備えた釘本体110と、横断孔114,115に挿通される骨固定具10,20と、骨固定具に係合するために横断孔に臨む係合手段121,122,123とを具備し、係合手段は、釘本体に対して軸線方向に移動可能に螺合する第1操作部材121と、第1操作部材に対して回転可能な状態で第1操作部材とともに横断孔側に移動する第2操作部材122と、第2操作部材の横断孔側に配置され、第2操作部材に対して軸線方向に移動可能に螺合する係合部材123とを有し、第1操作部材における軸線方向の横断孔側の限界位置を規定する限界位置規定手段103dをさらに具備することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は髄内釘に係り、特に、釘本体の軸線と交差する横断孔を有し、この横断孔に挿通される骨固定具に係合する係合手段を備えた髄内釘の構造に関する。
一般に、大腿骨上部の骨折を治療する骨接合具として、大腿骨の近位部から髄内に挿入される釘本体を備えた髄内釘が用いられている。この髄内釘は、基端部に設けられた端部開口から軸線方向先端部側に伸びる軸孔と、軸線方向と交差する方向に形成される横断孔とを有し、この横断孔に骨固定具(骨ねじ或いはラグスクリュウ)を挿通させてその先端を骨内部に挿入固定することによって、骨折を防止したり、或いは、髄内釘の回旋を防止したりするようにしている(例えば、以下の特許文献1参照)。
この種の髄内釘は、その基端部に設けられた開口から係合手段として用いられる調整ねじ(セットスクリュー)を軸孔にねじ込むことにより、この調整ねじの先端が上記横断孔に挿通された骨固定具の外周面に係合し、骨固定具が釘本体に対して回転止めされたり、或いは、完全に固定されたりするようになっている。
一方、大腿骨の骨頭部と管状部との間に骨折線のあるケースにおいて上記の髄内釘を用いると、骨頭部に挿入された骨固定具の軸線を中心として骨頭部が回転してしまう恐れがある。これを防止するためには、釘本体にその軸線方向に配列された複数の横断孔を設け、これらの横断孔にそれぞれ挿通させた複数の骨固定具を骨頭部内に挿入するように構成する場合がある(例えば、以下の特許文献2参照)。
欧州特許公開第0257118号明細書
米国特許第5531748号明細書
しかしながら、前述の髄内釘では、釘本体の横断孔に骨固定具を挿通し、大腿骨内に向けてねじ込んだ後に、調整ねじを釘本体の軸孔にねじ込み、その先端を骨固定具に係合させる必要があるが、骨固定具に対する係合状態は、調整ねじのねじ込み量によって調整されるため、その調整度合が難しいという問題点があった。
より具体的に述べると、多くの場合、骨固定具の外周面上にはその軸線方向に伸びる係合溝が形成されている。そして、この係合溝に調整ねじの先端を係合させることにより、釘本体に対して骨固定具がその軸線方向にはスライド可能であるが、その軸線周りに回転することはできない状態(スライド可能状態)にすることができ、また、係合溝の底面に調整ねじの先端を強く当接させることで、釘本体に対して骨固定具が完全に(その軸線方向にも)固定された状態(ロック状態)にすることもできる。
ところが、一般的には、骨の再生過程における骨頭部の移動量を吸収するために、釘本体に対して骨固定具をスライド可能状態にしておくことが多いため、このスライド可能状態を得るために調整ねじのねじ込み量を微妙に調整する必要がある。例えば、手術現場では、通常、骨固定具がロック状態となるように調整ねじを完全にねじ込んだ位置から所定量だけ調整ねじを戻すといった微妙な操作が行われており、この微妙な操作を誤ると、骨固定具がロック状態となったり、逆に骨固定具がフリー状態となったりする恐れを完全に否定できない。
さらに、釘本体に複数の横断孔を設け、大腿骨の骨頭部内に2本以上の骨固定具を挿入する(ねじ込む)場合には、釘本体の基端部側に形成された横断孔に挿通された骨固定具については、釘本体の基端部に設けられた開口から挿入した上記の調整ねじによって係合保持することができるが、先端部の側に形成された横断孔に挿通された骨固定具については、基端部側に挿通された骨固定具が障害となって上記の調整ねじを係合させることができないと言う問題点がある。
