JP2005278644A - 改変プロモーター - Google Patents

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Abstract

【課題】 タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の転写量を向上させ得る改変プロモーターDNA、更にはこれを用いたタンパク質又はポリペプチドの効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】 SigAで認識されるプロモーター及びその近傍の塩基を含む塩基配列に対して、SigA及びSigEで認識されるように改変してなるプロモーターDNA;当該プロモーターDNAを含有する発現ベクター、当該発現ベクターを含む組換え微生物、当該組換え微生物を培養することを特徴とするタンパク質又はポリペプチドの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、改変されたプロモーターDNA、当該DNAを含有する発現ベクター、当該発現ベクターを含む組換え微生物、及び当該組換え微生物を用いたタンパク質又はポリペプチドの製造方法に関する。
微生物による有用物質の工業的生産は、アルコール飲料や味噌、醤油等の食品類をはじめとし、アミノ酸、有機酸、核酸関連物質、抗生物質、糖質、脂質、タンパク質等、その種類は多岐に渡っており、またその用途についても食品、医薬や、洗剤、化粧品等の日用品、或いは各種化成品原料に至るまで幅広い分野に広がっている。
こうした微生物による有用物質の工業生産においては、その生産性の向上が重要な課題の一つであり、その手法として、突然変異等の遺伝学的手法による生産菌の育種が行われてきた。一方、微生物遺伝学、バイオテクノロジーの発展により、特に最近では、遺伝子組換え技術等を用いたより効率的な有用物質生産が注目されている。
遺伝子の転写に必要なプロモーターに関する研究も数多く行なわれており、枯草菌(Bacillus subtilis)においては異種タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を強力に転写するプロモーター領域として、例えば、バチルス エスピー(Bacillussp.)KSM−64株(FERM BP-2886)由来のアルカリセルラーゼ遺伝子のプロモーター領域(例えば、非特許文献1参照)や、バチルス エスピーKSM−S237株(FERM BP-7875)由来のアルカリセルラーゼ遺伝子(例えば、特許文献1参照)の上流部に存在するプロモーター領域等が利用されている。
しかしながら、工業的な生産に於いては生産コストの低減化が必要であり、現在用いられている上記の様なプロモーター領域に於いても生産性向上の効果が必ずしも十分と言えるものではなく、更なる高い生産性が求められている。
特開2000-210081号公報 Biosci. Biotech. Biochem., 59, 2172, (1995)
本発明は、タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の転写量を向上させ得る改変プロモーターDNA、更にはこれを用いたタンパク質又はポリペプチドの効率的な製造方法を提供することに関する。
枯草菌では、RNAポリメラーゼ複合体のサブユニットとしてプロモーター配列の認識に関与するシグマ因子が17個同定されており、栄養増殖期において生育に必須な遺伝子の転写に関与する主要シグマ因子(ハウスキーピングシグマ因子)SigAをはじめ、胞子形成過程を制御するシグマ因子SigH、SigF、SigE、SigG、SigK、べん毛形成や細胞壁溶解を制御するシグマ因子SigD、ある種のアミノ酸や糖の代謝を制御するシグマ因子SigL、環境変化への対応を制御するシグマ因子SigBやECFシグマと呼ばれるシグマ因子等が存在する。シグマ因子以外の5個(α、β、β’、δ、ω)のサブユニットから成るRNAポリメラーゼコア複合体に結合した各シグマ因子は、シグマ因子毎に異なるプロモーター配列の認識に関与することにより、異なる遺伝子の転写を司り、これによって、ゲノム上に存在する4100余りの遺伝子について、状況に応じた遺伝子の発現制御を行っていると考えられている。
栄養増殖期には主としてSigAがRNAポリメラーゼコア複合体と会合して、SigAが認識するプロモーターを有する遺伝子、またはオペロンの転写を誘導しているが、胞子形成期に入って胞子形成過程を制御するシグマ因子が活性化されると、RNAポリメラーゼコア複合体と会合するシグマ因子の置換が起こり、SigAと会合するRNAポリメラーゼの量は相対的に低下することが報告されている(J. Bacteriol., 179, 4969, (1999))。この為、胞子形成期以降、SigAにより認識されるプロモーターからの転写量は相対的に低下するものと考えられる。