そこで、本発明は上記の問題点を解決するものであり、その課題は、釘本体に設けられた横断孔に挿通される骨固定具を釘本体に対して容易かつ確実乃至は精密に係合させることのできる係合構造を提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の髄内釘は、軸線と交差する横断孔を備えた釘本体と、該横断孔に挿通される骨固定具と、該骨固定具に係合するために前記横断孔に臨む係合手段とを具備する髄内釘であって、前記係合手段は、前記釘本体に対して前記軸線方向に移動可能に螺合する第1操作部材と、該第1操作部材に対して回転可能な状態で前記第1操作部材とともに前記横断孔側に移動する第2操作部材と、該第2操作部材の前記横断孔側に配置され、前記第2操作部材に対して前記軸線方向に移動可能に螺合する係合部材とを有し、前記第1操作部材における前記軸線方向の前記横断孔側の限界位置を規定する限界位置規定手段をさらに具備することを特徴とする。
この発明によれば、第1操作部材を回転操作することで第1操作部材、第2操作部材及び係合部材の軸線方向の位置を変更することができるとともに、限界位置規定手段により第1操作部材の横断孔側の限界位置が規定されるので、第1操作部材を回転操作していき、最終的に上記限界位置に設定することにより、骨固定具に対する係合手段の所定の係合状態を確実に得ることができる。また、第2操作部材を回転操作することで、第2操作部材と係合部材の相対的位置関係を変更することができるので、第1操作部材の位置を変更することなく、係合手段の骨固定具に対する係合状態を変更することもできる。例えば、第1操作部材を限界位置に設定した状態で、係合手段により骨固定具が回転規制されるが軸線方向の移動は可能なスライド可能状態とすることができ、ここでさらに第2操作部材を回転操作することで、係合手段により骨固定具が完全に固定されるロック状態とすることができる。したがって、第1操作部材が限界位置規定手段により限界位置に規定されるため、第1操作部材の位置設定が容易に且つ確実に行えるようになり、これによって骨固定具に対する所定の係合状態を正確且つ容易に実現できるとともに、第2操作部材の操作を行うことにより所定の係合状態をさらに変更することができることから、複数の係合状態を確実且つ容易に実現することができる。
本発明において、前記限界位置規定手段は、前記第1操作部材に対して前記軸線方向の前記横断孔側から当接する前記釘本体に設けられた段部であることが好ましい。これによれば、釘本体に設けられた段部に第1操作部材が直接に当接することによってその位置が規定されるので、第1操作部材をより確実に位置決めすることができ、また、位置が規定された第1操作部材の回転抵抗を高めることができるため、第2操作部材の回転操作により第1操作部材が連れ回ることを抑制できる。
本発明において、前記限界位置規定手段は、前記第2操作部材に対して前記軸線方向の前記横断孔側から当接する前記釘本体に設けられた段部であることが好ましい。これによれば、釘本体に設けられた段部に第2操作部材が当接することによって第1操作部材の位置が規定されるので、第2操作部材に螺合する係合部材の位置をより確実且つ正確に位置決めすることができ、骨固定具に対する所定の係合状態をより正確に設定することができる。
本発明において、前記釘本体には、その基端部に開口し、前記横断孔に連通する軸孔が設けられ、前記第1操作部材、前記第2操作部材及び前記係合部材は前記軸孔内に配置されていることが好ましい。これによれば、第1操作部材、第2操作部材及び係合部材が釘本体の軸孔内に配置されていることにより、係合手段が外部の影響を受けにくくなるので、係合手段を確実に釘本体に固定し、しかも、骨固定具に対する所定の係合状態を確実に保持することができる。
本発明において、前記第1操作部材は前記軸線方向に貫通する開口部を備え、前記第2操作部材は前記第1操作部材の前記横断孔側に配置され、前記開口部を通して回転操作可能に構成されていることが好ましい。これによれば、第2操作部材が第1操作部材の横断孔側に配置されているので、第1操作部材の回転操作により第2操作部材が第1操作部材と共に確実に移動するように容易に構成することができる。また、第1操作部材に設けられた開口部を通して第2操作部材の回転操作が可能となるように構成されていることにより、上記のように第1操作部材の横断孔側に第2操作部材が配置されていても、第2操作部材を容易に操作することができる。
本発明において、前記係合部材における前記釘本体に対する前記軸線周りの回転を規制する回転規制手段をさらに具備することが好ましい。回転規制手段により係合部材の軸線周りの回転が規制されているため、第2操作部材の回転操作時において第2操作部材と共に係合部材が連れ回ることが防止されるので、係合部材の位置を確実且つ容易に調整できる。
本発明において、前記釘本体は前記横断孔よりも基端側に配置された別の横断孔を備え、前記係合部材は、当該別の横断孔に対応する横断開口部を備えていることが好ましい。これによれば、横断孔よりも基端側に配置された別の横断孔に対応する横断開口部が係合部材に設けられていることにより、当該別の横断孔及び係合部材の横断開口部に別の骨固定具を挿通させることができるので、複数の骨固定具を用いることが可能になる。
本発明によれば、第1操作部材が限界位置規定手段により限界位置に規定されるため、第1操作部材の位置設定が容易に且つ確実に行えるようになり、これによって骨固定具に対する所定の係合状態を正確且つ容易に実現できるとともに、第2操作部材の操作を行うことにより所定の係合状態をさらに変更することができることから、複数の係合状態を確実且つ容易に実現することができるという優れた効果を奏し得る。
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。最初に、図4を参照して本発明に係る実施形態に係る髄内釘の全体構成の概略について説明する。髄内釘100は、基端部から先端部に軸状に伸びる釘本体110を有している。この釘本体110は、生体適合性材料、例えば、チタン、チタン合金、生体内分解性樹脂などで構成することが好ましい。釘本体110は、基端側に設けられた基端側部分111と、基端側部分に接続された先端側部分112とを有する。基端側部分111は先端側部分112より大きな外径を有することが好ましく、また、基板側部分111と先端側部分112は、相互に僅かな角度差を備えた軸線を有することが好ましい。
釘本体110には、その基端部に端部開口113aを有し、この端部開口113aから軸線方向先端側に伸びる軸孔113が設けられている。この軸孔113は、ガイドワイヤなどを挿通可能とするために、図示例のように釘本体110の先端部に達する貫通孔となっていることが望ましいが、少なくとも以下の横断孔114,115に達するように構成される。また、釘本体110には、その軸線と交差するように構成された横断孔114,115が設けられている。本実施形態では、複数(図示例では2つ)の横断孔114と115がそれぞれ軸線方向に配列されている。横断孔114,115は、図示例のように釘本体110を軸線がほぼ垂直になるような姿勢としたとき、斜め上方に釘本体110を貫通するように設けられている。この横断孔114,115の方向は、髄内釘100を大腿骨の近位部側の髄内に配置したときに大腿骨の骨頭部に向かう方向と一致する。
また、釘本体110の側壁には、上記軸孔113を側方に開口させる側部開口113bが形成されている。さらに、釘本体110の基端部には、上記端部開口113aを閉鎖するエンドキャップ124が装着される。このエンドキャップ124は、上記軸孔113の端部開口113a側の内面上に形成された雌ネジ118に螺合している。なお、釘本体110の基端部の端部開口113aの開口縁部には、図示しない取付器具(ターゲットデバイス)を釘本体110の基端部に接続したときに、当該取付器具と釘本体110とが軸線周りに回転しないように回転止めを行うための切り欠き部119が設けられている。
[第1実施形態]
次に、上記髄内釘100の第1実施形態の横断孔114,115の近傍の内部構造について、図1を参照して説明する。図1に示すように、軸孔113の内部には、軸線方向基端側から順に、第1操作部材121、第2操作部材122及び係合部材123が配置されている。これらの第1操作部材121、第2操作部材122及び係合部材123は、図示のように横断孔114に挿通される骨固定具10を係合保持するための係合手段を構成する。この係合手段は、釘本体110の軸孔113内においてその軸線方向に移動可能に構成されている。
次に、上記髄内釘100の第1実施形態の横断孔114,115の近傍の内部構造について、図1を参照して説明する。図1に示すように、軸孔113の内部には、軸線方向基端側から順に、第1操作部材121、第2操作部材122及び係合部材123が配置されている。これらの第1操作部材121、第2操作部材122及び係合部材123は、図示のように横断孔114に挿通される骨固定具10を係合保持するための係合手段を構成する。この係合手段は、釘本体110の軸孔113内においてその軸線方向に移動可能に構成されている。
第1操作部材121は、釘本体110の軸孔113の内面上に形成された雌ネジ118に螺合している。具体的には、第1操作部材121の外面上には釘本体110に螺合する雄ネジ121sが形成されている。第1操作部材121の内部には釘本体110の軸線に沿って貫通する軸線開口部121aが設けられている。第1操作部材121の基端部には、工具などによる回転操作を可能とする回転駆動構造121dが設けられている。この回転駆動構造121dは、図示例では軸線開口部121aの基端側の内面上に形成された角穴形状によって構成されている。