斯かる実情に鑑み、本発明者らは、枯草菌のシグマ因子SigAで認識されるプロモーターを含むDNA断片に対して、遺伝子工学的操作を用いて塩基の改変を施こし、当該プロモーター機能を残したまま、SigEで認識される配列を新たに構築した場合に、下流に連結されるタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の転写量を向上できることを見出した。
すなわち本発明は、SigAで認識されるプロモーター及びその近傍の塩基を含む塩基配列に対して、SigA及びSigEで認識されるように改変してなるプロモーターDNAを提供するものである。
また本発明は、当該プロモーターDNAを含有する発現ベクター、当該発現ベクターを含む組換え微生物、当該組換え微生物を培養することを特徴とするタンパク質又はポリペプチドの製造方法を提供するものである。
また本発明は、SigAで認識されるプロモーター及びその近傍の塩基を含む塩基配列に対して、SigA及びSigEで認識されるように改変することを特徴とするプロモーターDNAの構築方法を提供するものである。
本発明のプロモーターDNAは、天然のプロモーターを用いた場合に比べて、下流に連結されるタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の転写量を遥かに向上させることができ、タンパク質又はポリペプチドを効率的に生産することができる。
本発明においてアミノ酸配列および塩基配列の同一性はLipman-Pearson法 (Science, 227, 1435, (1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
一般に、シグマ因子は転写開始点の上流10塩基及び35塩基付近に存在する数塩基の配列を認識して結合するとされており、それぞれ−10領域、−35領域と呼ばれている。また、両領域の配列、両領域間の距離は、シグマ因子毎にそれぞれ共通な特徴を持つことが知られており、コンセンサス配列と呼ばれ、プロモーターの本体を為すものと考えられている。SigAのコンセンサス配列は、TTGacaで表される−35領域、その14塩基後ろにつながるtgnTAtaatで表される−10領域からなることが報告されている(nはA又はG又はC又はT。また大文字は保存性が高く、小文字は保存性が低いことを表す。Bacillus Subtilis and Its Closest Relatives: From Genes to Cells, Edited by A. L. Sonenshein, American Society for Microbiology, pp289, (2002))。そして、上記配列番号1の塩基番号92〜552、配列番号2の塩基番号133〜589の間には、SigAのコンセンサス配列が複数存在することが報告されている(Biosci Biotechnol Biochem. 64, 2281, 2000、Biosci Biotechnol Biochem. 56, 872, (1992))。
従って、本発明のSigAで認識されるプロモーター及びその近傍の塩基を含む塩基配列としては、配列番号1で示される塩基番号92〜552の塩基配列、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号133〜589の塩基配列を含むか、又は当該塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列であってSigAのコンセンサス配列を有するもの及び/又は同一のプロモーター機能を有するものを含むもの、或いは、配列番号1で示される塩基配列、配列番号2で示される塩基配列、又は当該塩基配列に対して90%、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列であって、SigAのコンセンサス配列を有するもの及び/又は同一のプロモーター機能を有するものであるのが好ましい。前記、配列番号1で示される塩基番号92〜552の塩基配列を含む塩基配列としては、配列番号1において塩基番号92〜552を含む461〜570bpの連続した塩基配列が好ましく、より好ましくは461〜520bp、特に461〜480bpの連続した塩基配列が好ましい。前記、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号133〜589の塩基配列を含む塩基配列としては、配列番号2において塩基番号133〜589を含む457〜610bpの連続した塩基配列が好ましく、より好ましくは457〜520bp、特に457〜480bpの以下の連続した塩基配列が好ましい。