第2操作部材122は、第1操作部材121に対して釘本体110の軸線周りには回転可能に構成され、釘本体110の軸線方向に当接している。具体的には、第2操作部材122の基端部は第1操作部材121の軸線開口部121a内に収容され、軸線開口部121aによって回転自在に軸支された状態となっている。また、第2操作部材122の基端部(に設けられた段部)は第1操作部材121の先端部に対して軸線方向基端側に当接している。この第2操作部材122は軸線開口部121aを通して上記軸孔113の端部開口113a側に露出している。第2操作部材122の基端部(軸線開口部121a内に配置された部分)には、工具などによる回転操作を可能とする回転駆動構造122dが形成されている。また、第2操作部材122には釘本体110の軸線に沿って貫通する軸線開口部122aが形成されている。具体的には、上記回転駆動構造122dはその軸線開口部122aの内面上に形成された角穴形状によって構成されている。第2操作部材122の軸線開口部122aの先端側の内面上には雌ネジ122sが形成され、これが係合部材123に螺合している。
係合部材123の基端部には、第2操作部材122に螺合する雄ネジ123sが形成されている。また、係合部材123には、釘本体110の軸線に沿って貫通する軸線開口部123aが形成されている。さらに、係合部材123には、釘本体110の軸線と交差する方向に貫通する横断開口部123bが形成され、この横断開口部123bは、上記横断孔115と対応する位置に形成されている。具体的には、横断開口部123bは、横断孔115に挿通される骨固定具20を挿通させることが可能となるように構成されている。ただし、係合部材123は後述するように軸孔113内において軸線方向の所定範囲内を移動するので、横断開口部123bは、横断孔115よりもやや軸線方向に見て広い範囲において開口し、係合部材123が釘本体110に対して軸線方向に或る程度移動しても、骨固定具20の挿通に支障がないように構成されている。
係合部材123の外側面には、釘本体110の軸線方向に伸びる縦溝123cが形成され、この縦溝123c内には、上記側部開口113bに圧入固定されている規制部材125の内端部が導入されている。係合部材123は、上記縦溝123cと規制部材125の内端部との係合によって、釘本体110の軸線周りの回転が規制された状態となっている。係合部材123の先端部123pは、上記横断孔114に臨むように配置され、横断孔114に挿通された骨固定具10の外面に係合するように構成されている。骨固定具10の外面には、骨固定具10の軸線方向に伸びる係合溝10bが形成され、この係合溝10bに係合部材123の先端部123pが係合し、骨固定具10の軸線周りの回転を防止するようになっている。また、係合部材123の先端部123pが強く係合溝10bに当接すると、骨固定具10はその軸線方向にも固定されるようになっている。
なお、骨固定具10の内部には軸孔10aが形成されている。この軸孔10aは、骨内に導入した図示しないガイドワイヤを挿通させるためのものである。このガイドワイヤは、骨固定具10を横断孔114に挿通させて骨内に導入する際の案内機能を有する。
一方、釘本体110の軸孔113の内面上には、第1段部113c及び第2段部113dが形成されている。第1段部113cは上記雌ネジ118の形成部分の先端側に設けられ、他の部材によって規制されない状態であれば、第1操作部材121に抵触して第1操作部材121の軸線方向先端側(横断孔114側)の限界位置を規定するように構成されている。また、第2段部113dは、第2操作部材122の収容部分の軸線方向先端側(横断孔114側)に設けられ、第2操作部材122の軸線方向先端側の限界位置を規定するように構成されている。
本実施形態の場合、実際には、第1操作部材121と第2操作部材122とが軸線方向に当接した状態では、第1操作部材121の先端部と上記第1段部との間の軸線方向の距離G1は、第2操作部材122の先端部と上記第2段部との間の軸線方向の距離G2よりも大きく構成されているので、第1操作部材121を軸孔113内にねじ込んでいくとき、第2操作部材122が先に第2段部113dに当接し、それ以上第1操作部材121をねじ込むことができなくなる。したがって、実質的には、第2操作部材122と第2段部113dとで構成される限界位置規定手段により、第1操作部材121の軸線方向先端側の限界位置が決定されるようになっている。
この実施形態では、第1操作部材121を回転操作する(すなわち、工具を回転駆動構造121dに係合させて回転させる)ことにより、第1操作部材121を軸孔113内にねじ込んでいくと、やがて上記のように第2操作部材122が第2段部113dに当接し、それ以上第1操作部材121をねじ込むことができなくなる。この状態では、第1操作部材121、第2操作部材122及び係合部材123の位置は第1操作部材121の回転操作ができなくなる位置で決定されているので、手術する者が恣意的に係合部材123の軸線方向の位置を変えることができないから、正確且つ確実に係合部材123と骨固定具10との係合状態を実現することができる。
例えば、第2操作部材122と係合部材123とを目一杯ねじ込んだ状態としておき、この状態で、第1操作部材121をねじ込んで、上記の限界位置に到達すれば、係合部材123の先端部123pが骨固定具10の外面上の係合溝10bに対して骨固定具10の軸線周りに回転する方向に嵌合するが、係合溝10bの底面には当接しないか、或いは、当接しても軽く当たる程度に構成しておく。このようにすると、係合部材123により骨固定具10の回転を防止することはできるが、骨固定具10がその軸線方向にスライド動作をすることは妨げないため、上記のスライド可能状態が実現される。
一方、上記のようにしてスライド可能状態が実現された後、工具を第2操作部材122の回転駆動構造122dに係合させ回転操作することにより、第2操作部材122を回転させると、係合部材123を釘本体110の軸線方向に移動させることができる。例えば、第2操作部材122と係合部材123の螺合構造が右ねじであるとすると、第2操作部材122を端部開口113a側から見て反時計周りに回転操作すれば、第2操作部材122と係合部材123との螺合長さが小さくなっていくことになるので、係合部材123は軸線方向先端側にさらに移動し、係合部材123の先端部123pが骨固定具10の係合溝10bの底面に強く当接し、これによって、骨固定具10が軸線周りの回転方向にはもちろんのこと、軸線方向にも固定された状態となり、上記のロック状態が実現される。
本実施形態では、第1操作部材121をねじ込んでいくと、やがて第2操作部材122が第2段部113dに当接してそれ以上第1操作部材121がねじ込めなくなるので、ねじ込み量を手術者が手加減しなくても、係合部材123と骨固定具10との所定の係合状態(例えば、スライド可能状態)を正確且つ確実に、しかもきわめて容易に実現できる。また、このときでも、第2操作部材122を操作することで、第2操作部材122と係合部材123との軸線方向の位置関係を調整することができるため、上記の所定の係合状態とは異なる別の係合状態(例えばロック状態や完全フリー状態)を実現することも可能である。なお、上述の説明では、第1操作部材121を回転操作した後に第2操作部材122を回転操作しているが、第1操作部材121のみを操作し、第2操作部材122を操作しないようにしてもよく、さらには、第2操作部材122と係合部材123の螺合深さを予め調整しておき、その後、第1操作部材121を回転操作してもよい。
また、本実施形態では、係合部材123が釘本体110の内部で軸線周りに回転しないように、規制部材125と縦溝123cとによって構成される回転規制手段が設けられている。したがって、係合部材123は軸線周りに回転しないので、第2操作部材122を回転操作したときに、第2操作部材122とともに係合部材123が連れ回り、係合部材123の位置調整ができなくなる、或いは、位置調整が難しくなると言った事態の発生を防止できる。
さらに、本実施形態では、係合部材123に横断開口部123bが設けられ、この横断開口部123bによって、横断孔114よりも基端側にある横断孔115にも別の骨固定具20を挿通することが可能になる。特に、係合部材123は釘本体110に対して回転が規制された状態にあるので、横断開口部123bを常に横断孔115に対応する位置乃至は向きに保持することができる。このように複数の骨固定具10,20を挿通可能とすることで、骨固定具10,20によって保持された骨部分が骨固定具10,20の軸線周りに回転してしまうといった事態の発生を防止できる。