ここで、配列番号1で示される塩基配列はバチルス エスピーKSM−S237株(FERM BP-7875)由来アルカリセルラーゼ遺伝子の上流に存在するものであり、配列番号2で示される塩基配列はバチルス エスピーKSM−64株(FERM BP-2886)由来アルカリセルラーゼ遺伝子の上流に存在するものであって、両者は95.6%の同一性を有している。
本発明のプロモーターDNAは、上記塩基配列に対して塩基の改変を施し、SigAに加え、SigEでも認識されるように構築される。ここで、構築されるプロモーター配列は、単独でも複数でもよい。
一方、SigEで認識されるプロモーター配列は、ATAHTT(HはA又はC又はT)で表される−35領域と、その13若しくは14塩基後ろにつながるCATAYAHT(YはC又はT)で表される−10領域からなる塩基配列、好ましくはATATTTで表される−35領域と、その13若しくは14塩基後ろにつながるCATACAATで表される−10領域からなる塩基配列、更に好ましくはATATTTCAAGTAGTAATAACATACAATからなる塩基配列であることが報告されており(J. Mol. Biol. 327, 945, (2003))、斯かる塩基配列が新たに構築されるのが好ましい。
本発明における最も好ましいプロモーターDNAは、配列番号7で示される、配列番号1を改変した塩基配列や、配列番号8で示される、配列番号2を改変した塩基配列が挙げられる。
塩基の改変は、上記SigEで認識されるプロモーター配列を有するDNA断片を挿入するか、或いは、1又は複数個の塩基を欠失、置換若しくは挿入することにより行われるが、このうち1又は複数個の塩基を置換することにより行われる方法が好ましい。すなわち、例えばプラスミドベクターにクローニングされたバチルス エスピーKSM−S237株(FERM BP-7875)由来のアルカリセルラーゼ遺伝子の上流に由来するDNA断片(配列番号1)やバチルス エスピーKSM−64株(FERM BP-2886)由来アルカリセルラーゼ遺伝子の上流に由来するDNA断片(配列番号2)の任意の部位に、Kunkel法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 82, 488, 1985)等の部位特異的変異導入法により制限酵素認識部位を導入し、一方、両端に該制限酵素認識部位を付加したSigEで認識されるプロモーター配列を含むDNA断片を化学合成などによって調製した後、当該制限酵素にて処理した両断片をリガーゼにより結合することにより、SigEで認識されるプロモーター配列を挿入したプロモーターDNAを構築することが可能である。
また、配列番号1や配列番号2で示されるアルカリセルラーゼ遺伝子の上流に由来するDNA断片の一部をSOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene, 77, 51, 1989)等により塩基置換することにより、当該DNA断片を構築することが可能である。
以下、より具体的にSOE−PCR法を用いて配列番号1で示される塩基配列からなるDNA断片の一部に塩基置換を施すことにより、SigEで認識されるプロモーター(配列)を新たに構築する方法について説明する。
まず、1回目のPCRにより塩基置換を施した部位を下流末端とする上流側DNA断片と、塩基置換を施した部位を上流末端とする下流側DNA断片を調製するが、この際、例えば、上流側DNA断片の下流側および下流側DNA断片の上流側に用いるプライマーに、相互にアニールし、且つSigEで認識されるプロモーター配列が新たに構築される様にデザインを施しておく(図1)。
次いで、1回目のPCRにて調製した2種類のDNA断片を鋳型とし、上流側DNA断片の上流側プライマーと下流側DNA断片の下流側プライマーを用いて2回目のPCRを行うことによって、上流側DNA断片の下流末端と下流側DNA断片の上流末端の間でアニールが生じ、PCR増幅の結果、2つのDNA断片が連結し、その連結部分にSigEで認識されるプロモーター配列が新たに構築されたDNA断片を得ることができる(図1)。
このように構築されたプロモーターDNAは、SigAに加え、SigEによっても認識されるため、胞子形成期においても、その下流に連結されるタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の転写が可能となる。
すなわち、枯草菌により異種タンパク質またはポリペプチドを組換え生産させる際に、当該プロモーターDNAを目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の上流に連結することにより、該遺伝子が栄養増殖期においてSigAと会合したRNAポリメラーゼにより転写されることに加え、栄養増殖期につづく胞子形成期においてはSigEと会合したRNAポリメラーゼにより転写され、胞子形成期においても該遺伝子の転写が維持される。従って、当該プロモーターDNAを含有する発現ベクターを導入した組換え枯草菌は、SigEで認識されるプロモーター配列を新たに構築する前の天然のプロモーターを用いる場合に比べ、著量の目的タンパク質またはポリペプチドを生産することができる。
目的タンパク質又はポリペプチド遺伝子は、特に限定されず、洗剤、食品、繊維、飼料、化学品、医療、診断など各種産業用酵素や、生理活性ペプチドなどが含まれる。また、産業用酵素の機能別には、酸化還元酵素 (Oxidoreductase) 、転移酵素 (Transferase) 、加水分解酵素 (Hydrolase) 、脱離酵素 (Lyase)、異性化酵素 (Isomerase) 、合成酵素 (Ligase/Synthetase) 等が含まれるが、好適にはセルラーゼ、α-アミラーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素の遺伝子が挙げられる。具体的には、多糖加水分解酵素の分類(Biochem. J., 280, 309 (1991))中でファミリー5に属するセルラーゼが挙げられ、中でも微生物由来、特にバチルス属細菌由来のセルラーゼが挙げられる。より具体的な例として、配列番号4又は配列番号6で示されるアミノ酸配列からなる、それぞれバチルス エスピーKSM−S237株(FERM BP-7875)又はバチルス エスピーKSM−64株(FERM BP-2886)由来のアルカリセルラーゼや、当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるセルラーゼが挙げられる。
また、α−アミラーゼの具体例としては、微生物由来のα−アミラーゼが挙げられ、特にバチルス属細菌由来の液化型アミラーゼが好ましい。より具体的な例として、配列番号14で示されるアミノ酸配列からなるバチルス エスピーKSM−K38株(FERM BP-6946)由来のアルカリアミラーゼや、当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるアミラーゼが挙げられる。また、プロテアーゼの具体例としては、微生物由来、特にバチルス属細菌由来のセリンプロテアーゼや金属プロテアーゼ等が挙げられる。
一方、目的タンパク質又はポリペプチド遺伝子は、本発明のプロモーターDNAに加えて、当該遺伝子の翻訳、分泌に関わる制御領域、即ち、リボソーム結合部位(SD配列)および開始コドンを含む翻訳開始領域、又、分泌用シグナルペプチド領域が適正な形で結合されていることが望ましい。例えば、特開2000−210081号公報や特開平4−190793号公報等に記載されているバチルス属細菌、すなわちKSM−S237株(FERM BP-7875)やKSM−64株(FERM BP-2886)由来のセルラーゼ遺伝子の翻訳開始領域、分泌用シグナルペプチド領域、より具体的には配列番号3で示される塩基配列の塩基番号563〜659の塩基配列や配列番号5で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号600〜696の塩基配列、また当該塩基配列に対して70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、あるいは上記いずれかの塩基配列の一部が欠失した塩基配列からなるDNA断片が、目的タンパク質又はポリペプチドの構造遺伝子と適正に結合されていることが望ましい。
上記の目的タンパク質又はポリペプチド遺伝子を含むDNA断片の上流に本発明のプロモーターDNAを連結した上で適当なベクターに挿入した発現ベクターを、一般的な形質転換法によって枯草菌に取り込ませて組換え微生物を構築することにより目的タンパク質又はポリペプチドの生産性を向上させることができる。また、本発明のプロモーターDNAに枯草菌のゲノムとの適当な相同領域を結合したDNA断片を用い、枯草菌ゲノムに直接組み込むことによって構築した組換え菌株によっても目的タンパク質又はポリペプチドの生産性を向上させることができる。
本発明のプロモーターDNAを用いた目的タンパク質又はポリペプチドの製造は、上記の組換え微生物を同化性の炭素源、窒素源、その他の必須成分を含む培地に接種し、通常の微生物培養法にて培養し、培養終了後、タンパク質又はポリペプチドを採取・精製することにより行えばよい。
以下に、実施例を用いて、本発明のDNA断片の構築方法と、該DNA断片を利用したセルラーゼの組換え生産方法について具体的に説明する。
実施例1 アルカリセルラーゼ遺伝子上流領域へのSigE認識プロモーター(配列)の構築