本実施形態では、第1操作部材121の軸線方向先端側の限界位置が、第2操作部材122が第2段部113dに当接することによって決定されるので、第2操作部材122の軸線方向の位置が正確に位置決めされることから、この第2操作部材122に螺合した係合部材123をより正確且つ確実に位置制御することが可能になるため、係合部材123と骨固定具10との間の係合状態をより正確かつ安定的に実現できると言う利点がある。
[第2実施形態]
図2は、上記とは異なる第2実施形態について示す概略拡大断面図である。この第2実施形態において、上記第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。上記の第1実施形態では、第1操作部材121が第2操作部材122に対して単に軸線方向には当接しているだけ(実際には軸線周りに回転可能に軸支されている)である。これに対して、この第2実施形態においては、第1操作部材121′が第2操作部材122′に対して軸線周りに回転可能に軸支された状態で、相互に軸線方向に連結されている。具体的には、第1操作部材121′の軸線開口部121aに第2操作部材122′の基端部が嵌合した状態で、第2操作部材122′の基端部に環状部材126を固着させることにより、第2操作部材122′が第1操作部材121′に対して離脱しないように構成してある。この場合、第1操作部材121′と第2操作部材122′とを軸線方向にガタつきのないように連結することが望ましい。
図2は、上記とは異なる第2実施形態について示す概略拡大断面図である。この第2実施形態において、上記第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。上記の第1実施形態では、第1操作部材121が第2操作部材122に対して単に軸線方向には当接しているだけ(実際には軸線周りに回転可能に軸支されている)である。これに対して、この第2実施形態においては、第1操作部材121′が第2操作部材122′に対して軸線周りに回転可能に軸支された状態で、相互に軸線方向に連結されている。具体的には、第1操作部材121′の軸線開口部121aに第2操作部材122′の基端部が嵌合した状態で、第2操作部材122′の基端部に環状部材126を固着させることにより、第2操作部材122′が第1操作部材121′に対して離脱しないように構成してある。この場合、第1操作部材121′と第2操作部材122′とを軸線方向にガタつきのないように連結することが望ましい。
この第2実施形態では、第1操作部材121′と第2操作部材122′とが離反しないように相互に連結されているので、第1操作部材121′と係合部材123とが第2操作部材122′を介して相互に間接的に螺合した状態となり、その結果、係合部材123が第1操作部材121′に対して軸線方向の基端側と先端側のいずれの向きにも保持された状態となるため、第1操作部材121′、第2操作部材122′及び係合部材123で構成される係合手段の取扱いが容易になる。すなわち、これらを一体化して釘本体110の軸孔113内に導入したり、その逆に釘本体110の軸孔113から一体化した状態で取り出したりすることが可能になる。
[第3実施形態]
図3は、さらに異なる第3実施形態を示す概略拡大断面図である。この第3実施形態において、上記実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。この第3実施形態では、第1操作部材121の軸線開口部121a内に第2操作部材122の基端部が配置されている点では第1実施形態と同様であるが、第2操作部材122″の基端部122t″が外側に拡大変形(カシメ加工)されることにより、第2実施形態と同様に第1操作部材121に対して離脱しないように連結されている。また、この第3実施形態においても、先に説明した第1実施形態と同様に、第1操作部材121に対して第2操作部材122″は軸線周りに回転可能に軸支されている。
図3は、さらに異なる第3実施形態を示す概略拡大断面図である。この第3実施形態において、上記実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。この第3実施形態では、第1操作部材121の軸線開口部121a内に第2操作部材122の基端部が配置されている点では第1実施形態と同様であるが、第2操作部材122″の基端部122t″が外側に拡大変形(カシメ加工)されることにより、第2実施形態と同様に第1操作部材121に対して離脱しないように連結されている。また、この第3実施形態においても、先に説明した第1実施形態と同様に、第1操作部材121に対して第2操作部材122″は軸線周りに回転可能に軸支されている。
また、上記の第1実施形態では、第1操作部材121と第1段部113cとの間の軸線方向の距離G1が、第2操作部材122と第2段部113dとの間の軸線方向の距離G2よりも大きく構成されていた。これに対して、この第3実施形態では、第1操作部材121と第1段部113c′との間の軸線方向の距離G1′は、第2操作部材122と第2段部113d′との間の軸線方向の距離G2′よりも小さく構成されている。これにより、第1操作部材121を軸孔113内にてねじ込んでいくと、第1操作部材121が第1段部113c′に当接し、それ以上ねじ込むことができなくなる。したがって、この第3実施形態では、第1操作部材121の先端側部分と第1段部113c′とが第1操作部材121の軸線方向先端側の限界位置を規定する限界位置規定手段を構成している。
このように、第1操作部材121が直接第1段部113c′に当接することによって第1操作部材121の軸線方向先端側の限界位置が規定されるので、第1操作部材121の釘本体110に対する回転抵抗が大きくなることから、第2操作部材122の回転操作による第1操作部材121の連れ回りが抑制されるという利点がある。なお、この構成は、上記第1実施形態と第2実施形態のいずれにも採用することができる。
尚、本発明の髄内釘は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記各実施形態では、いずれも係合手段によって係合保持される骨固定具を挿通するための横断孔114の基端側にさらに別の横断孔115を形成しているが、本発明はこのような構造の髄内釘に限らず、係合手段によって係合保持される骨固定具を挿通するための横断孔の基端側に他の横断孔が形成されていないタイプの髄内釘にも同様に適用できるものである。
100…髄内釘、110…釘本体、111…基端部、112…先端部、113…軸孔、113a…端部開口、113b…側部開口、114,115…横断孔、118…雌ネジ、121…第1操作部材、121s…雄ネジ、122…第2操作部材、122s…雌ネジ、123…係合部材、123b…横断開口部、123s…雄ネジ、10,20…骨固定具
Claims (7)
- 軸線と交差する横断孔を備えた釘本体と、該横断孔に挿通される骨固定具と、該骨固定具に係合するために前記横断孔に臨む係合手段とを具備する髄内釘であって、
前記係合手段は、前記釘本体に対して前記軸線方向に移動可能に螺合する第1操作部材と、該第1操作部材に対して回転可能な状態で前記第1操作部材とともに前記横断孔側に移動する第2操作部材と、該第2操作部材の前記横断孔側に配置され、前記第2操作部材に対して前記軸線方向に移動可能に螺合する係合部材とを有し、
前記第1操作部材における前記軸線方向の前記横断孔側の限界位置を規定する限界位置規定手段をさらに具備することを特徴とする髄内釘。 - 前記限界位置規定手段は、前記第1操作部材に対して前記軸線方向の前記横断孔側から当接する前記釘本体に設けられた段部であることを特徴とする請求項1に記載の髄内釘。
- 前記限界位置規定手段は、前記第2操作部材に対して前記軸線方向の前記横断孔側から当接する前記釘本体に設けられた段部であることを特徴とする請求項1に記載の髄内釘。
- 前記釘本体には、その基端部に開口し、前記横断孔に連通する軸孔が設けられ、前記第1操作部材、前記第2操作部材及び前記係合部材は前記軸孔内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の髄内釘。
- 前記第1操作部材は前記軸線方向に貫通する開口部を備え、
前記第2操作部材は前記第1操作部材の前記横断孔側に配置され、前記開口部を通して回転操作可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の髄内釘。 - 前記係合部材における前記釘本体に対する前記軸線周りの回転を規制する回転規制手段をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の髄内釘。
- 前記釘本体は前記横断孔よりも基端側に配置された別の横断孔を備え、前記係合部材は、当該別の横断孔に対応する横断開口部を備えていることを特徴とする請求項6に記載の髄内釘。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2004-03-31 JP JP2004101838A patent/JP2005279140A/ja active Pending
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