図2に示す様に、アルカリセルラーゼ遺伝子上流領域へのSigE認識プロモーター配列の導入を行なった。即ち、シャトルベクターpHY300PLKのBamHI制限酵素切断点に、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM−S237株(FERM BP-7875)由来のアルカリセルラーゼ遺伝子(特開2000-210081号公報)をコードするDNA断片(3.1kb)が挿入された組換えプラスミドpHY−S237を鋳型とし、表1に示した237UB1とEP1UPrのプライマーセットを用いてアルカリセルラーゼ遺伝子の上流領域0.4kb断片(A)を調製した。同様に表1に示したEP1DNfとS237RVのプライマーセットを用いてアルカリセルラーゼ遺伝子の下流領域2.7kb断片(B)を調製した。次いで、得られた(A)(B)2断片を混合して鋳型とし、表1に示した237UB1とS237RVのプライマーセットを用いたSOE−PCRを行うことによって、2断片を(A)(B)の順になる様に結合させ3.1kbのDNA断片(C)を得た。プライマーEP1UPrとEP1DNfにはそれぞれ塩基置換が施してあり、図2に示す様にDNA断片(C)ではアルカリセルラーゼ遺伝子の翻訳開始部位から約150bp上流の領域にSigE認識プロモーター(配列)が新たに構築された。得られた3.1kbのDNA断片(C)をシャトルベクターpHY300PLKのSmaI制限酵素切断点に挿入し、組換えプラスミドpHY−S237EP1を構築した。また組換えプラスミドpHY−S237を鋳型として、表1に示した237UB1とS237RVのプライマーセットを用いてアルカリセルラーゼ遺伝子全領域を含む3.1kb断片(D)を調製し、これをシャトルベクターpHY300PLKのSmaI制限酵素切断点に挿入して、組換えプラスミドpHY−S237Wを構築した。
実施例2 アルカリセルラーゼ分泌生産評価
実施例1にて得られた組換えプラスミドpHY−S237EP1、及び対照として組換えプラスミドpHY−S237Wを、プロトプラスト形質転換法によって枯草菌168株に導入した。これによって得られた菌株を10mLのLB培地で一夜37℃で振盪培養を行い、更にこの培養液0.05mLを50mLの2×L−マルトース培地(2%トリプトン、1%酵母エキス、1%NaCl、7.5%マルトース、7.5ppm硫酸マンガン4−5水和物、15ppmテトラサイクリン)に接種し、30℃で3日間、振盪培養を行った。培養後、遠心分離によって菌体を除いた培養液上清のアルカリセルラーゼ活性を測定し、培養によって菌体外に分泌生産されたアルカリセルラーゼの量を求めた。この結果、表2に示した様に、組換えプラスミドとしてpHY−S237EP1を用いた場合、対照のpHY−S237W(野生型)の場合と比較して高いアルカリセルラーゼの分泌生産が認められた。このことから、pHY−S237EP1を用いた場合には、SigAで認識されるプロモーターからの転写に加え、新たに構築されたSigEで認識されるプロモーターからの転写が行なわれことにより、セルラーゼ分泌生産性が向上したものと推測された。
Figure 2005278644
Figure 2005278644
実施例3 SigE認識プロモーター(配列)を導入したアルカリセルラーゼ遺伝子上流領域のアルカリアミラーゼ生産に対する有効性の検証
実施例1にて構築したプラスミドpHY−S237EP1を鋳型として、表3に示されるS237ppp-F2(BamHI)とS237ppp-R2(ALAA)のプライマーセットを用いてPCRを行い、SigE認識プロモーター(配列)を導入したアルカリセルラーゼ遺伝子のプロモーター領域と分泌シグナル配列をコードする領域を含む0.6kbのDNA断片(E)を増幅した。またバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-K38株(FERM BP-6946)より抽出したゲノムDNAを鋳型として、表3に示されるK38matu-F2(ALAA)とSP64K38-R(XbaI)のプライマーセットを用いてPCRを行い、配列番号14で示されるアミノ酸配列を有するアルカリアミラーゼ(Appl. Environ. Microbiol., 67, 1744, (2001))をコードする1.5kbのDNA断片(F)を増幅した。次いで、得られた(E)(F)の2断片を混合して鋳型とし、表3に示されるS237ppp-F2(BamHI)とSP64K38-R(XbaI)のプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって、SigE認識プロモーター(配列)を導入したアルカリセルラーゼ遺伝子のプロモーター領域とそれにつづく分泌シグナル配列をコードする領域の下流にアルカリアミラーゼ遺伝子が連結した2.1kbのDNA断片(G)を得た。得られた2.2kbのDNA断片(G)をシャトルベクターpHY300PLK(ヤクルト)のBamHI-XbaI制限酵素切断点に挿入し、組換えプラスミドpHY−K38(S237ps)EP1を構築した。また上記0.6kbのDNA断片(E)の増幅に用いた鋳型を実施例1にて構築したプラスミドpHY−S237Wに代えることにより、同様に組換えプラスミドpHY−K38(S237ps)Wを構築した。
組換えプラスミドpHY−K38(S237ps)EP1、及び対照としてpHY−K38(S237ps)Wを、プロトプラスト形質転換法によって枯草菌168株に導入した。これによって得られた菌株を実施例2と同様の条件で5日間、振盪培養を行った。培養後、遠心分離によって菌体を除いた培養液上清のアルカリアミラーゼ活性を測定し、培養によって菌体外に分泌生産されたアルカリアミラーゼの量を求めた。この結果、表4に示した様に、組換えプラスミドとしてpHY−K38(S237ps)EP1を用いた場合、対照のpHY−K38(S237ps)W(野生型)の場合と比較して高いアルカリアミラーゼの分泌生産が認められた。このことから、SigE認識プロモーター(配列)を導入したアルカリセルラーゼ遺伝子上流領域が種々のタンパク質又はポリペプチド生産において有効であることが示された。
Figure 2005278644
Figure 2005278644
SOE−PCR法を用いたSigE認識プロモーター配列の導入方法を示した概念図である。 SigE認識プロモーター配列を導入したアルカリセルラーゼ生産用プラスミドの構築方法を示した概念図である。

Claims (15)

  1. SigAで認識されるプロモーター及びその近傍の塩基を含む塩基配列に対して、SigA及びSigEで認識されるように改変してなるプロモーターDNA。
  2. SigEで認識されるコンセンサス配列を構築することによって改変したものである請求項1のプロモーターDNA。
  3. SigEで認識されるコンセンサス配列が、ATAHTT(HはA又はC又はT)で表される-35領域と、その13若しくは14塩基後ろにつながるCATAYAHT(YはC又はT)で表される-10領域からなる塩基配列である請求項2のプロモーターDNA。
  4. SigAで認識されるプロモーター及びその近傍の塩基を含む塩基配列が、配列番号1で示される塩基配列の塩基番号92〜552の塩基配列、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号133〜589の塩基配列を含むか、又は当該塩基配列に対して80%以上の同一性を有する塩基配列であってSigAのコンセンサス配列を有するもの及び/又は同一のプロモーター機能を有するものを含むものである請求項1〜3のいずれか1項記載のプロモーターDNA。
  5. SigAで認識されるプロモーター及びその近傍の塩基を含む塩基配列が、配列番号1で示される塩基配列、配列番号2で示される塩基配列、又は当該塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列であってSigAのコンセンサス配列を有するもの及び/又は同一のプロモーター機能を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のプロモーターDNA。
  6. SigAで認識されるプロモーター及びその近傍の塩基を含む塩基配列が610bp以下のサイズである請求項4または5記載のプロモーターDNA。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載のプロモーターDNAを2つ以上連結したプロモーターDNA。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載のプロモーターDNAを含有する発現ベクター。
  9. 請求項8記載の発現ベクターを含む組換え微生物。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項記載のプロモーターDNAをゲノム上に導入した組み換え微生物。
  11. 請求項9または10記載の組換え微生物を培養することを特徴とするタンパク質又はポリペプチドの製造方法。
  12. タンパク質がセルラーゼ又はアミラーゼである請求項11に記載の製造方法。
  13. セルラーゼが配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるアルカリセルラーゼ、又は当該アミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、かつアルカリセルラーゼ活性を有するタンパク質である請求項12に記載の製造方法。
  14. アミラーゼが配列番号14で示されるアミノ酸配列からなるアルカリアミラーゼ、又は当該アミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、かつアルカリアミラーゼ活性を有するタンパク質である請求項12に記載の製造方法。
  15. SigAで認識されるプロモーター及びその近傍の塩基を含む塩基配列に対して、SigA及びSigEで認識されるように改変することを特徴とするプロモーターDNAの構築方法。
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